札幌公明

議会報告Assembry report

2020/02/26 令和2年第1回定例議会

令和2年第1回定例議会2020/02/26

代表質問前川たかし議員(白石区)

札幌市議会本会議において公明党議員会を代表して 前川たかし 議員が代表質問を行いました。
以下、質問とそれに対する答弁の要旨を紹介します。

目次Contents

1.市長の政治姿勢について

質問

(1)次世代につなぐ札幌構築へ今後10年の捉えと市政運営の決意について

2020年代の幕開けとなる本年は、札幌の未来を開く重要な10年間のスタート年であります。

10年後の2030年は、持続可能な開発目標であるSDGsや、地球温暖化対策の国際的な枠組みであるパリ協定の目標年でもあります。また本市においても北海道新幹線の札幌延伸、冬季オリパラの招致、街の再開発など、大きな動きが集中的に進む10年であります。

加えてこの10年間は、防災・減災や全世代型社会保障の充実、さらに観光産業や医療・ITなど先端技術分野の産業振興策を大胆に推進し、少子高齢化社会を支える産業基盤の強化や社会資本整備を着実に進めていかねばなりません。

こうした取組は、20年先、30年先の札幌を展望する上でも重要な取組の柱であり、この10年の挑戦が札幌の将来を決定づけると言っても過言ではありません。まさに、我々の先見性が問われる10年であります。

若い世代が札幌の将来に希望と誇りをもち、生涯にわたって活躍し豊かな生活を送る事ができる札幌新時代を構築する10年にしなくてはなりません。

そこで質問ですが、2020年代のスタートにあたり、札幌市にとって幾重にも節目の年となる2030年に向け、市長は、今後10年をどのように捉え、市政運営をどのように進めていくのか。市長の意気込みを伺います。

(2)行政の効率化について

①全市的かつ抜本的な改善の必要性

昨年12月に策定された「札幌市まちづくりビジョン・アクションプラン2019」では、「市民サービスの高度化に向け、不断の市役所改革に取り組む行政運営」を基本方針に掲げ、「内部業務の簡素化」や「業務の集約・委託」など、業務の効率化に資する取組を計画化した点は評価するものであります。

ただ、長期的な財政収支を見ると、建設事業費や扶助費などの歳出は、今後10年間程度にわたり増加が続く一方、少子高齢化の進展等により税収は横ばいで、大きな歳入増加は見込めない状況のようであります。

市の直近の動きとして、「モバイルワーク」の実証実験や、「業務の見える化」に基づく既存業務の効率化、自動化等に取り組まれていることは承知していますが、まだまだ多くの業務に無駄があるのではないかと考えるところです。

ここで質問でありますが、今後は、現在取り組まれている個々の業務改善に加え、全市的かつ抜本的な業務改善の必要性がますます高まると考えるが、いかがか伺います。

②児童虐待防止に向けた情報連携

人口減少社会・少子高齢社会の到来という国難にどう対応をしていくかを考えると、行革はまさに未来への投資・保険として、より一層の危機感とスピード感での対策に取り組むべきであります。特に先に申し上げたICTの活用やデジタル化の推進は、全ての業務において生産性向上の武器となりうるものであり、より積極的な調査・研究・投資・チャレンジが必要と考えます。中でも、迅速性が求められる災害や児童虐待等への対応においては、ICTを駆使した情報共有と庁内連携が必要かつ有効であります。

昨年6月に中央区で発生した2歳女児の痛ましい死亡事案については、保健センターと児童相談所間でリスク情報が十分に共有されていなかった点が指摘されていますが、関係部署間において、虐待の兆候に関わる情報が漏れなく迅速に共有され、一定のリスク評価まで可能となる効率的なシステムが確立されれば、部局間の連絡ミスを防ぎ、早期に適切な支援や緊急の介入に移行できます。

ここで質問でありますが、特に緊急性の高い児童相談所と関係部署の情報共有に関わるシステム連携の必要性や今後の取組の方向性について、どのようにお考えか伺います。

③職員が能力を発揮しやすい環境

我が会派では、昨年の2定代表質問において、「職員の働きがい・働きやすさの創出」の重要性について取り上げ、市長からは、「働きやすい環境のもとで、職員がやりがいを持って働くことが、生産性の向上、ひいては市民サービスの向上につながる」と答弁を頂いたところであります。

人口減少社会においては、例えば民間企業や他都市でみられるような、多様な働き方のメニューを用意することが、有為な人材確保に不可欠であり、それが、将来にわたる市民サービスの維持向上につながることと考える。

ここで質問でありますが、市民サービスの向上に向け、職員が能力を発揮しやすい環境をどのように作っていくのか、市長の考えを伺います。

(3)民営化や官民連携を見据えた交通局の経営戦略について

人口減少・超高齢社会の到来という時代の転換期を迎える中、札幌市の財政状況は今後、より厳しさを増していくことは間違いありません。

それは地下鉄を所管する交通局にとっても同様であり、乗車人員・乗車料収入が長期的に減少していくと見込まれる中で、地下鉄の車両基地や隧道(ずいどう)といった大規模施設の老朽化対策を着実に行っていかなければなりません。

安定した経営のもと今後も札幌市民や札幌市を訪れる方々の足としての使命を果たしていくためには、これまでの取組の延長線上のままでは効果に限界があり、長期的には市民に見える形で大きな財政効果を生む、大胆な事業改革を示していかなければならないと考えます。

他都市に目を向けますと、平成30年4月に大阪市交通局から民営化を果たした大阪市高速電気軌道株式会社(通称:大阪メトロ)は、可動式ホーム柵の設置やバリアフリー対応など安全・安心への投資を行いつつ、民営化1年目となる平成30年度の業績は427億円の営業利益を計上し、出資者である大阪市へ約81億円の配当を支払うなど、市税の納税と合わせて大阪市への財政貢献を果たしております。

札幌の地下鉄も将来的には民営化を目指して、事業の多角化により経営のベストバランスを構築し、経営基盤の強化を図っていくべきであります。

我が会派は、平成30年第4回定例市議会の代表質問において、札幌市交通事業の将来的な民営化に向けて検討に着手すべきものと考え、将来を見据えた考え方などについて質したところ、秋元市長からは、他の事業者における先進事例や民間の取組を参考として研究を行うとの答弁をいただいたところです。

そこで質問でありますが、民営化や官民連携を見据えた交通局の経営戦略について、どのような認識のもと取り組もうと考えているか伺います。

(4)オリンピック、パラリンピックを契機としたまちづくりについて

東京2020大会のサッカーに加え、マラソン・競歩の札幌開催が決まったこと、さらに2030年冬季オリンピック・パラリンピックの国内候補地に決まったことは、これまで秋元市長のもと国際的スポーツイベントをしっかりと運営し、また、招致活動を積極的かつ着実に展開してきたことの賜物と評価するところであります。

