札幌公明

議会報告Assembry report

2022/05/31 令和4年第2回定例議会

令和4年第2回定例議会2022/05/31

代表質問丸山ひでき議員(厚別区)

札幌市議会本会議において公明党議員会を代表して 丸山ひでき 議員が代表質問を行いました。
以下、質問とそれに対する答弁の要旨を紹介します。

目次Contents

1市長の政治姿勢について

質問

(1)平和都市宣言30周年を迎えた札幌市の姉妹都市交流について

現在、ウクライナでは、ロシアによる軍事侵攻により、女性や子どもを含む多くの市民の生命が危険にさらされるとともに、今回の侵攻により我が国を含む西側諸国とロシアとの対立が激化しており、人類が永年にわたって築いてきた国際平和秩序を揺るがす事態となっています。

これまで自治体では、姉妹都市交流を中心に、政府間の外交とは異なる、自治体や市民間の交流を展開し、相互理解を深めることで、国家間の平和と繁栄に寄与してきました。

本市においても、5つの都市と姉妹都市提携を締結し、世界平和の実現という理念のもと、様々な分野の交流を通して、友好関係の向上と発展を図るとともに、市民が異文化理解や国際交流を身近に体験できる場となってきました。

こうした姉妹都市交流は、グローバル化の進展やインターネットの普及などにより、その意義が希薄化しつつあるとの指摘もありますが、今般のロシアによるウクライナ侵攻により国際社会の間に亀裂や分断が生じつつあるなか、世界平和の実現へ、改めて自治体による海外都市との交流の意義が問われていると考えます。

とりわけ、札幌市は、平和の祭典と言われる2030年冬季オリンピック・パラリンピックの招致を進めており、また、フェアトレードタウンやSDGs未来都市にも選定されております。

さらに、今年は、札幌市平和都市宣言30周年という記念の年でもあり、世界の持続可能な発展に責任を持つ国際都市として、世界平和に積極的に貢献していくことが求められます。

そこで質問ですが、今年、平和都市宣言30周年を迎えた札幌市として、姉妹都市交流の意義や役割について、あらためて、どのように認識しているか伺います。また、ウクライナ情勢を踏まえ、今後の姉妹都市交流をどのように進めていくのか伺います。

(2)地方創生臨時交付金の活用について

令和4年4月26日、国はコロナ禍で原油価格の高騰や電気・ガス料金を含む物価上昇の影響を受けている生活者や事業者の負担を緩和するため「原油価格・物価高騰等総合緊急対策」を策定しました。

また、5月17日には、当該緊急対策の財源となる国の2022年度補正予算案が閣議決定され、公明党も、補正予算(案)の早期成立に向け、全力を挙げて取り組んでいるところであります。

この緊急対策の中で、国は、低所得の子育て世帯に対し、児童一人当たり一律5万円の子育て世帯生活支援特別給付金をプッシュ型で給付することとしていますが、さらに、地方公共団体が地域の実情に応じたきめ細やかな対策を実施できるよう、地方創生臨時交付金に「コロナ禍における原油価格・物価高騰対応分」という新たな枠が創設され、追加配分されることが見込まれています。

この活用方法について、国からは、学校給食費の負担軽減など子育て世帯への支援、生活に困窮する方々への生活支援、子育て世帯生活支援特別給付金への上乗せ・横出しなど国の施策を補完する支援が例示されており、5月19日、我が会派として9項目にわたる緊急要望を秋元市長に提出させていただきました。

これを受け、本日、物価高騰による食材費の値上がりに対し、これまで通りの栄養バランスや量などを保った給食を提供するために必要な経費として、この新たな臨時交付金を活用した補正予算議案が上程される予定であり、迅速に動いたことは一定程度評価するところです。

しかし、今回の支援対象以外にも、物価高騰の影響を受けた方へ必要な支援を届ける必要があることから、今後も交付金の有効な活用策の検討を続け、迅速な対策を講じていくことが肝要であります。

そこで質問ですが、コロナ禍における原油価格・物価高騰対応分の地方創生臨時交付金を今後どのように活用していく考えか伺います。

(3)地方財政措置を踏まえた事業構築の考え方と財政規律の維持について

現在、我が国においては、昨年の9月に発足したデジタル庁を司令塔に、国

を挙げデジタル社会の実現を目指しており、札幌市においても、デジタルやオンラインを活用した事務の効率化や市民の利便性の向上、スマートシティの推進に取り組んでいるところです。

こうした取組により、社会のあらゆる場面でのデジタル化を進め、市民の利

便性の向上を図っていくとともに、私はデジタル化による別の側面を意識した取組を推進していかなければならないものと考えます。

例えば、現代の若い世代は、小さな頃からインターネットやSNSに親しんできている、いわゆるデジタルネイティブ世代と言われています。

この世代は、自身に興味のある情報は効率よく取得する反面、関心の薄い分野の情報に触れる機会が少なくなっており、また、友人との交流は、メールやメッセージアプリなど、短い文章でやりとりしていることから、長文の活字読解力の低下が懸念されております。

こうした状況に対応するため、文部科学省では、第6次「学校図書館図書整備等5か年計画」において、学校図書館への複数の新聞配備などを推進しており、その実施に必要となる地方財政措置を講じているところです。

この地方財政措置とは、地方交付税の算定基礎として、所要の経費が基準財政需要額に算入されるものですが、あくまで一般財源であることから、国庫支出金とは異なり、事業の実施は、地方自治体の裁量にゆだねられています。

このような事柄は数多く、地方財政措置として地方交付税に算入されているなか、実際の自治体運営に当たっては、限りある財源の範囲で、財政規律の堅持が求められており、いかに複雑多様化する地域課題に効果的な事業構築を図れるのか検討が必要であります。

そこで質問ですが、地方財政措置を踏まえた事業構築の考え方と、財政規律をどのように維持していくのか、伺います。

(4)冬季オリンピック・パラリンピックの招致について

①意向調査を踏まえた今後の取組

先日、大会招致にかかる市民意向調査の結果が公表され、市民から賛成、又はどちらかといえば賛成との回答が過半数を超え、一定程度の市民理解が得られたところです。

なかでも、若者世代が他の年代に比べて支持率が高く、その賛成理由としては、「子供たちに夢と希望を与える」、「アスリートの活躍が見られる」といったスポーツそのものへの期待や「北海道・札幌のPRにつながるから」、「雇用効果や経済効果が期待できるから」といった経済・まちづくりに関すること、さらには「まちのバリアフリー化」や「SDGsなどの環境問題への取組促進」といった共生社会の実現を期待する声が多く寄せられました。

招致を進めるにあたって、SDGsの目標達成年である2030年に社会の中核を担う若者の意見は大変重要であり、大会招致を通じて、SDGsの先の未来を見据えたまちづくりを進めていく必要があると考えます。

