平成20年第二回定例議会
代表質問 福田浩太郎議員(手稲区)

5月29日札幌市議会本会議において公明党議員会を代表して福田浩太郎議員(手稲区)が代表質問を行いました。ごみ問題についてなどを中心に、公明党が日頃から取り組んでいる、生活者の目線での諸課題や北海道活性化に向けた広域連携について質問し、市側から対策を講じていくとの前向きな答弁がありました。以下、質問とそれに対する答弁の要旨を紹介します。
道路特定財源問題について
道路特定財源の暫定税率については、3月30日に期限切れで失効となり、去る4月30日の衆議院における再可決までの一月間、市民生活はもちろん、札幌市を含めた地方公共団体全体の財政運営にも混乱が生じたところである。
一つは、地方道路譲与税や軽油引取税交付金等の直接的な減収で、これらの地方分の道路特定財源は、地方の道路整備や生活道路の維持管理等のほか、積雪寒冷地である本市にとっては欠かすことのできない道路除排雪にも充てられており、市民生活や都市機能を維持する上で重要な役割を担っている。
もう一つは、国庫補助金や臨時交付金を活用した道路事業や街路事業などに対するもので、これらの補助金・交付金は失われた税収を財源の一部としており、このうち、揮発油税の四分の一が充てられる地方道路整備臨時交付金は、地方の自主性・裁量性により地域生活に密着した道路整備を行うための貴重な財源である。これに関しては、4月1日以降全額が凍結されていたが、5月13日に改正法案が衆議院で再可決され、ようやく執行可能となった。
札幌市の場合、4月の時点では、予定していた道路工事のうち25件、金額にして29億円の工事を保留せざるを得ない状況に陥っていたものの、改正法案が再議決されたのを受け、順次発注の手続きが進められている。
地方財政へのこうした影響も考慮し、4月の政府・与党合意や5月13日の閣議決定の中では、「地方の減収については、各地方団体の財政運営に支障が生じないよう、国の責任において適切な措置を講じる」とされているが、その具体的手法が示されているわけではなく、依然、財源確保への不安は解消されていない。

(1) 暫定税率の一時的な失効による減収について
道路特定財源の暫定税率が一時的に失効したことで、札幌市における地方道路譲与税等の減収額をどの程度見込んでいるのか。また、その減収に対する国の財源措置の見通しについて、どのように考えているのか伺いたい。

(2) 道路・街路事業への影響について
道路や街路事業などの現在における工事発注の状況と、発注の遅れによる事業の進捗や地域経済に与える影響について、どのように認識しておられるのか。
(1) 暫定税率の一時的な失効による減収について
約4億6千万円の減収と試算しているところであります。また、この減収に対する国の財源措置については、地方に負担をかけることなく、必要な措置を早急に講じるよう、関係機関と連携して国に要請しているところですが、引き続き、さまざまな機会を通じて、働き掛けていきたいと考えております。

(2) 道路・街路事業への影響について
国庫補助金等の予算配分が5月となったことから、予定工事のうち25件、約29億円の工事発注を保留するなど一時的な混乱はあったものの、既に約9割の工事について入札や告示を終えております。したがいまして、事業の進捗に大きな遅れを出すこともなく、年度内にはすべて予定どおり竣工できるものと考えております。
また、この間、生活道路の整備や上下水道工事などの道路特定財源に関わらない工事のうち、34件、約16億円について前倒しして発注するよう入札手続きを進めるなど、地元建設業者等への影響を少しでも軽減するよう努めたところであります。
改正道交法施行に伴う自転車の安全利用対策等について
今回の改正道路交通法は6月1日から施行となり、自転車に関するルールが明確化されるが、改正の主な点として、2点の特徴が挙げられる。一点目は、13歳未満の児童、70歳以上の高齢者、身体障がい者は、歩道走行が認められ、また、これ以外の人であっても車道、交通状況から判断してやむを得ない場合は、歩道走行が認められること。また、二点目には、13歳未満の児童を自転車に乗車させる時は、保護者はヘルメットを着用させるよう努めなければならないことである。
今回の改正で最も懸念される事は、歩道上での歩行者と自転車の接触事故等が増加するのではないかという事である。
このたびの施行に合わせて、30年ぶりに自転車に関する教則も改正され、走行中の携帯電話やヘッドホーン、傘差しの使用禁止が盛り込まれている。
この機会に、ルールの徹底を行い、自転車走行に対して理解と意識の向上を図ることが自転車のルール遵守と安全対策につながると考える。

