札幌公明

議会報告Assembry report

2023/09/27 令和5年第3回定例議会

令和5年第3回定例議会2023/09/27

代表質問森山ゆみこ議員(西区)

札幌市議会本会議において公明党議員会を代表して 森山ゆみこ 議員が代表質問を行いました。
以下、質問とそれに対する答弁の要旨を紹介します。

目次Contents

  • 市長の政治姿勢について
    • 令和4年度決算と現下の社会情勢を踏まえた今後の財政運営について
    • 第2次札幌市まちづくり戦略ビジョン・アクションプラン2023におけるユニバーサル(共生)社会の取組について
    • 環境首都・札幌としてのSDGsの取組推進について
    • 地球温暖化の影響を踏まえた猛暑への対応について
    • 木質バイオマスの有効活用について
    • GX推進と札幌経済の活性化について
    • 超高齢社会における生活道路の除雪について
    • ラピダス次世代半導体プロジェクトへの支援について
    • ポップカルチャーを活用したまちづくりの推進について
    • 冬季オリンピック・パラリンピックの今後の招致活動について
  • 持続可能で安心・安全なまちづくりについて
    • 札幌駅バスターミナルの整備について
    • 避難行動要支援者の災害時の避難支援について
    • 防災教育と子育て世代の家庭内防災力の向上について
    • 認知症基本法成立に基づくご本人とご家族への支援の強化について
    • 帯状疱疹ワクチン接種に関する情報収集及び調査について
    • 市立札幌病院の再整備について
    • 市営住宅を含めた住宅セーフティネットの構築について
  • 持続可能な子ども・若者・教育施策について
    • 婚活支援事業について
    • こども誰でも通園制度(仮称)を踏まえた未就園児への支援について
    • 教員の資質向上について
    • 札幌市の学校教育における読書の充実について
    • 誰もが安心・快適に利用できる学校トイレの環境整備について

1市長の政治姿勢について

質問

(1)令和4年度決算と現下の社会情勢を踏まえた今後の財政運営について

令和4年度予算は、「札幌市まちづくり戦略ビジョン・アクションプラン2019」の総仕上げとして、プランに掲げる取組を着実に実施したほか、ポストコロナや「新たな成長」に資する事業に重点的に資源を配分した予算が編成されました。ただ実際には、令和4年度も引き続き感染症の影響や原材料等の価格の高騰等により、事業執行が困難になったものもあったのではと思料いたします。

3期目となる秋元市政においては、公約事業の推進はもちろん、今夏のような記録的な猛暑などへの対応など、喫緊の課題への対応についてもバランスをとりながら進めることが重要であり、それらへの対応に当たっては、国の対策なども意識するとともに、財源として基金を積極的に活用するなど、柔軟な財政運営が求められます。

そこで質問ですが、令和4年度決算を踏まえつつ、現下の社会情勢における今後の財政運営の考え方について伺います。

(2)第2次札幌市まちづくり戦略ビジョン・アクションプラン2023におけるユニバーサル(共生)社会の取組について

我が会派では、かねてよりSDGsの理念や包摂性、いわゆるインクルーシブの観点から、誰もがお互いの価値観や生き方を尊重し、受け入れる共生社会を実現することの重要性を訴えてきました。

そのような中、本年4月にリニューアルオープンした農試公園の遊具広場では、インクルーシブ遊具を取り入れた、誰もが遊ぶことのできる環境が整備されました。

この取組は、障がいのない方もある方も共に遊べる遊具の整備というハード面の取組にとどまらず、公園を訪れた市民がインクルーシブな考え方に目を向けるきっかけとなり、多様性の理解促進にもつながるソフト面の取組でもあると評価しております。

この心のバリアフリーの考え方を街全体に根付かせるためにも、市長公約にもある(仮称)共生社会推進条例の制定に早期に取り組み、共生社会の実現に向けた理念を市民や事業者と共有し、社会全体で支え合うという意識に変えていくことが大切と考えます。

そこで質問ですが、共生社会の実現に向けて、「ユニバーサル」の考え方に基づくハード・ソフト両面の取組を「アクションプラン2023」にどう位置付け、どのように進めていくのか、市長の考えを伺います。

(3)環境首都・札幌としてのSDGsの取組推進について

環境局が毎年実施している市民調査では、SDGsに関して「具体的内容まで知っている」といった回答が、2017年度の1.2%から2022年度には33.8%と、SDGsの認知度は広がりつつあるものの、まだ約半数の49.5%が「ロゴマークを見たことがある」「SDGsという言葉は知っている」といったレベルに留まっており、残念に思います。

一昨年の大雪、そして今夏の猛暑と、温暖化の危機を肌身で感じている今こそ「次世代の子どもたちが笑顔で暮らせる持続可能な都市『環境首都・札幌』」を将来像として掲げる札幌市が、市民のSDGsの理解を深め、行動を促進することは大変重要であると考えます。

そこで質問ですが、環境首都・札幌として、市民に対するSDGsのさらなる理解の向上と行動の促進に向け、札幌市のみならず事業者などと官民連携を図りながら進めていくことが必要であると考えますが、今後、どのように取り組んでいく考えか伺います。

(4)地球温暖化の影響を踏まえた猛暑への対応について

今年の夏は、8月の月平均気温が過去最高となったほか、最高気温が35度以上の「猛暑日」の日数が過去最多、さらには石狩・空知・後志地方に初めて熱中症警戒アラートが発表されるなど、記録的な猛暑でありました。

そのため、熱中症による救急搬送の急増や、一部の学校では下校時間を繰り上げるなど、これまで札幌では経験したことのないような極めて大きな市民生活への影響があったところです。