市長はこれまで、まちづくり戦略ビジョンの方針を軸として、冬季オリンピック・パラリンピック開催の大きな狙いは、札幌の街を創り変えていくことと述べてきました。

札幌の街を創り変えていくためには、再開発や施設整備などはもとより、福祉、経済、観光、教育など様々な分野で、新たな変革や挑戦をしていく必要があります。

このたび、特に花形種目であるマラソンが開催されることとなり、2030を待たず、目の前の東京2020大会において、札幌が世界から大注目を浴びることになります。札幌に多くの様々な人が集まるとともに、民間投資が進むことも予見され、スポーツ、観光などの一つのセクションの話に留まらず、今後のまちづくりにとって大きな弾みになるものと考えます。

そこで質問ですが、今回の東京2020の各競技の開催、さらには2030年冬季オリンピック・パラリンピック大会の招致を契機として、まちづくりに関する様々な施策を横断的に進めていく必要があると考えますが、これについて市長の見解を伺います。

(5)脱炭素社会に向けた札幌市の姿勢について

「危険な地球温暖化を抑えられるか、今がまさに節目だ」これはⅭOP25でのグテレス国連事務総長の訴えですが、気候変動対策は人類の喫緊の課題と考えます。南極では観測史上最高気温20度超えが観測され、ヨーロッパ北部では暴風雨「キアラ」に見舞われるなど異常気象が世界各地で観測されております。札幌でも、まれにみる小雪が続いた後に大雪が降るなど、私たちの身近でも、異常気象が増加しております。

本市は低炭素社会への取組として省エネルギーの推進や再生可能エネルギーの導入拡大を進めてきました。しかし現状を鑑みると更なる取組が必要であり、森林の整備や木製品や炭素材料など利活用による炭素固定、また京都議定書で認められた排出量取引の仕組みの活用など、様々な選択肢について検討を進め、CO2排出実質ゼロを目指すことが重要です。

市内から排出されるCO2の約9割は、家庭、オフィスビルや自動車など、私たちの身近なところから排出されておりますので、脱炭素社会の実現のためには、国などの取組や技術革新を待つのではなく、できることを「自分から」行い、札幌市全体としての取組を加速していく必要があると考えます。

そこで質問でありますが、脱炭素社会の実現に向けては、札幌市がしっかりと姿勢を示すことが必要と思うが、市長の考えを伺います。

(6)地域材活用促進に向けた取組について

森林が持つ公益的機能は、私たちに広く恩恵を与えるものであり、適切な森林の整備を進めていくことは、国土や国民の生命を守ることに繋がるものであります。

このような現状を踏まえ、温暖化ガス排出削減目標の達成や災害防止等を図るため、森林環境譲与税が創設され、市町村へ配分が開始されました。

現在、札幌市への譲与額は全国で7番目に高く、道内では突出しています。さらに森林環境譲与税の前倒しでの増額が決定され、今年度の2.1倍にあたる約2億円の配分が見込まれております。

成熟した北海道の森林資源、特にこれから出材が増えるトドマツ等の人工林の価値を高め、道内でしっかり使っていくことで、持続可能な林業・木材産業の確立と地域経済の発展・雇用の創出に繋げることが欠かせません。

また、木質バイオマス発電施設が道内28か所のほか、多くの発電、熱ボイラーが稼働しておりますが、2032年以降、FIT制度による20年の固定価格買取がなくなるため、燃料となるチップの大幅な需要減への対応についても留意しなくてはなりません。札幌市の役割は真に大きいと言えます。

まずは、公共建築物の地域材による木質化を進め、市民に広く木材の良さを伝えていくことが重要であります。

また、地域材の活用促進にあたっては、北海道の木材産業全体が協力して供給体制を確保する必要があり、そのためには行政においても地域材の利用に向けた考え方や需要の見込みを広く示すことが求められるのであり、関係機関を交えた庁内横断的な検討を始めるべきと考えます。

そこで質問ですが、地域材活用の促進にあたり木材産業との連携がますます重要になるものと考えますが、市長のお考えはいかがか伺います。

(7)たばこ対策について

今年4月に全面施行される改正健康増進法では「望まない受動喫煙をなくす」ことのほか、「受動喫煙による健康影響が大きい子ども、患者等に特に配慮」することとしており、すでに昨年7月からは行政機関、医療機関、教育機関等の第1種施設においては敷地内禁煙となっております。

本市においては、法施行に先駆け、昨年1月1日より、市役所及び区役所を全面禁煙とし、すでに市有施設の97%が敷地内禁煙や屋内禁煙となっていると聞いており、その取組を高く評価するところであります。

今年7月に内閣府が実施した「たばこ対策に関する世論調査」結果においては、たばこの煙が不快、どちらかと言えば不快と回答した人が78.4%、約8割であり、不快に思った場所は食事を提供する店舗が62.4%と最も多く、次いで路上が53.3%という結果でありました。

受動喫煙防止のための行動が市民運動として広がっていき、受動喫煙のないさわやかなまちさっぽろの実現、そして、将来的には、喫煙率の低下、がんの罹患率や死亡率の低下により、喫煙率ワーストワンからの脱却、市民の健康増進につながることを期待しているところです。

しかしながら、健康増進法における受動喫煙対策は、対象が屋内における受動喫煙であり、路上や多くの子どもたちが利用する公園など、屋外の対策は不十分であると考えます。未来ある子どもたちを受動喫煙の健康影響から守るためにも、本市独自の受動喫煙防止に関する条例の制定など、さらにきめ細やかなたばこ対策の推進が必要ではないかと、個人的には考えるところです。

そこで質問でありますが、オリンピック・パラリンピックの開催、招致において全世界から注目浴びている本市のたばこ対策に対する市長の考えを伺います。

(8)まちづくりにおける婚活支援について

若者が元気でないとまちづくりは活性化しない。そういう信念で婚活に関心を持ってきました。かつては、市役所が婚活支援など、という声もありましたが、今では多くの自治体が積極的に婚活支援に取り組んでおり、地方創生に一役買っております。札幌市でも、南区で産声を上げた婚活事業は、未来創生プランに位置づけられる主要施策となり、子ども未来局が2017年度から全市を対象に「若者出会い創出事業」として実施しており、2019年度はその3年目の年であります。

札幌市の「若者出会い創出事業」は、札幌に住む39歳未満が対象であり、札幌市では、最後のマッチングまで行っていないため、カップル成立数はほぼゼロに等しい状況です。これではせっかくの事業も成果を上げているとは言えません。私は、これまでも対象を40歳以上に拡大し、他都市でも行われているようにマッチングも実施し、成約率を上げることによって、結婚をあきらめていた世代にももう一度挑戦しようという気持ちにさせることが大事だと考えています。

