議会報告Assembry report

令和6年第3回定例議会2024/09/26
代表質問わたなべ泰行議員(南区)
札幌市議会本会議において公明党議員会を代表して わたなべ泰行 議員が代表質問を行いました。
以下、質問とそれに対する答弁の要旨を紹介します。
目次Contents
- 市長の政治姿勢について
- 令和5年度決算を踏まえた今後の財政運営について
- (仮称)札幌市誰もがつながり合う共生のまちづくり条例について
- 人口減少社会への適応に向けた取組について
- 金融機能の集積に向けた税制優遇の対象と金融都市の実現に向けた活用について
- 株式会社札幌ドームの収支改善に向けた取組について
- 持続可能な建設産業に向けた生産性向上について
- 札幌駅交流拠点のまちづくりについて
- 札幌丘珠空港における安定的な運航に向けた取組について
- 路線バス運転手における外国人材の受入れについて
- 次なる災害や新興感染症に備えるための市立札幌病院の機能強化の考え方について
- 持続可能な高齢福祉施策の推進について
- 札幌市の魅力を発揮する経済施策の推進について
- MICEの推進について
- フィルムコミッションを活用した地域経済の活性化について
- マンガコンテンツを生かした成長戦略について
- 南区の多様な資源を活用した観光振興について
- 循環型社会を推進する環境施策について
- 脱炭素社会に向けたペットボトルの水平リサイクルについて
- 札幌市における木材の循環の推進と木育について
- 持続可能な魅力あるまちづくりの推進について
- 市民自治を支えるための地域負担の軽減について
- 行政手続のオンライン化の推進について
- 市民の暮らしを守る健康施策について
- 公共施設等の調査結果を踏まえた今後のエアコン設置の考え方について
- 帯状疱疹ワクチン定期接種化に向けた対応について
- 子ども施策の推進について
- 誰一人取り残されない不登校対策の推進について
- 子どもの歯科口腔保健対策の推進について
1市長の政治姿勢について
質問
(1)令和5年度決算を踏まえた今後の財政運営について
令和5年度予算は骨格予算でありながら、過去最大となる1兆1,922億円を計上し、市長選を経て、肉付予算等の追加により最終的には1兆3,122億円となりました。
これに対し、歳入決算額は1兆2,103億円、歳出決算額は1兆2,011億円となり、形式収支から翌年度への繰越財源を差し引いた実質収支は61億円となっています。
市税決算額は3,538億円と、前年度から62億円の増加となり、堅調な伸びとなりましたが、物価高騰が続く中、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しすることが懸念される状況となっております。
我が会派は、物価高騰に対する低所得者や子育て世帯の支援や、プレミアム商品券事業の実施、共生社会の実現、経済の活性化などを求めてきたところであり、こうした事業が令和5年度に実施されたことに一定の評価をするところです。
財政状況は依然として厳しい状況にあるが、物価高騰は今も続いており、対応が必要となっているほか、共生社会の実現や経済の活性化に向けて、引き続き取組を進めていくことが重要と考えます。
(2)(仮称)札幌市誰もがつながり合う共生のまちづくり条例について
我が会派では、SDGsに掲げられている「誰一人取り残さない」、持続可能で多様性と包摂性のある社会の実現を目指しています。
札幌市においても、同じ方向性のもと第2次札幌市まちづくり戦略ビジョンにおいて、まちづくりの重要概念の一つに「ユニバーサル(共生)」を設定し、「誰もが互いにその個性や能力を認め合い、多様性が強みとなる社会」を指す共生社会の実現に向け、全庁を挙げて取組を進めているものと認識します。
こうした中、8月4日に開催された「共生社会バリアフリーシンポジウムin札幌」では、秋元市長を始め、パラリンピアンやバリアフリーの有識者らによるパネルディスカッションが行われ、障がいのある方の生活の質の向上や心のバリアフリーなどをテーマに活発に議論されました。
登壇したパネリストからは、共生社会の実現に向けては「子どものうちから多様性に触れ、色々な人と触れ合うことが重要」といった意見や「様々な違いを知り、共に生き、それが当たり前となっている社会が共生社会である」等の声が挙がりました。
我が会派としても、共生社会の実現を目指していく上では、次世代を担う子どもたちが、子どものうちから様々な違いに触れ、多様性に富んだ社会を当たり前に感じることができるような環境づくりが極めて重要と捉えています。また、学校教育の場等のソフト面の取組に加え、西区農試公園に昨年4月に整備したインクルーシブな遊具広場など、子どもの日常生活の様々な場面で多様性に自然と触れるようなハード面の整備も重ねることができれば、共生社会の実現は加速度的に進むものと考えます。
また昨今、多様性が尊重される社会づくりにあっては、経済的な豊かさのみならず、精神的な豊かさや健康を含め、幸福や生きがいを捉える「ウェルビーイング」の考え方が注目されており、ウェルビーイングの高い社会は、子どもから大人まで一人一人が担い手で、他者とのつながりや関わりの中で創られるものとされています。
札幌市では現在、共生社会の実現に向けた核となる取組として、共生社会の実現に向けた条例の制定検討を進めており、直近8月に開催した外部有識者会議である「ユニバーサル推進検討委員会」において、新たに「(仮称)札幌市誰もがつながり合う共生のまちづくり条例」として、パブリックコメントに向けた条例素案を公表したところですが、市には是非、条例の検討過程のみならず、それ以降も、次世代を担う子どもや若者に向けた取組をしっかりと行い、人と人がつながり、また、未来につながる社会づくりを図っていく姿勢を期待するものです。
(3)人口減少社会への適応に向けた取組について
札幌市の人口は、2021年の197万人台をピークとして、人口減少に転じており、市の独自推計によると、2060年には159万人となり、38万人減少するものとされております。
中でも、生産年齢人口に着目しますと、2020年の121万人から2060年の81万人となり、40万人も減少するものと推計されております。
このように生産年齢人口の減少が見込まれる中では、1年1年、刻々と、様々な業種で人材確保が困難となり、市民生活を支えるサービスの提供や経済活動の縮小をはじめとした都市機能が低下していくことが危惧され、まさに待ったなしの状況にあるといえます。
将来的な人手不足に対応していくためには、女性や高齢者をはじめとする多様な人材の活躍のほか、デジタル化の推進などがより一層重要になってまいります。
先日開催された、次期さっぽろ未来創生プランに関する第2回有識者会議では、女性や高齢者の活躍推進のほか、「人口減少適応プロジェクト」として、「市民を幸せにするための取組の強化」、「外国人材に選ばれる環境づくり」、「持続可能な都市の在り方の検討」の3つの柱とその概要が示されたと伺っております。
さきほど申し上げた生産年齢人口の著しい減少を踏まえますと、いずれも大切な視点と考えており、避けがたい人口減少に適応すべく、その準備を怠らないようしっかりと取り組んでいただきたいと考えますが、中でも、札幌市は、総人口に占める外国人の割合が政令指定都市の中でも低位に位置しており、その割合は1%を切っている状況にあります。
このような状況を踏まえると、今後、人口減少社会により適応していくためには、外国人人口の割合の低さは喫緊の課題であり、市内企業の外国人雇用の拡大に向けた取組や外国人の生活支援等の多文化共生の推進に向けた取組などは特に重要であるものと考えております。
(4)金融機能の集積に向けた税制優遇の対象と金融都市の実現に向けた
活用について
