議会報告Assembry report
令和8年第2回定例議会2026/05/29
代表質問わたなべ泰行議員(南区)
札幌市議会本会議において公明党議員会を代表して わたなべ泰行 議員が代表質問を行いました。
以下、質問とそれに対する答弁の要旨を紹介します。
目次Contents
- 市長の政治姿勢について
- 中東情勢の緊迫化による経済活動への影響について
- 平和への願いの継承について
- 誰もが自分らしく安心して暮らせる共生のまちづくりに向けた取組について
- 持続可能な財政運営の観点で守るべき水準の考え方について
- GX/AI金融・資産運用特区の取組に係る市民理解の促進について
- 市立札幌病院の経営改善に向けた取組の進め方について
- 札幌市雪対策審議会などでの検討を踏まえた今冬の雪対策について
- 活力あるまちづくりについて
- 札幌市とDMOによる観光地経営について
- 国の次期スポーツ基本計画を見据えたにぎわいの創出について
- 民間主導によるアリーナの評価と官民連携の取組について
- 真駒内駅前地区における事業化に向けた民間活力の活用について
- 誰もが安心して移動できる交通環境づくりについて
- 様々な輸送手段を有する団体等との連携について
- 自転車利用者に対する世代に応じた交通ルールの周知について
- 希望ある心豊かな社会の構築について
- 若者のまちづくりへの参加の取組について
- あらゆる方々が参加できる文化芸術活動について
- 共生社会の実現に向けた教育について
①自分と他者を大切にする子どもの育成
②帰国・外国人児童生徒等に対する日本語指導の充実
1市長の政治姿勢について
質問
(1)中東情勢の緊迫化による経済活動への影響について
本年2月末以降、中東情勢の緊迫化に伴う原油価格や物流コストの上昇など、市内経済への影響が懸念されています。
政府の認識は現場の実態と大きな乖離があり、中道改革連合・立憲民主・公明の3党が実施した実態調査では、燃料価格の高騰に加え、幅広い業種で物流の混乱によるサプライチェーンの停滞が懸念されており、物資調達にも支障が生じております。
例えば、運送業界では、エンジンオイルや結束バンドなどの資材不足が車両整備や物流業務に影響し、シンナー不足は板金塗装にも波及しています。
また、タクシー業界ではLPG価格の上昇に加え、ガソリン車であるジャンボタクシーへの負担も大きく、観光閑散期と重なって経営は厳しさを増しています。
さらに、ホテル業界では重油価格の高騰と供給不安から、ジャグジーの使用停止や温泉施設の休業も懸念されています。その他、リネン・クリーニング業界、食品製造業においても、重油や石油系溶剤の不足が事業継続に深刻な影響を及ぼしています。
このように現場からは事業継続に向けた直接的な補助や資金繰り支援を求める切実な声が上がっているほか、資金確保ができたとしても必要な資材や部品が入手できないといった事態も生じており、市内経済全体への連鎖的な影響が懸念されます。
こうした中、中道改革連合・立憲民主・公明の3党は4月28日、政府に対し「命」と「暮らし」を守るための緊急提言を提出するとともに、5月20日には、緊急経済対策として政策提案をしたところです。
具体的には、電気・ガス料金引き下げの再開といった家計支援はもとより、事業者に対するセーフティネット保証の拡充や、雇用調整助成金の要件緩和と助成率の引き上げ、さらには重要物資の安定供給や価格転嫁の適正化など、事業継続を支える総合的な支援策を求めています。
(2)平和への願いの継承について
平和ほど、尊きものはなく、平和ほど、幸福なものはありません。そして、平和こそ、人類の進むべき、根本の第一歩であらねばなりません。
しかしながら、今日の国際社会は極めて深刻な混迷の中にあります。長期化するウクライナ侵攻に加え、中東地域を巡る情勢は、私たちの日常生活に暗い影を落としています。
札幌市においては、「平和にまさる市民福祉はない」との考えのもと、人類がひとしく平和のうちに暮らせる世界の実現を願い、平成4年3月に平和都市宣言を行っております。
こうした不安定な時だからこそ、平和都市を宣言する札幌市が、日本国憲法の平和主義や非核三原則の理念をもとに、平和の尊さを国内外へ発信していく意義は大きいと考えます。
戦後80年という節目を捉え、昨年、我が会派では、代表質問において、世代を超えた平和の思いの継承などを訴えました。それに対し、札幌市では、8月の「平和のつどい」、「平和へのメッセージ」募集や「平和訪問団」の派遣といった既存の取組に加え、高校生が制作した被爆に関するジオラマや戦争に関する絵本を地下歩行空間に展示するなど、次世代への継承と普及啓発に取り組まれたことを評価しているところです。
また、札幌市には、長きにわたる国際交流の歴史や友好都市との絆があり、多くの民間企業や団体が、たゆまぬ草の根の交流を続けています。こうした多様な人的ネットワークなども生かしながら、平和を願う機運をさらに高め、平和都市としての思いをつなぎ、継承し続けていくべきと考えます。
(3)誰もが自分らしく安心して暮らせる共生のまちづくりに向けた取組に
ついて
本市が「共生のまちづくり」の指針として掲げた「札幌市誰もがつながり合う共生のまちづくり条例」、いわゆる「つながるさっぽろ条例」は、施行から1年という重要な節目を迎えました。
現在、我が国全体を見渡すと、少数意見が封じられてしまうような言論の硬直化があってはならない一方で、排外主義的な思想や不当な差別的言動が社会の分断を招く懸念もあり、改めて共生社会を追求するたゆまぬ歩みが求められています。
