議会報告

令和2年 第4回定例議会
代表質問 竹内 たかよ 議員
(清田区)

札幌市議会本会議において公明党議員会を代表して 竹内 たかよ 議員が代表質問を行いました。

以下、質問とそれに対する答弁の要旨を紹介します。

目 次

1 市長の政治姿勢について
(1) SDGsの理念を踏まえた新型コロナウイルス感染症対策について
(2) 行政デジタルトランスフォーメーションによる市民サービスの向上について
(3) 市民の信頼を高める財政情報の提供について
(4) 脱炭素社会の実現に向けた取組の考え方について
(5) 北海道胆振東部地震の経験を踏まえた災害に強いまちづくりについて
2 市民生活を支える経済・環境施策について
(1) 今冬の観光施策の進め方について
(2) 雇用シェア(在籍型出向制度)の推進について
(3) MaaSを見据えた公共交通の利用環境の改善について
(4) 生活道路の新たな除雪方法について
(5) 食品ロス削減のためのフードドライブの推進について
3 暮らしの安心に繋がる福祉施策について
(1) コロナ禍における認知症施策について
(2) 市民力とICTを活用した新しい見守り支援について
4 誰一人取り残さない教育施策について
(1) 児童虐待防止に向けた要保護児童対策地域協議会の支援水準向上について
(2) 公立夜間中学が目指す姿について
no1
市長の政治姿勢について
(1) SDGsの理念を踏まえた新型コロナウイルス感染症対策について
はじめに、SDGsの理念を踏まえた新型コロナウイルス感染症対策について3点伺います。

①新型コロナウイルスワクチン接種に向けた取組

本年は、SDGsの目標年である2030年への10年間に向けて、スタートをきる重要な1年となります。

本年2月、第1回定例議会の我が会派の代表質問に対し、秋元市長は、持続可能な札幌構築への市政運営について「これまでとは異なる考え方のもとで、経済と地球環境を両立させながら、持続可能なまちづくりをしていく必要がある。今後10年が、札幌市の次の100年の基盤をつくる大変重要な時期であることを念頭に、将来につながる市政運営を着実に進めていく」と決意を述べられました。

しかし、その矢先に、新型コロナウイルスの世界的感染拡大が進み、本市も、市民生活や社会経済活動に深刻な影響を受けております。SDGsが掲げる持続可能な社会構築は、たとえ想定外の事態にあっても毅然と挑戦を続ける取組みであると考えます。

本年は、目と耳と口の不自由という“三重苦”を克服していった、アメリカの社会活動家ヘレン・ケラーの生誕140周年に当たります。ヘレンケラーは言いました。「世の中はつらいことでいっぱいですが、それに打ち勝つことも満ちあふれています。」この言葉は、多くの人々に勇気を与えています。

SDGSの理念である「誰一人取り残さない、持続可能な」札幌の構築に向けて、札幌市との強い連携のもと、市民とともに現下の困難を乗り越えていくべく尽力して参ります。

未知なるウイルスとの戦いも、間もなく1年を迎えようとしていますが、「命と健康を守る」感染防止対策と、「生活を守る」経済回復とを両立させなければ、本当の意味で市民を守ることにはなりません。一日も早い終息を願う国民に応えるため、不安を希望へと転換する政策の柱の一つとして、公明党は「治療薬・ワクチンの研究開発」の加速とその確保、さらには接種希望の国民に対してはすべて国費で賄うよう繰り返し提言し、政府与党としてその実現に注力してまいりました。

現段階では、来年前半までの全国民分のワクチン確保を目指し、関連費用は今年度の補正予算の予備費6,700億円を充て、自治体の体制整備に必要な費用は国が負担することとしています。

国は、製薬大手の米ファイザーと英アストラゼネカの2社との間で、開発が成功した際には1億2,000万人分以上のワクチン供給を受けることで基本合意、さらには人口の20%に当たる約2,400万人分を購入する権利を確保することを念頭に、ワクチンを共同購入する国際的な枠組みである「COVAXファシリティー」にも参加しました。

ワクチン接種の開始により、新型コロナウイルス感染症の収束に向けた大きな一歩を踏み出すことが期待されますが、ワクチン接種については、当然、副反応も想定され、適切な情報提供を行い、十分な理解の上での接種が求められることはもちろん、さらには、副反応に対する相談支援窓口の設置など、接種希望者すべてに対応しうる体制の整備が急務であり、まずは、早期に担当部署を設置して準備するべきであると考えます。

そこで質問ですが、新型コロナウイルスワクチン接種に向けて、その実施主体となる札幌市はどのような役割を担うのか、また今後どのように取り組んでいくのかを伺います。

②感染症対策の総合研究機関(日本版CDC)の設立

新型コロナウイルスのような新たな感染症の世界的な流行は、今後も5年程度ごとに発生するとの見立てをする専門家も数多くおります。

こうした将来のことを見据え、先般、厚労省に赴き、国の新たな感染症に備えた今後の体制強化策について確認してきました。

国としては、当面、国立感染症研究所と国立国際医療研究センターが連携して互いの長所を融合し、リスクコミュニケーション、疫学情報と臨床情報を組み合わせて統合的な知見を収集、発信し、さまざまな感染症対策に備えていくとのことであり、将来的には札幌などに地方拠点を設置する可能性にも言及がありました。

観光を重要な基幹産業とする本市としては、持続可能な都市運営を目指し、将来の新たな感染症に備えた体制整備を急ぐのはもちろんですが、やはり国が中心となった強力な体制づくりが待たれるところです。

識者の中には、アメリカのCDC(アメリカ疾病対策センター)のような、研究から実地疫学調査まで幅広く行う感染症対策の総合研究所を日本も設立し、地方にも拠点を整備すべきとの意見もあります。

SARSやMERS、鳥インフルエンザを経験したアジアでは、既に中国や韓国のほか、台湾、タイでもCDCが設立されており、欧州ではEUがE―CDCを設立しています。
そうした国々も、以前は、日本に研修に来て、感染症の発生動向調査(サーベイランス)や対応を学んでいたが、すでに先を越されてしまった感もあります。

本市は、日本で、最初に新型コロナの感染が拡大し、手探りの対応を求められ、市民に多大なご苦労と協力をいただいてきました。そして、今なお多くの市民がこの感染症との戦いに苦しんでいるところです。世界的な感染症流行を想定した研究機関設立の必要性について、日本で最も実感しているのが札幌と言っても過言ではありません。持続可能なまちづくりを本気で進めるには、積極的に国に意見し、働き掛けることが重要です。

そこで質問ですが、新型コロナウイルス感染症対策は、国や道との連携、専門家会議等の意見などを踏まえ、当面は手探りで進めていくことになると思いますが、将来的に新たな感染症の発生を想定し、初期段階から迅速に対応する日本版CDCともいうべき研究機関の設立について、国に対し積極的に働き掛けていくべきと考えますが、市長の考えを伺います。

