札幌公明

議会報告Assembry report

2026/02/19 令和8年第1回定例議会

令和8年第1回定例議会2026/02/19

代表質問竹内たかよ議員(清田区)

札幌市議会本会議において公明党議員会を代表して 竹内たかよ 議員が代表質問を行いました。
以下、質問とそれに対する答弁の要旨を紹介します。

目次Contents

  • 市長の政治姿勢について
    • 市民に寄り添い市民生活を支える予算について
    • 市民生活を守る物価高騰対策について
    • これまでのGX施策の評価とこれからの展開について
    • 札幌丘珠空港ターミナルビルの拡張用地について
    • 新たな視点での交通まちづくりについて
      ①雪国札幌らしい公共交通ネットワークの在り方
      ②清田区の交通まちづくり
    • 水素エネルギーへの市民理解について
    • これからのヒグマ対策について
  • まちづくり政策について
    • 持続可能な雪対策の実現に向けた今後の検討について
    • 災害に強いまちづくりに向けた防災DXについて
    • 地元企業の現状を踏まえた産業振興施策について
    • 札幌市の下水道管路の維持管理について
    • 今後の道路陥没対策について
  • 保健・福祉政策について
    • 乳幼児健診について
    • 高次脳機能障害への支援について
    • 民生委員・児童委員制度の持続可能性を高めるための取組について
    • 里塚斎場の再整備について
  • 子ども・教育政策について
    • こども誰でも通園制度の本格実施について
    • 学校給食について
    • 学校施設のエアコン整備について
      ①普通教室における整備の進捗状況
      ②学校体育館における整備スケジュール
    • 子どもが安心して学べる教育について

1市長の政治姿勢について

質問

(1)市民に寄り添い市民生活を支える予算について

先日提示された令和8年度予算案の概要、並びに今後の財政運営に関する推計を拝見し、改めて本市が直面している事態の深刻さを痛感いたしました。

今回の予算の柱に「市民の暮らしを守り、札幌の未来を創る」と掲げられているとおり、今、我々がなすべきは、行政としての存在意義を今一度問い直し、「市民の暮らしを守るために、行政として真に優先すべきことは何か」という原点に立ち返ることと考えます。

これまで札幌市は、情勢に応じた多種多様な事業を展開してまいりました。その努力は認めつつも、慢性的な財源不足が続く現状において、全ての事業をこれまでの規模で継続することは難しい状況です。

当初の目的を終えているものや、本来であれば民間が担うべき分野についても、「今まで続けてきたから」といった理由で慣例的に事業を実施するあまり、市民全体の暮らしを支えるための地に足の着いた事業が後回しになることはあってはならないと思います。

重要なのは、身の丈にあった財政運営をしつつ市民生活を最優先にしたやさしい予算です。

そこで質問ですが、令和8年度予算において、市民に寄り添い市民生活を支えるという考えがどのように反映されたのか、また、厳しい財政運営の中であっても、引き続きこうした考えに基づいた予算編成が求められると考えますが、それに対する市長の考えを伺います。

(2)市民生活を守る物価高騰対策について

国際情勢や政治状況が目まぐるしく変化する中、令和8年度予算案においては、「市民の暮らしを守り、札幌の未来を創る予算」という考えのもと、様々な施策が盛り込まれたところです。しかしながら、少子高齢化の進行に伴う社会保障費の増加や、資材価格の高騰などにより、本市の財政状況が依然として厳しい局面にあることも示されております。

持続可能な財政運営に向けては、「内部経費の徹底的な見直しと節減」に加え、単なる先送りではなく、効果的な事業検証が求められるため、関連する部局が連携し、将来の負担を見据えた集中的な議論と大胆な見直しが求められていると考えます。

一方で、長期化する物価高の影響は、これまで以上に市民生活に深刻な影響を及ぼしており、食料品や光熱費を始めとした生活必需品の価格上昇が、日々の暮らしを直撃しております。子育て世帯や年金生活者に加え、これまで影響が表面化しにくかった中間所得層においても、家計のやりくりに苦慮する状況が広がり、市民が将来に対して明るい展望を描きにくくなっているものと認識しています。

我が会派としても、物価高への対応は重要な政策課題として注視してきたところであり、昨年11月に、市民生活を守るための緊急要望を市長に提出し、家計負担の軽減に直結する即効性のある支援策を速やかに講じるよう強く要望してまいりました。

その後、各自治体において国の動向を踏まえつつ、地域の実情に応じた独自の物価高対策を講じる中、本市においても継続的な検討が行われ、本定例会において追加の物価高対策を含む補正予算案が提出されたものと理解しております。

厳しい財政状況にあっても、市民の生活が市政運営の基盤であることに変わりはなく、市民が直面している現状に真摯に向き合い、早期に対策していかなければなりません。

そこで質問ですが、本市として、市民の窮状をどう捉え、困難に直面する市民生活を守るために、どのような考えで物価高騰対策を行うのか伺います。

(3)これまでのGX施策の評価とこれからの展開について

市長は3期目においては、北海道の再生可能エネルギーのポテンシャルを最大限に活用して、環境と経済の両立を目指すGXを施策の柱の一つに位置付け、2023年6月に産学官金21機関からなる「チーム札幌・北海道」を立ち上げました。国家戦略特区及び金融・資産運用特区の指定を勝ち取るなど、GX産業の集積と金融機能の強化・集積を両輪として精力的に取組を進めてきたものと認識しております。

我が会派は、中長期的な視点に立って環境と経済の両立を目指すGXの必要性については大いに認めるところですが、特にGX産業については、札幌市に大規模な開発適地の余力がない中で、洋上風力発電や水素、太陽光発電のほか、次世代半導体やデータセンターなど、再生可能エネルギーの需給両面から非常に幅広い分野にわたる産業に対して、札幌市がどこまで手を広げるべきなのか憂慮しているところであります。

また、札幌市がGXに注力して約3年を経過しますが、この間、インフレによる資材価格の高騰等に伴う事業採算性の悪化により、国内の洋上風力事業からの撤退が公表されたほか、アメリカが政権交代に伴い再度パリ協定から離脱しカーボンニュートラル政策の転換を図るなど、GXに関わる事業環境も変化してきています。

これまで、特区の指定を勝ち取り、GXの推進に向けた規制緩和やGX推進税制など、札幌市として前例のない取組を進めてきた点は評価をするところではありますが、GX投資を呼び込む環境が一定程度、整備された今後においては、予算や職員のマンパワーにも限りがある中で、GXや金融を取り巻く状況を的確に把握・分析した上で、選択と集中という視点を持って取組を推進することが求められると考えます。

加えて、札幌市がGXと金融に取り組むことにより、生活者視点で市民にしっかりとメリットがもたらされることが最も重要なところであります。

そこで質問ですが、札幌市がこの3年間取り組んできたGX産業の集積と金融機能の強化・集積について、今後どのように選択と集中の考え方を持ち、取組の成果がどのように市民に還元されるよう取り組んでいくのか市長の考えを伺います。