そこで質問でありますが、3年間取り組んできた「若者出会い創出事業」、いわゆる「婚活事業」について、その成果と課題をどのように総括し、今後のまちづくりに向け、新たにどのような視点を盛り込んで取り組んでいこうとしているのか、市長の取組姿勢を伺います。

答弁

(1)次世代につなぐ札幌構築へ今後10年の捉えと市政運営の決意について

〇札幌市は2022年に市制施行100周年を迎え、また現在の都市基盤が形作られた1972年の冬季オリンピック開催から50周年を迎える。この間、人口は一貫して増加し197万人を超え、多くの人やモノを引き付ける都市として成長を続けてきたところ。

〇今後は、更新期を迎えつつある都市のリニューアルや、大規模スポーツイベントなどを通じ、魅力と活力の創造を一層進め、世界都市としての位置づけをより高めることが必要と考える。

〇一方で、人口減少・超高齢社会への対応やSDGsの推進など、これまでとは異なる考え方の下で、経済と地球環境を両立させながら、いつまでも安心して住み続けられる、持続可能なまちづくりをしていく必要があるものと認識。

〇このように、今後10年が、札幌市の次の100年の基盤を作る大変重要な時期であることを念頭に置き、市政を着実に進めてまいりたい。

(2)行政の効率化について

〇1点目の全市的かつ抜本的な改善の必要性について

今年度、全庁的な生産性の向上に向け「業務の見える化」に取り組んできた。これにより、申請書のデータ化や審査などの自動化、そのほか各種業務における通知書の発送など、集約可能な業務が見えてきたところ。

〇そこで、令和2年度中には、そうした業務を集約し、一括処理を行う「行政事務センター」を試行実施する予定であり、全市的な業務改善の糸口になるものと期待をしているところ。

〇2点目の児童虐待防止に向けた情報連携について

迅速な対応が求められる児童虐待防止の取組においては、より効果的な情報連携の必要性を認識しており、児童相談所や保健センター等の部所間における、ICTを積極的に活用したリスクマネジメントについて検討を進めているところ。

〇3点目の職員が能力を発揮しやすい環境について

多様な働き方ができる環境の整備は、職員がその能力を最大限に発揮することはもとより、優秀な人材の確保や生産性の向上、女性活躍社会の実現などに向けて重要であると認識。

〇本市においても、「在宅勤務制度」の導入など、職員が働きやすい環境の整備に努め、より一層の市民サービスの高度化につなげてまいりたい。

(3)民営化や官民連携を見据えた交通局の経営戦略について

〇地下鉄事業を民営化するためには、いまだ多額に上る累積欠損金の解消や企業債の全額返済が必要となること、また、有効活用し得る資産がほとんどないことなどから、現状では民営化は難しいものと考えている。

〇一方で、官民連携の取組は必要であり、札幌市交通事業経営計画では、民間企業との連携により、地下鉄駅施設を活用した増収策を検討することとしている。

〇また、他事業者においても、災害時に無料開放できるモバイルバッテリーのシェアリングサービスの実施など、新たな事業展開を行うことで、効果を上げている例が多くある。

〇今後、このような先進事例や民間ならではのアイデアを取り入れ、新たな事業に挑戦することで企業体としての稼ぐ力をつけ、持続可能な交通体系の維持とお客様サービスの向上に努めてまいりたい。

(4)オリンピック、パラリンピックを契機としたまちづくりについて

〇東京2020大会のマラソン・競歩の開催は、世界都市・札幌の魅力を広く発信できる、またとない機会と捉えており、大会後もインバウンド需要や民間投資の拡大につなげるなど、まちづくりを大きく加速させながら、2030年大会の招致にも活かしていきたいと考えている。

〇2030年冬季オリンピック・パラリンピックに向けては、これまで築いてきた都市基盤や、文化・芸術環境をより充実させるとともに、互いの個性や違いを認め合う共生社会の実現や、環境負荷の少ない社会の形成など、より成熟した都市を実現していくことが必要と認識。

〇こうしたことを、市民生活の質の向上につなげつつ、まちづくりの各分野のレガシーとなるよう、様々な施策を連携させ、官民一体となってオール札幌体制で取り組んでまいりたい。

(5)脱炭素社会に向けた札幌市の姿勢について

〇地球温暖化は世界全体での喫緊の課題であり、多くの国が脱炭素社会に向けた動きを加速させている中で、世界に誇れる環境首都を目指している札幌市としても、全力で取り組むべき課題と認識。

〇そこで、現在改定作業を進めている温暖化対策推進計画に徹底した省エネルギー対策や、再生可能エネルギーの更なる導入拡大などの取組を盛り込む予定。

〇さらに、先ほどお答えした2030年に向けたまちづくりにおいては、環境負荷が少なく成熟した都市を実現することとしており、改定中の計画に高い目標を掲げ、取り組んでまいる。

〇加えて、異常気象による災害が頻繁に発生し、若い世代も含めた幅広い世代で危機感が高まっている状況も踏まえ、2050年には温室効果ガス排出量の実質ゼロを目指すこととし、市民や事業者と一体となって、脱炭素社会の実現に取り組んでまいる。

(6)地域材活用促進に向けた取組について

〇札幌市は一大消費地としての役割が期待されており、公共建築物への地域材活用を促進することで、北海道の林業・木材産業の振興に寄与していくことが重要であると認識。

〇今後、子どもたちや多くの市民が利用する公共施設に、より一層地域材を活用していきたいと考えているところ。

〇そのためには、地域材を安定的に供給していただくことが前提になることから、森林施策を推進している国や北海道をはじめ、供給元である木材産業関係の団体とも、需要の見込など更なる情報の共有を図り、連携を深めてまいりたい。

(7)たばこ対策について

〇札幌市は、政令市の中でも市民の喫煙率が高く、たばこ対策の推進は、市民の健康を守ることはもちろん、オリンピック・パラリンピック開催、招致の観点からも重要と考える。

〇「さっぽろ受動喫煙防止宣言」を契機として、たばこ対策のより一層の充実をはかり、受動喫煙のないさわやかなまち札幌の実現、喫煙率ワーストワンからの脱却を目指してまいりたい。

(8)まちづくりにおける婚活支援について

〇若者出会い創出事業の成果であるが、参加者の約半数は、これまで婚活イベントには参加したことがない方からの応募であり、若者が一歩を踏み出す契機となっていると認識。

〇一方、結婚に前向きになれたと答える方や、実際に交際にまで至った方は少なく、実施手法等について、検討の余地があるものと考えているところ。

〇次年度は、民間事業者や周辺自治体との連携や、対象年齢を柔軟に設定するなど、新たな取組も検討してまいりたい。

2.災害対策について

質問

(1)災害に強いまちづくりに向けた基本的考え方について

我が国における災害は、震災だけではなく、地球温暖化の影響による想像を超えた豪雨の発生など、この四半世紀は大規模な自然災害が相次いで発生し、多くの尊い人命を失われるとともに、莫大な経済的・社会的損失を被り続けております。