本年6月に、本市が北海道とともに提案したGX金融・資産運用特区について、国から提案の意義を認めていただき、金融・資産運用特区と国家戦略特区の指定を受けたことは大変意義深いことであり、我が会派としてはこの取組を応援する立場で本会議や委員会の場において質問をしてきたところです。
7月の総務委員会においては、この特区の指定にかかる状況について報告を受けるとともに、北海道庁と連携して税制優遇の有識者懇談会を開催するとの報告があり、その後に2回の懇談会が開催されております。
この懇談会では、本市と北海道庁の関係部局が連携して検討した「地方税の税制優遇」検討における基本的な考え方(素案)が提示され、有識者による活発な議論が交わされたものとお聞きしました。
具体的には、GⅩ産業の集積に向けた優遇対象やそれを実施する事業者の要件、またこれに合わせて集積を目指す金融事業者の要件、さらに優遇する税目やその期間等が話し合われたとのことです。
この中でも、金融機能は本市への集積を目指すものであり、このたびの税制優遇は、本市が目指す金融都市を実現するための具体的な施策の手始めとして重要なものになると認識しております。
(5)株式会社札幌ドームの収支改善に向けた取組について
本年6月21日の株式会社札幌ドームの株主総会で令和5年度の決算が発表され、想定を大幅に超える約6.5億円の赤字となり、北海道日本ハムファイターズの本拠地移転による影響の大きさを実感させられたところであります。
7月22日に開催された経済観光委員会においては、収支改善に向けた取組と札幌ドームの将来像について報告され、今年度以降の黒字化を目指すことが示されましたが、黒字化への道のりは簡単ではなく、札幌ドームとその筆頭株主である札幌市には、必死さと覚悟をもって取り組んでいただく必要があると考えているところです。
そのような中、大和ハウス工業株式会社が札幌ドームのネーミングライツを取得し、愛称を「大和ハウスプレミストドーム」と決定しました。
また、雪まつりの特別連携行事となるイベントが開催されることや、人気アーティストのドームツアーの開催が決定し、さらに先日、eスポーツの世界最高峰の大会である「エーペックスレジェンズ・グローバルシリーズ・チャンピオンシップ」の開催が発表されるなど、前向きなニュースが続いており、市民のプレミストドームに対するイメージも少しずつ変化しているのではないかと感じているところであります。
新たな愛称になったことを契機に、これまで以上に、プレミストドームの活性化に取り組むことで、収支改善にもつなげていくことが求められているものと考えます。
(6)持続可能な建設産業に向けた生産性向上について
建設業は、インフラの整備や維持管理など安全・安心な市民生活に必要な作業を行う「地域の守り手」でありますが、将来を担う人材不足などの課題から、厳しい経営環境に直面しております。
このため、札幌市では令和2年に策定した「さっぽろ建設産業活性化プラン」に基づき、建設産業の将来にわたる体制確保に向け、様々な取組を進めているところです。
しかしながら、市内建設業の就業者数は、主な担い手である市内工業高校の生徒数が減少した影響等により、2000年から2020年の間に約4割減少しております。
加えて、道内建設業の年齢別就業者数は、2023年時点で、55歳以上が4割を超えている一方で、29歳以下は1割を切る状況となっており、他産業と比べて著しく高齢化しており、今後、年齢による大量離職により、人手不足は一層深刻化することが予想されます。
限られた人員で、将来にわたりインフラの整備や維持管理を継続していくためには、作業の生産性向上を図ることが不可欠であることから、我が会派では札幌市の「生産性向上」の取組に注目してきたところです。
国土交通省では、建設現場の生産性向上に向けICT施工やプレキャスト製品の活用等を進める「i-Construction」を推進しているほか、データとデジタル技術を活用し業務プロセス等を変革する「インフラ分野のDX」の取組が進められております。
札幌市においてもICT活用工事の発注や遠隔臨場の活用など、生産性向上に取り組んでおりますが、市内企業の取組はまだまだ限定的な状況であります。
ICTやデジタル技術の活用は、生産性向上だけでなく建設業のイメージアップにもつながり、ひいては若年層の入職増加にもつながるものと考えられます。
加えて、機械操作や施工管理の簡易化を図ることも期待でき、入職者の早期活躍のほか、専門教科を学んでいない普通高校の学生や女性等、多様な人材の活躍にもつながることから、人材確保の面からもこうした取組を一層加速していく必要があると考えます。
現在、札幌市では「さっぽろ建設産業活性化プラン」の次期計画の策定準備を進めており、先日、建設産業の業界団体や有識者と札幌市の関係部署で構成する「さっぽろ建設産業活性化推進協議会」において、次期プランの計画案を示したと聞いております。
(7)札幌駅交流拠点のまちづくりについて
道都札幌の玄関口である札幌駅周辺は、平成28年に策定された第2次都心まちづくり計画において、札幌駅交流拠点として位置付けられ、北海道・札幌の国際競争力をけん引し、その活力を展開させる起点の形成を図っていくこととしています。
現在、札幌駅交流拠点では、北海道新幹線札幌開業を見据えて、再開発事業や新幹線駅舎工事などの大規模事業が進められておりますが、なかでも北5西1・西2地区市街地再開発事業については、令和6年2月に「開業を最大で2年延期し、施設規模の縮小も検討する」との報道があったところであり、今後の動向に注視が必要と感じたところです。
また、北海道新幹線の新函館北斗・札幌間については、令和6年5月に建設主体である鉄道・運輸機構から国土交通大臣に対して、令和12年度末の開業は極めて困難との報告がありましたが、仮に新幹線開業が遅れることになれば、札幌駅交流拠点のまちづくりにも大きな影響があることが懸念されます。
本年5月29日には、秋元市長や北海道新幹線の沿線自治体の首長らが、我が会派の国会議員とともに、北海道新幹線の早期開業に向けた工程短縮策の検討や開業目標の見通しの早急な提示などについて、斉藤国土交通大臣に要望したところであり、斉藤大臣からは、国土交通省として全力を挙げて対応したいと大変心強い言葉をもらったところです。
札幌駅交流拠点では、北5西1西2地区や新幹線工事だけではなく、北4西3地区の再開発事業や地下鉄南北線さっぽろ駅ホーム増設工事、都心アクセスの関連工事など様々な事業が同時並行で行われています。
これらの事業は、都市機能の充実やにぎわいの形成、交通機能の強化といった点で、市民生活を豊かにするものであり、どれもが非常に重要なものです。
現在、新幹線開業の遅れの懸念もあるなか、工事費高騰や計画の見直しなど各事業は難しい状況に直面していると思われますが、このような大変な状況だからこそ、札幌市が各々の事業を円滑に進めるために積極的に関与していくことが重要と考えます。
(8)札幌丘珠空港における安定的な運航に向けた取組について
現在、札幌丘珠空港は道内6路線、道外6路線と、2年前から比較して4路線増えるなど路線が拡大しており、昨年度は43万人を超える旅客数となっております。
更に、本年7月からは名古屋小牧路線が増便され、札幌丘珠空港ビルからは、令和6年度の旅客数が50万人を超えるのではないかとも報道されています。
このような旅客数の増加は、ビジネスや観光で利用される方はもちろんのこと、医療従事者や医療機関を受診される方など、さまざまな目的を持つ方にとって札幌丘珠空港が便利であるという認識が着実に広まってきているものと考えているところです。
航空機を利用する魅力の一つは、ビジネスシーンなどにおいて札幌圏と地方を日帰りで往復することも可能とする時間の効率化にあります。
こうしたことから、札幌丘珠空港においても、これに対する期待に応え、一年を通じて、できる限り安定的な運航及び定時運航がなされることが非常に重要であり、空港への魅力を維持するためにも、大きなポイントになるものと考えております。
