札幌公明

議会報告Assembry report

2021/12/03 令和3年第4回定例議会

令和3年第4回定例議会2021/12/03

代表質問くまがい誠一議員(中央区)

札幌市議会本会議において公明党議員会を代表して くまがい誠一 議員が代表質問を行いました。
以下、質問とそれに対する答弁の要旨を紹介します。

目次Contents

1市長の政治姿勢について

質問

(1)来年度の予算編成について

アクションプラン2019は、市長公約の実現に向けた具体的な取組を計画事業として盛り込み、札幌市の行財政運営や予算編成の指針となるものであります。

これまでアクションプラン2019で掲げた政策目標を達成するため、毎年度、計画事業を積極的に予算計上してきたことは、一定の評価をしているところです。

しかし、新型コロナウイルス感染症の影響により、予定していた事業の中には、予算編成時の想定と実態が乖離し、実施方法の見直しが必要となったものや、予算執行できなかった事業があります。

このような事業については、社会経済情勢の変化に応じ、政策目標の実現に向けて事業の見直しや再構築を行い、コロナで傷んだ経済の立て直しと市民生活の再生に資源を振り替えていくことが重要だと考えます。

現在、国においては、コロナ禍が国民生活に及ぼした教訓を生かしつつ、国民の命と暮らしを守り、持続可能で強靭な社会の構築を目指して、デジタル化やグリーン化を通じて日本社会の新たな成長と活力を生み出し、コロナ前よりも豊かで便利な社会の実現に向けて様々な議論が交わされているところであり、このような考え方は、先日閣議決定された国の補正予算のほか、令和4年度予算編成でも重点的に盛り込まれることが考えられます。

地方においても、この機を捉え、国の政策と連動した積極的な政策の推進が求められます。また、国において令和3年度から開始した総額15兆円規模の「防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策」は、甚大化する風水害や切迫する大規模地震への対応、インフラ老朽化対策など、コロナ禍であっても災害は待ったなしであることを考えると、これらの取組は着実に進めていく必要があります。

令和4年度予算は、秋元市長2期目の最後の本格予算であり、アクションプラン計画事業の着実な推進と、アクションプラン策定以降に生じた新たな行政課題への対応、国の動きを見据えた予算編成など多岐に渡る対応が必要となります。同時に、一日も早いコロナ禍からの再生と、誰もが希望を持って安心して暮らせる予算として、市長の強いメッセージを込めた予算編成としてもらいたいと考えます。

そこで質問ですが、秋元市長は、令和4年度の予算編成にどのような想いをもって臨まれるのかを伺います。

(2)新型コロナウイルス感染症対策について

①第6波に向けた高齢者施設等の環境整備への支援

現在、札幌市における新型コロナウイルスの感染状況は、緊急事態宣言も終了し、新規の感染者数が低い数値で推移しています。その背景としては、市内の医療関係者の多岐に渡る協力や献身的な努力、そして市民の感染対策への着実な取組があってのことだと考えます。

現在、感染状況は落ち着いており、一日も早く通常の生活が戻ることを願うところですが、自粛体制の緩和により人流も増える中、感染リスクは今も身近にあると認識し、引き続き第6波の発生を考慮しながら対応していく必要があります。

新型コロナウイルス感染症については、繰り返し言われておりますが、高齢者や基礎疾患のある方が重症化のリスクが高いとされており、これまでも市内の高齢者施設等でクラスターが発生してきましたが、感染対策を徹底することで、施設内にウイルスを持ち込まないよう努めております。そうした中、入所施設においては、感染拡大期には外部との面会を制限するなど、親族ですら会うことも叶わず、皆さんが大変つらい思いをしてきております。また、外出を控えざるを得ない在宅の要介護者にあっては、ご家族の負担が大きくなるだけでなく、一人暮らしの高齢者は自宅で孤立がちとなり、心身の状態の悪化が大変心配されるところです。

こうした状況を踏まえ、要介護状態の方やそのご家族はもとより、介護サービスを提供する事業所・施設において、安心してサービスを利用、そして提供できるよう、日々の環境を整備することが重要であり、新型コロナウイルス感染症の予防策を講じながら、介護サービスが安定的に継続できる支援が求められています。

そこで質問ですが、札幌市では高齢者施設等に対して、感染予防対策として様々な支援をしてきたことは承知していますが、設備面への環境整備の支援はどのように行ってきたのか、また、今後はどのように支援していくのかを伺います。

②新型コロナウイルスのワクチン接種体制

新型コロナウイルスのワクチン接種については、11月中に接種対象である12歳以上の約8割の方が2回の接種を終えました。市内の700を超える医療機関にご協力いただくことにより、多くの市民が、いつも診察してくれている身近な医療機関で安心して接種を受けられたのではないかと考えています。

今月からは、まずは主に医療従事者を対象に3回目の追加接種が始まったところであり、来年の9月末までにかけて希望する市民への接種を実施していくということです。

3回目接種の後については国の見解も示されていないことから、3回目までと同様、希望する方全員を対象として大規模なワクチン接種を実施するかどうかはわかりません。しかしながら、しばらくは新型コロナウイルスの感染リスクがなくならないと考えれば、引き続き、市民が何らかの形でワクチンを接種できる体制を整えておくことが重要だと考えます。

札幌市の3回目接種は、基本的には1・2回目と同様、医療機関での接種を中心にしつつ、集団接種会場での接種を補完的に用いて進めていくということですが、将来的には、インフルエンザなど他の感染症の予防接種のように、市民がいつでも身近な医療機関でワクチン接種を受けられる体制づくりを見据えて取り組んでいくことが重要です。

そのためには、3回目接種を機に、ワクチン接種にご協力いただける医療機関をさらに拡充し、これまで以上に個別医療機関の協力を得ていくことが必要ではないかと考えます。

そこで質問ですが、3回目接種において医療機関の接種体制をどのように構築していくつもりなのか、市長の考えを伺います。

(3)少子化対策について

①合計特殊出生率の向上

我が国における少子化の進行、人口の減少は深刻さを増しており、出生数の減少と死亡者数の増加を背景に、総人口は平成20年をピークに減少局面に入っております。一方、札幌市においては、出生数を死亡者数が上回る「自然減少」となっているものの、道内からの転入超過による「社会増加」が続いていることから、現在の人口は増加傾向の状況ではありますが、ここ数年のうちに減少局面に転じることが予想され、高齢化率の上昇や生産年齢の減少がさらに進んでいくことが見込まれています。