また、新たな研究機関の設立に当たっては、市に地方拠点を設けることも求めていくべきと考えますが、併せて伺います。

③ウィズコロナ時代のかかりつけ医等の役割

我が会派は、地域医療におけるかかりつけ医などの普及について、これまでも議会の中で取り上げてきました。

誰もが安心して、住み慣れた地域で暮らしていくためには、地域医療体制の充実は不可欠であり、信頼できる、かかりつけ医や歯科医、かかりつけ薬局の普及は本市の重要な施策として進めていかなければなりません。

新型コロナウイルス感染症の収束が見通せない中、インフルエンザの流行時期と相まって、初期診療を担う開業医や診療所の医師の果たす役割が増しております。

かかりつけ医は、何でも相談でき、必要に応じて専門医療機関につなげる身近な医療機関であり、このコロナ禍にあっても、リスクを負いながらもその機能を発揮し、感冒症状を訴える患者に対する問診や身体所見はもちろん、最近ではリモートやSNS、電話等も活用しながら、生活環境や診察履歴から細やかなアドバイスと的確な診断に努めております。

また、かかりつけ歯科医は、日本歯科医師会がこの夏、「歯科医療に関する一般生活者意識調査」を実施し、コロナ禍で6割を超える方が歯科受診に不安を感じると回答する一方で、不安を感じない理由として最も多かったのが「かかりつけ歯科医を信頼している」の45%であり、「歯科診療所の機材や器具の衛生面での十分な配慮」も35%を占め、かかりつけ歯科医を持つ方は精神的な不安が軽減されていると言えます。また、徹底した予防対策により、歯科医療機関での感染報告は聞いたことがなく、安全・安心な歯科医療の提供のみならず、医療・介護等の見識をもって、地域住民の口腔機能の維持・向上に日々当たっています。

さらに、我が党は、本年10月に北海道薬剤師会と意見交換を行いました。コロナ禍にあって薬局および薬剤師は、医療機関との連携を図り、医薬品の供給ニーズに対応するとともに、地域住民への相談対応、健康サポートにも当たっています。

そこで質問ですが、このように身近で信頼できる、かかりつけ医、かかりつけ歯科医、かかりつけ薬局は、コロナ禍においても市民生活をしっかりと支えており、本市の大変重要な医療資源であると考えますが、かかりつけ医等の役割について、札幌市はどのように認識しているのか、また、その普及促進についてどのように考えているのかを伺います。

(2) 行政デジタルトランスフォーメーションによる市民サービスの向上について

新型コロナウイルスの感染拡大に対する対応では、経済・働き方、生活、教育、医療、行政など、様々な分野において、我が国の政府・自治体におけるデジタル化の遅れが浮き彫りとなりました。
政府は、行政の生産性を上げるにはデジタルこそが鍵であるとしており、これまでの行政の縦割りを打破し、大胆な規制改革の断行とともに、行政のデジタル化をリードする強力な組織として、デジタル庁の創設を掲げています。

こうした国の動きに既に多くの市町村で行革とデジタルに対応する組織の立上げが活発化するとともに、大阪市、神戸市、千葉市や石川県加賀市などでは、行政手続きの全てをオンラインで完結させる方針を打ち出しています。

札幌市においても、行革やデジタル化に特化した組織体制を立ち上げ、権限や予算を付与するなど、市長の確固たる決意を市民に示していただきたいと考えますが、新型コロナウイルスへの対応や、組織間の調整も必要なことと思いますので、今はまず、速やかな体制検討に取り組んでいただくことを求めておきます。

一方で、昨年12月に改訂されたデジタル・ガバメント実行計画では、業務システムの標準化やオンライン申請の促進、AIやRPA等による自動化など、具体的なデジタル化プランが示されており、行政のデジタル化は待ったなしに進んでいます。
加えて年内には、ウィズコロナのニュー・ノーマルに対応した社会全体のデジタル化の将来像を示した「高度情報通信ネットワーク社会形成基本法」、いわゆる「IT基本法」の抜本改正の考え方も示される予定であり、政府は過去に類をみないスピード感で、本質的・抜本的な解決への決意を示しています。

振り返れば、本年第1回定例市議会おいて、我が会派から児童虐待等に対する情報共有や庁内のシステム連携について質問しましたが、市長は、ICTを活用したリスクマネジメントの検討を進めるとの答弁の後、素早く、情報連携するための新たなシステム構築に着手されました。
このように、我が会派としては、トップの決断・政治的イニシアテイブに大きな期待を寄せており、特に今、新型コロナウイルスの感染拡大の中、不安な日々を過ごす市民にとって、市長の確固たるリーダーシップは希望の光と言えます。

少子高齢社会・人口減少社会が到来した今、近い将来、職員の確保さえ困難となり、行政サービスの維持は困難になりかねません。国難とも言うべき状況が目前に来ている今、国と共に、デジタルを最大限に活用して、本質的な行革・行政のスリム化・生産性の向上に取り組む最後のチャンスです。

もちろんデジタルトランスフォーメーションはデジタル化が目的ではありません。高齢者などへの配慮として、デジタルデバイド対策も必要となりますし、市民に寄り添う対応は職員にしかできないことです。

今必要な行革とは、数年をかけて計画モノをつくることではなく、目先の効果を競うことでもなく、デジタルとアナログ、そして短期と中長期のいずれも見据え、市民ニーズや時代の要請に即応できる、機動的かつ本質的な取組です。

札幌市においては、全国に先駆け、業務の可視化とBPRを進めており、その行革への取組手法は、総務省においても高い評価を受けていると聞いていますが、今こそ、そのデータや知見を活用し、次のステップに進むべきと考えます。

そこで質問ですが、国の行政デジタルトランスフォーメーションに呼応し、本市も業務の効率化に関し、デジタルやデータを活用しながら、より一層の市民サービスの向上に取り組むべきと考えますが、市長のお考えを伺います。

(3) 市民の信頼を高める財政情報の提供について

札幌市は、アジア初となる冬季オリンピックの開催を経て大きく飛躍し、今や197万人を擁する大都市へと発展しました。また、都市の拡大に合わせて、計画的なまちづくりを着実に進め、都市基盤や基礎的なサービスを充実させてきました。

しかし、ここ数年のうちに、人口は減少局面に転じると見込まれており、今後、施設やインフラの更新時期を一斉に迎えようとしています。将来に予測される人口に見合ったインフラや公共施設の在り方を再検討する必要があり、平成29年度に「札幌市市有施建築物及びインフラ施設等の管理に関する基本的な方針」を策定し、その後の2度の改定を経て現在に至ります。