(4)札幌丘珠空港ターミナルビルの拡張用地について

丘珠空港の滑走路延長は、2030年の供用開始を目指し、現在、国による環境アセスメントやパブリックインボルブメントの手続きが進められております。これと歩調を合わせた丘珠空港ターミナルビルの機能強化は、年間旅客数100万人を見据えた観点からも極めて重要な要素であると、これまで我が会派では繰り返し訴えてまいりました。

令和7年第2回定例会における我が会派の代表質問に対し、市長は「新たな空港ターミナルビルには現行の2倍程度、少なくとも6,500㎡程度の床面積が必要」との認識を示され、令和7年度末を目途に整備イメージや資金計画を整理する旨の答弁をされました。

これまでは、現ターミナルビルに隣接する国の敷地内での更新を軸に検討が進められてきたと認識しておりますが、先般、現在の駐機場に面する「隣接民有地」の活用に向けた協議が進められているとの報道がなされました。

新たな敷地を含めた検討を進めるに当たっては、地権者との調整などに時間を要する側面もあるかと思いますが、より広い敷地を活用できれば、商業機能の充実や子どもが遊べるスペース等、これまで寄せられたターミナルビル拡張に係る市民意見にも応えられる可能性が広がり、待合スペースの確保など空港利用者の利便性向上にも効果がもたらされるものと考えられ、我が会派としても大いに期待を寄せるところです。

その一方で、滑走路延長の2030年供用開始という目標に時期を合わせたターミナルビルの機能強化は不可欠であると認識しており、「隣接民有地」の活用において地権者との調整などに時間を要する場合、現在検討しているターミナルビル基本計画に影響が出るのではないかと懸念しているところです。

そこで質問ですが、丘珠空港ターミナルビルの拡張にあたり隣接民有地の活用について協議に至った経緯について伺います。併せて、令和7年度末を目途に整理を進めているターミナルビルの整備イメージや資金計画の検討への影響について、市長の考えを伺います。

(5)新たな視点での交通まちづくりについて

①雪国札幌らしい公共交通ネットワークの在り方

札幌市の公共交通ネットワークについては、これまで地下鉄やJRといった大量輸送機関を骨格としつつ、地域と駅などの拠点を路線バスが結ぶことで、持続可能な公共交通体系の確立に取り組んできたものと認識しています。

現状では、コンパクトな都市に対応した交通体系がおおむね構築できてはいるものの、まちづくり戦略ビジョンにおいて地域交流拠点として位置づけられている清田については、大量輸送機関が接続していないなど、公共交通ネットワークは不十分な状況であります。

加えて、近年はバス運転手不足から路線バスの減便や廃止が相次ぎ、札幌市が赤字路線への補助や運転手確保の支援を行ってはいるものの、今後は現在の公共交通ネットワークを維持することも困難になっていくことが予測されます。

昨年、札幌市では地域の人の移動や活動を把握するパーソントリップ調査を実施し、誰もが暮らしやすい都市づくりを進めるために、その調査結果も踏まえた上で公共交通ネットワークの見直しなどを進めていますが、今こそ雪国札幌にふさわしい将来的な公共交通のグランドデザインを描く必要があるのではないかと考えているところであります。

そこで質問ですが、今後の札幌市における公共交通ネットワークの在り方について、どのように考えているのか伺います。

②清田区の交通まちづくり

清田区のまちづくりにおいては、唯一の拠点である地域交流拠点清田の発展が重要であり、地下鉄東豊線の延伸についてはこれまでも期成会において継続的に要望してきたところです。

しかしながら、地下鉄東豊線の清田区延伸については、これまで一貫して「事業採算性の確保」が課題とされてきており、実現に向けてはこの点が鍵になると考えております。

この事業採算性の改善について交通面から考えますと、上下分離による地下鉄の事業運営の効率化が有効と考えており、札幌市では路面電車における実績もあることから、ノウハウを活かした効率化が実現可能ではないかと考えているところです。

一方で、我が党議員団が先日、国土交通省にヒアリングに伺った際には「事業採算性の一番の改善策は収益力のある民間施設の誘致に尽きる」という助言をいただきました。

収益力のある民間企業を誘致することは拠点全体の集客力を高めることにもつながり、それによって清田区への地下鉄延伸の実現につながっていくというものであります。

こうしたことからも、交通の側面だけではなく、拠点の整備と一体的に進めることで、相乗効果により相互に利用者を増やすという官民連携による交通まちづくりが重要であり、そのことが地下鉄や拠点全体の収益力を強化することにつながる新たな視点になると考えています。

そこで質問ですが、地下鉄東豊線の清田方面への延伸を目指した、清田区における公共交通と地域交流拠点清田の一体的なまちづくりについて、どのように考えているのか伺います。

(6)水素エネルギーへの市民理解について

我が会派は、GXの根幹である北海道が持つ国内随一の再生可能エネルギーのポテンシャルを最大限有効活用する手段として、電気エネルギーの保存、そして貯蔵と運搬に優位性を持つ水素に着目し、社会実装に向けた普及啓発事業の重要性について、これまでも議会で主張してきました。

本市は、昨年3月に策定した「札幌市水素エネルギー基本方針」に基づく取組に加え、昨年6月には「札幌市水素・再生可能エネルギー推進協議会」を設立し、「つくる・ためる・はこぶ・つかう」といった水素サプライチェーン各工程の様々な課題解決や地域産業の創出に取り組んでおります。

先日、我が会派は同協議会の参画企業である化学メーカーを視察し、水素の貯蔵・運搬に有効な「水素化マグネシウム」という金属化合物の技術開発に触れ、その活用の可能性について技術者と意見交換を行いました。

説明によりますと「水素化マグネシウムは、特に燃焼での活用に親和性があり、特に札幌のような大都市での競争力があり有効である」とのことであり、熱需要の大きい本市において、様々な活用が考えられる技術であると感じました。

先日、開催されたさっぽろ雪まつりを我が会派で視察しましたが、まさにこの「水素化マグネシウム」を燃焼利用したトーチが展示されるなど、最新技術の発信が行われておりました。

将来的な水素利用の拡大に向けては、水素利用技術の開発とともに、このように市民が新技術に身近に触れることで水素への理解が促進されることとの両輪で取り組むことが非常に重要であると考えております。

そのためにも市民生活の中でどのように水素が利用されるのかの学び、さらに効果的な情報発信などの普及啓発を行い、市民の理解を得ていくことが肝要であると考えます。

そこで質問ですが、将来的な水素利用の拡大を見据え、どのように水素エネルギーへの市民理解を得ていくのか伺います。

(7)これからのヒグマ対策について

昨年、札幌市内において各区でヒグマ出没が相次ぎ、注意報や警報が出ていた地域の市民の皆様は不安な毎日を送られていたことと思います。

西区においては、平和丘陵公園における子連れメスによる人身被害、そして、続く西野地区においてはわずか6日間でのヒグマ5頭の出没・捕獲という事態が発生しました。このことは、札幌市のヒグマ対策が新たな局面に入ったことを示していると懸念しております。

この間、捕獲された大人のクマ4頭のうち3頭がメスであり、さらに子連れのメスも確認されました。これは単なる「迷い込み」ではなく、市街地近接部にまでメスのクマが繁殖・子育てするような生息域が広がってきていることを意味します。

