議会報告Assembry report
令和3年第2回定例議会2021/07/02
代表質問森山ゆみこ議員(西区)
札幌市議会本会議において公明党議員会を代表して 森山ゆみこ 議員が代表質問を行いました。
以下、質問とそれに対する答弁の要旨を紹介します。
目次Contents
- 市長の政治姿勢について
- コロナ禍の経験を踏まえた今後の持続可能な札幌のまちづくりについて
- 新型コロナウイルスワクチンについて
- デジタル社会進展の意義の浸透について
- コロナ禍の中で東京2020大会を札幌で開催する意義について
- 持続可能な社会の構築に向けたまちづくりについて
- 官民連携の地域ファンドによるバイオベンチャーの育成支援について
- 文化芸術活動と他分野連携について
- いのちと生活を守る施策の推進について
- 防災・減災体制の構築について
- 生活交通の確保に向けた今後の取組について
- 地域における子どもの見守り強化について
- 女性のがん対策について
- インクルーシブ社会実現のための福祉・教育施策について
- 特別支援教育のさらなる進展について
- インクルーシブ社会の実現に向けての新しい公園のありかたについて
- 高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らし続けるための施策について
1市長の政治姿勢について
質問
(1)コロナ禍の経験を踏まえた今後の持続可能な札幌のまちづくりについて
新型コロナウイルス感染症のパンデミックは、世界中の国や地域で社会的、経済的な混乱を招き、まさに人類が経験したことのない地球規模での危機となりましたがここにきてようやくワクチン接種が加速され、回復への歩みを始めたところと言えます。
世界は、2015年9月の国連サミットで採択されたSDGsを共通の目標に掲げ、持続可能な社会の構築に向けた取組を推進しています。
本市においては、2018年にSDGs未来都市に選定されて以来、「札幌市SDGs未来都市計画」に基づく市政運営を着実に進めてきました。しかし、コロナ禍は、こうした私たちの前向きな取組の歩みに対し、持続可能な社会をつくることの困難さを突きつけたといえます。
昨年、我が会派は一定代表質問で「今後10年の市政運営が将来の札幌を決する。我々の先見性が問われる10年だ」と主張しました。
コロナ禍を単なる偶発的な災難とみなすのか、それとも、持続可能な社会に向けた教訓と捉え、今後の市政運営に活かしていくのか、今まさに、私たちの先見性が問われる分岐点にあると考えます。
新型コロナウイルス感染症は、市民生活に大きな不安をもたらした一方で、これまで十分に進まなかった行政手続きの簡素化やデジタル化の推進など、市民サービスを向上させる機運の高まりももたらしました。
札幌市においては、コロナ禍の中で、行政事務センターの開設やデジタル担当局の新設など、既に新たな動きも見られ、困難こそが改革を進める好機ととらえ、取組を一層と加速すべきと考えます。
これまでの生活様式が難しくなる中、市役所自体が社会の変化を敏感に捉え、前例にとらわれない対応が求められているのです。「ウィズコロナ」「アフターコロナ」という時代のうねりにあっても、市民が安心して生活できるよう、変化に強い市役所へと進化していかなければなりません。
また、これまで、民間調査会社のランキングでは、札幌市は都市力の高いまちとして常に上位に位置づけられてきました。こうした評価を永続的と考えることなく、常に誰にとっても愛着や住みよさを感じられる都市を目指すことに注力すべきです。
さらには、コロナ禍という想定外の課題の克服に向けて、北海道における札幌市の果たすべき役割も一層、大きくなっていくと考えます。北海道をリードしていくことは、まさに、現在の戦略ビジョンが目指す「北海道の未来を創造し、世界が憧れるまち」の都市像の実現につながるものとなります。
今年の4月には、2031年度までの10年を計画期間として、本市のまちづくりの指針となる「第二次戦略ビジョン」の審議会の初会合が開催され、幅広い専門家を交えた議論がスタートしました。北海道発展の鍵を握る札幌市が、コロナ禍の中で戦略ビジョンを策定するその意味合いは重く、市民・道民の期待も大きいものと考えます。
(2)新型コロナウイルスワクチンについて
①集団接種会場の整備
市民の命と健康を守り、社会経済活動の再開に向けた切り札として、コロナ収束への大きな鍵を握るワクチン接種を円滑かつ、加速化させることが最重要課題であります。
市民・企業・各種団体等からの期待は大きく、様々な声や相談が寄せられており、これまで我が会派は、議会における質疑はもとより、計8回を数える市長への緊急要望を通じて、具体的な政策を提言し、札幌市のワクチン接種の取組を後押しして参りました。
そこで、我が会派からは、ワクチン接種の加速化に向けて2点伺います。
まず、今後の集団接種会場の整備について伺います。
新型コロナワクチンの接種については、日頃から受診している身近な医療機関、いわゆる「かかりつけ医」での個別接種が基本となります。そうした、かかりつけ医がいない、あるいはかかりつけ医が接種を実施していない場合は、集団接種が補完する体制となっております。