昨年9月と本年3月に地下歩行空間で開催されたアイヌ民族に関連したパネル展においては様々な議論が見られましたが、特定の価値観に偏らず、誰もが委縮することなく自分らしく生きられる札幌を守り抜くことは、本市の極めて重要な課題と言えます。
多様な価値観が交錯する現代において、対話を通じて互いの違いを認め合える寛容な土壌を育む、冷静かつ包容力のある姿勢が求められているのではないでしょうか。
条例の理念を具体化するため、本年3月に「札幌市誰もがつながり合う共生のまちづくり委員会」が始動したことは、本市の姿勢を示す大きな一歩です。
この委員会は、障がいや多文化共生、子どもや高齢者など、11の専門分野における有識者と市民からの公募委員で構成されており、共生社会の実現に向けた施策等について、調査審議し、意見を述べる場であると伺っております。
しかし、この委員会が単に事務局からの報告を受け、それを承認するだけの形式の場となってしまっては、委員の皆様が持つ多才な知見や現場感覚を十二分に生かすことはできません。
委員会を真に実効性のあるものにするためには、委員同士が互いの専門性や価値観を深く理解することで、各専門分野での議論や対策のプロセスを汎用化し、別の専門分野における課題解決の方策として、応用するなどの取組が重要と考えるところです。
また、共生社会への取組を未来に根付かせていくためには、次の世代を担う若者の存在が欠かせません。若者が共生を自らの課題として捉え、主体的に社会へ参画し、多様な人々と共に行動できる実践の場を創出していくべきではないでしょうか。
(4)持続可能な財政運営の観点で守るべき水準の考え方について
札幌市においては、今後の10年間の財政推計において極めて厳しい財政状況であることが示され、今まさに、持続可能な財政運営に向けた様々な見直しを進めていると承知しております。
我が会派では、令和8年第1回定例市議会の代表質問で予算編成に当たっての姿勢を質した際、「身の丈にあった財政運営をしつつ、市民生活を最優先にした『やさしい予算』が重要である」と訴えさせていただきました。
これからの時代、札幌市が真に市民に寄り添う「やさしい行政」を継続していくためには、まず土台となる財政が健全でなければなりません。そのためには、事業の聖域なき見直しが避けられない現実がありますが、単なる一律の予算削減や、場当たり的な見直しであっては、市民生活に無用な混乱や不安を招きかねません。
だからこそ、見直しを進めるに当たっては、札幌市の「身の丈」を客観的な指標として明確にすることが極めて重要です。それはすなわち、札幌市が将来にわたって財政破綻をきたさないための守るべき水準を市民に示し、共有することにほかなりません。
(5)GX/AI金融・資産運用特区の取組に係る市民理解の促進について
ロシアのウクライナ侵攻、アメリカのハリケーンによる生産設備被害、中東情勢のさらなる緊迫化を背景に、エネルギー危機が長期化しております。
令和2年4月の国内の1リットル当たりのレギュラーガソリン全国平均価格は120円台後半から130円台前半だったものが、本年4月には政府の「燃料油価格激変緩和対策事業」が講じられているにもかかわらず、160円台後半の高値に達しております。
脱炭素社会の実現やエネルギー安全保障の観点から、我が国はGXを推進し、再生可能エネルギーを拡大することで、輸入に頼る化石燃料への依存から脱却し、安定的なエネルギー供給を実現することが極めて重要であります。
札幌市がGXに注力しておよそ3年が経ちますが、このような状況の中で、北海道の再生可能エネルギーのポテンシャルを生かし、化石燃料中心の経済・社会、産業構造をクリーンエネルギー中心に移行して、排出削減と経済成長、そしてエネルギーの安定供給の実現を目指すGXの推進と、それを支える札幌市域での金融機能の強化・集積の必要性を、改めて認識したところです。
一方で、北海道新聞社が本年4月に行った札幌市民意識調査では、「札幌市政で最も力を入れるべき政策」について、「GXの金融・資産運用特区を活用した経済対策」と回答した方は7%に留まっており、いまだ市民の理解は十分ではないと言わざるを得ません。
GX及び金融に関する取組が、非常に専門性の高い分野であり、市民の理解を得ることが容易でないことは理解するものの、基礎自治体として市民の理解を促進するための工夫や取組を実施することは必須であると考えます。
(6)市立札幌病院の経営改善に向けた取組の進め方について
市立札幌病院は、地域医療を支える中核的な病院でありますが、建築から30年以上が経過し、老朽化が進んでおり、今後も機能を維持するためには、再整備が避けられない状況にあります。
しかしながら、現在、世界的な物価高や人件費の上昇によって、再整備にかかる費用も大幅に増加することが見込まれるところです。
こうした中で再整備を進め、これからも地域医療を守り続けていくためには、まずは厳しい経営状況を改善し、持続可能な経営基盤を構築することが必要であると、我が会派では以前から指摘してきたところです。
令和8年3月に策定された「市立札幌病院中期経営計画2025」においては、救急車等搬送件数や手術件数などの増加や、委託費・材料費といった経費の抑制など収支の改善に関する取組が掲げられているほか、医療DXへの対応やデジタル技術の活用による業務効率化、さらには医療資源の最適化の観点での「病床機能・病床数の最適化の検討」など、多岐にわたる取組を行うこととされています。
