札幌公明

議会報告Assembry report

2018/05/24 平成30年第2回定例議会

平成30年第2回定例議会2018/05/24

代表質問わたなべ泰行議員(南区)

札幌市議会本会議において公明党議員会を代表して わたなべ泰行 議員が代表質問を行いました。
以下、質問とそれに対する答弁の要旨を紹介します。

目次Contents

1.市長の政治姿勢について

質問

(1)新幹線札幌駅周辺整備における乗換利便性の確保について

新幹線札幌駅のホーム位置については、今年3月に国土交通省を含めた関係5者において、いわゆる大東案で合意が得られたところです。新幹線開業と冬季オリンピック・パラリンピック札幌招致が進んでいく中、道都さっぽろの玄関口としての札幌駅の重要性は、これまで以上に高まっております。

今後、国内外からの多くのお客様を迎え入れるうえで、新幹線札幌駅は、未来にわたり札幌市民に誇ることができるものとするよう検討を進めることが重要であり、加えて、新幹線から在来線やバス、タクシー、地下鉄などの各交通機関への乗継利用についても、ますます重要になると考えるところです。

2次交通に目を向けますと、都市間バスやレンタカーでの旅行では、高速道路への円滑なアクセスが重要となりますが、我が会派がかねてより要望しておりました国道5号「創成川通」の都心アクセス道路が、平成30年3月に公表された北海道開発局の今年度の予算説明資料において、「計画段階評価を進めるための調査路線」に指定されたところであります。この都心アクセス道路の整備によって、都心部と高速道路がスムーズに繋がり、新幹線開業効果を全道に波及させ、観光インバウンドが拡大する効果が期待されるところであります。

このように、新幹線開業に伴い、在来線や他の交通機関への乗換接続が大変重要な課題でありますが、大東案では、新幹線ホームが在来線札幌駅から離れており、移動距離があるだけでなく、他の交通機関に乗り換えるには上下移動も必要となります。

さらに、現在札幌駅の北口、南口にあるタクシー乗り場は、新幹線駅からは距離があり、重い荷物を持った観光客や小さい子ども、高齢者、また障がいのある方など、移動に時間がかかりそうな方達に大きな負担がかかることが懸念されるところです。こうした乗換に係る課題のうち、新幹線と在来線の乗換につきましては、これを担うJR北海道、鉄道・運輸機構が十分な検討を行うよう札幌市が積極的に働きかけを行うべきと考えますが、その他の交通機関への乗換に関しては、札幌市が主体となって検討を進めるものと認識しております。

そこで質問ですが、新幹線から各交通機関への乗換利便性の確保について、札幌市はどのような考え方で、どのように検討を進めるつもりなのか伺います。

(2)日本ハムファイターズの新球場建設構想への対応について

北海道日本ハムファイターズは、札幌ドームに本拠地が移転してから今年で15年目を迎えますが、今では子どもからお年寄りまで多くの市民が札幌ドームに足を運んで応援するなど、市民の文化として根付いたのではないかと思います。一方で、今後、北広島市に本拠地が移転してしまうことで、札幌市からの交通アクセスが悪くなり、球場に足を運ぶのが難しくなってしまうことを心配する市民も多いと聞いております。

こうした中、北広島市においては、交通アクセスなどの課題解決のため、北海道・JR北海道などに応援要請を行ったとの報道がありました。今後、札幌市にも、同様の応援要請があった場合、協力できるところもあるのではないかと考えます。

そこで質問ですが、北広島市に本拠地が移転された場合、札幌市ではどのような姿勢で対応していくつもりなのか伺います。

(3)ウインタースポーツの振興について

札幌市では、先日、JOCに対し、北海道新幹線の札幌延伸や都心アクセス道路整備が、2030年にはある程度実現するなどといった札幌のまちづくりのスケジュールを説明した上で、今後の招致活動の進め方について検討を続けることを協議されたと聞いております。