これまで札幌市では、5月24日からはエルプラザと札幌パークホテルに、6月22日からはコンベンションセンターに3か所目となる集団接種会場を開設するなど、市民が利用しやすい環境を整えてきたものと認識しています。
しかしながら、これらの集団接種会場は、現在も予約が埋まっている状況を鑑みると、よりスピード感を持って接種機会の確保していくこと、加えて、会派として繰り返し要望している身近な場所で接種できるような環境を整備することが急務であると考えます。また、今後は大学生など、若者への接種の促進に向けた対応についても早急に検討するなど、コロナ収束に向けて全力をあげたワクチン接種事業の推進が重要です。
②優先接種の進め方
現在進めている高齢者のワクチン接種は、医療従事者に次ぐ優先順位として位置づけられ、4月には札幌市へのワクチンの供給量が限られていたことから、多床室のある5つの介護老人保健施設から接種が開始されました。市内の高齢者施設においては大規模なクラスターが多数発生しており、集団生活を営む高齢者施設の入所者で希望する方を対象に確実に接種を実施することがクラスターを抑制する観点から極めて肝要です。
一方で、接種可能な医療機関の確保が難しい高齢者施設も多数あり、困惑されている声も寄せられていることから、わが会派は札幌市による支援を繰り返し、主張してきました。こうした要望を踏まえて、現在札幌市では、施設に医師や看護師を派遣する巡回接種が始まり、スピード感を持って、実施していることは、評価しております。
高齢者接種については、混乱なく円滑に行うために段階的に進めてきており、75歳以上の高齢者に対して、5月10日に接種券を発送し、続く65歳以上の高齢者に対しても、当初の予定を前倒しして、今月16日までに接種券を発送したところです。
6月29日現在、高齢者約55万人に対して約28万人、率にして約50%が1回目の接種を終え、そのうち約9.5万人、率にして約17%の方が2回目の接種を終え、予約混雑等の課題はあるものの、ほぼほぼ順調に進んできているものと承知しております。
高齢者接種の早期終了を見据え、次の段階として重要視していることは、クラスター抑制と社会的機能の維持の観点から、人と人との濃厚接触が避けられない職場で働く、いわゆるエッセンシャルワーカーへの優先接種です。会派から、市長に対して、緊急要望でも掲げましたが福祉施設の従業員をはじめ、保育園・幼稚園の職員、小中学校等の教員なども含めて、速やかに実施すべきと考えます。
(3)デジタル社会進展の意義の浸透について
新型コロナウイルス感染症の拡大により顕在化した我が国のデジタル化の遅れが指摘されています。
一方、先にも述べた通り、危機的な状況下で、デジタル技術が社会経済活動を支える大事なインフラになり得ることを示した機会であったとも言えます。
例えば、リモートワークや各種オンラインサービスの進展は、人々の外出機会を減らすことを可能にしました。また、キャッシュレス決済や生体認証の進展は、人と人、人とモノの接触を減らすこととなりました。
陽性者の近くにいたことを通知するスマートフォンアプリなど、直接、感染拡大抑止に貢献する技術も開発されました。また、人感センサーで取得した混雑情報をリアルタイムに発信したり、人流データを用いた啓発を行ったりすることで、人の密集を避ける取組も可能になりました。
このように振り返ると、試行錯誤を繰り返す中で、まだ完璧とはいえないものの、市民の行動を大きく制約してしまうコロナ禍において、デジタル技術の活用が、日常の生活をサポートし、利便性向上につながったことは紛れもない事実であると考えます。
さらに、これがきっかけとなり、デジタル・トランスフォーメーションが複雑化・多様化する社会課題の解決に寄与し、大きな付加価値を生み出す可能性があると認識できたことは重要な意味を持ちます。
リモートワークや各種オンラインサービスの進展を例にとれば、首都圏の人材派遣の大手企業が、働き方の多様性や労働生産性の向上のために本社を地方に移すなど、東京への一極集中に一石が投じられ、また、店舗サービスが中心であった飲食店が、スマートフォンアプリを活用したデリバリーサービスの提供を開始するといった変革にもつながっています。
このように、コロナ禍で起きた様々な変化がコロナ後の世界をどう変えていくのか、そうした展望への期待感が高まっていると言えます。デジタル社会を進展させることは、単に利便性を向上させるだけではなく、地球上における私たちの暮らしと安全を守り、さらには、より良い社会の在り方までをも問い掛けながら実現していく、そう言っても過言ではないと思います。
一方、今般のワクチン接種の予約を例にすれば、高齢者を中心に一定数の市民がインターネットの予約ができず、サポートを必要としました。デジタル社会の進展に当たっては、こうした方々を取り残さないことが重要であり、また、デジタル化を進める上での理解と促進に答えていかなければなりません。
(4)コロナ禍の中で東京2020大会を札幌で開催する意義について
世界最大のスポーツと平和の祭典であるオリンピック・パラリンピックは、札幌市においてもサッカー・マラソン・競歩が実施される予定で、いよいよ7月23日、開幕を迎えます。