これらは持続可能な病院経営に不可欠であることから、今後は、これらの取組をどのように着実に進めていくかが重要になってきます。
中でも、今後の医療の需要と供給のバランスや患者のニーズを見極めつつ、必要に応じて病床数の削減による最適化を進めることは、全国的にも検討が進められており、効率よく運営できる体制に再構築する上で重要な取組の一つだと考えています。
国も令和7年度補正予算等において、病床数適正化に関する緊急支援事業の予算措置を行い、各医療機関が効率的な医療提供体制を整備することを後押ししており、こうした制度も積極的に活用することが効果的と考えます。
(7)札幌市雪対策審議会などでの検討を踏まえた今冬の雪対策について
札幌市では、現在、「札幌市雪対策審議会」等を設置し、持続可能な雪対策の在り方について多角的な検討を進めています。気候変動による大雪や急な暖気に伴うザクザク路面の頻発のほか、長期的には少子化による従事者の不足など、雪対策を取り巻く環境は厳しさを増しており、中長期的な視点での抜本的な見直しが必要となっています。
しかし、新たな除排雪体制へ移行するためには、市民の理解はもとより、現場を最前線で支えている「除排雪事業者」の皆様の理解と協力が不可欠で、事業者の皆様から寄せられる切実な要望や声を、しっかりと議論の過程に反映させることが重要であります。
一方、中長期的な制度設計の検討が進む中、市民や事業者が直面するのは目の前に迫る「今冬の雪対策」です。
審議会等でのこれまでの議論や、昨冬の緊急排雪から得られた教訓を、来たるべき今冬の対策にどう生かしていくのか、多くの方が高い関心を持っているところです。
昨冬は記録的な大雪により生活道路の緊急排雪を実施しましたが、事前の日程が示されず、多くの市民に混乱を招きました。また、この大雪により、清田区や厚別区等で予定されていた生活道路除排雪の新たな手法に関する試験施工も、やむを得ず中止となりました。
将来に向けて持続可能な制度を構築するためには、こうした新たな手法への取組を改めて実施し、実践を通じて課題を洗い出していくことが必要と考えます。
答弁
(1)中東情勢の緊迫化による経済活動への影響について
〇燃料価格の高止まりによる運輸をはじめとする事業者の経営への圧迫に加え、流通の目詰まりに伴う資材・部品の納入遅延など、札幌市の地域経済に多大な影響を及ぼす恐れがあるものと認識。
〇まずは、現在進めている物価高への対策を迅速かつ着実に実施するとともに、状況が刻一刻と変化する中にあっても、北海道などの関係機関と緊密に連携し、市内事業者を取り巻く実態を把握していく。
〇事態の長期化が懸念されるため、あらゆる機会を捉えて、国に対して地域の実情を訴えるなど、事業者の活動に支障が生じないよう、全庁を挙げて取り組んでまいりたい。
(2)平和への願いの継承について
〇国際情勢が不透明さを増す中、平和都市宣言を掲げる札幌市において、平和の尊さを次世代へ繋ぎ、伝えていくことは、かつてなく重要であると認識。
〇これまで札幌市は、小・中学校などへの被爆体験の語り部派遣や、児童生徒による平和訪問団派遣、戦争体験インタビュー映像の保存、公開などにより、記憶の継承に努めてきたところ。
〇今後も、若者の関心を高める企画や、高校生による朗読劇など若者の主体的活動への支援、次世代への継承を応援する企業との連携などを通じ、平和の尊さを共有し繋げていく取組を着実に進めてまいる。
(3)誰もが自分らしく安心して暮らせる共生のまちづくりに向けた取組について
〇差別や偏見がなく、誰もが互いにその個性を尊重され能力を発揮できる社会の構築は、札幌市の持続的な発展に不可欠なものであり、つながるさっぽろ条例の施行1年を経て、その理念を具体的な行動へと移す実践段階に向かいつつあると認識。
〇今後、「共生のまちづくり委員会」において、委員が互いの専門的背景を相互に理解する場を設けることで、掘り起こされた現場の取組や生きた知見を他分野へ応用・展開させるなどし、条例ひいては関連施策の実効性を高めていく。
〇併せて、若者は他者との違いを受け入れる柔軟さを持つ傾向があり、共生のまちづくりの原動力であることから、教育機関などとの連携により多様な価値観に触れながら、次を担う世代が自ら考え、共生社会の実現に向けて実践できるよう取り組んでまいる。
(4)持続可能な財政運営の観点で守るべき水準の考え方について
〇持続可能な財政運営を行うためには、災害などの突発的な財政需要に対応する余力を一定程度確保するとともに、札幌市として、引き続き自立した市政運営を行っていくための財政の健全性を維持していくことが重要と考えている。
〇このような考え方を踏まえ、当面の目標として、
①まず、突発的な財政需要への対応の観点からは、財源不足の補填のための基金、いわゆる財政3基金の残高を100億円以上維持することが必要と認識。
②また、自立した市政運営の観点からは、財政の健全性を判断する指標の一つである実質公債費比率について、市債の発行に総務大臣の許可が必要となる18%という基準よりも、低い水準を維持することが必要と考えている。
〇これら2点が、現時点での最低限「守るべき水準」と考えており、この水準を守るためには、民間外部資金の活用はもとより、事業見直しにも果敢に取り組む必要があるものと認識。
(5)GX/AI金融・資産運用特区の取組に係る市民理解の促進について
〇GX/AI金融・資産運用特区の取組については、将来を見据えて重点的に進めるものであり、市民の皆様にその意義を十分にご理解いただくためには、戦略的な広報が重要と認識。
