札幌公明

議会報告Assembry report

2020/09/30 令和2年第3回定例議会

令和2年第3回定例議会2020/09/30

代表質問こぐち智久議員(東区)

札幌市議会本会議において公明党議員会を代表して こぐち智久 議員が代表質問を行いました。
以下、質問とそれに対する答弁の要旨を紹介します。

目次Contents

  •  市長の政治姿勢について
    • 令和元年度決算と今後の財政運営について
    • 北海道胆振東部地震から2年の総括と今後の取組について
    • 新型コロナウイルスとインフルエンザ同時流行の備えについて
    • デジタル社会の推進について
    • ウィズコロナ・アフターコロナにおける企業誘致、デジタル人材の育成について
  •  経済・雇用・文化芸術の支援について
    • 観光客が安心して訪れることができる環境づくりについて
    • 新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた雇用対策について
    • 文化芸術への支援について
  •  安心な暮らしについて
    • 大気汚染防止法の改正に伴うアスベスト飛散防止対策の強化について
    • コロナ禍における脱炭素社会に向けた取組について
    • 道路インフラへの影響に配慮した冬道の安全確保について
  •  市民のいのちと尊厳を守る体制について
    • いのちを守るがん対策について
    • 市民の尊厳を守る終活支援について
    • 新しい見守りの体制について
  •  教育課題について
    • 安全安心な登下校の取組について
    • 学びの質の充実について

1.市長の政治姿勢について

質問

(1)令和元年度決算と今後の財政運営について

①令和元年度決算

令和元年度決算は、一般会計予算の骨格予算として1兆193億円を計上し、その後、市長選を経て編成された肉付予算34億円を追加、さらに道路等災害復旧費や経済対策等に関連した国の補正予算等の活用により、最終的には1兆650億円となりました。

これに対し、歳入決算額は1兆28億円、歳出決算額は9,923億円となり、形式収支から翌年度への繰越財源を差し引いた実質収支は69億円で、このうち35億円が財政調整基金に積み立てられ一般会計純剰余金として、令和2年度へ繰り越すこととしております。

また市税決算額は、3,389億円と前年度から131億円の増加となり、堅調な伸びとなりました。

これら市税収入の増については、景気の動向や国の経済政策もありますが、札幌市が取り組んでいる観光や産業振興、再開発支援などアクションプランに掲げた事業に着実に取り組んできた効果も含まれると考えます。

市債残高については、全会計で令和元年度末残高が1兆6,572億円と前年度から148億円減となり、16年連続で減少となっています。一方、一般会計の市債残高は、1兆843億円で前年度から115億円の増となっているところです。

その要因は、臨時財政対策債が172億円増加したことによるものであり、建設債は57億円減少し、3年連続の減少となっております。

我が会派は、かねてより市民の生命(いのち)と生活を守るため、社会インフラをはじめとした防災・減災の強化を訴えており、経済の活性化にもつながるものとして、今後も国と連携を図りながら財源をしっかり確保していく必要があると考えます。

必要な公共投資に的確に対応していくためには、財政バランスを重視しながら、メリハリの効いた運営を行う必要があります。

そこで質問ですが、令和元年度決算において、公共投資と財政の健全性という観点からどのように評価しているか伺います。

②今後の財政運営

このたびの新型コロナウイルス感染症の経済への影響は甚大であり、インバウンドの急減に加え、大規模イベントの中止、不要不急の外出控えによる消費の落ち込みも著しく、日々深刻さを増しています。

市内の飲食店やホテル業界は、経営継続への不安を抱える事業者が増えており、また仕事や収入が大幅に減少している旅行業などの関連職種は、活躍の場の拡大や支援の充実などが急務となっております。

このほかにも、さまざまな業種に影響が出ていることを考えますと、それぞれの状況に応じたきめ細やかな対応や支援が必要とされ、状況に応じた柔軟な対応が求められます。

ついては、十分な財政的な措置が行えるよう、基金の活用を図りながら、行財政改革の推進と収入の確保に努める必要があると考えます。

そこで質問ですが、新型コロナウイルス感染症に係る財政需要に対応して、今後どのような財政運営をしていくのかを伺います。

(2)北海道胆振東部地震から2年の総括と今後の取組について

①被災地区の対応に関する総括と今後の取組

平成30年9月の北海道胆振東部地震から、今月で2年が経過しました。震災当日、東区では最大震度6弱を観測しましたが、私の自宅前である東15丁目・屯田通においては、断続的に路面の沈下や陥没が発生するなど、大きな被害が生じました。

しかしながら震災から日をあけず、東区災害防止協力会を始めとした地元建設業の皆様の協力のもと、約4.3㎞に渡る全区間をわずか10日余りで仮復旧するなど、極めて速やかに応急的な復旧がなされました。また、昨年度中にはおおむねの対策を終えるなど、大規模な被害にも関わらず、施工業者間で緊密に連携、調整したことにより、重要な幹線道路は復旧しており、市民生活への影響は、最小限に留められたものと評価するところです。

さらに、宅地や道路に大きな被害が発生した清田区里塚地区については、昨年度中に地盤改良工事を終えるなど、順調に対策工事が進み、損壊した戸建て住宅106棟の世帯主のうち、約9割の方が現地での住宅再建の意向を示していると伺っており、地域のコミュニティの再生が確実に進んでいると認識するところです。

これほど順調に災害復旧が進んだポイントの一つはスピード感ある対応です。発災後わずか3か月で住民に対策工法を示し、合意形成を経て、半年後には対策工事に着手したことは、全国的にも異例ともいえる早さであり、私の建設コンサル時代の経験から言ってもこれほど早い対応は聞いたことがありません。被災者を思いながら職員や建設関係者が不眠不休で対応をしていたことは想像に難くなく、果敢に厳しい現状に立ち向かった苦労と使命感を思うと胸が熱くなります。

さらに、もう一つのポイントは前例のない施工技術の活用と緻密な施工管理です。これは住宅の真下の地盤に特殊な薬液を注入するという工法で、地盤改良工法としては全国で初めて適用されました。これにより住宅再建と対策工事を同時に進め、復旧の取組を迅速かつ確実に行い市民に寄り添った対応をすることができました。

また、美しが丘地区などでは、住民説明会を重ねており、里塚地区と同種の支笏火山灰質土による盛土造成地の液状化に起因する被害に対し、今年度には再発防止の工事に着手できるとのことです。

発災以来、我が会派は被災地をくまなく歩き、被災者の方々の切実な声を受け止め、復旧復興施策の推進に全力を挙げてまいりました。被災する以前より災害に強く、より豊かなまちづくりを目指す創造的復興を一貫して求めており、あらためて、これまでの取組については評価するところです。

その一方で、いまだに仮住まいで生活を続けられている方もおり、地震からの復旧は、地域住民が住宅再建を終え、元の生活に戻られて、初めて完了するものと考えます。

そこで質問ですが、北海道胆振東部地震の発生から2年を迎え、被害が発生した地区の対応に関する総括と今後の取組について伺います。

②他自治体への情報発信と市の職員間での継承

この度の一連の取組を進めるに当たり、熊本市を始め、全国の自治体の過去の被災経験が参考になったものと聞いています。

近年、全国的に災害が頻発し、激甚化する中で、今回の札幌市の迅速な対応は、全国的にもモデルケースと言え、地震からの復旧を通じて得た知見やノウハウを全国に向けてフィードバックしていくことが重要と考えます。