これまでの事例を見ると、保安検査の混雑や機材のトラブルなどで運航に影響することがあるほか、札幌丘珠空港においては、冬期間、降雪等による天候不良によって運航に影響するケースが多く見られ、今年1月には、天候不良に伴う欠航も100件を超えると聞いております。
安全・安心な運航という観点では、遅延や欠航もやむを得ない面もあると理解していますが、やはり一年を通じて、できる限り安定的な航空ネットワークを機能させることが、札幌丘珠空港が担うビジネス・観光、医療、防災等といった役割を十分に発揮し、また、札幌・北海道の活力向上に資するものと考えます。
本市では滑走路延伸の2030年供用開始をはじめとした丘珠空港の将来像の実現に向けて、鋭意取り組んでいると認識しておりますが、現時点においても札幌丘珠空港に期待される安定的な運航にもしっかりと取り組まなければ、空港の魅力アップが期待できず、将来像の実現にも影響するものと考えられます。
(9)路線バス運転手における外国人材の活用について
札幌市内の路線バスは、深刻な運転手不足などにより、減便・廃止により市民生活に大きな影響を生じ始めております。市内のバス運転手数は、令和元年度の1,871人から令和5年度は1,586人と、4年間で15%減少しており、人材確保が急務となっております。
令和6年第2回定例会の代表質問において、我が会派は、バス運転手の新規人材確保に向けた札幌市の考えについて質問し、「職業としてのバス運転手の魅力を発信する広報事業などを行う」という答弁があったところです。
行政がバス事業者とともに、若年層を含む幅広い層に向け、やりがいや社会的意義など魅力的な職業であることを発信し、業界のイメージアップを図り、バス運転手の確保を目指すのは画期的なことであります。
一方、少子高齢化の進行により、我が国の生産年齢人口(15~64歳)は1995年をピークに減少しており、全国的に人材確保という観点で、より踏み込んだ対応が必要な社会情勢となっております。
本年3月には、外国人労働者の在留資格である「特定技能」の対象にバス運転手を含む「自動車運送業」など4分野の追加が閣議決定され、今後5年間(R6年4月から5年間)で最大2万4,500人の外国人ドライバーを受け入れる見込みとのことです。
また、6月には、いわゆる改正出入国管理・難民認定法などが成立し、外国人材の育成と確保を目的とした「育成就労支援」制度が創設されました。これにより、3年間の育成期間で特定技能1号の水準に育成したうえで、「特定技能1号」の在留資格を取得し、最大5年間日本で働くことが可能になります。
こうした国の動きを踏まえ、本市が現在策定中の「札幌市地域公共交通計画(案)」においても、運転手確保に向けた取組の一つとして、「外国人材の受け入れに関する動向について情報収集を進める」としており、現状を打破するために、様々な方策を模索する姿勢は評価しているところであります。
(10)次なる災害や新興感染症に備えるための市立札幌病院の機能強化の考え方について
市立札幌病院が平成7年(1995年)に桑園駅前に移転してから、約29年が経過し、病院は24時間365日診療を続けている施設でありますが、配管設備などの老朽化は相当進んでいるとお聞きしています。
また、この度の秋元市長の公約において、「市立札幌病院における災害・感染症対応、地域医療機関との連携、救急・周産期医療等の充実と機能強化」が掲げられております。
そのため、老朽化への対応や機能強化の実現に向け、有識者からなる会議体を組織し、再整備を含めた市立札幌病院の在り方に関する議論を行っているものと認識しております。
市立札幌病院は、災害拠点病院として平成30年(2018年)に発生した北海道胆振東部地震の際も、傷病者の搬送に備えると同時に、入院、手術などについても通常どおり治療できる体制を速やかに構築することで大きな役割を果たし、能登半島地震に対してもDMATを派遣するなど存在感を示しているところです。
また、新型コロナウイルス感染症の対応として、北海道内で最初の患者を受け入れ、これまでの間に延べ2,500名を超える入院患者の受入を実施するなど、感染症対策としても札幌市民に無くてはならない存在となっております。
このような災害や感染症は、当然にいつ発生するのかは予測できないものではありますが、直近では8月8日に宮崎県で震度6弱の地震が観測され、南海トラフ沿いで巨大地震が発生する可能性が指摘されており、北海道においてもいつ何時このような災害が発生するか予断を許さない状況にあります。
また、感染症として、エムポックス、いわゆるサル痘がアフリカ以外にも広まる恐れがあるとして8月14日にWHOが「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言するなど、新たな感染症の脅威は未だ存在しています。
こうしたことからも、市立札幌病院の再整備の必要性は一層高まってきているものと認識しておりますが、施設の再整備については、昨今の建設費用の高騰を踏まえると多額の費用が必要であり、将来的な企業債の償還を踏まえた中長期的な財政見通しに基づいて進めなければならないことは承知しているところです。
しかしながら、我が会派としては、今後想定される災害や新興感染症にも対応できるよう市立札幌病院を再整備していくことは、市民の生活や生命を守るためには不可欠であると考えていることから、是非とも前向きに検討を進めていくべきものと考えているところです。
(11)持続可能な高齢福祉施策の推進について
去る9月12日の厚生委員会において、札幌市は健康寿命延伸に向けて検討していた敬老健康パスの素案を修正し、敬老パス制度と(仮称)健康アプリの施策を2つに明確に分けて取り組む実施案を示しました。
敬老パス制度については、財源の見通しを含めた課題が明らかとなり、制度を支える市民負担を軽減するため、利用上限額、自己負担額、対象年齢が見直されたところです。
こうした制度の変更にあっては、厚生委員会でも、市民に対する丁寧な説明を求めたところです。
わが会派は、誰もが幸せに齢を重ねる「幸齢社会」の実現を目指しており、市民の健康格差が拡がっている今日の状況に対しては強い危機感を持っています。
また、高齢者のデジタル・デバイドなどの情報格差が健康格差にも影響を及ぼしていることも注視しており、これまでも市に対し効果的な対策を求めてまいりました。
今回の実施案では、健康アプリについては40歳以上の市民に対象を拡げ、高齢者には敬老パスも存続させることとし、両制度の対象となる市民は制度の選択ができるようにされていますが、市民一人ひとりの健康状態や社会参加の実態の上から希望に沿って、自分に合った制度が選択できるよう、市はより具体的なイメージやシミュレーションを市民に提示していくことが肝要と考えます。
健康寿命延伸には時間をかける必要があり、持続可能な高齢者福祉策として着実に推進していかねばなりません。そのためには多くの市民にとって使いやすい制度として、受け入れられるものにするべきです。
答弁
(1)令和5年度決算を踏まえた今後の財政運営について
〇令和5年度は、物価高騰対策など喫緊に対応が必要な課題に取り組むとともに、コロナ禍で落ち込んだ経済の活性化など、第2次札幌市まちづくり戦略ビジョンの推進に資する取組を進めたところ。
〇また、財政状況については、臨時財政対策債を除く全会計の市債残高はアクションプランで定めた水準を下回ることができ、財政調整基金の残高についても一定程度確保されたところ。
〇ただし、引き続き、金利の上昇傾向が続いた場合、新規に発行する市債の公債費負担が増加し、基金残高についても、今後、扶助費の増加や物価高騰の影響等により、減少する可能性もあり、市の財政への影響が懸念される。
