札幌公明

議会報告Assembry report

2020/06/04 令和2年 第2回定例議会

令和2年 第2回定例議会2020/06/04

代表質問くまがい誠一議員(中央区)

札幌市議会本会議において公明党議員会を代表して くまがい誠一 議員が代表質問を行いました。
以下、質問とそれに対する答弁の要旨を紹介します。

目次Contents

1.新型コロナウイルス感染症対策における市長の政治
姿勢について

質問

(1)これまでの対応の評価と今後の対策について

札幌市内における新型コロナウイルス感染症患者の発生から3か月以上が経過し、感染拡大の第1波を乗り越え、被害の大きかった第2波も収束の兆しが見える中、5月25日には緊急事態宣言の解除に至り、現在、新しい生活様式として新北海道スタイルを徹底する中、感染拡大防止に向けた、対応強化を図られているところであります。

これまで、本市は感染者の詳細情報を公開し、市民への情報提供に努めるとともに、感染症対策室を設置し、市長のリーダーシップのもと職員一丸となり対策に取り組まれて来たところです。
とりわけ、市長自ら、あらゆる媒体を活用し、市民に直接語り掛ける場面も多くつくられて来たことは評価するところです。

今回、あらためて新型コロナウイルスの発生から感染拡大の第1波、第2波の封じ込めへの経過を顧みると、当初の認識をはるかに超える感染症へと変異拡大、私たちの日常を一変させてしまうほどの脅威にまでなったものと言えます。本市においては2月に感染者が確認されて以来、これまでの感染症対策の経験を活かし、対策本部を中心に医療資源や人材を総動員し対応に当たり、今日に至ったものと考えます。この戦いは、今後も感染拡大の波をいくつか迎えて長期戦になることも覚悟する必要があります。

そこで質問ですが、市長として2月の発生以降、これまでの対応をどう評価しているのか、そしてこれまでを踏まえ、新たな感染拡大防止に向け、今後どのような対策を考えているのか、特に体制確保の観点からお伺い致します。

(2)札幌市の医療体制の在り方と市立札幌病院の役割について

①札幌市の医療提供体制の在り方
今回の感染症は、特効薬やワクチンの開発にも時間がかかることが予想されており、当面はこのウイルスといかに共存し、封じ込めていくかが重要と言われております。これまで、医療機関では、新型コロナへの対応を優先し、他の病気の診察は不急なものは、先延ばしにするなどの対応をして参りました。

しかし、いかなる疾病であれ患者の立場からすれば、一刻も早く診察や治療を受けたいと思うのは当然であり、ましてガンなど早期発見・早期治療が求められる患者の皆さんの不安は、非常に大きなものがあると考えます。

新型コロナウイルス感染症の治療に当たられている、医療機関や医療従事者のご尽力、また調整に日々昼夜を問わず従事して頂いている保健所や感染症対策室の努力には、あらためて、感謝するところでありますが、病院やそこで働く医療従事者にとって、大変な負担となっており、現場の疲弊はかなりのものとなっております。私のもとにも、多くの医療従事者から窮状を訴える声が寄せられており、市立札幌病院においても、コロナ対応に注力することで、通常の診察に支障をきたしていることから、人的体制の強化が必要と考えます。

そこで質問ですが、新型コロナウイルス感染症の収束がいまだ見通せない中、今後の第3波、第4波に備え、札幌市の医療体制の在り方をどのように考え、これからどのように整備していくのか。

②市立札幌病院の役割
また、特に市立札幌病院が果たすべき役割はどのようなものか、そしてその役割を果すための体制や機能をどのように整備していくのか。現時点における見解をお伺い致します。

(3)複合災害への備えと避難所運営について

今年に入り、新型コロナウイルスの感染拡大の猛威が世界を席捲し、私たちの日常生活を激変させる事態となりました。こうした新たな感染症の脅威が世界的に注目されるようになったのは1990年代のエボラ出血熱からと言われ、その後のサーズ、マーズと約10年に1度のペースで発生しており、感染症への危機管理体制の整備は、喫緊の課題と言えます。

国全体が新型コロナウイルスに翻弄される一方、日本海溝と千島海溝を震源域とする、巨大地震の想定も公表され、こうした地震による影響は本市も例外ではなく、複合災害への備えを確実にしていく必要があると考えます。

これまで、札幌市は、先の北海道胆振東部地震を教訓にしながら、地域防災計画の見直しを進めて参りました。これからの備えは、大規模な自然災害と同時に、今回のような大規模感染症が蔓延した場合も想定しておく必要があり、とりわけ避難所運営における感染症対策を見直すことが不可欠と考えます。

避難所における感染症対策は、避難者の健康状態の把握をはじめ、手洗い、咳エチケットの徹底のほか、十分な換気やスペース確保といった衛生環境の維持が基本となります。

これらの対応をより実効性のあるものとするために、マスクや消毒液、体温計などの衛生用品の備蓄は必要不可欠であり、地域資源活用の観点から、官民連携、協定締結を進めることも重要であります。さらには、感染症の拡大防止策を具体的に想定したマニュアルの再整備も課題であります。

そこで質問ですが、新型コロナウイルスなどの感染症まん延時に、大規模な自然災害が同時発生した場合の避難所運営について、現在の状況と今後の取り組みを伺います。

(4)高齢者施設等の感染予防対策について

厚生労働省によると、今回の感染症については、罹患しても約8割の方は軽症で経過し、治癒する例も多いことが報告されております。一方、季節性インフルエンザと比べて死亡リスクが高いことも報告されており、特に、高齢者や基礎疾患のある方は重症化するリスクが高いことも報告されております。

札幌市においても、連日感染者が発生しており、その数は減少しておりますが、複数のクラスターが発生しており、引き続き予断を許さない状況です。

また、高齢者施設・介護サービス事業所に従事する職員の方々は、感染者を発生させてはならないという緊張感の中、業務を遂行しております。

こうした中、市内の介護老人保健施設「茨戸アカシアハイツ」では大規模クラスターも発生いたしました。今後こうした事態を未然に防ぐために、高齢者に対する感染予防対策や初期対応の在り方が、特に重要と考えます。