また、市の職員間においても情報を共有、継承することで、職員の技術力、災害時の対応力の向上が図られ、市民が安心して暮らせるまちの実現につながるものと考えます。

そこで質問ですが、今回得た教訓や知見を、全国の自治体などに向けどのように情報発信し、共有していくのかを伺います。また、それらの知見を市の職員間で、どのように継承していくのかを併せて伺います。

(3)新型コロナウイルスとインフルエンザ同時流行の備えについて

①これまでの取組で明らかになった課題とその検証

これまで我が会派は5回にわたり、秋元市長に対して、新型コロナウイルスに関する緊急要望を行い、感染拡大防止対策と経済の立て直し、更には文化芸術振興の推進など必要とする支援策を具体的に提言して参りました。

札幌市においては、今年2月の「第1波」、そして、4月初旬からの「第2波」と、二つの感染拡大の波に襲われました。

特に、第2波は、医療機関や高齢者施設などで集団感染が発生し、患者が急増、一時は受け入れ病床がひっ迫するなど、大変緊迫した局面を迎えましたが、その後、市内の医療機関の協力などもあり、5月中旬には最大350床の病床と、930室の宿泊療養施設を確保することで、事態を乗り切ったところです。

緊急事態措置として実施された外出自粛や休業要請は、感染拡大の防止対策として効果があった一方、地域経済に及ぼした影響は甚大なものとなりました。また、市内小中、高等学校の一斉休校の実施による子ども達の学力の遅れも懸念され、市民生活の至る所に大きな傷跡を残しております。

この第2波で実施した対策により感染状況が落ち着いている今この時期、改善すべきは改善し、第3波への備えを進めることが必要不可欠と考えます。

そこで質問ですが、札幌市として、これまでの取組を振り返り、どのような課題を認識しているのか、また、その検証をどのように進めているのかを伺います。

②今後の体制強化に向けた取組

新型コロナウイルス感染症の収束が未だ見えない中、これまでの検証を踏まえた今後の取組をより一層推し進めていかなければならないと考えます。

特に、これからの季節に懸念されるインフルエンザと新型コロナウイルスの同時流行を想定した対策は最重要と考えます。

医療体制に関しては、需要の増大が予想される検査の実施体制をどのように強化するのか、また、発熱者の発生をできるだけ抑えるには、インフルエンザワクチンの接種機会の確保をどう進めるかなど、対応しなければならないことは多く、課題は山積しております。

そこで質問ですが、これらの体制強化について、どのような取組を行っていくのか、現時点の市の考え方について伺います。

(4)デジタル社会の推進について

はじめに、デジタル技術を活用したコミュニティづくりにおけるデジタルデバイドの是正について伺います。

新型コロナ感染症の拡大で顕在化したさまざまな課題を克服し、より良い未来社会に移行するための重要な要素の一つに、デジタルトランスフォーメーションと呼ばれるデジタル技術の浸透が挙げられます。

例えば、テレワークや遠隔診療、遠隔教育などを始めとするリモートサービスは、コロナの拡大をきっかけに一気に活用が進みました。この動きは、市民の意識に変化をもたらすこととなり、働き方改革や生活様式そのものを見直すことにつながっております。

我が会派では、このような変化が、地域コミュニティのあり方などを、より良い方向に変えていくものと期待しております。ある町内会では、高齢化している役員が、地域の若者に教わりながら、Zoom(ズーム)やLINE(ライン)などの通信アプリを用いて、オンライン会議を開催しているそうです。前向きに取り組む姿勢は大変素晴らしく、デジタル技術の利便性に触れ、関心が高まり、より高度な活用につながることが期待されます。

例えば、人と人とをつなぐデジタル技術は、ご高齢の方や障がいのある方の見守り、孤立の防止、災害時の安否確認、避難誘導など、皆で支え合う地域コミュニティの実現に大いに活用される可能性があります。

ここで重要なのは、このデジタル技術の流れに取り残される人をつくらないようにしていくことです。

札幌市のアンケート調査では、インターネットを利用していない市民の割合は減っているものの、まだ2割の方が利用しておらず、60歳以上の方が、そのほとんどを占めているとのことです。

我が会派では、新型コロナウイルスの感染拡大前から、この問題に着目し、昨年の第3回定例会の決算特別委員会や、本年1月の総務委員会などにおいて、デジタルデバイド是正の重要性を訴えて参りました。

そこで質問ですが、デジタル技術の活用により、人と人がつながり、支え合う地域コミュニティを実現するため、デジタルデバイドを是正する観点から、インターネット等を利用しないとする市民の割合を減らしていく方策について、どのように考えているのかを伺います。

続いて、行政におけるデジタルデバイドへの配慮について伺います。

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、市民が窓口に来庁せずに必要な手続を可能とするオンライン申請などのニーズがより一層高まっており、先ほど申し上げたデジタルトランスフォーメーションの動きは、行政分野においても進められていくものと考えます。

人口減少社会のさらなる進展等に伴い、行政における職員の確保が困難になることも予想され、市民サービスの維持・向上の観点からも、行政のデジタル化は避けられません。

一方で、令和元年12月に改正された、国が定める「デジタル・ガバメント実行計画」の中では、行政のデジタル化の目的は、あくまでも国民の利便性向上等に資することであり、デジタル化を進めた結果、馴染みのない方々の利便性が低下してしまうことは本旨(ほんし)ではなく、デジタルデバイド対策に取り組むことが重要との考えが示されております。

そこで質問ですが、今後、行政のデジタル化を進めていくにあたって、デジタルに不慣れな市民に対する配慮について、どのように考えているかを伺います。

(5)ウィズコロナ・アフターコロナにおける企業誘致、デジタル人材の育成について

全国的なコロナ禍による都道府県別の累計患者数は、全人口の5割が住む3大都市圏で実に全体の75%以上を占めており、人口の過密地域による感染リスクの高さが浮き彫りとなりました。

国では、これまで、東京圏への人口の過度の集中を是正し、それぞれの地域で住み良い環境を確保し、将来に渡って活力ある日本社会を維持していくために、「まち・ひと・しごと創生本部」を平成26年に設置し、地方創生に係る施策を総合的かつ計画的に実行してきたところです。

当初の計画期間となる5年間が経過しましたが、目標に反して、東京への転入は増え続け、平成30年には13.6万人の転入超過となり、東京への一極集中はより顕著となっております。

しかし、この大都市圏への人口一極集中の状況は、コロナ禍により、図らずも大きな転機を迎えるものとなりました。

今や企業の経営上、リスク分散によるBCP対策、3密回避のための生活面の重視や、デジタル技術を活用したテレワークの実践が急務となり、東京ほど過密ではないまでも一定のインフラが整備されている、まさに札幌市のような地方都市への関心は高まっており、大都市圏の企業・人材を誘致するチャンスであると考えます。

また、ウィズ・アフターコロナでは、デジタル技術に支えられた新しい日常が展望される中、企業の積極的なデジタル化・オンライン化がさらに推進され、企業誘致にとっては、デジタル技術を支える人材の集積があるという条件は、これまで以上に重視されるものとなります。

本年1月の通常国会に提出された『ものづくり基盤技術の振興施策』、いわゆる『ものづくり白書』において、デジタル人材育成に向けた地方自治体のユニークな取組として、札幌市の「SapporoAILab」でのAI人材育成や、企業・大学との連携により、小中・高・大学生の各段階に応じたデジタル人材を育成する「みらいIT人材育成事業」が、取り上げられておりました。