専門家からも、メスが定着し始めた地域は、将来的に人身被害リスクが急激に高まると指摘されています。実際、平和丘陵公園での事故も、子を守るために人を敵とみなしたメスによる行動でした。この事例からも、市街地近接部にクマが定着している可能性があり、非常に危険な状態であるものと考えます。

また、北海道が令和6年に改定した管理計画では、新たに捕獲目標を設定することなどが示されており、市街地リスクを抱える政令市として、札幌市においてもこうした広域的な動きと歩調を合わせた対策の強化が急務です。

現在の札幌市の対策は、市街地に出没した個体を捕獲する「事後対応」が中心となっていますが、この方法だけでは山側の個体数が減らず、新たなクマが市街地に押し出される悪循環に陥る懸念から、断じて市民の暮らしと命を守り抜くヒグマ対策を講じなければなりません。

そこで質問ですが、西野の教訓を一過性の出来事として終わらせず、市民の命と生活圏を守るため、予防型のヒグマ管理を広く導入し、ゾーニング管理における「都市近郊林ゾーン」に加え、「森林ゾーン」も視野に入れた生息数の管理及び個体数調整に直ちに着手すべきと考えますが、市長の見解を伺います。

答弁

(1)市民に寄り添い市民生活を支える予算について

〇令和8年度予算の編成に当たって、市民生活を支える喫緊の課題として捉えたのは、物価高対策や安全安心の確保である。

〇このため、これらの課題に対応するため、財政状況が厳しい中でも「市民生活を守り、安心して快適に暮らせる街」を予算の柱の一つに据え、市民に寄り添い、安心な暮らしを守るための事業を計上したところ。

〇具体的には、物価高対策として総額240億円を確保し、市民の皆様へ現金5千円を支給することや住民税非課税世帯への給付、学校給食費の負担軽減を行うこととした。

〇また、安全安心の確保策としても、ヒグマ対策では昨年度比2倍近くの予算を確保したほか、救急医療体制の強化や地域防犯カメラの設置補助の拡充を図ったところ。

〇今後も厳しい財政状況が見込まれることから、様々な見直しに取り組んでいくことは避けられないが、「市民に寄り添い、市民生活を支える」という考えは、これからも非常に重要であることから、引き続き、市民生活を守り、安心して快適に暮らせる街に配慮した予算編成に努めてまいりたい。

(2)市民生活を守る物価高騰対策について

〇物価高は市民生活や経済活動の様々な面に影を落としており、その中でも特に食料品の価格上昇が顕著であることなどを踏まえ、市民が直面している実情に合わせた支援策を具体化することが急務。

〇そこで、全市民対象の食料費支援を増額することに加え、物価高の影響を特に受けやすい住民税非課税世帯に重点的に支援するなど、国の交付金を最大限に活用した市独自の対策を実施する。

〇実施に当たっては、それぞれの給付を現金とすることで、経費を削減するとともに、できる限り早期に市民のもとに支援が届くよう意を用いたところ。

〇今後も、市民生活を守ることを第一に、国や北海道の動向を注視しながら、機を逸することなく、実情に即した効果的な手立てを講じてまいりたい。

(3)これまでのGX施策の評価とこれからの展開について

〇これまで北海道全域でのGX産業の集積と、札幌市域における金融機能の強化・集積を進めるため、規制緩和やGX推進税制など、GX投資を呼び込む環境を整備し、特区提案で掲げた取組を着実に実現してきたところ。

〇今後はこの環境を最大限に生かすとともに、札幌の優位性を踏まえた選択と集中の視点を持って各種施策に取り組むことが必要と考えており、具体的には、水素と金融の分野に注力してまいる。

〇水素は、196万人の人口を有する札幌市において、道内の再生可能エネルギーを有効活用し、脱炭素化を実現する手段の一つと考える。

〇また金融については、札幌の都市機能を生かして、道内GX事業者やスタートアップなどに資金を供給するために必要な機能と考えていることから、次年度においても重点的に取り組んでまいる。

〇引き続きGX産業の集積と金融機能の強化・集積に取り組むことにより、新たな産業を生み出し、企業誘致や雇用の創出といった効果を市民に還元し、将来にわたって持続可能な経済成長を実現してまいりたい。

(4)札幌丘珠空港ターミナルビルの拡張用地について

〇ターミナルビルの拡張に当たっては、航空機への搭乗や預け入れ荷物の搬入等の面から考えると、駐機エリアにターミナルビルが広く面していることが望ましいと考える。

〇また、現在のターミナルビルを運用しながら、新たなビルを整備するためには、南東側に隣接する民有地までを含むより広い敷地を活用した計画が最適と判断したことから、関係者との協議を進めることにしたもの。

〇今後も国や札幌丘珠空港ビル株式会社等と連携しながら、当該協議を速やかに進め、令和7年度末を目途としているターミナルビルの整備イメージや資金計画の整理に影響が出ないよう取り組む考え。

(5)新たな視点での交通まちづくりについて

◆1点目の雪国札幌らしい公共交通ネットワークの在り方について

〇札幌市の公共交通体系については、主要な地下鉄駅やJR駅にバスネットワークが接続する体系を基本として構築してきたところであり、今後もこの考え方を維持すべきものと認識。

〇一方で、運転手不足などによる路線バスの減便や廃止が相次いでいることから、このままでは公共交通ネットワークの維持に支障をきたすことになるものと懸念。

〇そのため、公共交通を取り巻く環境の変化や雪国という地域特性を踏まえて公共交通全体の在り方について改めて検討することとし、まずは令和8年度に全市的な公共交通体系の現状と課題を整理する。

◆2点目の清田区の交通まちづくりについて

〇公共交通体系を考えるうえでは、拠点の機能向上を支える視点が重要であり、清田においても、地域交流拠点のまちづくりと公共交通ネットワークの構築を一体的に検討していくことが不可欠と認識。

〇そのため、今後は、清田区民センターの新築移転やその周辺における民間開発による機能集積を目指しつつ、公共交通全体の在り方を検討する中で、清田におけるネットワークの構築に取り組んでまいる。

(6)水素エネルギーへの市民理解について

〇水素エネルギーに対する市民理解を得るためには、イベントでの情報発信や、水素を学ぶ機会の創出が重要であるとの認識のもと、今年度は水素ステーションの見学や、中型燃料電池バスへの試乗など、市民が水素の技術に直接触れる取組を実施してきた。

〇また、今年のさっぽろ雪まつりでは、民間事業者との連携により、水素ボイラによる休憩所の暖房や、水素を用いた非常用発電機の展示のほか、水素の燃焼実演を行うなど、多くの市民や観光客に水素のエネルギー利用を体験していただいた。

〇このように、様々な場面で水素の利用を実感してもらう事が、さらなる市民理解を得るために重要であることから、今後は民間事業者との連携を強化し、イベントなどを活用した、効果的な普及啓発に継続して取り組んでまいる。