昨年12月の改定では、中長期的な事業費の見込みや、施設総量に関する10年後の数値目標と50年先の試算、公共施設マネジメントの取組による効果額等を追記の上、改めて整理したものとなりました。こうした取組を進める際には、全体の更新の見通しをはじめ、機能が重複する施設の複合化、配置基準の見直しなどを議論しながら進めていくことになりますが、総論では賛成であっても、身近な施設の統廃合という各論では、反対意見が出てくるとも思われます。

今後、個別に議論を進めていく中、市民への的確な情報発信をするという意味でも、地方公会計の活用によるデータの把握、分析が有用ではないかと考えます。施設の統廃合や、事業の廃止・優先順位の判断に、単年度、現金主義的な視点に加え、ライフサイクルコストやフルコストなどの情報提供が、市民との議論の場では必要です。これから求められる財政情報の質とは、将来的なリスクを踏まえた意思決定に役立つ情報であり、今後の公共施設マネジメントの取組を進める上で、地方公会計による施設別、事業別のセグメント分析は、市民にとって大切な情報になると感じています。

そこで質問ですが、市民の信頼を高める財政情報の提供について、今後どのように取り組むのかを伺います。

(4) 脱炭素社会の実現に向けた取組の考え方について

世界中で猛威を振るう異常気象や気候変動は、今や単なる環境問題にとどまるものではなく、人類の命運をも握る根本課題と考えます。国際社会もその危機感から対策の動きを強め、欧州連合(EU)ではパリ協定に基づき、2050年までに温室効果ガス排出を実質ゼロとする目標に向けて取組を加速させています。

本年9月には、排出量が世界最多となる中国も、2060年までに実質ゼロとする目標を打ち出し、米国も、次期大統領となるバイデン氏がパリ協定への復帰を公約しています。一方、我が国は、実質ゼロとする具体的時期を示してこなかったこともあり、その消極的な姿勢が国際的な批判を受けてきました。

我が党はこの間、2050年に温室効果ガス排出実質ゼロを目指すべきと政府に提言しており、本年10月、菅首相は所信表明演説で、2050年カーボンニュートラルを宣言、さらに脱炭素化と経済成長とを両立する「グリーン社会」の実現に取り組むと表明し、国連のグテーレス事務総長をはじめとする国際社会から高く評価されたところです。

しかし、脱炭素社会の実現は容易ではなく、我が党は、徹底した省エネをはじめ、再生可能エネルギーの主力電源化の推進、石炭火力発電の段階的縮小やイノベーションの創出など、あらゆる政策を動員して脱炭素社会への取組を加速するとともに、国・自治体・経済界等によるオールジャパンで取組を実現することが不可欠であると、国会で指摘しました。

こうした中、札幌市は、本年2月の第1回定例市議会での我が会派の代表質問に対し、秋元市長が2050年「ゼロカーボンシティ」を宣言し、国に先立って脱炭素社会に向けてスタートを切ったところです。

ゼロカーボンシティ宣言は、10月末時点で23都道府県、144市区町村を数え、その人口規模では約8千万人に達しています。また、隣の石狩市では、太陽光発電設備及び小型風力発電と、水素・燃料電池技術を組み合わせ、地域の防災拠点施設へ再生可能エネルギーを供給する「エネルギーの地産地消」のモデル的な取組が注目を集めています。

札幌市も、「環境首都・札幌」を標ぼうする都市として、また、脱炭素を宣言した先行自治体として、持続可能なまちづくりの観点から、脱炭素化に向けた課題や対応の方向性を明確に見定め、実効性のある取組を進めていくことが求められます。

そこで質問ですが、2050年の脱炭素社会の実現に向けて、どのような考え方に基づいて取組を進めていくのかを伺います。

(5) 北海道胆振東部地震の経験を踏まえた災害に強いまちづくりについて
①地震被害想定の見直し

北海道胆振東部地震の発生から2年が経過し、現在は新型コロナウイルス感染症の発生により、地震の記憶が薄れる傾向にありますが、これまでにない被災経験を、今後いつ発生するか分からない災害への対応につなげていくことは非常に重要です。

このように自然災害が激甚化し、その発生が差し迫っているとも言える中、災害に強いまちづくりを進めていくためには、これまでの行政によるハード中心の対策では立ち行かないことは明らかであり、市民と行政が一体となるソフト対策を含めた「減災」に向けた取組の重要性について、我が会派としても改めて認識を確かにしているところです。

また、2年前の地震を振り返ると、清田区の里塚地区や美しが丘地区など、盛土により宅地造成された市街地において、液状化などに起因した大きな被害が発生しました。

これらの地区においては、市が再発防止のための対策工事を順次進めていますが、被害の発生メカニズムの究明や対策工のための技術的な検討の中で、盛土の土質は特殊なものであり、造成年代が古い場合に被害が発生しやすい傾向にあることや、当時の施工方法も被災に影響していることが分かってきました。

また、令和2年3月末に公表した市内183カ所の大規模盛土造成地の中には、2年前に被災した地区と類似する盛土が存在すると聞いています。
減災の取組を進め、災害に強いまちをつくるためには、地域にどのようなリスクが存在するのか、それを市民が十分に理解することが重要であり、行政からの正確かつ的確な情報発信が必要不可欠であると考えています。

札幌市では、現在、北海道胆振東部地震を契機として、現行の地震被害想定において、液状化の発生状況や建物の被害数といった各種被害内容の見直しを進めており、最終的には地震防災マップを改訂すると聞いています。

私はこれまでも、地震被害想定の見直しに際しては、北海道胆振東部地震の経験を踏まえ、地域における災害リスクについて、関係部局の連携により必要な情報を共有しながら進めていくことを強く要望してきたところです。

そこで質問ですが、地震防災対策を推進するための前提となる地震被害想定の見直しにおいて、震災を踏まえて札幌市が取り組んでいる地震被害の対策を反映していくことが必要と考えますが、その対応について伺います。

②地震被害を踏まえた防災・減災に資する市民とのリスクコミュニケーション

2年前の地震で被災された方からは、自宅があのような被害に遭うことは全くの想定外であったとの声を数多く聞きます。

また、今年3月の大規模盛土造成地マップの公表を受けて、多くの市民が「自宅が盛土の上にあることを知らなかった」と言い、それが実情であると認識するところです。

昨年度、国は、北海道胆振東部地震の被害を踏まえ、宅地防災対策を推進するべく、今後の大規模盛土造成地の対策の在り方に関する専門家会議を開催し、報告書をとりまとめました。

この報告書によれば、大規模盛土造成地にある宅地防災対策を進めていくために、国による自治体への技術的なバックアップや財政面の支援に加えて、市民と行政とが潜在するリスクを共有した上で、宅地の安全性を把握することも重要であるとしており、本市はその取組を実施するモデル地区となっています。