札幌市では、年平均気温が100年あたり約2.5度の割合で上昇しており、このまま地球温暖化が進むと、21世紀末には、年平均気温が20世紀末に比べて約4.9度も上昇するといった予測もあります。この夏の暑さは決して今年に限ったことではなく、来年以降に向けて、本市としてしっかりと猛暑への準備を進めていく必要があると考えます。

そこで質問ですが、今年の夏のような記録的な猛暑に加え、今後も、地球温暖化によるさらなる気温上昇が予測されていることから、札幌市における全庁的な対応が必要であると考えられますが、その認識について伺います。

(5)木質バイオマスの有効活用について

国は、「GX(グリーントランスフォーメーション)の実現に向けた基本方針」を2023年2月に策定し、分野横断的な取組を進めております。

GX実現には、徹底した省エネ等の取組のほか、廃棄される製品や原材料などを“資源”と考え、廃棄物を出さずに循環させる「サーキュラーエコノミー(循環経済)」への移行が求められ、2030年までに関連する市場規模を80兆円以上にするという目標が掲げられております。

このような状況を踏まえ、我が会派では、炭素循環、炭素固定ができる重要な資材として、木質バイオマスの活用に着目しております。

道内における木質バイオマスの使用量は、熱利用のほか各地の木質バイオマス発電施設の稼働が大幅に進み、2016年度の89万㎥から2022年度は160万㎥と大きく増加しております。

しかしながら、海外や本州では2021年初旬から“ウッドショック”と呼ばれる世界的な木材価格の高騰のため、チップ原料の原木確保が以前より難しくなったと伺っております。

こうした事態の回避には、都市と地方がそれぞれの特性を生かして補完しあう地域循環共生圏の形成が必要であり、札幌市で発生した剪定枝などの木質バイオマスを圏域として確保、発電等へ利用し、圏域循環をしていくべきであると考えます。

そこで質問ですが、札幌市で発生した剪定枝などの木質バイオマスの積極的な活用と、それらなどから発電した電力を市内で利用することについて、見解を伺います。

(6)GX推進と札幌経済の活性化について

6月23日、札幌市では北海道と連携し、他の自治体に先駆け、北海道の再生可能エネルギーのポテンシャルを最大限に活用し、アジア・世界の金融センター実現を目指す、産学官金21機関から成るコンソーシアム「TeamSapporo-Hokkaido」を設立しました。

さらに、8月23日には、この「TeamSapporo-Hokkaido」の取組を推進するため、北海道知事とともに岸田総理に面会し、特区等を始めとした5つの要望を行ったとお聞きしております。

国の動きに連動する形で、矢継ぎ早にこのような攻めの事業展開を図る「TeamSapporo-Hokkaido」の動き・取組には、一定の評価をする一方、大事なことは、北海道が国の再生可能エネルギーの供給基地となり、国に貢献しつつ、同時に札幌、ひいては北海道の経済活性化にどう繋げていくかという事であります。今後、有効な対策を打っていくことが強く求められます。

そこで質問ですが、市長は「TeamSapporo-Hokkaido」の取組を進めるに当たり、どのような手法で、今後10年間で150兆円ともいわれる官民投資のうち、30~40兆円の投資を札幌・北海道に呼び込み、札幌経済の活性化につなげていく考えか伺います。

(7)超高齢社会における生活道路の除雪について

札幌市では、多様化する市民ニーズや高齢化の進行などに対応するべく、「冬のみちづくりプラン2018」に基づき、冬期間の安心で安全な道路環境を実現するため、様々な施策を展開しています。

その中で、令和元年度から一部の地域において生活道路の新たな除雪方法の試行に取り組んでおります。これは、新雪除雪の出動基準を変更し、路面整正作業を増やすとともに、除雪車で削った雪を出入り等の影響が少ないところに寄せ、更に、道路脇に雪を積みきれなくなった際には、状況に応じて行う簡易的な排雪をあわせて実施するものです。

これにより、除雪作業後に宅地出入り口や車庫前に寄せられる雪を処理する市民の労力の軽減を図るだけではなく、シーズンを通じた通行のしやすさや、除排雪作業の平準化による担い手の労働環境の改善にもつながるものと認識しています。

ただ、これまでの試行の結果、特に市民の労力負担軽減といった面で高く評価しているとの声が我が会派にも届いているものの、体制面等の課題もあり、現段階で市内全域へ展開することは難しいことは理解しているところです。

しかし、札幌市では、行政と市民の協働の取組として、除雪作業後に宅地の出入り口前等に寄せられる雪の処理は市民の役割としていますが、そのことについて、毎年多くの苦情や要望が寄せられています。このほか、除雪で出入り口前に寄せられた雪を、自力で処理することが困難になっている高齢者なども増えてきており、福祉除雪やボランティア除雪などの利用も増加しています。

そこで質問ですが、宅地出入り口前の雪処理労力の軽減などに向け、今後もこうした除雪方法を含め、継続的に検討すべきと考えるがいかがか伺います。

(8)ラピダス次世代半導体プロジェクトへの支援について

千歳市に次世代半導体製造拠点が整備されることで、各工程で必要となる原材料や消耗品等の供給、設計、製造、組み立て、機械や設備のメンテナンス、販売など、関連企業や人材が札幌市を含む、周辺市町村に集積することが期待されます。

また、工程外では、環境、衛生、モニタリング、分析分野等の整備が必要となるなど、関連企業といっても、想像している以上に、非常に幅広い分野の企業が関わることになります。

さらに、先進事例等から、半導体の製造装置に使われる部品や原材料には、極めて高い精度や純度が求められる特殊なものが多く、道内企業が対応できるかという課題、また従業員やそのご家族の住居や医療・教育体制を始めとする生活環境など、検討しなければならないことは多岐に渡ると思われます。