災害に強いまちづくりの推進においては、今後の持続可能な社会構築を見据えたビジョンをしっかりと持ち、北海道新幹線の延伸や冬季オリンピック・パラリンピック招致を目指す2030年に向けて、この四半世紀の教訓を活かし、これまでの経験を超える災害があったとしても、スピード感をもって、それを克服できる準備が必要と考えます。

そこで質問ですが、災害に強いまちづくりに向けた基本的考え方を伺います。

(2)災害時の被災者支援の強化について

①被災者支援を図るための情報共有におけるシステムの構築

北海道胆振東部地震における検証報告書の中には、被災者支援に係る各制度に関係する部局が必要な情報を随時共有できるシステムの構築と被災者台帳の本格整備に向けた検討を行うことが中長期の課題として、明記されていたところです。

令和2年度予算では、「災害対策統合システム構築費」として、3億6千万円が計上されていますが、この中に、被災者支援システムの構築も含まれていており、我が会派としても評価しているところです。

そこで質問でありますが、この被災者支援システムは、いつから運用が可能となるのか、また、どのような効果が期待できるのか、伺います。

②被災者支援における関係団体との協力体制

災害発生時に効果的な被災者支援を行うためには、ボランティアや災害支援に取り組む団体との協働が必要であり、そのためには、関係団体と日頃から情報交換や連携を緊密に行い、顔の見える関係を築いておくことが重要であると考えます。

そこで質問でありますが、札幌市では、災害発生時にボランティアや災害支援に取り組む団体と協力して被災者支援を行うために、どのように備えていくのか伺います。

③みなし仮設住宅の提供期間

みなし仮設住宅については、北海道胆振東部地震は、国から特定非常災害の指定を受けていないため、東日本大震災や熊本地震などのように、仮設住宅の提供期間を災害救助法の規定に基づいて延長することは、国の制度の下ではできないと伺っており、今年の9月以降、順次2年間という期限を迎えてしまいます。

そこで質問でありますが、みなし仮設住宅の提供期間終了後の対応について、どのように考えているのか伺います。

(3)暖冬・少雪の影響にともなう道路補修の考え方について

今冬の暖冬少雪は、今月に入り、少し和らいだものの、除排雪事業者の経営に少なからず影響を与えた。この度の少雪による影響への本市の緊急対応策については、先の建設委員会において、議論がされ、我が会派からも企業体の構成員によって、人員や機材の調達方法に違いがあることや民々間の契約形態が多種多様であることを踏まえ、今後の検証を急ぎ、構造的な整備をするよう求めたところ。

今冬は、道路の舗装表面が雪に覆われることなく長時間露出している状況が全市的に多く見受けられたところであり、特に市民生活に最も身近な生活道路や歩道は、幹線道路の車道部に比べアスファルト舗装が薄いことから、冬期間の気象の影響が顕著に表れ、舗装下の路盤の凍結(凍上)によりアスファルト舗装が盛り上がり舗装表面にひび割れ等発生し最終的にアスファルト舗装が剥離して穴ぼこや点字ブロックの傷み等が多く出現し、市民生活に影響を与えることが考えられます。

そこで質問ですが、今冬のような暖冬少雪のシーズンの融雪期は、道路が傷みやすいこと、加えて、今年は札幌で東京2020大会のマラソンと競歩競技が実施されますが、今春はどのような道路補修を考えているのか伺います。

答弁

(1)災害に強いまちづくりに向けた基本的考え方について

〇まず、「人命・財産及び社会経済機能の保護」と「迅速な復旧・復興」を図ることを前提とし、これに加え、SDGsの視点を踏まえるとともに、強靱化の取組を通じて国内外から人や投資を呼び込み経済の成長を図る考え。

〇その実現に向けては、北海道胆振東部地震の教訓を踏まえ「大規模停電への対策」、「建築物・インフラ等の耐震化や老朽化対策」、「避難場所の機能強化」等を重点取組に位置付け、国の支援を最大限活用しながら総合的・計画的に事業を進める考え。

〇また、将来を見据えて都市の魅力をさらに高めるまちづくりを進める中で、強靱化という側面を常に意識し、真に災害に強いまちの実現を目指してまいります。

(2)災害時の被災者支援の強化について

〇1点目の被災者支援を図るための情報共有におけるシステムの構築について

災害により被災された方々にとって、速やかな生活再建は大変重要なことであり、早期に支援体制を整えるため、被災者支援システムについて令和2年度中に構築する。

〇新しいシステムでは、被災者ごとの支援状況などを、関係部局が随時、共有できる被災者台帳機能を新たに追加することにより、被災者に対し適切に必要な支援を行うことが可能となる。

〇2点目の被災者支援における関係団体との協力体制について

札幌市では、大規模な災害が発生した場合は、札幌市社会福祉協議会に災害ボランティアセンターの開設・運営を要請し、ボランティアの受け入れや災害支援に取り組む団体との連携・協力を行うこととしている。

〇被災者支援を効果的に行うためには、札幌市社会福祉協議会やボランティア連絡協議会、災害支援に取り組む団体との平常時からの関係構築が重要であることから、定期的に連絡調整会議を開催し、情報交換などを行っている。

〇今後も、大規模な災害に備えて、連絡調整会議への参加団体の拡大を図るとともに、連携の在り方について引き続き協議を行い、協力体制の充実・強化に努めていく。

〇3点目のみなし仮設住宅の提供期間について

みなし仮設住宅にお住まいの方々に対しては、2年間の提供期間の終了までに、恒久的な住まいを確保できるよう、それぞれの状況に応じて、引き続き丁寧に対応してまいりたい。

〇なお、市が行う復旧工事の影響で住宅の再建が遅れるなど、一定の条件を満たす方々には、現在のみなし仮設住宅に住み続けられるよう、市独自の家賃支援を行う方針。

(3)暖冬・少雪の影響にともなう道路補修の考え方について

〇暖冬・少雪シーズンの融雪期は道路が傷みやすいことからパトロールを強化し、補修を速やかに実施してまいりたい。

〇また、例年実施しているオーバーレイなどの舗装補修工事については、債務負担行為により早期発注に努めており、4月以降発注予定の舗装補修工事等についても例年より早期に発注すべく準備を進めているところ。

〇次にマラソンや競歩についてですが、既に発注しているコースとなる車道の整備に加え、観戦客のための歩道補修等も早期に発注することとしており、市民生活やオリンピックの競技に影響がないよう適切な路面の管理に努めてまいりたい。

3.持続可能な札幌を支える産業の成長戦略について

質問

(1)スノーリゾート形成に向けた今後の展開について

観光は、札幌の経済成長をけん引する基幹産業の一つであり、今後も国内外からの観光客を積極的に取り込み、その経済効果を幅広い業種に波及させていくことが重要となります。

