札幌公明

議会報告Assembry report

2018/12/06 平成30年第4回定例議会

平成30年第4回定例議会2018/12/06

代表質問本郷としぶみ議員(中央区)

札幌市議会本会議において公明党議員会を代表して 本郷としぶみ 議員が代表質問を行いました。
以下、質問とそれに対する答弁の要旨を紹介します。

目次Contents

1.秋元市政4年の検証と今後のビジョンについて

質問

秋元市政スタート後に策定された「さっぽろ未来創生プラン」によると、将来の確実な人口減少に対する市民意識として、不安を感じる市民は5割を超えるなど、時代の大きな転換期は、市民の多くが不安や閉塞感を抱えがちです。

このような転換期だからこそ、政治家としての熱き思いや原点、初心、あるいは抱負といったものに裏打ちされた「秋元市長ならではの札幌市の将来ビジョンや未来像」といったものを市民に示し、語りかけていくこともまた重要であり、そのことが市民の不安を取り除いていく特効薬になると思うのです。

市長は就任直後、メディア取材に対し、炭鉱の閉山により、経済基盤が揺らいだ街から友人が次々と去っていく夕張で過ごした幼少期の記憶に触れ、しっかりとした雇用・経済がなければ福祉も始まらない、だから経済施策を重点的に訴えたいと述べられ、経済か福祉かではなく、経済も福祉も目指す姿勢を打ち出し、市職員に対しては、今の私は皆さんと35年間一緒に仕事をした秋元ではない、と述べられました。

だからこそ、市長におかれましては、今一度政治家としてのご自身の原点や初心に立ち返っていただき、元行政マンの視点とは異なる別次元の視点から秋元市政の4年間の取組をしっかりと検証し、時代の転換期のその先にある、来るべき新たな時代につなげていただきたいと考えておりますし、市民の負託を受けた政治家として、そのプロセスは必要不可欠であると考えます。

そこで質問ですが、秋元市政1期目約4年を振り返って、取組結果をどう評価しているのかお伺いします。さらに、今後の市政に対する取組姿勢について、市長の考えを伺います。

答弁

〇私は、2015年に市長に就任して以来、「誰もが安心して暮らし生涯現役として輝き続ける街」「世界都市としての魅力と活力を創造し続ける街」の実現に向けて、「まちづくり戦略ビジョン・アクションプラン2015」を速やかに策定し、計画的に市政運営に取り組んできた。

〇その結果、市民の皆様にお約束をしていた政策や事業は、ほぼ達成することができたと考えている。

〇また、私はこの4年間、大都市札幌のまちづくりを進めるうえで、50年先、100年先のまちの姿を見据えた判断が重要と考え、市政を進めてきた。

〇具体的には、北海道新幹線の札幌延伸に向けた札幌駅交流拠点整備や都心アクセス道路整備の検討を進めたほか、49社の企業誘致やMICE誘致の推進、観光振興などに取り組んできたことに加え、将来のまちづくりを見据えて、冬季オリンピック・パラリンピックの招致活動を進めてきた。

〇人口減少・超高齢社会という時代の大きな転換点を迎える中で、多くの行政課題があるが、引き続き「人を大事にすること」を原点に据え、私が描く札幌の未来像の実現に向けて全力で取り組んでまいりたい。

2.北海道胆振東部地震からの復興に向けた対応について

質問

(1)災害対応の検証と地域防災計画への反映について

地震の発生から3か月が経過し、札幌市内では、多くの市民が日常生活を取り戻しておりますが、大きな被害を受けた方々の生活再建に向けた取組はまだまだこれからであります。

こうした中、我々の元には、避難した被災者から、避難所におけるプライバシーの確保、食事環境の改善、ペット同行の避難などの問題についての声が寄せられました。また、避難所の開設情報を始めとした重要な情報の迅速で正確な伝達方法のほか、停電時のマンション高層階への給水や災害により発生したごみの処理、さらには住宅を含めた生活再建に関する相談体制の在り方など、様々な課題が浮き彫りになりました。