したがって、ラピダス社や関連産業等が本市の支援を必要とする際には、サポート等、できうる限りの対応をしていただきたいと思います。

そこで質問ですが、札幌市もこのラピダス次世代半導体プロジェクトを積極的に支援していくことが重要と考えますが、どのようにして取り組んでいく考えか伺います。

(9)ポップカルチャーを活用したまちづくりの推進について

本市では、昨年度、マンガを幅広く活用し、より広い市民の課題解決支援、地域の魅力発信を担うためのマンガ複合施設の可能性調査を行い、さらに今年度は、マンガ等を活用した企画展示の展開および経済波及効果等の調査分析業務を進めていると伺っています。

海外の若い世代においては、マンガやアニメをきっかけとして日本の文化や日本語を学ぶ方が多く、日本に関心を持っていただく一つの出発点となっています。2019年に大英博物館で開催されたマンガ展が盛況を博し、マンガやアニメは日本が世界に誇る文化遺産と言っても過言ではありません。

また、マンガやアニメ、そしてゲームなども含めたポップカルチャーは、一人一人に夢や希望を与えるものであることは言うまでもなく、コミュニティ形成への一助になるなど、社会に広がりをもたせられる可能性も秘めているものではないかと考えます。

一方、他都市においては、京都国際マンガミュージアム、北九州市マンガミュージアムなど、いくつかのポップカルチャーを活用した先行事例がある中で、本市がこれからマンガやアニメを活用した様々な施策を行っていったとしても、二番煎じ、三番煎じとなる可能性も否めません。

そこで質問ですが、札幌市としてなぜマンガやアニメ等のポップカルチャーを活用したまちづくりを推進するのか伺います。併せて、札幌市ではどのような特色を出して進めていくのか市長の考えを伺います。

(10)冬季オリンピック・パラリンピックの今後の招致活動について

冬季オリンピック・パラリンピックの招致について、札幌市では、東京大会の汚職等で失われた市民の信頼回復のため、大会運営に向けた見直し案を示すとともに、開催意義や大会計画の中身を分かりやすく発信する対話事業を進めてきたところです。

会場を訪れた市民からは、力強い応援の言葉もあった一方で、「計画は理解できるが、信頼できない」との厳しい声もあったと聞き及んでいるところであり、開催地決定が来年に迫る中、市民理解の促進は今後の招致にとって大きな課題と考えております。

冬季オリンピック・パラリンピックは、再開発を始めとする街のリニューアルやバリアフリーなど、誰もが暮らしやすい共生社会の実現を加速させるだけでなく、開催後も観光消費を押し上げるなど、経済効果が長期にわたり継続するものであり、その点からも札幌での開催意義はゆるぎません。

だからこそ、その招致に当たっては、街の持続可能性も考慮し、市民や関係団体の支持や理解を前提に進めて行くべきものではないかと考えます。

そこで質問ですが、今後の大会招致活動について、どのように進めていく考えか伺います。

答弁

(1)令和4年度決算と現下の社会情勢を踏まえた今後の財政運営について

〇令和4年度は、アクションプラン2019に掲げた取組を着実に進めるとともに、新型コロナウイルス感染症や物価高騰等、喫緊の課題に対応してきたところ。

〇こうした取組を進める中で、財源の確保や事務事業の効率的な執行に努め、財政調整基金の年度末残高を前年度並みに確保したほか、市民一人あたり市債残高の減少についても目標を達成したところ。

〇今後も、物価高騰や地球温暖化への対応など、社会情勢に応じた課題に対しては、国や道と密接に連携しながら、機動的に対策を講じていくことが必要。

〇今後の財政運営に当たっては、喫緊の課題に対応しつつ、国費等の財源を確保しながら、事業の継続的な見直しを進め、持続可能な財政構造を維持してまいりたい。

(2)第2次札幌市まちづくり戦略ビジョン・アクションプラン2023におけるユニバーサル(共生)社会の取組について

〇第2次札幌市まちづくり戦略ビジョンでは「ユニバーサル(共生)」を重要概念の一つとして掲げており、共生社会の実現に向けては、いわゆる縦割り意識を排して、施策間の連携を図りながら、ハード・ソフト両面の取組を一体的に進めることが重要であると認識。

〇アクションプラン2023では、施設や移動経路のバリアフリー化などのハード面の事業や、当事者への支援や情報発信の充実、心のバリアフリーの浸透などのソフト面の事業を数多く盛り込み、それらを有機的に連携して進めるため、ユニバーサルプロジェクトとして位置付けたところ。

〇今後は、今月設置した「ユニバーサル推進本部」の枠組みにおいて、私のリーダーシップの下、部局間連携の一層の強化を図り、共生社会の確実な実現に向けて鋭意取り組んでまいりたい。

(3)環境首都・札幌としてのSDGsの取組推進について

〇SDGsの2030年の目標達成に向けては、市民のさらなる理解の促進に加え、確実な行動につなげていくことが重要と認識。

〇そこで、事業者と連携した体験型の環境イベントや、事業者と若者によるSDGsの課題解決に向けたワークショップなどの官民協働の取組に加え、省エネ・再エネ機器や次世代自動車への導入補助などの取組を通じて、市民の行動変容を促しているところ。

〇今後も、「環境首都・札幌」として、様々な事業者などとの連携を強化しながら、SDGs達成に向けた取組を、一層進めてまいりたい。

(4)地球温暖化の影響を踏まえた猛暑への対応について

〇札幌市では、今年度から、熱中症の危険度が高まると予測された場合に市公式SNSで注意喚起するなど、市民への情報提供を行っているところであるが、今後の地球温暖化の影響を見据えて対応を強化していく必要があるものと認識。

〇特に、家庭に冷房設備のない市民への対応のほか、子どもや高齢者といった、いわゆる熱中症弱者の方々への対応の強化が必要。

〇今後は、クーリングシェルターの指定などの施策を進めるとともに、組織横断的に情報を共有することで、猛暑に備えた体制の整備に取り組んでまいりたい。

(5)木質バイオマスの有効活用について

〇市内で発生する剪定枝などをバイオマスという資源物として活用し、そこから得られた再生可能エネルギー電力を利用することは、ゼロカーボン都市「環境首都・さっぽろ」の実現に向けた重要な取組であると認識。