そこで質問ですが、現在、高齢者施設等ではどのような感染予防対策を行っているのか、そして感染者が発生した場合、札幌市ではどのような対応をとっているのか、また、市内の数多くある高齢者施設等に今後どのような対策や指導・支援を行っていくのかお伺い致します。

(5)現金給付等に係るマイナンバーの利用について

緊急経済対策として、国民一人当たり10万円を給付する特別定額給付金は、目下、郵送または、オンラインによる申請の受け付けが、されております。

当初、一刻も早く給付を行うため、期待されたマイナンバーカードによるオンライン申請は、入力誤りや権限のない方による申請、重複の申請などをシステム上で防ぐ手段が構築されておらず、職員が手作業によるチェックの必要から、結果として、郵送の申請よりも給付が遅くなるという事態が、全国的に報告されております。

こうした状況から札幌市では、市長自ら、郵送申請を推奨するに至ったものと認識しております。なぜこのような事が起きたのか、早々に検証したところ、マイナンバー、すなわち12桁の個人番号そのものを事務処理に利用できなかったことが大きな要因であると考え、5月上旬、党国会議員を通じ国に提言を行ったところです。

個々人の情報が、紐づけされているマイナンバーを、適切に用いることができれば、事務処理が効率化され、より早い給付を必要とする市民の要望に応えることができると考えます。
現に最近では、現金給付に必要な口座番号の情報をあらかじめ紐づける議論も活発化しております。

そこで質問ですが、現在、国において議論されているように、有事における現金給付等を迅速化するため、当該事務処理にマイナンバーを利用することについてどのように考えるのか、お伺い致します。

(6)必要な支援と対策が確実に行き渡る情報発信について

今回の感染症は、長期に渡り、市民生活に多大な影響を与えております。市民が受けるべき支援制度としては、定額給付金はもとより、税の猶予や、介護保険サービス負担金の減免、国民健康保険料の軽減など多数ありますが、これらの制度は、適宜、段階的に決定され、市民への周知のタイミングにバラつきがあり、真に支援を必要とする人に、的確な情報が行き届かないことが懸念されます。

この問題は、先の北海道胆振東部地震においても同様でありました。市では被災者支援室を設置し、生活支援ガイド等により支援制度の周知を行って参りましたが、発災から1年が経過しても、り災証明書の存在を知らない被災者がいるという実態がありました。このことを昨年の第3回定例市議会において、我が会派が指摘したところ、市長は、各所管部局において、それぞれの被災者に対する、支援状況の情報共有が不十分で、支援制度の周知が十分でなかったとし、後に改めて広く周知を図った結果、申請件数が増加いたしました。

今回の感染症に関して、札幌市ではホームページ上で生活支援ガイド等を掲載し、生活に不安を抱える市民に対して総合的、かつ一体的な支援情報を提供しておりますが、ホームページにアクセスできない市民も多数おり、支援を必要とする市民が、適切な情報を得られる様にすることが必要と考えます。特に、初期対応が重要であり、各種支援制度を可能な限りパッケージ化して、市民に分かりやすく示すことが必要と考えます。

また、今回の大きな特徴は、徹底した感染予防と行動自粛にあり、2014年に策定された札幌市インフルエンザ等対策行動計画とは一線を画するものになりました。

なかでも、秋元市長自身が、ビデオメッセージを活用し、市民への協力を呼び掛けたり、積極的にテレビ出演を行うなどしましたが、今後は更に、広報誌での特集ページの充実や、YouTube・LINE等のSNS媒体を用いるなど、新たな方法を取り入れ、支援制度の情報提供や市民一人ひとりの行動ポイントを明確な形で広く示していくべきであると考えます。

そこで質問ですが、各種支援制度や、取るべき行動様式がより確実に市民に行き渡るよう、情報発信をしていく必要があると考えますが、今後どのように取り組んでいくのかお伺い致します。

答弁

(1)これまでの対応の評価と今後の対策について

〇この度の新型コロナウイルス感染症の流行にあっては、678人の市民が陽性患者となり、そのうち44人の方がお亡くなりになったこと(6月1日現在)に対し、心からお悔やみを申し上げる。

〇また、医療機関等の多大なるご協力をいただき、必要な医療が受けられる体制を整えることができたほか、市民の皆様には外出自粛などの要請にしっかりとご協力いただいたことに厚くお礼申し上げる。

〇そのようなご協力のもと、札幌市では、市民のための電話相談窓口の設置、PCR検査体制の拡充、宿泊療養施設の運用など、全庁での応援体制により、一定程度、感染の抑制につなげたところ。

〇新たな感染拡大の防止に向けては、感染者を早期発見するための検査体制や感染状況に応じた医療提供体制の整備、集団発生を押さえ込むためのクラスター対策が特に重要と考える。

〇こういった対策を進めるため、引き続き全庁一丸となった体制で取り組んでまいりたい。

(2)札幌市の医療体制の在り方と市立札幌病院の役割について

〇1点目の札幌市の医療提供体制の在り方について
4月、5月の患者発生の急増に対応するため、医療機関の皆様に献身的なご協力をいただき、関係機関が一堂に会する医療体制対策会議において、医療機関の役割分担を行いながら、入院可能病床を段階的に増加させてきた。

〇さらに、軽症患者を受け入れる宿泊療養施設として民間ホテルを活用する等、第2波への対応に全力を尽くしてきたところ。

〇現在、発生患者数は減少傾向にあるが、入院患者への対応は続いており、医療従事者の皆様に大きな負担がかかっている状況に変わりはないと認識。

〇今後の新型コロナウイルス感染症に対する医療提供体制については、医療従事者に過度な負担とならないよう配慮しつつ、患者の発生状況に応じた対応ができるよう、随時、関係機関や医療機関等と情報交換を行い連携するとともに必要な支援をしていく。