(1) 交通ルール遵守とマナー向上の取組について
今回の改正の施行を受け、市民に対し自転車利用の交通ルール遵守とマナー向上のためにどのような取組を行っているのか、また、今後どのように推進していくのか、さらに、学校現場で児童生徒へのより一層の周知について、どのように進めていくのか伺いたい。
また、市行政・警察・地域・学校・企業等の関係各位との協働によるインパクトある意識向上推進を目的とした、「自転車利用のマナーアップ強化週間」として、急ぎ実施するべきと考えるが市長のご見解を伺いたい。

(2) 自転車通行環境整備モデル地区の取組について
昨年度、国土交通省と警視庁は、合同で、自転車通行環境整備事業の規範となるモデル地区を全国で98カ所指定し、本市では厚別区新札幌地区が指定された。この自転車通行環境整備モデル地区では、自転車通行環境の整備と併せて、指導啓発を重点的に実施し、ハード・ソフト対策を一体的に実施する。
本市は、自転車通行環境整備モデル地区において通行環境整備や指導啓発をどのように取り組もうとされているのか伺いたい。
(1) 交通ルール遵守とマナー向上の取組について
札幌市では「自転車の安全利用の推進」を重点目標に定め、「歩道は歩行者優先」などの原則の周知徹底を積極的に進めているところであります。
現在、交通安全教室において小学生などに自転車の安全利用に関する重点的な啓発を行っているとともに、全ての高校1年生に交通ルールや事故の責任などをわかりやすく説明した冊子を配布しております。
今後は、地下鉄駅周辺の駐輪場への啓発看板の設置、マスメディアの活用や啓発チラシの町内会回覧など、きめ細かな周知を行うとともに、事故の危険度が高いと考えられる歩道については、歩行者優先の注意喚起を促すための路面表示を実施していく予定であります。
さらに、児童生徒への取組としては、昨年4区で実施した小学生の自転車実技教室を全区での開催に拡大していくほか、来月中には、各学級担任が自転車の安全利用に関して指導できるよう、学級掲示用ポスターをすべての学校に配布するとともに、市立高校の駐輪場に啓発看板を掲げる予定であります。
また、「自転車利用のマナーアップ強化週間」の実施につきましては、現在、関係機関と連携して毎月第1・第3金曜日を「自転車安全日」と定め啓発をしておりますが、今後はこれに加え、春・夏・秋の交通安全市民総ぐるみ運動の期間中において、新たに重点路線を定め集中的に啓発を行うなどの取組を進めることで対応してまいりたいと考えております。