今後、新型コロナウイルス対策への予算配分が最優先とされる中、ウィズ・アフターコロナにあっても、札幌市の未来、将来を見据えていかなければなりません。

これまで企業誘致や人材育成など様々な取組を進めてきたことを、しっかりと継続、発展させ、地域に企業と人材を呼び込む大きなチャンスにしてほしいと考えます。

そこで質問ですが、ウィズ・アフターコロナにおける、これからの企業誘致、デジタル人材の育成についてどのように考えるのかを伺います。

答弁

(1)令和元年度決算と今後の財政運営について

■1点目の令和元年度決算について

〇令和元年度決算の建設事業費は、公共施設等の耐震化、インフラの更新などの都市の強靭化や、北海道胆振東部地震の復旧・復興など1,004億円となり、4年連続で1,000億円以上を確保した。

〇また、市税収入の増などにより実質収支は69億円の黒字となったほか、一般会計市債残高は、財政措置のない市債の発行抑制を図ったことにより、アクションプラン2019で見込んだ額を下回る水準にとどめることができた。

〇このように、まちづくりに必要な投資は積極的に進めつつ、将来世代に過度な負担を残さない、バランスのとれた財政運営を行うことができているものと認識。

■2点目の今後の財政運営について

〇新型コロナウイルス感染症の影響の長期化が見込まれる中、感染症拡大の防止や新しい日常への転換など、新たな行政需要に対しては、今後も躊躇なく財政出動し、機動的に対応していく。

〇その財源確保については、財政調整基金の残高を一定程度確保しつつ、必要に応じて積極的な基金活用を行ってまいりたい。

〇また、全ての経費について効率化を徹底するとともに、社会・経済情勢に応じた事務・事業の見直しを行うなど、「選択と集中」による、メリハリの効いた財政運営に努めてまいりたい。

(2)北海道胆振東部地震から2年の総括と今後の取組について

■1点目の被災地区の対応に関する総括と今後の取組について

〇被害が甚大であった、里塚地区と東15丁目・屯田通の対策工事については、国の支援のもと、住民の皆様や関係企業、札幌市が協力し、三位一体となって進めてきたことにより、2年という短い期間でおおむね終えることができた。

〇また、美しが丘地区などについても、地域のご理解をいただき、今年度より、地震被害の再発防止に向け、地下水位を下げる対策などに順次着手するところ。

〇今後については、引き続き、対策工事をしっかりと進めていくとともに、地域の皆様に寄り添った丁寧な対応に努め、一日も早く被災前の生活を取り戻せるようしっかりとサポートしてまいりたい。

■2点目の他自治体への情報発信と市の職員間での継承について

〇里塚地区の被害は、全国にも例のないものであったが、その対策や対応を検討する過程において、国の研究機関や関係する研究実績の多い大学、さらには全国の被災経験のある自治体などから頂いた助言が、大変参考になったところ。

〇このため、札幌市としても今回得た技術的な知見や、現地事務所を活用した対応などについて、既に全国会議や関係する学会などを通じて、一部発表しているところであり、今後も広く情報発信してまいる。

〇また、市の職員間においては、研修会などを通じて今回の経験を継承し、職員の技術力や対応力の向上に生かしていく考え。

(3)新型コロナウイルスとインフルエンザ同時流行の備えについて

■1点目のこれまでの取組で明らかになった課題とその検証について

〇4月以降の「第2波」では、まず、PCR検査につなぐ相談・検査体制の整備や病床の確保などの感染者対応が、急激な感染拡大局面において、十分に対応できなかったところ。

〇また、感染拡大防止策として実施した、外出自粛や休業要請により、市内事業者の売上げが落ち込み、社会経済活動に影響が生じたことなどが課題であると認識。

〇今後は、第2波で得た経験を踏まえ、医療提供体制の強化などを進めるとともに、市民生活や社会経済への影響を最小限に留めるべく、より効果的な取組を進めることで「第3波」に備えてまいりたい。

〇検証については、現在、最終的な調整を行っている段階であり、北海道の中間検証の結果や、先日の調査特別委員会でのご議論も踏まえ、早急に取りまとめてご報告いたしたい。

■2点目の今後の体制強化に向けた取組について

〇札幌市ではこれまで、新型コロナウイルスの感染拡大に対応するため、帰国者接触者外来医療機関やPCR検査センターの設置などにより、随時、必要な体制を構築してきたところ。

〇今後予測される新型コロナウイルス感染症とインフルエンザの同時流行により、発熱患者が大幅に増加することが懸念されるため、民間検査機関の協力を得て検査能力を拡充するほか、診療と併せて検査を行える医療機関を増やすことで、更なる検査体制の強化を図る。

〇また、高齢者を対象とするインフルエンザワクチン接種の助成について、各種広報媒体を活用し周知することなどにより、接種の促進を図っていくところ。

〇このように、医療体制や検査体制の強化、ワクチン接種の促進など、包括的に取り組んでまいりたい。

(4)デジタル社会の推進について

〇今後、様々なデジタル技術が加速度的に社会に浸透していくことが予想される中、市民がスマートフォンやパソコンなどに普段から慣れ親しんでいただく環境づくりが重要だと考える。

〇昨年度、札幌市では、スマートフォンの利用を参加条件とした「健康ポイント事業」を実施。参加者のおよそ2割が60歳代以上の方であったが、操作方法を丁寧にご説明させていただき、円滑に実施できたところ。

〇また、行政のデジタル化にあたっては、オンライン申請の拡大のみならず、デジタルに不慣れな市民に配慮し、電話によるサポートや、郵送による申請も合わせて検討しているところ。

〇今後も、このようなデジタル技術に触れる「きっかけづくり」や「手厚い支援」、「多様な手法」の組み合わせにより、デジタルデバイドへの対応を図ってまいりたい。

(5)ウィズコロナ・アフターコロナにおける企業誘致、デジタル人材の育成について

〇コロナ禍の影響を受け、リモートワーク促進やリスク分散の観点から、オフィスの立地や働き方に関する企業の考え方に変化が現れており、こうした状況は、札幌市にとって企業の進出への関心を高めてもらう契機であると認識。

〇これまで札幌市では、本社機能移転に対する補助制度を設け、通勤時間の短さや都市と自然の調和といった優位性を打ち出しながら、積極的な誘致活動を展開するとともに、昨年度からは「みらいIT人材育成事業」を立ち上げ、企業・大学との連携による寄附講座の開設や児童・生徒を対象としたプログラミングの学習機会を提供しているところ。

〇企業の地方進出においては、人材の集積が特に重視されることから、こうした事業の内容の充実や参加者の増加を図るなど、より多くの若者に技術習得の機会を設けデジタル人材を育成することによって、今後も企業誘致を積極的に進めていきたい。

2.経済・雇用・文化芸術の支援について

質問

(1)観光客が安心して訪れることができる環境づくりについて

我が会派では、かねてよりコロナ禍における市民の観光需要創出の重要性を主張してきたところでありますが、この夏に実施された宿泊割引や観光施設無料化といった施策は、市民ニーズに合致し、経済の域内循環やシビックプライドの醸成につながるなど、その効果を高く評価しております。

また、国のGoToトラベルキャンペーンの対象に、10月から東京都発着の旅行が追加されるなど、今後は道外からも観光客を呼ぶフェーズに移行していくことになると思われます。

こうして国内の誘客競争が激化する中、多くの観光客に訪れてもらうためには、札幌ならではの誘客対策が必要となります。その取組を検討する上で、コロナ禍の影響を受けて観光客のニーズが変化していることも十分に考慮しなければなりません。