〇このため、アクションプラン策定以降に生じた行政課題に対しては、財源の見通しを得たうえで必要な事業を実施するとともに、事業の継続的な見直しを進めることにより、市債残高や基金残高を適切に管理し、将来を見据えた財政運営を行ってまいりたい。
(2)(仮称)札幌市誰もがつながり合う共生のまちづくり条例について
〇共生社会の実現に向けて、札幌の未来を担う子どもや若者への働きかけは特に重要であると認識しており、外部有識者からも同様のご意見を多数頂いている。
〇そこで、条例制定に向けた基本的な考え方の一つに、多世代による取組、特に子どもも参画しやすい取組を継続的かつ発展的に展開していく旨を明確に位置付けたところ。
〇具体的には、小中学校の授業等で活用できる教材を作成するなど、様々な角度から意識醸成の取組を実施することで、「誰もがつながり合う共生のまち」の実現に取り組んでまいりたい。
(3)人口減少社会への適応に向けた取組について
〇生産年齢人口の減少に伴う将来的な人手不足に対応していくには、これまで以上に外国人材に選ばれるための取組を進めていく必要があるものと認識。
〇外国人材の採用や定着が進まない要因については、市内企業から、積雪寒冷な気候や経済情勢の影響で外国人材の確保が難しいことや、言語や採用経費に課題があるなどの実情を伺っているところ。
〇次期未来創生プランにおいては、外国人材に選ばれる環境づくりとして、市内中小企業の伴走型の採用支援など外国人雇用を促進する取組や、日本語習得などの生活支援の強化等を検討してまいる。
(4)金融機能の集積に向けた税制優遇の対象と金融都市の実現に向けた活用について
〇まず税制優遇の対象だが、特区の目的である、「特定の地域に金融・資産運用サービスを集積させる」ことを推し進めるため、資産運用業者などを対象とする考え。
〇さらに、金融における機能向上に資する、革新的な技術を提供するIT事業者、いわゆるフィンテック企業も優遇の対象としていく考え。
〇次に金融都市の実現に向けた活用についてだが、道内へのGX産業の集積を背景に、税制優遇などの行政による側面支援を強化することで、札幌市内に金融に関わる事業者を広く呼び込み、アジア・世界の金融センターとしての地位を築いてまいりたい。
(5)株式会社札幌ドームの収支改善に向けた取組について
〇株式会社札幌ドームの収支改善に向けては、収入の柱となる貸館事業と広告事業の増収により、今年度以降の黒字化を目指すこととしている。
〇貸館事業については、さっぽろ雪まつりの特別連携行事やeスポーツの世界大会など、集客力の高い新規イベントの開催が決定しており、イベント開催日数は昨年度を大幅に上回る見込みとなっている。
〇また、広告事業については、ネーミングライツが決定したことに加えて、新規広告商品の販売促進にも取り組んでいるところ。
〇今後も、収益性の高いイベントの開催や平日利用の促進等に、株式会社札幌ドームと一体となって取り組んでまいる。
(6)持続可能な建設産業に向けた生産性向上について
〇ICTの導入は、時間短縮や省人化が図られることから生産性の向上に不可欠であり、加えて作業が容易となるため、経験の浅い従事者や他分野からの転職者など多様な人材の活躍にもつながるものと認識。
〇しかしながら、ICTの活用については、大規模工事で取組が進む一方で、主に小規模工事を担う中小企業ではICTに対応できる人材が不足していることなどから、業界全体としては普及が進んでいない状況。
〇そのため、企業の現場担当者を対象としたICT研修の充実のほか、誰もが操作しやすい簡易なICT機器の活用推進など、各企業がより取組みやすい環境の整備や支援を次期プランに盛り込み、業界全体の生産性向上を加速していく考え。
(7)札幌駅交流拠点のまちづくりについて
〇新幹線開業時期に関わらず、札幌駅交流拠点は、道内外からの来訪者の増加に備え、それぞれの事業を着実に推進することが重要と認識。
〇なかでも、北5西1・西2地区の再開発については、一体で整備されるバスターミナルの早期開業と駅周辺のにぎわい創出が必要であると認識しており、再開発組合などと調整を進めているところ。
〇このほか、予定されている他の事業についても、関係する地権者や交通事業者、行政機関などと調整を図りながら、しっかりとまちづくりに取り組んでまいりたい。
(8)札幌丘珠空港における安定的な運航に向けた取組について
〇札幌丘珠空港は、ビジネスや観光、医療などの面で道内外の航空ネットワークの拠点としての役割を果たしており、航空機の安定的な運航に取り組み、利便性を確保することは極めて重要と認識。
〇特に、札幌丘珠空港では、降雪や路面凍結などの天候不良による欠航が多く発生していることから、除雪体制の強化について、国や航空会社などの関係機関と協議を進めているところ。
〇現状においては、計画的な除雪機材の更新や高機能化のほか、天候不良に対する情報共有と早期対応、凍結防止剤の効果的な散布が必要と考えており、これらについて、関係機関と連携し、安定的な運航に取り組んでまいりたい。
(9)路線バス運転手における外国人材の受入れについて
〇バス運転手としての外国人材の受入れについては、法改正により就労に関する制度が整備されつつあり、生産年齢人口が減少する社会において、視野に入れるべきものと考える。
〇一方、その実現に当たっては様々な課題があるものと認識しており、例えば、運転手として必要な日本語能力や運行業務の習得といった人材育成、人材確保につながる海外とのネットワーク構築、外国人材に対する市民理解の促進などが想定される。
〇今後は、先行する他業種の事例や、他都市の動向を踏まえ、バス事業者とも連携しながら、受入れについて検討してまいりたい。
(10)次なる災害や新興感染症に備えるための市立札幌病院の機能強化の考え方について
〇市立札幌病院は、高度急性期医療を担うと同時に、民間では不採算となる分野を含めた幅広い医療をいかなるときも提供し続けることを使命としている。
〇特に災害や新興感染症に対しては、これまでも重要な役割を果たしてきたところであるが、次なる災害や感染症拡大などの有事にあっても適切な医療を安定的に提供できる体制をさらに強化していくことが重要。
〇現在の病院経営を取り巻く環境は非常に厳しい状況にあるものの、今後の機能強化に当たっては、健全な経営と、将来にわたって市民の健康と命を守る病院の両立を目指してまいりたい。
(11)持続可能な高齢福祉施策の推進について
〇持続可能な高齢者施策としていくため、全体の事業費が過大とならないこと、健康アプリを長く市民に使っていただけるよう様々に工夫していくことにより、健康寿命の延伸に取り組んでまいりたい。
〇具体的には、アプリに不慣れな高齢者の不安に対して、敬老パスを当面存続するとともに、スマホ教室などのデジタル・ディバイド対策にもしっかりと取り組むほか、歩くことが難しくなった方への配慮など、一人でも多くの方が参加できるように取り組んでまいる。
2札幌市の魅力を発揮する経済施策の推進について
質問
(1)MICEの推進について
①新MICE施設の整備の方向性
我が会派では、人口減少という局面に入った札幌市を持続たらしめるために外貨の獲得策を成長戦略として位置づけ、この中の柱の一つとしてMICEの推進に力を入れるべきであるという主張を展開してまいりました。
令和6年第2回定例市議会の代表質問でも、この立場から、MICE誘致の都市間競争が激化していく中で、どのように札幌の競争力を高めていくのか質問をしたところです。
札幌市の答弁においては、札幌が強みを持つ学術分野と関連する国際会議等を重点的に誘致しながら、MICE都市としてのブランドを高めていくとともに、新MICE施設の整備検討をはじめとする施設機能の強化を図るものとして、札幌市のMICE推進と新MICE施設整備に対する強い意志が示されました。