まさしく、冬季オリンピック・パラリンピックを、経済効果を目的とした一過性の大規模イベントとして捉えるのではなく、新幹線の札幌延伸など、まちづくりと連動させながら新しい札幌のまちを世界に向けて発信すること、加えて、オリンピック・パラリンピックの精神を札幌のアイデンティティーとして残していくという視点が重要であると考えます。

このことから、我が会派としては、冬季オリンピック・パラリンピックの招致については、2030年に照準を定め、これを契機に「心のバリアフリー」を含めた共生社会の実現に向けてしっかりと取り組んでいただくことで、市民にもオリンピック・パラリンピックムーブメントを実感してもらうことができるものと考えているところです。

札幌市でもこれまで、平成29年3月の札幌市で初となる障がい者スキーの国際大会であるIPCノルディックスキーワールドカップ札幌大会の開催や、同年9月に「みなみの杜高等支援学校」を障がい者スポーツ専用の学校開放校に指定するなど、障がい者スポーツ振興に取り組んできたことは、着実に共生社会の実現に向けて進んでいるものと一定の評価をするものでございます。

しかしながら、IPC札幌大会で多くの子どもたちに観戦いただいた一方で、毎年開催するジャンプワールドカップや全国規模のウインタースポーツ大会であっても、もう一つ札幌市民の盛り上がりという面で欠けるのではないかという思いもございます。

また、ウインタースポーツ塾などに取り組んでおられるところですが、ウインタースポーツをする子どもたちが減少傾向にあると聞き及んでおり、子どもたちが少年団などに入り、競技を続けるところまで結びつけているかという点においては、まだまだ工夫の余地があるように思います。

そこで質問ですが、冬季オリンピック・パラリンピックの招致を進めるためにも重要となる、ウインタースポーツを観戦する文化を定着させるための取組や、子どもたちがウインタースポーツに継続して取り組み、さらに競技力を向上させるための環境をどのように創出していくかについて、お考えをお伺いいたします。

(4)SDGsとエシカル消費の取組について

2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発目標」いわゆるSDGsは、「誰一人取り残さない」という理念のもと、2030年までに目指すべき17の目標を定めたもので、国や企業、自治体等の全ての主体が取り組むこととされています。

札幌市におきましては、この3月に策定されました「第2次札幌市環境基本計画」の中にSDGsの視点を取り入れたところであり、また、国が公募している「SDGs未来都市」に、環境の取組を起点とした提案を行うなど、環境分野を中心に取組が進んでいますが、今後は、全市的に取組を広げていく必要があると考えます。

次に、SDGsの12番目に「つくる責任つかう責任」という目標がありますが、この目標を達成するための取組として、消費者それぞれが社会的課題の解決を考慮して行動したり、そうした課題に取り組む事業者を応援するエシカル消費という考え方が近年重要になってきています。

また、エシカル消費につながる社会への配慮の具体的な消費行動の例としてフェアトレード商品の購入があり、札幌市におきましては、市民団体によるフェアトレードタウン認定の動きが高まりを見せておりますが、世界に誇れるまちを目指す札幌市として、エシカル消費の考え方を市民の中に根付かせていくことも重要であると考えます。

そこで質問ですが、SDGsの取組につきまして、全市的な観点のもと組織横断的に進めるべきと考えますが、市長のご認識を伺います。
また、エシカル消費に関する取組について積極的に進めるべきと考えますが、併せて市長のご認識を伺います。

答弁

(1)新幹線札幌駅周辺整備における乗換利便性の確保について

〇新幹線開業を見据え、バスターミナルやタクシー乗り場などの交通基盤の機能強化と快適な乗換動線の整備を一体的に進める考え。

〇さらに、乗換動線のバリアフリー化や多言語対応の案内表示などをより充実させ、国内外からの来訪者に加え、市民の誰もが快適に利用できる空間として整備する考え。

〇現在策定を進めている「札幌駅交流拠点まちづくり計画」において、利用者にとって利便性の高い交通結節点の在り方を示したうえで、より具体的な方策について、関係する交通事業者等と連携し、引き続き検討を進めてまいりたい。