札幌市においては、すでに災害対応の検証に着手していると聞いておりますが、その検証結果を踏まえた対応については、地域防災計画への反映と併せて防災マニュアル等の見直しを行うなど、しっかりと機能する地域防災体制づくりに取り組んでいただきたいと考えております。

そこで質問でありますが、災害対応の検証、さらにはその対策に当たって、どういった点を重視して進めているのか。また、地域防災計画への反映についてどう考えているのか、お伺いします。

(2)住宅の耐震改修の促進について

耐震化に関するこれまでの取組の評価

住宅の耐震診断については、条例制定当初は、申請件数が年間30件程度で推移しておりましたが、熊本地震の影響もあり、平成28年度に211件、平成29年度には339件の診断を実施しております。また、今年度は、このたびの地震を受けて、すでに予定を大幅に上回る申請があったと聞いております。

しかし、一方で、耐震診断後の耐震改修工事については、平成28年度7件、平成29年度4件と伸び悩んでおります。これまでは大きな地震もなかったことから、地震の危険性や耐震改修の効果についての認識がそれほど高くなかったことが、具体的な改修工事に至らない要因であったのではないかと推測しております。

住宅の耐震化に関する札幌市の取組目標として、第2次札幌市耐震改修促進計画では、平成25年度に87%であった耐震化率を平成32年度(2020年度)までに95%とする数値目標を掲げていますが、その目標に向け、耐震診断により耐震性が低かったものについては、その次の行動に進めるような仕掛け、後押しが必要ではないかと考えております。

そこで、質問でありますが、平成17年度の条例制定を皮切りに、札幌市の耐震化に向けた取組も10年が経過しましたが、これまでの取組について、どう評価しているのか、お伺いします。

住宅の耐震化を推進する今後の取組

また、市民の関心の高い今こそ、住宅の耐震化をより強力に推し進めるべきと考えますが、今後どのように取り組んでいかれるのか、お伺いします。

(3)被災者の住宅再建について

液状化により深刻な被害を受けた清田区里塚地区では、11月16日現在の住宅被害は全壊64棟、大規模半壊33棟、半壊27棟であります。

札幌市では、この地区の復旧に向けて、直ちに地盤調査を実施し、その結果に基づき、被災した地区全体の復旧計画を取りまとめ、11月15日に開催した第3回目となる地元説明会で、住民に対策工法を提示しました。

我が会派では、地震からの復旧・復興を迅速かつ効果的に進めるため、札幌市が早急に補正予算を編成・執行することや、一部損壊以上の住宅被害を受けた市民に対し、一刻も早い生活再建に資するよう、応急仮設住宅への入居要件の緩和や義援金の迅速な配分など、各種支援策の充実強化を図ることなどを求める要望書を秋元市長に提出したところであります。

これに対し、札幌市では、先の第3回定例市議会において直ちに補正予算を編成し、地盤沈下や住宅の傾きなど宅地被害の復旧に向けた支援制度を創設するなど、住宅再建や宅地復旧に向けた動きを加速させております。

そこで、質問でありますが、液状化で特に被害の大きかった里塚地区の宅地復旧、住宅再建に向けて、どのように取り組んでいくのか伺います。

(4)札幌市の強靭化について

札幌市では、急速な高齢化の進行や人口減少社会の到来といった課題に加え、冬季オリンピックを契機に進められた都市基盤の老朽化という問題を抱えた大きな転換期にあります。

こうした中、市民の生命のみならず、札幌の経済や社会を大規模な自然災害等から守るためには、従前の発災後に行う対処療法的な対策ではなく、平時からの備えに重点を置いた施策が必要になっています。

防災・減災に向けた行政の不断の努力はさることながら、今回の地震を通じて、あらためて大規模災害等への平時からの備えに対する重要性を認識した市民、さらには災害時に事業の継続が困難となった企業が、災害を「わが事」として捉え、一丸となって連携することによってはじめて、市長が発言された「これまで以上に強い都市」を実現できるものと思います。