厚生労働省の発表によると、令和2年の合計特殊出生率は前年より0.02ポイント減の1.34で5年連続の低下となりました。また、出生数は前年より24,407人少ない84万832人、婚姻数は73,517組減の52万5,490組、妊娠届の受理件数は44,363件減の87万2,227件といずれも大幅な減少となっており、全国的な少子化に歯止めがかからない状況です。

札幌市の令和2年度の人口動態統計はまだ発表されていませんが、令和元年の合計特殊出生率は全国と比べ低位である1.12であります。合計特殊出生率はここ数年減少傾向が続いていることに加え、新型コロナウイルス感染症の影響も考えると、さらに悪化が進んでいるのではないかと危惧しているところです。

札幌市では、令和2年3月に人口減少の緩和の方向性を具現化した「第2期さっぽろ未来創生プラン」を策定し、合計特殊出生率を令和6年までに1.42まで引き上げる目標を掲げ、様々な事業に取り組んでいるところですが、目標の達成に近づけていくためには、これまで以上に、現状を踏まえた実行性の高い取組を積極的に行っていくことが必要であると考えます。

そこで質問ですが、合計特殊出生率の向上について、今後どのように取り組んでいくのかを伺います。

②父親による子育て推進

少子化対策においては、現在、働く母親の増加に伴い、子育てにおける父親の役割が重要になっています。

厚生労働省では、社会全体で男性の積極的な育児を推進する一環として、2010年からイクメンプロジェクトを実施しており、この取組の報告によると、令和2年度の男性の育児休業取得率は12.65%ですが、育児休業を希望しながらも取得できなかった男性社員の割合は37.5%となっており、休業取得を望んでも十分に叶わない状況にあると言えます。

また、本年6月に育児・介護休業法が改正され、令和4年度からは企業に対して、育児休業を取得しやすい環境の整備が義務付けられました。札幌市内の企業においても、男性社員の育児休業の取得希望が実現できるよう、札幌市としてワークライフバランスへの取組を後押ししていくことが重要だと考えます。

さらに、札幌市が平成30年度に実施した、就学前児童のいる世帯を対象としたニーズ等調査の中では、就労中の親が平日に子どもと過ごす時間について、母親は「5~6時間」が最も多いのに対し、父親は「1~2時間」が最も多くなっています。家庭においては、母親が子どもと過ごす時間の方が圧倒的に多い結果となっており、子育ての負担が母親に偏り、二人目、三人目の妊娠・出産をためらう要因の一つとも考えられています。

また、コロナ禍においてはテレワークの増加などで、父親が子どもと過ごす時間が増えた世帯もあり、父親が家庭や子どもとのかかわり方を捉え直す、良い機会だとも言えます。

こうした社会状況を踏まえ、私自身もまさに子育て世帯でありますが、父親として母親にしっかりと寄り添い、子どもとともに過ごすかけがえのない時間を日々確保し、積極的に子育てにかかわっていくことの重要性を痛切に感じております。

そこで質問ですが、父親による子育て推進について、これまでの主な取組と、今後どのような取組を進めていくのかを伺います。

(4)これからの介護施策について

①ケアラー支援

日本ケアラー連盟によると、ケアラーとは、心や体に不調のある人の「介護」「看病」「療育」「世話」「気づかい」など、ケアの必要な家族や近親者、友人、知人を無償で介護する人と定義され、ダブルケアラー、ワーキングケアラー、ヤングケアラー等が含まれております。高齢者の家族介護に関しては、老老介護や認知症対応といった難しい課題がある中、当事者が身近なところで相談できず、さらにはコロナ禍も重なって、孤立を深める方が増えていくことも想定されています。

我が党では、2018年に全国の議員約3,000人により、100万人規模の訪問調査を実施しました。調査の中では、介護の課題も数多く浮き彫りになり、介護を受ける立場では、住み慣れた自宅で自分らしく暮らし続けたいという希望が多くある中、家族など在宅介護を支えるケアラーの生の声と、その課題についても聞くことができました。我が会派としては、そういった市民や関係者から寄せられる声や課題を踏まえながら、これまでも介護施策の推進に向けて様々な政策に反映させてきたところです。

そうした中、現在、我が会派では北海道ケアマネージャー協会をはじめ、有識者や支援団体、家族会等とプロジェクトチームを結成し、ケアラー支援条例やダブルケアラー、ヤングケアラー等に関して、専門職や当事者など多面的な視点から調査研究を開始しており、私自身もケアマネージャーの一人としてこのプロジェクトに参加させていただいております。調査研究を進める中で、ワーキングケアラーとして職場の理解が得られず仕事を休めない方や、困り事を一人で抱えて苦悩する方のお声を伺うなどし、こうした問題は、市民や社会にケアラーに対する理解が十分浸透していないことから生じるとも感じています。

他の自治体においては、ケアラー支援条例やケアラー月間など、市民に広くケアラーを理解してもらう取組を始めているところもあり、ケアラーの支援を進めるには、関係団体にとどまらず、市民一人一人がケアラーについて理解し、地域のつながりや支え合いを深めながら、介護に優しいまちづくりを進めていく必要があります。

そこで質問ですが、高齢者を介護するケアラーに対して、市民の理解を深めていく必要性について、どのように認識しているのかを伺います。

②介護人材の確保

先ほど述べた通り、我が党の全国の議員による100万人規模の調査において、約7割の方が、介護が必要になっても在宅を希望するという結果を得ています。介護に対する希望を叶え、人に優しいまちづくりを実践していくには、私たちの誰もが、介護する側にも、される側にもなり得るという共通認識を持つこと、また、そういった共通認識を社会に根付かせていくことが重要だと考えます。そして、今後の高齢者人口の伸びを踏まえると、介護する側である担い手を、高齢者の増に見合った必要数育成し、確保していくことが喫緊の課題だと認識しています。