一方、市民意向調査で「わからない」もしくは「反対又は、どちらかといえば反対」と回答された方が相当程度いることも確かで、財政面への悪影響を懸念する声や、今冬の大雪の影響から、大雪時の大会運営への不安や除排雪費を優先すべきといった声も多く寄せられました。

こうした方々の意見をしっかりと受け止め、不安や懸念を払しょくするためには、除排雪の問題を含め、様々な市政課題があるなかで、オリンピックを開催することの意義と効果を示し、市民に寄り添って取組を進めていく必要があると考えます。

そこで質問ですが、意向調査の結果における様々な市民の声を踏まえ、どのような考えのもと、招致に向けた取組を進めていくのか伺います。

②大会を契機とした共生社会の実現に向けた取組

我が会派では、かねてより大会招致を契機としたバリアフリーの推進を強く要望してきたところであり、意向調査結果を見ても、大会を通じてどのように共生社会が実現するのか市民の関心も高いところであります。

先の東京2020大会では、ハード・ソフト両面からバリアフリーに関する様々な取組が進められ、大会後の都民意識調査によると、開催効果として「障がい者への理解促進」や「街のバリアフリー化の促進」を挙げた方が大勢いることが分かりました。

ハード面に関する特徴的な取組として、組織委員会が国や東京都、事業者団体、当事者団体等と連携し、競技会場や会場輸送拠点のバリアフリー基準を示す、アクセシビリティガイドラインを策定しております。

これは、我が国のバリアフリーの基準よりも要求水準が高い国際パラリンピック委員会が定めるアクセシビリティガイドを基準としており、東京では、これによりレベルの高いバリアフリー化が進んだと聞いております。

また、ソフト面の取組として、国や民間企業との連携により、心のバリアフリー教材の作成や心のバリアフリーサポート企業制度の創設などが行われ、大会後も取組が続けられているところであります。

これらはまさに大会のレガシーと呼べるものであり、札幌2030大会でもこのような市民の実感につながるような取組を進めていくべきと考えます。

そのためには、札幌市が目指すバリアフリーが進んだ街の姿を示し、市民に体感していただくことが重要であります。

例えば、モデル地区を設定し、ハード・ソフト両面からバリアフリーを重点的に進めるなど、目指す街の姿を具体的に示すことができれば、大会招致への市民理解につながるとともに、国内外へのアピールにもつながるものと思われます。

そこで質問ですが、大会を契機とした共生社会の実現に向け、市民が肌で感じることのできる取組を早急に進めるべきと考えますが、市の見解を伺います。

答弁

(1)平和都市宣言30周年を迎えた札幌市の姉妹都市交流について

〇姉妹都市交流の意義や役割については、市民の国際理解の促進や経済交流など様々であるが、究極的には、世界平和の実現に寄与することと認識。

〇この度のウクライナへの軍事侵攻については、国際秩序の根幹を揺るがすものと懸念しており、今後、姉妹都市交流を行うに当たっては、改めて世界平和を意識することが重要と考える。

〇平和都市宣言30周年を迎えた今年は、ミュンヘン市との交流において、平和に関するメッセージの募集を通して、子どもたちが平和の尊さについて考える取組を進めているところ。

〇今後も、より多くの市民が、姉妹都市交流を通じて、平和の尊さについて共有しながら、相互理解を一層深め、信頼関係を育むことで、世界平和の実現に貢献できるよう取り組んでまいりたい。

(2)地方創生臨時交付金の活用について

〇地方創生臨時交付金「コロナ禍における原油価格・物価高騰対応分」の今後の活用については、本日上程する補正予算のほか、子育て世帯などへの支援に向けて、札幌市の実情に応じた効果的な取組となるよう、現在検討を進めているところ。

〇今後の感染状況や原油価格・物価の高騰による社会経済情勢の変化も見極めながら、時機を逸することなく必要な方に支援が届くよう、柔軟かつ機動的に対策を講じてまいりたい。

(3)地方財政措置を踏まえた事業構築の考え方と財政規律の維持について

〇事業構築に当たっては、まちづくり戦略ビジョンやアクションプランを踏まえるとともに、地方財政措置の状況のほか、社会経済情勢や市民ニーズを検証した上で事業を取捨選択し、必要性や費用対効果が高い事業に重点化する。

〇また、事業の実施に当たっては、国への要望を通じて、国庫支出金や地方財政措置の拡充などを求めることで、必要な財源の確保に努めるとともに、時機を逸することなく必要な事業を実施するため、財政調整基金などを機動的に活用していく。

〇今後も必要な対策にはしっかりと取り組みながら、市債や基金の残高を適正な水準に維持するなど、将来世代に過度な負担を残さない健全な財政運営を堅持してまいりたい。

(4)冬季オリンピック・パラリンピックの招致について

①意向調査を踏まえた今後の取組

②大会を契機とした共生社会の実現に向けた取組

〇1点目の意向調査を踏まえた今後の取組について

今回の意向調査では、費用負担等に対する懸念の声を多くいただいたところであり、こうした市民の皆さまの不安や懸念を払しょくするため、市民・企業に対する出前講座の拡充やフォーラムの開催など、市民対話の機会を多く設けていく所存。

〇また、大会招致に向け、スポーツを通じた平和の推進や共生社会の実現、環境問題の解決など、国際的な共通課題に取り組む姿勢を世界に向けて発信していく所存。

〇そして、2030年の先を見据えながら、市民・企業の皆さまと一緒になって将来のまちの姿を描いていきたいと考えており、特にこれからの時代を担う若者世代に大会招致を踏まえたまちづくりへの参画を促してまいりたい。

〇2点目の大会を契機とした共生社会の実現に向けた取組について

共生社会の実現に向け、次期まちづくり戦略ビジョンの策定作業も踏まえながら、大会に向けた具体的な目標を設定し、官民協働で取組を進めてまいる所存。

〇また、大会時に観客・関係者の滞在拠点となる都心をはじめ、福住駅や真駒内駅、栄町駅など競技会場周辺エリアにおいて、冬期にも対応した公共交通機関の乗継経路のバリアフリー化の検討やホテルなどの民間施設のバリアフリー化など、新たな取組を優先的に進めてまいる。

〇あわせて、エリア内の地域団体や民間企業と連携し、心のバリアフリー教育や接遇対応研修等を実施するなど、心のバリアフリーのモデルとなるような地域づくりを推進してまいりたい。