そのためには、市長が強いリーダーシップを発揮し、まずは被災した地域の速やかな復旧・復興に全力で取り組み、札幌市の強靭化に向けて目指すべき方向性をしっかりと示し、防災・減災・復興を札幌市政や社会の主流にしていくことが極めて重要であると考えております。

そこで、質問でありますが、これまで以上に災害に強い都市の構築に向け、札幌市の強靭化をどのように進めていくおつもりか、そのお考えをお伺いします。

答弁

(1)災害対応の検証と地域防災計画への反映について

〇災害対応の検証や対策に際しては、行政側からの視点だけではなく、被災された市民目線からアプローチすることも重視して進めている。

〇検証を行う中で、これまで整備してきた計画やマニュアルの不足や不備、市民や職員への周知が不十分だったことなど様々な課題が見えてきているところ。

〇それらの課題についてしっかりと整理検討し、地震に限らず風水害など多様な災害にも対応できるよう、マニュアル等を含め、地域防災計画へ反映していく。

〇短期的に対応可能なものは、スピード感をもって進めることとし、既に運用面の見直しなど対策を講じているところ。一方、計画的に対応すべき事柄にあっては、十分な検討を重ねた上で進めることとし、災害に強いまちづくりに取り組んで参りたい。

(2)住宅の耐震改修の促進について

1点目の耐震化に関するこれまでの取組の評価について

〇条例制定を受けて耐震診断に対する補助を開始して以来、補助の対象を設計や改修工事へも段階的に広げるとともに、補助率を引き上げるなど、随時制度の見直しを進めてきている。

〇また、補助事業の実施体制の拡充に向けて建築士を対象とした診断員登録講習会を毎年開催するなど、耐震化を促進するための様々な取組を継続してきたことが、近年の診断実績の増加につながったと考えており、一定の成果があったものと認識。

2点目の住宅の耐震化を推進する今後の取組について

〇これまで行ってきたホームページや広報さっぽろなどによる情報提供に加え、戸建て住宅の所有者に耐震化事業の紹介パンフレットを直接配布するなど、より積極的な普及啓発に努めてまいりたい。

(3)被災者の住宅再建について

〇里塚地区の復旧においては、コミュニティの再生が最も重要であると考えている。

〇時間の経過とともに再生が難しくなるという東日本大震災の例から、発災からおよそ2か月後の第3回地元説明会において対策工法をお示しするなど、スピード感を重視して取り組んでいるところ。

〇同時に、被災者個々の状況に違いがあることから、復旧工事との調整に当たっては、それぞれの事情に配慮しながら進めていく考え。

〇今月に予定している第4回地元説明会においては、復旧工事の詳細と具体的スケジュールを提示し、地域の理解を得たうえで、一日でも早く復旧が進むよう全力で取り組んでいく所存。

(4)札幌市の強靭化について

〇このたびの大規模な自然災害に直面し、あらためて平時からの備えを通じて、人命を守り、経済や社会への被害を最小化し、迅速に復旧・復興させることが重要であると認識。

〇まずは、今年度末までに取りまとめる災害対応の検証結果等を踏まえ、できるだけ早い時期に札幌市強靭化計画を改定し、今後の具体的な取組を市民にお示しする考え。

〇そのうえで、行政の取組だけでなく、市民一人ひとりが、住宅の耐震化など、平時から被害の軽減に取り組むことや、企業が施設等の耐震化や災害時における事業継続体制の構築に取り組むことなどの自主的な活動を促してまいりたい。

〇今後も札幌市がリーダーシップを発揮し、災害時に市民・企業・行政が互いに連携しながら、それぞれが持つ力を十分に発揮することができるよう、強靭化に向けたまちづくりに力を尽くしてまいりたい。