(2)日本ハムファイターズの新球場建設構想への対応について

〇北広島市における日本ハムファイターズの新球場建設に当たっては、今後、交通アクセスを始めとする具体的な検討が進められるものと想定。

〇札幌市としては、検討結果を踏まえた協力要請があった場合には、対応が可能なものについては協力していく考えである。

(3)ウインタースポーツの振興について

〇ウインタースポーツを札幌ならではの市民文化として、より定着させるためには、競技会場で多くの市民が楽しみながらアスリートを応援したくなる雰囲気を醸成するとともに、多くの子どもたちが、ウインタースポーツに取り組み、その中から、未来のアスリートが育つ環境を創出することが極めて重要と認識。

〇そこで、ウインタースポーツの大会を観戦する市民を増やすために、今シーズン予定されているジャンプのワールドカップ大会などにおいて、例えば、選手との握手会の開催や会場を盛り上げるためのイベントの開催などについて、その実現に向け、現在、競技団体と鋭意検討を進めているところ。

〇また、子どもたちの競技力を向上させるために、昨年度から始めたウインタースポーツ塾の参加人数の拡大を図るとともに、オリンピアンなどの直接指導を通じて競技への関心を高め、併せてウインタースポーツ少年団への加入促進を積極的に行うことで、競技に取り組む子どもたちの増加につなげてまいりたい。

〇このような取組を充実させることで、真のウインタースポーツ都市さっぽろの実現を目指してまいりたい。

(4)SDGsとエシカル消費の取組について

〇まず、SDGs(エスディージーズ)については、中長期的観点のもと、経済・社会・環境といった広範な課題に統合的に取り組むことで、持続可能で多様性のある社会の実現を目指すものであり、地方自治体としても大変重要な視点であると認識。

〇札幌市としては、既に他の自治体に先駆けて「第2次札幌市環境基本計画」においてSDGsの考え方を取り入れており、今後も次期中期実施計画などの計画策定や各種の取組に際して、SDGsの視点や趣旨を十分に踏まえて全庁的に進めてまいりたいと考える。

〇次に、エシカル消費に関する取組についてであるが、人や社会、環境などに配慮するエシカル消費の考え方は、札幌市消費者基本計画にも反映されているところ。

〇今後も引き続き、エシカル消費の取組を推進することとし、具体的には、「自ら考え、判断し、行動する消費者」を育てるための教育や啓発を中心に進めてまいりたい。

2.不祥事防止対策と職員の意欲向上について

質問

(1)職員の不祥事防止対策について

昨年度は不祥事の防止に向けた新たな取組として、懲戒処分の指針の改正、三副市長の訓示、部課長マネジメント研修などを実施したところではありますが、今年度に入ってからも、教員によるわいせつ事件、USBの紛失、さらには、総額6,000万円にも及ぶ住居手当の不適切な受給が発覚するなど、残念ながら職員の不祥事をくい止めることができておりません。

札幌市の行政運営にとって、職員の不祥事の防止は喫緊の課題です。これまでの取組を継続していくことはもちろん、新たな不祥事防止対策を打ち出していくことで、一刻も早く市民の信頼を取り戻すことが必要なのではないでしょうか。今まさに、市政のトップとして、市長の管理能力が問われています。

そこで質問ですが、改めて昨今の札幌市職員の不祥事に対する認識と、不祥事防止に向けて、今後どのような対策が必要と考えているのか伺います。

(2)職員の意欲向上について

昨年の2017冬季アジア札幌大会で活躍したスポーツボランティア4,300名を、平成29年度から、さっぽろグローバルスポーツコミッションにおいて引き継ぎ、改めて組織化した取組として「スマイル・サポーターズ」事業がスタートいたしました。大規模国際スポーツ大会をきっかけに誕生した、不祥事を未然に防止し、適正な事務の執行を担保するためには、職員の高い倫理感と規範意識はもとより、市民への奉仕の精神を有していなければなりません。そして、市民感覚を磨き、公務員としてのプロ意識を高めていく。そうした職場風土の醸成が、市民の信頼を取り戻す第一歩になるのではないでしょうか。