〇大会を契機としてハード・ソフト両面からバリアフリーの取組を加速させることで、市民の皆さまに共生社会が実現したまちを実感していただけるようにしてまいる。

2新型コロナウイルス対策について

質問

(1)新体制の取組について

札幌市内において、最初に新型コロナウイルス感染症の患者が確認されてから既に2年以上が経過し、この間、ウイルスは、病原性や感染性の特徴を変えながら、社会に多大な影響を及ぼし続けております。

とりわけ、オミクロン株によってもたらされた第6波は、新規の感染者数が爆発的に増加し、保健所体制がひっ迫し各種業務に遅延が生じたことは記憶に新しく、これまでの感染対策からの転換を検討しなければならない状況にあると認識します。

直ちに、コロナウイルスが根絶されるような予測を行うことは、まだまだ困難ですが、ウイルスの変異や医療の進歩、さらには感染対策の充実などによって、その脅威度は相対的に低下していることから、新型コロナウイルス感染症を、保健所がすべて管理する疾患として扱うのではなく、市内の医療機関に、市民みずからが受診・検査し、療養する疾患の一つとして、共存していく局面になってきているのではないでしょうか。

我が会派では、こうした認識のもと、第7波に向けた保健所の新たな体制に注目し、特別委員会等でも取り上げてきたところであり、4月下旬から開始された取組は、業務の自動化を図り、効率化を進めるものと理解します。

具体的には、陽性となった方自らが、web上で自身の情報を登録することで療養期間の短縮が図られるもので、市民が自ら迅速に行動することが、結果的に市民の利益に繋がるスキームとなっています。当然、web登録が困難な方には電話による代行登録の体制も整えられており、いわゆるデジタル格差についても対策が講じられています。

こうした試みは、今後、感染者数の爆発的な増大への備えとしても極めて重要なものであり、この仕組みを定着させるには、より一層市民の理解を促進していくべきと考えます。

そこで質問ですが、第7波に向けた新たな体制が始まってからの実績と、新たな仕組みについて、今後どのように市民の理解を得ていくお考えなのか、あわせて伺います。

(2)ワクチン接種について

我が会派は、一昨年の代表質問で、いち早く新型コロナウイルスワクチンの接種を取り上げて以来、一貫してコロナ対策におけるワクチン接種を重要な取組に位置づけ、円滑な接種体制の構築を提言してまいりました。

これまで3回目の接種実施において、札幌市では、医療機関での接種を中心に進めるなか、大型接種会場をはじめ、各区での集団接種会場の設置、さらには高齢・障がい者施設で実施していた訪問接種事業を小規模団体や個人にまで対象拡大してまいりました。

これは、我が会派が機を捉えて、その都度要望してきた市民に身近な場所での接種の実現に他ならないものと市の対応を評価するものです。

私も直近では4月23日に北区の集団接種会場を視察しましたが、子育て世代に配慮して託児所ブースを設けていたり、シャトルバスを運行したり、予約なしでも対応できるようにするなど様々な工夫が随所に凝らされていました。

そして、これから、いよいよ4回目の接種が開始となります。3回目接種までは、対象年齢に達した全ての方が、接種可能とされていましたが、4回目接種では、60歳以上の方全員と、接種義務は付されてはおりませんが、18歳から59歳の基礎疾患を有する方を対象者としているところです。

こうした接種対象者の限定は、新型コロナウイルス感染症への対策が、ワクチン接種を中心に進めていた従来の仕組みから、新たな局面に入ったことを意味するものと理解するとともに、であればこその、丁寧な取組が必要と考えます。

そこで質問ですが、このような国の動向を踏まえ、4回目のワクチン接種について、どのように取り組んでいくのか伺います。

(3)罹患後症状について

感染症対策に係る本市の取組について、罹患前、発症後、療養後という段階ごとに見てみますと、罹患前の対策としてワクチン接種、また発症後の取組としては、入院受入体制や在宅医療も含めた中和抗体薬の処方体制の整備や、自宅で療養される方向けの陽性者サポートセンターの設置などがあります。

一方、療養後の取組としては、長期間倦怠感などの症状が抜けない、いわゆる「後遺症」で苦しみ、完全な形での社会復帰が叶わない方々が一定数おり、こうした方々への対応については、具体的な対策が見えてきていないと思っております。

国は、「新型コロナウイルス感染症診療の手引き、いわゆる罹患後症状のマネジメント」という医療機関向けの手引きを、暫定版として昨年12月に公表しており、このなかで後遺症について、「罹患後症状」として定義しました。

我が会派は、この手引きが公表された直後の調査特別委員会において、罹患後症状に悩まれる方々の声を踏まえた質問をしており、対応可能な医療機関の案内や最新の知見に関する答弁をいただいたところです。

がんなど、他の病気や怪我であっても、何らかの症状が残ったり、起きることはあり得ることであり、特に新型コロナウイルス感染症の場合、罹患する患者数が桁違いに多いことから、罹患後症状についてはこれまでとは異なる積極的な対応が必要になるものと考えます。

先の国の手引書は、本年4月末に第1版、正式版に改訂されたところであり、これを受けての、本市の状況や今後の総合的な支援のあり方を示していかなければならないものと考えます。

そこで質問ですが、罹患後症状を有する方々に対する、手引書の改定も踏まえた医療機関の対応状況について、また、総合的な支援の必要性についての、2点について伺います。

答弁

(1)新体制の取組について

〇新体制は、ウイルスの変異やワクチン及び治療薬の普及といった環境の変化を踏まえ、感染の急拡大時においても、陽性となった市民が、迅速かつ適切に療養できることを目指して構築したもの。

〇新たに、陽性者が自ら健康状態などの情報を登録する仕組みを導入した結果、症状やリスクに応じた適切な療養判定が速やかに伝達されるようになったほか、療養中の適切な医療や各種サポートも速やかに提供されることとなった。

〇今後は、更なる感染拡大に備え、新しい仕組みの効果を広く周知することにより、一層の市民理解を得るよう努めてまいりたい。

(2)ワクチン接種について

〇国の方針において、4回目接種については、3回目接種までの発症予防、入院予防から重症化予防に重点を移すことにされたものの、新型コロナウイルス感染症対策として、ワクチン接種の果たす役割は、これまでと同様に大きいものであると認識。

〇そのため、引き続き若い世代への3回目接種の推進のほか、高齢者や基礎疾患のある方への4回目接種を確実に進めていくことが重要。

〇これまでも、市民の接種促進を図るため、市内医療機関の協力に加え、札幌市としてもサンプラザや各区民センター、チカホなどに集団接種会場を設けるなどの取組を進めているところ。

〇今後も、札幌市ホームページの他、様々な媒体を活用して接種に関する情報提供を行うとともに、医師会、各医療機関とも連携し、対象の方々が、速やかに接種を受けられるよう取り組んでまいる。