(7)これからのヒグマ対策について

〇まず、昨年秋の出没増加の背景には、山の実なりの凶作に加え、市街地近郊のヒグマの生息数増加や分布域の拡大といった要因があると認識。

〇引き続き、ヒグマとのすみ分けに向けて、「ヒグマ対策重点エリア」を中心に、モニタリング調査に基づく定着個体の低密度化や侵入抑制策の強化を進めてまいる。

〇また、現在、さっぽろヒグマ基本計画推進協議会において、専門家の意見を聞きながら、ゾーニング管理の見直しに加え、箱わな等を用いた予防的捕獲を含めた対策についても検討を進めているところであり、市民の安全・安心な暮らしの確保に万全を期してまいる。

2まちづくり政策について

質問

(1)持続可能な雪対策の実現に向けた今後の検討について

現在、進められている札幌市雪対策審議会では、人口減少に伴う担い手不足や、将来的な税収減少が見込まれる中において、将来世代に過度な負担を残さない持続可能な雪対策の在り方について検討が行われています。雪対策は市民生活を支える重要な行政サービスである一方、多額の財政支出を伴う分野でもあり、今後は限られた財源の中で、効率性や費用対効果をより一層重視した政策判断が求められます。

しかし、市民にとっては、降雪後の雪かきや大雪時の交通障害など、雪は依然として負担感の強い存在であり、雪対策が「コスト」としてのみ受け止められやすい状況にあります。加えて、審議会に関する報道でも予算規模や財政負担が強調されることが多く、雪対策に対する市民の理解や納得感が十分に得られていないことが懸念されるところです。

一方で、札幌の雪は、観光やイベント、技術開発など、多様な分野で活用可能な資源でもあり、地域や民間事業者が主体となって、雪を生かした取組を進めることで地域経済の活性化や新たな需要創出につながる可能性を持っています。

実際に、昨年度、新札幌で開催された「新さっぽろワクワク冬の実験フェスタ」では、民間企業や地域が主体となり、雪を活用した空間づくりやイベントを実施することで、多くの来場者を集め、地域のにぎわい創出と事業者の新たな取組機会の創出につながった好事例でありました。

このように、今後の雪対策審議会においては、雪を単に処理すべき対象とするのではなく、雪の有効活用や可能性に着目し、事業者が行う社会課題の解決やその支援につなげることや、官民連携による新たな市民の活力の創出や地域経済の活性化などにつなげていくといった、政策的な議論や検討が必要ではないでしょうか。

そこで質問ですが、持続可能な雪対策の実現に向け、雪の有効活用や資源としての利用を政策としていかに位置付け、今後の雪対策にどのように反映していく考えか伺います。

(2)災害に強いまちづくりに向けた防災DXについて

近年、能登半島地震をはじめ、全国で自然災害は甚大化・頻発化しており、道内においても、昨年7月のカムチャツカ半島地震の津波による避難、昨年12月には青森県東方沖の地震により、札幌市内でも夜間に緊急地震速報が鳴り響き、災害はいつ起きてもおかしくないことを改めて認識したところです。

これまで我が会派は、北海道胆振東部地震の教訓を踏まえ、災害発生時に、迅速で的確な対応を行うためには、先端のデジタル技術を有効活用した防災DXの取組が必要であるとの考えから、令和5年第2回定例市議会の代表質問でシステムの導入を提案したことを皮切りに、何度も質疑で取り上げてまいりました。

約2年間にわたり議会での議論を重ねる中、令和7年第1回定例会予算特別委員会では、防災・減災DX事業として、今後3つのシステムを導入していくとの答弁により、具体的な考えや効果について示され、スピード感のある対応を評価しているところです。

具体的には、洪水や土砂災害の危険性を12時間以上先まで予測する「風水害の予測システム」や、地震発生当日に家屋被害の集中する地域や被害棟数を推計し、罹災証明の調査対象数や災害廃棄物の量など必要な体制配備を先読みする「地震の家屋被害推定システム」のほか、市関係局のほか外部の事業者も現場から迅速に入力と閲覧が可能な「情報共有プラットフォーム」を構築するといった、新たな取組の構想が議会において議論されてきました。

加えて、積雪寒冷地である札幌市の冬期の災害対策を求めたことに対して、「防災科学技術研究所や、札幌市立大学との協働により、最新の知見を踏まえた積雪寒冷への対策を検討する」旨の答弁もいただいたところです。

これまで構想段階であったこれらのシステムが、今年度ついに導入が進められ、災害対策本部訓練において、まずは地震の家屋被害推定システムと情報共有プラットフォームが活用されたと伺いました。災害に強いまちづくりを進めるためには、防災DXのシステムの構築がゴールではなく、職員や関係機関による訓練を重ね、万が一に備えた防災力を確実に高めることが重要です。

そこで質問ですが、札幌市の防災DXの開発が始まり、訓練で初めて活用した中で得られた成果や課題を踏まえて、今後どのように運用し防災力を高めていくのか伺います。

(3)地元企業の現状を踏まえた産業振興施策について

札幌市の人口は令和3年から減少局面に入り、特に生産年齢人口の減少と若年層の道外流出という構造的な課題は、地域経済の活力を維持する上で極めて深刻な事態であります。

札幌市が独自算出した将来人口推計によると、経済活動を主に支える生産年齢人口は、令和2年の121万人から令和42年には81万人と40万人減少するという推計も出ており、将来の担い手不足による経済の停滞への対応は予断を許さない状況にあります。

また、新型コロナウイルスの回復期における原材料の需要増や、ロシアによるウクライナ侵攻に端を発したエネルギー価格の急騰に、歴史的な円安の影響もあり、長期化する物価高騰は終わりが見えず、企業経営に大きな打撃を与え続けています。

さらには、昨今の米国関税や中国との関係など、不透明なグローバルリスクの影響もあり、地場中小企業は困難な状況に直面しています。

このような状況において、地元中小企業が将来にわたって発展していくためには、短期的な対応はもちろんのこと、中長期的な視点での解決策が必要であると考えられます。

これまで札幌市では、企業の成長や課題解決に向けて、多岐にわたる支援を機動的に展開してきたことは一定の評価をするところですが、自治体の財源には限りがあり、目先の給付金や補助金のみの対策に留まるのではなく、行政が中長期的な方向性を明確に示すことも、今求められているのではないでしょうか。

行政の一方的な押し付けではなく、企業の現場に寄り添う施策展開が必要であり、地元企業としても創意工夫を最大限に発揮することができるような、実効性のあるものとして打ち出すことが必要であると考えます。

そこで質問ですが、現下の社会経済情勢において、地元企業の現状を踏まえた産業振興施策を組み立てるに当たり、どのように検討を進めていくつもりか伺います。

(4)札幌市の下水道管路の維持管理について

近年、インフラの老朽化に対する安全確保への関心が高まってきている中、市民生活を支える基盤である下水道管路は、老朽化による更新費用や維持管理費の増加などの課題が顕在化しております。

こうした社会情勢の中、昨年1月に八潮市で下水道管路に起因するとされる道路陥没事故が発生し、市民生活に大きな影響を与えたことは記憶に新しいところです。

国の要請により実施した全国特別重点調査では、札幌市では約185kmの下水道管路の調査を実施し、現時点では八潮市の道路陥没事故の原因となったような管内の大きな腐食は見られなかったとのことです。