そうした中、私は、今回の東京オリンピック・パラリンピックは、世界が協力し合い、困難の克服と歴史に挑戦する五輪になると考えています。この時期での開催に対する様々な意見・考えがあることは、私も十分承知しておりますが、今回で4大会連続出場となる体操の金メダリスト・内村選手は、オリンピック・パラリンピックが「できない」ではなく、「どうやったらできるか」を考えてほしいと訴え、また前回のリオ大会で4つのメダルを獲得したパラリンピック競泳の木村選手が「開催するための努力は、自分たちの社会を取り戻す努力につながり、ウイルスを封じ込めていく努力と、ほぼイコールだと思う。僕らがやろうとする努力は、社会をより良い方向へ向けていく努力であるはずだ」と語っているように、本来、どうやったらできるか、どういった努力が必要なのか、ということに全力を傾けるべきではないでしょうか。
この1年の間に、世界で430もの国際大会が開催され、選手5万400人が参加し、いずれの大会も安全裡に終えています。また、日本の医療現場への負担軽減のため、各国五輪委員会(NOC)が、随行医療専門家を増やす決定をしました。
さらには、入国予定者を18万人から5万3,000人に削減するなど、周到な準備を加速させ、未だかつてない困難に世界が一丸となって挑んだ結晶として用意された舞台で、アスリートが輝く東京オリンピック・パラリンピックにしていくところに、歴史的開催への意義があると考えます。
さらに、新しい生活様式への行動変容が求められる現在、障がいのある方や在住外国人といった社会的に弱い立場におかれた方々は、より生活しにくい日常になっていると言えます。障がいの有無、言語や文化の違いなど、様々な背景を持つ一人一人がお互いを認め、助け合い、分け隔てなく暮らすことができる共生社会の実現は、特にこのコロナ禍においては急務であり、多様性と調和を基本コンセプトの一つとして掲げる東京オリンピック・パラリンピックの開催は、その実現を確かなものとする絶好の機会になると確信するところです。
答弁
(1)コロナ禍の経験を踏まえた今後の持続可能な札幌のまちづくりについて
〇今後のまちづくりにおいては、人口減少や人口構造の変化への対応とともに、新型コロナウイルス感染症のような新たな危機にも柔軟に対応できる、持続可能なまちの実現を目指すことが重要と認識。
〇このため、まずはコロナ禍によるダメージを着実に回復するとともに、今後に備え、自然災害や感染症などに直面した場合にあっても、被害を最小限に抑え、日常生活や経済活動を継続できる危機に強い社会の形成に向けた取組を進めてまいりたい。
〇また、札幌の魅力は、北海道の人々や自然、資源に支えられており、札幌も大都市ならではの機能を通じて道内各地域をけん引する役割を持っていることから、札幌と北海道の発展は共にあるものと認識。
〇このため、次期戦略ビジョンでは、コロナ禍後の社会変化に対応した取組を積極的に進めることで、北海道全体を先導する役割を果たしてまいりたい。
(2)新型コロナウイルスワクチンについて
〇1点目の集団接種会場の整備について
新型コロナウイルス対応においては、ワクチン接種を加速化させ、感染再拡大を未然に防ぐことで、市民の生命や生活の安全・安心を確保することが重要であると認識。
〇これまでの3つの集団接種会場に加え、地理的なバランス、地下鉄からのアクセス、自家用車での来場が可能であることなどの利便性を考慮し、つどーむを第4会場として7月17日からの開始に向けて準備を進めているところ。
〇今後は、ワクチンの確保に努めつつ、より地域に密着した会場についても検討を進めてまいりたい。
〇2点目の優先接種の進め方について
教員をはじめとした、社会的な機能を維持していく上で必要な業務に従事する約15万人の方々については、クラスターリスクを回避するという観点からも、優先接種対象者としたところ。
〇これらの方々については、7月13日から発送する接種券が届いた時点で予約できるよう、予約システムの整備など、必要な作業を進めているところ。
〇また、一日に最大3,000回の接種が見込まれるつどーむで優先対象者を一定の枠を設けて接種を進めていくほか、夜間接種の実施も検討するなど、可能な限り優先接種を早期に終えることができるよう取り組んでまいりたい。
(3)デジタル社会進展の意義の浸透について
〇コロナ禍において、デジタル技術の活用により、一定程度の社会経済活動が維持されたことは、今後、様々な環境の変化があっても、より良い暮らしを実現していくための道筋を示したものと認識。
〇現在、新組織が中心となり、こうしたデジタル社会の進展がもたらす意義を踏まえた札幌市の取組方針をまとめており、今後、次期まちづくり戦略ビジョン等に反映し、幅広く浸透を図ってまいります。
〇加えて、デジタル社会から取り残される市民が生まれないよう、デジタル機器の利活用等に対するきめ細かいサポートを行うなど、市民への理解を広げ、市民目線のデジタル改革を実現してまいりたい。
(4)コロナ禍の中で東京2020大会を札幌で開催する意義について
〇札幌市にとって今回の東京2020大会は、約半世紀ぶり二度目の、また、初めて夏季競技が実施されるオリンピックとなり、自分たちのまちを舞台にトップアスリートが活躍する姿は、市民の皆さんの記憶に深く刻まれるとともに、未来を担う子どもたちにとって大きな財産となりうると考える。