3.災害時機能集約のための市役所本庁舎の建替えについて

質問

北海道胆振東部地震による全道の完全停電、いわゆるブラックアウトが発生した際、市役所本庁舎では、非常用発電設備の稼働により、通常業務が可能であったことに比べ、子ども未来局や教育委員会など周辺ビルに入居する部局では、ビル全体の完全停電により、全ての通信網が遮断し業務に支障をきたしました。

こうした事態を受けて、我が会派では、先の決算特別委員会でもこのことを取り上げ、日常の円滑な業務執行はもちろん、非常時にあっても正常に業務を遂行するために本庁舎の果たすべき役割を改めて見直し、庁舎建替えについて速やかに方向性を決定すべきと提言させていただいたところです。

本庁舎は、防災拠点として、大規模災害時でもその機能を維持することが求められています。しかし、平成24年度に実施している耐震診断の結果に対する第三者機関の所見では、目標とする耐震診断の設計基準値を満足していないことから耐震改修等の適切な措置が必要とされています。

今回の震災を超える震度6強の地震が発生した場合には、本庁舎が倒壊することはないものの、耐力壁のひび割れのほか、柱や梁など重要な構造体にも被害が発生する可能性があると予測され、業務継続に支障が出る事態なども想定されます。

本庁舎が被災した場合は、災害対策本部は消防庁舎に移動しますが、迅速に状況判断をして指示・情報提供をするためには、災害対策本部は行政機能が集約された本庁舎において対応すべきであります。

そこで質問でありますが、今回の震災を受け、本庁舎の果たすべき役割と必要な機能を明確にし、現在民間ビルに入居している部局の本庁舎への集約化、市民を守りきる災害対策本部機能を構築するために、本庁舎の建替えについて、極力早い段階で方向性を決定すべきと考えますが、いかがかお伺いします。

答弁

〇本庁舎の建替えについては、大通西1丁目街区を将来の移転建替えの候補地とし、冬季オリンピック・パラリンピック招致、北海道新幹線の札幌延伸などの財政投資の状況を踏まえて実施時期を検討していく考え。

〇建替えに当たっては、分散している部局の集約を含め、様々な課題を整理・検証し、災害時にも十分に役割や機能を発揮できるものとすることが重要であると認識。

〇なお、このたびの地震における停電を受け、本庁舎周辺ビルに入居する部局が、災害時に本庁舎の会議室を臨時的な事務室として利用できるよう、現在、通信回線などの整備を行っているところ。

4.行財政改革の観点からの交通事業の将来展望について

質問

札幌市では、これまで様々な行財政改革に取り組み、522億円の効果額を生み出してきたほか、人口当たりの職員数の水準を相当低く抑えていることに一定の評価をしています。しかし、こうした既存の取組の延長線上のままでは、その効果にも限界があり、市民に見える形で大きな財政効果を生む、大胆な行財政改革を示していかなければなりません。

そこで、交通事業の民営化を行財政改革の目玉として位置づけ、同時に札幌市の未来の経済産業構造の転換・強化を目指すモデルケースとしても位置づけていくべきであると考えます。

民営化のメリットは、公営企業としての経営上の制約から開放され、民間事業者と連携して開発事業に参入することや、ホテル・不動産事業の誘致・展開に乗り出すことが可能になることによって、交通事業以外の事業を収益の柱に育てあげ、これらを交通事業の持続・発展につなげていくビジネスモデルを、自らの創意工夫と大胆な発想でつくりあげていくことにあります。

民営化によりもたらされるメリットの活用、沿線各地域とのまちづくりとの連携、地下鉄の延伸、といった様々な要素を、経済的に大きな飛躍を目指す札幌市の将来像に有機的に結び付けていくと、交通事業の民営化への検討は、取り組まなければならない必然的な課題であると認識しており、逆説的に言うならば、不可能との通説に挑戦する民営化への検討自体が、札幌市の経済産業構造を転換・強化する方策や処方箋になりうるものと考えます。