例えば、今年6月に日本交通公社と政策投資銀行が実施したインバウンドの意向調査では、「新型コロナウイルス終息後の訪日旅行に期待したいこと」として「衛生面における配慮、清潔さ、消毒などのウイルス対策全般の継続」を最も重視するといった結果が出ております。既に海外では、国単位で感染防止対策のガイドラインを策定し、認証制度が創設される所もあると聞いております。

そこで質問ですが、観光客が旅行地における感染防止対策に関心を寄せる傾向が強まっている中、観光客が安心して訪れることができる環境づくりについて、市長の認識を伺います。

(2)新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた雇用対策について

①雇用情勢と今後の求職者支援

新型コロナウイルス感染症の拡大によって経済が停滞し、今年4~6月期の実質国内総生産(GDP)では年率換算で28.1%減と、戦後最悪のマイナス成長になったという内閣府の発表がありました。

経済の足元を支える雇用情勢についても、更なる悪化が懸念されており、令和2年7月の札幌圏での有効求人倍率は0.84倍と前年度の数値を大きく割り込み、併せて事業主都合による離職者が増加しています。

特に、札幌市の経済を担う宿泊業や飲食業などを中心に、雇用情勢が悪化し、立場の弱い非正規労働者の解雇や雇い止めの動きが加速されていくことが懸念されます。

加えて、札幌市では労働者全体に占める非正規の割合が約40%を占め、全国と比較しても高いことから、感染症拡大の影響を受けやすい労働者が多いことを危惧しております。

安定した雇用は、事業者の健全な経営で成り立つものであり、労働者は安定した収入によって消費支出を増加させていくことから、経済の好循環を築いていくためにも、事業者と労働者双方の視点に立った一体的な経済対策を展開していくことが重要です。

このような中、感染症拡大の影響で離職等を余儀なくされた求職者に対して、給付金付きの就職支援「さっぽろ雇用セーフティ事業」が我が会派の提言により実施されておりますが、今後の雇用情勢の悪化に備えて、さらなる就職支援の取組を実施すべきと考えます。

そこで質問ですが、札幌市は現下の雇用を巡る情勢について、どのように認識しているのか、また、今後どのように求職者への就職支援を実施していくのかを伺います。

②学生への地元就職支援

大学生の就職活動は、3~6月が最も活発となりますが、感染症拡大の影響により、企業説明会が相次いで中止となるなど選考活動を一旦停止する企業もありました。

また、内定の取消や自宅待機といった事例のほか、来春以降の採用を控えるなど、特に現在の大学3年生は就職活動に大きな影響が出ると見込まれております。

高校生も、例年と異なる就職環境にあるため、採用選考日程が1カ月先送りとなり、就職活動に不安を抱く生徒がいるものと推察致します。

過去に経済情勢の悪化により、就職氷河期という時代があり、厳しい雇用環境の中で希望する就職が叶わず、不本意ながら、不安定な仕事に就く方々がいたことが課題となっておりました。コロナ禍の今、一番大事なことは積極的に札幌市が就職支援を実施していくことと考えます。

感染症拡大の影響による生活様式の一変で、密を避けた生活を望む人が増えており、7月の総務省の人口移動報告では、東京都から他の道府県への転出は2,522人超過しています。

感染予防対策を兼ねた多様な働き方として、テレワーク等が促進されていますが、これらの流れは、若者の地元定着や人材還流の追い風となります。

学生への地元就職支援は、中長期的な視点から、労働力人口や札幌経済の維持につながっていくものであり、離職者への支援と併せて力を入れていくべきと考えます。

そこで質問ですが、今後、学生の地元就職に対して、どのような支援を行っていくのかを伺います。

(3)文化芸術への支援について

本市では、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、長期にわたる不要不急の外出自粛や休業要請が求められ、これにより多くの文化芸術関係者の活躍の場や、市民が文化芸術に触れる機会が失われました。

6月以降に文化施設は再開しましたが、東京の文化施設において来場者も含めた集団感染が発生したとの報道があり、劇場等に向かう市民の足取りが重くなっていると感じられます。

このため、文化施設の再開後も、文化芸術活動を取り巻く状況は依然として厳しいものがあると認識しております。

そこで、わが会派では8月3日に、新型コロナウイルス感染症に伴う文化芸術活動の支援に関する要望書を市に提出したところです。

文化芸術活動の再開・振興に向けて、課題を的確に把握する必要があり、そのためには、多様な表

現分野の関係者と行政による政策形成のための議論の場となるネットワーク組織を設置すること等を求めております。

また、文化芸術活動に関する相談窓口として札幌芸術文化交流センターSCARTS(スカーツ)の周知徹底を図り、新型コロナウイルス感染症拡大防止のために客席数を大幅に減らすなど、対策を実施する施設管理者の経営が悪化しないよう、文化芸術施設の使用に係る支援等も要望しております。

コロナの終息が見通せない中で、人々が生き生きと暮らし、生活に潤いや豊かさをもたらすために不可欠である文化芸術の灯(ひ)を絶やさず、感染症拡大防止の徹底と文化芸術活動の再開・振興を力強く後押しする支援が必要です。

そこで質問ですが、文化芸術に携わる方々の置かれている現状についての認識と今後の支援について、本市の考えを伺います。

答弁

(1)観光客が安心して訪れることができる環境づくりについて

〇ウィズコロナの時代においては、観光客の感染防止対策に対する意識が高まることから、安全で安心できる旅行先として選ばれる街を目指すことが重要。

〇これまで札幌市では、多くの観光客が訪れるすすきの地区や定山渓地区が独自に行う感染防止の取組に対し、いち早く支援を行ったほか、市内全域の宿泊施設の感染防止対策も進めてきた。

〇今後も、観光事業者等と連携を図りながら、感染防止対策をしっかりと進めるとともに、取組内容を広く発信することにより、観光都市としての安全・安心ブランドの構築に努めてまいりたい。

(2)新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた雇用対策について

〇1点目の雇用情勢と今後の求職者支援について

札幌市の雇用情勢については、有効求人倍率が7か月連続で前年同月を下回っており、さらに、今後、解雇等の雇用調整による離職者の増加も懸念される状況にあるものと認識。

〇このため、新型コロナ特別就業専門相談窓口における個別支援や、さっぽろ雇用セーフティ事業の拡充のほか、早期の再就職を目指す方がその場で採用面接を受けられる合同企業説明会である「ワークフェスさっぽろ」の開催等、求職者に寄り添った切れ目のない支援を継続してまいりたい。

〇2点目の学生への地元就職支援について

コロナ禍により、売り手市場だった昨年から一変し、大規模な採用を控える企業が増えていることに加え、密な生活を避けるため地方就職への意識が高まっていることから、地元就職を積極的に支援する契機となると認識。

〇学生の地元企業への就職を促進するため、今年度から新たに奨学金返還支援やインターンシップなどの取組を実施するほか、道外の学生については、UIターン就職センターにおいて、オンラインで相談や就職説明会等を実施するなど、支援の充実を図っているところ。

〇さらに、今後も、学生に対して様々な地元企業の魅力のPRに取り組むほか、若者の就職志望が高いIT関連企業や正社員登用が多く見込まれる企業を積極的に誘致し、雇用の受け皿を増やすことで、若者の地元就職をより一層支援してまいりたい。