〇また、札幌市はパラリンピック競技の共生社会ホストタウンとなっており、事前合宿や交流事業の実施、そして、大会後も交流を継続することで、心のバリアフリーの推進に取り組んでまいる。
〇東京2020大会を通じて、障がいの有無にかかわらずひた向きに競技に取り組む選手たちの姿を目の当たりにすることで、市民の皆さんにスポーツの持つ力や可能性を改めて感じていただくことは、今後、冬季オリンピック・パラリンピックの招致を目指す札幌市において、スポーツによるまちづくりと共生社会の実現を進めていく上で、大きな意義があるものと認識。
2持続可能な社会の構築に向けたまちづくりについて
質問
(1)官民連携の地域ファンドによるバイオベンチャーの育成支援について
2021年2月に公表された経済産業省の専門委員会の報告書によると、世界のバイオ産業市場の約65%を医薬・健康分野が占めており、その市場規模は、今後5年間で約1.7倍に拡大すると予測されています。
この試算は、コロナ禍よりも前に、民間調査会社が予測した報告書から得たものであり、現在では、バイオ産業はさらに市場が拡大している可能性が高いとされています。
今般の新型コロナウイルスの世界的な感染拡大の中、私が注目したのは、新たなウイルスに対するワクチンや治療薬の開発競争における、アメリカやヨーロッパ企業の開発力とスピード感であり、今回の世界的な開発競争で、日本は大きく後れを取ったと言わざるを得ません。
特に、ワクチン開発においては、2010年に創業したアメリカのバイオベンチャー企業であるモデルナ社の開発した製品が、有効なワクチンとして日本でも2021日5月に承認された後、国内での接種が開始されました。今や、研究開発型のバイオベンチャー企業が、世界の医薬品開発の研究において大きな役割を担っているのです。
こうした状況は、日本国内においても珍しいことではなく、大学の研究に基づくバイオベンチャー企業が、研究の種を育て、その成果をもとに大手製薬会社と協業してさらなる研究開発を進め、製品化につなげていく事例が増えています。
我が党はかねてより、北海道大学や札幌医科大学等の先端的な研究を着実に産業へと結び付ける取組こそが、行政が担うべき産業振興策であり、特に医療関連産業は将来的に札幌の基幹産業になり得るものと考え、その重要性を訴えてきたところです。
そうした主張に対し、令和2年第1回定例会の代表質問で、石川副市長は、札幌市の今後の医療関連分野の産業振興について、「成長が期待できる研究について、事業化を一層促進するための既存の取組に加えて、資金調達や経営人材の確保といった課題の解決に向けた環境整備を進めたい」と答弁しました。
そして、本年度の予算には、バイオベンチャー育成支援事業費として、バイオベンチャー企業の資金調達の支援となり得る官民連携の地域ファンド創設に向けた費用が計上され、有言実行と言える事案の一つとして、大変心強く感じる次第です。
このファンドの設立には、札幌市のみならず地元金融機関や民間企業も参画し、地域が一丸となってバイオベンチャー企業の挑戦を支援していく、そうした意気込みが感じられ、大変期待しています。
今後は、有望なバイオベンチャー企業に投資していくことになりますが、そうしたバイオベンチャー企業の成功は、投資ファンドの成果になると考えます。この投資ファンドがしっかりとした成果を上げていくためには、大きな成長が見込める有望な投資先企業の発掘と、投資した企業を育成し、その成長を支援することが必要不可欠と認識します。
(2)文化芸術活動と他分野連携について
札幌でもワクチン接種が順調にスタートし、コロナ禍からの脱却に向けて期待するところですが、文化芸術振興においても、コロナ後を視野に入れた取組を進めていく必要があると考えます。
文化芸術には、アーティストの自己表現という側面に加え、人々の心に潤いを与える大きな力があります。第1回定例会の代表質問で、我が会派より、「文化芸術は人々に感動や生きる喜びをもたらし、人生を豊かにするものであると同時に、社会全体を活性化する上で大きな力になる」とし、このコロナ禍において、その果たす役割は極めて重要と提言したところです。
文化芸術の力を発揮するのは、自己表現や鑑賞することだけではなく、文化芸術以外の分野と連携したときも、社会全体を向上させる原動力になると言えます。
他の自治体では、アーティストと環境保護団体とが連携し、地球温暖化対策の啓発活動を行ったり、元薬物依存患者の社会復帰を後押しする支援活動を行ったりしています。こうした事例から、文化芸術の力が、社会的な課題への解決につながっていくことが期待できます。
札幌市が今年2月に文化芸術関係者を対象に実施したアンケートでは、教育や国際交流といった、文化芸術以外の分野との連携にも興味があるとの回答が多かったと聞きました。また、昨年に設置された札幌市文化芸術未来会議では、文化芸術活動の当事者の目線から、文化芸術と他分野との連携についても議論されております。
答弁
(1)官民連携の地域ファンドによるバイオベンチャーの育成支援に
ついて
〇投資先企業の発掘及び育成については、ファンドの運営事業者の果たす役割が大きいことから、今回、設立するファンドの運営は、国内外において数多くの実績がある企業グループのファンド運営会社を札幌に誘致し、これを担うこととしている。