現在、札幌市では、平成31年度以降の事業運営を示した、次期経営計画を現在策定中であると聞いており、これについては、当面の実務ベースの計画として作業を進めていただくことを期待しますが、併せて、中長期的スパンに立ち、札幌市の目指す将来像と絡めつつ、交通事業の将来的な民営化に向けて、市長の強いリーダーシップのもと、大阪メトロ関係者の招聘なども含めて、民営化に向けた検討に着手することも必要です。

そこで質問でありますが、他都市の先例や動向も踏まえ、将来を見据えた視点をどのように取り入れ、次期経営計画をどのように策定する考えなのかお伺いします。また、同時に将来の民営化等に向けた研究、調査、検討を開始すべきと思われますが、いかがか伺います。

答弁

〇札幌市の交通事業は、今後の人口減少により大幅な乗車人員の増加が見込めない中、老朽化した施設の更新や、バリアフリー化、訪日外国人旅行客への対応等、時代に合った施設整備やサービス提供への取組が強く求められている。

〇このため、現在策定中の次期経営計画では、将来を見据えたこれらの取組を加速して進めるとともに、地下鉄事業においては、いまだ多額である累積欠損金や企業債残高を着実に縮減し、経営力を強化することに加え、一般会計からの財政支援を段階的に見直すことで、札幌市の財政運営にも資する計画としてまいりたいと考えている。

〇また、路面電車事業についても、上下分離の導入により、経営基盤の強化を図るとともに、安全管理体制を維持・継続していく計画とする考えである。

〇なお、交通事業の将来的な経営の在り方については、他の事業者における先進事例や民間の取組を参考として研究を行い、効率的で持続可能な経営と安全・安心な運行に努めてまいりたい。

5.冬季オリンピック・パラリンピック招致に向けた障がい者スポーツの振興について

質問

(1)冬季の障がい者スポーツの振興について

札幌市において、秋元市長は公約の中に、冬季オリンピック・パラリンピックの招致に向けた障がい者スポーツの振興を掲げ、障がい者スポーツ専用の学校開放による障がい者スポーツの普及拡大のほか、オリパラ教育の推進、平成29年3月には札幌で初めてとなる障がい者のノルディックスキーワールドカップ大会開催などにも取り組んできたところであります。

さらには、二度目となる冬季オリンピック、初めてとなるパラリンピックの招致に向けて鋭意取り組んできたところであります。まさにこれらの取組は、スポーツを通じて共生社会の実現を目指していくことになるものと理解しております。

札幌は今、障がいのある方や高齢者も含めた全ての人にとって住みやすい社会をつくっていくこと、そして、誰もが相互に個性や人格を尊重し支え合い、多様な在り方を認め合える全員参加型の共生社会を実現していくこと、加えて、「誰一人取り残さない」という理念を掲げるSDGsに貢献していくことが、大きな大きな課題となっております。

こうした中、先の8月1日に開催された冬季五輪招致・スポーツ振興調査特別委員会における我が会派の質問に対して、来年3月に再び札幌で2回目となる障がい者のノルディックスキーワールドカップ大会の開催が決まったという秋元市長からの答弁があり、その成功を大いに期待するとともに、是非ともそれを、初めての冬季パラリンピックの招致につなげていただきたいと願うものであります。

そこで質問でありますが、冬季の障がい者スポーツの振興について今後どのような取組を行っていくおつもりなのか伺います。

(2)障がい者のノルディックスキーワールドカップについて

併せて、2回目となる障がい者のノルディックスキーワールドカップをどのような大会にしたいと考えているのか伺います。

答弁

(1)冬季の障がい者スポーツの振興について

〇昨年度、学識経験者などによる有識者会議において策定した「障がい者スポーツ普及促進プログラム」では、手軽に競技用具を使える環境整備や指導者の養成、さらには、体験する機会の確保といった取組が重要との提言が示されたところ。