〇まずは、市民の中でも将来的に道内のGX産業に携わる可能性が高い若年層に焦点をあて、大学等と連携したセミナーや講座の開催に注力する考え。
〇加えて、幅広く市内企業や市民の理解を得るため、チーム札幌北海道の構成機関と連携した機運醸成イベントの開催などの取組も展開していく所存。
〇GX関連を中心とする国内外からの良質な投資の呼び込みにより、新たな産業や雇用の創出に結びつける、GX/AI金融・資産運用特区の取組の意義をご理解いただけるよう取り組んでまいりたい。
(6)市立札幌病院の経営改善に向けた取組の進め方について
〇中期経営計画で定めた令和11年度の経常収支黒字化に向け、昨年度、院内に経営改善本部会議を立ち上げ、外部コンサルタントの支援も得ながら、職員一丸となって取組を着実に進めているところ。
〇具体的には、救急受入体制の強化や地域医療連携による紹介患者の受入強化等を通じて病床稼働率を着実に向上させるとともに、各種委託業務の仕様の簡素化等を図り、費用を抑制することなどを想定。
〇また、病床数の最適化による業務効率化については、近年の患者数や病床稼働率、将来的な地域医療のニーズを踏まえ、さらには国の支援措置の活用可能性も考慮しながら、当面は、患者の受入に影響を及ぼさない範囲で具体的な検討を進めてまいる。
(7)札幌市雪対策審議会などでの検討を踏まえた今冬の雪対策について
〇審議会の議論では、持続可能な除排雪体制の構築に向けて、市民や事業者の理解や協力が重要であること、また、多様な道路条件下で作業手法の検証を行う必要があるとの意見をいただいたところ。
〇これを受け、今冬の試験施工は、降雪量や地形などの地域特性のほか、昨冬の状況も踏まえ、事業者の体制も考慮しつつ、実施する地域や路線の選定を進めている。
〇今後は、昨冬の緊急排雪の結果を検証のうえ、事業者の意見も踏まえた効率的な作業手法などを検討し、市民の納得感が得られる生活道路の新たな除排雪手法を構築していく考え。
2活力あるまちづくりについて
質問
(1)札幌市とDMOによる観光地経営について
我が国の観光を取り巻く環境は、令和7年の訪日外国人が過去最高となる4,200万人を突破するなど、急速な需要の高まりを見せる一方で、特定の地域や時期への集中によるオーバーツーリズムが、地域住民の生活環境や自然環境に影響を及ぼす事態も生じるなど、観光の持続可能性が問われる大きな転換期を迎えています。
こうした中、国においては、先般、「第5次観光立国推進基本計画」が閣議決定され、観光を、日本経済を牽引する戦略産業と位置付ける一方で、これまでの単なる来訪者数の拡大から「質」の向上、そして「インバウンドと住民生活の質の両立」を打ち出しております。
これは、観光客の増加が招く国民生活への影響や、地域事業者が抱える不安に正面から向き合い、その解消を観光施策の前提に据えるとともに、観光客を受け入れる地域が観光によってどのような恩恵を得ているのか、そのメリットを明確にし、地域に確実に還元していくことが持続可能な観光地づくりには不可欠であると位置づけたものであります。
本市においても、観光は地域経済を支える重要産業であり、本年4月から本格稼働したDMOには、戦略的な観光地経営の司令塔として、地域を牽引する役割が期待されています。
現在、札幌観光協会において策定が進められている「観光地経営戦略」は、まさにこの国の政策転換に対応するものであり、単に誘客手法の検討にとどめることなく、データの活用によって地域の「稼ぐ力」を最大化させ、その成果が市民生活の豊かさや、札幌の誇りを高めることにつながる具体的な戦略となることが求められます。行政や事業者だけでなく、市民も含めた「オール札幌」で観光の持続的な発展を進めていくことが、これまで以上に重要です。
こうしてDMOが本格稼働し、新たな戦略の策定が進む今、市民が恩恵を実感できる持続可能な観光都市の実現に向けては、札幌市とDMOの連携が不可欠であると考えます。
(2)国の次期スポーツ基本計画を見据えたにぎわいの創出について
現在、国においては、地域・経済の活性化に向け、スポーツを地方創生やまちづくりの推進力、さらには都市の経済成長に寄与する力としてシフトチェンジする動きが加速しています。
令和7年度の「スポーツ基本法」の改正や、スポーツ施策の基本的な指針となる「第3期スポーツ基本計画」の中間評価においても、スポーツによる地域振興や、スポーツツーリズムの推進が打ち出されているところです。
こうした流れを受けて、現在、令和9年度から始まる次期「第4期スポーツ基本計画」の策定に向けた議論が本格化しており、楽しさや健康づくりといったスポーツ本来の豊かな価値にとどまらず、地域経済に好循環をもたらす力として活用していく視点が重視されています。
人口減少や厳しい財政状況が続くこれからの時代においては、スポーツが持つ集客力や魅力を、観光分野との相乗効果を図るなどして、まちのにぎわい創出へとつなげていく視点が求められていると考えます。
札幌は、豊富な雪と都市機能が調和する恵まれた環境に加え、6つのスキー場や大倉山ジャンプ競技場など、他に類を見ないスポーツ資源を有しております。
また、冬季オリンピック開催都市として、様々な国際大会を成功させてきた実績も併せ持つ、世界屈指のウインタースポーツ都市であり、このポテンシャルを最大限に生かすことで、地域経済に大きな波及効果をもたらすことが期待できます。
(3)民間主導によるアリーナの評価と官民連携の取組について