〇投資先企業の発掘に当たっては、これまで札幌市が各種補助制度などにより支援してきた企業はもとより、ファンドに参画する金融機関等が推薦する企業などから、運営事業者の高い専門性とノウハウにより、その成長性と将来性を適切に判断していきたい。
〇投資先企業の育成については、運営事業者が健康医療・バイオ分野のビジネスに精通した専門家チームを発足し、投資先企業に寄り添って経営課題の解決を図りながら、札幌を代表する企業として活躍できるよう、その成長を後押ししていきたい。
(2)文化芸術活動と他分野連携について
〇文化芸術は、創造性を育み、多様性を受け入れることができる心豊かな社会を形成するものであるとともに、新たな付加価値を生み出し、社会的・経済的価値も有するものであると認識。
〇これまでも音楽を活用した地域のイベント、姉妹都市との交流、小学生への芸術鑑賞機会の提供などを通じて、文化芸術は、まちづくり、国際交流、教育等の分野とかかわってきているところ。
〇今後は、札幌市文化芸術未来会議での議論や社会的課題も踏まえ、文化芸術がこれまで以上に幅広い分野と連携できるよう、芸術家と各企業や医療、福祉分野などとの橋渡しを行う手法等について検討を進めてまいりたい。
3いのちと生活を守る施策の推進について
質問
(1)防災・減災体制の構築について
東日本大震災から10年が経過し、北海道胆振東部地震からは間もなく3年となります。また、毎年のように、全国では想定を超える災害が頻発し、その激甚化も見られるところです。
今般、災害時における円滑かつ迅速な避難を確保するため、自治体が発令する避難勧告を廃止し、避難指示への一本化などを盛り込んだ災害対策基本法の一部改正が国会で成立し、5月20日から施行されました。
大規模な災害が発生した場合、犠牲者の多くは、高齢者等の避難行動に時間を要する方々であり、避難を分かりやすく促すためにも、避難指示への一本化は大変重要であります。また、避難行動要支援者への対応においては、名簿の作成が多くの自治体で進んでいるものの、その活用が十分になされてはおらず、実効性の確保にも課題があることから、個別避難計画が市町村の努力義務となったところです。
こうした施策を実行するにあたり、支える側の体制確保などの課題が想定され、とりわけ人間関係が希薄な都市部においては、住民同士の助け合いだけで防災・減災の枠組みを構築するのは難しいというのが実情であります。
私は、札幌市においても、担い手の減少や活動の停滞など、地域の防災力が低下しており、新たな担い手の確保が重要であると考えます。改めて地域の構成を見ると、現在、地域活動の中心は住民ではありますが、地域内には企業やNPO等も数多く存在しています。また地域住民は、夜間人口は多いものの昼間人口は少なく、一方で企業やNPO等は、昼間に人手が多くあり、職種による専門性も持ち合わせています。
今後、地域での担い手不足を補完すべく、防災・減災に向けた体制の構築を考えた場合、日常から避難生活に至るまでの避難ステージごとに、住民と企業・NPO等との役割分担によるシームレスな体制づくりを目指すべきだと考えます。住民と企業・NPO等との協働を強化することで、それぞれの強みを活かしつつ、お互いを補完する体制が構築できるのではないでしょうか。
札幌市では、地区防災計画の策定においてモデル地区を設定するなど、地域と一体となって防災力の向上に取り組んでいますが、地域住民と企業・NPO等との連携を進めていけば、より一層、防災・減災の体制強化につながるものと考えます。
(2)生活交通の確保に向けた今後の取組について
市内のバス路線については、現在、民間バス事業者がその運行を担っていますが、その現状は多くの不採算路線を抱え、運転者不足の深刻化も進んでおり、市内路線バスの便数は、この5年間で約1割減少しています。
札幌市の附属機関の一つである、札幌市乗合バス路線維持審査会では、市内バス路線の維持計画やバス事業者への補助金の交付申請について審議していますが、昨年度の資料によると、令和2年度の運行分として補助金の交付を予定しているのは189系統となっています。
この数は、令和元年度運行分の約1.5倍となっており、コロナ禍における在宅ワークの普及や外出自粛の影響によるバス利用者の減少などにより、これまで黒字で運行していた系統も赤字に転ずるなど、バス事業者の収支状況が大きく悪化していることを示しています。
今年度になっても、北海道全域に緊急事態宣言が発令され、現在もまん延防止等重点措置期間であるなど、コロナ禍は一年以上も続いており、アフターコロナにおいても、以前と同様の利用状況に戻るのか、そして今後のバス路線の維持に向けてどの程度影響があるのかが懸念されるところです。
しかし、通勤、通学や買い物などのための生活交通として、バス路線は必要不可欠であり、今後も地域の足としてしっかり確保していかなければならず、特に需要の少ないバス路線の維持については、バス事業者、地域、行政が一体となって取り組んでいくことが求められます。
他の政令市におけるバス路線の休廃止に係る対策事例を見ても、福岡市ではデマンド交通の導入やマイクロバスによるバス路線の運行が市の支援により実現しているほか、千葉市ではコミュニティバスの運行により市民の移動手段を確保しているなど、各市において様々な取組が進められております。