〇これを受け、今年度から新たに、障がいのある児童生徒のスキー学習などに対応するため、市内のスキー場にチェアスキーを配置するとともに、指導者の養成講習会の開催や、ウインタースポーツ塾のパラスポーツコースの開設に向け、鋭意その準備を進めているところであり、今後とも、冬季の障がい者スポーツの環境整備とすそ野の拡大に努めてまいりたい。

(2)障がい者のノルディックスキーワールドカップについて

〇札幌市において2回目となるワールドパラノルディックスキーワールドカップの開催に当たっては、前回大会と同様に、市内小中学生の応援ツアーを企画するなど、障がい者スポーツの理解促進に向けた取組を行うとともに、新たに障がいのある子どもたちがウインタースポーツを始めるきっかけとなる大会にしてまいりたい。

〇そこで現在、出場するアスリートなどが視覚支援学校等を訪問し、障がい者スポーツの魅力を伝える交流会のほか、競技場でアスリートと一緒にスキーを楽しめるイベントの開催について準備を進めているところ。

〇冬季オリンピック・パラリンピック招致に向け、こうした大会を一つ一つ積み重ねながら、今後とも障がい者スポーツの振興に積極的に取り組むことで、心のバリアフリー化を含む共生社会の実現を目指してまいりたい。

6.健康・医療分野の産業振興について

質問

札幌市は、まちづくり戦略ビジョン・アクションプラン2015において、未来の街の姿を二つ掲げています。一つが、「誰もが安心して暮らし生涯現役で輝き続ける街」、もう一つが、新しい試みに大胆かつ果敢に挑戦し、「世界都市としての魅力と活力を創造し続ける街」です。

私は、この二つの実現に向けて、健康・医療分野の産業が極めて重要な意義を持つと考えています。札幌市は、海外の事例もよく学びながら、特に若い人たちが札幌で創業する機運を高めるとともに、成功に向けてハードルを乗り越えられる環境整備を、より強力に進めるべきではないでしょうか。そうすれば、理系人材のUIターンや、道外企業による札幌拠点の設置、さらには先進的な取組を札幌で実施しようという大手企業などが、増えていくはずです。

また、こうした健康・医療分野の製品・サービスが市内で活用されるように、札幌市がサポートすることも重要です。これは産業振興のみならず、市民の健康にも寄与するため、「誰もが安心して暮らし生涯現役で輝き続ける街」につながっていくと考えます。

そこで質問ですが、健康・医療分野の産業振興を進め、未来の札幌の姿を実現していくために、どのような環境整備が必要か、市長のお考えを伺います。

答弁

〇札幌市が掲げている2つの未来の姿の実現に向けて、拡大が見込まれる健康・医療分野の産業振興は非常に重要。

〇この分野で、若者を始め、多くの人が果敢にベンチャーに挑戦するとともに、成長企業を生み出せる街としていくためには、モデルとなる成功事例の創出や、研究資金環境の充実に加え、強固な産学官連携による支援体制の構築などが必要。

〇また、健康・医療分野の製品・サービスを、市民の健康に生かしていくためには、庁内の組織が横断的に取り組むことも必要と認識。

〇今後は、医療を切り口とした産業集積を目指す札幌商工会議所などとの連携を一層深めながら、札幌市が中心となって、地域一丸でさらなる環境整備に取り組んでまいりたい。

7.健康福祉施策について

質問

(1)健康寿命の延伸に向けた対策の推進について

札幌市においては、札幌市健康づくり基本計画「健康さっぽろ21(第二次)」の全体目標の一つに健康寿命の延伸を掲げ、栄養や運動、休養など8つの基本要素ごとの取組の推進に加え、社会全体として健康づくりに取り組みやすい環境を整備していくこととしています。

今年度は10年計画である「健康さっぽろ21(第二次)」の中間年であり、中間評価を進める中で、働く世代が他年代に比べ、肥満や運動習慣、ストレス、飲酒などの課題が多くあることが明らかになったと聞いています。