〇現在、剪定枝などの一部は清掃工場で焼却発電しているが、木質バイオマスとして、より効率的な利用がなされるよう検討しているところ。

〇また、木質バイオマスを含め、道内で発電された再生可能エネルギー電力の市内での活用については、道内自治体や民間企業と連携を図りながら、着実に取り組んでまいりたい。

(6)GX推進と札幌経済の活性化について

〇「TeamSapporo-Hokkaido」は、国内随一の再生可能エネルギーの潜在力を生かし、GXに関する資金・人材・情報が集積するアジア・世界の「金融センター」を目指すもの。

〇今後、水素活用や洋上風力関連産業の育成・振興等を目的とする8つのGXプロジェクトで実証実験を展開し、実装・事業化に結び付けることにより、関連産業のサプライチェーンを構築していく考え。

〇札幌市は、道内の商流・物流・人流を支える拠点として、GX産業集積と金融機能の強化を両輪で進めるとともに、GX先進都市としてのブランドを生かしたMICE誘致を進めるなど、幅広い産業分野に取組の効果を波及させ、札幌の経済を活性化してまいりたい。

(7)超高齢社会における生活道路の除雪について

〇除雪後の宅地出入り口前の雪処理については、高齢化に伴う市民の負担感の増加に加え、福祉除雪やボランティアの担い手不足などが課題であると認識。

〇令和元年度から一部の生活道路で取り組んでいる試行では、出動基準や作業方法の変更などにより、宅地出入り口前の雪処理にかかる市民の負担感は軽減するものの、路面整正の回数が増えるなど、除雪事業者の負担増の課題が確認されている。

〇今後は、出入り口に寄せる雪を減らせるよう、作業手法の工夫や除雪機械の改良など、新たな視点も加え、市民の雪処理労力の軽減に向け引き続き検討してまいりたい。

(8)ラピダス次世代半導体プロジェクトへの支援について

〇ラピダス次世代半導体プロジェクトは、国の「半導体・デジタル産業戦略」にも位置づけられている重大な国家プロジェクトであると認識しており、札幌市としてもこれを成功に導きたい考え。

〇既に庁内組織として、「札幌市半導体関連産業集積推進会議」を立ち上げ、札幌市内における関連企業の立地促進や人材の供給、従事者の生活支援などの検討にとりかかっているところ。

〇今後も、ラピダス社はもとより、道経産局の半導体人材育成等協議会や、北海道の立地推進連携会議市町村ネットワークなどとも密に連携しながら、プロジェクトの成功を支える視点で、幅広く取り組んでまいる。

(9)ポップカルチャーを活用したまちづくりの推進について

〇マンガをはじめとするポップカルチャーは、先進自治体においてアニメ作品の舞台となった地に多くの観光客が訪れる等の観光振興のほか、経済、地域活性化、教育などの様々な分野で効果を発揮し、本市においても新たなまちづくりの可能性を有しているものと認識。

〇札幌・北海道は多くのマンガ家を輩出し、市内ではこれまで様々なマンガやアニメに関する企画展が開催されてきた中で、有志の方々から協力の申し出を頂いていることは、本市にとって大きなアドバンテージとなる。

〇このアドバンテージを生かし、マンガやアニメ等を通じて、札幌・北海道の魅力発信、市民の社会的課題の理解促進、地域経済の活性化などを実現する本市独自の事業スキームを検討してまいる。

(10)冬季オリンピック・パラリンピックの今後の招致活動について

〇冬季オリンピック・パラリンピックの招致については、多くの市民の賛同を得て進めていくべきものと認識。

〇そのため、開催意義やクリーンな大会に向けた見直し案等を公開討論会等の対話事業により発信してきたが、賛成の声がある一方で不安や懸念の声もあるなど、対話の継続が必要な状況。

〇今後、2030年招致に関するIOCの動向や、東京大会を巡る様々な事案の状況などを踏まえ、市民の意向を確認しながら、招致実現に向けて進めてまいりたい。

2持続可能で安心・安全なまちづくりについて

質問

(1)札幌駅バスターミナルの整備について

札幌駅前では、北海道新幹線札幌開業を見据え、「世界へつながる“さっぽろ”の新たな顔」としてふさわしい開発の実現を目指し、バスターミナル整備を含めた、北5西1・西2地区市街地再開発事業が進められています。

新たな事業を計画する中、昨今の報道によれば、物価高騰や人手不足等、建設業界は厳しい環境に置かれているとのことでありますが、新たに整備されるバスターミナルは、道都札幌の玄関口にふさわしい交通結節点として着実に整備を進めていかなければならないと考えます。

今後は、管理や運営方法などについて、バス事業者を始め、様々な関係者との協議、検討が必要となることから、我が会派としては札幌市に対し、国と密に連携し、しっかりと取り組むよう強く求めます。

そこで質問ですが、札幌駅バスターミナルの整備を進めるに当たり、札幌市はどのような役割を担っていくのか伺います。

(2)避難行動要支援者の災害時の避難支援について

我が国では、近年、記録的な豪雨・台風・洪水等、気候変動による災害が頻発化しております。

内閣府によると、近年の国内各地の大規模災害においては、犠牲者の実に6割以上が高齢者・障がいのある方等とのことであり、自ら避難することが難しい、いわゆる要配慮者の「災害時の避難支援について避難の実効性を確保すること」が課題とされています。

災害対策基本法では、要配慮者の中でも、特に避難時の支援を必要とする介護を必要とする方や、重い障がいのある方などの「避難行動要支援者」については、市町村における名簿の作成が義務付けられております。札幌市においても平成27年度から名簿の作成を行い、名簿掲載者数は、令和5年1月1日時点で11万8,242名と聞いております。