(3)罹患後症状について

〇対応可能な医療機関については、札幌市医師会と連携しながら、患者が円滑に受診できるよう取組を進めたところ、現在、市内340医療機関で対応可能となっており、救急安心センターさっぽろ(#7119)において案内している。

〇また、これらの医療機関では、症状に応じたアプローチ等がより具体的に示された改訂版の手引書に沿った対応が進むものと認識。

〇罹患後症状に長期間苦しむ方に対しては、医療の提供だけではなく、活用可能な制度についても周知するなど、患者に寄り添った支援を進めてまいりますが、全国的な課題でもあることから、今後の国の動き等の情報収集にも努めてまいりたい。

3北海道新幹線の札幌延伸を見据えた効果的な機運醸成について

質問

北海道新幹線は、新函館北斗・札幌間の2030年度末開業を目指し、現在、その沿線各地で着々と工事が進められています。

札幌市内においても、札樽トンネルの各工区や札幌駅周辺で工事が始まり、新設される新幹線の駅舎については、先日、JR北海道より、そのデザイン案が示されたところです。また周辺では、北5西1・西2地区や北4西3地区といった再開発の計画が進められており、その計画の内容が徐々に見えてきたことから、新幹線の開業と周辺のまちのリニューアルに向けた期待が日々高まっております。

さらに北海道新幹線は、首都圏や東北・北関東圏のみならず、道南やニセコ地域なども含めて、新たな文化・経済交流を促進し、道内経済の活性化に大きく寄与することが期待されているところです。

このように、開業が非常に待ち遠しい思いではありますが、一方で現在の北海道新幹線は厳しい状況にあります。

北海道新幹線は2016年3月に新青森・新函館北斗間が開業し、6年が経過したところですが、開業初年度は一日あたり乗車人員は6,200人でしたが、2018年度は4,600人に低下し、2021年度は、新型コロナウイルス感染症の影響もあって1,700人という状況です。今年のゴールデンウィークは新幹線の乗車人員は増加しましたが、新型コロナウイルスの影響を受けていない2018年度との比較では約5割という状況です。

市民・道民の期待の中、長い年月をかけてようやく実現する北海道新幹線の札幌延伸ですので、開業効果がすぐに終わってしまうのではなく、これを継続し、更に年々拡大していくように、しっかりと準備をして開業を迎える必要があります。行政や関係企業だけではなく、市民全体で開業に向けて準備して盛り上げていくことが長期間にわたる効果拡大をもたらすと考えます。

そこで質問ですが、北海道新幹線の札幌延伸を見据えて、市民の機運醸成のために、どのように取組を進めていくのか伺います。

答弁

〇北海道新幹線は札幌まで延伸されてこそ最大限の効果を発揮するものと認識しており、一日でも早い開業を要望しているところ。

〇市民の機運醸成のための取組としては、これまでイベントを中心とした啓発活動を展開してきたが、新型コロナウイルスの影響を受けて、旅行や外出を促すような活動は控えてきたところ。

〇今年度は、新型コロナウイルスの影響も踏まえて、イベントに加えてオンライン配信などの啓発活動を行い、若い世代も含め多様な年齢層に働きかけることで、市民とともに開業への期待を高めていくよう、しっかり取り組んでいきたい。

4観光施策について

質問

(1)外国人観光客回復に備えた取組について

新型コロナウイルス感染症の猛威は、国内外の人々の移動を著しく制限し、観光を基幹産業とする札幌経済に大きな打撃を与えました。

こうした状況に我が会派は、外需に依存しない観光誘致対策として、地域内循環型観光を提案し、「さっぽろ割」の実現に至ったところです。

また、オンライン開催となった雪まつりについても、世界に開かれた国際イベントに成長させる好機と捉えるべきと主張していたところ、世界中の誰もが参加できる雪像コンテスト「さっぽろ雪フォトまつり」が実施されるなど、雪まつりの新たな展開の可能性を見出すことができました。

新型コロナウイルス感染症は札幌の観光に多大なダメージを与えた一方で、これまでになかった新しい札幌の観光の絵姿を創出する機会になったと考えます。

さらに、現在では少しずつではありますが、感染対策と社会経済活動の両立に向けた動きが見られてきました。

今月上旬、岸田首相は6月から他のG7諸国並みに円滑な入国が可能となるよう水際対策を大幅に緩和する考えを表明し、海外からの団体ツアーの実証実験がスタートしました。

インバウンドの本格的な回復までには、まだ、しばらく時間がかかると思われますが、観光目的の入国者に門戸が開かれたことは、インバウンドの再訪を待ちわびた観光関連事業者にとっては、大きな希望となるニュースであります。

また、観光における人的交流の再開により、海外との相互理解が一層深まり、多文化共生社会の実現に繋がっていくことも期待されます。

国際交流の意義と経済活動の回復の重要性を踏まえ、インバウンドの受入環境を、さらに充実させ、外国人観光客の満足度を高める取組を進めるべきと考えます。

そこで質問ですが、入国規制が始まって以降、札幌市においては、外国人観光客の受入環境の充実に向けて、これまでどのような準備をし、今後、どのような取組を進めるのか伺います。

(2)ATWS2023を契機とした札幌観光の推進について

インバウンドの旅行形態の中でも、近年、アドベンチャートラベルへの注目度が高くなっております。

アドベンチャートラベルは、「自然」、「文化」、「アクティビティ」のうち2つ以上の要素を持つ旅行形態で、その土地ならではのユニークな体験を重視する欧米豪の旅行者を中心に拡大し、世界に広まりつつある旅行スタイルですが、自然の中でアクティビティを楽しむというだけでなく、地域の文化や自然に対して過大な負荷をかけないという意味で、少人数で行われることも多く、アフターコロナにおける旅行スタイルとしても注目を集めております。

また、アドベンチャートラベルの旅行者は、通常の旅行客に比較して一人当たりの消費額が高いことから、地域に対する経済効果が高く、その意味で非常に意義のあるものと考えます。

我が会派は、これまで議会を通じ、札幌市におけるアドベンチャートラベルの可能性や将来性について述べてきましたが、札幌市を主会場とするATWS2021は、現地開催ではなくオンライン開催となったところ、幸い2023年に再度、札幌市でのサミット開催が決定いたしました。

このサミットが現地開催されるということは、海外の旅行エージェント等が滞在し、体験ツアーに参加することになるため、大都市でありながらも豊かな自然環境に恵まれ、アイヌ民族の歴史など文化の多様性を持つ札幌市の魅力を実感していただく、又とないチャンスであり、札幌の観光を世界基準のレベルに引き上げ、それを発信できる絶好の機会になると考えます。