厚生労働省が7月に公表した介護人材の必要数の推計によると、2025年度末までに日本全国で約32万人、北海道では約1万人の人材が不足することが見込まれています。

札幌市が2019年度に実施した「介護保険サービス提供事業者調査」によると、介護サービス事業所における職員の採用状況について、常勤職員、非常勤職員とも、「計画どおり採用できていない」と回答した事業所が約40%にも達し、本市においても介護人材の不足感は顕著であると言えます。

また、市内の介護サービス事業者の運営上の問題点を調査した結果では、約半数の事業者が「人材の育成が難しい」、約3割が「職員が定着しにくい」と回答しており、人材の育成や定着についても多くの課題があります。

公益財団法人介護労働安定センターの調査によると、介護労働者における30歳未満の構成比は2016年に10.8%であったのに対し、2020年では6.8%に減少しており、また、労働者の平均年齢もこの5年間で46.8歳から49.4歳と高齢化が進んでおり、若年層が介護業界を敬遠している状況も窺えます。

これまでに何度も指摘していますが、介護人材の不足がこのまま解消されなければ、私たちは近い将来、満足な介護サービスを受けられなくなる可能性も否めず、大変憂慮するところです。そうした中、介護人材不足への取り組みは、国、都道府県、市町村が役割分担をしながら進めて来ており、本市においても独自の取り組みを進めているところですが、他の自治体では更に一歩踏み込んだ取り組みが進められ、市独自で認定試験を行い、合格者を認定するなどし、積極的に人材不足の解消に努めているところも増えて来ております。

そこで質問ですが、介護人材の不足が全国的な課題となる中、必要な介護人材の確保に向けて、札幌市として独自の取り組みを今後どのように進めて行く考えか伺います。

(5)成年年齢の引き下げへの対応について

2022年(令和4年)4月から、成年年齢が現行の20歳から18歳に引き下げられます。2015年(平成27年)には、公職選挙法の選挙権年齢などが18歳と定められるなど、18歳からを大人として扱う政策が進められてきましたが、市民生活に関する基本法である民法においても、18歳以上の方が大人として法律上の地位を与えられることとなりました。

この引き下げに伴い、札幌市でいうと3万2千人ほどが、新たに大人として増えることとなりますが、18歳、19歳の若者の自己決定権が尊重され、積極的な社会参加が促されることを期待する一方、民法上、成年になると、一人で有効な契約をすることができる年齢という意味と、父母の親権に服さなくなる年齢という意味を持つこととなることから、責任ある主体として様々な権利・義務が直接に生じてくることになります。

つまり、これまで、親権者の庇護のもと生活をしていた18歳、19歳の若者が、4月以降、親の同意を得ずに、様々な契約をすることができるようになり、例えば、携帯電話の購入、一人暮らしのためのアパートの賃借、クレジットカードの作成、さらには、ローンを組んでの自動車購入といったことまでできるようになるのです。

また、親権に服することがなくなる結果、自分の住む場所や進学・就職などの進路決定、性別の取扱いの審判を受けることについても、自分の意思で決めることができるようになります。

一方、健康被害への懸念や、ギャンブル依存症対策などの観点から、お酒やたばこ、競馬など公営競技利用の年齢制限については、20歳のまま維持されます。

このように、18歳、19歳にまつわる環境が大きく変化をすることとなりますが、特に契約にまつわるトラブルや消費者被害の拡大が懸念されており、できること、できないこと含め18歳、19歳の当事者さらには親権者への情報提供などは、札幌市としてしっかりと進めていかなければならないものと考えます。

そこで質問ですが、このように、成年年齢の18歳への引き下げに伴い様々な権利・義務関係が変わり、市民生活上大きな変化が生じるところですが、とりわけ、直接的な被害が懸念される消費生活上のトラブルに対し、札幌市として、どのように対応していくのか、お伺いいたします。

(6)2030年北海道・札幌オリンピック・パラリンピック招致について

これまでも我が会派は、平成26年の札幌市議会における招致賛成の決議以降、世界最大のスポーツと平和の祭典であるオリンピック・パラリンピックの開催は、文化、国籍の違いや障がいの有無によらず、誰もが暮らしやすい共生社会の実現につながるものとして、2030年冬季オリンピック・パラリンピックの招致に賛成の立場から質疑を重ねてきました。

札幌市は過日、大会の概要を発表しましたが、改めてこの大会を契機として共生社会を実現するという考えをしっかりと盛り込むよう求めます。

一方、コロナ禍による市民生活への影響は依然として続いており、将来の暮らしに対する希望を描きたい、そうした市民の声も多く聞くところです。

だからこそ、札幌市は、共生社会の実現に向けたまちづくりを進めるためにも、様々な機会を捉え、大会の意義や必要性を説明した上で、市民の理解と賛同をしっかりと得ながら、市長のリーダーシップのもとで招致活動を着実に進めてほしいと考えます。

さらに、我が会派では、コロナ禍において開催された東京2020大会において、困難な社会状況にあってもオリンピアンやパラリンピアンが自らの可能性を試し、チャレンジする姿が、社会的弱者にも勇気を与えながら、国民が共生社会への意識を高める大きな契機になったものと認識しています。

東京大会から間を置かずして、来年の2月には、冬季北京大会が予定されており、道内ゆかりの選手たちの活躍が大いに期待されるところですが、この機会も積極的に活用することで、市民にスポーツの持つ力を改めて感じてもらい、大会招致の機運醸成へとつなげていくことが重要だと考えます。

冬季の選手たちの活躍も、東京2020大会と同様、大きな感動と共感をもたらすとともに、このまちの未来に対する市民の思いを一つにして、今後の招致活動の大きな力となっていくものと考えます。

そこで質問ですが、2030年冬季オリンピック・パラリンピック招致に向けて、今後どのように機運を高めていくのか、秋元市長の考えを伺います。

答弁

(1)来年度の予算編成について

〇令和4年度予算は、私の2期目最後の本格予算となることから、アクションプラン2019の総仕上げとして、計画事業を着実に実施するとともに、プランに掲げた成果指標の達成に向けて、事業の柔軟な見直しや新規事業の構築に取り組む。

〇その上で、国の補正予算による財源を最大限に活用しながら、経済活動の回復・発展やデジタル化の推進などの「新たな成長」に資する事業や、市民の命を守る防災・減災の取組に重点的に取り組む。

〇これらの取組により、市民の皆様に安心と希望をお届けし、施政方針で掲げた心豊かで明るいさっぽろの未来の実現に向かって、着実に歩みを進めていくための予算としてまいりたい。