私は、今こそ札幌がスノーリゾートとしての認知度を高め、多くのインバウンドを取り込むための絶好の機会と考えています。

秋元市長も、昨年の2定代表質問において、我が会派の福田議員の質問に対して、「スノーリゾートシティとしてのブランドづくりに取り組み、冬期間のインバウンドのさらなる拡大を目指す」と答弁され、「アクションプラン2019」にも「スノーリゾート推進事業」を掲げて、スノーリゾート推進に積極的な姿勢を示していることは、私も高く評価し、非常に期待しているところであります。

しかしながら、札幌がスノーリゾートとしてブランド化されれば、それでゴールというわけではなく、世界レベルのスノーリゾートを目指すためには、札幌だけでなく、ニセコやルスツ、富良野といった道内の他のスノーリゾートと連携した、スケールの大きな構想を描いていく必要があると考えている。

そこで質問でありますが、札幌市におけるスノーリゾート形成に向けた今後の展開に関する市長の考えを伺います。

(2)健康・医療関連分野の産業振興について

バイオ関連産業の世界市場は、OECDの報告によると2030年までに加盟国の国内総生産の2.7%、180兆円もの巨大市場へと成長することが見込まれております。

こうしたことから、札幌市が将来にわたり持続的な発展を遂げていくためには、世界的に大きな成長が期待され、かつ札幌の強みを生かすことができる健康・医療関連の産業が極めて重要な意義を持つと、機会あるごとに指摘してきました。

この分野において著しく成長してきている医薬品開発を例にとりますと、効果が期待される化合物を見つけたり、作用するメカニズムを解明するなどの基礎研究に始まり、動物による試験や臨床試験などを経て国の承認を受け、発売に至るまで、非常に長い期間が必要であり、ITなど他の分野よりもはるかに時間がかかると言われております。

医薬品開発をはじめとした研究開発型の産業をけん引しているのは、大学の研究が発端となったベンチャー企業であると言われております。

経済産業省のデータを見ると、2016年度から2018年度までの2年間における国内の大学発ベンチャーの増加数は、1位の京都大学の61社に対し、道内トップの北海道大学でも、わずか2社にとどまっているのが現状です。

本市においても様々な施策を講じているところではありますが、大学発ベンチャーの増加数を鑑みると、まだまだ十分とは言えない状況がうかがえます。

こうした状況ではありますが、札幌では、北海道大学や札幌医科大学などで、健康・医療関連の高度な研究が盛んに行われていることから、それらが事業として結実し成功例が次々と生まれることで、この分野の産業が大きく成長する可能性があると、私は強く期待しているところです。

そこで質問でありますが、本市における健康・医療関連分野の産業振興について、今後どのように取り組んでいくのか伺います。

答弁

(1)スノーリゾート形成に向けた今後の展開について

〇札幌市の観光振興において冬の閑散期対策は長年の課題であり、スキー場を始めとした冬の魅力と観光都市の魅力を融合させた札幌ならではのスノーリゾートのブランド化を図ることは、極めて重要であると認識。

〇スノーリゾートの形成に当たっては、行政はもとより、スキー場やスキー関連団体、観光関連事業者といった様々な関係者が一体となった取組が必要であることから、まずは、年度内を目途に推進組織を設立することとしている。

〇今後は、その推進組織を核として、スノーリゾート推進に向けた計画を策定し、冬季オリンピック・パラリンピックの招致や北海道新幹線の札幌延伸を見据えながら、他市町村とも連携して世界レベルの一大スキーリゾートエリアの形成を目指し、インバウンドの拡大につなげてまいりたい。

(2)健康・医療関連分野の産業振興について

〇健康・医療関連産業は、専門性が高く、成果に結びつくまで長い時間がかかるものの、研究機関・医療機関が集積している札幌市において、有望かつ高い経済効果が見込まれる重要な産業であると認識。

〇これまでも、大学における基礎研究、産学による共同研究、開発後の販路拡大といった様々な段階で支援を行っており、更に、再生医療分野の研究開発などについては、技術の進展や業界の動向に対応した取組も展開しているところ。

〇今後は、成長が期待できる研究について事業化を一層促進するため、これらの支援に加えて、資金調達や経営人材の確保といった課題の解決に向けた環境を整備するなど、健康・医療関連の産業振興を積極的に進めてまいりたい。

4.ICTを活用したまちづくりについて

質問

(1)5G時代を迎えての札幌市の取組について

近年のICTの発展は目覚ましく、データ間における関係性などを分析することで新たな価値を生む「ビッグデータ」や「オープンデータ」の活用、人工知能「AI」、様々なモノをネットワークに接続する「IoT」など、新たな技術やサービスが私たちの暮らしや企業の活動に大きな影響を与えており、まちづくりを進めていく上でもその活用を図っていくことが重要な要素となっています。

中でも、特に今、注目すべき技術として「5G」が挙げられます。

5Gとは、携帯電話などのモバイル端末の通信に係る第5世代移動通信システムのことで、この春から実用化される見通しであり、「高速・大容量」、「低遅延」、「多接続」を特性とし、産業、農業、医療、防災、交通、エンターテイメントなどの多様なシーンでの活用が見込まれております。

まちづくりにおける活用としては、遠隔での医療や教育、河川等監視の自動化、救急搬送の高度化、テレワークによる柔軟な働き方などが期待されているところです。

札幌市ICT活用戦略が掲げる持続可能なまちづくりを人口減少社会において実現していくためには、こうした先端技術を積極的に活用していくことが不可欠であると考えます。

そこで質問でありますが、札幌ICT活用戦略にも掲げる5Gを始めとした先端技術の活用について、どのように取り組んでいくのか伺います。

(2)交通モードの連携について

ICTを活用した交通モードの連携については、現在全国各地でMaaSに関する様々な取組が進められています。

MaaSは、欧米諸国を中心に取組が進んでおり、2016年からフィンランドではMaaSを実現するためのスマートフォン等のアプリであるWhimにより、複数の交通機関等のサービスを統合し、月に一定額を支払えば、鉄道、バスが乗り放題になる定額制サービスなどの運用が開始されております。

一方、国内においては、目的地までの店舗・イベント情報などの提供に合わせて、移動手段の検索・予約・決済を一度に行うなど、一連の情報や手続きをアプリ一つで提供する取組が進められています。

国においても、国土交通省と経済産業省が共同で、MaaS等新たなモビリティサービスに関する19事業の実証実験について支援を行うなど、MaaSの実現に向けた取組を進めています。

このようにMaaSについては、現在、官民あげて取組を進めているところであり、実際に事業を展開している三重県と豊田市に伺い、ご苦労を乗り越え大きな成果をあげている様子を直接伺い、大変重要な施策であることを実感してきたところです。