この名簿は、本人の同意を得た上で、希望する町内会等の地域団体に対して提供される仕組みとなっており、令和5年4月1日時点で69団体が、当該名簿を地域住民の災害時の避難支援や個別避難計画の作成などに活用されているとのことです。

また、「個別避難計画」は、避難行動要支援者それぞれが、有事の際、「どこへ、どのような経路と方法で、誰の支援を受けて避難するのか」といった事柄をあらかじめ決めて記載しておくものであり、特に土砂災害や浸水など災害が予見されている状況で、自ら避難することが困難な避難行動要支援者の安全確保に有効な取組とされております。

令和3年5月に改正された災害対策基本法では、この個別避難計画について、「市町村において作成に努めること。また、優先度が高いと市町村が判断した者について、地域の実情を踏まえながら概ね5年程度で取り組むこと」とされており、昨年度の決算特別委員会での我が会派の質問に対し、担当部局からは、「市町村における計画作成についても、対象者の優先度設定や、先行都市の事例収集をさらに進めながら、取り組んでいきたい」という趣旨の答弁があったところです。

同様の災害は全国どこでも起こりうるものであり、札幌市も決して例外ではないと懸念しております。

そこで質問ですが、今後札幌市として避難行動要支援者の災害時の避難支援にどのように取り組んでいくのか、市長の考えについて伺います。

(3)防災教育と子育て世代の家庭内防災力の向上について

災害は、いつ、どのような場所で発生するか予測がつかず、有事の際に「まず自分の身を守ること」が最優先となります。「自助」の取組は災害に対する備えの基本であることから、さらに広く市民の防災意識の醸成や向上のため、防災普及啓発用のパンフレットの配布や防災DVDの活用、出前講座、自主防災活動への支援等により啓発を行ってきていることは承知しております。

しかし、これらの取組は、幅広い世代を対象にしていることと思いますが、実際には町内会や老人クラブなど比較的に偏ったものになっているのではないかと懸念しております。

今後は、より対象者を明確にした啓発が大事であり、自助の基本である家庭内の防災力向上に着目した取組が重要と捉えています。

具体的には、札幌市では、既に平成24年度から児童・生徒の防災意識を啓発するため、小中学生に対して防災教育に取り組んでいますが、同時に今後は保護者をターゲットとした啓発に取り組むことで、家庭内の防災意識をより効果的に高められるのではないかと考えます。

そこで質問ですが、家庭内における防災力を向上させるために、今後どのように取り組んでいくのか伺います。

(4)認知症基本法成立に基づくご本人とご家族への支援の強化について

令和5年6月、「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」が成立しました。法では、認知症の人を含めた国民一人一人がその個性と能力を十分に発揮し、相互に人格と個性を尊重しつつ支え合いながら共生する活力ある社会、いわゆる共生社会の実現を推進することを目的としています。

先の第2回定例会の代表質問において、我が会派からの認知症施策強化の質問に対し、副市長からは「アクションプラン2023」や、「高齢者支援計画2024」に位置付けることを含め、計画的に取り組むとの前向きな回答がありました。

また、「認知症の方やサポートする方への支援の充実」については、市長公約でも掲げられているところですが、新法の基本理念においても、「認知症の方のみならず家族等に対する支援が適切に行われることにより、認知症の方及び家族等が地域において安心して日常生活を営むことができるようにすること」と示されております。

国の施策の一つである、地域において把握した本人や家族の身近な支援ニーズ等と、地域のボランティアを中心とした支援者をつなぐ「チームオレンジ」の取組は、家族の負担軽減に寄与するものであり、その重要性から我が会派ではこれまでも議会で取り上げ、「チームオレンジ」の取組・設置を「アクションプラン2023」に位置づけて推進するよう強く要望してきたところです。

そこで質問ですが、共生社会の実現に向けた認知症施策を「高齢者支援計画2024」にどのように位置付けるのか、また、地域において認知症の方と家族を支える支援をどのように強化していくのか伺います。

(5)帯状疱疹ワクチン接種に関する情報収集及び調査について

帯状疱疹は、子どもの時に感染する水ぼうそうのウイルスが原因で起こるとされており、体内に潜伏していたウイルスが、免疫力が低下してくると再び活性化し発症するもので、日本人の成人90%以上の人の体内に潜んでいることが明らかになっています。特に加齢に伴い発症する人が多いのが特徴です。

特に問題なのは、神経への炎症と損傷が長期化されると、合併症が起き、重症化すると視力の低下や失明、顔面まひなど重い後遺症に悩まされる点にあります。

そのため、我が会派では、令和4年第3回定例会の決算特別委員会で、帯状疱疹ワクチンの任意接種への公費助成を求めてまいりました。

また、本札幌市議会では令和5年3月、5会派の連名により、国に対し帯状疱疹ワクチンの接種経費の助成制度の創設や早期に定期接種化を求める意見書も提出したところです。

既に全国では、2023年8月時点で272の自治体が、帯状疱疹ワクチンの接種経費の助成を行っており、こうした自治体の取組を、札幌市としてもしっかり把握することが重要と考えます。

そこで質問ですが、ワクチン接種経費の助成状況の把握と、帯状疱疹に関する情報収集及び調査などを札幌市として今後、いかに進めていくつもりか伺います。

(6)市立札幌病院の再整備について

市立札幌病院が平成7年に桑園駅前に移転してから、今年で28年目となります。

病院は24時間365日診療を続けている施設であることから、配管設備などの老朽化は相当進んでいると考えられますが、市立病院のような地域の基幹病院は、その機能が停止した場合の影響が非常に大きいため、計画的に施設・設備を更新していくことが必要です。