なお、レベルアップを図るうえでは、昨年の第4回定例会で我が会派が提案した、持続可能な観光の推進という観点も当然、重要となります。

そこで質問ですが、アジア初となるサミット開催を契機とした今後の札幌観光の推進について、市長の考えを伺います。

答弁

(1)外国人観光客回復に備えた取組について

〇札幌を訪れる外国人観光客の満足度を高め、何度も訪れていただける環境を整備するため、令和3年11月に、市内における外国人観光客の受入環境の現状や課題を把握する調査を実施。

〇調査の結果、特に、「案内看板等の多言語化」や、「ベジタリアン、ハラルなどの多様性への配慮」、「事故や災害時などの緊急時対応」について、優先的に整備を進めるべき状況にあることが明らかとなった。

〇これまで、無料Wi-Fiの整備や緊急時における多言語情報の発信などに取り組んできたところであるが、今後は、このたびの調査結果を踏まえ、様々な国からの観光客が、より安全安心・快適に札幌観光を楽しんでいただけるよう、国際観光都市としてふさわしい受入環境のレベルアップを図ってまいりたい。

(2)ATWS2023を契機とした札幌観光の推進について

〇アドベンチャートラベルワールドサミットの開催は、都市と自然が共存した札幌の魅力を世界中の方々に知っていただく貴重な機会と認識。

〇また、アドベンチャートラベルの旅行者は、環境に配慮しつつ、旅行を通じて地域を支える「持続可能な観光」の理念を重視する傾向が高く、一般の外国人旅行者においても、この考えが潮流になりつつある。

〇そのため、サミットの開催を契機に、自然と文化の多様性を持つ札幌の魅力に加えて、今後、重要性が高まる「持続可能な観光」の実現に向けた取組を合わせて発信することにより、世界の旅行者を惹きつける観光都市を目指してまいりたい。

5理系人材の確保に向けた成長分野の産業振興について

質問

札幌市では理系人材の流出が地域的な課題となっており、例えば北海道大学の大学院で工学や情報科学を学んだ学生の約9割は道外へ就職するなど、理系人材の確保は喫緊の課題となっております。

ついては、理系人材の就業先として期待される成長分野の産業振興が重要となりますが、国においては、2022年を「スタートアップ創出元年」としており、現在、地域における魅力的なスタートアップ創出への動きが加速されています。

札幌市でも、2019年に「スタートアップ・シティ宣言」を行い、翌年には道内の大学や経済団体などと「札幌・北海道スタートアップ・エコシステム推進協議会」を立ち上げたところであり、現在、その取組が進められております。

なかでも、バイオ分野では、札幌市で政令指定都市初となる「札幌イノベーションファンド」が設立され、スタートアップの成長を資金面で支援する環境の充実も図られております。

先日、北海道航空宇宙ビジネスネットワークの事務局である一般社団法人北海道機械工業会を訪ね、意見交換したところ、数としては少ないながらも、札幌、北海道には様々、面白い試みに挑戦している企業は多く、そのなかから世界に誇れる企業も数社出てきているとのことでありました。

さらに、今後、道内のものづくり企業の可能性として、医療分野や食品製造はもとより、航空宇宙関連、携帯や自動運転のGPS機能関連、アメダスなどの気象・災害情報関連、農業分野のIOTに関することなど、産官学がより一層連携を深めることで可能性は、さらに広がり、例えば、現在、札幌市が再整備を進めている青少年科学館での研究成果や技術発表の場としての活用にも大きな期待を寄せていただいたところです。

今こそ、こうした流れを加速させ、札幌、北海道の特性や強みを生かした先端技術の産業振興を進め、理系人材の道外流出抑制、就業先となる選択肢の裾野の拡大に繋げていくべきと考えますが、理系人材の確保に向けた成長分野の産業振興について、今後どのような方向を目指して取組を進めていくのか伺います。

答弁

〇ITやバイオといった今後も成長が見込まれる分野や、イノベーション創出の起爆剤として注目を集めるスタートアップは、理系人材にとって魅力ある活躍の場となることが期待される。

〇札幌市ではスタートアップ・エコシステム推進拠点都市の取組により、昨年度までに、26社のスタートアップが、82憶円の資金調達に成功したほか、バイオ分野では、札幌イノベーションファンドが既に第1号の投資を決定し、それに続く有望な案件も審査している。

〇今後も、さらに国内外から企業・人材・投資を呼び込み、新たなビジネスが絶えず創出される好循環の構築を目指して、専門的な研究や人材育成を行う北海道大学などとも連携を強化しながら、取組を推進してまいりたい。

6今後のまちづくりについて

質問

(1)次期戦略ビジョンにおける郊外住宅地のまちづくりについて

札幌市の人口は、これまで一貫して増加を続けてきたところですが、近年は区によって人口動態が異なっており、平成27年と令和2年の国勢調査の人口増減を見ると、中央区が11,053人の増加となっている一方、厚別区は2,684人、清田区は3,371人、南区は5,413人とそれぞれ減少しております。

そして、令和3年では、市全体で人口増加数がマイナスとなりました。1年間のトータルでマイナスとなるのは戦後、初めてのことであり、その背景には新型コロナウイルス感染拡大の影響もあるとは思われますが、こうした少子高齢化の傾向は今後も変わらず、明らかに将来、人口減少社会の到来が見込まれ、しかも、地域ごとに差を生じながら進んでいくものと推察します。

札幌市では、公共交通の主要な結節点等を「拠点」とし、そこに機能を集約していくという「まちづくり」の考え方がありますが、いわゆる郊外住宅地とのバランスは考慮されているのか、懸念するところです。

今後10年のまちづくりの基本的な指針となる次期戦略ビジョンにおいては、拠点以外の、いわゆる郊外の住宅地におけるまちづくりの視点がしっかり見えるようにすべきと考えます。

次期戦略ビジョンは、目指すべき都市像や各分野の基本目標を定めるビジョン編の素案がまとまり、この達成に向けての施策を定める戦略編の議論が、現在、行われております。

そこで質問ですが、次期の戦略ビジョンでは、郊外住宅地のまちづくりについて、どのように取り組む考えか伺います。

(2)もみじ台地域のまちづくりについて

もみじ台団地は、高度経済成長期の急激な人口増加による住宅用地不足に対応するため、昭和40年代から50年代にかけて札幌市により開発された住宅団地です。

しかし、団地開発から50年が経過した今、人口減少と少子高齢化という課題に直面しており、これまで地域の方々の交流やまちづくりを支えてきた、様々な地域コミュニティ活動が担い手不足により継続が危ぶまれております。その影響は除雪や草刈りなど自治会が担ってきた機能維持にも深刻な課題となって表面化しております。