近年、全国的に民間主導のアリーナ整備が進んでおり、令和6年10月に開業した長崎スタジアムシティは、競技施設単体ではなく、オフィスやホテルを融合させ、「日常的な集いの場」として定着しております。我が会派では、現地を視察してまいりましたが、施設のハード面の素晴らしさはもとより、官民が連携して、スポーツ観戦後のまちなか回遊を促すシャトルバスの運行や、アリーナを活用した子ども向けスポーツ体験教室の場を創出するなど、ソフト施策の充実が図られ、施設の持つ価値を最大限に引き出している点が極めて印象的でありました。
こういった民間ノウハウと行政のバックアップがうまく連動し、初年度に485万人の来場実績を上げ、以降、好調な推移を見せていることは大変注目に値すると考えます。
本市においても、民間主導によるアリーナ整備の構想が報道されておりますが、この構想が実現した場合、長崎市の事例のように官民連携でソフト施策の充実を図ることは、本市のスポーツ振興のみならず、街の魅力を一層高める絶好の機会と考えます。
(4)真駒内駅前地区における事業化に向けた民間活力の活用について
現在、進められている真駒内駅前地区のまちづくりは、本市で最も高齢化が進行し、人口減少という大きな課題に直面する南区において、地域の活力を維持・再生させるための鍵を握る極めて重要なプロジェクトであり、ひいては札幌市全体の人口減少対策にも資する取組です。
また、札幌のまちづくりは、既に「まち」が形成されている地域での開発が多く、行政として、既にその地域で生活されている市民や企業の声に耳を傾けながら進めていく必要があり、官民連携によるまちづくりの推進が不可欠であると考えます。
このような状況も踏まえ、我が会派では、この真駒内駅前地区のまちづくりの内、特に、駅直近に位置するA街区の開発をより実りあるものとするべく、これまで政務調査活動として、観光・交通事業者など地元の方々との対話を重ねてまいりました。
その調査報告の中では、真駒内駅前を、南区の豊かな観光資源の玄関口としての役割、いわゆる「観光ハブ」として機能強化することで、観光客の南区内への回遊を促し、新たな人の流れを南区全体へと波及させていくことや、地元の意欲ある事業者がA街区の開発事業者と連携して取り組むまちづくりなど、民間の自由な発想を最大限に生かす視点を盛り込んだところです。
このような観点を踏まえ、現在、本市が真駒内駅前地区まちづくり計画に基づき、A街区において導入を目指している具体的な機能に目を向けますと、民間施設内へのバス待合スペースや、天候に左右されずに移動できる街区間連絡動線の整備といった、公共的機能の整備についても求めていくことを検討されており、これらを着実に具体化するためには、民間事業者と丁寧に検証することが不可欠です。
このように、A街区の事業化に向けては様々な検討が必要である中で、本市が今般導入した「事業化検討協力者」については、民間事業者との継続的な対話を行い、民間の創意工夫を公募条件の検討段階から柔軟に取り入れようとするものであり、真駒内地域はもちろん、他の様々な地域でのまちづくりにも応用できる取組として、大変期待しているところです。
この事業化検討協力者ですが、本年2月に募集を開始し、6月中を目途に選定が行われる予定と伺っています。
選定後は、事業化検討協力者との対話を重ね、具体的な検討が進んでいくことと思いますが、地域にとって何がメリットであるかを的確に把握し、実現性の高い事業となるよう、しっかりとした公募条件を設定することが重要と考えます。
答弁
(1)札幌市とDMOによる観光地経営について
〇札幌の観光を持続的に発展させていくためには、戦略的なプロモーションによりインバウンドの誘客を強化するとともに、市民生活の質を確保していくことが重要であると認識。
〇DMOが策定する観光地経営戦略では、データに基づくマーケティングを基本に、観光による地域全体への経済波及効果の最大化や、観光の振興と地域住民の幸福度・豊かさの両立を重点的な取組の方針として位置付ける予定。
〇札幌市としては、DMOと目的意識を共有し、観光事業者とも緊密な連携を図りながら、総観光消費額1兆円の目標達成に向け、国内外の観光客に選ばれる持続可能な観光都市としての発展を目指してまいる。
(2)国の次期スポーツ基本計画を見据えたにぎわいの創出について
〇国の次期計画の議論において、スポーツの持つ力を経済成長へとつなげる視点が重視されていることは、札幌市が目指す「スポーツによる、にぎわいあふれるまち」の実現を加速させる大きな好機であると捉えている。
〇この好機を確実に捉え、札幌の豊富なスポーツ資源を生かし、国際大会の戦略的な誘致に加え、プロスポーツチームとの連携をさらに強化することで、国内外からの誘客と滞在期間の延長を促進し、地域経済への波及効果を拡大していく考え。
〇今後、国の議論を最大限に生かし、スポーツの持つ力を都市のさらなる成長へと着実に結びつけてまいる。
(3)民間主導によるアリーナの評価と官民連携の取組について
〇近年、全国的にスタジアムやアリーナを単一の競技施設に留めず、周辺の商業施設やオフィス等と連携し、まちの活性化を図る動きが広がりつつあり、国の次期スポーツ基本計画においても、推進に向けた議論がされている。
〇こうした中、民間主導によるアリーナ整備の検討は、札幌市のスポーツ振興の発展につながるとともに、都市の魅力をさらに高めるものとして、期待を寄せている。
〇今後、民間事業者との対話を重ねる中で、アリーナが有する機能と、札幌市の施策との相乗効果が図られるよう、行政としての役割や官民連携の在り方について、検討を進めてまいる。