現在、国では全国各自治体の調査結果を随時収集、データを取りまとめて、下水道管路の劣化傾向やリスク要因などをより詳細かつ科学的に分析しているものと承知しております。

その上で、国土交通省が設置した「下水道管路マネジメントのための技術基準等検討会」では、下水道管路管理の在り方について総合的な議論が進められております。

一方、札幌市では、平成27年に「下水道改築基本方針」を策定し、老朽化の状況把握や健全度評価、更新・修繕の優先度など、体系的な維持管理を進めており、全国に先駆けて計画的な管路マネジメントに取り組んできております。

今後、国の検討会において新たな技術基準等が示された際には、札幌市としても新たな基準に迅速に対応し、より高いレベルで管路管理を行い、一層の市民の安全・安心の確保に努めていくことが重要です。

このような高いレベルで管路の維持管理を行うことは、経費の増加にもつながり、これまで以上に効率的な管路マネジメントが必要となってくるものと考えます。

そこで質問ですが、総延長8,300kmという膨大な下水道管路を管理している本市において、限られた人材や予算の中で、効率的な維持管理をどのように進めていく考えなのか伺います。

(5)今後の道路陥没対策について

道路陥没については、様々な発生要因がありますが、国の調査によりますと、全国で発生した7割程度が道路排水施設や上下水道などの地下インフラに起因したものとのことです。

例としては、八潮市のような下水管の老朽化に起因するもの、また外環道や広島市で起きたシールドトンネル工事に由来するもの、地下インフラ以外としては、地震や大雨による自然現象による液状化や地盤崩壊など、道路陥没はいつでもどこでも起こり得るとの前提に立って、その防止を図っていく取組が急務です。

国は、従前から行われている路面下空洞調査などの点検や調査について、技術の高度化、実用化、さらにはコストダウンを図るとともに、道路管理者と道路占用者の連携による地下空間情報のデジタル化の推進を検討していると聞いております。

そのような中、昨年2月に、清田区内を通る「道道真駒内御料札幌線」で道路陥没が発生し、地盤の専門家などで構成する「対策検討委員会」の助言を受けながら、原因の調査と再発防止対策の検討が進められてきたところです。

今後、想定外の道路陥没の対策をするにはAIセンサーや3Dデータを組み合わせたDXなどの最新技術を使用し、例えば「常時監視型維持管理」などを積極的に導入することや、合成開口レーダーSAR衛星による道路陥没の予兆検出など、見えない恐怖を「見える化」して取り除くための取組を推進するべきと考えます。

そこで質問ですが、道道真駒内御料札幌線での道路陥没事案を受け、本市として原因をどのように総括し、この経験を今後どのように生かしていくのか伺います。また、全国的に頻発する道路の陥没対策に関する国の動向を受けて、今後、市民の安全・安心を確保するために、札幌市としてどのように取り組むのか伺います。

答弁

(1)持続可能な雪対策の実現に向けた今後の検討について

〇雪の有効活用や資源としての利用については、持続可能な雪対策の実現に向けて必要な観点のひとつと考えており、雪対策審議会においても「さらなる雪の持つ魅力の活用」について検討を進めているところ。

〇第2回審議会においても、「雪の魅力を活用して冬の札幌を応援したい人の思いを形にする手段」や「雪そのものをエネルギーとして活用する新しい技術」などの検討も必要という意見があった。

〇このため、民間企業や大学などのアイデアも取り入れながら、さらなる雪の有効活用について検討を進めるとともに、より多くの市民が雪の魅力や価値を実感できるような取組を積極的に行っていく考え。

(2)災害に強いまちづくりに向けた防災DXについて

〇防災DXの活用により、発災直後からの応急対応や応援体制の早期の推定、現地状況写真がリアルタイムに可視化されるなど、一定の成果が得られたところ。

〇一方、今回の訓練においては、災害対策本部での活用に留まっており、次の段階としては、各区や外部防災機関が共有・活用する必要があると認識。

〇今後も、市民の生命・財産を守るため、研究機関との緊密な連携のもとで、システムの活用範囲を拡大し、その実効性を検証しながら、先手の災害対応を強力に進めてまいる。

(3)地元企業の現状を踏まえた産業振興施策について

〇令和5年度に策定した「第2次札幌市産業振興ビジョン」は、基本理念等を示す10年間の「ビジョン編」と、具体的な取組を示す5年間の「施策編」の二部構成となっており、このうち「施策編」は令和9年度中の改定を予定。

〇改定に当たっては、「ビジョン編」で示した方向性を基本としながら、社会情勢の変化や企業が直面する経営課題などを的確に捉えた施策を打ち出す考え。

〇策定過程において、現場の声を反映させることが最も重要であると考えており、日々の対話による把握はもとより、大規模な企業アンケートや、業界団体へのヒアリングなどを重層的に実施する。

〇こうしたことにより、札幌市経済を支える中小企業のニーズを踏まえた、実効性の高い施策を引き続き実施してまいる。

(4)札幌市の下水道管路の維持管理について

〇今回実施した全国特別重点調査の結果や国の技術基準等検討会で示される新たな知見は、計画的に実施してきた維持管理のさらなる高度化に向けた重要な指針になるものと認識。

〇まずは、札幌市が長年蓄積してきた維持管理の情報に、国から示される最新の知見を加えて分析することで、損傷リスクの高い区間を的確に把握し、点検・調査の優先順位を設定する。

〇さらに、人口や気象等のビッグデータも用いた下水道管路の劣化予測にかかるAIの導入について、今年度から検討を開始したところであり、これらの取組により効率的な維持管理を図ってまいりたい。

(5)今後の道路陥没対策について

〇道道真駒内御料札幌線の陥没事案では、陥没箇所周辺に局所的に地層の状況が大きく変化する箇所があり、その直下で行われた水道の推進工事が、陥没発生のきっかけとなった可能性があるものの、工事そのものには施工上の問題はなかったとの見解が、検討委員会より示された。

〇委員会の見解を受けて、札幌市としても、目に見えない地中の状況を正確に把握することの難しさや、事前調査及び施工中、施工後の監視の重要性を改めて認識したところ。

〇このため、今後行う推進工事においては、施工箇所の地質状況を踏まえ、必要に応じて、追加の地質調査や施工後の路面下(ろめんか)空洞調査を実施するなど、工事に起因する道路陥没を防ぐ取組を推進してまいる。

〇また、今後の道路陥没対策に当たっては、道路管理者と施設管理者が連携して地下インフラの適切な維持管理に努めるとともに、従前から実施している計画的な空洞調査に加え、路面の小さなくぼみといった、道路陥没の予兆となる事象を、的確に察知するための取組を推進していくことが重要。

〇具体的には、道路の点検時に、ドローン等を用いた3次元測量を実施し、道路状況をデジタル化して小さな変化を「見える化」する取組を試行するほか、道路パトロールにおける画像解析技術を活用した異常検知手法の導入ついても検討を進めてまいる。