一方で、建設費が高騰する中、施設の整備費については懸念が生じるものの、民間企業が札幌に投資する価値があることを認識していることから、外資系ホテルのラグジュアリーブランドの建設が次々と進んでおり、こうしたことはMICE誘致においても都市のブランド力向上や会議参加者のVIPの宿泊先として大きな武器になるものであります。
新しいMICE施設の整備に向けて大きな投資をすることは大変勇気がいることですが、こうした民間企業の投資との相乗効果も期待できることから、人口減少が進む前のこのタイミングは札幌市が投資に踏み込む絶好のチャンスであるものと考えております。
特に、本年6月に北海道・札幌市は、「金融・資産運用特区」の対象地域として決定され、合わせて、北海道が「国家戦略特区」に指定されたところであり、これを契機に、この分野を札幌市の強みとして関連する国際会議や展示会の誘致を積極的に進めていく必要があると考えております。そのためには一定規模のMICE施設があることが肝要であり、特にエネルギー関係のMICEの誘致に向けては、大規模な展示スペースがあることも条件となっていると伺っております。
②国際会議の誘致競争力の向上
多くの参加者が一定期間に一定の場所に集まるMICEは、開催地に環境負荷をかける可能性があることが指摘されており、国際会議の主催者は開催都市の選定において、会場やアクセスなど従来からの評価基準に加えて、サステナビリティへの配慮を重視するようになってきています。
加えて、GXに関連する国際会議の主催者は、他の分野に比べMICE開催地にサステナビリティを求めるところであり、札幌市が国際会議の誘致競争力を向上させるためには、持続可能なMICE開催地としての国際的な地位を高めていくことが重要だと考えます。
(2)フィルムコミッションを活用した地域経済の活性化について
現在、えりも町・浦河町・様似町・広尾町の四町が主体となって、地域活性化・観光誘致を目的に、浦河町出身の映画監督・田中光敏氏による、えりも町の苦難の緑化事業を題材にした劇場版映画『北の流氷』(仮題)の製作を企画しております。
本市でもロケの可能性があるとのことで、我が会派においても積極的な支援に乗り出し、経済観光局と札幌フィルムコミッションから協力をいただいているところです。
また、直近の話題では、函館市が『名探偵コナン』の映画の舞台となり、聖地巡礼ということで、多くのファンが観光に訪れ、さらには、地元企業による関連製品が販売されるなど反響も大きく、改めて、映像コンテンツが地域経済に好影響をもたらし、明るく前向きな話題として街を元気にしてくれるものと感じております。
こうしたロケ誘致に関して、本市では、映画やドラマ等の実写映像コンテンツの制作に対する「地域資源映像化補助金」制度を設けています。市内の映像事業者の方に直接ご意見を伺ったところ、このようなインセンティブは、ロケ候補地として札幌が選ばれるために相当な効果があるとのことでした。現に、昨年度も香港映画などが採択になっておりましたが、例年コンスタントにロケが誘致できているのも、札幌・北海道そのもののロケ地としての魅力はもちろんですが、こうした制度の存在も大きいと感じています。
しかし、事業者からは、せっかく補助金を絡めて誘致に至った世界的・全国的な作品なので、できれば、市内の映像関連事業者がより一層制作に関わることができる仕組みがあれば、技術的にも経験的にもプラスになり、業界の発展につながっていく、との意見を伺いました。
今後、映像コンテンツの制作にあたっては、CG合成や東京の東映スタジオのようなバーチャルプロダクションへと撮影現場のDX化が進展することが見込まれます。その点で、札幌は、ITやCG分野の企業集積が進んでいることから、例えば、これらの事業者が持つ最新の技術と、映像関連事業者のノウハウや人材とを組み合わせることにより、これまで以上に多くの映像制作案件が、札幌の地で実現することが期待されるところです。
このようなクリエイティブ分野は、産業振興ビジョンの重点分野として位置付けられており、フィルムコミッション機能を更に活性化させることで、更なるロケ誘致を進め、市民に明るい話題と地域の活力を生み出す源を涵養していくべきと考えます。
(3)マンガコンテンツを生かした成長戦略について
先に終了したパリ五輪では、日本選手が大いに活躍しました。その要因の一つとして、パリ市民の温かい応援があったと聞いていますが、背景には日本のスポーツ漫画が人気を博しており、日本選手に共感を持てたからとのことでした。アニメ・漫画コンテンツのソフトパワーの威力を再認識したところです。
昨年4月に、日本経団連は「エンターテイメントコンテンツインフィニティ2023」ラストチャンストゥチェンジという提言をまとめ、ソサエティ5.0社会は、創造性こそが新たな価値の創出、社会課題解決の源泉となるとし、コンテンツが国のソフトパワーの源泉であるとともにデジタル時代における高い潜在力を持つ成長産業と示しました。
また、本年6月、国は「新たなクールジャパン戦略」を発表しました。前戦略の基本を踏まえ、コロナ禍を経て大きく変化した環境の変化に対応すべく、クールジャパンを「リブート」(再起動)させ、デジタル技術も取り入れて「イノベーション」を起こしながら、多様化・深化した「日本ファン」に対して高い価値の提供をすることで好循環を確立していこうとしています。
私はこの4月に、京都国際マンガミュージアムを視察いたしました。多くの外国人観光客で賑わい、それ以上に多くの市民の方々が来館し楽しまれており、とても順調に運営されている施設でした。しかしながら、収蔵、展示は限界を迎えているといった課題も抱えており、今後は、各地に漫画アニメの拠点が出来ることで、作品の融通を行い、連携して漫画文化の発信力を高めていきたいとの思いをお伺いすることができたのが印象的でした。
また、北九州漫画ミュージアムでは、多くの著名な漫画家を輩出した北九州の文化的財産を次世代につなげていくとともに、まちの個性や魅力づくり、賑わいの創出にもつなげていくことを目指していました。
札幌市においても、世界文学として知られる「源氏物語」を漫画化した「あさきゆめみし」の大和和紀氏、少女漫画の最高傑作に挙げる人も多い「日出処の天子」を書いた山岸凉子氏がおられます。両氏の2作品は、昨年、東1丁目劇場で企画展を行い、大きな反響を呼びました。また札幌の特徴の一つとして作家どうしの協力関係が強いところがあり、オール札幌としての発信が期待出来ます。
まもなく札幌市では、ライブラリー・ミュージアム・ビジネスの三機能が有機的に連動することを想定したプロトタイプの施設運用を行うところです。
(4)南区の多様な資源を活用した観光振興について
先日公表された令和5年度の来札観光客数は1,454万人で、コロナ禍前の令和元年度の1,526万人に対して95%まで回復しており、今年度はコロナ禍前の水準を上回る入込も十分に期待できるところです。
多くの方が訪れる観光都市である札幌は、観光・商業施設や宿泊施設、飲食店といった観光客の受入環境が充実しており、都市観光が楽しめる一方、都市と自然が隣接していることが大きな魅力となっております。
なかでも南区は、全市域の約60%の面積を占めており、区域には支笏洞爺国立公園が所在するほか、札幌岳や余市岳など標高1,000mを越える山々がそびえ立つなど、豊かな自然が特徴です。
また、人気の観光スポットである藻岩山、豊平峡ダムや定山渓ダムといったインフラ、国営滝野すずらん丘陵公園や石山緑地といった大規模公園、滝野の頭大仏、札幌国際スキー場などのアクティビティ施設が整備されています。
さらに、札幌の奥座敷として道内外の観光客から長年にわたり愛されている定山渓温泉、芸術の森やアイヌ文化交流センターなど優れた文化芸術に触れることのできる施設が立地しています。
このような特徴を持つ南区でありますが、人口減少や少子高齢化、都市インフラの老朽化、交通利便性などの課題が挙げられます。