(4)真駒内駅前地区における事業化に向けた民間活力の活用について
〇公募条件の整理に当たっては、民間事業としての実現性を検証するとともに、地域の声を的確に反映することが重要であり、事業化検討協力者には、これを確実なものとするため知見を発揮していただくことを期待。
〇そのため、複数者を協力者として選定し、それぞれの視点から事業計画を検討していただくとともに、観光や交通などの事業者等との対話の場にも参加を求める考え。
〇こうしたプロセスを経て、今年度末を目途に公募条件を適切に設定し、その後速やかに開発事業者の公募手続きを始める予定。
3誰もが安心して移動できる交通環境づくりについて
質問
(1)様々な輸送手段を有する団体等との連携について
昨今、運転手不足に起因した路線バスの廃止や減便が続いており、札幌市の公共交通ネットワーク全体の維持が大きな課題となっています。
公共交通の多くは民間事業者によって運行され、民間事業者による経営が難しい場合には、公的機関が関与するという手法で運営されてきましたが、こうした仕組みももはや限界に来ているのではないでしょうか。
持続可能な都市モビリティ計画、いわゆるSUMP(サンプ)を策定している欧州では、公共交通は「都市の持続可能性」「住民のウェルビーイング」「環境負荷の軽減」「経済の活性化」などにもつながるものとして重視されており、公共サービスとして公的機関と多様な関係者が、それぞれのデータを共有しながら一体的に支えていく形が定着しています。
例えば、フランスなどでは、地域の様々な団体が参加し、過疎化の進む地域で交通ネットワークを確保する取組が進んでいるほか、病院送迎など様々な移動手段を公共交通網の一部に組み込んで活用しております。こうした事例に学び、これからは輸送手段を有する地域の様々な団体などとも連携していくことが重要と考えます。
国内でもいくつか事例が見られるようになっており、例えば、千葉県我孫子市では、自動車教習所や病院などの送迎バスの空席を活用して、高齢者の方などが買い物などに利用できる取組を実施し、多くの市民が利用しております。
国においても、このような一定の輸送手段を有する団体と連携していくことの重要性を認識しており、市町村が連携・協働を図るべき地域の関係者として、教育文化・医療・商業等の施設の利用者向け送迎サービスを提供する者が追加される方向で、法改正に向けた動きが進んでいます。
(2)自転車利用者に対する世代に応じた交通ルールの周知について
令和8年4月1日に改正道路交通法の一部が施行され、自転車にも交通反則通告制度、いわゆる「青切符」が導入されましたが、このことについて町内会など市民の皆様から多くの声が寄せられております。
「どのような場合に違反となるのか」「世代間の立て分けがわからない」「季節や天候の影響はどう扱われるのか」といった不安の声を聞くことが少なくありません。
今回の法改正では、罰則項目が113と多岐にわたり、市民がその全てを正しく理解することは極めて困難であると感じております。
例えば、自転車は「車道通行が原則」ですが、例外として「13歳未満の児童、70歳以上の高齢者、及び一定の身体障害を有する方」は歩道通行が認められています。
また、道路工事や連続した駐車車両等のため車道の左側を通行することが難しい場合や、著しく自動車の交通量が多い、又は、車道の幅が狭いなど通行すると事故の危険がある場合など、やむを得ないと認められるときについても、歩道を通行することができることとされています。
しかし、報道等では「青切符の交付」や「反則金」といった罰則面ばかりが強調されていることから、こうした詳細な例外規定を知り得ない真面目な市民ほど、「危険を冒してでも車道を走らなければならない」と思い込み、かえって危険な状況を招くおそれもあるのではないかと懸念しているところです。
特に、判断能力が発達段階にある子どもや、身体機能の変化を自覚されている高齢者に対しては、単に一律の広報を行うのではなく、それぞれの世代の特性や生活実態に即した「ルールの理解」を促すことが不可欠であると考えます。
答弁
(1)様々な輸送手段を有する団体等との連携について
〇札幌市内においても、企業や病院等が独自に送迎バスなどを運行する事例が見られることから、バス路線の廃止・減便が続く中、これらを新たな輸送資源として活用する可能性はあると考えられる。
〇一方で、これら輸送資源の活用に当たっては、送迎バス等の輸送能力と利用者ニーズがマッチすることに加え、運行の安全確保や費用負担の在り方など様々な検討が必要になると認識。
〇このため、他都市の先行事例を参考にしつつ、路線バスの再編の動向や地域の実情に応じて、様々な輸送手段を持つ団体等との連携の在り方を検討してまいる。
(2)自転車利用者に対する世代に応じた交通ルールの周知について
〇今回の法改正を受け、昨年度より交通ルールの周知を重点的に行う中、特に高齢者に対しては、身体機能の変化に対する自覚を促すとともに、歩道走行時のルールや高齢者の事故の傾向等に関する知識の普及に努めている。
〇一方、子どもに対しては、全小学校での交通安全教室や、中高生への啓発冊子の配布など、学校教育の場を通じて段階的な指導・周知を行っており、さらにスタントマンにより交通事故を再現する体感型の交通安全指導を一部の高校で実施している。
〇札幌市としては、誰もが安心して自転車を利用できるよう、引き続き丁寧に各世代の特性に合わせた交通ルールの周知に努めてまいりたい。
4希望ある心豊かな社会の構築について
質問
(1)若者のまちづくりへの参加の取組について