〇2点目の市立札幌病院の役割について
札幌市の医療提供体制の中で、特に市立札幌病院は、感染症指定医療機関として、重症患者の受入れを積極的に行うなど、中核的な役割を担う病院として位置付けたところ。

〇新型コロナウイルス感染症の治療においては、院内での感染防止を徹底する必要があり、通常より多くの医療従事者を投入せざるを得ないことから、患者の受入れ体制を維持するため、これまで、診療報酬制度の見直しなど国の支援策の拡充を求めてきたところ。

〇市立札幌病院がその役割を果たすためには、今後も国の支援策などを積極的に活用して財源の確保を図るとともに、今回構築した医療機関の役割分担を円滑に機能させ、市内医療機関が一丸となって、今後起こり得る第3波に備える体制の整備に一層努めてまいりたい。

(3)複合災害への備えと避難所運営について

〇避難所の衛生対策に必要なマスク等については、現在、最大避難者数分を調達していますが、新型コロナウイルス感染症の長期化も見据えて数量や品目の更なる拡充が必要と認識。

〇このため、マスク等の数量を増強するとともに、非接触型体温計やハンドソープなども新たに備蓄することとしており、6月中には調達を完了する。

〇また、現行の避難所運営マニュアルについて、新型コロナウイルス感染症に対応する見直しも進めており、今後速やかに公表してまいりたい。

(4)高齢者施設等の感染予防対策について

〇高齢者施設等においては、厚生労働省や札幌市から発出されている通知に基づき、入居者や利用者、職員の健康観察や面会の制限など、感染予防の取組を実施している。

〇感染者が発生した場合は、医師等の職員がすみやかに訪問し、濃厚接触者への適切な対応など感染管理に関する指導・助言を行い、集団感染のおそれがある場合は職員をさらに増員して対応を行ってきた。

〇今後はさらに、感染予防と拡大防止を目的として、施設長等を対象とした研修会を開催するとともに、感染症対策の専門家を派遣し、具体的な対策について検証とアドバイスを行う。

〇また、高齢者施設等向けに、新型コロナウイルス感染症対策ガイドを作成し配布する。

〇こういった対策により、感染予防対策の一層の徹底を図っていく。

(5)現金給付等に係るマイナンバーの利用について

〇有事における現金給付等については、市民の手元に一日でも早く届くことが重要であり、そのためには、市民の申請手続きが簡素であることと行政の事務処理が効率的に行われることが必要であると認識。

〇国においては、より迅速で円滑な給付の実現に向けたマイナンバーの活用の在り方について、法改正を含めしっかりと議論を進めていただきたいと考える。

(6)必要な支援と対策が確実に行き渡る情報発信について

◯新型コロナウイルスの感染拡大により、今後の生活に不安を抱える市民の方に対し、様々な支援策や感染リスクを下げる生活様式などを分かりやすく情報提供することは、重要な責務と認識。

◯各種支援等については、各機関が提供する支援制度や相談窓口を取りまとめた「生活支援ガイド」の発行や、事業者向けのワンストップ相談窓口の開設など、市民の方の不安解消に努めてきたところ。

〇また、感染拡大の防止については、市民や事業者の皆様の適切な行動へのご協力が必要であることから、北海道と連携し、「新北海道スタイル」の実践に向け、積極的に周知を図ってきたところ。

〇今後も、ホームページや広報さっぽろなど、あらゆる媒体を活用するとともに、私自身、記者会見等を通じて、分かりやすく丁寧に市民に呼び掛けてまいりたい。

2.社会・経済活動の維持と方向性について

質問

(1)新型コロナウイルス収束後の観光振興について

感染症の拡大による経済活動の停滞は、特に宿泊業や飲食業など、いわゆる観光産業に影響が強く出ておりますが、これはインバウンド需要が急激に落ち込んだことに加え、外出自粛の影響で国内旅行需要も大幅に減少したことが主な要因となっております。

このように、観光客の回復が見通せず、日を追うごとに経済状況が悪化するなか、本市の経済対策のタイミングを見誤ると、更に深刻な事態に陥ってしまう可能性があります。
特に全国でいち早く影響が出始めた札幌・北海道においては、地域の実情に応じた速やかな対策を講じることが、経済界からも強く求められております。

札幌・北海道では観光がリーディング産業の一つであり、経済復興の鍵を握っているということを十分に踏まえ、段階ごとに、的確な対策を講じていく事が必要であると考えます。

インバウンドの回復には時間もかかる事から、これまで多くの観光客を魅了して来た、札幌観光を市民向けにアピールやキャンペーンを打つなどし、札幌に住む私たちが札幌を満喫する、という観点から、市内のホテルや飲食業等と提携するなどし、例えば、ススキノで食事の後は市内のホテルに宿泊するプラン等、市内における消費を高める施策も必要と考えます。

また、ポストコロナを見据え、今後、持続的に国内外の観光客に選ばれる街となるためには、この新型コロナの危機を奇貨として、札幌観光の根本的な課題の解決にしっかりと取り組む必要があるとも考えます。

観光客に訴求できる魅力を持つものの、十分に認知されていないスポットは、他にも数多くあり、これらを観光資源として磨き上げ、広く発信するべきであると考えております。

さらに、コロナ禍において人々が密な状態を、避ける行動を実践してきた経験により、収束後の観光客の動向は、新たな価値観や、旅行トレンドが生まれる可能性を示唆する声もあり、今後、こうしたニーズの変化も捉えながら、札幌観光の質を、更に高めていくことが重要であると考えます。

そこで質問ですが、新型コロナウイルス感染症の収束後において、本市の経済復興を進めるうえで、観光が果たす役割に関する認識と観光客の回復に向けた観光振興の方向性についてお伺い致します。