一方で、今後は、真駒内駅前地区のまちづくり事業において、交流やにぎわいの創出、交通の利便性の向上が期待されております。
こうしたまちづくりの取組と連動しながら、南区ならではの豊かな自然や観光資源を活かして国内外から観光客を呼び込むことで、まちの活性化にもつながるのではと考えております。
答弁
(1)MICEの推進について
〇1点目の新MICE施設の整備の方向性について
世界中からGXに関する資金・人材・情報が集積する都市を目指す札幌市にとって、GX・金融分野に関連する国際会議を誘致することは、札幌市のGX推進に大きく寄与するもの。
〇これらに関連する会議として、水素、風力、半導体などの分野においては、多数の国際会議が開催されており、今後はこうした会議も想定した受入環境を整備していくことも重要な課題であると認識。
〇このため、新MICE施設の整備にあたり、GX関連会議も重要なターゲットの一つとして、参加人数や求められる機能を把握しながら、適切な規模やホテルとの連携等について検討を進めてまいりたい。
〇2点目の国際会議の誘致競争力の向上について
MICE主催者が開催地に環境配慮などの持続可能性を求めることは世界的な潮流であり、都市のサステナビリティを向上させることにより、国際会議の誘致競争力が高まるものと認識。
〇このため、まずは環境に配慮したMICE開催のためのガイドラインを策定するとともに、関連事業者に対し、持続可能な取組の意義や具体的な実施策などについて理解を深める場を創出してまいる。
〇これらによって、事業者の取組を加速させ、持続可能なMICE開催都市としてのプレゼンスを示すことで、誘致競争力の向上を図ってまいりたい。
(2)フィルムコミッションを活用した地域経済の活性化について
〇映画やドラマ等のロケ誘致は、地元の映像関連事業者への業務発注などの直接的な効果のほか、ロケ地訪問等による観光客の増加など、様々な経済波及効果が期待できると認識。
〇こうしたことから、札幌フィルムコミッションでは、映像制作会社に対し、市内で活躍するカメラマンなど撮影関係者を紹介するほか、ロケ実施の補助要件として、地元事業者への発注を求める取組などを進めているところ。
〇札幌市としては、今後もこれらの支援を継続するとともに、映像業界を目指す人材の育成支援や国内外への情報発信を強化するなど、映像の力による地域経済の活性化に積極的に取り組んでまいりたい。
(3)マンガコンテンツを生かした成長戦略について
〇マンガ等のポップカルチャーを活用した取組を推進するうえでは、産学官の連携が不可欠であると認識しており、現在、民間事業者等との意見交換を行っているところ。
〇まずは、民間の発案やチャレンジを促しつつ、今後は官民連携により、マンガ家やクリエイター、創作活動をサポートできるような人材育成に資する事業など、札幌独自の在り方について検討する予定。
〇将来的には、本市の魅力の創出・発信や、文化振興、教育、観光、産業振興といった札幌市のまちづくりに活用していくことができるような可能性を探ってまいりたい。
(4)南区の多様な資源を活用した観光振興について
〇南区は、国立公園や温泉街に加え、体験型のアイヌ文化施設のほか、複数のスキー場が立地するなど、自然・文化・アクティビティなどの多種多様な観光資源を有する、札幌市にとって重要な観光エリアであると認識。
〇これまで、定山渓の魅力アップや、アドベンチャートラベル、都市型スノーリゾートの推進など、南区の特徴を生かした観光振興の取組を進めてきたところ。
〇今後は、こうした南区エリアの自然体験型観光と、都心における音楽や芸術などのエンターテインメントやグルメなどの都市型観光を融合させ、より一層の高付加価値化を図ることにより、更なる誘客につなげてまいりたい。
3循環型社会を推進する環境施策について
質問
(1)脱炭素社会に向けたペットボトルの水平リサイクルについて
世界的に廃棄物の再資源化が拡大しておりますが、我が国においても本年5月、再資源化事業等高度化法が成立しました。
この法律により、国は高い技術力を持つリサイクル事業者を認定し、認定を受けた事業者は広域で廃棄物の収集・再資源化などができる仕組みが制度化されました。
対象は太陽光パネルのレアメタル分離やAIによる廃棄物選別、更にペットボトルの水平リサイクルが具体例として挙げられております。
かねてより我が会派は石油使用量の削減や温室効果ガスの排出抑制に寄与するペットボトルの水平リサイクルに注目し、令和4年には、川崎市にある水平リサイクル工場を視察しております。
使用済みのペットボトルを分子レベルに分解、不純物を取り除き、原材料モノマーとしたのち、再重合させ、新たなペットボトルに再生する最先端のケミカルリサイクルが行われておりました。
こうした技術革新により、ペットボトルを製造する際の二酸化炭素排出量が60%も削減できることがあるなど、再資源化事業等高度化法の成立と相まって、脱炭素社会の進展に寄与するものと期待しているところであります。
札幌市では今年度からペットボトルの水平リサイクルの試行事業を行うことになりますが、脱炭素社会の実現に向け、何を重視するかなど、具体的な方針を持った上で、取組を進めていくことが重要と考えます。
水平リサイクルを実施する本来の目的は、天然資源使用量の削減や二酸化炭素発生量の抑制などであり、今回の試行事業は、それらの趣旨を見失うことなく行うべきであります。単なる価格競争だけではなく、環境負荷の低減を重視して、現在の様々なリサイクル技術を確認し、進めていくことが肝要と思われます。
(2)札幌市における木材の循環の推進と木育について
本年6月21日に閣議決定した「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2024年改訂版」では、「GX・エネルギー・食料安全保障」の中で「循環経済(サーキュラーエコノミー)への移行」が示されました。特に木材は、かねてより我が会派が指摘している通り、再生可能な資源として循環利用され、環境保護にも貢献し、持続可能な資源利用と脱炭素化の両面、更に経済的に重要な役割が果たされております。
一方、木質バイオマス発電の利用は年々拡大し、バイオジェット燃料への転換、木材抽出成分からプラスチック素材に代替される研究などが進み、今後の活用について引き続き注視することが必要と考えます。
また、木材は炭素を長期間固定できるため、建築物等に加工・使用することで「第2の森林」としてゼロカーボンの達成に資することができます。
この他、木材の加工については障がい者の就労を結ぶ「林福連携」という思想もあり、木材資源の循環は福祉分野の取組にも寄与すると考えます。
我が会派の令和6年第2回定例会代表質問において、天野副市長から、持続可能な林業を目指す上で、市内で産出される木材を市内で循環させることは重要であり、その取組について検討したいとの答弁をいただきました。
持続可能な林業の本質とは「伐って、使って、植える」というサイクルですが市内循環はまさしく我が会派の目指すものではないかと思います。
この取組を進めるには市民の理解が必要になりますが、知識や情報の共有に加えワークショップなどを行い森林や木材に直接ふれあいながら学び共に生きるという理念に基づいた「木育」を行うなど、様々な工夫を取り入れていただきたいと思います。
答弁
(1)脱炭素社会に向けたペットボトルの水平リサイクルについて
〇ペットボトルの水平リサイクルは、循環型社会の推進に繋がる取組であり、着実に進めていくためには、環境負荷の低減の視点が必要不可欠と認識。
〇水平リサイクルには様々な再生技術があることから、より効果的、効率的な取組となるよう、試行事業を通して確認していく。
〇今後とも、脱炭素社会の構築に繋がる取組となるよう、他都市の事例も参考としながら、リサイクル事業者の選定基準などについて整理してまいりたい。