これまで我が会派は、変化する社会情勢への対応やまちづくりの観点から、公共交通に関する様々な政策を提言してきました。市では、代表質問の中でも、デマンドバス導入に向けた検討や、MaaSの重要性について答弁してきたところであり、そうした将来像を見据えながら、コロナ禍における交通事業者の危機的状況を改善するための支援を速やかに行うべきではないでしょうか。
これまで市が、赤字路線に対する補助など、バス路線の維持に努めていることは承知していますが、市民生活に必要な移動手段を確保するため、今後は、運行車両の小型化・デマンド型の導入や、地域の特性に合わせた交通への支援が必要だと考えます。
(3)地域における子どもの見守り強化について
札幌市の刑法犯認知件数は、2001年をピークに年々減少を続けていたものの、今年5月末時点では前年対比で増加の傾向にあり、憂慮するところです。このほか、犯罪の前兆行為と思われる子どもを狙った不審な声かけ・つきまといなどの事案も同様に増加しており、予断を許さない情勢にあるといえます。
我が会派では、これまで数度にわたり、他都市における先進的かつ効果的な取組について調査した上で、防犯カメラの拡充をはじめ、ドライブレコーダーやICTの効果的な活用など、地域における子どもの見守り強化に向けた具体的な提言をしてきました。
札幌市における子どもの見守りに関するこれまでの取組を見ると、防犯カメラの補助制度の見直しなど、前進したと言えるものもあります。しかしながら、他の具体的な提言に関しては、調査研究段階に留まるものもあり、今後、他都市の先進的な取組も参考にしながら、子どもの見守りを一層推進していく必要があると考えます。
秋元市長は、「子どもが安心して暮らせる環境をつくる」と公約を掲げており、アクションプラン2019で、政策目標と具体的な事業を盛り込んでいます。現在、新型コロナウイルスの影響により、これまでのような集団での防犯活動が難しくなる中、地域における子どもの見守りをいかに強化していくかが喫緊の課題であります。
(4)女性のがん対策について
①接種対象者への適切な周知
女性特有のがんである乳がんと子宮がんは、いずれも、他のがんと同様、早期発見・早期治療が大切です。特に、子宮がんの中でも子宮頸がんは、国立がん研究センターの統計では、20代後半から30代にかけて患者数が増加することから、他のがんよりも早い年齢からの対策が求められています。
子宮頸がんは、ほとんどがヒトパピローマウイルス、HPVと呼ばれるウイルスの一部であるハイリスク型に長期間感染することが原因であることが明らかになっており、対策には感染を未然に防ぐこと、感染した場合は早期に適切な治療をすることが肝要であります。
そうした中、子宮頸がんは予防ワクチンの定期接種が平成25年度に開始されました。しかし、同年の6月、「副反応の発生頻度等が明示され、適切な情報提供ができるまでの間、積極的な接種勧奨をすべきではない」との国の通知があり、本市においても積極的な接種勧奨が差し控えられました。
その後、令和2年10月、国の方針が見直され、個別周知を行う必要があるとの通知があり、本市として、昨年の決算特別委員会で、接種対象者に適切な情報提供を行う旨の答弁をされました。
この7年間の勧奨差し控えにより、子宮頸がんの原因がウイルスであること、定期予防接種として無料で受けられること、接種対象やその効果といった情報などが、接種対象者やその保護者に正確に知られていないことを懸念するところです。
②子宮頸がん検診受診率向上のための今後の対策
子宮頸がん予防ワクチンを接種しなかった場合、HPVは多くの女性が20代頃から感染すると言われています。感染した場合も免疫の力で自然に排出されることが多いとのことですが、長期感染者の発がんリスクを拾い上げ、早期発見と死亡率の減少に結び付けるためには、より多くの方にがん検診を受診してもらうことが重要だと考えます。
札幌市では国の指針に基づいて、20歳以上の女性を対象に、原則、偶数の年齢の方に子宮頸がん検診を実施し、早期発見に努めていると認識しています。とは言え、厚生労働省が実施した令和元年の国民生活基礎調査における本市の受診率を見ると、前回の平成28年と比較して、他のがん検診の受診率が増加している中で唯一、子宮頸がん検診は減少している状況にあります。
その要因として、20代の方はがんを自分事として捉えるのが難しいこと、子宮頸がん検診は若い年齢から対象となっているため、働いている方は検診に行く時間が取れないこと、さらには検診そのものへの抵抗を感じる方も多いであろうこと等が考えられます。秋元市長も「女性のがん検診体制充実」を公約に掲げていますが、こうした要因を踏まえた対策を的確に実施することが受診率の向上につながると考えます。
答弁
(1)防災・減災体制の構築について
〇地域の防災活動の更なる向上を図るためには、現在の町内会を中心とした地域の担い手のほか、地域内に所在する企業やNPO等との連携・協力を得ることが重要と認識。
〇札幌市では、これまでも町内会を主体とした地域の方々に対し、地区防災計画作成に取り組む機運の醸成を図るとともに、専門家からの助言を得る機会を設けるなど、地区防災計画の作成支援に取り組んできたところ。