こうしたなか、札幌市では、もみじ台地域が目指すまちづくりの方向性を示す「もみじ台地域まちづくり指針」の検討がはじまり、この検討会議のメンバーとして地域の思いを背負って参加している自治会役員の方々からも、「もみじ台地域がベットタウンから活力あるニュータウンへと大きく生まれ変わる絶好の機会にしていかなくてはならない」との強い思いをうかがっており、まちづくり指針の検討に対する大きな期待を感じるところです。

もみじ台地域は、都市計画法に基づく地区計画により閑静な住環境が守られており、隣接するテクノパークとの連携をこれまで以上に密接に捉えて施策展開できれば、まちづくりに新たな可能性が広がると考えます。また、近年の再開発により商業や医療関連施設が集積し、今後一層のにぎわいが期待される新札幌地域へのアクセスも良く、素晴らしい魅力を備えたまちでもあります。

札幌市で最も少子高齢化が進み、市営住宅の再編など地域の環境変化も想定されるもみじ台においては、若い世代の流入促進はもちろん、多様な人々による地域コミュニティが将来にわたって維持される持続可能なまちづくりが必要であります。

そこで質問ですが、もみじ台地域が将来にわたり活気にあふれ、様々な世代が住みたくなる、まちとなるために、どのようにまちづくり指針の検討を進めるのか、伺います。

(3)まちづくり活動を行う団体への支援について

札幌市では様々なまちづくりの担い手が地域の課題を自らの課題と捉え、その解決に取り組んでおり、そのなかのNPOも、行政の手が届きにくい状況にある、様々な問題や課題と向き合っております。

先般、会派で視察したつくば市では、担い手不足の町内会の役割をNPOが継承し、まちづくりの担い手として重要な役割を果たしていることも伺いました。

これまで我が会派は、札幌のまちづくりを進めるうえで、NPO等の活動の活性化が重要であるとの考えから、NPOへの支援について議会で取り上げ、継続的な活動につながる支援を要望してきました。

また、本市におけるNPO法人等の活動についての調査研究を行ったところ、思い描いている活動が展開できていない団体が多い事が浮き彫りとなりました。この要因はさまざまで、会員の減少や高齢化による後継者問題などの人材面と、資金不足による脆弱な運営基盤という課題があると再認識したところです。

本市のNPO法人数は政令市のなかでも3番目と、多いにもかかわらず、特に公益性が高い、運営組織や事業活動が適正と所轄庁が認め、寄附者が税制優遇措置を受けられる認定NPO法人の数は政令市中16番目という状況であり、こうした運営基盤の脆弱さが、法人格の有無にかかわらず、多くのNPOにとっての共通課題となっております。

さらにコロナ禍で、ますます資金や人材不足に苦慮しているNPOの活動を支え、発展させるためには、時代や環境の変化にあった適切な支援のあり方を検討する時期が来ていると考えます。

そこで質問ですが、まちづくりの担い手であるNPOの現状と課題について、どのような認識を持ち、今後、どのような解決の方法が考えられるか札幌市の考えを伺います。

答弁

(1)次期戦略ビジョンにおける郊外住宅地のまちづくりについて

〇郊外住宅地では、人口動態や年齢構成が地域ごとに異なり、利用者や担い手の減少に伴う生活利便施設やバスの運行便数の減少、町内会などのコミュニティ活動における人材不足など、それぞれの地域ごとに課題が多様化してきていると認識。

〇このため、ビジョン編の素案では、「郊外住宅地」の目指す姿として、生活利便機能が確保されたゆとりある良好な住環境の維持を掲げているところ。

〇これに向けた施策については、現在、審議会で戦略編として検討中であるが、日常生活を支える商業などのサービス機能の誘導や、市民・企業との協働による生活交通の確保とともに、多世代交流による地域コミュニティの活性化などが必要と考えている。

(2)もみじ台地域のまちづくりについて

〇札幌市では、もみじ台地域の将来的なまちづくりの方向性を示すため、令和5年度をめどに「もみじ台地域まちづくり指針」を策定する予定であり、有識者、地域の事業者や住民の方々で構成される検討委員会を設置したところ。

〇今年3月に開催した第一回目の委員会では、豊かなみどりに囲まれたゆとりのあるもみじ台地域の住環境を維持しつつ、若い世代の流入を促進する取組が重要である等のご意見をいただいた。

〇今後、閑静な住宅街の保全や生活利便性・地域コミュニティの維持といった視点も踏まえながら、まちづくり指針で市営住宅等の公共施設の更新を見据えた土地利用の大まかな方向性を示し、幅広い世代が安心して住み続けられるまちづくりを地域とともに目指してまいりたい。

(3)まちづくり活動を行う団体への支援について

〇多くのNPOが人材や財政面の不安を抱える中、コロナ禍による様々な制限が加わることで、活動の継続に苦慮していることから、組織運営の安定化が課題と認識。

〇これに対し、従前から、セミナーやワークショップなどによる人材育成やさぽーとほっと基金を通じた事業費の支援を行ってきたほか、コロナ禍においては、オンラインを活用した情報発信力の強化支援を行ってきたところ。

〇運営基盤のさらなる強化のためには、運営のノウハウをNPO間で共有することや、寄付や協力者を増やすためにNPO活動の認知度の向上を図ることが重要と考えており、この観点から、現在の施策を推し進めつつ、より効果的な支援のあり方についても検討してまいりたい。

7誰一人取り残さない社会と支援のあり方について

質問

(1)互いに支え合う社会の構築について

本格的な人口減少・少子高齢社会を迎えるに当たり、高齢者介護、障害福祉、児童福祉、生活困窮者支援など、制度や分野の枠、「支える側」、「支えられる側」という従来の関係を超え、一人ひとりが生きがいや役割を持ち、助け合いながら暮らしていくことができる社会の実現がますます重要となっております。

行政機関、市民、事業者、支援団体等が相互に連携強化を図りながら、支援を必要とする方や、その家族等が孤立することのないよう、社会全体で支え合い、多様な主体が自主的に課題を解決していく姿勢が求められます。

先日、いち早くケアラー支援条例を制定した栗山町を視察しましたが、負のイメージで捉えられがちな介護について、発想を転換し事業展開やコミュニティ形成の核と位置づけ、まち全体で互いに支え合う取組を進めており、本市における今後の展開に大変参考になるものでした。

人口や事業者数など規模の違いはあるものの、本市においても地域の特性を生かしながら、互いに支え合う社会の構築を目指していくべきであると感じたとろであり、個々人が自分のまわりにある地域課題に対する理解を深め、自分事として意識することで支援を必要とする方の早期発見に繋がり、更にサポート体制が整うことによって、支える側・支えられる側の負担軽減にも繋がると考えます。