(2)新型コロナウイルス感染症対策について

〇1点目の第6波に向けた高齢者施設等の環境整備への支援について

札幌市では、国や北海道の財源を活用しながら、令和2年度より、高齢者施設等に対して感染拡大リスク低減のための簡易陰圧装置や換気設備の設置への補助を行った。

〇また、今年度は、2方向から出入りできる家族面会室の整備など、生活空間等の区分けを行うゾーニング環境等整備に係る補助制度を創設したところ。

〇今後も引き続き、国や北海道の動向も注視しながら、高齢者施設等に対して環境整備への支援を実施してまいりたい。

〇2点目の新型コロナウイルスのワクチン接種体制について

1回目・2回目のワクチン接種については、医療機関において、それぞれ80万回を超える接種を実施していただいたところ。

〇3回目のワクチン接種の実施にあたり、医療機関に対して意向調査を行った結果、これまで同様、700を超える医療機関からご協力をいただける見込み。

〇また、かかりつけ以外の方にも接種を実施する医療機関が倍増する見通しであることから、3回目については、医療機関だけで約100万回の接種が可能と見込まれるところ。

〇引き続き、かかりつけ以外の方への接種協力をいただけるよう働きかけることにより、より多くの市民が身近な医療機関で接種を受けられる体制としてまいりたい。 

(3)少子化対策について

〇1点目の合計特殊出生率の向上について

「第2期さっぽろ未来創生プラン」の基本方針である「質の高い雇用創出と魅力的な都市づくり」と「結婚・出産・子育てを支える環境づくり」を基本とし、これまで新たな企業の創出・誘致や多様な保育サービスの提供などに取り組んできたところ。

〇今後は、コロナウイルスの影響を踏まえた取組の強化に加え、新たな視点での取組が必要と認識。

〇具体的には、有識者から聴取した意見を踏まえ、リモートワークの普及などによる新しい日常への対応や、人との接触機会の減少により子育て世帯が抱える不安感の軽減などの観点について、取組内容への反映を進めているところ。

〇さらに、結婚や子育てといったライフデザインが描けるよう、大学等と連携して、より若い世代を含む幅広い層へのアプローチに取り組むなど、新たな視点からも進めていく考え。

〇これらのことが、一人一人の人生設計における様々な選択を可能とし、札幌への定着や結婚、出産、育児の希望につながることにより、合計特殊出生率の向上に努めてまいりたい。

〇2点目の父親による子育て推進について

札幌市では、父親向け育児情報の発信や男性の家事育児参画の啓発をはじめ、仕事と子育ての両立を支援するため、ワーク・ライフ・バランスなどに取り組む企業の認証や、男性の育児休業取得助成金の支給などに取り組んでいるところ。

〇コロナ禍において、テレワークを導入する市内企業や男性の育児休業取得助成金の申請件数が増えていることなどから、働き方の多様化が進むとともに、男性の育児参画の意識が高まっていると認識。

〇また、育児・介護休業法の改正により、今まで以上に男性の育児休業の取得促進が期待されることから、これを好機ととらえ、積極的に取組を進めてまいりたい。

(4)これからの介護施策について

〇1点目のケアラー支援について

札幌市高齢者支援計画2021においては、高齢者と家族を支える支援体制の充実を目指し、必要なサービスが切れ目なく提供できる環境の整備を進め、家族介護者の支援を図っているところ。

〇さらにケアラー支援を進めていくには、市民一人ひとりが介護に対する理解を深め、介護を我が事として意識することで、ケアラーの存在に気付き、支援につなげていくことが重要と認識。

〇次期計画においても、行政と地域や関係機関とが連携しケアラーを支える地域づくりを引き続き進めていくとともに、広く市民に向けた広報啓発を行うことにより、ケアラー支援に対する市民や社会の理解を深めていきたい。

〇2点目の介護人材の確保について

介護人材確保に向けて、市町村には、「事業者の介護人材確保に向けた取組の支援」や、「生活支援の担い手を増やすための取組」が求められている。

〇そのため、札幌市では、介護人材の採用力向上や職場定着に役立つ研修などの独自の取組を実施している。

〇また、これまでも若年層向け啓発冊子の配布や出張講座を行っていたが、今年度は新たに介護の仕事についての世代別啓発動画の作成を行い、介護職のやりがいや魅力などを発信することにより、幅広い市民に介護に親近感を持ってもらう取組を行う予定。

〇今後も、国・北海道との役割分担を行いながら、効果的に介護人材の確保につなげてまいりたい。

(5)成年年齢の引き下げへの対応について

〇札幌市では、成年年齢引き下げの動きを踏まえ、教育委員会とも連携を図り、市内高校へ教材を提供し、契約に伴う責任やリスクなどについて授業で取り上げるよう働きかけており、多くの学校で活用されているところ。

〇また、小・中学校に対しても、消費者教育教材を提供し、授業での活用を促すなど、将来を見据えた取組も実施。

〇今後は、WEB広告など各種広告も活用し、成年年齢引き下げの影響を広く啓発するとともに、相談先となる消費者センターの浸透を図るなど、被害の未然防止に向け、積極的に取り組んでまいりたい。

(6)2030年北海道・札幌オリンピック・パラリンピック招致について

〇大会招致に当たっては、市民はもとより、企業や各種団体など多くの方々による招致への支持のもと、賛同の輪が大きく広がっていくことが重要であると認識。

〇そのためには、まず、大会の開催意義や経費負担の考え方はもとより、心のバリアフリー推進といった共生社会の実現など、まちづくりへの効果についても、市民に対し、丁寧にわかりやすく伝え、ご理解いただくことが必要と考えるところ。

〇そのうえで、アスリートやメディアとの連携を深めながら、北京2022大会の機会を最大限活用し、選手たちの躍動する姿を通じて、オリンピック・パラリンピックに対する期待感を高めていくなど、経済界やスポーツ界と一体となった招致機運のうねりを作り上げてまいりたい。

2コロナ後の経済再生に向けた取組について

質問

(1)この冬の観光促進策について

新型コロナで一番大きな打撃を受けたのは、観光業と飲食業であります。経済の回復には人の動きを作り出すことが重要であり、国においては、感染収束を見届けつつ新しい手法で新「GoToキャンペーン」を実施し、観光業や飲食業をV字回復に導くよう検討しております。