(2)パークPFI制度の今後の進め方について

新型コロナウイルスの影響で、市民は不自由な生活を送る中、3密には当たらない公園は、数少ないストレス解消の場となり、身心を癒された方は多いと考えます。

私自身も時折、公園を訪れますが、その一つに中央区の旭山記念公園があります。豊かな自然と市内を一望できる眺望とともに、美しい夜景でも観光客に大変人気がありますが、藻岩山のように、夜景や景色とともに食事を楽しめる場所がなく、そのような施設があれば、コロナ収束後には市民や観光客に、喜んで利用いただけるものと考えます。

一方、札幌市では、公園の魅力と利用者へのサービス向上を目的に、民間の店舗や飲食店などの設置を認める、いわゆるパークPFI制度の導入について、総合公園など主要15公園を対象に検討を進めています。今春、その第一号として、百合が原公園が選定され、具体化に向け動きだしましたが、残念ながら旭山記念公園はそれに続く検討対象の公園には含まれておりません。

今回、一例として旭山記念公園を取り上げましたが、主要15公園以外にも、観光を始めとした潜在的な可能性を有する公園があり、パークPFI制度導入の検討においては、もう少し対象を広げてもよいのではと考えます。

また、本制度の導入において、検討対象がいずれも大規模公園であることも疑問であり、他都市の成功事例をみると、パークPFIではないものの、芝生広場とカフェの組み合わせで成功した南池袋公園は、市民に身近な街区公園で7,800㎡、また札幌市においても、中央区の永山記念公園ではカフェの営業で、大変喜ばれておりますが、約12,500㎡の近隣公園であります。

これらの事例は、パークPFI制度の導入において、公園の規模よりも、特性を活かすことが重要であることを示唆しており、札幌市においても今後は中小規模の公園への活用も視野に入れるべきと考えます。

そこで質問ですが、パークPFI制度の導入において、主要15公園に限らず、より対象を広げて検討していく必要があると考えますが、今後の市の進め方についてお伺い致します。

(3)新生活様式における循環型社会への取組について

ごみの収集や資源のリサイクル事業など、廃棄物の処理は国民生活を維持するために不可欠な行政サービスでありますが、清掃に携わる作業員への新型コロナの感染リスクが懸念されております。

このため、環境省では2020年1月以降、家庭や医療機関、事業所における廃棄物処理に関連する指針をまとめ、全国の自治体に発出いたしました。

これを受けて、札幌市では、清掃業務員等にマスクの着用や手洗いの徹底のほか、市民には、使用したマスクやティッシュは袋を2重にし、しっかりとしばって封をすること、感染者や感染の疑いのある方が出すペットボトル等の可燃性の資源ごみについては、「燃やせるごみ」として排出するよう周知し、収集やリサイクルに携わる作業員の感染リスク低減を図っております。

一方、地球環境の観点から感染症の課題について考えると、紙の大量消費や鉱山開発による森林伐採、さらに地球温暖化による森林火災で住処を追われた野性動物と人間が接近した結果、感染症のリスクが拡大しているとの指摘があります。

さらには、オゾン層破壊による紫外線の増加や、海洋のマイクロプラスチック問題に起因する、有害物質による免疫力の低下など、私たちを取り巻く環境は様々な感染症リスクを増加させております。
この度のコロナ禍において、生活様式が見直される中、デリバリーやテイクアウトの使い捨て容器が増加するなど、排出されるごみについても変化してきている状況があります。

こうした環境や社会の変化を考えますと、適切なごみ処理と、地球環境への負荷を低減しながら循環型社会に向け、取組を進めていく事が、新型コロナウイルスを含め、新たな感染症の発生を抑制していくためにも、極めて重要と考えるところです。

そこで質問ですが、新しい生活様式への対応が求められる中で、廃棄物処理を着実に行い、循環型社会を推進していくために、今後どのように取り組んでいくのか伺います。

答弁

(1)新型コロナウイルス収束後の観光振興について

〇観光は、集客交流人口を増加させ、街に賑わいを創出するとともに、様々な分野への波及効果が大きいことから、新型コロナウイルス収束後の経済復興を進める上においても重要な産業であると認識。

〇こうしたことから、新たな観光資源の発掘など、市内観光の魅力向上に引き続き取り組むとともに、感染の収束状況を見極めながら、誘客の取組を行う必要があると考えている。

〇そこで、まずは地域内での需要拡大を図るため、市民の市内における宿泊や、それに伴う消費活動を促す取組に着手したいと考えており、その後、感染状況を踏まえつつ、道内、国内、海外と段階的にターゲットを広げてまいりたい。

(2)パークPFI制度の今後の進め方について

〇パークPFI制度の導入については、これまで、先行的に集客力の高い主要15公園を対象として検討を進め、現在、北区の百合が原公園への導入に向けて、公募条件の整理などを行っているところ。

〇これまでに行った一連の調査では、事業者が公園に求める要素として、集客力に加え、交通利便性、知名度、景観などを重要視していることが明らかとなっている。

〇今後は、これらの調査結果や他都市の先行事例なども踏まえながら、主要15公園以外の公園についても、導入の可能性を探っていきたい。

(3)新生活様式における循環型社会への取組について

〇コロナ禍にあっても、社会経済活動を維持し循環型社会を持続させていくためには、ごみの収集や処理、リサイクルといった廃棄物処理を安定的に継続していくことが大変重要であり、札幌市の責務であると認識。

〇これから経済活動が少しずつ動き出す中で、感染リスク対策に十分配慮しつつ、新しい生活様式や市民意識の変化に適応した啓発等の在り方を模索しながら、循環型社会に向けた、一層のごみ減量・リサイクルに取り組んでまいりたい。

3.ICT社会の推進について

質問

(1)シビックテックの促進について

近年、シビックテックと呼ばれる市民活動が注目を集めておりますが、市民を意味するシビックと、技術を意味するテクノロジーとを掛け合わせた造語であり、ICT関連の技術を持つ市民や企業が、ICTを活用して地域課題の解決を図ろうとするものです。