〇今後の支援については、地域内の企業やNPO等にも、地区防災計画のワークショップやセミナー等への参画を積極的に促すなど、地域住民と企業・NPO等が一体となった防災・減災体制を構築できるよう、防災活動の担い手の輪を広げていきたい。
(2)生活交通の確保に向けた今後の取組について
〇バス路線は市民生活を支える重要な交通手段であることから、引き続き運行に係る費用の一部を補助するなど、適切な維持に努める考え。
〇また、現在、利用者の少ない路線を維持する手法として、バス事業者が予約型運行を行うための小型車両等を購入する場合に、一定の補助金を交付する制度の構築を図っているところ。
〇今後もバス路線の維持が厳しい状況が見込まれるため、地域の実情に合わせた効果的な運行手法を検討するとともに、バス事業者や地域と連携しながら、生活交通の確保に努めてまいりたい。
(3)地域における子どもの見守り強化について
〇将来を担う子どもたちを犯罪の被害から守るため、地域と一体となって見守りを強化していくことは大変重要と認識しており、これまでも、防犯カメラ設置の補助事業などを通じて、子どもの見守りを推進している。
〇その一方で、高齢化が進む中で、今後の見守り体制の確保が大きな課題と考えており、市民の方々が日常生活や日々の企業活動を行いながら、地域を見守る「ながら防犯」を展開してまいる。
〇今年度内には、体制整備を図り、地域の方々や関係機関・団体との連携を強化して、地域における子どもの見守りの一層の充実に努める。
4インクルーシブ社会実現のための福祉・教育施策について
質問
(1)特別支援教育のさらなる進展について
インクルーシブ社会とは、障がいを抱える方や高齢者にとって暮らしやすいバリアフリー社会をさらに一歩進めた、障がいだけではなく、国籍・性別・年齢・文化等の観点において、多様な社会メンバーがお互いを尊重し、共に生きるという世界的な流れであり、SDGsの理念や札幌市が目指す共生社会の実現に直結するものと考えます。
そうした考え方を踏まえて、はじめに、特別支援教育のさらなる進展について伺います。
特別支援教育は、障がいのある子どもの自立や主体的な社会参加を支え、その支援を必要とする子どもが在籍する全ての学校で実施されるものです。
また、特別支援教育においては、障がいのある子どもとない子どもが、可能な限り同じ場で学ぶことを追求するインクルーシブ教育の理念を共有化し、そのシステムを構築、機能させていくことが重要になります。
同じ場で学ぶことは、多様性を受け入れ、将来、社会で一緒に活動しやすくするための知恵や工夫を生み出し、誰もが能力を発揮できる共生社会の基盤をつくる原動力につながると考えます。
我が会派は、障害者差別解消法が施行された際には、学校職員に対して、法の趣旨はもとより、合理的配慮の考え方や教材教具の工夫といった具体例の周知等が必要だと訴えてきました。
これに対し、札幌市は、平成28年3月に障害者差別解消法に係る市立学校職員に対する対応要領を策定し、インクルーシブ教育システムの理念を共有化しつつ、具体的な合理的配慮の内容を検討し、特別支援教育の充実に向けて尽力してきたと認識しております。
しかし、少子化により児童生徒の全体数は減少する中でも、特別支援学級や特別支援学校に在籍する児童生徒は増加し、通級指導教室に通う児童生徒も大きく増えていることから、多様化する教育的ニーズに、より丁寧に応じていくことが必要ではないでしょうか。
併せて、新型コロナウイルス感染症の拡大を踏まえ、全ての子が取り残されることなく、個別に最適化された学びを保障することが特別支援教育にとっても喫緊の課題となっています。
そうした中、国は「新しい時代の特別支援教育の在り方に関する有識者会議」の報告において、インクルーシブ教育システムの構築に向け、障がいのある子どもの学びの場の整備や連携強化等を示しました。
札幌市でも、柔軟な学びの場の充実と、多様化する障がいのある子ども一人一人に寄り添う教育の実現に向け、本市の特別支援教育をさらに一歩前へと進めるべきと考えます。
(2)インクルーシブ社会の実現に向けての新しい公園のありかたについて
我が会派は、公園のバリアフリー化を始め、ユニバーサルデザイントイレの整備などを一貫して訴えてきました。このバリアフリーの考え方をさらに一歩進めたインクルーシブは、今後、インフラ整備の分野でも取り入れていくべき新たな視点であると考えます。
全てを包括するというインクルーシブの視点を取り入れた公園とは、誰もが安心して、同じように楽しめる公園です。こうした公園には、様々な身体的特性に応じた複数の遊具を配置することにより、子どもたちが同じ遊びを共有できる観点から、これまでのバリアフリーやユニバーサルデザインと比較しても、利用者に対する配慮の行き届き方がさらに進むものと理解しています。
最近、障がいのある子どもの関係者から、以前から公園で遊ぼうとしても、遠慮することなく、親子で楽しめる公園が少ないという声を伺い、胸が痛みました。
昨年、東京都では、インクルーシブの視点を取り入れた公園が2か所整備されています。都立公園に関するアンケート調査では、障がいのある子どもの親の多くが「公園に行きにくい」と回答する一方、家族に障がい者がいない人の7割が「障がい者と関わる機会が少ない」と回答しています。ここから、障がいのある子どもとない子どもとの交流機会が少なく、関係性の分断といった懸念が浮かび上がっているとも言えます。