3保健・福祉政策について

質問

(1)乳幼児健診について

時代とともに乳幼児をとりまく課題や乳幼児健診の役割は変遷し、病気や障がいの早期発見や発達課題のスクリーニングだけでなく、核家族化が進み孤立した保護者に対する子育て支援、児童虐待の未然防止や早期把握に資する事業として、日々、進化しています。

今回は、乳幼児健診の役割のなかでも、当初からの大きな目的である発達課題のスクリーニングに着目してお伺いします。

乳幼児は成長発達を続けているため、月齢や年齢によって発達の段階は様々であり、健診ごとに重要なチェックポイントがあることと思います。例えば、4か月児健診では首が座っているか、1歳6か月児健診では歩行が安定しているか、3歳児健診では言葉の発達や視覚・聴覚の確認などが挙げられます。

最近の乳幼児健診のトピックスとしては、5歳児健診が注目されています。国のマニュアルによると、5歳児は言語の理解能力や社会性が高まり、発達障害が認知される時期であることから、この時期に子どもの特性を早期に発見し、特性に応じた適切な支援を行うことが重要とされています。

全国に目を向けてみると、令和6年に国が実施した調査によれば、5歳児健診を実施している自治体は15%と決して多くはない現状があります。

国が示す全ての5歳児を対象とした健診を進めるためには、健診従事者の不足や、健診後のフォローアップ体制の整備など課題が多くあることも想像に難くないところです。

ちょうど1年前、令和7年第1回定例会予算特別委員会において、わたくしから5歳児健診の必要性について質問したところ、札幌市では保護者のセルフチェックによる任意の5歳児健診を10年前から実施しており、一定の効果を得ているところであるが、今後は国の動きを注視し、より効果的な方法を検討していくと答弁を受けました。

札幌市が全国に先駆けて5歳児健診を始めたことは評価しますが、現在の5歳児健診は、受診するかどうかは保護者の判断に委ねられており、受診率は5~6%にとどまります。

家庭では子どもの個性に合わせて、保護者が上手に対応することで、日常生活で気にかかることはなかったが、保育施設に入ってから、他の子と上手に遊べないなど、初めて発達の特性に気づくことがあったという声を聞いたことがあります。こうしたことからも、やはり全てのお子さんが5歳児健診を受診し、発達課題に気づき、必要な支援につながることが望ましいと考えます。

そこで質問ですが、これまでの乳幼児健診の評価と今後の5歳児健診の方向性について伺います。

(2)高次脳機能障害への支援について

昨年12月、当事者やご家族、支援者の長年の悲願であった「高次脳機能障害者支援法」が超党派の議員連盟の尽力により成立いたしました。

高次脳機能障害は、交通事故や脳卒中などにより脳に損傷を受けたことで、記憶や注意、感情のコントロールが困難になるなどの症状が現れるものです。外見からは分かりにくいため「見えない障がい」とも呼ばれ、社会の理解不足や、診断・支援に繋がりにくいといった課題が長年指摘されてきました。

今回の法制定にあたっては、我が党が当事者やご家族の切実な声を聴き続け、超党派の議員連盟の立ち上げを力強く後押しするなど、一貫して法整備をリードしてまいりました。

また、札幌市においても、全国に先駆けて当事者支援に取り組んでこられたNPO法人「コロポックルさっぽろ」や「Re~らぶ」の皆様と我が会派が長年歩みを共にし、現場の課題を政治の場へと届け続けてきたことが、このたびの結実へと繋がったものと考えております。

当事者の皆様の自立と社会参加を支える大きな法的基盤が整ったことを、まずは皆様と共に心から喜びたいと存じます。

現在、全国には約23万人の当事者がいると推計されており、新法では国と自治体に支援策を講じる責務が明記され、都道府県・政令市レベルでの高次脳機能障害者支援センターの設置や、自治体による支援情報の公表が努力義務化されたほか、介護を担うご家族への支援も重要な柱として掲げられています。

本市においても、障がいのある方々が住み慣れた地域で尊厳を持って自分らしく暮らし続けるために、法の理念に基づいた、より実効性のある包括的なサポート体制の構築が不可欠です。

そこで質問ですが、高次脳機能障害者支援法の成立を踏まえた、札幌市としての認識と今後の支援体制についてお伺いします。

(3)民生委員・児童委員制度の持続可能性を高めるための取組について

民生委員・児童委員は、少子高齢化や核家族化の進行により地域内のつながりが希薄化する中、高齢者、障がいのある方、子育て世帯など、孤立しがちな方々の身近な相談役として重要な役割を担っています。また、住民と行政や専門機関との「つなぎ役」として、地域福祉の最前線を支えておりその重要性は年々増しています。

一方、高齢者や単身世帯の増加により支援を必要とする方が増え、地域課題が複雑化・多様化する中で、民生委員・児童委員の活動負担が増大しています。加えて、定年延長や再雇用による高齢者の就業率上昇、女性の社会進出や共働き世帯の増加により、なり手となる層が減少し、担い手確保は一層困難な状況にあります。

民生委員・児童委員が欠員となった地域では、行政や福祉サービスへの「つなぎ役」が不在となり、支援を必要とする方が適切な支援につながらないリスクが生じるほか、見守りや相談体制が手薄となることで、困りごとを抱える方が孤立し、地域全体の福祉機能が低下する恐れがあり、担い手の確保は全国的な社会課題となっています。

これまで国は、民生委員・児童委員の負担軽減を目的に、法令や通知に基づく事務の見直しや、選任要件の一つである居住要件の柔軟化などに取り組んでおり、本市においても、昨年度、民生委員・児童委員の参画のもと欠員対策ワーキンググループを開催し、新たな担い手の確保や長く続けられる環境整備の視点から対策案を取りまとめ、行政職員の退職予定者や福祉専門職への啓発強化、市から依頼している事務の見直しなどを進めていると伺っています。

しかし、令和7年12月の一斉改選では、定数2,954名に対し245名という過去最多の欠員が生じ、充足率の低下に歯止めがかからない状況にあります。現在は近隣の民生委員・児童委員が協力して活動を代行しているとのことですが、こうした対応にも限界があり、地域全体の福祉機能を将来にわたり維持していくためには、民生委員・児童委員への支援体制を一層充実させ、支える仕組みを早急に整えることが不可欠です。

そこで質問ですが、民生委員・児童委員の担い手確保が困難となっている状況の中で、札幌市では、民生委員・児童委員制度の持続可能性を高めるため、今後どのように取り組んでいくのか伺います。

(4)里塚斎場の再整備について

我が会派では、これまで、高齢化の進展による多死社会の到来に伴う様々な課題を取り上げており、火葬場については、火葬件数増加に伴う混雑緩和のための「火葬場予約システムの導入」をはじめ、将来にわたる安定した火葬場運営に向けた取組について質疑を行ってきたところです。

札幌市には、現在、里塚斎場と山口斎場の2箇所の火葬場がありますが、令和6年度の火葬件数は26,400件を超え、どちらか一方では火葬を賄えないほどの件数となっている。

このような状況の中、里塚斎場は供用開始から40年以上経過して経年化が進んでおり、万が一、老朽化による故障で休止するような事態が起これば、長期間の火葬待ちが生じるなど、市民生活への影響は計り知れません。