(2) 自転車通行環境整備モデル地区の取組について
歩行者と自転車の輻輳により、事故の発生が懸念される箇所、約5kmにつきまして、今年度から概ね2ヵ年で、歩行者、自転車それぞれの通行部分をカラー舗装や柵で分離するなどの整備を行うとともに、チラシや広報さっぽろ等で事業の趣旨を広く周知し、地元住民や北海道警察と合同で、街頭での指導、啓発などを実施する予定であります。
広域連携について
(1) 石狩市との連携について
ここ数年、石狩湾新港地域へ新たに誘致された企業や、札幌市内から新港地域などへ移転する企業が増えており、市内から石狩へ通勤する市民も増えている。札幌市内にはもはや工場などを建設するような広い底地は残っておらず、札幌単独での大規模な企業誘致は困難な状況にあるのではないかと推測される。むしろ、通勤圏にある石狩など近隣市町村に大企業を誘致すれば、雇用確保による生産年齢人口の増加、税収増と、本市にも十分メリットがある。
これからは、圏域全体で連携協力しながら企業誘致活動をすることが必要であり、石狩湾新港地域への企業誘致なども、本市と石狩市が連携して行うことにより、さらなる成果をあげることができるのではないだろうか。それが道央圏、ひいては北海道全体の活性化につながるものと思われる。
また、観光に関しても、最近は滞在型・周遊型の観光が増えている。石狩市も、合併後は厚田や浜益の観光に力を入れているというようなことも伺っており、札幌に来た観光客が石狩や近隣市町村へ足を伸ばすような、広城周遊型の観光ルートの構築ですとか、圏域全体で観光客を呼び込むようなプロモーションが必要ではないか。
今後の石狩市との連携について、具体的にどのように取り組んでいくお考えか、伺いたい。

(2) 市民レベルでの地域交流について
昨年度から手稲区では、区民との協働によるまちづくりの一環として、通勤通学や買い物など、一体的な目常生活圏に属している小樽市、石狩市との交流や情報交換など、さまざまな枠を超えて、広域的に地域のまちづくりの支援を行っている。住民の活動範囲がますます広域化している状況から、手稲区が、自治体同士の連携にとどまらず、小樽市、石狩市との市民レベルでの地域交流支援をさらに進めていくことは、大変好ましい取組である。
手稲区がこうした小樽市、石狩市との市民レベルでの地域交流支援を行うに当たって、今後の方向性などについて、どのようにお考えか。
(1) 石狩市との連携について
広域連携の重要性についてはかねてより認識しているところでありますが、特に石狩市については、近年は札幌から石狩へ通勤通学する市民が増えているなど、密接な関係にありますことから、両市の境界を越えた、まさに一体となった取組が求められております。
石狩湾新港地域への企業誘致を進めるに当たっては、札幌市が、一大消費地であり、都市機能が充実し立地企業の従業員に不可欠な高度な生活基盤が備わっていることを、石狩市の企業誘致と合わせてPRしていくことが効果的であります。なおかつ、札幌市民の雇用の確保にもつながるなど、双方にとってメリットが生まれることが予想され、ひいては、道央圏全体の活性化にもつながることが期待されます。
また、観光についても、現在、札幌の整った滞在施設と、北海道の魅力を体感できる石狩の観光資源を組み合わせたツアーの開発なども進めております。今後とも、札幌に来た観光客が、石狩など近隣へも足を伸ばし、北海道観光のリピーターになっていただけるよう、石狩をはじめ圏域全体で連携しながら、近隣地域の知られざる魅力をPRすることが効果的であります。
このような観点から、本年4月からは両市の企業誘致部門と観光部門で職員交流を実施しており、こうした連携体制も整えたところでございます。今後も、さまざまな分野で両市間の連携・協力を緊密化させてまいりたいと考えております。