都市の活力を生み出すには、将来を担う「若者」がまちづくりに積極的に参加することが重要です。
とりわけ、若者がまちに愛着を持ち、まちづくりの担い手となっていくには、若いときから自分ごととしてまちづくりを捉え、考え、行動することが重要であり、行政は、その下支えをしていくことが必要であると考えます。
その観点で、私は、令和4年第4回定例市議会にて、当時策定中の「第2次まちづくり戦略ビジョン」の推進に当たって、「まちづくりに主体的に参加する若者が増え、若者と行政、地域が協働するまちを目指すべき」と質問したところ、「様々な立場にある若者に積極的にアプローチし、対話に重きを置いた取組を推進する」とのお答えをいただき、その後、札幌市でも大学と連携したプロジェクトなどが着実に進められているところです。
一方、他の自治体の取組に目を移すと、例えば、長崎市においては、人口減少の危機感を若者と共有するため、15歳から34歳のメンバーで構成する「ながさき若者会議」を立ち上げ、長崎の未来像を語り合ったり、その未来像に向けたアクションを実際に動かす仕組みを整備するなど、より積極的に、若者の声を仕組みとして形にした自治体もあると伺っております。
この世代は、政治やまちづくりには無関心のように見えても、例えば、興味のあるイベントや関心ごとには積極的に声をあげるケースが多い、とも聞きます。
若者の発想を生かして、自分が住むマチの将来設計を議論する機会を仕組みとして設けるなど、「対話に重きを置いた取組」から一歩先に進めることで、自分ごととしてまちづくりを捉える若者が増え、それが、住みたい街、働きたい街として札幌が選ばれることにつながるのではないでしょうか。
(2)あらゆる方々が参加できる文化芸術活動について
障がいの有無に関わらず、全ての国民が文化芸術を、鑑賞・参加・創造することができるよう、我が党が主導して制定した「障害者文化芸術活動推進法」が施行されてから8年余りが経過し、障がいのある方の文化芸術活動を後押しする様々な取組が展開されております。
本市においては、第2次札幌市まちづくり戦略ビジョン・アクションプラン2023で「文化芸術が心の豊かさや創造性を育み、生活とつながるまち」という基本目標を掲げ、子どもや障がいのある方などの文化芸術の鑑賞や活動へのサポートに取り組んでおり、こうした取組により、一人ひとりが生きがいと喜び、そして安心と希望を持って暮らせる共生社会の実現につながり、「札幌市誰もがつながり合う共生のまちづくり条例」が具現化されていくものと考えているところであります。
本年3月、札幌が誇るプロ・オーケストラ「札幌交響楽団」によるユニバーサルコンサートというイベントが、本市で初めて開催されました。
私も伺わせていただきましたが、このコンサートは、従来の、静かに動かずにといった鑑賞マナーを緩和し、声出しが可能で自由に入退場できるといったインクルーシブな公演形式であり、視覚や聴覚の障がいに対するサポートや、補助犬同伴も可能とするなど運営体制を整えて、障がいのある方や小さなお子さん連れの方など、誰でも、それぞれのスタイルで音楽を堪能できる、まさに包摂的なコンサートでした。
このような、年齢・障がいの有無・国籍などの垣根がない素晴らしいイベントを、一過性のものとしてはならず、文化芸術を架け橋とした共生社会を実現するために、札幌コンサートホールKitaraなどの札幌の文化芸術拠点で開催し、市民の誰もが、様々な文化芸術活動に参加し、共に楽しむことができるような場を増やしていくことが重要と考えます。
(3)共生社会の実現に向けた教育について
①自分と他者を大切にする子どもの育成
札幌市では、いじめ防止対策推進法の施行以来、いじめの重大事態に該当する事案がないか、本年1月から点検を実施し、学校から報告された事案が20件あったことが大きな話題になりましたが、精査の結果、そのうち3件を重大事態として調査する旨、先週、教育委員会から公表があったところです。
事案が深刻化していたり、事実関係が複雑化していたりすることから、重大事態に該当するかどうかの判断をすることは、容易ではないと十分に理解はしているものの、被害を受けた児童生徒や保護者のことを考えると、調査を行うまでに時間がかかっておりますので、当該のご家庭への配慮を最優先としていただきたいと思います。
また、この公表に併せて、「札幌市におけるいじめの調査及び調査結果の公表に関するガイドライン」の策定についても、教育委員会から公表がありました。
今後は、この新たなガイドラインに基づいた取組により、事実関係を可能な限り明らかにし、再発防止を防ぐなど、いじめの対応がしっかりとなされるよう期待をしております。
いじめが起こったときの対応が大事なのはもちろんのことですが、そもそも、いじめを未然に防ぐということがいかに大切かを考え、我が会派では、先の予算特別委員会において「いじめの未然防止教育」について質問し、道徳科を中心とした実践的な研究の成果について答弁があったところです。
共生社会の実現に向けては、学校教育が果たすべき役割は極めて大きく、学校という多様な個性が集まる場において、いかにして他者の痛みを想像し、個性の違いを価値として認め合える「共生の心」とも言える非認知能力を育むかが問われています。
非認知能力を育てていくことが、結果として、いじめの未然防止につながるものであり、道徳教育を核として、自分と他者を大切にする子どもを育てていくことが学校教育においても大切であると考えます。
②帰国・外国人児童生徒等に対する日本語指導の充実