(2)札幌市における木材の循環の推進と木育について
〇木材の循環の推進にあたっては、林業の基本である「伐(き)って、使って、植える」のサイクルについて、市民理解を得るための普及啓発が重要と認識。
〇特に、木材への親しみや理解を深められる木育の視点を取り入れることは効果的と考えており、一部の小学校の授業の中で、市有林の木材で製作した木工キットを活用し、木にふれながら森林について学べる取組を行ったところ。
〇今後、木材の循環の更なる推進のため、引き続き、木育活動に取り組むほか、植樹や草刈りなどの森林に関連した企業CSR活動を支援するなどの取組を検討してまいりたい。
4持続可能な魅力あるまちづくりの推進について
質問
(1)市民自治を支えるための地域負担の軽減について
町内会は、ごみステーションの管理をはじめ、防災や防犯、そして高齢者、子どもの見守り活動など、私たちの暮らしを快適に保つための様々な活動を行っており、そうした町内会の方々の活動に支えられ、これまでの長きに渡り安全で安心な暮らしやすい地域コミュニティが維持されてきました。
こうした中、本市は昨年4月に、町内会を支えていくための「札幌市未来へつなぐ町内会ささえあい条例」を施行し、これまでにも増して町内会への加入促進啓発や運営支援等に取り組んでいるところです。
我が会派は、常日頃から、地域住民の方や町内会活動に携わる方、役員をされている方々などからの様々な声に耳を傾ける中で、昨今は特に、防災活動に対する支援の充実、町内会などに対する行政からの依頼によって生じている地域負担の軽減に関するご意見・ご相談の声が多く寄せられていると捉えております。また、この2点は条例施行と同時に本市が掲げた25項目の町内会支援策に含まれておりますが、いずれも具体的な取組が遅れ気味であると感じております。
例えば、地域負担の軽減に関しましては、その一つとして、本市から地域にお願いしている民生・児童委員、青少年育成委員、スポーツ推進委員、防火委員、交通安全指導員など各種委員の就任・推薦がありますが、軽減策の検討は進んでいるのでしょうか。各委員の所管が庁内の様々な部署にまたがることが、検討が進まない要因の一つではないでしょうか。
我が会派としては、委員の担い手不足を補うための方策や、委員の活動がしやすくなるよう本市がサポートを行うことが必要であると考えており、各委員に係る地域負担の軽減に早急に取り組むべきであると指摘するとともに、条例制定前から地域が求めていることでもありますので、ぜひ、負担軽減を実感できるよう見直すことを求めます。
(2)行政手続のオンライン化の推進について
本市においては、札幌市ICT活用戦略を補強するものとして、令和3年12月に、札幌DX推進方針を策定し、その中では、行政手続のオンライン化等を進めることで、市民が起点となった行政サービスの提供を目指していく方針が示されています。
また、アクションプラン2023においても、この方針が引き継がれ、数値目標として、令和9年度には、行政手続におけるオンラインカバー率を70%まで引き上げるという目標が設定されました。
令和5年度には、従前、電話での申し込みが必要であった大型ごみの戸別収集について、新たにオンライン申請を導入し、直近では、すでに4割を超える申請がオンラインに移行したと聞いています。
また、平成28年度から始まった、住民票などの証明書類を全国のコンビニエンスストア等で発行できる、いわゆるコンビニ証明交付の取組も、年々利用者の割合が増加し、最も利用率の高い印鑑証明の手続においては、足元の利用率が約4割に達するなど、市民の間にも広く浸透してきている状況が窺えます。
こうした事例をとってみても、時間や場所を選ばずに、行政の手続を行いたいというニーズは、コロナ禍を経て、より一層大きなものとなっていると実感しているところです。
一方で、区役所の窓口に目を向けると、春の引越しシーズン等においては、1つの窓口での順番待ちだけで2時間、3時間も待たねばならない日もあると聞いており、市民にとってはもちろんですが、現場で窓口業務に従事している市職員にとっても、大変な負担になっていると憂慮しています。
市民の中には、子育てや共働き、家族の介護といった事情から、平日の日中になかなか区役所に来ることができない方々がいらっしゃることを考えても、オンライン申請などの手段を通じて区役所に行かずに必要な手続が行えることが肝要と考えます。
答弁
(1)市民自治を支えるための地域負担の軽減について
〇地域の各種委員は、まちづくりを支える重要な役割を担っており、その貴重な活動が維持継続されるためには、委員個人や委員を選出している町内会の負担が過重にならないよう配慮する必要があると認識。
〇町内会が抱える課題を全庁的に検討している町内会支援推進本部では、現在、各種委員について、地域から選任する必要性や選任方法を改めて整理し、職のあり方も含め検討しているところ。
〇加えて、地域からの選任が法的に義務付けられているものもあることから、新たな担い手確保や活動内容の見直しなどの検討も進め、地域負担の軽減に取り組んでまいりたい。
(2)行政手続のオンライン化の推進について
〇市民の視点に立った行政サービスを提供していく上で、オンライン、窓口を問わず、それぞれの市民が希望する方法で手続きを行える環境を提供することは喫緊の課題と認識。
〇このため、子ども・子育て分野など、特に市民の利便性向上に資する手続きを中心に、オンライン化を加速させるほか、市民利用が最も多い住民票等の発行手続についても、コンビニ証明交付への誘導を強化していく。
〇こうした環境整備を通じて、市民の多様なニーズに対応するとともに、窓口における混雑緩和や業務効率化を実現し、持続可能な行政サービスの提供体制を構築してまいる。
5市民の暮らしを守る健康施策について
質問
(1)公共施設等の調査結果を踏まえた今後のエアコン設置の考え方について
記録的猛暑となった昨夏と比べ、本市では真夏日の日数も控えめだったものの、平年に比べて高い傾向が続いており、暑さ対策はより一層注目される取組です。
我が会派からは昨年8月、秋元市長に対して暑さ対策に係る緊急要望を行い、公共施設等に対するエアコン設置の加速化にむけた取組を求めてきたところです。
これに対し、昨年12月に策定された第2次札幌市まちづくり戦略ビジョン・アクションプラン2023では、全ての市立学校の普通教室等や公立保育所に冷房設備を設置する取組が盛り込まれました。
この取組の実績を伺ったところ、学校については、まずは緊急対応として、今年の夏までに全市立学校の保健室へのエアコン設置を完了したほか、公立保育所については、整備対象箇所のうち、半数までの設置を終えたということであり、今までの取組の成果としては、一定の評価をいたします。
昨今、札幌市周辺で行われている再開発事業や、民間事業者による大規模建設事業などの影響を受け、冷房設備に関連して電気設備業界も人手不足といった声が聞こえてくるところですが、これらの取組については、引き続き着実に進めてほしいと思います。
昨年度の第4回定例市議会で、わが会派から「冷房設置に係る市の考え方」を問いましたが、市長からは、公共施設等の現状や課題を把握するための調査に着手したところで、今後調査結果を踏まえ冷房設置に関する方針を取りまとめていきたいという答弁がありました。
また、公共施設等の中には、社会福祉施設やコミュニティ施設をはじめとした、公共的な活用をされている民間施設も含まれることから、市有施設との間で優劣のないよう、これらの施設管理者が行う整備に対する助成など、設置促進に向けた取組が求められるのは当然のことと考えます。
(2)帯状疱疹ワクチン定期接種化に向けた対応について
帯状疱疹は、水ぼうそうと同じウイルスが原因で、加齢や疲労など免疫力の低下に伴い、神経に潜伏していたウイルスが再活性化して発症する疾患です。