(2) 市民レベルでの地域交流について
市民生活が多様化し、活動範囲が広がっている状況を踏まえますと、近隣自治体とは、経済、観光などといった大きな分野のみならず、地域のまちづくりにおいても、広域的な視点に立った施策の展開を進める必要があります。
そうした観点から、手稲区では、昨年度より、小樽市、石狩市と、地域交流支援に向けての情報共有を進めるとともに、かつては銭函から星置地区を通り、茨戸川へ通じていた山口運河の祭りや、手稲区小学生バドミントン大会などで、近隣地域住民同士の交流が行われたところであります。また、今年度は、新たに、地域の安全安心なまちづくりの観点から、三者合同による交通安全合同啓発の実施などを予定しているところであります。
 今後も、生活圏内の住民や地域特性などの相互理解を深めるため、地域レベルでの交流が活発に行われるよう、支援をしてまいりたいと考えております。
周産期医療支援事業について
平成19年の札幌市における産婦人科の救急患者の搬送人数は、1,076人であるが、そのうち、医療機関などが5回以上受入れを断られた患者が6人おり、はいずれも、かかりつけ医を持たない妊婦であった。かかりつけ医を持たない妊婦は、血液型や妊娠期間、合併症や感染症の有無などの情報が全くない状態で、受け入れなければならないことから、医療機関にとって大きな負担となり、受入れの際の支障になるという指摘がある。
本年3月の予算特別委員会の席上、札幌市は、この問題に対して、20年度に「周産期医療支援事業」の実施を予定しており、その事業の一つとして、患者の受け入れが可能な医療機関の情報を一元的に収集して、救急隊などに提供する「情報オペレーター」を配置する、との答弁があった。また、札幌市では、本年3月に「札幌市産婦人科救急医療対策協議会」を設置し、市内の産婦人科救急医療体制に関する対応策について、協議を進めている。
患者の受入れが可能な医療機関の情報を迅速に提供し、いわゆる「たらい回し」を防ぐための「情報オペレーター」の配置についても、これら重要な取組の一つであると考える。しかし、産婦人科医師の不足や、治療のための専用の施設が使用中であるなどの理由で、医療機関側にも患者の受入れが困難な場合があり、それにより、受入れが可能な医療機関を探すために時間がかかり、このことが「患者のたらい回し」につながるといった指摘がある。

(1) 産婦人科救急医療対策協議会における議論と情報オペレーターの位置づけについて
「たらい回し」の防止を効果的に行うためには、医療機関側での対策を含む、総合的な取組を進めることが必要と考えるが、現在、協議されている産婦人科救急医療体制においては、どのような議論がなされ、情報オペレーターは、どのような位置づけとなることが想定されているのか伺いたい。

(2) 情報オペレーターの設置の進め方について 
情報オペレーターの設置に向けて、今後どのように進めようとしているのか。
(1) 産婦人科救急医療対策協議会における議論と情報オペレーターの位置づけについて
本協議会におきましては、重篤な患者を受け入れる三次医療体制の強化を図るために、搬送先医療機関の受入れ機能を充実するとともに、その機能を効果的に発揮できる体制づくりが重要との議論がなされました。
情報オペレーターは、受入れ可能な医療機関の情報を、搬送する救急隊員に迅速に伝達することにより、充実、強化された受入れ機能の活用に重要な役割を果たすものとして位置づけられております。

(2) 情報オペレーターの設置の進め方について
情報オペレーターには、患者受入れ医療機関を迅速に選択するため、患者の病状や医療機関の受入れ条件などに関する情報を、的確に把握することが求められます。
このため情報オペレーターの機能や活動内容につきましては、関係医療機関や救急隊の意見なども十分反映してまいりたいと考えております。
また、本協議会では、産婦人科の患者に適切に対応するため、情報オペレーターの整備も含め、市民に安心していただける救急医療体制の再構築に向けて、幅広い議論を進めていただきたいと考えております。
自殺対策について
(1) 硫化水素ガスに対する対応について
全国で硫化水素ガスによる自殺者が相次いでいるが、硫化水素は、ホームセンターや薬局で普通に販売されている商品を混合させることにより容易に発生させることができるという点で、市民生活にとって極めて身近な問題であり、家族や近隣の人まで巻き添えにするということで、社会問題となっている。
市民の安全に極めて重大な影響を及ぼすこの問題への国の取組についてはどのようになっているのか、また、札幌市の対応はどのようになっているのか、まず伺いたい。

(2) 自殺予防対策について
[2-1]自殺死亡者の現状とこれまでの取組
厚生労働省によると、全国の自殺死亡者数は、平成19年も3万人を超えることが確実であると推定されており、わが国の人口10万人当たりの自殺死亡率は、欧米の先進諸国に比べても突出して高い状態である。
今後も、自殺予防対策を総合的かつ積極的に推進してゆく必要があると考える。
札幌市における自殺死亡者の現状と自殺予防対策として、これまでどのように取り組んできたのか。