そこで、質問でありますが、MaaSなどICTを活用した交通モードの連携について、札幌市としての取組について伺います。

答弁

(1)5G時代を迎えての札幌市の取組について

〇5Gが実現する高速大容量の無線データ通信により、自動運転やロボットの遠隔操作など各種先端技術の向上が期待されることから、札幌市においても、様々な活用の可能性を追求していくことは重要な課題と認識。

〇このような先端技術が市民生活の中で実用化されるまでには、様々な実証事業等が不可欠であり、民間事業者が有する高度な技術や有識者の知見などを活かしながら、新たな価値や持続可能な取組を生み出すことに挑戦してまいりたい。

(2)交通モードの連携について

〇MaaSなどICTを活用した交通モードの連携により、利用者が目的地にスムーズに移動できる、シームレスな環境を実現させることが重要であると認識。

〇札幌市においては、今年度末までに改定する総合交通計画に重要な項目の一つとして位置付け、国内外の先進的な取組を注視しながら必要な検討を進めてまいりたい。

5.持続可能な市立札幌病院構築への経営ビジョンについて

質問

我が国の医療は超高齢化の進展により、今後は、循環器や呼吸器系疾患などの需要が高まるものと見込まれており、超高齢社会を見据えた効率的で質の高い医療体制の整備を進めていく必要があります。

一方で、平成29年度地方公営企業決算の概要を見ると、病院事業630業のうち、約6割が赤字で、かつ年々経営の悪化している事業数が増加しているなど、超高齢時代に対応した病院経営の整備は容易ではありません。

そのような中、財政再建を目指している市立札幌病院は、収益力の向上を少しずつ成し遂げ、平成30年度決算においては、前年度比で約10億円好転しております。

また、今年度は、「病床利用率」が、一般病床において100%を超える日もあるなど、高い回転数を維持できていると聞いており、財政再建へ向け、一歩ずつ改善がなされてきたと、一定の評価をしているところであります。

しかし今後、診療報酬のマイナス改定に加えて、働き方改革関連法施行による給与費・委託費の増加がさらに見込まれる等、市立札幌病院を取り巻く経営環境がより厳しさを増すことが予想されます。いかにして経営基盤を強固なものとし、持続可能な体制を構築できるか経営手腕の真価が問われる時です。

そのためにも、現状に満足することなく、患者ファーストでの柔軟な取り組み、新たな医療技術やICTの活用、さらにベンチャー企業などとの連携によって、今まで気づかなかった市立札幌病院の価値を発掘し、新しい収益構造の構築を図るなど、他都市の参考になるような取組にも積極的に挑戦すべきであると考えます。

そこで質問ですが、市立札幌病院は、厳しさを増す経営環境の中、今後どのような経営ビジョンで、持続可能な病院を構築しようとしているのか伺います。

答弁

〇高度急性期の医療を担う市立札幌病院としては、常に先進的な医療を取り入れながら、合併症や認知症患者の増加など、高齢化に伴う医療需要にも対応し、患者に寄り添った診療に専心することが、より一層求められている。

〇これまでも、手術支援ロボットの導入のほか、胸部を切開せずに行うカテーテルによる心臓等の治療や、患者の身体的負担を考慮したがん化学療法の実施など、新たな治療や患者に優しい医療の実現への取組を進めているところ。

〇また、ゲノム医療、再生医療、AI医療など先進医療の動向を注視し、市民に還元できるよう適切に対応していくことも重要だと認識。

〇持続可能な経営基盤の構築に向けて、日々進歩する医療技術をいち早く取り入れ、その時々の医療需要を的確に捉えるとともに、感染症対策もしっかりと担い、救急医療や災害医療など市立病院としての使命を果たしながら、地域医療支援病院として、今後とも地域を支え、選ばれ続ける市立札幌病院を目指してまいりたい。

6.医療・福祉施策について

質問

(1)感染症対策について

①新型コロナウイルス感染症への対応

ワクチンや抗ウイルス薬がない新型コロナウイルス感染症については、昨年12月以降、中国で複数発生し、日本国内、世界中で感染の広がりをみせ、1月28日には道内でも初となる患者が確認されました。本市においても感染防止に向けた対策の強化を図るべく、公明党として市長へ要望書を2月3日に提出したところです。

この要望書の重点項目の一つに、「市民及び観光客への迅速で正確な情報提供と相談窓口の周知徹底を行うこと」を掲げたのは、拡大防止のために、感染症対策としてまず行政が迅速にするべきことが、「市民が混乱せず、情報に惑わされることなく正しい行動をとれる」ようにすることと考えるからであります。

新型コロナウイルスは感染症法で指定感染症に位置付けられましたが、いまだ感染の広がりやすさの程度、臨床的特徴、重症度が不明であり、私自身もそうではありますが、市民にとっては、自分が安心できる正しい情報を得たいと思うところです。

市民が感染症に対して、安心・安全であると感じられる情報発信、不安を払拭するための窓口の設置は、大変、重要と考えます。

そこで、質問でありますが、新型コロナウイルスは感染症に対して、現在、どのような対応を行っているのか。また、今後、感染症の拡大防止、終息に向けて、市民に必要な情報をどのように発信するのか伺います。

②結核対策

夏の東京オリンピックの開催地として札幌市としても準備が進められているところと思いますが、国では「2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた感染症対策に関する推進計画」を策定しており、その計画には、個々の疾患等への予防策のひとつとして結核対策も位置付けられております。

増加が続く外国人労働者、技能実習生は、医療や介護の現場で働くケースも多くなり、当然、高齢者や免疫機能が低下している方との接触も増えることから、事業所等における感染対策が重要であり、昨年10月の決算特別委員会の答弁にあったように、定期健康診断は早期発見のために重要な機会のひとつであると考えます。

「結核定期健康診断」の実施そのものは、事業者に感染症法第53条の2で義務付けられておりますが、市は対象機関の実施状況の把握に努めていくとともに、健診の必要性をしっかり・繰り返し伝えていくことで、国が東京オリンピック・パラリンピックまでに目標としている低まん延国になることに繋がると思います。

そこで質問でありますが、定期健康診断のみならず、結核対策に尽力していただきたいと考えておりますが、今後の結核対策をどのように進めようと考えているか伺います。

(2)フレイルを含めた介護予防の強化について

秋元市長は「アクションプラン2019」の中で、目指すさっぽろの姿として「誰もが安心して暮らし生涯現役で活躍できる街」を掲げているが、その実現に向け、健康寿命を延ばすうえで大きな意義のあるフレイル予防が重要な課題のひとつであると考えております。

国においても高齢者に対する保健事業については、壮年期のものとは違い、低栄養や口腔、運動、認知機能等の身体的フレイルに加え、社会的フレイルにも着目し、高齢者の特性を踏まえた健康支援が求められているところであります。