(3)文化芸術への支援について

〇緊急事態宣言を受けて施設が閉鎖されたことを受け、文化芸術活動に携わる方々の活動の機会が著しく減少したことから、これまで、無観客での公演を実施し、その様子を映像配信する費用の補助等を行ってきたところ。

〇6月以降文化施設は再開し、9月19日以降は入場者数の制限が一部緩和されたものの、新型コロナウイルスの収束が見通せない中、依然として、文化芸術団体等が積極的に公演活動等を行いにくい状況が続いているものと認識。

〇コロナ禍にあっても、文化芸術の灯を絶やさないため、公共施設及び民間施設のうち一定の要件を満たす施設の会場費の一部を補助することで、文化芸術活動の再開を支援してまいりたい。

3.安心な暮らしについて

質問

(1)大気汚染防止法の改正に伴うアスベスト飛散防止対策の強化について

これまで我が会派は、札幌市に対しアスベストの危険性や健康被害等に関する国の動向に敏感に対応するよう、代表質問などを通じ、求めてきました。

アスベストは安価で多様な機能を有し、長年、社会に広く利用されてきたという背景があるため、対策には粘り強い、継続的な取組が必要であります。

アスベストの規制は、大気汚染防止法により、これまでも段階的に強化されてきておりますが、今年の1月、国の機関である中央環境審議会から、石綿含有成形板などのいわゆるレベル3建材を規制対象に追加するとの答申がありました。

これを踏まえて、国は「環境の日」と定める6月5日に、改正大気汚染防止法を公布し、一部を除き、来年4月から順次施行される運びとなりました。

今回の法改正のポイントは、主に4点からなります。まず一点目として、アスベスト含有建材が使われた建築物や工作物の解体等工事について、これまで対象ではなかったレベル3建材も含めて、すべての建材を規制の対象とすることです。

二点目は、解体等工事の前に、アスベスト使用の有無の調査を有資格者が行う方法等を明確化し、調査結果は都道府県などへの報告を新たに義務づけ、適切に実施させること。

三点目は、法に違反し、隔離等をせず、吹付けアスベスト等建材の除去作業を行うといった行為に対し、作業基準を遵守させるために直接罰を創設すること。

四点目は、アスベスト含有建材の除去作業についての記録を保存するとともに、発注者への報告を義務づけ、アスベストの取り残しを防止することであります。

いずれの内容も、市民の安全・安心を守るため、非常に意義のある改正であると認識しております。しかしながら、法律がいくら整備されても、行政職員が実際の工事現場を直接確認し、また、事業者に法改正について普及・啓発を進めなければ、その実効性を欠いてしまう結果になるのではないかと危惧しております。

これまでも、札幌市は、条例により独自の作業基準を定めるなど、他の自治体に先駆けた取組を行うとともに、吹付けアスベストや煙突用断熱材など、レベル1、2のアスベスト含有建材の除去作業については、原則としてすべての除去現場への立入調査を行い、適切な飛散防止対策の監視指導を徹底していると承知しております。

今回の法改正により、規制対象となるアスベスト関連の工事件数は、現在の5倍から20倍に増加するとのことですが、札幌市にはアスベスト飛散防止対策に一層注力するよう期待するところです。

そこで質問ですが、法改正に対応するため、札幌市の監視体制を充実させる必要があると思いますが、札幌市の認識と飛散防止対策の強化に向けた取組についてお伺いします。

(2)コロナ禍における脱炭素社会に向けた取組について

我が会派は、これまで喫緊の課題である気候変動対策に向けて、SDGsの推進、具体的には水素エネルギーの普及やなどを取り上げ、札幌市が積極的に脱炭素社会を実現するように求めてきました。

今年の第1回定例会の代表質問では、地球温暖化に伴う気候変動対策について質問したところ、市長からは「2050年には温室効果ガス排出量の実質ゼロを目指す」と、ゼロカーボンシティ宣言が行われ、脱炭素社会の実現に向けて積極的に取り組んでいく姿勢が表明されました。

先日、国連のグテーレス事務総長は、日本の企業や都市が積極的に脱炭素社会に取り組んでいることに対し「非常に興味深い」と評価され、政府もCO2排出量「実質ゼロ」を宣言した自治体を「応援していく」と述べております。

暖房エネルギー消費量が大きい積雪寒冷地である札幌市がゼロカーボンシティを実現すれば、他の都市にもその可能性は広がっていくと考えられ、我が会派としても大いに評価をしているところです。

また、水素エネルギーについては、災害に強く、環境に優しいまちづくりの視点から、モデル街区の整備を検討していくと聞いており、水素エネルギーのサプライチェーンモデルとなるよう期待しています。

現在、新型コロナウイルス感染症の拡大により、社会情勢や経済状況が大きく変化しておりますが、一方で地球温暖化は刻一刻と進行しており、この危機的な状況はもはや先送りが許されず、今こそ取り組まなくてはならない人類の課題と言えます。

札幌市では、2月14日に新型コロナウイルスの感染者が確認されて以降、ソーシャルディスタンスの確保等、ウイルス対策に向けた行動変容が求められ、中でも室内における感染症対策として十分な換気を行うことは特に大切であると考えます。

これから暖房が欠かせない季節となりますが、室温を下げずに効率よく換気を行うには、高断熱・高気密な建築物に熱交換効率の高い換気設備を設置することで、暖房エネルギーを節減しながら、働き手の健康と快適な室内環境を守り、業務の生産性も高めることができます。

従来から札幌市においては、冬の暖房エネルギー対策として、建物の気密性や断熱性能を高めていく取組を進めてきました。この技術を活かした高断熱・高気密な建築物に、高効率な換気設備を導入することで、エネルギー消費量を大幅に削減したゼロエネルギービル、いわゆるZEB(ゼブ)を目指すことができ、このZEBの普及を進めることで、気候変動対策の推進と新型コロナウイルス対策の両立を図ることができます。

札幌市においては、今もZEBの普及を進めているところではありますが、市自らがZEBを導入し、ウィズコロナ、アフターコロナへの有効性を民間にも広めていくべきではないかと考えます。

そこで質問ですが、ゼロカーボンシティを目指す札幌市において、気候変動対策の推進とウィズコロナ、アフターコロナの課題を同時に解決していくため、高効率換気設備の導入をはじめとする、さまざまな技術を活用したZEBを、率先して市有施設に導入すべきと考えますが、市の考えを伺います。

(3)道路インフラへの影響に配慮した冬道の安全確保について

多雪・寒冷な大都市である札幌市は、冬期間の安全・安心な市民生活や社会経済活動を支えるため、除排雪のみならず、凍結路面対策についても、環境の変化に着実に対応すべく力を注いできました。

平成4年には、スパイクタイヤからスタッドレスタイヤへの転換が一気に進みましたが、その一方で、「つるつる路面」が社会問題となり、それを契機に凍結防止剤の散布が始まりました。

本格的に散布し始めた当初は、環境にやさしく、錆を生じさせにくい有機系の凍結防止剤(CMA)が使用されていましたが、つるつる路面を可能な限り早く解消するため、即効性のある塩化物系の凍結防止剤へと切り替わっていきました。

他の積雪寒冷地でも、価格や性能の面から、塩化ナトリウム単体の凍結防止剤が使用されるようになりましたが、一方で塩化物による金属の腐食が進行するため、道路の付属物や地下埋設物などの道路インフラに悪影響を与えることが懸念されています。