我が党は、今回のコロナ危機を、持続可能な社会の構築に向けた、時代の転換点にしていかなければならないと考えています。コロナ後の経済の再興に当たっては、当面の地域経済の活性化に加え、持続可能な地球環境の実現や、感染症拡大等にも対応する、強靱な社会経済構造の実現を目指し、デジタル化、グリーン化、新しい社会を担う人材への投資を力強く進めていかなければなりません。それらを日本の新たな成長の原動力とし、我が国が抱える諸課題の解決を図りながらも経済成長を果たし、国民生活の豊かさの向上に直結する好循環を実現すべく全力で取り組んでいくべきと考えます。

そうした背景に基づき、まずは、喫緊の課題である当面の地域経済の活性化に向けた、この冬の観光促進策について伺います。

新型コロナウイルスの影響が長引く中、国内の観光産業は約2年に渡って深刻な打撃を受けてきましたが、全国的な第5波の収束に加え、ワクチン接種の高まりや、国による「ワクチン・検査パッケージ」の進展により、ようやく回復のきざしが見えてきたところです。

この全国的な回復基調に合わせて、札幌市においても、その動きに乗り遅れることなく、観光産業の早期の回復に向けた取組を推し進めるべきであり、先ずは、この冬における観光施策にしっかりと取り組むことが重要であると考えています。

市では、先月19日から市内への宿泊促進事業である「サッポロ冬割」を始めとして、翌20日からは、大倉山のリフトや羊ヶ丘展望台、もいわ山ロープウェイなどの市内の主要な観光施設の無料化キャンペーンである「さぁ!まわろうSAPPORO」もスタートしました。

12月に入ってからも、札幌にゆかりのあるタレントである「タカアンドトシ」と「EXIT」による市内観光施設やグルメ等を紹介する動画の公開のほか、タレント2組のパネルを活用したスタンプラリーである「対決!札幌王」も始まり、観光客を呼び込む取組が本格化したところです。

こうした事業が軌道に乗って、今後の札幌観光の盛り上がりに期待するところですが、様々な取組が一体感なく実施されるのではなく、互いを連携させながら効果的に打ち出していくことが重要だと考えます。今後も、中小の雪像等を中心に規模を縮小しての開催が発表された「さっぽろ雪まつり」や、体験型の新たな観光コンテンツである「アカプラスケートリンク」といったイベントも控えており、札幌の冬の魅力を高め、広く発信していくことが期待されます。

そこで質問ですが、観光業の早期回復に向けたこの冬の観光促進策についての市の考え方を伺います。

(2)持続可能な観光の推進について

我が会派では、かねてから持続可能な開発目標「SDGs」に基づくまちづくりが極めて重要と考えており、これまでの代表質問や各委員会においても、その趣旨を繰り返し訴えてきました。

札幌市は、2018年にSDGs未来都市に選定され、2019年には国内5番目のフェアトレードタウンに認定されるなど、持続可能なまちづくりに向けた取組を積極的に進めてきたところです。

SDGsは、あらゆる政策分野において意識すべきものでありますが、とりわけ観光分野は裾野が広く、地域の多くの産業が関わるのはもとより、観光客と住民との調和、自然環境の保全・活用など、その影響が多岐にわたることから、持続可能なまちづくりを進める上で非常に重要なテーマであります。

国連の専門機関である国連世界観光機構においては、「SDGsのすべての目標に対して、観光は直接的または間接的に貢献する力があり、持続可能な開発目標の達成に向けて重要な役割を担っている」と宣言しています。このように、観光業においても持続可能性を意識した取組が必要であることは、いまや世界的なトレンドであると言えます。

札幌市の観光分野における個別計画としては、10年間の方向性をまとめた「観光まちづくりプラン」がありますが、この計画は来年度から改定作業が始まる見込みです。この改定に当たっては、「持続可能な観光の推進」という観点も、重要なテーマの一つにすべきだと考えます。

そこで質問ですが、今後の観光施策の検討に当たり、持続可能な観光の推進についてどのように認識しているのか、市の考えを伺います。

(3)マイナポイントを市民に届ける体制について

経済の立て直しに向けては、新たな成長の源泉となるデジタル化やグリーン化への投資を通じて潜在的な成長力を高め、その成果を賃金等に広く分配し、家計の所得水準を向上させることが重要であります。

政府においては、経済対策の一環として、マイナンバーカードを活用したマイナポイントによる新たな消費喚起策を打ち出しました。これは、我が会派が、今後の経済成長の大きな柱と位置付けるデジタル化の推進に欠かせない、マイナンバーカードの普及・活用促進も併せて目的とするものであり、カードの取得や健康保険証として使うための手続き、預貯金口座との紐付けに応じて、最大2万円分のポイントが付与されるというものです。

札幌市としても、マイナポイントの効果が市内全域に行き渡るようしっかりと準備すべきですが、従前のマイナポイントに比べて付与額が大きいことや、条件がやや複雑になったことから、混乱が生じることも懸念されます。

特に、マイナンバーカードの申請が増えることを想定したカードの交付体制と、マイナポイントの設定が難しい方へのサポート体制について、十分に準備することが肝要と考えます。

そこで質問ですが、市民にマイナポイントを確実かつ円滑に届けるため、マイナンバーカードの交付をはじめ、設定や手続きを支援する体制の整備について、どのように考えているのかを伺います。

答弁

(1)この冬の観光促進策について

〇新型コロナの感染状況の落ち着きに伴い、全国各地において観光需要回復の取組が進められている中、より多くの方に札幌を選んでいただくためには、観光意欲を高めるインセンティブと観光地としての魅力の両面からの充実が必要と考える。

〇具体的には、宿泊促進キャンペーンの「サッポロ冬割」と併せて、主要な観光施設の無料化や夜景周遊バス等の取組を実施するとともに、大規模なプロモーション事業を展開し、インセンティブを高めてまいる。

〇加えて、さっぽろ雪まつりの開催や新たに都心にスケートリンクを設置するほか、夜景とアートを楽しむイベントや市内ホテルを周遊しアトラクションを体験する取組など民間のノウハウを活かした様々な集客促進事業を展開し、冬の札幌の魅力を高めてまいりたい。