このため、札幌市では、令和3年度に「火葬場・墓地に関する運営計画」を策定し、里塚斎場の建替・改修手法について検討を進めており、昨年末に、里塚霊園内の円形芝生広場への建替えが最適とする再整備案を地域住民に説明されました。

住民説明会は、令和7年11月から5回開催され、参加された延べ160名の住民からは、現在の里塚斎場を開設した当時、反対意見が多い中で設置を受け入れる代わりに地域要望として提出した「清田区までの地下鉄延伸」を含む札幌市への要望事項が果たされていないことや、斎場が住宅地に近接することへの厳しい意見が多く寄せられ、説明会でのアンケートにおいても7割が円形芝生広場への建替えに反対との回答だったと伺いました。

私の元にも、地域の方から、住宅地に近づくことについての不安や反対の声が直接寄せられており、再整備にあたっては、住民の理解が不可欠であり、寄せられた声をしっかりと反映していただきたいと考えています。

そこで質問ですが、里塚斎場の再整備についてこれまでの住民説明会で寄せられた意見を踏まえて、どのように進めていく考えか伺います。

答弁

(1)乳幼児健診について

〇乳幼児健診については、病気や障がいの早期発見、発達課題のスクリーニングに加え、時代の変化に合わせて、育児不安の解消や虐待防止など、子どもの育ちと子育て支援に寄与してきたものと認識。

〇こうした中、特に幼児期は発達の課題が認知される時期であることから、就学に向けた準備を進める重要な機会として、対象となる5歳児が医師等による健診を受けられる体制を整備したいと考えている。

〇そこで、令和8年度からは、保育施設などでの健診機会のない未就園児をまず対象に健診を勧奨し、必要に応じて、適切な支援に繋げ、就学後の健やかな成長を支えてまいりたい。

(2)高次脳機能障害への支援について

〇今般の「高次脳機能障害者支援法」の成立は、当事

者やそのご家族が日常生活や社会生活に困難を抱えている中、自立や社会参加につながる支援の総合的かつ計画的な実施など、国と自治体の責務を明確化した意義あるものと認識。

〇札幌市としては、当事者やご家族の相談支援を行う事業所や医療機関と連携し、普及啓発に努めるとともに、高次脳機能障がいを抱える方々が地域で安心して自分らしく暮らせるよう、切れ目のない適切な支援体制等の検討を進めてまいりたい。

(3)民生委員・児童委員制度の持続可能性を高めるための取組について

〇地域福祉の推進に重要な役割を担っている民生委員・児童委員の欠員解消に向けては、これまでの取組に加えて、民生委員・児童委員の活動をサポートする体制の強化が重要と認識。

〇そこで、高齢者等の見守りを始めとした地域福祉活動をサポートする「民生委員協力員制度」を令和8年度中に試行実施するなど、今後も安心して長く活動を続けていただけるよう取り組んでまいりたい。

(4)里塚斎場の再整備について

〇多死社会を迎えるに当たり、故人の最期を見送る火葬場の需要はますます増加することが想定されることから、老朽化が進んでいる里塚斎場の再整備は喫緊の課題であると認識。

〇先般実施した説明会では、円形芝生広場での整備案に対し、住宅地に近づくことへの心理的な不安や環境面での懸念など、多くの厳しいご意見をいただいたところであり、非常に重く受け止めている。

〇このため、今後も、地域の皆様との対話を丁寧に行いながら、再整備後はもとより、工事期間中においても、静寂な環境やご遺族の利便性を確保できるよう留意しつつ、円形芝生広場以外の候補地も含めた施設整備の在り方について真摯に検討してまいる。

4子ども・教育政策について

質問

(1)こども誰でも通園制度の本格実施について

我が会派は、この制度の創設を主張してより、モデル実施の導入をはじめ、子育て家庭の視点と事業者側の視点の両面から、具体的な観点で議会質疑を重ね、後押しをしてきました。

本市では昨年度から制度の試行実施に取り組み、今年度は補助事業として実施、いよいよ4月からは給付制度化され全国一律で実施されることとなります。

こども誰でも通園制度は、子育て家庭の孤立防止と全ての子どもの育ちを応援する重要な制度であり、DXの推進などにより子育て家庭が利用しやすい制度とすることはもちろん、保育事業者にとっても持続可能な制度としていかねばなりません。

そのため、会派として定期的に上京し、「こども家庭庁」と直接意見交換を行い、4月からの給付制度化、全国実施にあたっての子ども1人あたりの月の利用時間数は今年度までと同様に10時間までとし、制度を実施する事業者への給付費は、今年度より増額されたものの、まだまだ十分とはいえず、国による財政支援を強く要望してまいりました。

こども誰でも通園制度は、全ての子どもたちが保育を受けられ、子育て家庭の孤立を防止するという、子育て期をトータルで支援するための重要な制度であります。

全国一律の仕組みであることから、事業者が参入しやすい制度設計をするのは、国の役割ではありますが、利用を必要とする子育て家庭の期待に応えるために、給付制度化にあたり札幌市としての万全の準備が必要であります。

そこで質問ですが、来年度からの給付制度化にあたっての国の制度設計がようやく明らかになったところですが、昨年度から試行実施をしてきた札幌市として、こども誰でも通園制度をどう評価しているのか、また今後どう取り組む考えか伺います。

(2)学校給食について

次年度の学校給食費、とりわけ中学校の学校給食費について伺います。

学校給食は、優れた栄養バランスにより児童生徒の健やかな心身を育むと同時に、子どもたちにとっては、日々の学校生活において最も心を躍らせる、クラスメイトと共に食卓を囲み、同じ味覚を共有する楽しいひとときであり、大変重要なものとなっております。

我々公明党は、かねてより子育て世代の経済的負担軽減の要として給食費無償化を強力に推進してきたところでありますが、いよいよ本市において小学校給食費を実質無償とすることが現実のものとなることは、子育て支援の大きな前進であり、高く評価するものであります。

一方で、中学校給食に関しては、国において課題整理を行ったうえで検討するとされているのが現状です。しかしながら、義務教育期間における公平性の観点、さらには中学生の子を持つ世帯への支援は、本市が主体的に取り組むべき喫緊の課題であり、国に対しては継続して早期実施に向けた要望を行うべきだと考えます。

特に、昨今の物価高騰は極めて深刻であり、学校給食法に基づき保護者が負担すべきとされる食材費を直撃しております。本市がこれまで国の交付金を活用し、負担軽減策を講じてこられた経緯は承知しておりますが、昨年から今年にかけてのお米の価格の異次元ともいえる急騰が給食費に与える影響を強く危惧しております。

学校給食の「質」と「量」を損なうことなく確保することは行政の責務であり、適切な給食費の設定が必要である反面、子育て世帯にさらなる負担を強いることは、子育て支援に力を入れている本市の取組に逆行するものであり、一定の負担軽減は必要不可欠と考えます。