東京都の新しい公園では、障がいのある子どもも安心して遊べるのはもとより、障がいのある子どもとない子どもとの交流の場としての役割も大きく、好意的な意見が数多く寄せられていると聞いています。
多様性を尊重する時代の中、全ての子どもが分断されず、尊厳を損なうことなく共に遊べる場は重要と考えます。
札幌市でも、地域の要望により、そうした安心感の高い公園として整備された事例が南区にあります。今後は、アクセスも良く、より多くの市民が訪れ、札幌市の象徴とも言われる大きな公園、例えば大通公園やモエレ沼公園にインクルーシブの視点に基づく遊具を取り入れるなど、まずはできることから取り組むべきと考えます。
政令市の中で一番の公園数を誇る札幌市が、バリアフリーをさらに進めたインクルーシブの考え方に基づき、障がいの有無に関わらず、全ての子どもが使用でき、一緒に遊べ、交流の場にもつながる公園を整備することは、誰もが共生できる住みよい街を実現するとともに、世界都市・札幌の魅力向上にも資するものと考えます。
(3)高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らし続けるための施策について
我が会派はこれまでも、共生社会の実現に向けた高齢者の福祉施策の推進について継続して訴えてきました。札幌市は、人口減少・超高齢社会といった重要な課題に直面しており、間もなく人口は減少局面に転じ、高齢化率のさらなる上昇が見込まれています。
これからの時代の変化を見据え、健康寿命の延伸に向けて、市民の自主的な健康づくりや介護予防活動を引き続き推進し、誰もが安心して暮らしていけるまちづくりを進めていく必要がより高まっています。
実際、私の市政相談の中でも、居住地の地理的要件によっては相談機関に行くことができず、世帯の中で介護や障がい、生活保護など複合的な課題を抱えているという声も多く、さらにコロナ禍の影響で、高齢者を取り巻く問題が潜在化、深刻化していると感じます。
九州の佐賀市では「みんなが参加・みんなで福祉・みんなの安心」というフレーズを掲げ、我が事の地域づくりとして「福祉まるごと相談窓口」を設置し、一つの支援機関だけでは対応できない課題について、幅広い専門機関との連携による取組を進めていると伺いました。
札幌市でも、こうした課題に対応し、今年3月に策定した「札幌市高齢者支援計画2021」において、基本目標として「いくつになっても住み慣れた地域で安心して暮らし続けることができるまちづくり」を掲げ、高齢者支援施策の総合的な推進と円滑な実施に向けて、地域福祉、障がい、医療の関連施策と併せて、地域包括ケア体制の整備を進めることとしています。
地域包括ケア体制の確立に当たっては、高齢者が自立した日常生活を送るための支援や、要介護状態の重度化を防ぐための取組が重要となっており、それらは市町村が担う大きな役割の一つだと考えます。
答弁
(1)特別支援教育のさらなる進展について
〇特別支援教育においては、子どもの能力や可能性を最大限に伸ばすことができるよう、学びの場や支援の内容・方法などについて適宜見直しを図るなど柔軟に対応していくことが大切であると認識。
〇これまで、特別支援学級や通級指導教室の拡充を進めるとともに、一人一人の子どもに応じた教育支援計画の活用を推進し、医療や福祉など関係機関との連携や切れ目ない支援の体制を構築してきたところ。
〇今後とも、多様なニーズに応じた学びの実現を目指し、障がいのある子どももない子どもも、共生社会の一員として、より身近な地域で共に学び育つ特別支援教育の充実に努めてまいる。
(2)インクルーシブ社会の実現に向けての新しい公園のありかたについて
〇札幌市では、社会情勢の変化や多様な市民ニーズを踏まえ、公園におけるバリアフリー化を計画的に進めており、主要な公園を対象としてユニバーサル化にも取り組んでいるところ。
〇そうした中、例えば、車椅子に乗ったままでも遊べる砂場や、親子が一緒に乗れるブランコといった遊具を用意するなど、誰もが一緒に遊ぶことができるというインクルーシブの視点は、これからの公園整備において、重要になるものと考える。
〇今後は、先行事例の調査などを進めながら、障がいの有無に関わらず、あらゆる人々が気軽に訪れ、憩い、楽しむことができる、魅力ある公園づくりに向けて、さらに工夫を重ねてまいりたい。
(3)高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らし続けるための施策について
〇地域包括ケア体制における高齢者支援の基盤として、介護サービス等の充実はもとより、地域の連携強化や、介護予防・健康づくり施策の充実が重要と認識。
〇このため、地域の介護予防活動への支援をはじめ、地域の支え合いや担い手の創出等を通じ、自助・互助が息づく地域づくりを推進する。
〇高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らし続けるため、保健福祉分野に限らず、札幌市が行う様々な施策について、高齢者を意識し相互に調和をとりながら、一体的に進めてまいりたい。