[2-2]今後の取組
また、自殺総合対策大綱を受けて、札幌市としては、民間団体との連携支援も含め、今後どのように取り組んでいこうとお考えか伺いたい。
(1) 硫化水素ガスに対する対応について
札幌市内においても、硫化水素ガスによる自殺が続いていることを大変憂慮しております。
国では、硫化水素ガスを発生させる医薬品について使用目的が不審な者などには販売を差し控えることなどについて、日本薬剤師会を通じて薬局等への周知を行っております。
札幌市といたしましても、これまで、心の健康の観点から自殺を予防するための対策を行ってきておりますが、今回の硫化水素ガスによる自殺については、第三者の巻き添え事故の危険があることから、その防止のための広報を行い、市民に対して注意を喚起しているところであります。

(2) 自殺予防対策について
まず、札幌市における自殺死亡者の現状と取組についてでありますが、市内の自殺死亡者数は、平成10年以降高い水準で推移し、平成18年には、交通事故死亡者数の4倍以上にあたる409人に上り、全国的な傾向と同様に働き盛りの男性が多くなっております。
自殺する多くの方が、うつ病等の心の病気にかかっていることを踏まえ、従来から、うつ病当事者の自助グループへの支援や、精神科救急情報センターにおける電話相談事業などに取り組み、さらに北海道と共同で自殺予防のためのフォーラムを毎年開催するなど、市民への啓発活動の充実も図ってきたところであります。
次に、今後の取組についてでありますが、国が示している自殺総合対策大綱を踏まえ、自殺の実態調査や、うつ病の早期発見のための研修、自殺のサインへの気づきを高める市民啓発などのほか、自殺予防の相談援助等を行う民間団体の役割は大変重要であることから、その人材育成への支援など連携も図ってまいります。これらを含め、自殺の実態に即した幅広い取組を進めるため、今後さらに、関係部局の連携を強め、総合的な対策を講じてまいりたいと考えております。
高齢者の社会参加、社会貢献について
今、後期高齢者医療制度に象徴されるように、高齢者が増加すると社会負担が増えて社会の活力が低下するかのようなマイナスイメージが広がっている。高齢者の増加に対応した新たな社会の仕組みづくりは重要な課題だが、決して高齢社会が札幌市の将来にとってマイナスになるものではなく、逆に、高齢者の方々が、高齢社会そのものを支えていく貴重なマンパワーであることを認識し、高齢者のもつ知識や経験を活用し、社会を活性化していくことが重要である。
目前に迫った超高齢社会に対応すべく、団塊の世代の方々も含めた高齢者の方々の貴重なマンパワーを、地域のまちづくりなどにどのように活かしていこうとお考えなのか、また、高齢者社会貢献を支援する「はつらつシニアサポート事業」の方向性についても併せて伺いたい。
札幌市は、高齢者の方々が、積極的に地域貢献活動に取り組まれることが、これからの高齢社会を支えていくうえで極めて重要であると考えております。このため、団塊世代を始めとする高齢者の豊かな知識や経験を活かした地域貢献活動のきっかけづくりとして、平成17年度から「はつらつシニアサポート事業」を実施しております。
これまで、サロン活動やひとり暮らし高齢者の訪問事業など多様な事業展開が行われておりますが、今後は、さらに、自立的な事業運営を働きかけるとともに、地域住民や関係団体との連携を一層深め、より広がりのある活動を通じて、住民が相互に支え合う「地域福祉力」の充実を図ってまいりたいと考えております。
保育所保育指針の改定について
「保育所保育指針」は、保育のガイドラインとして昭和40年に制定され、保育所保育の基本となるものである。この中では、保育所の役割や保育所における保育の内容、保育計画、職員の研修などについて記載されており、保育に携わる方々などにとってよりどころになるものではないかと考える。
 その保育指針が今年3月に3度目の改定が行われ、来年4月から施行されることとなっている。前回の改定後、8年を経過し、この間、子どもにふさわしい生活時間や生活リズムがつくれないなど子どもの生活に変化が見られたりする一方で、保護者の子育て環境も、著しく変化してきている。また、より質の高い保育や保護者に対する支援の充実など、子育て家庭を支える地域の担い手として、保育所に期待される役割は一層深まり、拡大しているのではないかと考える。
 これまで、公明党では、「子どもの健康・安全の体制の充実」という観点において、SIDS(乳幼児突然死症侯群)の予防に関して、子どもの仰向け寝の奨励などの活動を実施してきた。1998年から10年間の活動により効果は顕著であり、SIDSにより死亡者数は1995年には579人であったのが、2006年には194人と着実に減少している。
保育施設と発症の関連性について、その発症時期は54.8%が入所後1カ月以内と、SIDS国際会議等において報告されているところである。今回改定された保育指針の解説書において、特に入所して間もない時期の観察を十分に行うよう注意を促す記述が加わったことは、公明党の長年の訴え・活動の成果によるものと大いに評価しているところである。
  