今般の感染症の拡大局面においても、3月上旬という比較的早い時期に、道内エンジニアなどの尽力により、「北海道コロナウイルスまとめサイト」が公開されました。このサイトは、道内の感染者数や、本市への電話相談件数などのデータが、一般の方にも大変分かりやすいグラフで表示され、常に最新のデータが示され、市民に正確な情報を届けることに大いに貢献し、現にサイトの閲覧数は一日に5万件に達する日もあるとのことです。

現在、札幌市の公式ホームページ上でも、新型コロナに関連する情報を、グラフを用いた視覚的工夫がなされておりますが、こうした対応が行われたのは、民間サイトの開設よりしばらく後の事でありました。

このように、有事の際のシビックテックは、行政の活動を補完・補強し得る、非常に価値の高い市民活動であり、こうした活動を支援していくことが重要と考えます。

シビックテックを成立させるためには、行政において元となるデータを公開することが不可欠であり、それも単なる情報公開とは異なり、コンピューターが自動で読み込むことができ、自由に2次利用できる形態での提供、すなわちオープンデータとして公開することが求められます。

そこで質問ですが、かねてよりオープンデータの利用促進に取り組んできた札幌市として、今般の感染症拡大の経験を踏まえ、シビックテックのさらなる促進について、今後どのように取り組んでいくのかお伺い致します。

(2)企業へのテレワーク導入の推進について

働き方改革の一環として、これまでもテレワークが推進されておりますが、今般の感染症拡大を契機に、さらなる関心が高まっております。

柔軟な働き方が可能となるため、女性の活躍、高齢者や障がいのある方の、働き方の幅が広がり、離職防止や人材確保に繋がるだけでなく、コスト削減、生産性の向上などへの期待も大きく、テレワークの推進はまさに時代を捉えた重要な政策と言えます。

さらに積雪寒冷地で働く札幌市民には、危険な冬道通勤の回避、渋滞の緩和などのメリットも考えられます。

しかしながら、本年4月に実施された民間の調査結果では、全国のテレワーク実施率が27.9%であるのに対し、北海道は14.4%と依然として低い状況です。

その理由として、「適した業務がない」「通信設備や書類の電子化の環境が整っていない」「人事評価、勤怠管理が困難」など、経営者の理解が深まっていないことが一因であると考えられます。

平成28年第3回定例市議会の代表質問において、我が会派は、町田副市長から「テレワーク導入の課題を明らかにし、解決が図られるような企業支援を展開し、テレワーク普及を目指す」との答弁をいただきました。

さらに、先の第2回臨時市議会の補正予算により、「テレワーク等導入支援事業」をより多くの中小企業が活用できるよう、予算額を大幅に増額したことは、大いに評価いたします。

一方、準備期間も十分になくテレワーク導入を始めたことから、約6割の企業が、印鑑文化といった商習慣等の様々な課題に直面しているという報道もあります。テレワークを正しく理解するための啓発と体制の整備を行い、企業が安心してノウハウを蓄積できるように、札幌市が幅広く協力することが重要だと考えます。

そこで質問ですが、働き方の多様化を促すテレワークが根付くためには、企業への支援を中心とする継続的な取り組みが必要と考えますが、現状をどのように受け止め、今後どのように導入を推進していくのか伺います。

答弁

(1)シビックテックの促進について

〇ICTを活用した市民活動は、複雑化する地域課題の解消や多様化する市民ニーズの充足などが期待される有意義な取組であると認識。

〇未知の感染症が拡大する混乱の中にあって、札幌市や北海道のオープンデータを活用し、エンジニア有志による市民向け情報発信がいち早く実現したことは、危機管理における官民連携の新たな姿を示した一例であると考える。

〇こうした官民連携の動きを平時においても継続、発展させるためには、行政として、より質の高いオープンデータの公開が重要であり、このことは、先ごろ改定した「札幌市ICT活用戦略2020(ニーゼロニーゼロ)」においても掲げたところ。

〇今後とも、ニーズの高いデータの洗い出しやエンジニアにとって扱いやすいデータ形式での公開などを積極的に進めてまいりたい。

(2)企業へのテレワーク導入の推進について

〇企業におけるテレワークの導入については、多様な働き方の推進や人材の確保に資することはもとより、雇用を維持しながら事業活動の継続を可能とする感染症対策としても有効と認識。

〇本年5月に開設したテレワーク導入支援窓口には、技術的な相談や補助事業の申請などが数多く寄せられており、今般の新型コロナウイルス感染症拡大を契機に、中小企業において、導入の機運が高まっているものと受け止めている。

〇今後も、市内企業がテレワークを円滑に導入できるよう、企業へのヒアリング等を通じ、導入時の課題等を把握し必要なアドバイスを行うとともに、導入後の定着に向けた相談にも応じるなど、きめ細やかな支援を行うことにより、テレワークの導入を積極的に推進してまいりたい。

4.安心と充実の介護・子育て支援策について

質問

(1)介護現場における生産性向上・業務効率化について

①介護現場におけるICT等の導入
介護現場における業務は、介護する側とされる側の距離、すなわち人と人の距離が近いことが特徴の一つで、それが人の温もりを伝え安心感を与えるとも言われております。

限られた人材で継続的に介護サービスを供給していくために、これまでも介護分野への活用が検証されてきたロボット技術やICTの導入推進が大きく注目されているところであります。
介護現場におけるデジタル技術などを活用した生産性の向上が注目されておりますが、まだまだ普及しているとは言い難いのが現状であります。

人材不足が深刻化していく中、効率的に事業を運営していくためにも、デジタル技術などを用いて生産性の向上を図っていくことは、極めて重要であると同時に、新たな人材の参入を促進する意味でも非常に効果的でもあり、札幌市としても、いま以上に推し進めていく必要があると考えます。