また、本年5月に新型コロナウイルス感染症が5類感染症へと移行してから4か月以上が経過し、様々な場面において日常に戻りつつあるものの、今後新たな感染症が発生することも見据えて、早期に病院の機能強化に着手する必要があると考えます。

秋元市長の公約においても、「市立札幌病院における災害・感染症対応、地域医療機関との連携、救急・周産期医療等の充実と機能強化」が掲げられているところであり、抜本的な機能強化のためには、建替えに向けた議論を加速する必要があるのではないでしょうか。

そこで質問ですが、平時・有事問わず市民が必要な医療を受けられるよう、市立病院の建替えを始めとした再整備に早期に着手する必要があると考えますが、いかがか伺います。

(7)市営住宅を含めた住宅セーフティネットの構築について

札幌市における市営住宅の入居募集に対する倍率は、団地ごとにばらつきはあるものの、令和4年度の定期募集で約20倍と依然として高く、市営住宅に入居したくてもなかなか当選しない、という声が寄せられています。一方で、入居率は、令和5年3月時点で85%を超えているものの、空き住戸が一定程度存在している状況です。

入居を求める高いニーズに対応するため、まずは修繕が済んでいない空き住戸を無くし、募集可能な住戸数を確保する取組を進めるべきであり、この点について、我が会派から本年の予算特別委員会において指摘したところ、札幌市からは、積み残しとなっている空き住宅修繕に関する予算を令和5年度に別途計上し、空き住宅修繕に重点的に取り組んでいくとの答弁がありました。

また、市内には約730棟の市営住宅が立地していますが、そのうち、建築後40年以上が経過したものは4割以上を占め、老朽化が進んだ市営住宅も多く、住民からは、結露の発生やエレベーターがなく、階段の上り下りが大変であるとの切実な声も聞いております。

市営住宅の中には、老朽化や、エレベーターが設置されていないなどの理由から、募集をしても応募がない住戸もあります。老朽化した市営住宅の建替えを進めることで、居住環境の改善や施設のバリアフリー化が図られ、新たな募集戸数の増加にもつながることから、市営住宅の建替えを積極的に進めるべきと考えます。

その一方で、札幌市の推計では単身高齢者世帯は増加していく見込みであり、国の調査でも低額所得世帯は増加傾向にあるなど、いわゆる住宅確保用配慮者は今後も増加していくものと想定されます。

現在抱える様々な課題を踏まえ、市営住宅を含めた住宅セーフティネットの構築について、今後どのように進めていくのか伺います。

答弁

(1)札幌駅バスターミナルの整備について

〇札幌駅バスターミナルは、都市間バスと路線バスの乗降場や、2階部分の待合空間の整備に加え、他の公共交通機関ともバリアフリー化された乗換動線で接続することとしており、札幌駅周辺の交通結節機能の強化のためには、一体的な取組が不可欠である。

〇このバスターミナルは、利用客はもちろんのこと、バス事業者等にとっても使いやすいものとするため、専門的な意見を聞きながら、管理、運営方法などの検討を進めていく必要がある。

〇整備に向けては、北5西1西2地区市街地再開発組合やJR北海道をはじめ、バス事業者など多様な関係者との協議を円滑に進めるため、北海道開発局と連携しながら、札幌市が調整役を担い、札幌の玄関口にふさわしいバスターミナルを実現していく。

(2)避難行動要支援者の災害時の避難支援について

〇介護を必要とする方や重い障がいのある方など、避難行動要支援者に対して災害発生時の避難支援を行うことは、その命を守る取組として非常に重要なものと認識。

〇そのため、地域における主体的な避難支援の取組の促進に向け、出前講座やリーフレットの配布等を通じて、避難行動要支援者名簿の活用について町内会など地域団体へ呼びかけを行っているところ。

〇加えて、災害発生時のリスクの特に高い方については、行政が主体となった個別避難計画の作成に、試行的に取り組んでいる。その結果をふまえ、日頃から要支援者を担当する福祉専門職などとの連携を図りながら、来年度は対象者数を増やしてのモデル実施を予定。

〇このように、地域主体の取組と行政主体による計画作成を並行して進めることにより、安心・安全なまちづくりに取り組んでまいりたい。

(3)防災教育と子育て世代の家庭内防災力の向上について

〇防災に関する学校での教育と家庭への啓発は、災害時における子どもの生きる力を育むとともに保護者の防災意識を高め、家庭における防災力向上に寄与するものと認識。

〇このため、小中学生向けの防災教育教材の刷新と併せ、本年4月に作成した家庭への持ち帰り教材が活用されることで、子どもと保護者が共に防災を考える契機となることを期待している。

〇今後は、未就学児を持つ世帯にも重点を置き、子育てサロンの場を利用した啓発を行うなど、災害から家族の命を守り、生き抜く力を高めるための取組をより一層進めてまいる。

(4)認知症基本法成立に基づくご本人とご家族への支援の強化について

〇札幌市では「認知症基本法」の趣旨を踏まえて「高齢者支援計画」の中の施策を「認知症施策推進計画」として位置づけ、新たな取組も推進してまいる。

〇具体的には、来年度、まず市内5つの区の地域包括支援センターにおいて、認知症の方と家族への支援体制の強化のため、新たに「チームオレンジ」の取組を開始する予定。

〇この取組を通じて、地域ボランティアの活躍の場を広げ、認知症の方の社会参加の促進や相談体制の充実を図ることにより、共生社会の実現を目指してまいりたい。

(5)帯状疱疹ワクチン接種に関する情報収集及び調査について

〇ワクチン接種経費の助成状況については、引き続き、様々な場面を活用し、政令指定都市等における助成状況の詳細について把握してまいる。

〇また、帯状疱疹やワクチンについては、既に大規模な疫学調査が行われ、現在も国内外で様々な調査等が行われていることから、新たな知見の把握に努め、帯状疱疹を含めた感染症施策に活用してまいりたい。