近年、全国的にも道路インフラなどの維持管理が課題とされており、国や札幌市を始めとした各自治体で、橋梁などの主要な構造物の維持管理を行うに当たり、これまでの事後保全から予防保全型の維持管理への移行による長寿命化が進められています。

札幌市としては、つるつる路面対策はもちろんのこと、道路インフラへの配慮が重要と考え、「融氷性能」や錆の発生を抑える「防錆性能」の基準を設けた性能規定を平成18年度から導入し、これによって防錆剤を入れた塩化ナトリウムの凍結防止剤が主流となり、道路インフラなど腐食への影響は一定程度抑えられていると考えられます。

しかしながら、近年の気象変動による小雪や寒暖差の影響で、凍結防止剤の散布量は増加しており、さらに道路のひび割れによる地下埋設物への影響などが懸念されております。

腐食や損傷によるインフラの修繕には多額の予算がかかり、さらには整備にも長い期間を要するため、予防保全型の取組が一層と重要となります。そうした観点から近年、凍結防止剤についての様々な研究が進んでおり、インフラをより長く維持できるよう、凍結防止剤の「防錆性能」の向上、さらにスタッドレスタイヤの性能の向上も踏まえた、適切な散布方法の再検討なども必要ではないかと考えます。

そこで質問ですが、凍結路面対策について、凍結防止剤の「防錆性能」の向上を図るとともに、散布の対象路線や頻度を見直すなど、道路インフラへの影響に配慮した冬道の安全確保に向けて取り組むべきと考えますが、市の見解を伺います。

答弁

(1)大気汚染防止法の改正に伴うアスベスト飛散防止対策の強化について

〇今回の大気汚染防止法の改正は、石綿含有成形板などレベル3建材を新たに規制対象とするなど、大幅な規制強化が行われるものであり、職員による立入調査の拡大や講習会の開催などによる普及啓発が極めて重要であると認識。

〇このため、規制対象工事件数の増加に対応し、アスベスト飛散を防止するための監視指導体制を整備、強化してまいります。

(2)コロナ禍における脱炭素社会に向けた取組について

〇2050年に温室効果ガス排出量の実質ゼロを目指す脱炭素社会を実現するためには、オフィスビル等におけるエネルギー消費を大幅に削減することができるゼロエネルギービル、いわゆるZEBに取り組むことも重要な対策の一つ。

〇加えて、ZEBで使われる技術の中には暖房エネルギーを削減しながら換気をすることができる高効率換気設備などのように、気候変動対策だけでなく感染症予防にも効果が高いものがあると認識。

〇今後は、市有施設における、高効率な設備の導入や高断熱化、再生可能エネルギーの導入など、様々な技術の活用によるZEB化の検討を進めていくことで、気候変動対策と感染症予防の両立を図ってまいりたい。

(3)道路インフラへの影響に配慮した冬道の安全確保について

〇凍結路面対策については、道路インフラへの影響に配慮して取り組むことが重要であると認識。

〇そのため、凍結防止剤の防錆性能については、雨水と同程度の結果が得られるように仕様で定めており、更なる性能向上に関しては、その必要性や経済性などを総合的に判断していく必要があるものと考えている。

〇また、散布の対象路線や頻度については、現在、主なバス路線や幹線道路を対象とし、昼夜の温度差により早朝の路面凍結が予想される場合などに散布を行っているところ。

〇今後も道路インフラへの影響に配慮しながら、気象状況などに応じた適切な路面管理に努めてまいりたい。

4.市民のいのちと尊厳を守る体制について

質問

(1)いのちを守るがん対策について

医学が進歩した現代でも、日本人の3人に1人はがんで死亡すると推計されており、40年近くにわたり、わが国の死亡原因の1位を占めております。

この9月は60年の歴史を刻む「がん制圧月間」です。がんは早期発見、早期治療の開始で死亡率の低下が期待されることから、全国の自治体で対策型検診として胃がん、大腸がん、肺がん、子宮がん、乳がんの検診を実施していますが、受診率を見ると、令和元年の国民生活基礎調査では改善状況が見られるものの、国が掲げる目標には達していないのが現状です。

さらに、追い打ちをかけたのが、コロナ禍によるがん検診の受診率の低下です。密を避けたことによりがん検診のみならず持病をお持ちの方が本来かかるべきである医療機関の受診を控え、悪化させてしまったという事例もあります。

実際に、北海道知事が2月28日に緊急事態宣言を行ってから、国の緊急事態宣言が解除される5月25日までの期間において、各区の保健センターや地域の会館等で行う集団がん検診が一時的に中止され、医療機関においても従事者の感染リスクを避けるために、がん検診を休止していたところもあったと聞いています。

日本対がん協会によりますと、新型コロナウイルス拡大の影響で、検診を受ける人が今年は例年より3割以上減ると見込まれるとのことです。

がんを早期発見できず、以後の治療が困難になることは、生命にかかわる重大な問題であり、抗がん剤等による治療が長期にわたった場合は、患者のQOL(生活の質)の低下につながる問題でもあります。

札幌市による集団検診は既に再開されておりますが、コロナ禍にあって、いまだに感染を恐れて受診を控えている人も多くいると考えます。新型コロナウイルスの感染拡大は、そのままがんの早期発見、早期治療の機会を奪うことに繋がっており、今後、検診の受診者数が持ち直しに向かっても、これまでの影響を免れないのではないのでしょうか。ウィズコロナと言われる今、改めてがん検診の重要性を伝え、多くの市民ががん検診を受診するよう働き掛け、がんによる死亡率の減少に努めていくことが市民の健康増進やQOLの向上に繋がるものと考えます。

そこで質問ですが、札幌市における新型コロナウイルスの感染拡大によるがん検診への影響について、また、今後、がん検診の受診率の向上にどのように取り組んでいくのか伺います。

(2)市民の尊厳を守る終活支援について

引き取り手のない遺骨につきましては、全国的に増加傾向にありますが、札幌市におきましても、2006年度の54件から昨年度は264件増の318件と大幅に増加しております。

この引き取り手のない遺骨のほとんどは、身元が分かるものの身寄りがない、あるいは親族と疎遠になっているなどの様々な理由から、引き取られていない状況にあります。

また、子どものいないご夫婦で、先立った夫の墓の場所を知る妻が亡くなった場合、「遺骨をどこに納めてよいのかわからない」といった例や、遺書には通帳に残るお金で火葬し無縁仏にしてほしいと記してあるにもかかわらず、事前の手続きがないため、宗教儀式ができないまま供養せず市が火葬を行い、無縁納骨堂に納骨するといった例のように、本人の思いとは異なる葬り方をされた事例があることも承知しています。

このような中、遺体・遺骨に関する事務を担う本市区役所の業務量は増加の一途をたどっておりますが、本人の意向に沿った遺骨の埋葬は、高齢期の安心に欠かせないものであることを十分に認識し、対応を考えるべきであります。

例えば横須賀市では、終活支援事業として2015年から「自治体が何もしなければ、死後引き取り手の無い遺骨になる市民の思いを聞き、尊厳を守る」という理念のもと、民業圧迫に留意しつつ、市と協力葬祭事業者が連携し、所得・資産の制限や、頼れる親族がいない高齢の市民といった5条件を定め、該当者には低額で火葬から納骨までを行う、という「エンディングプラン・サポート」事業を実施しております。

また、この事業開始後には、所得制限により対象とならない方々からも「頼れる親族がいない」「自分が倒れた後が心配」との相談が数多く寄せられるようになり、2018年から、終活支援の第2弾として「わたしの終活登録事業」を開始しました。