公表されている大規模盛土造成地マップには、多くの盛土が掲載されており、市民が宅地防災を考える上で有益な資料だと評価しています。

また、マップに掲載する大規模盛土について、現在行われている地震時の安定性の確認作業が完了すれば、宅地の安全性に関するリスクの共有は進むものと思いますが、2年前の地震による盛土部の被害を鑑みると、盛土造成地で暮らす市民の中には、この情報により不安を募らせる方もいると考えます。

このため、一方向の情報提供に留まらず、大規模盛土造成地マップに加えて、市民が抱える不安や疑問に応えて対応するなど、双方向で情報共有する、いわゆるリスクコミュニケーションを図ることが、市民の不安解消や防災意識の涵養に資するとともに、災害に強いまちづくりに向けた施策としても重要です。

そこで質問ですが、大規模盛土造成地で発生した地震被害を踏まえて、防災・減災に資する市民とのリスクコミュニケーションについて、今後どのように取り組んでいくのかを伺います。

③大規模盛土造成地の予防対策の進め方

先に述べたように、市内には183カ所の大規模盛土造成地があり、中には、2年前に被災した里塚地区、美しが丘地区などと同様な土質で同時期に造成された盛土も存在します。

被災した地区の原因究明や対策の検討を進める中で、被害が発生しやすい盛土の特徴も一定程度の把握が進んでいるようですが、2年前の地震では甚大な被害に至らなかったものの、同等以上の規模の地震があれば、里塚地区や美しが丘地区と同様の被害が発生する地区があるのではと危惧するところです。

そこで質問ですが、2年前と同規模以上の地震が発生した場合、大規模盛土造成地において被害が発生する可能性に対する認識と、その予防対策をどのように進めていくのかを伺います。

(1) SDGsの理念を踏まえた新型コロナウイルス感染症対策について

○1点目の新型コロナウイルスワクチン接種に向けた取組について
10月23日に厚生労働省から発出された通知では、市町村の役割として、ワクチン接種に必要な実施体制の整備、住民への周知・広報、接種対象者への通知、問い合わせ対応、接種記録の管理等が挙げられている。

〇詳細については、現在、情報収集に努めているが、実施する際には、未だかつてない規模の接種事業となることが想定されるところ。

〇このため、早急に事前準備に向けた人員を配置して、ワクチンの供給が可能となった際に、市民の理解を得ながら速やかに接種を開始できるよう、国や道と連携し、しっかりと準備してまいりたい。

〇2点目の感染症対策の総合研究機関(日本版CDC)の設立について
平常時から感染症に備え、情報収集や研究を進め、危機発生時には速やかに、国民等への効果的な情報発信や対策等を実行していく体制を構築することは重要と認識。

〇今後の我が国での感染症対策については、国や既存の研究機関、そして地方公共団体等の役割分担など、今回の事態を踏まえた検討が必要と考えており、今後とも国の検討の動きを注視しつつ、他都市との連携を図りながら、国に提言してまいりたい。

○3点目のウィズコロナ時代のかかりつけ医等の役割について
かかりつけ医等は、相談対応や診療を行う際に、患者の受診歴や既往症などを良く把握していることから、市民に大きな安心を提供するとともに、疾病の予防・早期発見を担う重要な存在。

〇新型コロナウイルス感染症の流行下において、札幌市では、この冬、発熱した際に、かかりつけ医に相談するよう勧めており、適正な受診行動の促進に関して、その果たす役割は、更に大きくなったと認識。

〇さっぽろ医療計画2018に掲げる基本目標のひとつである市民の健康力・予防力の向上のためにも、かかりつけ医等があることは重要と考えており、引き続き、その普及に努めてまいりたい。

(2) 行政デジタルトランスフォーメーションによる市民サービスの向上について

○市民サービスの向上と行政事務の効率化を目指す、いわゆる行政デジタルトランスフォーメーションの推進に当たっては、デジタルを前提として市民サービスがどうあるべきかという視点の下、業務のプロセスそのものを見直すことが重要と認識。

〇札幌市では、プロセスを見直す際に根拠ある議論ができるよう、業務の可視化と分析に取り組んできており、そのデータから、自動化・集約化の検討が可能と思われる作業の整理・分類も進んだところ。

〇さらに、市民の利便性向上に資するよう、市民が来庁することなく、24時間いつでも手続を行っていただける、オンライン申請の拡大にも取り組んでいるところであり、今後も、より一層の市民サービス向上を図っていく。

(3) 市民の信頼を高める財政情報の提供について

○公共施設マネジメントの取組は、市民の皆さまとしっかり議論し、一緒に考えて進めることが必要なことから、コストも含めた情報をわかりやすく的確に提供することが重要。

○昨年12月に改定した札幌市市有建築物等の管理に関する方針では、施設総量に関する50年先の試算を示したほか、「広報さっぽろ」に掲載して解説するなど、情報共有と理解を深めていただく取組を実施してきた。

○今後、具体的な議論を進める際には、ライフサイクルコストや施設別のコスト分析を行うセグメント分析結果の提示など、地方公会計の手法も取り入れた財政情報の提供に努め、市民の皆さまの理解を得ながら取組を進めていきたい。

(4) 脱炭素社会の実現に向けた取組の考え方について

〇2050年の温室効果ガス排出実質ゼロは、極めて高い目標であるが、実現に向け、札幌市の地域特性を踏まえた効果的な取組を、国の施策と連携を図りながら、市民・事業者・札幌市が一体となって進めていくことが必要と認識。

〇特に、冬季の暖房エネルギー消費が大きい札幌市においては、オフィスビルや住宅、市有施設等の新築・建替の際に、断熱性能を向上させ、エネルギー消費の大幅な削減を図り、ゼロエネルギー化につなげていくことが重要となる。

〇また、再生可能エネルギーの利用拡大が不可欠であり、一般家庭や市有施設等への太陽光発電設備の設置に加え、風力発電など道内で生み出される豊富な再生可能エネルギーを札幌市において幅広く活用していくための取組を進めてまいりたい。

(5) 北海道胆振東部地震の経験を踏まえた災害に強いまちづくりについて

○1点目の地震被害想定の見直しについて
地震被害想定の見直しにあたっては、北海道胆振東部地震の復旧事業や大規模盛土造成地変動予測調査などに関連する取組や対策の結果を、適切に反映することが重要と認識。

〇このため、これまで実施した大規模盛土造成地の調査や対策工事に基づく地盤強度の判定結果については、来年度見直しを完了する地震被害想定や地震防災マップに反映させるべく、作業を進めている。

○また、来年度以降の判定結果などについても、適宜、専門家の意見を踏まえた上、地震防災マップに反映させ更新していく。

○2点目の地震被害を踏まえた防災・減災に資する市民とのリスクコミュニケーションについて
市民の不安や疑問の解消につなげるリスクコミュニケーションに向けて、一般社団法人地盤品質判定士会のご協力をいただき、宅地に関する個別の問い合わせについて適切な助言等ができるよう相談体制を整備したところ。