また、地域の課題は福祉だけに関連するものだけではなく、複合的要素をはらんでおり、相談支援や社会参加など様々なアプローチによって解決に通じる事例も多いことから、市民一人ひとりの「我が事」としての意識付けを行っていくことにより、社会課題の解決に繋がるとともに、互いに支え合う社会の基盤が出来上がっていくと考えます。

そこで、質問ですが、地域の複合的な社会課題に対応していくため、互いに支え合う社会の構築についてどのように認識しているのか伺います。

(2)認知症の方とケアラーへの支援について

我が会派では、以前から介護の諸課題解決に向け取組を進めており、昨年度は一般社団法人北海道介護支援専門員協会と「ケアラー支援」に関しての調査研究を、また昨年12月には全国16万人の高齢者、子育て世代、中小企業を対象に実態調査も実施して参りました。その中で、高齢者の心配事は「自分や家族が認知症になったら」が64%と最も多い事が明らかとなりました。

認知症では見当識障害や徘徊など様々な症状があり、介護にあたるケアラーは、身体的負担はもとより、時に家族であることを忘れられ、介護が報われないと感じることもあるなど精神的な負担も大きく、認知症を介護するケアラーの中には、介護の負担感を誰にも相談できず抱え込んでいる方が一定数いるものと思われます。

そうした中、我が会派は、以前から認知症ケア・コミュニケーション技法である「ユマニチュード」を福祉施策に位置付けるよう求めており、今回、この技法を市として先進的に取り入れ、普及啓発に取り組んでいる福岡市を視察してきたところです。

ユマニチュードは、人間らしさを尊重し患者の自立につなげようとする取組で、「見る」、「話す」、「触れる」、「立つ」の4つの柱を同時に組み合わせて行うケアの技法で、これにより信頼関係が築かれ、ケアラーの負担軽減にも繋がることが確認できました。

今後、認知症高齢者の増加を踏まえ、認知症の方とそのケアラーが住み慣れた地域で、その人らしく生活できるよう、取組を進め、支援していくことが必要と考えます。

そこで、質問ですが、認知症の方と介護するケアラーの視点に立ち、現在どのように支援しているのか、また、今後どのように取り組んでいくのか伺います。

答弁

(1)互いに支え合う社会の構築について

〇複合的要素をはらむ地域課題の解決に当たっては、社会全体で支え合いながら取り組むことが重要であると認識している。

〇これまでも、事業者や民生委員による見守り活動のように、様々な方法で支え合いに取り組んできたところであるが、さらに関係部署間の組織横断的な連携を調整し、制度の隙間にある方々などを支援につなげていく取組を試行的に開始したところ。

〇さらに、現在策定中の第2次札幌市まちづくり戦略ビジョンにおいても、「誰もが互いにその個性や能力を認め合い、多様性が強みとなる社会」を実現するため、「ユニバーサル」をまちづくりの重要概念の一つと定めることとしている。

〇互いに支え合う社会を構築するために必要な施策や具体的な取組については、戦略ビジョン「戦略編」や次期中期実施計画を策定していく中で検討してまいりたい。

(2)認知症の方とケアラーへの支援について

〇札幌市高齢者支援計画において、認知症の方や家族の視点を重視しながら、認知症になっても尊厳と希望を持って暮らせる「共生」を基本理念に支援を行っている。

〇その一環として、各区の保健師が地域包括支援センター等と連携しながら、個別支援を行うとともに、悩みを抱え込み早期相談につながりにくいといった課題に対応し、相談先の周知や交流の場づくり等の取組を進めているところ。

〇今後は、認知症に関わる全ての関係者へ基本理念を普及するとともに、地域包括支援センターの更なる機能強化に努め、認知症の方と家族介護者などのケアラーのニーズをとらえ、より効果的な支援体制を検討してまいる。

8子育て家庭支援について

質問

(1)こどもホスピスについて

一般的にホスピスは、医療機関が設置し、緩和ケアなどを行う医療と密接な関係のある施設が思い浮かびますが、こどもホスピスには、医療と関係の深いものの他に、治療期間中に親御さんが医療機関の近くで生活できる施設や、医療とは別に、子どもやその家族が、遊び、学び、交流などができ、安心して過ごすことができる施設など、様々な形態があります。

昨年、横浜市は「横浜こどもホスピス~うみとそらのおうち」を開設し、子どもと家族が生き生きと過ごし、家族一緒に子ども達の希望を叶え、家族一緒に楽しい想い出がつくれる場所をコンセプトとし、子どもに合わせた個別のプログラムを提供しています。

2021年の公明党のマニフェストでは、こうした子どもとその家族を支えるため、安心・快適な環境のもと、学びや遊び、子ども同士や家族の交流の場所となる「こどもホスピス」の全国各地での設置を掲げました。

しかし現時点では、所管部局は明確でなく、厚労省と文科省の縦割り行政の隙間に抜け落ちているため、今後のこども家庭庁創設に向けての検討課題とし、党として政府に働きかけました。その結果、昨年12月閣議決定したこども家庭庁創設にかかる「子ども政策の新たな推進体制に関する基本方針」に、こどもホスピス整備について、「関係省庁と連携しながら、小児がん患者等が家族や友人等と安心して過ごすことができる環境の整備について検討を進める」という重要な一文が盛り込まれたところです。

我が会派は、道内の専門性の高い医療が集積し、小児がんや難病など生命を脅かす病気等を患う子どもと家族が一定数いるこの札幌市にこそ、子どもと家族が生き生きと過ごせる場所「こどもホスピス」が必要と考えております。

そこで質問ですが、現時点での札幌市のこどもホスピスに対する認識を伺います。

(2)子育て家庭支援の体制強化について

我が会派は、これまで「妊娠期から子育て期までの切れ目ない支援」の重要性を訴えてまいりました。

そうしたなか札幌市では、各区保健センターを「子育て世代包括支援センター」と位置づけ、保健師等の支援に加え、母子保健相談員の配置、支援プランの作成、関係機関との連絡調整などを行うことで、妊娠期からの切れ目のない支援の充実にあたられていることは承知しているところです。

しかしながら、母子を取り巻く健康課題は、育児不安や児童虐待の増加などに加え、新型コロナウイルスによる様々な影響が2年以上も続いていることから、子育て家庭についても、母子の孤立化、世帯の経済的不安など、問題が一層複雑、多岐にわたっていることから、支援を必要とする子育て家庭を取り残すことのない支援体制の整備が必要と考えます

現在、国においては、今国会で「こども家庭庁」の設置法案が審議されているところですが、これは、内閣府、厚生労働省の各府省庁に分かれている子ども政策を一元化し、子どもや子育て当事者の視点に立った政策の推進を目的としており、誰一人として取り残さない「こどもまんなか」社会の実現を目指しているものです。