(6)市立札幌病院の再整備について

〇平時はもとより、災害時や感染症拡大時にあっても必要な医療を提供していくためには、中長期的に求められる医療ニーズなども踏まえると、市立札幌病院が果たす役割は大きいものと認識。

〇そこで、施設の老朽化対応と併せて、新型コロナウイルス感染症対応時に一般医療との両立にあたり課題となった、施設の狭あい化、換気機能不足、個室不足などの解消を図りながら、抜本的な機能強化を進めることが必要。

〇このため、早期に市立札幌病院の役割や機能を再構築するための調査に着手し、病院の機能強化に向けて、施設の建替えや改修など再整備にかかる具体的な手法の検討を進めてまいりたい。

(7)市営住宅を含めた住宅セーフティネットの構築について

〇住宅セーフティネットの一翼を担う市営住宅については、来年度以降も引き続き、空き住宅修繕を進め、募集戸数を増やしてまいる。

〇また、建替えについても、老朽化した市営住宅の改善に加え、大規模な団地などでは、まちづくりとの連携等も図りながら、計画的に実施してまいる。

〇一方、現在の「札幌市住宅マスタープラン2018」では、今後の人口減少や民間賃貸住宅の空き家が多いこと等を踏まえ、市営住宅全体の管理戸数は抑制することを基本としている。

〇そのため、住宅セーフティネットの構築にあたっては、不動産業界などとも連携し、民間賃貸住宅も活用しながら、官民が一体となって進めていく。

3持続可能な子ども・若者・教育施策について

質問

(1)婚活支援事業について

我が党では、結婚支援の拡充を重要な柱の一つと位置付けているところであり、札幌市議会においても、我が会派から、平成27年の大都市税財政制度・人口減少対策調査特別委員会で、結婚支援情報の発信のみならず実効性のある婚活支援について初めて訴え、それ以降、継続してその必要性を論じてまいりました。

以後、令和3年第3回定例会の代表質問において、AI技術を活用した婚活支援について質問し、令和4年第4回定例会の代表質問では、若者の意識を踏まえた支援の在り方について質したところです。

さらに、先の第2回定例会の代表質問においては、我が会派から早急に婚活支援事業を実施するべきと質したところ、秋元市長からは、事業化に向けてスピード感をもって取り組んでいく旨の答弁があり、その検討状況に対して大いなる期待を持って見守っていたところであります。

これまで長きにわたり婚活支援事業の事業化を唱えてきた中で、このたびの補正予算において、札幌市のオンライン結婚支援センターの開設に伴う予算案が提出されたことを評価しており、これまでの取組を経て見えてきた課題を踏まえ、充実した事業となるようしっかり臨んでほしいと期待しているところです。

そこで質問ですが、このたびの補正予算において婚活支援事業を計上したことについて、改めて市長のお考えを伺います。

(2)こども誰でも通園制度(仮称)を踏まえた未就園児への支援について

本市はこれまで子ども施策の推進について、積極的な姿勢で取り組んできたと承知しておりますが、さらに今後の新たな支援策として、専業主婦家庭を対象にした保育園利用が可能となる制度が必要であると考えております。

我が会派では、本年の予算特別委員会において、「空きのある保育園等を活用した未就園児への一時預かりに関する取組」について質問いたしました。それに対し、札幌市からは、「様々な課題はあるが、未就園児への支援は必要であるとの認識とともに、既存の子育て支援施策との整合を図りながら検討を進める」との考えが示されたところです。

未就園児を対象としたこうした支援は、遊ぶ経験を通じて年齢に合った発達を促すとともに、保育所や幼稚園等を利用せずに孤立しがちな保護者支援に繋がるものであると考えます。

国は、「こども未来戦略方針」において、全ての子育て家庭を対象とした「こども誰でも通園制度(仮称)」を創設する考えを示しました。これは、子育て家庭への伴走型支援の一つになり、孤立を防止し、保護者への支援につながる重要な取組であり、本市においても未就園児への支援の在り方を今一度考えるべきであります。

そこで質問ですが、こども誰でも通園制度(仮称)を踏まえ、札幌市の未就園児への支援について、今後どのように取り組んでいくのか伺います。

(3)教員の資質向上について

近年、GIGAスクール構想の実現によるICT環境の整備や、共生社会への理解に向けた特別支援教育の充実など、学校教育を取り巻く環境は変化し、教育課題は多様化しております。

令和4年12月、文部科学省中央教育審議会の答申では「令和の日本型学校教育」を担うこれからの時代の教師の姿について、子ども一人ひとりの学びを最大に引き出し、子どもが主体的に学べるよう支援する伴走者としての能力を兼ね備えることが期待されると示しました。

一方、こうした教育を担う教員に目を向けると、昨年、教員の免許更新に関する制度が改正され、教員一人ひとりが研修の記録を管理職と共有し、教師自身が自らの目標設定や振り返りを行う新しい仕組みが始まったことから、教員の学びにおいては一人ひとりの主体性が一層重要になると考えます。

今後、札幌市が目指す教育を更に推進していく上で、教員の資質向上は不可欠であり、教育委員会が、学校の実情を踏まえ、学びやすい研修環境に配慮しつつ、時代のニーズに応じた専門性も育むことができるよう、一層の研修の充実を図ることが必要と考えます。

そこで質問ですが、札幌市として、今後どのように教員の資質向上を図っていくのか伺います。

(4)札幌市の学校教育における読書の充実について

一冊の良書が人生を広げ、深く生きる力になるとの思いを持ち、我が党では、2001年「こども読書活動推進法」の制定に尽力するとともに、会派としても、子どもが本に親しみ、豊かな心を育むことができるよう、学校教育における読書について高い関心を寄せてまいりました。