○また、今回得られた地震時における盛土造成地の特徴などを教訓として、市民一人一人の防災意識や地域における防災力の向上に生かせるよう、ホームページへの掲載や出前講座などを実施していく。

〇このような取組を通じて市民との相互理解を図り、信頼関係を深めてまいりたい。

〇3点目の大規模盛土造成地の予防対策の進め方について
北海道胆振東部地震と同規模以上の地震が発生した場合の被害発生の可能性については、各盛土における安定性などを確認して判断する必要があると認識。

○今年度から3か年の予定で行っている変動予測調査では、造成時の資料や2年前の地震における被害状況等を勘案し、優先度が高いと判断した盛土から地盤調査を進めているところ。

〇これにより安定性の確認できない箇所については、順次、より詳細な調査を行い、その結果を踏まえ、必要な予防対策を検討してまいりたい。

no1
市民生活を支える経済・環境施策について
(1) 今冬の観光施策の進め方について

観光産業は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を最も顕著に受けている分野です。札幌の経済をけん引する裾野の広い基幹産業でもあり、観光産業の趨勢が札幌経済全体に与える影響は極めて大きいものと認識しております。

報道によると、日本旅館協会北海道支部連合会の集計では、政府の緊急事態宣言下にあった5月には、道内の宿泊実績は、前年同月比のわずか7%の底となりましたが、その後は徐々に回復し、10月には前年同月比85%まで回復してきました。

しかしながら、11月7日に北海道による警戒ステージが「3」に引き上げられたことを契機に、予約のキャンセルが相次ぐとともに、新規の予約も止まっているとのことであり、せっかくの回復傾向から一転し、先が見えない状況に逆戻りしています。

現下のコロナウイルスの感染拡大の局面にあっては、感染拡大の防止対策が最優先されることはもちろんですが、こういった厳しい環境のもと、観光関連事業者や、そこに従事する市民の雇用と生活を守っていくことも、大変重要と考えます。

苦境にあえぐ観光産業を支援していくためには、札幌市としてもしっかりとした施策を実施していく必要がありますが、この冬における観光施策としては、例年実施している「雪まつり」などの集客イベントに加え、新型コロナウイルスからの観光需要の回復を目指して補正予算で計上した「サッポロ冬割」や「観光施設の入場料無料化」などが予定されています。

市内における新型コロナウイルスの感染の収束を見通すことができない中、今冬の観光施策のかじ取りをどのように行っていくのかは難しい課題ではありますが、今後も状況を見極めながら、適切に実施の可否を判断していくことが必要です。

また、新型コロナウイルスの感染が急速に拡大する局面では、スピーディーな対応が求められますが、これまで市や道の取組を報道で知らされ、唐突さを感じる場面もあり、情報提供の在り方にも課題があると感じているところです。

そこで質問ですが、今冬の観光施策について、どのように進めていくのかを伺います。

(2) 雇用シェア(在籍型出向制度)の推進について

現在の雇用情勢は、新型コロナウイルスの感染拡大により、宿泊業や飲食業などを中心に、さらなる悪化が懸念されています。厚労省の発表によると、感染症拡大に関連する解雇や雇い止めによる離職は、増加の勢いはやや鈍化しているものの、見込みも含めて道内で2,500人を超える状況となっています。札幌市としては、離職等を余儀なくされた求職者への専門相談窓口の開設や、給付金付きの再就職支援事業などの対策を講じてきたところです。

しかし、解雇された離職者は、これまで積んできたキャリアを中断されるだけでなく、収入減等より日々の生活に大きな不安を抱えてしまうことから、そもそも離職者を生み出さない視点からの取組も重要です。これまでも、企業では、雇用調整助成金等の活用により雇用の維持に努めていますが、一方では、従来から人手不足が生じている業界もあることから、そうした業界に人材を在籍させたまま出向させ、労働力として活用する雇用シェアを積極的に推進すべきであると考えます。

この雇用シェアは在籍型出向制度と言われ、労働者を離職させることなく、雇用機会の確保等を目的で行う場合は、出向元に在籍しながら、出向先との二重の雇用関係について、特例で認められる制度となっています。

出向元の企業が、出向労働者の賃金水準を維持するために、出向労働者の賃金の一部を負担する場合は、その負担分に雇用調整助成金が活用できるほか、出向労働者が異業種での経験をその後のキャリアに生かせるという効果も期待できます。

現在、雇用シェアは、公益財団法人産業雇用安定センターにおいて「雇用を守る出向支援プログラム2020」として、マッチング支援が無料で実施されており、道内においても、このプログラムを通じて、ホテル業界の従業員が、スーパーマーケットの商品管理スタッフとして出向した実績があると聞いています。

また、雇用シェアは、少子高齢化が進展し、生産年齢人口の減少が見込まれる札幌市においては、アフターコロナにおいても、限られた労働資源を有効に活用する手法として大きな可能性を秘めており、将来の市政課題の解決にもつながるもと期待できるものの、制度の周知不足が課題にもなっています。

そこで質問ですが、雇用シェアは「離職のない労働移動」を実現するものであり、コロナ禍のみならず、今後の雇用施策の中でも効果が期待できることから、札幌市として雇用シェアの取組を支援していくべきと考えますが、市の見解を伺います。

(3) MaaSを見据えた公共交通の利用環境の改善について

路線バスなどの公共交通については、人口減少、少子高齢化に伴う交通需要の縮小や、バス運転者不足の深刻化などによって、持続的な経営が大きな課題となっています。

そうした中、国では、地域の輸送資源を総動員し、持続可能な地域公共交通を実現するため、地域公共交通活性化法及び道路運送法を本年5月に改正したところです。

この法改正の特徴の一つとして、MaaS(マース)の円滑な普及促進が掲げられており、事業計画の認定制度や、幅広い関係者の協議・連携を促進するための協議会制度が創設されています。
MaaSは、ICTを活用し、マイカー以外のすべての交通手段による移動を一つのサービスとして捉え、シームレスにつなぐ新たな移動の概念であり、これが実現されると、利便性の向上はもとより、利用の促進、環境負荷の低減にもつながるものと期待しています。

しかし、昨今の休業要請や在宅ワークなどの新しい生活様式の定着を背景に、マイカーへの移行なども進み、交通事業者の採算性が著しく低下していることから、その健全な経営の維持が喫緊の課題となっております。

国交省によると、2月から7月までのコロナ関連の休廃業は、貸し切りバスが81社、タクシー会社が66社にのぼり、埼玉県では路線バス会社の倒産も発生しているとのことです。