そこで質問ですが、介護現場における職員の身体的・精神的負担の軽減のため、ICT等の導入は喫緊の課題と考えますが、札幌市の認識を伺います。

②業務効率化を進める介護事業所への支援
また、介護における業務の効率化は、より少ない人手でも成立する介護現場を実現していく上で必要不可欠であるだけでなく、重労働などのネガティブイメージを払拭するチャンスであるとも言え、よりスピード感を持って進めるべきと考えますが、札幌市として介護事業所をどのように支援していくのか伺います。

(2)在宅介護の諸課題について

①外出自粛によるフレイル予防や支援の進め方
感染症拡大予防のための外出自粛により、体を動かさない状況が増え、特に高齢者においては、こうした状況が長く続くことにより、知らず知らずのうちに精神的にも弱り、心身ともに虚弱となるフレイルが進むことが懸念されております。

我が会派では、高齢者の健康支援について、以前より、高齢者の健康を支える仕組みや、フレイル予防も含めた支援の充実に力を入れてきたところです。

そこで質問ですが、感染症による影響が長期化する中、こうした高齢者のフレイル予防や支援について、札幌市はどのように受け止め、進めていくべきと考えているか、お伺い致します。

②介護を必要とする高齢者への介護サービス継続
また、高齢者の身体状況や家庭の事情により、介護サービスを受けなければ生活できない世帯も多くある中、新型コロナウイルスの影響で、サービスの利用が制限される事例があると聞いております。感染拡大の防止のため、営業休止が求められる業種がある一方、こうした中にあっても介護を必要とする高齢者への介護サービスは継続する必要があると考えますが、札幌市ではどのような方針で対応しているか、また、介護サービスの利用制限の現状をいかに認識しているか、在宅での介護サービスを継続するために、介護事業所などに、どのような支援・取組が必要と考えるかお伺い致します。

(3)安心して子どもを生み育てられる環境について

我が党は、2006年に少子社会トータルプランを策定し、子どもの幸せや子育ての安心が確保される社会こそが、国民すべてに優しい社会であるとの考え方に立ち、子育てを社会の中心軸に位置づけ、社会全体で支援するチャイルドファースト、子ども優先の社会の構築を目指してまいりました。その中で長年の取り組みが実を結び、2017年には給付型の奨学金制度の実現、そして昨年10月からは幼児教育の無償化がスタートしたところです。

しかし、今般の新型コロナウイルス感染症の猛威は、社会・経済活動の停滞だけではなく、子どもの教育や子育て環境への影響も大変危惧されているところです。

国も5月末に、第4次少子化社会対策大綱を閣議決定し、その中で、「新型コロナウイルス感染症の流行は、結婚、妊娠・出産、子育ての当事者にも多大な影響を与え、安心して子どもを生み育てられる環境を整備することの重要性が改めて浮き彫りになった」とまとめました。

札幌市においては、今年3月に第2期さっぽろ未来創生プランを策定いたしました。そこでは人口減少や少子高齢化を踏まえながら、子どもを生み育てやすい環境を整えることを目指しており、その数値目標の一つに合計特殊出生率を上げ、2018年の1.14から、2024年には1.42まで引き上げると掲げております。今回の新型コロナウイルス感染症で、顕在化した子育てに関する不安や課題にも適切に対処し、数値目標も念頭に置きながら、十分な取組を進めていただきたいと考えます。

そこで質問ですが、今回の事態を踏まえて、今後、札幌市において、安心して子どもを生み育てられる環境づくりに、どのように取り組んでいこうと考えているのか伺います。

答弁

(1)介護現場における生産性向上・業務効率化について

〇1点目の介護現場におけるICT等の導入について
札幌市内の介護事業所においても、居室内の見守りセンサー設置やタブレット端末を活用した介護記録など、既にICT等を導入している事例もある。

〇ICT等を活用することは、業務時間の短縮や職員の負担軽減に繋がることから、介護人材不足を補完し、安定的な介護サービスの提供を継続するうえで有効であり、推進するべきものと認識。

〇2点目の業務効率化を進める介護事業所への支援について
札幌市においては、平成28年度から介護ロボット導入を検討している事業者を支援するために研修を実施してきたが、今年度は介護現場におけるAIやICTの活用を盛り込んだ研修を実施する予定。

〇国においては、介護ロボットやICT活用推進の加速化を図るとされていることから、札幌市としても必要な支援について引き続き検討してまいりたい。

(2)在宅介護の諸課題について

〇1点目の外出自粛によるフレイル予防や支援の進め方について
外出自粛の長期化により、高齢者のフレイル予防が一層重要であると受け止めており、自宅でも体を動かしていただくことが大切と考えている。

〇そのため、介護予防体操である「サッポロスマイル体操」を広く周知するとともに、介護予防センターでは、独自の取組を生かしたチラシ等を配布しているところ。

〇今後においても、閉じこもりがちな生活を続けることによる影響が広がる中、地域包括支援センターや介護予防センター、民生委員等と連携し、心配な高齢者の早期発見、支援に結びつけてまいりたい。

〇2点目の介護を必要とする高齢者への介護サービス継続について
介護サービスについては、厚生労働省の通知において、「利用者に 対して必要な各種サービスが継続的に提供されることが重要」と示されており、札幌市としても同様の方針で臨んでいる。

〇一方、ご質問にあったように、感染拡大防止の観点から、一定数の事業所が自主休業中と把握しているが、その間のサービスはケアマネジャーが代替事業所や代替サービスの調整を行い、可能な限り高齢者の身体状況悪化の防止に努めているものと認識。

〇また、在宅での介護サービス継続のため、感染拡大防止対策が重要であることから、介護事業所等にマスク及び消毒用エタノールの配布を実施している。

〇さらに、本議会において、新型コロナウイルス感染者や濃厚接触者が発生した施設や事業所等に対する、サービス継続を目的とした補助金について補正予算を計上させていただいているところ。

(3)安心して子どもを生み育てられる環境について

〇第2期さっぽろ未来創生プランでは、安心して子どもを生み育てられる環境づくりを進めるため、雇用の創出や、妊娠期から子育て期にかけての切れ目のない支援等に取り組んでいる。