予防にはワクチン接種が有効とされていますが、接種費用を公費で助成する定期接種とは異なり、全額自己負担の任意接種に位置付けられており、高いものでは4万円程度かかります。
これまで、公明党は国会質問や政府への提言で一貫して定期接種化を訴えてきており、札幌市議会公明党においても、令和4年第3回決算特別委員会ならびに令和5年第3回定例会の代表質問を通じ、帯状疱疹ワクチンの任意接種への公費助成を求めてきました。
また、本市議会においても、令和5年3月に5会派の連名により、国に対し帯状疱疹ワクチンの接種経費の助成制度の創出や早期の定期接種化を求める意見書を提出したところです。
こうした中、全国では独自に接種費用を助成する自治体が増え、7月現在で計689自治体に上っており、東京都においては都議会公明党の推進により、昨年度、50歳以上を対象として接種費用を助成する区市町村への支援制度が創設されました。
国においては、6月20日に開催された厚生科学審議会の専門委員会において、帯状疱疹ワクチンを定期接種化する方向性が示され、今後、対象年齢やワクチンの種類などを議論し最終判断されることとなっています。
帯状疱疹は後遺症が残る場合もあり、生活の質に大きな影響を与えるものであるため、一人でも多くの市民に、正しい知識を基に帯状疱疹ワクチンの接種を検討していただきたいと考えるところです。
答弁
〇今後の公共施設等への整備について、施設の性質や利用形態等の観点から考え方を整理し、健康への配慮を要する市民が利用する施設などから着手することとしたところ。
〇こうした施設への設置の進捗状況や、受注する業者の施工能力にも配慮をしながら、続いて、地域のコミュニティ活動の拠点となる施設などへと整備を進めていく考え。
〇なお、この考え方は民間施設のうち一定の公共性を有する施設についても同様であり、財政状況を勘案しながら、例えば既存の補助制度の枠組みに追加するなど、エアコンの設置に向けた助成のあり方について検討を進めてまいりたい。
(2)帯状疱疹ワクチン定期接種化に向けた対応について
〇帯状疱疹を予防するには、ワクチン接種が有効と認識しており、治療法とともに、ワクチンの情報について、ホームページを通じて周知に努めているところ。
〇定期接種の対象者には、ワクチンの効果と副反応のリスクを考慮したうえで、接種を判断いただけるよう、適切な情報提供に努めてまいりたい。
6子ども施策の推進について
質問
(1)誰一人取り残されない不登校対策の推進について
近年、社会状況が困難化、複雑化する中で、全国的に不登校児童生徒数が増加の一途をたどっております。
文部科学省が公表している直近の児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題の調査の結果では、令和4年度の全国の小学校及び中学校の不登校児童生徒数が約29万9千人となっております。平成29年の約14万4千人から5年間で2倍以上と、大きく増加しております。
この傾向は本市も同様で、本市の不登校数は令和4年度調査では4,836人となり、平成29年度の2,352人から、全国同様に2倍以上に増加しており、私のもとにも、保護者からのご相談が寄せられており、子どもが突然朝起きれなくなり、学校に行きたいのに行けない状況や、クラスになじめなかったことが引き金となり、学校に行こうと思えば思うほど、体が動かなくなるなど切実なお声を多数頂いております。
こうした状況下において、文部科学省では、令和5年3月にCOCOLOプランを作成し、不登校の児童生徒全ての学びの場を確保し、学びたいと思った時に学べる環境を整え、心の小さなSOSを見逃さず、チーム学校で支援するとともに、学校の風土の見える化を通して、学校をみんなが安心して学べる場所にすることにより誰一人取り残されない学びの保障を目指すこととしております。
そうした中、我が会派ではこれまで議会質疑等を通し、様々な理由により不登校になっても教育を受ける機会の確保を一貫して求めて参りましたが、これまで教育支援センターの全区設置やICTの活用、さらにオンラインを活用した不登校支援の試行実施などその取組が拡充されて来たことは評価いたします。
増え続ける不登校対策は待ったなしの課題であり、子どもたちのために今後ますます、COCOLOプランの目指す姿を意識しながら、児童・生徒が自分の状況にあった教育を受けられる環境をスピード感をもって更に整え拡充していくことが非常に重要と考えます。
(2)子どもの歯科口腔保健対策の推進について
歯科口腔保健対策の推進については、自民、民主、公明の3会派の提案により、札幌市民にとって極めて重要な施策であるとの共通の認識のもと、令和4年6月、札幌市歯科口腔保健推進条例を可決制定したところであります。
本年3月には、第2次札幌市生涯歯科口腔保健推進計画が策定され、「誰一人取り残さない歯科口腔保健の推進による健康寿命の延伸・健康格差の縮小」を目標として掲げ、条例に盛り込んだ各種施策を実現していくとのことであります。子供たちの歯科口腔保健の課題であるむし歯の状況は、全体的には減少傾向にあるものの、一方で大きな健康格差が生じており、特に家庭環境が心配な子供たちのむし歯が深刻な状態になっていることが多いと指摘されております。我が会派としては、全ての子供たちを誰一人取り残すことなく防ぐことのできる病気から守るため、全国的にも高い予防効果が実証されているフッ化物洗口事業の普及に早急に取り組むべきであると指摘して参りました。
札幌近隣の自治体の取組状況をみますと、江別市が本年中の市内小学校全校実施、小樽市においても来年度から市内小学校全校実施を予定しているとのことであり、札幌市においては、ようやく、今年度からモデル事業に取り組むと承知しておりますが、近隣の自治体同様、スピード感をもって取り組むべきではないでしょうか。
保育所、幼稚園、認定こども園におけるフッ化物洗口についても、事業に必要な物品の支援を行う「札幌市フッ化物洗口支援事業」を令和5年度より実施しておりますが、フッ化物洗口の導入を希望する施設が増加傾向にあるとのことであり、今後、実施を希望する全ての施設がフッ化物洗口を実施できるよう十分な支援を行うべきと考えます。
答弁
(1)誰一人取り残されない不登校対策の推進について
〇子ども一人ひとりの困りや悩みが複雑化・多様化していることから、不登校の状況に応じた多様な支援体制を充実させていくことが重要と認識。
〇今年度、校内で児童生徒の支援にあたる相談支援パートナーを全ての小中学校へと配置拡充するとともに、子どもが自宅で学習支援を受けられるメタバース環境を試行するなど、よりきめ細かな支援に努めている。
〇併せて、スクールカウンセラー及びスクールソーシャルワーカーの体制を拡充するとともに、心の健康観察アプリを活用し、子どもがうまく表現できない小さなSOSを早期にとらえ、不登校の未然防止の取組を充実したところ。
〇今後は、全ての子どもがそれぞれの状況に合った学びに取り組むことができるよう、1人1台端末による学習コンテンツの活用をこれまで以上にすすめ、学習支援の一層の充実を図る。
〇不登校の子どものニーズを捉えながら、努力を積極的に評価し学習意欲の向上を図るなど、誰一人取り残されない不登校対策にしっかりと取り組んでまいる。
(2)子どもの歯科口腔保健対策の推進について
〇本年3月に策定した「第2次札幌市生涯歯科口腔保健推進計画」において、子供たちの健康格差の縮小を目指し、保育所や小学校等におけるフッ化物洗口の普及促進を重要施策として明記したところ。
〇小学校での実施については、本年10月から4校で外部人材を活用したモデル事業を開始する予定であり、安全で効果的な実施方法の検証を行い、今後の普及につなげてまいりたい。
〇保育所・幼稚園・認定こども園でのフッ化物洗口実施数は、順調に増加しているところであるが、現在行っている意向調査の結果を踏まえ、希望する施設において実施できるよう努めてまいる。