これは以前であれば、市は、本人の住民票から戸籍附票を調べ、判明した親族の氏名と住所から「NTT電話番号案内」に照会すれば、すぐに親族と連絡が取れていたものが、携帯電話の普及により電話番号案内の役割は弱まり、すぐに親族と電話で連絡できない事態が相次いでいることが背景にあるのです。

そこでこの登録事業は、本人が元気なうちに、本人の希望と同意に基づき、終活に関する情報を市に登録しておいて、万一の時に、病院・警察・消防・福祉事務所の4者と、本人が指定した者からの問い合わせに対して、市が本人に代わって回答をするものです。

亡くなった方の緊急連絡先が分からない場合、費用の問題もあり、市役所に問い合わせが入ることがほとんどですが、その際、本人に代わって意思を伝えるハブ機能をもつことで、「緊急連絡先や民間事業者」と、「病院や警察」とのミスマッチの解消につなげることを狙いとしております。

そこで質問ですが、身元が分かっているにもかかわらず引き取られない遺骨が増えている状況について、どのように認識しているのか、また、安心して人生の最終章を送るため、エンディングプラン・サポートや終活登録などの「終活支援」事業を始めるべきだと考えますが、いかがかお伺いします。

(3)新しい見守りの体制について

札幌市の刑法犯認知件数は、年間で約11,000件、1日当たり30件の犯罪が発生しております。また、犯罪には至らないものの、子どもや女性への声掛け・つきまといなどの行為も多発している状況です。

犯罪のない明るい社会の実現は、市民共通の願いであり、市内の各地域では各種団体を中心に、日々熱心な見守り活動などが行われております。

しかしながら、2018年に国が策定した「登下校防犯プラン」では、「既存の防犯ボランティアが高齢化し、担い手が不足している」、「『地域の目』が減少した結果、『見守りの空白地帯』が生じている」という課題が挙げられております。

こうした課題の解決策として、我が会派はその有用性を訴え続け、防犯カメラ設置支援制度が創設されるなど、犯罪の抑止や事件の早期解決、日々の防犯活動の負担軽減にも寄与しております。

防犯カメラの設置に関する市民の意識は、ここ数年で大きく変化し、最近の意識調査では約97%の市民が設置に賛成という結果もあり、その有用性は大きく認められております。

最近では、新たな見守りの手法の一つとして、車両に設置されるドライブレコーダーを活用する自治体も出てきており、このドラレコは近年、悪質なあおり運転や事故の証拠映像としての活用を契機として、その設置が急速に進んでいるところです。このドラレコによる見守りの取組について、我が会派は調査・研究を進め、先日もこの取組を進める企業を訪問・視察し、ドラレコによる見守りの有用性と犯罪抑止力としての可能性を大いに確信してきたところです。

また、この取り組みを先進的に行っている兵庫県尼崎市にも話を伺い、新たな見守りの形として「ドラレコ見守り協力者」を募集し、その趣旨に賛同する市民が、「オリジナルデザインのステッカー」を車に付け、「動く防犯カメラ」として市内約900台の車両がこの取り組みに参加し、市民に安心感を与えております。さらに市の公用車もこの取組に加わり、自治体として犯罪は許さないというメッセージの発信に繋げております。犯罪のない明るい社会の実現には、こうした「ドラレコによる見守り」などの取組を行うなど、多様な担い手による地域の見守りの目をより確保していくことが必要と考えます。

そこで質問ですが、本市のこれまでの地域の見守り活動に当たっての課題、そしてそれを踏まえ、今後、どのように取り組んでいくのかを伺います。

答弁

(1)いのちを守るがん対策について

〇がん検診受診者数については、昨年同時期との比較で全てのがん検診で大幅な減少が見られ、特に5月の大腸がん検診の落ち込みが最も大きく、昨年比で2割にも満たない受診状況となっていたところ。

〇しかし、5月25日の緊急事態宣言解除後は受診者数の改善傾向が見られ、大腸がん検診の受診者も7月には昨年比で約9割にまで回復するなど、受診控えはかなり減少してきていると認識。

〇今後もがんの早期発見、早期治療のため、SNSの活用やメディアと連携し、更なる受診率の向上に向けて様々な機会を通じた普及啓発を強化してまいる。

(2)市民の尊厳を守る終活支援について

〇引き取り手がなく合同納骨塚に納められる遺骨の数は、単身高齢者の増加や親族間の関係の希薄化などから増えてきたものと認識。

〇いわゆる終活については、近年、社会の関心の高まりに伴って、民間事業者等が様々なサービスを提供するようになってきているところ。

〇札幌市としては、民生委員や福祉のまち推進センター等と連携しながら、高齢者の孤立の防止や緊急連絡先の把握等に取り組んできており、引き続き、こうした地域の活動への支援により、市民の安心につなげてまいりたい。

(3)新しい見守りの体制について

〇札幌市では、これまで、地域の団体や事業者等を中心に、防犯活動に取り組んできたが、防犯活動の担い手不足は、札幌市が行った調査結果からも明らかとなっており、見守りの裾野の拡大は、安全に安心して暮らせるまちの実現に向けて重要な課題であると認識

〇そのため、本年5月に策定した「第3次札幌市犯罪のない安全で安心なまちづくり等基本計画」において、個々人が散歩や買い物など日常の活動を行う中で、気軽に地域を見守る「ながら防犯」を、重点的に推進することとしたところ。

〇今後、ドライブレコーダーを活用した見守りを含め、ながら防犯の様々な手法について、その課題や効果などを調査・研究してまいりたい。

5.教育課題について

質問

(1)安全安心な登下校の取組について

新型コロナウィルス感染症による学校の臨時休業が長期に及び、その影響を受けた短い夏休みも終わり、子どもたちが元気に登校している姿が見られるようになりました。このような中、通学路において不審者の情報が出ており、登下校中の子どもの安全確保に対し、大変不安に感じるという保護者の声を私自身、数多く聞いております。

日々警察や各地域の見守り活動も行われており、多くの大人の目で子どもたちを見守ることが、犯罪を事前に防止する大きな力になっているのは周知のことと思います。しかしながら、地域の取組は多種多様であり、さらなる取組を行っていくことには限界があるとも考えます。

平成30年の文部科学省が示した、通知によれば「通学路の緊急合同点検等の徹底」、「登下校における安全確保対策の強化」を柱に、家庭、地域、警察等の関係機関と連携し、学校や地域の実情に応じた安全確保対策について確実に取り組むこととしています。

私は、この中に示された、父兄から評価の高いICタグを活用した対策をぜひ全校で登下校の安全確保の推進のため実施すべきと考えているところです。

こうした登下校管理システムを導入している小学校は、本市においては、8月現在で198校のうち、約6割で取り入れられております。しかしながら、この登下校管理システムは、平成25年に市立小学校の校長会で説明があったものの、導入状況にばらつきがあり、私の地元である東区の保護者からは「他の区に居た時はこのサービスを受けられたのに、転校先の学校では同じサービスが受けられないのは残念」等の声をいただいております。保護者が安心して子どもを学校に通わせるためには、こうしたシステムの更なる導入が必要と考えるところです。