〇雇用の維持確保の観点からは、今回の感染症拡大に対応し、融資制度の拡充やワンストップの相談支援、各種給付等を実施しているところ。

〇また、妊産婦や子育て世帯については、外出自粛等の影響が特に大きいと認識しており、孤立感や不安を軽減するために、子育てアプリを活用し、動画なども用いて、妊娠から出産、育児等の各段階で必要となる情報配信をしているところ。

〇今後、第2期プランを推進していくにあたっては、人と人との接触機会の低減によって、増大する子育ての不安をどう軽減するかといった課題等を踏まえながら、誰もが孤立することなく、安心して子どもを生み育てられる環境づくりを進めてまいりたい。

5.市民の安全・安心を守る取組の推進について

質問

(1)高齢者の交通事故の防止に向けた取組について

昨年は、滋賀県大津市や東京都の池袋などで大変痛ましい交通事故が相次いで発生し、全国的な社会問題となりました。札幌市では、昨年の交通事故における死者数が28人と、一昨年より8人増え、憂慮すべきこととして、亡くなった28人のうち、13人は65歳以上の高齢者であり、加害者という点では8人が高齢ドライバーの事故であるという事です。

悲惨な交通事故をこれ以上起こさないために、事故に遭わないこと、事故を起こさないことの両方の視点で、高齢者の交通事故防止に向けた取組を強化していくことが必要です。

これについては、昨年の第2回定例会の代表質問において、我が会派から、高齢者の交通事故防止に向けた安全教育と、運転免許証の自主返納の促進について、本市の取組を質問したところです。

そこで質問ですが、この間の取組状況を含め、札幌市は、高齢者の交通事故の防止に向け、今後どのように取組を強化していくのかをお伺い致します。

(2)地域における防犯の取組について

4月には、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、国による緊急事態宣言が出され、市民は外出の自粛に努め、一日の大半を自宅で過ごす日々が続きました。

このような状況の中、公的機関を名乗って給付金が出ると偽り、銀行口座の情報を聞き出そうとする不審電話やメールが問題となっています。中には、実際にキャッシュカードを騙し取られ、不正にお金を引き出されたという報道もありました。

また、刑法犯の認知件数は、2001年をピークに大きく減少しているものの、依然として身近なところで発生する窃盗犯や、不審者による子どもへの声掛け・つきまといの件数は多く、地域における防犯活動の強化が期待されているところです。

札幌市は、5月に第3次札幌市犯罪のない安全で安心なまちづくり等基本計画を策定し、市民の暮らしを守るため、お互いに協力し支え合うまちをつくるという基本方針を掲げております。

そこで質問ですが、この計画に基づき、地域における安全で安心なまちづくりを展開するにあたり、今後どのような取組を進めていくのかお伺い致します。

(3)潜在化するDVと児童虐待への対策について

①DV被害者への周知啓発
外出自粛の長期化により、家族での在宅が増えたことで、DVや児童虐待が増加しているとの報告が世界各国でなされ、4月には国連のグテレス事務総長はその危機感から、女性の保護への対応を各国に求めました。

国内でも、DV被害者の支援団体等から、在宅時間が増える状況では、DV被害者が外部に助けを求めにくくなり、逃げ場のない密室環境の中で、暴力が増えている、との声が上っております。
我が会派としても、家族で家にこもりがちな状況や、経済的なストレスなどを起因として、潜在化するDVが増加していることを強く危惧しております。

誰に、どこに、どうやって相談したらよいかも分からず、独りで配偶者との関係に悩む、そうした方が相談機関にアクセスしやすいように、テレビやラジオ、新聞、インターネットなど幅広い広報媒体を用いて、DVの相談機関の周知を積極的に行うといった対応が急務であると考えます。

そこで質問ですが、札幌市では、DVの相談件数について顕著な増減はみられないものの、潜在的なDVの増加が懸念されている状況を踏まえ、助けの声を上げることができないDV被害者に対し、どのように相談機関等を周知し、啓発していくのか伺います。

②子どもの状況に関する情報共有
児童虐待についても、本市の虐待通告件数は、新型コロナの影響で学校休業となった3月以降、前年同月比で増加する傾向が続いております。学校の休業により、親子が家にこもることによる虐待リスクの高まりに、注意する必要があったこと、また今後は、潜在的な児童虐待にも関係機関で連携し、対応していく必要があると考えます。

そこで質問ですが、生活環境の変化が生じるタイミングとなる登校や登園の再開は、子どもの様子の変化を捉える重要な機会となりますが、各関係機関において、子どもの状況についてどのように情報を共有していくのかお伺い致します。

③相談を促すための方策
また、DV相談と同様、児童虐待においても、いかに早期に相談に結びつけるかが重要であり、虐待につながる前の相談で、重篤な事態を回避できることは、少なくないと考えます。今回の感染症の拡大は、緊急事態であることも踏まえ、相談を促すような具体的方策を、どのように広く講じていくのかを伺います。

④市の組織内での連携強化に向けた取組
また、市役所組織内の連携強化も重要となります。昨年6月の中央区の痛ましい死亡事案から明日で1年が経過し、去る3月には検証報告書が提出されました。その提言には、協働を柔軟に行う組織の風土、文化を醸成することが重要との記載もあり、それらを踏まえ、市長から全職員に意識改革を促すメッセージが発出されています。潜在化しやすい児童虐待事案に対して、関係機関や関係部所が連携を図り、協働で支援を行っていくに当たっては、これまでも指摘されてきたとおり、一つの世帯、一人の子どもに対する、切れ目ない支援が重要となります。