しかし、真摯に業務に取り組んでいる職員がいるにもかかわらず、不祥事によって増えた事務への対応などにより、職員の意欲の低下が懸念されます。それがまた不祥事という形として現れ、組織の力が下がり市民の信頼を失っていく。そういう悪循環に陥っているのではないかと危惧をしております。不祥事防止とともに、職員の意欲向上への取組も、より真剣に考えるべきであります。

不祥事防止をただ声高に叫ぶのではなく、職員の中にある公務員としてのプライド、倫理観、規範意識というものを、職員自身の心の中から引き出していく、支えていく、そういう組織にしていかなければなりません。

そこで質問ですが、職員の意欲向上についての市長の認識と、今後、職員の意欲向上に向けてどのように取り組んでいくつもりか伺います。

答弁

(1)職員の不祥事防止対策について

〇昨今、市民の信頼を大きく損ねる不祥事が発生し、加えて、今回、住居手当の不適正な受給があったことは、極めて遺憾。

〇不祥事を防止するためには、職員一人ひとりが、常に公務員の自覚を持ち、また、不祥事を起こさせない職場環境づくりがなにより重要であると認識。

〇今後、従前の取組に加え、管理職はもとより、若手職員を対象とした研修をより強化するとともに、内部統制制度の構築を含め、法令等に基づく適正な事務の執行を今一度確認するなど、改めて基本的なことを徹底してまいりたい。

(2)職員の意欲向上について

〇市民感覚のある、より良い市民サービスを提供するためには、職員の意欲と能力を最大限に引き出し、組織力向上を図ることが重要と認識。

〇これまでも、白石区の活動のほか、職員提案制度などにより、職員の意欲向上に努めてきたところ。

〇今後とも、こうした取組を続けていくほか、時代の変化に対応した業務改善にも取り組み、職員の意欲と能力を最大限に引き出す組織となるよう、粘り強く取り組んでまいりたい。

3.SNSを活用した行政サービスの向上について

質問

ツイッターやフェイスブック、ラインなどのいわゆるSNSの普及進展は、私たちのコミュニケーションの在り方を大きく変えました。SNSは、電話やメールに比べ、拡散性に優れているものや、画像・映像の共有に優れているもの、操作性や手軽さ、料金面において有利なものなど、多様な特徴を備えており、現代人のニーズをしっかりと捉え、日常的なコミュニケーション手段として定着したところです。

こうした状況を踏まえ、札幌市では、平成27年12月にSNS活用の基本ルールを定めた「札幌市ソーシャルメディア活用ガイドライン」を策定し、ツイッターやフェイスブック、インスタグラムを用い、市政情報や観光、イベント・施設に関する情報を発信しております。しかし、札幌市におけるSNSの活用には、まだまだ進展の余地があると考えられるところです。

例えば、市民に対する防災情報の提供であったり、インバウンドの観光客に対する多言語での情報発信であったり、子どもを対象としたいじめ相談であったり、これらにSNSを活用することで、ホームページに掲載するだけでは実現しなかった情報の伝達や、電話やメールに抵抗のある世代を対象とした相談ニーズの掘り起こしなど、様々な課題を解決することができるのではないでしょうか。

SNSにはその可能性があると信じておりますし、平成29年3月に策定した「札幌市ICT活用戦略」の基本施策においても、SNSの活用は掲げられているところです。SNS活用をさらに進めることで、札幌市役所は市民にとってより親しみやすい存在となり、将来にわたって市民感覚を重視した行政運営が可能となると考えられます。