健康経営については、経済産業省において、超高齢社会に向け、生涯現役を前提とした経済社会システムの再構築の必要性から健康寿命の延伸が重要としており、健康管理を経営的な視点から考え戦略的に実践する健康経営の普及を目指し、特に、中小企業への普及や女性従業員へのサポートを推進しているところであり、働く世代の健康づくりに向けては有用と考えます。

長野県と同様に健康寿命が全国上位である滋賀県では、健康や医療、介護等に関する長寿要因を解析しております。この結果、喫煙者や多量飲酒者が少ない、ボランティアをする人が多い等の健康な生活習慣を持っている人が多く、関係の深い生活環境として、失業者や所得格差が少ない、図書館が多いことなどが明らかになったそうです。このように、健康寿命の延伸に向けては、様々な角度からの健康づくりや環境整備のアプローチが必要と考えられ、まちづくりの観点からの社会環境の整備も重要と考えます。

そこで質問でありますが、今回の中間評価で明らかになった働く世代の課題への対策として、どのようなことが重要と認識されているか伺います。併せて、健康寿命の延伸に向けた社会環境の整備についてどのようにお考えか伺います。

(2)認知症施策について

今後どのように進めていくのか

日本の認知症高齢者は、2025年には700万人となり、高齢者の5人に1人が認知症となる可能性があると推計されており、その対応は全国的にも喫緊の課題であります。国においては、平成27年1月に認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)を策定し、取組を推進しております。

札幌市の状況を見ると、単身高齢者や高齢者夫婦世帯が年々増加していることに加え、認知症高齢者についても、2017年4月現在の53,800人から、2025年には約75,000人と増加が予想されています。こういった状況から札幌市においても、認知症は誰もが必ず関わる課題であり非常に身近な問題であると考えます。

札幌市においても、受診を拒む人へのアウトリーチによる早期支援や、本人・家族が集う場づくりなど、新たなことに取り組んできたことは承知していますが、これらの取組は今後も体系立てて計画的に進めていく必要があると考えるところです。

そこで質問でありますが、札幌市では認知症施策を今後どのように進めていくのかお伺いします。

本人・家族の悩みや不安をどのように施策に反映させていくのか

2点目として、認知症の本人・家族の悩みや不安について、どのように施策に反映させていくのか伺います。

答弁

(1)健康寿命の延伸に向けた対策の推進について

〇働く世代への取組については、これまで、企業との健康づくりに関する協定などを推進してきたが、中間評価の結果をみると十分な成果が上がっていたとは言えない状況。

〇そのため、今後は、従業員の健康維持・増進が企業の生産性や収益性の向上につながるという、健康経営の観点から、企業が自主的に社員の健康管理に取り組めるよう、支援を行っていくことが重要と認識。

〇次に、健康寿命の延伸に向けては、運動習慣や健康への関心がない人においても、日常生活の中で体を動かし健康につながるよう、関係機関と幅広い連携を図りながら、まち全体で健康に取り組める社会環境整備を進めていくことが重要と考えている。

(2)認知症施策について

1点目の今後どのように進めていくのかについて

〇札幌市では「札幌市高齢者支援計画2018」の重点施策として「認知症高齢者支援の充実」を位置づけ、市民理解の促進や、相談支援、介護サービスの充実などに取り組んできたところ。

〇今後も認知症の人とその家族が地域で安心して暮らせるよう、国の新オレンジプランとも連動させながら取組を進めていく考え。

2点目の本人・家族の悩みや不安をどのように施策に反映させていくのかについて

〇市民意識調査やサービスの利用実態などの分析に加え、医療、介護、福祉の関係者からみた課題や、家族会等からの声を重視し、取組に反映している。

〇引き続き、本人の意思を大切にし、家族や地域の実態に即した認知症施策の充実に取り組んでまいりたい。

8.教育施策について

質問

(1)生涯学習の振興について

教育は、生涯学習の観点からみると、乳幼児から高齢者までの、あらゆる世代が対象となっていることから、その振興に当たっては、教育委員会や学校だけでなく、社会全体で取り組むべきものであります。