市内においても健康づくりセンター、介護予防センター、清田区役所における「健活ラボ」等、現在も健康増進のために活用できる場で注目していますが、老人クラブや地域の自主的なサークル活動等の身近な「通いの場」に介護予防の働きかけをするなど、フレイル予防を含めた介護予防の強化が重要であります。

そこで質問でありますが、平成30年3定においてわが会派の代表質問で、フレイル予防の重要性に触れ、高齢者の健康を支える体制等について求めたところ、札幌市からは「介護予防の活動の充実のために体制を整えているところ」との答弁でありましたが、これまでの評価と今後どのように進めるのか伺います。

答弁

(1)感染症対策について

〇1点目の新型コロナウイルス感染症への対応については、これまで3回の感染症対策本部会議を開催し、状況に応じて必要な対策を講じてきたところであり、2月22日には有識者の意見をふまえイベント等を当面3週間程度、原則中止や延期することなどの指示をしたところ。

〇市民に正確な情報を提供することは、感染対策に重要であると認識しており、メディアを通した情報発信や、ホームページなどを活用して、できる限り迅速かつ正確な情報提供に努めているところ。

〇また、発熱や咳などの症状がある方については、「救急安心センターさっぽろ(#7119)」で対応し、それ以外の方からの相談については専用の電話相談窓口を新たに開設して対応しているところ。

〇引き続き、市民の皆様に冷静に対処していただけるよう、より分かりやすく正しい情報提供に努めてまいる。

〇2点目の結核対策については、「2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた感染症対策に関する推進計画」や、外国生まれの患者の増加をふまえ、「結核定期健康診断」の周知徹底、確実な治療完了のための患者支援等、医療機関等の関係機関と一層の連携をはかりながら、総合的な結核対策を推進してまいりたい。

(2)フレイルを含めた介護予防の強化について

〇札幌市では、介護予防センターが実施する教室において身体的機能等の評価を取り入れるとともに、地域の自主的な活動の推進を目的にリーダーを育成するなどして、取組を強化しているところ。

〇この取組は、加齢により心身が衰える状態であるフレイルを予防することにも資するものと考えている。

〇評価としては教室に参加した前後で効果測定を行ったところ、「歩行速度に向上が見られた」「積極的に外出する機会が増えた」等、身体機能のみならず社会との関わりにも効果が見られた。

〇今後も引き続き、地域サロンやサークル等、身近な通いの場において市民が専門職から運動、口腔、栄養などの知識を得て、フレイルを含めた介護予防に取り組めるよう更に環境を整えてまいりたい。

7.子育て支援について

質問

(1)幼児教育・保育の無償化について

幼児教育・保育の無償化が始まり、5か月が経過しました。この無償化は、我が党がその実現に向け様々な取組を進めてきた政策であり、子育て世代の経済的負担の軽減という点において、大きな意義を有するものであります。

無償化の対象となる費目かどうかわかりにくいという利用者からの声や、支給手続きに必要な書類の作成や副食費の徴収事務の事務負担が増えたという事業所からの声を、実際に耳にしたのも事実であります。

そこで質問でありますが、この度の無償化に向けたこれまでの札幌市の取組についてどのように評価しているのか、また、今後の取組をどのように考えているのか、併せて伺います。

(2)保育人材の確保について

今回の我が党が全国で行った調査では、施設の安定的な経営を続ける上で、期待する政策についても質問しており、多くの施設が「人材の育成・確保への支援」を求める結果となっています。保育人材の確保が受け皿の確保と併せて全国的に喫緊の課題となっていることを改めて認識させられました。

札幌市においても、「保育人材確保緊急対策事業」により、人材確保に向けた支援を始めており、同事業については、「アクションプラン2019」にも位置付け、来年度予算案においても盛り込んでおり、これらの事業が効果を上げ、少しでも施設の人材確保につながればよいと期待しています。

もっとも、これらの事業の効果がすぐに表れるものではないということも承知しており、様々なデータを把握し、数年単位での検証が必要と思います。

また、昨年度札幌市が保育士実態調査を実施していますが、取組の検証に当たっては現状に関するさらなる実態把握や分析も必要と考えているところです。

そこで質問でありますが、受け皿の拡大を進めるに当たっては、保育人材の確保がさらに求められることとなりますが、保育人材についての現状把握を含めて緊急対策事業の検証を進め、効果的な人材確保の支援に繋げていく必要があると考えますが、いかがか伺います。

答弁

(1)幼児教育・保育の無償化について

〇無償化の実施に当たっては、施設の協力を得て保護者に漏れなく対象や手続きについて周知を行うなど、広く制度の浸透を図り、円滑にスタートできるよう取り組んできたところ。

〇制度が開始して約5か月が経過し、ここまで大きな混乱もなくおおむね順調に進んでいると考えているが、実際に施設からは事務が負担になっているという声もあることは認識。

〇これまでも施設の意見を踏まえて手続きの簡素化等を図ってきたところであり、今後も引き続き利用者や施設の声を制度の運用に反映してまいりたい。

(2)保育人材の確保について

〇札幌市においては、昨年度実施した、保育士登録者に対する実態調査で把握したニーズ等を踏まえ「保育人材確保緊急対策事業」を創設したところであり、その効果を見極めるため、今後は、より詳細な実態把握が必要と考えているところ。

〇現在、施設ごとの給与や人材不足の状況等について調査を進めているところであり、これらを定期的に把握し分析することで、事業効果や支援策のあり方について、しっかりと検証してまいりたい。

8.SDGsとフェアトレードの今後の取組について

質問

これからの10年間は、国連が掲げるSDGsの達成に向けた10年間でもあります。我が会派は平成29年の第1回定例会の代表質問で、SDGsの理念に基づく教育について質問したことを皮切りに、これまでSDGsの視点を様々な分野で取り込んでいくことの重要性について言及してきました。

フェアトレードは、一つの効果的な入り口であると私は考えます。札幌市は、昨年6月に日本で5番目となるフェアトレードタウンに認定されていますが、フェアトレードの取組は、誰もが日常の暮らしの中で、容易に意識できる取組であり、「貧困の撲滅」や「持続可能な消費と生産」など、SDGsの複数の目標に寄与できる取組であります。

札幌市も、フェアトレードのパンフレットを手に取って読みやすいコンパクトサイズに改訂したり、広報さっぽろ2月号で特集を行い、市役所売店でも期間限定で販売を行ったりするなど、SDGsやフェアトレードの理念の普及啓発に取り組んでいることは認めますが、まだまだ幅広い世代に対して、SDGsやフェアトレードに関心を持っていただく機会を設けていく必要があるのではないかと考えます。

日常生活の中に取り入れやすい、SDGsの目標にも資する取組のひとつとして、広く市民にフェアトレードに対する関心をもっていただければ、その実践の輪も徐々に広がり、SDGs未来都市とフェアトレードタウンの両方の名を持つにふさわしい札幌のまちになると思います。