コロナ禍にあっても、公共交通の社会的な役割は非常に大きく、様々な公共交通を効率よくつなぐMaaSに関する取組を進めていくためには、例えば、バスとバスの乗継割引の創設やタクシー利用におけるSAPICA(サピカ)決済の拡充など、市民が利用しやすい環境を整えることで、まずは公共交通自体の維持に努めることが重要であると考えます。

そこで質問ですが、コロナ禍において、利用者の不安に十分に配慮しつつ、市が積極的に関与して公共交通の利用環境を改善していくことが重要と考えますが、市の見解を伺います。

(4) 生活道路の新たな除雪方法について

札幌市の雪対策は、毎年の市民意識調査の市政への要望において、「除雪に関すること」が常に上位に挙がるなど、市民からの注目度が高い事業です。

しかしながら、除排雪に携わる事業者からは、人員の確保に苦しんでいるという声が数多く寄せられます。「休日が少ない」「労働時間が不規則」といった気象状況に左右される労働環境も大きく影響しているようです。

そして市民に目を向けてみると、高齢化の進行により、住宅前の除雪を自ら行うことが困難になる方が増える傾向にあります。また、除雪に対する要望などは、年間で2~3万件あり、出入口前に置かれる雪への内容が多くなっているとのことです。

このような中、特に我が会派として注目している取組が「生活道路の新たな除雪方法の検討」であり、私も昨年の決算特別委員会から繰り返し取り上げてまいりました。この取組は、除雪従事者の労働環境改善につながるだけでなく、出入口前の雪処理に係る地域住民の負担軽減という効果もあり、今後の持続可能な雪対策を実現する上で有効な取組の一つになると期待しているところです。

昨年度からの試行では、初めての試みであり、また特異な気象状況でもあったことで、除雪作業の出動判断が難しかったという声や、道路状況改善のために、一部の路線において簡易な排雪を行ったと聞いています。今のうちに様々な課題や対応策などをしっかりと検証するとともに、市民の理解を得た上でより良い方法を確立していくことが重要だと考えます。

先の建設委員会では、今年度、試行の目標数を4~8地域としていたところ、10区13地域29町内会に拡大して実施するとのことでありました。また、一部事業者からの「ぜひこの取組を進めてもらいたい」といった要望も聞いていますので、今後も検討に力を入れてもらいたいと考えます。

そこで質問ですが、「生活道路の新たな除雪方法」は持続可能な雪対策を実現する上で非常に有効な取組であると考えますが、今後どのように検討を進めていくのか伺います。

(5) 食品ロス削減のためのフードドライブの推進について

我が国においては、まだ食べることが出来る食品が、生産、製造、販売、消費等の各段階において日常的に廃棄され、大量の食品ロスが発生しています。国では「食ロス削減法」等を策定し、2000年を基準に2030年までに食品ロス発生量を半減することを目標に掲げ、国民運動として取組を進めています。

令和2年3定の決算特別委員会において、市の状況を質問したところ、これまで様々な削減の取組が行われ、数字の面でも一定の効果が出ていることは確認できました。とはいえ、札幌市民の家庭からは、年間2万トンの食品ロスが発生しており、その削減に向けたさらなる取組が必要であると考えます。

食品ロス削減の取組の一つとして、フードドライブが注目されています。フードドライブは、家庭で眠っている食品を、地域の団体などを通じて、必要とする人たちに寄付する活動です。札幌市内においても、フードドライブ活動の芽は出始めているものの、まだ一部の活動に留まっている現状です。

先月、東京都の荒川区を訪問し、食品ロス削減事業「荒川もったいない大作戦」を視察したところ、フードドライブは市民が気軽に参加できる、とても効果的な取組であると実感しました。札幌市においても、SDGs未来都市として、市民が気軽に食品ロス削減への取組に参加できる環境づくりに向けて、一歩踏み込んでいく必要があると考えます。

そこで質問ですが、食品ロス削減に向けて、市民が参加しやすい環境づくりの一つであるフードドライブの推進について、市ではどのように考えているのかを伺います。

(1) 今冬の観光施策の進め方について

○今年の秋以降、新型コロナウイルスの感染がこれまでの水準を大きく上回って拡がっていることから、感染拡大の防止を最優先事項として取り組んでいるところ。

〇一方で、感染防止対策と社会経済活動との両立を図ることも重要であり、札幌の経済を支える観光関連の施策については、感染状況に応じた工夫をしながら実施していきたいと考えている。

○具体的には、足元の感染状況はもとより、先々の状況や全国的な動向も見据えながら、事業規模や実施時期の変更、さらには事業実施の可否も含めて、柔軟に対応できるように準備を進めているところ。

○刻々と状況が変化していく中ではあるが、事業内容等の変更や、その考え方について、適宜、議会はもとより市民にも丁寧にお伝えしながら進めていきたい。

(2) 雇用シェア(在籍型出向制度)の推進について

○産業雇用安定センターが実施している雇用シェアは、コロナ禍により雇用情勢が厳しくなる中、労働者の雇用と活躍の場を確保するものであり、依然として人材が不足している企業を受入先として、離職せずに他企業で働くことを可能とする効果的な制度であると認識。

〇しかしながら、労働者の出向にあたり、企業間の労働条件の取決めや、本人の意に反しないことなど、慎重に手続きを進める必要があり、この制度を活用している企業は少数にとどまっていることから、活用のメリットや留意事項など、さらなる周知が必要であると認識。

〇具体的には、ホームページでの広報や就業サポートセンター事業等の求人開拓において周知することに加え、事業者向け相談窓口において社会保険労務士によるアドバイスを行うなど、企業が円滑に制度を活用できるよう積極的に協力をしてまいりたい。

(3) MaaSを見据えた公共交通の利用環境の改善について

○MaaSなどによって、利用者が目的地に便利で快適に移動できる、シームレスな環境を実現させていくことは重要であると認識。

○一方で、この実現には、交通事業者の安定的な経営が必要であるが、昨今の新型コロナウィルスの感染拡大に伴う収支の悪化が甚大であることから、短期的な対応として、経営安定化を図るため、安心して利用できる取組や利便性を高める取組を進めてきた。

○具体的には、路線バス事業者とタクシー事業者に感染予防のための支援金を交付するとともに、公共交通の乗換案内である「さっぽろえきバスナビ」に、「バスロケーション」機能を追加し、バスの遅れなどをリアルタイムで把握できるようにしたところ。

○今後とも、各交通事業者と協力し、運賃の決済方法にICTを活用するなど、MaaSを見据えた公共交通の利用環境の改善について継続的に取り組んでまいりたい。

(4) 生活道路の新たな除雪方法について

○この新たな除雪方法は、市民にとっては出入口前の雪かき負担の軽減、従事者にとっては不規則勤務の改善などにつながる取組と考えているが、地域の皆様や除雪事業者の方々のご理解とご協力をいただきながら進めていく必要があると認識。