平成29年に札幌市が策定した「第3次札幌市生涯学習推進構想」においては、「多様な主体が連携した学びの場づくり」を展開するとしております。

今年10月に、我が会派が注目してきた「札幌市図書・情報館」が開館しました。その来館者は、開館から1か月で20万人を超えており、生涯を通じて学び続けたいという市民ニーズの高まりを実感しているところです。

現在、策定中である札幌市教育振興基本計画の改定版の案には、基本的方向性の一つとして「市民ぐるみで支え合う仕組みづくり」が、前期に引き続き掲げられているところですが、先に述べた生涯学習に関わる状況を踏まえますと、計画策定から5年が経とうとしている現在においても、大変重要な視点であります。

そこで質問でありますが、社会全体で取り組む生涯学習の振興について、これまでの成果と今後の方向性について伺います。

(2)学校規模適正化について

札幌市の児童生徒数の推移は、政令指定都市への移行があった、昭和47年頃から急激に増加を始め、昭和60年頃にそのピークを迎え、20万人を超えたところです。しかし、平成29年度には、ピーク時の3分の2程度の13万人まで大きく減少しているところです。

また、1校あたりの児童生徒数の推移を見ますと、ピーク時には、小学校では1校あたり平均が850人を超えていました。しかし、現在では、平均で450人を下回るなど、学校の小規模化が進んでいる状況にあります。

このような状況を踏まえ、平成19年12月に「札幌市立小中学校の学校規模適正化に関する基本方針」を策定し、この方針に基づき、学校規模適正化の取組が行われていますが、地域住民や保護者には、学校の統合に対する不安の声があることも事実であり、こういった声にも寄り添いながら不安の払拭に努めるなど、より一層丁寧な取組が必要であると感じるところです。

さて、ここで質問でありますが、札幌市として学校規模適正化を進める目的は何であるのか改めて伺います。そして、これまで、学校規模適正化の取組を進める際にどのような点に留意して取り組まれてきたのかについてお伺いいたします。
また、次の取組地域を検討する際には、どのような観点を考慮して進めていくのかについて併せて伺います。

答弁

(1)生涯学習の振興について

〇札幌市教育振興基本計画の前期プランでは、市民自らが学んだことを生かし、講師となる講座を企画するなど、市民が互いに学び合うことのできる機会の創出に取り組んできた。

〇また、学校において、地域の方々や企業等と連携した学習支援や、体験活動等を行う機会を拡大するなど、学校と地域が一体となって子どもの成長を支える取組を進めてきたところ。

〇こうした取組を通して、学齢期の子どもはもちろん、あらゆる世代の学びを市民ぐるみで支え合う仕組みが整ってきていると認識。

〇今後、後期プランにおいては、市民の学びの拠点である生涯学習センターや図書館等の連携強化を図るなど、学習環境の一層の充実に努め、人と人とが学びを通じてつながり、そのつながりを更に広げることにより、社会全体で取り組む生涯学習の振興を図ってまいる。

(2)新しい学習指導要領を踏まえた取組について

〇札幌市では、子どもたちの教育環境を整えることを目的として、学校規模適正化の取組を進めているところ。

〇具体的には、児童数が増えることにより、子どもたちが多様な意見に触れる機会が増え、切磋琢磨する環境の中で学習意欲が向上することや、学習発表会といった大人数で行う教育活動が充実するなど、子どもたちへの教育面の効果が期待されるもの。

〇また、取組を進める際には、保護者や地域の方などを中心とする「小規模校検討委員会」において検討いただいており、その取組内容や決定事項への理解を得られるよう、丁寧な情報提供等に留意しているところ。

〇新たな取組地域の選定については、今後、検討することになるが、その際は、これまでと同様に、学校規模だけでなく、将来の児童生徒数の見込みや隣接校の状況、通学区域や地理的条件などを総合的に勘案しながら進めてまいりたい。