(2)持続可能な観光の推進について

〇持続可能な観光については、このたびの国連気候変動枠組条約締約国会議において、その推進に向けた宣言が発表されるなど、世界的な共通課題となっており、年間1,500万人もの観光客が訪れる札幌にとって、持続可能性に配慮していくことは責務であると認識。

〇また、世界の旅行者の多くが持続可能性の高い旅行を希望しているとの調査結果もあり、札幌が世界の旅行者に選ばれる観光地で在り続けるためにも、早期に取り組むべき課題であると考えている。

〇今後は、持続可能な観光の意義や在り方について、観光関連事業者などと認識の共有を図りながら、次期観光まちづくりプランの策定や今後の観光施策の推進に活かしてまいりたい。

(3)マイナポイントを市民に届ける体制について

〇現行のマイナポイント事業においては、消費喚起効果はもとより、札幌市におけるマイナンバーカードの交付率が昨年6月から本年11月にかけて22.1ポイント上昇するなどの効果があったところ。

〇また、新たな事業への期待から、カード取得者が再び上昇傾向にあり、各区役所や8月に開設したカードセンターでの交付と市民ニーズの高い商業施設等での出張申請受付を組み合わせて対応している。

〇引き続き、これらのカード申請受付や交付の体制をしっかりと維持するとともに、ポイント付与に係る各区の支援窓口を拡充するなど、手続きを支援する体制についても早急に検討してまいる。

3デジタル社会の推進について

質問

(1)デジタル・トランスフォーメーションの推進について

①デジタル改革をやり遂げるための組織体制

コロナ禍を契機として明らかとなった我が国のデジタル化の遅れに対し、制度や組織、働き方、生活様式の在り方等についてデジタルを観点に根本から変革するデジタル・トランスフォーメーションの必要性が叫ばれて1年以上が経過しました。

国においては、9月のデジタル庁の発足から3か月が経過し、デジタル庁では、ガバメントクラウドと呼ばれる政府の情報システムに係る共通基盤や、ワクチン接種証明の電子化などが検討されています。

札幌市においては、こうした社会の潮流をいち早く捉え、令和3年度当初から、総務局内にデジタル推進組織を置き、行政窓口におけるデジタル活用やマイナンバーカードの普及、デジタル格差を解消するスマートフォン教室、さらにはデータ利活用を核としたスマートシティの推進に取り組んできました。

我が会派では、そうした市のデジタル改革が中途半端に終わってほしくはないとの思いから、第3回定例会の代表質問において、国のデジタル庁と同様、市においても強力な組織体制を構築しておくべき旨の質問し、検討を進めるという答弁を得ました。

現在、札幌市では、国から示された「自治体デジタル・トランスフォーメーション推進手順書」に基づく基本方針をとりまとめており、間もなく策定されるその方針には当然、今後の組織体制の考え方が示されているものと認識します。

そこで質問ですが、札幌市のデジタル改革を徹底してやり遂げていくためには、どのような組織体制が必要であると考えているのかを伺います。

②デジタル推進組織と現場が一体となってデジタル改革を進める方策

デジタル改革を強力に推し進めていく中で、デジタルには詳しくとも現場の実情が分からないデジタル推進組織と、日々の課題に追われてデジタルを勉強する余力のない現場との間に軋轢が生じ、前向きな取組が滞る場面も想定されます。

そのため、強力な推進組織をつくるだけではなく、その組織と現場とが手を携えて取組を進めることができる、一歩踏み込んだ工夫が必要であると考えます。

そこで質問ですが、デジタル推進組織と現場とが連携してデジタル改革を進めていくための方策について伺います。

(2)デジタル技術を活用した女性の多様な働き方の推進について

これまでも我が会派は、女性の活躍推進への取組の重要性について繰り返し訴えてきており、特に、女性の多様な働き方の支援窓口である「ここシェルジュSAPPORO」には開設当初から大きな期待を寄せてきたところです。

女性の労働参加については、労働力人口の減少が見込まれる中で着実に進んできましたが、2020年はコロナウイルス感染拡大の影響により、女性の非正規雇用が大きく減少し、生産年齢人口に占める労働力率は9年ぶりに低下しています。

また、コロナ禍においては、小中高校の休校、保育園・幼稚園の休園や、在宅に伴う家事負担の増加等によって、多くの女性が仕事と家庭生活の両立に悩んでいたことも浮き彫りとなりました。

女性が仕事と家庭生活を両立するに当たり、感染症対策の一環として導入が進むテレワークは、毎日の通勤から解放され、それぞれのライフスタイルに合わせた柔軟な働き方が可能になる、デジタル技術の効果的な活用例と言えます。

札幌市におけるテレワークの導入率は、2018年度の企業経営動向調査では5.9%に過ぎなかったものの、コロナ禍を経た2020年度調査では23.8%と約4倍になり、そして先月公表された2021年度調査では28.8%と着実に増加しています。

このように企業におけるテレワークの導入が進む一方で、近年は仲介事業者等を通じて注文者から委託を受け、パソコン等の情報通信機器を活用して自宅などで就労する「自営型テレワーク」という働き方も普及し始めています。

フルタイムでの就労が難しい女性であっても、こうした働き方を選択することで、仕事量を調整しながら自宅で働くことが可能となる一方、自由度が高い反面、契約や報酬の支払いに関するトラブルのほか、収入が安定しないといった課題も見受けられます。

デジタル技術の活用がもたらした新たな働き方は、まだ十分に社会に定着しているとは言えませんが、働く意欲のある女性にとっては、多様な選択をもたらす、大きな可能性であるとも考えます。

そこで質問ですが、テレワーク等のデジタル技術を活用した女性の多様な働き方の推進について、札幌市の考えを伺います。

答弁

(1)デジタル・トランスフォーメーションの推進について

〇1点目のデジタル改革をやり遂げるための組織体制について

札幌市のデジタル改革は、人口減少社会において、行政のデジタル改革と地域のデジタル改革を両輪に、飛躍的な業務変革や新たなサービス創出を促し、市民生活の質の向上を目指すものとしている。

〇この両輪を回すためには、デジタルに関する全庁の施策に専門的見地から助言や提案ができ、かつ、官民連携のもと街全体のデジタル改革をけん引していく、より強力な組織体制が必要と考えている。