○このため、課題の洗い出しや作業効果などについて、より多くの試行を重ね、検証を深めていきたいと考えており、今冬は全区に試行地域を拡大したところ。

○今後については、次年度以降もさらに対象を拡大していくとともに、様々なご意見や評価もいただきながら、生活道路の新たな除雪方法の確立に向け、検討を進めてまいりたい。

(5) 食品ロス削減のためのフードドライブの推進について

〇現在、家庭における食品ロスの削減に向けては、計画的な購入などによる発生抑制について、啓発キャンペーン等を通じて呼びかけている。

〇一方、お中元やお歳暮などで受け取る食品においては、計画的に利用することができない場合も想定されるため、こうした食品を活用できるフードドライブは、食品ロス削減にも有効。

〇今後、フードドライブを推進するために、どのような手法が効果的なのか検討してまいります。

no1
暮らしの安心に繋がる福祉施策について
(1) コロナ禍における認知症施策について

これまで、わが会派は議会を通じて、本市の認知症施策を後押ししてきました。本市においては認知症の方とその家族を支える地域づくりに取り組み、認知症カフェや認知症サポーターの育成、さらにはガイドブックも作成し、地域での活用、早期の相談や支援に努めてきたことは承知しております。

新型コロナウイルスの感染拡大が収束しないなか、高齢者や基礎疾患のある人は重症化を警戒しなくてはならず、これからの冬期間、外出や運動を自粛することで認知症がより進み、家族の介護負担の増加が懸念されるところであります。

公明党では党内に認知症施策推進本部を設置し、本年9月、老年医学会や大学研究者等がオンラインで調査した結果を踏まえヒヤリングを行い、新型コロナウイルス感染拡大が認知症の人に与えた影響について状況把握しました。調査結果によれば、在宅では、本人が介護サービスを受けられなくなったことにより、家族の身体的・精神的・金銭的負担が生じており、このような状況は本市においても例外ではありません。

わが会派は、今年の1定の予算特別委員会で福岡市が国立病院機構東京医療センターの協力のもと取り組んでいるユマニチュードについて取り上げました。ユマニチュードは人間らしさを尊重し、患者の自立につなげようとする取り組みで、介護する側の負担軽減にもつながる「認知症コミュニケーション・ケア技法」であります。福岡市ではコロナ禍においても、介護する家族の負担軽減のため、オンライン講習会などによりユマニチュードの普及啓発に取り組んでおります。

コロナ禍でこそ、さまざまな取り組みにより介護者の負担軽減を図り、認知症の方とその家族が、社会のなかで悩まない、孤立しないために認知症施策を進めていくべきと考えます。

そこで質問ですが、コロナ禍における認知症の方とその家族への支援についてどのように進めてくのか伺います。

(2) 市民力とICTを活用した新しい見守り支援について
①子どもの安全確保のための見守り

本市において、子どもに対する声かけ・つきまといなど、凶悪事件に発展する恐れがある事案が、新型コロナの外出自粛要請後の6月以降は増加傾向にあり、多くの不安の声が寄せられています。そうした中、子どもの見守りは、保護者や地域の方々、事業者によって支えられ、頭の下がる思いです。一方で、見守りの担い手不足が懸念されており、他都市では犬の散歩をしながら見守りを行うといった新たな手法も取り入れられています。

本市では、これまで地域のボランティアにより、「子ども110番の家」の取組が行われており、協力者の家屋には助けを求めやすいようSOSのステッカーが貼られています。本市ではステッカーの配布を行うなど、この活動を着実に後押し、地域での活動の広がりは、地域ぐるみの防犯意識の向上にもつながるものであり、引き続き推進してほしいところです。

さらに、会派として、見守りの最先端を行く東京都品川区の取組を視察しましたが、全ての小学生1万6千人に防犯端末を無償で貸与し、緊急通報時には現在地を把握でき、かつ音声通話が可能であり、オペレーターが状況に応じて警察に通報し、事前登録した地域住民が駆けつけて安全を確認するという先進的なものでした。この取組について、担当者から「行政、警察、住民の連携が強化されて、地域の意識が子どもに向けられるようになったことが、導入の大きな成果だった」と伺いました。

本市でも、今後このような先進的な取組を参考にして、行政や警察、地域住民の連携が一層強化され、市民の意識が子どもの安全にさらに向くような取組が必要と考えます。
そこで質問ですが、子どもの安全確保のための見守りの充実に向け、市としてどのように取り組んでいくのかを伺います。

②高齢者の見守り

平成27年に実施された国勢調査の結果では、本市における65歳以上の高齢者でひとり暮らしの方は104,650人おり、全高齢者の実に21.6%に及ぶ状況です。そうした中、できる限り住み慣れた地域で過ごしたいという方々が増えており、その割合は全体の6割以上という調査結果が出ています。

こうした方々が地域で安心して暮らし続けるためには、見守りの取組がますます重要であり、民生委員の訪問や、我が会派が進めてきた安心コールの活用はもちろんですが、先日、奈良県立医大が進めるセンサーやロボット等の活用や、バイタルをリアルタイムでご家族などに知らせる先進的な見守りを視察し、コロナ禍でのデジタルの活用が急務であると実感しました。

また、高齢化の進展に伴い認知症の方も増加し、徘徊により行方不明になる事案が、全国的な問題になっています。2019年の行方不明者は1万7,479人で、本市では2015年度には210件だったのが、2019年度には291件まで増加しています。

こうした中、本市としては徘徊認知症高齢者SOSネットワークを推進し、民間の協力も得ながら捜索する体制がありますが、この一環として認知症高齢者等身元確認シール配布事業も実施されています。これは、名前と電話番号を靴の内側等に貼るものですが、他都市の先進事例では個人情報保護の観点から、どこシル伝言板というQRコードを衣服等に付着し、困っている高齢者がいた場合にはQRコードを通じて、保護者と発見者がアクセスできる24時間体制の伝言板に繋がり、発見からご家族への引き渡しまで迅速で大変に喜ばれ、このシステムを導入する自治体が増えている状況です。こうしたICTを活用した見守り等の手法も、今後より幅広く活用して行くべきと考えます。

そこで質問ですが、高齢者が地域で安全・安心に暮らしていくために、日々進歩するデジタル技術を活用すべきと考えますが、市の見解を伺います。

(1) コロナ禍における認知症施策について

○コロナ禍においては、感染の危険を避けるため閉じこもりがちな生活が続いたり、これまで通りの介護サービス利用が難しいなどの理由により、認知症の方とその家族に身体的・精神的な負担が増大していると認識。

○札幌市では、そのような方に対し、区役所や地域包括支援センターなどが、電話や訪問により健康状態の確認や介護者の不安・負担感を聴き取るなど、必要な支援を行っているところ。