このICタグを活用した登下校管理については、積極的に各学校に周知すべきであり、安全安心な登下校の実現に向けて、様々な取組を重ねていく必要があると考えます。

そこで質問ですが、こうした状況等を踏まえ、学校における安全安心な登下校について、今後どのように取り組んでいくのかを伺います。

(2)学びの質の充実について

新型コロナウイルス感染症は、現在においても収束には至っておらず、長期化することが想定されるところです。

現在、学校では、この春に行った全市一斉の臨時休業によって生じた学習の遅れを解消すべく、学校での学習活動を重点化しております。さらに家庭学習や外部人材による放課後の学習支援を組み合わせるなど、学習効果を高めるよう工夫しており、夏休み期間にも授業を設け、今年中には、学習ペースを通常の状況に戻せる見込みと聞いております。

また、運動会や修学旅行などの学校行事についても、感染症対策の徹底を図ることはもとより、子どもたちの心情面や教育的意義を踏まえ、内容や実施方法を見直し、今できることを工夫して取り組んでいると伺っています。

学校は、様々な苦労を抱えながらも、子どもたちの豊かな学びを実現するために、教職員が知恵を絞り、保護者や地域の方々からの協力を得て、努力を重ねる日々が続いております。

こうした状況の中、国においては、今後の感染症の拡大により、学校が臨時休業になったとしても学びを止めないためのツールとして、全ての児童生徒に一人一台のタブレットを整備するGIGAスクール構想の実現を当初予定よりも加速させ、札幌市においても、今年度中に一人一台のタブレットを整備する予定です。

ウィズコロナの新しい生活様式の実行と、一人一台のタブレットの活用という大きな変化の中で、学校教育は転換期を迎えています。

我が会派としては、このたびの新型コロナウイルスの影響による大きな変化を、前向きにチャンスと捉え、今までとは違う発想で乗り越えていく姿勢が必要と考えます。個々に応じたきめ細やかな指導や集団での学び合いなど、学校ならではの学びの質の充実に向けた取組を進めることが重要であると考えます。

そこで質問ですが、感染症対策による様々な制約があるなか、教育委員会として、子どもの学びの現状について、どのような課題があると認識しているかを伺います。

また、加速するGIGAスクール構想を踏まえ、今後、どのように学びの質の充実に取り組んでいくのかを伺います。

答弁

(1)安全安心な登下校の取組について

〇これまでも、各学校では、通学路の安全点検やスクールガードによる見守り活動、防犯パトロールなど、警察や地域と連携し、地域ぐるみで安全安心な登下校に取り組んできたところ。

〇このほか、子どもが自ら危険を予測し身を守ることができるよう、関係機関と連携した安全教室の開催や、地域の安全マップの作成など、防犯教育を推進している。

〇今後は、これらの取組に加え、メールによる不審者情報の迅速な発信やICタグを活用した登下校管理といった、情報機器による防犯対策等についても各学校に周知するなど、地域や学校の実情に応じた効果的な取組がさらに進められるよう努めてまいりたい。

(2)学びの質の充実について

〇現在、学校では、3密を避けながら教育活動を行っており、これまで大切にしてきた子ども同士の活発な議論や実験・制作など、協働的な学びを従来通りに行うことが難しい状況にある。

〇一方で、一人一台のタブレットを整備することにより、子ども同士が画面を通して意見を交わしたり、協力してレポートやプレゼンテーション資料の編集を行ったりするなど、これまでとは異なった協働的な学びが可能となる。

〇さらに、教師が、クラスの子ども全員の学習状況を手元のタブレットで即時に把握し、適切なアドバイスを行うなど、子ども一人一人に応じたきめ細かな指導を行うことができるようになる。

〇教育委員会としては、今回のGIGAスクール構想を機に、タブレット等を効果的に活用した新たな学びの在り方について、モデル校による研究開発を行い、各校に普及啓発を図るなどして、より一層学びの質の充実に努めてまいる。

〇そこで、今回の東京2020大会では、共生社会ホストタウンとして、7月のウクライナの男子ゴールボールチームの事前合宿を通じた様々な交流を展開したいと考えているところ。

〇具体的には、オリンピック開幕直前の盛り上がりに合わせ、子どもたちによる歓迎セレモニーのほか、選手との交流会、応援パブリックビューイングなどの交流機会を創出することで、一人でも多くの市民に心のバリアフリーの輪を広げてまいりたい。

〇なお、ホストタウンの取組は継続が重要とされており、今回のウクライナについては冬季パラリンピック競技も盛んなことから、大会後も幅広い交流を重ねることにより、心のバリアフリーへの理解とともに、誰もが互いにつながり、支えあう共生のまちの実現に取り組んでまいる。

10.誰一人取り残さない教育の実現について

質問

(1)障がいのある子どもたちへのICTの活用について

Society5.0と言われるこれまで以上に情報機器等の活用が進む時代においては、在宅での勤務の可能性も広がるなど、障がいのある方の社会自立も大きく進むものと考えられます。

しかしながら、そのためには、やはり、できるだけ早い時期から、それらの機器に実際に触れ、なじみ、使いこなすことが大事であり、一人一人への端末の整備は必須な要件であります。

市立札幌みなみの杜高等支援学校では、生徒一人一人がタブレット端末を使って一日の活動の振り返りをしたり、自分たちでプレゼンテーションを考えて発表したりするなど、大変、教育効果が高いものと感じているところでもあります。

そこで質問でありますが、このGIGAスクール構想を踏まえ、今後、障がいのある子どもたちへのICTの活用についてどのように考えているか伺います。

(2)公立夜間中学について

昨年11月に閣議決定された国の『子供の貧困対策に関する大綱』においても、「人口規模や都市機能に鑑み、全ての指定都市において夜間中学が設置されるよう促進するとともに、夜間中学の教育活動の充実や受け入れる生徒の拡大を図る」とされています。

政令指定都市である札幌市が設置する公立夜間中学は、札幌市民の学び直しのための学び舎となることは言うまでもありませんが、札幌市で働くなどの周辺市町村の方のための夜間中学としての役割も期待されているものと思います。

そこで質問でありますが、札幌市外の方の受け入れについて、どのように考えているのか伺います。

答弁

(1)障がいのある子どもたちへのICTの活用について

〇ICTの活用は、障がいによる様々な困難の軽減につながるものであり、個々のニーズに応じた教育の推進に大きく寄与するものと認識。

〇そのため、札幌市では、特別支援学級等において、他都市に先駆けてパソコン等を活用し、効果的な指導に役立ててきたところであり、通常の学級に在籍する障がいのある子どもについても、同様の対応が必要であると考えていたところ。

〇このたびのGIGAスクール構想を受け、一人一台のタブレット端末を整備することにより、子どもの状況に応じたICTの活用が可能となることから、障がいの有無にかかわらず、共に学ぶ教育環境のユニバーサルデザイン化を進めることができるものと考える。

〇今後は、更なるICTの効果的な活用について、実践を積み重ねるとともに、これらの普及啓発を図るなどして、全ての子どもたちが自己の能力を最大限発揮する豊かな学びが、より一層展開されるよう、取組を進めてまいる。

(2)公立夜間中学について

〇公立夜間中学の設置にあたり、生徒が市内の様々な地域から通学することが見込まれることから、交通利便性の高い都心部における開設を目指して検討を進めているところ。

〇また、平成22年の国勢調査では、小樽市や北広島市等の近隣市町村においても、1,000名程度の義務教育未就学者がいることから、一定のニーズがあるものと考えている。

〇一方で、近隣市町村の方々の受け入れについては、費用負担を始めとした課題があるものと認識しているところ。

〇今後、こうした課題について、北海道や近隣市町村とそれぞれの役割分担の協議を行うなど、より多くの方への学び直しの場の提供に向けて検討してまいる。