そこで質問ですが、現在取り組んでいる市政情報の発信などのほかに、行政サービスの向上にSNSを活用することについて、どのような認識を持っているのか伺います。

答弁

〇SNSは、情報発信のみならず、市民の声を直接受け止め、きめ細やかな対応を可能とする双方向のコミュニケーション手段と認識。

〇また、その内容を蓄積、分析することで、新たな政策立案にもつながるものと考えている。

〇札幌市においても、女性や子どもを対象とした相談事業への活用や、ビッグデータを用いたAIによる自動応答の実証実験などに取り組み始めているところ。

〇新たな取組に対応する運用ルールの構築や、コミュニケーション技法の確立などの課題はあるものの、ICTを積極的に活用し様々な市民ニーズへ対応していく中で、SNSの幅広い活用を進めてまいりたい。

4.今後の観光振興に関する取組の視点について

質問

近年、来札外国人宿泊者数は、急速な拡大を遂げており、東日本大震災が発生した平成23年度は約43万人であったが、その後は順調に増加し続け、平成28年度には5倍近くとなる約209万人となりました。

札幌市では、本年3月「観光まちづくりプラン」を改定し、計画期間の最終年度となる平成34年度には、外国人350万人を含む年間観光客数を1,800万人、観光消費額を7,000億円とする新たな目標を設定したところです。

今後も増加する外国人観光客を受け入れるに当たっては、更なる受入環境の整備が急務であるし、長らく低迷する国内観光需要や繁忙期と閑散期の差を改善する必要もあります。加えて、団体旅行から個人旅行、「モノ消費」から「コト消費」に旅行ニーズがシフトしているため、札幌市内での滞在を楽しめるよう観光コンテンツの創出や磨き上げ、宿泊環境や交通環境の充実なども求められます。

また、ソーシャルメディアの普及などICT技術の進歩により、観光に関する情報収集の形態が大きく変化しており、これらにも的確に対応する必要があります。さらに、観光客のニーズが日々変化し続けていることを踏まえると、観光に関する統計資料の整備・充実が重要であり、民間企業も含め、様々な観光振興のための資料として広く活用されるべきです。

札幌市においては、これまで、東アジア及び東南アジアに対する誘致プロモーションや各種イベントの魅力アップ、夜景を始めとする観光資源の発掘、観光案内の整備、新千歳空港における観光客動態調査などの取組を進めているところですが、観光客のニーズがより一層多様化する中、今後、観光を札幌の成長をけん引する有力産業に飛躍させていくためには、従来から実施している観光施策だけではなく、将来を見据えた新たな視点による取組も必要であると考えられます。

一方、課題がこれだけ多岐に渡っているため、場合によっては施策の選択と集中を考えることも必要であり、また、行政だけで観光振興を推進するには限界がありますので、行政とともに民間企業も同じ課題や目標を共有し、一丸となって取組を進めることが重要であると考えます。

そこで質問ですが、今後、観光振興を推進するに当たって、どのような視点に重きを置いて取り組む考えなのか伺います。

答弁

〇人口減少・超高齢社会を迎え、国内観光客に大きな伸びが期待できない中、将来に向かって札幌が持続的に発展していくためには、観光消費額が大きく、今後も増加が予測される外国人観光客の誘致がこれまで以上に重要になっている。

〇加えて、国際的なスポーツイベントの開催を控えていることを踏まえると、欧米市場や富裕層に対する誘致活動を進めるとともに、通信環境や交通アクセスの充実、観光に携わる人材の育成など受入環境を整備する必要があると認識。

〇また、国内外の観光客が安心して快適に滞在できるまちづくりは、市民生活の向上にもつながるものであり、民間事業者や関係団体、大学、周辺市町村などと緊密に連携しながら、札幌のまちがより一層魅力的なものとなるよう観光振興に取り組んでまいりたい。

5.札幌市における森林の保全・整備について

質問

(1)(仮称)森林環境税の活用による森林管理について

札幌市は総面積の約64%を森林が占め、水源涵養や生物多様性の保全、保健レクリエーション機能などに加え、二酸化炭素の吸収や固定といった地球温暖化対策に資する地球環境保全機能を発揮し、貴重な役割を果たしています。