〇このため、令和4年度から、デジタル戦略を推進する独立した局を設け、デジタル改革の重要性を内外に示しながら、中長期的なビジョンをもって計画的に遂行していく工程を方針に掲げたところ。

〇2点目のデジタル推進組織と現場が一体となってデジタル改革を進める方策について

行政のデジタル化に当たっては、これまでも、現場からの相談を受ける体制やシステム構築に係る投資の適正化を図る会議体を設けて取り組んできたところ。

〇今後は、これらに加えて、外部専門人材の力も活用し、デジタル推進組織から現場に対してプッシュ型による能動的な支援を実施することで、デジタル改革をより円滑に進めていきたいと考えている。

(2)デジタル技術を活用した女性の多様な働き方の推進について

〇テレワーク等のデジタル技術を活用した多様な働き方は、感染症対策にとどまらず、女性の柔軟な働き方を後押しするものと認識。

〇近年増加している自営型テレワークについては、セミナーなどを通じ、仕事の進め方のみならず、契約に当たっての注意点などの周知にも取り組んでいるところ。

〇今後も、誰もが働ける社会の実現に向け、テレワーク等のデジタル技術を活用した多様な働き方を推進してまいりたい。

4安全安心なまちへの取組について

質問

(1)庁用自動車の安全対策について

札幌市における庁用自動車は、令和3年4月現在、除雪車や消防車も含めて市の所有に属する公用車が941台、リース車・レンタル車が767台、合計で1,708台あります。それぞれがその用途に合わせて役割を果たしているところですが、本市の庁用自動車の年間の事故件数は、そのほとんどが物損事故であり、令和2年度では68件とのことです。

そこで近年、あおり運転対策や、事故後の客観的証拠として注目されるドライブレコーダーですが、去る10月に道警が発表した「警察活動等に関する道民の意識調査結果」によると、ドライブレコーダーを設置している方は約44%にも達し、未設置の方の約4割が設置を検討しているとの結果でありました。

警察関係者が事故の検証時に真っ先に確認するのが、ドライブレコーダーの装備の有無であり、事故の抑制という面からも普及を促していきたいという声も聞いております。

さらにドライブレコーダーの画像は、事故の客観的な証拠となることはもとより、バス会社やタクシー会社では事故に至らなかったヒヤリハット事例の記録を集積し、研修等で教材として活用もされてもおります。また、庁用自動車の運転中に万が一事故が起きた場合にも、事故原因を明確にすることができ、再発防止にも貢献できるものと考えます。

他都市においては、ドライブレコーダーを装備するための予算を付ける取組も出てきており、その有用性は多く自治体にも認められている状況です。

そこで質問ですが、札幌市として庁用自動車へドライブレコーダーを装備する意義をどのように認識をしているのか、また今後の取組についても伺います。

(2)地下鉄の安全対策について

去る10月31日、京王電鉄京王線の走行中の車内で、刃物を持った男が乗客を刺し、可燃性液体にも火を付けるという痛ましい事件が発生しました。

さらに、1週間後の11月8日には、JR九州の新幹線においても車内放火事件が発生し、犯人は「京王線の事件を真似しようと思った」と証言する報道がありました。

これらの事件に先立って、8月にも小田急電鉄小田原線の列車内において、刃物を持った男が乗客を切りつける傷害事件が発生しています。

このように、最近鉄道の車内における凶悪事件が頻発しており、地下鉄を利用する市民からも、同様の凶悪事件が地下鉄内で起こる事に対する不安の声が多く聞こえております。

そうした中、札幌市営地下鉄においても、残念ながら、今年の9月に駅構内で女性のスカートを切り裂くという犯罪が複数回発生したとの報道もあります。

京王線の事件では、乗客が係員と会話ができる非常通報ボタンを複数個所で押したものの、いずれも通話できる余裕がなく、車内の状況を伝えられないまま避難した事から、運行者側が十分な状況把握をできなかったという事でした。また緊急停車しようとした際、列車の停止位置がずれ、車両のドアと駅のホーム柵の扉が開けなくなり、乗客が窓から外に出て、ホーム柵を乗り越えて避難する様子がテレビ等で放送されました。

同じく駅にホーム柵を設置している市営地下鉄においても、非常時に同じ事が起きるのではないかと心配する市民も多いと思います。札幌市でも類似の事件が起きる可能性は十分にあることから、今後も市民が安心して地下鉄を使うために、様々な検討や対策の実施が必要と考えます。

そこで質問ですが、京王線の事件を受けて、札幌市では地下鉄の安全対策について、どのような課題認識のもと、どのような対策を進めているのか伺います。

答弁

(1)庁用自動車の安全対策について

〇近年、いわゆるあおり運転等の危険な運転が報道等で取り上げられ、こうした問題への対応策として、ドライブレコーダーの普及が進んできており、札幌市においても既に一部の車両において装備しているところ。

〇ドライブレコーダーは、事故及び運転上のトラブルが発生した場合の正確な状況把握、責任の明確化、原因の究明に役立つものと認識しており、今後も、市職員が運転する庁用自動車への装備を順次進めてまいりたい。

〇また、民間事業者へ貸与する除雪車への装備についても、検討してまいりたい。

(2)地下鉄の安全対策について

〇京王線の事件を受け、お客様の安全確保のためには、事件発生時の適切、迅速な対応と同種事案の未然防止が課題と認識。

〇札幌市の地下鉄は、駅間の所要時間が概ね1分から2分と短いことから、非常時には次駅まで進行の上、対応することを徹底したほか、車内非常通報ボタン等の使用法の広報や、駅や車内の警備強化など、取り得る対策を速やかに実施した。

〇また、ホーム柵と車両のドア位置がずれたときにも、確実にドアを開けることとし、迅速かつ安全に避難していただける手法等を整理しているところ。

〇今後とも、市民の皆様に安心してご利用いただけるよう、警察など関係機関とも連携を図りながら、訓練を始め様々な取組を進めてまいりたい。

5中央区の諸課題について

質問

「円山バスターミナルの老朽化対策について」伺います。

円山バスターミナルは、地下鉄円山公園駅に直結する2階建ての建物であり、昭和51年の開業から45年が経過しています。

ターミナルとしては、1日の発着バスが約400便、利用者数は約4,600人あり、主に円山から宮の沢地区までをカバーする交通拠点として重要な役割を担っています。加えて、盤渓小学校や旭丘高校の通学利用のほか、円山動物園、大倉山ジャンプ台、旭山記念公園、ばんけいスキー場等の観光・レジャー利用、さらには新千歳空港の連絡バスも発着しており、市民だけでなく道内外の観光客にとっても利用価値の高い施設となっています。