そこで質問でありますが、SDGsの達成に向けて効果的な取組でもあるフェアトレードについて、より幅広い世代の理解を得て、実践の輪を広げていくために、どのように考え、どのような取組を行うのか伺います。

答弁

〇これまでの幅広い世代への普及啓発についてでありますが、本年の広報さっぽろ2月号で、フェアトレードに取り組む市民のインタビューを交えて、その仕組みや産品例を分かりやすく紹介するなど、広く発信に努めてきた。

〇今後も、子ども向けパンフレットの作成や、SDGs関連イベントに併せたパネル展の開催など、幅広い世代に向け、継続的な広報活動を行っていく。

〇また、6月のフェアトレードタウン認定1周年の節目には、札幌のフェアトレードを支える市民団体や、近年、フェアトレードが浸透しつつある若者たちの参加を得て、誰もが気軽にフェアトレードに触れることができる記念イベントを開催していく。

9.心のバリアフリー推進に向けた共生社会ホストタウンの取組について

質問

先程も話をしましたが、東京2020大会において、サッカー競技に加えて、マラソン・競歩が札幌で実施されることになり、国内外からも非常に多くの注目を集めているところですが、一方で今回、札幌市はパラリンピック競技の会場都市ではないことから、パラリンピックの迫力や魅力に直接触れることができないことが残念なところです。

今回の東京2020大会は障がいの有無に関わらず世界中からあらゆる人が集い、そして障がいのある選手たちの圧倒的なパフォーマンスを直に目にすることができるパラリンピックは、全ての人がお互いに人権や尊厳を大切にし、支え合う共生社会の実現に向けて、社会の在り方を大きく変えるものと言われています。

また、この大会は一つの組織委員会がオリンピック・パラリンピックの両方を開催する史上初めての大会でパラリンピックの成功なくしてオリンピックの成功なしとも言われています。

加えて2030年の冬季オリンピック・パラリンピックの招致活動を展開している札幌市としては今回の東京2020大会を絶好の機会として、多くの市民にパラリンピアンと触れ合う機会を積極的に設けるべきと考えます。こうした観点から、我が会派では、かねてよりパラリンピアンと市民との交流を通じて、心のバリアフリーを推進する「共生社会ホストタウン」といった制度の活用について主張してきました。

そしてこのほど、先月末に札幌市とウクライナとの間において、事前合宿の合意に至り、「共生社会ホストタウン」制度への登録を進めるとの発表があったところです。

そこで質問ですが、心のバリアフリー推進に向けて、共生社会ホストタウンとして具体的にどのように取り組まれるのか伺います。

答弁

〇2030年に初のパラリンピック開催を目指す札幌市において、何より多くの市民にパラリンピックの価値や素晴らしさを感じていただくことは、心のバリアフリーへの共感の輪を広げて行く上で極めて重要なことと認識。

〇そこで、今回の東京2020大会では、共生社会ホストタウンとして、7月のウクライナの男子ゴールボールチームの事前合宿を通じた様々な交流を展開したいと考えているところ。

〇具体的には、オリンピック開幕直前の盛り上がりに合わせ、子どもたちによる歓迎セレモニーのほか、選手との交流会、応援パブリックビューイングなどの交流機会を創出することで、一人でも多くの市民に心のバリアフリーの輪を広げてまいりたい。

〇なお、ホストタウンの取組は継続が重要とされており、今回のウクライナについては冬季パラリンピック競技も盛んなことから、大会後も幅広い交流を重ねることにより、心のバリアフリーへの理解とともに、誰もが互いにつながり、支えあう共生のまちの実現に取り組んでまいる。

10.誰一人取り残さない教育の実現について

質問

(1)障がいのある子どもたちへのICTの活用について

Society5.0と言われるこれまで以上に情報機器等の活用が進む時代においては、在宅での勤務の可能性も広がるなど、障がいのある方の社会自立も大きく進むものと考えられます。

しかしながら、そのためには、やはり、できるだけ早い時期から、それらの機器に実際に触れ、なじみ、使いこなすことが大事であり、一人一人への端末の整備は必須な要件であります。

市立札幌みなみの杜高等支援学校では、生徒一人一人がタブレット端末を使って一日の活動の振り返りをしたり、自分たちでプレゼンテーションを考えて発表したりするなど、大変、教育効果が高いものと感じているところでもあります。

そこで質問でありますが、このGIGAスクール構想を踏まえ、今後、障がいのある子どもたちへのICTの活用についてどのように考えているか伺います。

(2)公立夜間中学について

昨年11月に閣議決定された国の『子供の貧困対策に関する大綱』においても、「人口規模や都市機能に鑑み、全ての指定都市において夜間中学が設置されるよう促進するとともに、夜間中学の教育活動の充実や受け入れる生徒の拡大を図る」とされています。

政令指定都市である札幌市が設置する公立夜間中学は、札幌市民の学び直しのための学び舎となることは言うまでもありませんが、札幌市で働くなどの周辺市町村の方のための夜間中学としての役割も期待されているものと思います。

そこで質問でありますが、札幌市外の方の受け入れについて、どのように考えているのか伺います。

答弁

(1)障がいのある子どもたちへのICTの活用について

〇ICTの活用は、障がいによる様々な困難の軽減につながるものであり、個々のニーズに応じた教育の推進に大きく寄与するものと認識。

〇そのため、札幌市では、特別支援学級等において、他都市に先駆けてパソコン等を活用し、効果的な指導に役立ててきたところであり、通常の学級に在籍する障がいのある子どもについても、同様の対応が必要であると考えていたところ。

〇このたびのGIGAスクール構想を受け、一人一台のタブレット端末を整備することにより、子どもの状況に応じたICTの活用が可能となることから、障がいの有無にかかわらず、共に学ぶ教育環境のユニバーサルデザイン化を進めることができるものと考える。

〇今後は、更なるICTの効果的な活用について、実践を積み重ねるとともに、これらの普及啓発を図るなどして、全ての子どもたちが自己の能力を最大限発揮する豊かな学びが、より一層展開されるよう、取組を進めてまいる。

(2)公立夜間中学について

〇公立夜間中学の設置にあたり、生徒が市内の様々な地域から通学することが見込まれることから、交通利便性の高い都心部における開設を目指して検討を進めているところ。

〇また、平成22年の国勢調査では、小樽市や北広島市等の近隣市町村においても、1,000名程度の義務教育未就学者がいることから、一定のニーズがあるものと考えている。

〇一方で、近隣市町村の方々の受け入れについては、費用負担を始めとした課題があるものと認識しているところ。

〇今後、こうした課題について、北海道や近隣市町村とそれぞれの役割分担の協議を行うなど、より多くの方への学び直しの場の提供に向けて検討してまいる。