我が会派では、「札幌市誰もがつながり合う共生のまちづくり条例」の制定に先立つ令和6年第1回定例市議会の予算特別委員会において、学校教育における帰国・外国人児童生徒等に対する日本語指導の重要性に関して質問し、一層の推進を図ることを要望していたところです。
それから2年たった現在、札幌市の外国人の住民の数は過去最多を更新し、それに伴い、札幌市立の学校で学ぶ外国籍の子どもや、日本国籍を有していても日本語の指導が必要な帰国子女など、「外国につながる子ども」も増加してきております。
札幌市においても、日本語指導に知見を有するボランティアを学校に派遣して指導のサポートを行ったり、子ども同士や教職員とのコミュニケーションが円滑に図られるよう翻訳機を貸し出したりするなど、既に様々な取組を進めていると承知しています。
国で行われている「外国人児童生徒等の教育の充実に関する有識者会議」においては、日本語指導補助者や母語支援員を学校の職員として位置付けることが議論されており、近い将来、このような人材が国によって制度化された場合には、札幌市としても支援の拡充の一つの方策として積極的に登用すべきであると考えています。
また、現在、札幌市では、公立学校に就学を希望する外国につながる子どもは、たとえ日本語がほとんど理解できていない状況であっても、地域の学校に通い始め、文化も風習も違う環境で心細く学校生活をスタートさせていると聞いています。
一方、日本語指導を必要とする子どもが多い大阪市や名古屋市、浜松市においては、「プレクラス」や「プレスクール」などと呼ばれる施設が設置されており、来日直後はまずここに通い、日常生活に必要な最低限の日本語や日本の学校生活等について理解し、その後に地域の学校に就学することで、スムーズに学校生活をスタートさせることができているとのことです。
札幌市においても、現状の指導体制に満足することなく、今後の帰国・外国人児童生徒等の増加を見越して、さらなる日本語指導体制の充実に向けた取組を進めるべきであると考えます。
答弁
(1)若者のまちづくりへの参加の取組について
〇若者が持つネットワークや多様な価値観を生かし、札幌のまちの将来像や、地域課題の解決などへの議論に、若者自身が主体的に参加できる機会を設けていくことは、都市の活力をより高め、持続可能なまちづくりに寄与するものと認識。
〇このため、第2次戦略ビジョン策定後、高校生等からまちづくりの提案を受け反映する取組や、大学等の学生団体と地域団体とが協働して地域課題の解決に取り組む事業を実施するなど、若者のまちづくりへの参加に取り組んでいるところ。
〇今後とも、これらの取組を継続するとともに、多様な主体との連携強化や、より幅広い世代の若者が参加できる機会の促進などにより、若者の力を生かしたまちづくりを積極的に進めてまいりたい。
(2)あらゆる方々が参加できる文化芸術活動について
〇札幌市では、誰もが文化芸術に触れられる環境を充実させることで、多様な価値観が尊重され、創造的な活動の広がりにも繋がると考えており、文化芸術基本計画で「誰でも芸術に親しめる環境の整備」を重点取組事項に位置づけ推進しているところ。
〇具体的には、ユニバーサルコンサートを開催しているほか、楽器に直接触れて音の振動を感じるなど、障がい特性に応じた多彩なプログラムを展開する「音楽ワークショップ」などにも取り組んでいるところ。
〇今後も引き続き、年齢や障がいの有無にかかわらず、文化芸術に親しむことができる機会の充実を図り、誰もがその個性や能力を認め合う共生社会の実現を文化芸術の力で推し進めてまいりたい。
(3)共生社会の実現に向けた教育について
〇1点目の自分と他者を大切にする子どもの育成について
札幌市が掲げる「全ての子どもを包摂し多様性を生かす教育」を実現していくためには、道徳教育を中心として、生命尊重や他者への思いやりといった「豊かな心」の育成を図っていくことが重要と認識。
〇そのため、各学校においては、子どもの発達の段階に応じ、小中のつながりを意識した道徳科の実践や、学級活動、学校行事などの体験活動を積み上げ、子どもが自己を見つめ多角的に物事を考える基盤を育んできたところ。
〇一方で、いじめが複雑化する状況にあっては、子どもの様々な体験を通して、自分や他者を大切にする生き方への関心をさらに高め、主体的に行動する意欲と態度につなげていくことが求められている。
〇今後は、異なる学年や地域など多様な人の価値観に触れる機会を増やすとともに、学校や社会の課題に自ら問いを立て議論し自分なりの答えを導き出す「問題解決型」の道徳科を展開していくことで、「共生社会の創り手」の育成を図ってまいる。
〇2点目の帰国・外国人児童生徒等に対する日本語指導の充実について
外国につながる子どもが、日本語を習得し、日本の文化や習慣等への理解を深めることは、子どもの健やかな成長はもとより、多様性を認め合い、共生の心を育む上でも重要と認識。
〇教育委員会では、これまでも日本語指導の知見を有する指導協力者を学校に派遣する事業などを通じて、子どもが安心して学ぶことができる環境づくりを進めてきた。
〇近年、外国から札幌に移住し、長期間、札幌に居住する子育て世帯が増えていることから、来日直後の子どもへの手厚い支援や、将来の生き方を見据えたきめ細かな進路指導などが一層必要。
〇今後は、現在進んでいる国の議論も注視しつつ、他都市の先進事例も参考にしながら、外国につながる子どもも含めた全ての子どもが、自分の良さや可能性を認識し、多様性を認め合うことのできる教育の充実に努めてまいる。