○今後は、認知症の方とその家族が孤立しないよう、身近な相談窓口のさらなる周知を行ったり、認知症を理解し地域で支える人の養成講座をオンラインで開催するなど、コロナ禍においても認知症施策を進めてまいりたい。

(2) 市民力とICTを活用した新しい見守り支援について

○1点目の子どもの安全確保のための見守りについて
これまで、学校や町内会など地域の方々、事業者の皆様などと連携し、「子ども110番の家」の活動を推進しており、今後はこれに加え、新たに市民による散歩や買い物などをしながら地域を見守る「ながら防犯」の支援に取り組んでまいる。

○また、これらの子どもの安全確保の取組については、他都市の先進的な事例を調査研究しながら、関係機関・団体との更なる連携の強化や防犯ネットワークの拡充を図り、社会全体での子どもの見守りの充実に一層努めてまいりたい。

〇2点目の高齢者の見守りについて
デジタル技術は日々進歩しており、高齢者が地域で安全・あんしんに暮らすためのICT技術を活用したサービスは、民間が行っているものも含めて様々なものが提供されていると認識。

〇札幌市としても、ICTを活用した見守り支援について引き続き事業者からの情報収集に努めるとともに、他都市の導入事例について調査研究を行ってまいりたい。

no1
誰一人取り残さない教育施策について
(1) 児童虐待防止に向けた要保護児童対策地域協議会の支援水準向上について

昨年6月、中央区で2歳の女の子が亡くなった痛ましい事案を受け、我が会派は、原因究明・再発防止の緊急要望書を提出し、以来、児童相談所の体制強化・充実を始め、システムの連携、警察との連携などについて繰り返し、訴えてきました。

国では、今年度の第2次補正予算で、新型コロナの影響で、長期間の外出自粛等による児童虐待や、配偶者からの暴力等への懸念から、支援対象児童等見守り強化事業を進めています。

先般、厚労省へ直接出向いた際、令和3年度においても、この令和2年度の第2次補正予算で計上した取組を継続し、要保護児童対策地域協議会の支援対象児童等として登録されている子ども等の居宅を訪問するなど、状況の把握や食事の提供、学習・生活指導支援等を通じ、子どもの見守り体制の強化支援がなされる旨を伺いました。先月、お会いした民間団体も、コロナ禍の子どもの様子を心配し、子どものお弁当配達プロジェクトと称し、地域の見守りを積極的に行っているとのことでした。

コロナ禍の現在、子どもの見守り機会が減少し、児童虐待のリスクが高まっていることから、虐待の予防や早期発見、また適切な保護や支援を行うためには、関係者間で情報交換と支援策の協議を行う要保護児童対策地域協議会が総合調整を図り、地域としっかりと連携していくことが大変重要だと考えます。

先に開催された第2回札幌市児童虐待防止対策推進本部会議の資料では、要対協の個別ケース検討会議の開催数の増加は、要対協の積極的活用につながっており、今後いかに支援の輪を充実させ、機能させていくかが問われてくるものと思います。

そこで質問ですが、各区が事務局を担う要保護児童対策地域協議会の支援水準について、児童相談所や地域の関係機関の専門性や知見を生かして向上させていく必要があると思いますが、そのためにどのような方策を取るのかを伺います。

(2) 公立夜間中学が目指す姿について

公立夜間中学については、かねてより我が党を挙げて、全国的に設置促進に向けた取組を進め、我が会派においても、札幌市における学び直しの場を求める多くの方々の声に応えるため、公立夜間中学の早期設置を一貫して求めてきました。

昨年の第3回定例市議会では、我が会派の代表質問において、教育長から、令和4年4月の開校を目指す旨の答弁があり、それ以降、ニーズ調査や在り方検討委員会を行うなど、開校への準備が進んでおり、現在は基本計画の策定作業を進めています。

我が党は、「誰一人取り残さない社会の実現」を目指すSDGsの推進に早くから取り組み、教育における重点政策の一つとして「学びのセーフティネットの構築」を掲げています。

札幌市においては、コロナウイルスの厳しい感染状況を踏まえ、コロナ禍における収入減による家計急変世帯への支援策として、異例となる年度途中の11月から、就学援助の対象者を拡大したとのことであり、我が会派も高く評価しています。

公立夜間中学も、さまざまな理由で義務教育を十分に受けられなかった方にとって、夢や願いを実現する「学びのセーフティネット」として大きく期待しています。

とはいえ、公立夜間中学と一口で言っても、全国には多様な形式があります。例えば、在籍可能年数についても、厳密に3年間で卒業させる学校もあれば、希望に応じて柔軟に在籍年数の延長を認めている学校もあります。また、入学に当たって、中学校1年からの入学を必須とする学校もあれば、生徒本人の通えなかった期間に応じて入学を認める学校もあります。

このように、その地域における公立夜間中学の存在意義や在り方に応じて、大胆かつ柔軟な体制を取る学校もありますが、ともあれ、多くの方が今、大きな期待を持って公立夜間中学の開校を心待ちにしております。

そこで質問ですが、札幌市にふさわしい公立夜間中学として、どのような姿を目指すのか、その見解を伺います。

(1) 児童虐待防止に向けた要保護児童対策地域協議会の支援水準向上について

○要対協の個別ケース検討会議は、特にきめ細かな対応が必要な乳幼児を中心に開催数が増加しており、今後は、支援の質を一層上げていく必要があると認識。

○そのためには、子どもの日々の変化に気づきやすい保育所や小中学校等をはじめ、民生委員・児童委員や民間団体等と情報を交換することで、子どもの状況を的確に把握することが重要。

○要対協の事務局を担う各区家庭児童相談室を中心に、関係団体との幅広い連携と見守り体制を強化し、児童相談所の専門機能も生かしながら、支援水準の向上に努めてまいりたい。

(2) 公立夜間中学が目指す姿について

〇公立夜間中学は、様々な理由で十分に学ぶことのできなかった方々が、再び学ぶことに挑戦する場であることから、社会全体で応援し、誰一人取り残すことのない、学ぶ喜びに満ちた学校であることが期待されているものと認識。

○そのため、公立夜間中学の設置を望む当事者の方を含め、多くの方々から意見を伺うとともに、その切実な思いや願いをしっかりと受け止め、現在策定中の基本計画に生かしてきたところ。

○具体的には、一人一人の生徒の状況や目標に応じた学習を支援する体制や、3年の在籍年数にとらわれることのない柔軟な対応など、多様な生徒に寄り添った学びを確実に展開できる環境を整備してまいる。

○教育委員会としては、札幌市が目指す公立夜間中学の姿を、「生徒の誰もが安心して、学びの主役となれる多様性を尊重する学校」と位置づけ、様々な方が集い、年齢や国籍の違いを超え、互いを認め合い、共に学び合う学校を創り上げてまいる。