札幌市においては、子どもが家庭でゲームやSNS、動画視聴に費やす時間が多い傾向があるとも聞いており、家庭での読書の時間が減少していくのではないかと懸念しております。

私は、2020年代を通じて構築を目指す学校教育、いわゆる「令和の日本型学校教育」が示す、全ての子供たちの可能性を引き出す個別最適な学びと協働的な学びの実現には、読書は欠かせないものであると考えており、これからも教育委員会には、読書に関する取組を積極的に推進し続けることを期待しております。

そこで質問ですが、札幌市の学校教育における読書の充実について伺います。

(5)誰もが安心・快適に利用できる学校トイレの環境整備について

学校のトイレは、「汚い・臭い・暗い」といった3Kに加え、「怖い、壊れている」を加えた5K問題として指摘され、児童生徒はもちろん保護者から改善を望む声が多数寄せられております。

これまで我が会派の訴えにより、便器の洋式化は進められて来ましたが、建築後40年以上経過した施設も多く、老朽化の一途をたどる中、災害時には、学校は避難所にもなるため、避難してきた高齢者や障がいのある方々も安心して使用できるようにすることが急務となっております。

実に多くの学校では未だにトイレの床を水で洗い流す湿式清掃が行われています。湿式清掃は、乾式清掃床に比べ菌が多く検出されるほか、タイル目地などへの大量のアンモニアの染み込みで悪臭が発生するなど、衛生面からも改善が望まれています。

また、新型コロナの感染拡大で、改めて衛生管理の重要性から、学校の場においても、接触を避けた設備の導入に関心が集まっておりますし、全国の自治体における先進的な事例なども把握する中で、衛生面を中心に取り組むべきものがさらにあると考えます。

今、家庭はもちろん、他の商業施設等においてもトイレの機能が向上しており、本市でも清掃の乾式化や接触の回避、一般的に普及している設備の導入やバリアフリー化の推進、社会環境や生活様式の変化に取り残されることなく、学校のトイレが誰もが安心で快適に利用できるよう整備を進めていくことが重要です。

そこで質問ですが、札幌市では、今後どのように学校トイレの環境の向上に取り組んでいくのか伺います。

答弁

(1)婚活支援事業について

〇少子化傾向を反転させるラストチャンスであり、少子化対策は待ったなしの瀬戸際にあると言われる今こそ、結婚や出産を望む若者の希望が叶えられるよう、一層、後押しすることが重要。

〇これまで婚活イベントや若者の意識調査を行ってきた中で、行政が関与する婚活支援に安心感を抱く人やAI機能を使ったマッチングに期待する人も多数いることが明らかとなっている。

〇そこで、オンライン結婚支援センターの令和6年度開設への準備に着手し、100年先の札幌の未来も見据えながら、若者の理想とするライフプランの実現に向けて取り組んでまいりたい。

(2)こども誰でも通園制度(仮称)を踏まえた未就園児への支援について

〇全ての子どもの育ちを応援するとともに、子育て家庭に対して、働き方やライフスタイルに関わらず支援を強化することは重要と認識。

〇札幌市としては、制度の導入を見据えて、一時預かり事業などを利用する保護者や関係事業者の声を丁寧に聞くとともに、国の検討状況を踏まえながら課題の整理を進めていく考え。

〇今後も子育て家庭の孤立を防止し、安心して子育てができる環境づくりのため、子どもや保護者に寄り添い、身近なところで相談・支援を受けられる体制づくりを推進してまいりたい。

(3)教員の資質向上について

〇これまで、札幌市においては、教員育成指標に基づき、初任者研修や管理職研修等の経験年数や職能に応じたきめ細かな研修を体系的に実施し、教員の専門性の向上を図ってきたところ。

〇しかしながら、子どもを取り巻く現在の課題は、ますます多様化していることから、教員が日々の授業を通して、子ども一人ひとりのよさや可能性を引き出す実践的な指導力を常に磨き続けていくことが、重要であると認識。

〇そのため、教員一人ひとりが、自身の研修の履歴を振り返り、自らの強みや課題を明らかにした上で、主体的に研修を選択し、切れ目なく学び続けていくことができる研修体制を整備していく所存。

〇教育委員会としては、教員が強い使命感をもって、専門性の向上に主体的に取り組むとともに、地域等と連携しながら、子どもの学びや成長を支えていけるよう、更なる資質の向上に努めてまいる。

(4)札幌市の学校教育における読書の充実について

〇札幌市ではこれまで、札幌らしい特色ある学校教育の一つに読書を掲げ、学校図書館の蔵書の充実はもとより、朝読書の推進、読書ウイークの実施、学校司書の配置等、様々な取組に力を入れてきた。

〇読書は、主体的な学びを促すとともに、見方や考え方を広げ、他者との関わりによる創造的な活動にもつながることから、これからの時代を生き抜く子どもにとって、益々重要な役割を果たすと認識。

〇今後は、学校図書館に加え、1人1台端末も活用しながら様々な読書活動に取り組み、全ての子どもが生涯にわたって読書に親しみ、豊かな人生や新たな社会を切り拓いていけるよう、一層取組を充実してまいる。

(5)誰もが安心・快適に利用できる学校トイレの環境整備について

〇学校は子どもたちの教育の場であるほか、災害が発生した場合には避難所にもなることから、さまざまな利用者に配慮したトイレを整備することが重要であると認識。

〇これまで、大規模改修など更新時の標準仕様として、清掃の際に水を使用しない床材の導入、手洗い場の蛇口の自動水栓化やセンサーで点灯する照明の整備など衛生面の向上に努めてきた。

〇今後は、令和7年度末までに全学校に整備するバリアフリートイレへの温水洗浄便座の装備やジェンダーに配慮したトイレの試行的な設置など、誰もが安心して快適に利用できるようトイレの整備を進めてまいりたい。