また、円山バスターミナル周辺は、円山公園や複合商業施設もある地域の賑わいの中心であり、周辺住民による緑化や環境美化の活動も活発であります。

一方で、円山バスターミナルを見ると、地下鉄との乗り換えのエスカレーターとエレベーターは整備されているものの、2階にあるトイレや病院に行くには階段しかなく、エレベーターや多目的トイレといったバリアフリー設備も不十分であり、高齢者や車いす利用者にとっての不便さが目立ちます。

また、建物の外観や乗り場の庇部分は経年劣化が進み、景観としても残念であるばかりか、老朽化による事故の可能性も心配されるところです。

そこで質問ですが、円山バスターミナルの老朽化対策についての基本認識を伺います。

一方、円山バスターミナルの老朽化対策については、札幌市が民間事業者から再整備活用策のアイデアを募る「サウンディング型市場調査」を行い、建替えや改修を視野に入れた検討を進めております。

この調査では、開発実績を持つ企業や団体を対象に、オフィスやマンションを含む複合施設としての建替えの可能性についての提案を受けるとされており、地域住民からも、バスターミナルのリニューアルに対する期待する声が寄せられております。

さらに、2030年のオリンピック・パラリンピック招致を踏まえると、世界各国の方々が円山から大倉山ジャンプ競技場へ向かうことが想定され、今後、輸送拠点としての重要性がより高まるものと考えます。

こうした状況から、円山バスターミナルは、年齢や障がいの有無、言語等の違いにかかわらず、全ての人が快適に利用できるユニバーサルな施設として、また、将来にわたり持続可能な地域の交通拠点として再整備されることが望まれています。

そこで質問ですが、円山バスターミナルの再整備について、現在の検討状況を伺います。

答弁

「円山バスターミナルの老朽化対策について」

〇1点目の円山バスターミナルの老朽化対策の基本認識については、地下鉄とバスの乗継用のエレベーターが設置済みであり、建物の耐震性能が確保されていることから、緊急的な対策は必要ないものの、設備や外構の老朽化が徐々に進行している状態。

〇また、トイレがバリアフリーに未対応であることから、老朽化対策と合わせて一体的に検討を進める必要があると認識。

〇2点目の現在の検討状況については、バスターミナル上層階へのオフィスやマンションなどの民間施設の合築による建替えの可能性について、令和元年と2年に複数の企業への聞き取り調査を実施した。

〇主な意見として、地下鉄施設への影響により、解体や建設費用の増大や工事期間の長期化などの課題が多くあるため、事業の採算性が低くなることから、実現が困難であるとの見解を得た。

〇このため、バスターミナルの老朽化やバリアフリー化にどのように対応していくか、引き続き検討を進める。

6コロナ禍における命を大切にする教育について

質問

新型コロナウイルス感染症については、第5波が一旦の収束を見せ、これまで延期を余儀なくされてきた修学旅行や運動会などの学校行事も実施できたと聞いております。そうした感染状況が落ち着いている今だからこそ、第6波の到来を見据え、学校教育においても対策の長期化を想定した準備を進める必要があると考えます。

コロナ禍が長期化したことにより、各学校では感染症対策に万全を期すために、従前の教育活動の見直しを余儀なくされることが少なからずあったところですが、今まで慣例として行ってきたことを、取組のねらいや意義といった観点において抜本から見直す機会にもなるなど、学校教育の在り方も大きく変容しています。

文科省においても、2010年に作成された小中高校の生徒指導の考え方をまとめた「生徒指導提要」について、約10年ぶりに内容を見直すこととなっており、その改訂には特に注視しているところです。こうした国の動きと併せて、コロナ禍の経験を踏まえて、これまで我が会派が主張してきた人権教育を基本に、子ども一人一人の多様性を尊重した学校教育や学校生活の充実に向けて、本市においても今後議論していく必要があると考えています。

これまで教育委員会では、各学校がコロナ禍においても子どもの学習をしっかりと保障していくことはもとより、心と体もケアしていけるように、様々な取組や支援を行ってきたことは承知しており、一定の評価をしております。

しかしながら、直接、人とのつながりを実感できる大切な時間が失われ、子どもが悩みや不安を相談できる相手や機会が少なくなるなど、人間関係が希薄になったのではないかと大変危惧しているところです。

昨年度の国の問題行動・不登校調査では、小中高生の不登校者数や自殺者数が過去最多となり、この結果は、コロナ禍における人間関係の希薄さが背景にあると推察しており、今後、コロナ禍が長期化する中にあっても、子どもたちが人との確かなつながりを実感していくことが、命を大切にすることへとつながると考えます。

また、コロナ禍がもたらした社会の変化を振り返ると、感染症により多くの方々が命を落としたことや、医療の逼迫による不安の拡大といった身をもった経験から、社会全体が命の大切さについて改めて見つめ直すことができる、今こそがその機会であるとも考えるところです。

そこで質問ですが、コロナ禍における命を大切にする教育について、どのように取り組んでいくのかを伺います。

答弁

〇命を大切にする教育を進めていくためには、子どもたちが人との関わりの中で、自分を大切に思う自尊感情や他者を思いやる心を醸成していく経験が、極めて重要であると認識。

〇こうした考えに基づき、各学校では、感染症対策による様々な制約が続く中にあっても、授業や学校行事を工夫して行うなど、子どもが人と関わる機会を、できる限り確保することに努めてきたところ。

〇今後は、どのような状況下にあっても、子どもが自分のよさや仲間と共に学ぶ喜びを実感できるよう、オンラインと対面での授業等を適切に組み合わせながら、人とのつながりを深めていくことが大切。

〇教育委員会としては、各学校の取組を支援するとともに、子ども一人一人が命の大切さを実感できるよう、全ての教育活動において、人間尊重の教育を基盤とした取組を推進してまいる。