札幌市では「札幌市森林整備計画書」において、森林整備の基本方針を示し、森林が持つ多面的機能に配慮しつつ森林の整備及び保全を行うこととしており、市民参加による林業体験活動の推進や、森林ボランティアへの支援、育成に力を入れているものの、特に私有林の人工林については、林業経営の不振や担い手不足などにより、適切な造林、保育や間伐など林業施業が、十分には行われていないのが現状と思われます。

全国的にも同様の課題が浮き彫りになっている中、国では温室効果ガス削減目標の達成や災害防止を目的に、林業の成長産業化と森林資源の適切な管理を図るため、所有者に代わって市町村が森林管理を可能にするなど、森林関連法令の改正について審議中であり、それを踏まえて(仮称)森林環境税を創設することとしております。

札幌市において、この税の自治体への譲与基準の一つである私有林の人工林面積は森林面積の約4%であり、その規模は決して大きいとは言えないが貴重な財源であり、これまで取り組んできた森林ボランティアなど市民や企業と協働した森林整備と併せて、札幌市の森林施策の推進に寄与するものと考えます。

そこで質問ですが、この新しい森林管理の仕組みの導入を契機に、私有林の健全な森林管理に努める必要があると考えますが、この財源を、どのように活用するつもりなのか伺います。

(2)林業・木材産業の振興について

また、林業従事者が少なく、私有林の面積も少ないなど林業規模の小さい札幌市単独では、林産業における生産から消費までの一貫した振興の仕組みの構築は非常に難しいことは想像できますが、人口196万を抱える木材の一大消費地としての役割もあると思いますが、今後の林業・木材産業の振興について、どのように考えているのか伺います。

答弁

(1)(仮称)森林環境税の活用による森林管理について

〇現在、国会で森林関連法案が審議中であり、税制改正大綱では森林環境税の使途として、間伐や人材育成、木材利用の促進などの事業を想定しているところ。

〇札幌市は、市域内の森林の大半を国有林が占め、森林環境税の対象となる私有林は限られるものの、一定の面積を有しており、一方で林業従事者が少ないという状況。

〇こうした状況を踏まえ、私有林の適切な管理に向けて、担い手の確保はもとより、森林ボランティアの活動の拡大など、森林環境税の効果的な活用について検討してまいりたい。

(2)林業・木材産業の振興について

〇これまでも「札幌市公共建築物等における木材の利用の促進に関する方針」を定め、市有施設における地域材の利用や、木質ペレットなどのエネルギー利用に取り組んできたところ。

〇札幌市は、一大消費地としての役割を果たしていくことが重要であると認識しており、今後は、林業施策を推進している、国や道などと連携を深め、更なる市有施設での利用や、普及啓発を進めるなど、木材利用の促進を図り、林業・木材産業の振興に努めてまいりたい。

6.子ども施策について

質問

(1)多様なニーズに対応した子育て支援施策について

今年4月に全区にこれまでの「子育て情報室」をリニューアルした「子育てインフォメーション」がオープンしました。これは、子育て中の家庭が気軽に相談できる場所として、保健センター内や保健センターに隣接する場所に設置され、子育てに関する様々な情報や窓口を案内する、総合案内所のような場所であり、様々な悩みをいったん受け止め、ここを入り口として適切な窓口に繋いでいく事が可能になりました。

妊娠期から子育て期において、気軽に様々な悩みを受け止めてくれる相談場所の必要性を説いてきた我が会派としては、今回の「子育てインフォメーション」の設置は評価しており、今後は「ワンストップ型の子育て相談窓口」に向けてさらに進化させるべきであり、各区保健センターにおける子育て家庭への支援体制に期待をしているところです。

子育てに関する悩みは本当に様々であり、困ったことがあってもどこに相談してよいかわからなかったり、気軽に相談できる場所がなく、困りごとが大きくなってしまう等という現状がありました。子どもの成長を願わない親がいないように、子育てに悩まない親もまたおりません。そして、その悩みが多岐にわたることから、行政が担う子育て支援施策は多様なニーズに対応でき、子育て家庭を温かく支援することが求められます。