ついては札幌市においても、子どもが健やかに成長できる社会の実現に向け、子どもと家庭の福祉の増進・保健の向上につながる支援、子どもの最善の利益を実現するための施策を一元的に進めていく必要があると考えます。

我が会派は、先の令和4年1定の予算特別委員会で、母子保健と子育て支援が総合的に歩みを進めていくためには、妊娠期からの切れ目のない支援を行う保健福祉局内の母子保健分野と、子育て支援等のこども施策全般を担う子ども未来局が一体となり、密接な連携体制の構築が図られるよう、機構改革が必要であると提言しております。

そこで質問ですが、札幌市における母子保健施策と子育て支援施策を一体的に推進できる体制を検討し、子育て家庭に対する支援の更なる充実を図るべきと考えますが、いかがか伺います。

答弁

(1)こどもホスピスについて

〇今国会において、「こども家庭庁」の創設に向けた審議が進められているが、その基本方針においても「小児がん患者等が家族や友人と安心して過ごすことができる環境の整備について検討を進める」とされているところ。

〇いのちを脅かす病気を抱える子どもたちや家族が集い安らげる場所で、大切なかけがえのない時間を過ごせることは大変重要であるものと認識。

〇このため、国の動きを注視しながら、情報収集に努めてまいりたい。

(2)子育て家庭支援の体制強化について

〇子育て家庭に対する支援を更に充実させていくためには、妊娠期から出産、子育ての各ライフステージにわたる切れ目のない支援を推進してくことが必要と認識。

〇そのためには、母子保健施策と子育て支援施策の連携により、幅広い施策を展開していくことが重要であるため、引き続き庁内の連携に努めるとともに、効果的な組織の在り方について、今後検討してまいりたい。

9未来を担う子どもの学びの環境について

質問

(1)義務教育学校の設置について

小中一貫教育については、国において平成28年度に学校教育法を改正し、9年間の義務教育を一貫して行う「義務教育学校」の制度を整備したところであり、これにより、子どもの発達が著しい義務教育段階の9年間を一つの学校として見守ることが可能となり、各自治体で順次導入が進んでおります。

また、札幌市においても、令和3年3月に「札幌市における義務教育学校の設置方針」を定め、通学区域が概ね小中同一校区で小中一体の校舎である、または小中一体の校舎整備を行う場合は、全市の小中一貫教育のモデル校の位置づけで義務教育学校を設置することとしているところです。

私としても、義務教育学校は、小学校の良さと中学校の良さを掛け合わせることで、学習面にも生活面にも大きな効果があるものと考えています。

さらに、小中学校は、地域のまちづくりにおいても非常に大きな役割を担っていることから、9年間を一つの学校として、安定的に地域と繋がっていくことができることも非常に大きな魅力であると考えます。

そうした中、地域が小中一貫校の設置を強く求めていた厚別南・青葉地区について、今般、新札幌わかば小学校と青葉中学校を、最短で令和9年度に義務教育学校に改編する方針を定めたと聞いており、地域ともども大きな期待を寄せているところです。

今回の地域の反応を見るにあたり、こうした義務教育学校の設置は、学習環境の向上はもちろんのこと、地域の活性化にもつながるものであり、試行錯誤しながらもひとつひとつ実績を積み上げ、将来的には市内に広く展開していただきたいと考えます。

今後、義務教育学校については、来年度の福移小中の義務教育学校の開校を皮切りに、令和7年度に定山渓地区、令和8年度に真駒内地区、そして、厚別南・青葉地区と次々と設置が予定されております。

そこで質問ですが、今後、札幌市においてどのような義務教育学校を設置していくのか伺います。

(2)学校施設の暑さ対策について

近年の北海道の夏場の気温は、本州と何ら変わらない状況で、普通教室に冷房設備が設置されていない学校現場では、子どもたちや教職員の体調が危惧されるところであり、ある小学校の児童の保護者からは、特に暑い普通教室では、その室温が35度にもなるとうかがいました。

それに追い打ちをかけているのが、新型コロナウイルス感染症防止のためのマスク着用であり、一層過酷な教育環境となっております。

文部科学省の調査によると、全国の公立小中学校において、普通教室での冷房設備設置の割合は、平成30年9月時点で58.0%であったものが、令和2年9月には92.8%と飛躍的に伸びている一方で、道内の公立小中学校では依然として4.3%にとどまっています。

市内小中学校の普通教室などに冷房設備を整備した場合、その事業費は約160億円にもなるともうかがっており、また、電気代や維持・更新費用などを考えると、設置に躊躇するのはある程度理解できます。

そのため、現在教育委員会では、既往予算を節約執行するなかで、移動式エアコンや窓用エアコン等を順次導入しているとのことですが、夏の暑さのピークが夏休み期間と重なる札幌市においては、あくまでも当面の間の措置として、移動式エアコン等の導入による暑さ対策は必要なものであると判断します。

しかし、その移動式エアコンについても、昨年9月1日時点で普通教室全体の2割弱の導入にとどまっているとのことであり、この夏の暑さ対策として喫緊の課題であると考えます。

我が会派としては、今後の学校施設における暑さ対策としての理想形は、やはり道外の自治体と同じように、全小中学校、全普通教室への冷房設備の設置であり、それをいつまでも先送りしていけるものではないと考えます。

そこで質問ですが、教育委員会として、今年の夏に向けた緊急的な対応を含め、学校施設の暑さ対策について、どのように認識しているのか伺います。

答弁

(1)義務教育学校の設置について

〇札幌市における義務教育学校は、校舎も含めて一つの学校とすることにより、日常的に幅広い異年齢による学び合いや関わり合いができ、学ぶ力の育成や、他者を思いやる心、自己肯定感の醸成に大きな効果をもたらすものと認識。

〇教育委員会としては、このような義務教育学校の良さを最大限生かしていけるよう、学校や地域の特色も踏まえ、義務教育9年間を見通した柔軟なカリキュラムづくりを支援してまいる所存。

〇さらには、開校準備の段階から地域の声を学校づくりに生かしながら、札幌市の小中一貫した教育の更なる推進へとつながる義務教育学校の設置を進めてまいる。

(2)学校施設の暑さ対策について

〇各学校では、これまで移動式エアコンや扇風機、遮熱カーテンを設置するほか、こまめな水分補給や過ごしやすい服装について指導するなど、子どもたちの体調に留意した暑さ対策を講じてきたところ。

〇今年の夏に向けた対策としては、現在、移動式エアコンを希望する教室などの調査を行っており、暑さが本格的に到来する7月上旬を目途に設置できるよう準備を進めているところ。

〇教育委員会としては、学校施設の暑さ対策は、既存施設における電気容量や設置場所などの課題も考慮しながら強化していく必要があると認識しており、これまでの取組の検証結果も踏まえて検討を進めてまいる。