そこで質問ですが、DV相談と児童虐待相談の連携など、市の組織内での連携強化に向け、今後どのように取り組んでいくのかお伺い致します。

答弁

(1)高齢者の交通事故の防止に向けた取組について

〇高齢者の交通事故の防止は、交通安全運動の重点項目に掲げており、
交通安全教室など日頃の啓発活動に継続して取り組んでいるところ。

〇また、事故を起こさないための取組としては、運転免許証の自主返納を促進するため、新たに「さっぽろ圏高齢者運転免許証自主返納支援制度」の運用を開始。今後は協力店を増やすなど制度の魅力を高めつつ、高齢者やご家族の方々への働き掛けを強めてまいりたい。

(2)地域における防犯の取組について

〇第3次計画では、基本施策の一つとして「地域における防犯活動の促進」を掲げており、日常生活や企業活動において防犯の視点を組み入れ、犯罪防止に結び付けていくことが重要と認識。

〇新型コロナウイルス感染症の影響により、防犯教室のような集合型の防犯活動が難しくなる中で、市民の方々が無理のない範囲で個々に地域を見守る「ながら防犯」のような取組がますます重要となっている。

〇今後の取組においては、様々な機会を通じて担い手のすそ野を広げながら、地域の防犯活動の充実を図ってまいりたい。

(3)潜在化するDVと児童虐待への対策について

〇1点目のDV被害者への周知啓発について
DVは、重大な人権侵害につながる問題として、平時から取組を行っているが、外出自粛に伴う家庭環境の変化などにより、増加や深刻化が懸念される状況にあるものと認識。

〇こうしたリスクの高まりを受け、地下歩行空間や各区戸籍住民課の窓口等でDV相談機関を紹介する映像を放映しているほか、広報さっぽろ6月号においても相談機関の周知を実施したところ。

〇また、加害者に知られることなく相談しやすい工夫として、男女共同参画センターでSNSによる相談を実施しており、DVを含む配偶者との関係に悩む声が寄せられている。今後も、こうした悩みに寄り添った相談体制を継続してまいりたい。

〇2点目の子どもの状況に関する情報共有と3点目の相談を促すための方策について
保育所や学校等での生活の様子、会話の内容や反応などから、子どものわずかな変化に早く気づくことが重要。

〇気づくためのポイントについて、要保護児童対策地域協議会で共有を図るとともに、子ども向けに相談窓口を周知するミニカードや保育士・教職員向けリーフレットの配布など、相談を促す取組を強化し、虐待の兆候を確実に捉えてまいりたい。

〇4点目の市の組織内での連携強化に向けた取組について
DV問題は子どもの虐待に直結することが多く、要保護児童対策地域協議会での対応を強化していくとともに、組織間連携や枠組みは児童虐待防止対策推進本部での課題としても取り組んでいきたい。

6.ICTを活用した学びの支援について

質問

(1)臨時休業中に実施した支援の効果について

今回、全国的に学校が長期休校となり、児童生徒や保護者からの学習の遅れに対する心配の声が上がり、私のもとにも多くの声が寄せられております。そのような中、国において、子どもたちの学びの機会を止めないために、ICTの最大限活用に向けて、あらゆる工夫を行うこととしております。

札幌市では、学習の遅れをできる限りとどめるため、4月の休校後、ホームページ上に家庭学習用の課題を掲載したほか、ALTの協力のもと英語の学習動画を配信するなど、幅広い取り組みを進めて参りました。また、教員と複数の子どもが同時に双方向でコミュニケーションを取れるZoomを活用した支援に着手するなど、ICTによる新たな取組を推進しているところです。

そこで質問ですが、今回の休校時の取組などを踏まえて、ICTの活用をさらに推進していくことが、これからの教育に必要と考えますが、札幌市が臨時休業で実施した、ICTの活用による学習支援の効果について、どのように認識しているかお伺い致します。

(2)登校が困難な子どもへの支援について

国が示したGIGAスクール構想は、児童生徒用に1人1台の端末を整備し、教育現場でICTを基盤とした先端技術を効果的に活用してくこと、としておりこの度の緊急経済対策の一環として、前倒しで実現されることとなりました。

今後、タブレット端末は学校内での活用に加え、家庭に持ち帰って使うことも可能となるなど、教育活動におけるICT活用の一層の充実が期待されます。GIGAスクール構想の目的は誰一人取り残すことなく、多様な子どもたちの学びを実現することであり、とりわけ、何らかの配慮を必要とする子どもに対しては、より丁寧な対応が必要と考えます。

この度の臨時休業中おけるICTの活用では、山の手養護学校において、テレビ会議システムを使用したホームルームや歴史の学習会などが行われ、自宅にいる子どもや併設する病院に入院する子どもが参加でき、大変好評であったと聞いております。

そうしたICTの活用は、緊急時の対応として行ったものですが、私も高校時代に3か月間入院し、再登校の際は全く授業について行けなかった辛い経験から、ケガや病気による長期入院を含め、さまざまな理由により登校できない状況にある子どもの学習支援は、学校の再開後においても学習機会を確保する大変有効な手段になると考えます。

そこで質問ですが、様々な理由により登校が困難な子どもたちへの学びの支援に対し、今後のICTの活用をどのように考えているか伺います。

答弁

(1)臨時休業中に実施した支援の効果について

〇長期間の臨時休業に対応するため、学習課題の提供や電話等による支援に加え、様々な動画や教員メッセージの配信による学習や生活の支援など、新たな取組を行ったところ。

〇特に双方向型のオンラインツールを活用したテレビ会議では、家庭で過ごす時間が長かった子どもたちが、教員や友人との対話を通じて、改めて人との関わりの大切さを実感したほか、学ぶ意欲の向上にもつながるなどの効果があったものと考えている。

(2)登校が困難な子どもへの支援について

〇この度のICTを活用した支援は、長期療養や基礎疾患により登校できない状況にある子どもたちにとって、途切れることのない学びを実現するうえで有効であったと考える。

〇今後、このような取組が、様々な理由により登校が困難な子どもたちにとっても効果的なものとなるよう、個々の状況に応じたきめ細かな支援について、関係機関の協力を得ながら検討を進めるなど、一人一人の豊かな学びを保障するための環境整備に努めてまいる。