そこで質問ですが、子育て支援に対しては様々なニーズが高まっている中、必要な支援が確実に行き届くことが重要であることから、現在の子育て支援体制を強化すべきと考えますが、妊娠期から子育て期に渡る子育て家庭への支援について、札幌市は今後どのように取り組んでいくか伺います。

(2)札幌市の不登校対策について

不登校の要因は、人間関係、学業不振、家庭の事情等様々で、それらが複雑に絡み合っており、また、不登校児童生徒にとって、学校が安心して過ごせる居場所になっていないということも、不登校の要因なのではないでしょうか。

不登校で辛く苦しい思いをしている子どもが安心して学び続けられる環境づくり、そして保護者の悩みや思いを受け止めた支援は重要となってきていることから、札幌市の学校現場では、不登校児童生徒や保護者への支援のための様々な研修を行っておりますが、指導にあたる教員が、毎日の授業の準備や事務処理のため、子どもとその保護者にしっかり寄り添える時間が少ないということも伺っております。

このような中、不登校児童生徒の人数が増加傾向にあり、登校したくともできない多くの児童生徒が支援を必要としている現状において、札幌市としての不登校に対する課題意識と不登校支援に対する考え方を明確にすることが重要であると考えます。

札幌市においては、これまで、市内6か所に設置している適応指導教室等の運営や、相談支援パートナー事業等、様々な不登校支援に取り組み、登校状況の改善等の一定の成果を上げていることは承知しており、我が会派としても不登校対策については議会で何度も取り上げ、札幌市の予算編成に対する重点要望のなかでも、こうした設置施設については子どもたちが通いやすいよう全区への設置を求めているところであります。

昨今の不登校の増加について、改めてその背景を考える時、学業不振や人間関係の困りだけでなく、貧困等の社会的な要因も考えられ、その対応を学校だけに任せられるものではなくなっているように強く感じており、横断的・総合的な取組の必要性を札幌市として真剣に考えていただく時期にきているように思えてなりません。

そこで質問ですが、札幌市では不登校対策についてどのように認識し、今後どのように取り組んでいくのか伺います。

答弁

(1)多様なニーズに対応した子育て支援施策について

〇妊娠期から子育て期に渡って切れ目ない支援をしていくために、保健師や保育士が様々な形で連携を深めるなど、区保健センターが一体となって子育て家庭の支援に取り組むことが重要。

〇区保健センターにおいては、保健師を中心とした母子保健事業を始め、様々な支援を行ってきたところだが、今回保育士が常駐する「こそだてインフォメーション」を設置し、より幅広く子育ての悩みを受け止める体制を構築したところ。

〇今後インフォメーションで、病気の子どもなどの預かりサービスの事前登録手続きを試行的に3区で実施するなど、子育て世帯の多様なニーズや悩みを把握し、子育て世帯に寄り添いながら必要な支援につなげていく体制づくりに取り組んでまいりたい。

(2)札幌市の不登校対策について

〇各学校においては、これまで、教員だけではなくスクールカウンセラーなどの専門的人材と連携を図りながら、組織的に未然防止や初期対応等に取り組んできたところ。

〇また、教室に入ることができない子どもに対して別室で支援を行う相談支援パートナーの配置や、教育支援センターにおいて学校復帰に向け、学習支援を行う等の取組を進めてきた。

〇しかしながら、子どもを取り巻く環境の変化に伴い、不登校の要因はますます多様化・複雑化しているため、不登校の児童生徒数は札幌市においても、全国同様増加傾向にあり、学校・家庭・地域が一体となって取り組むべき重要な課題であると認識。

〇今後、これまでの取組に加え、相談支援パートナーやスクールソーシャルワーカーによる家庭への訪問支援等、いわゆるアウトリーチ型の支援を進めていくとともに、関係部局や相談機関との一層の連携を図るなど、不登校対策を強化してまいる。