そこで質問ですが、来年度の中学校給食費の考え方、保護者の実質的な負担額の取り扱いについてどのように取り組まれるのか伺います。

(3)学校施設のエアコン整備について

①普通教室における整備の進捗状況

我が会派は、近年の地球温暖化に伴う記録的な酷暑から、子どもたちの健康と尊い命、そして健やかな学びを守るため、学校へのエアコン整備を最重要課題と位置づけ、議会質問や予算要望を通じて一貫して強く訴えてきました。

現在、本市が進めている普通教室への冷房設備整備は、保護者や市民からの期待も非常に大きく、令和9年度までの全校完了を目指し、現在着実に整備が進められていると認識しています。

一方、昨年の夏も令和5年に劣らないほどの猛暑となり、学校現場においては大変苦しい思いをされ、我が会派にも一刻も早く整備してほしいといった切実な声も届いており、施工体制の確保等の課題は理解するものの、これらの声に速やかに応えるよう善処を期待しています。

そこで質問ですが、現在までの普通教室におけるエアコン整備の具体的な進捗状況と、令和9年度の全校整備完了に向けた今後の見通しについて伺います。

②学校体育館における整備スケジュール

学校の体育館は、日々の授業や部活動の場であるだけでなく、夏季における熱中症リスクが極めて高い場所であります。それと同時に、大規模災害発生時には、市民の命を守る「避難所」として極めて重要な役割を担う施設でもあります。

近年の災害は季節を問わず発生しており、猛暑下での避難生活において、エアコンのない体育館は避難者の健康を損なう二次被害を招く恐れがあり、学校体育館へのエアコン設置は、教育環境の向上のみならず、防災・減災の観点からも一刻の猶予も許されない喫緊の課題であると考えます。

こうした中、我が会派では、学校体育館へのエアコン整備に向け、党に対し、国政の場における補助の拡充を強く働きかけるなど、国と地方が一体となった粘り強い取組を継続した結果、国の交付金が大幅に拡充されるという成果に繋がったと自負しており、この強力な後押しを背景に、今般、本市の次年度予算案において体育館へのエアコン整備費用が計上され、事業が具体的に動き出したことを高く評価しているところです。

全ての学校体育館へのエアコン整備は、多額の事業費が想定され、先ほど申し上げた国の交付金が令和15年度まで拡充されていることから、これを最大限活用しながら進めていくことが、本市の財政負担の軽減にも繋がり非常に重要なことと考えています。

そこで質問ですが、学校体育館へのエアコン整備について、どのようなスケジュールで進めていく考えか伺います。

(4)子どもが安心して学べる教育について

特に学校におけるいじめ問題への対応について質問いたします。

子どもが安心して学べるためには、何より学べる環境が安全であることが重要です。このいじめ問題は、子どもの人間性とその尊厳を踏みにじる人権侵害行為であり、子どもの安全を脅かす許されない行為です。

私は令和6年第2回定例会で、今回と同じテーマ「子どもが安心して学べる教育について」、当時就任したばかりの山根教育長にその意気込みを伺い、いじめは絶対に許されないもの、見逃したり深刻化させたりしないよう専門家の力も借りながら市長部局等とも連携し組織的に対応してまいるとの答弁をいただきました。

現在、本市ではいじめが重大化してしまい、重大事態調査が必要になった時には、学校の調査主体に、弁護士、大学教授、心理師などの3つの異なるタイプの専門家を派遣し、学校が法に添った適切な調査を行うよう、第三者の視点から助言する仕組みが丁寧に進められていると聞いております。

また、実際に対象となった子どもについては、重大事態調査を行うか行わないかを問わず安心して学べるよう、支援体制が取られていると思いますが、その後の対応についても実際のところが市民にはよく見えてこないことが不安に感じさせているところです。

しかし、事案の複雑化や関係者への聞き取りの難航により、調査開始から報告書の公表まで多大な時間を要するケースが散見されます。調査が長期化することは、被害児童生徒やその保護者にとって、精神的な苦痛を長引かせるだけでなく、不登校の状態に陥ったり元の教室に戻ることが困難になったりするなど、学習機会の喪失という二重の苦しみに直面してしまいます。

そこで質問ですが、これまでいじめの重大事態調査をどのように進めてきたのか、いじめの重大事態の対象である子どもが安心して学べるよう、どのように調査に取り組むのか伺います。

答弁

(1)こども誰でも通園制度の本格実施について

〇試行実施を通じて、本制度は、集団との関わりを通じた子どもの成長の後押しに加え、保育士への育児相談により、子育て家庭の孤立防止にもつながるものと改めて認識しているところ。

〇一方、本格実施に向けては、未だ施設数が少なく保護者の利便性が低いエリアが存在するほか、制度の継続性の観点から、保育人材の確保や事業運営費の拡充といった点にも課題があると受け止めている。

〇今後は、保護者の利便性を確保するため、施設数が少ないエリアの事業者に、きめ細やかに実施の働きかけを行うとともに、引き続き国に対し、安定的に運営できる制度とするよう要望してまいる。

(2)学校給食について

〇給食費を決めるに当たり、栄養バランスや量など給食の質を維持することを前提として、とりわけ精米価格が上昇していることを考慮し、令和8年度の1食単価について約8%の増額改定を行った。

〇中学校の給食費においては、子育て世帯への負担軽減を図るため、令和8年度は重点支援地方交付金による公費負担を約2億5千万円増額し約10億円として、保護者負担額を令和7年度と同額に据え置きとしたところ。

〇小学校給食と同様に中学校給食についても、無償化の早期実現を引き続き国に対して要望してまいりたい。

(3)学校施設のエアコン整備について

〇1点目の普通教室における整備の進捗状況について

普通教室等へのエアコン整備については、現在はPFI事業における整備を中心に進めているところ。

〇昨年夏も非常に暑さが厳しく、学校現場への影響も大きかったことから、改めて事業者と工期の前倒しを調整し、今年の夏までには全体の7割を超える延べ222校での供用を予定するとともに、令和9年夏には当初の計画を1年前倒し、一部の新改築工事等の対象校を除く全校での供用開始を予定している。

〇2点目の学校体育館における整備スケジュールについて

学校体育館へのエアコン整備については、多額の経費を要する事業であり、財政負担にも配慮しながら整備することが肝要であると認識。

〇このため、新改築等で整備する学校を除き、国の交付金拡充の年限である令和15年度までの整備完了を目指し、来年度は、まずは10校の実施設計を行うとともに、その他の学校の具体的な整備手法やスケジュールの検討を進めてまいる。

(4)子どもが安心して学べる教育について

〇いじめの重大事態調査の多くを占める学校が主体となって行う調査は、事実関係を可能な限り明らかにするため、札幌市においては、調査の開始から全ての段階において専門家が関与し、丁寧に調査を実施しているところ。

〇一方、当該手法は専門家との日程調整の必要性などから調査が終了するまでに長期間にわたることもあり、いじめの被害を受けた児童生徒の学校生活への影響などが課題。

〇このたび作成する札幌市独自のガイドラインでは、重大事態調査を円滑に進めることができるよう、調査実施の手順や、専門家と学校の役割分担、児童生徒への支援体制などを明確にすることとした。

〇今後、各学校とガイドラインの内容をしっかり共有し、子どもたちが安心して学ぶことができる環境づくりに努めてまいる。