(1) 今回の改定の特徴と札幌市の対応について
改定が行われるたびにそれぞれ特徴がある内容になっているのではないかと考えるが、このたびの改定の特徴はどのようなものなのか、また、札幌市としてはそれに対してどのように対応しようとお考えなのか、伺いたい。

(2) 「保育所児童保育要録」の位置付けについて
今回の改定においては、小学校との積極的な連携がうたわれている。幼稚園と小学校では「学校教育法施行規則」のもと、「幼稚園幼児指導要録」の作成・送付が行われている。今回、保育指針の解説書では、初めて「保育所児童保育要録」の作成・送付が記述された。そこで、この要録をどのような位置付けとするものなのか、お考えを伺いたい。

(3) 小学校との連携強化について
この要録に記載された情報は、まさしく個人情報であり、取扱いは慎重にしなければならないが、一方で、保育所から小学校への伝達が、円滑に行われなければならないものである。小学校との連携強化が重要になってくるものだが、今後、教育委員会とどのような調整を行っていくのかお聞かせいただきたい。
(1) 今回の改定の特徴と札幌市の対応について
改定の大きな特徴といたしましては、規範性を有する基準として明確にするため、厚生労働大臣の告示となったことや、保育所の自主性や創意工夫による保育の質のさらなる向上を促していること、また、保育所での育ちを小学校につなげていくことの重要性を明確にしたことなどと受け止めております。
これを受け、札幌市といたしましては、保育指針の周知徹底に向け、解説書を認可保育所に対し速やかに送付したところであり、今後、各種研修会などの機会をとらえ、関係者の理解が深まるよう働き掛けてまいりたいと考えております。

(2) 「保育所児童保育要録」の位置付けについて
乳幼児期は、生涯にわたる人間形成の土台となる、大切な時期であることから、今回、「保育所児童保育要録」の作成・送付が義務付けられたことは、子どもの発達や生活の連続性を図る上で重要な位置付けとなるものであり、これにより一人ひとりの子どもの育ちが、小学校における生活や学びに生かされるものと考えております。

(3) 小学校との連携強化について
「保育所児童保育要録」に関しましては、個人情報として慎重かつ適切に取り扱うことはもとより、小学校において効果的な活用がなされ、子どもの育ちの支えとなるよう、教育委員会と緊密に連携し検討を進めてまいりたいと考えております。

ごみ問題について
本市におけるごみ処理の基本計画である「スリムシティさっぽろ計画」の柱のひとつは家庭ごみの有料化である。今回、条例案を提案するに当たって、資源物の有料化を見送り、当分の間、資源物については無料とされたことについては、市民生活の現状を踏まえて、適切な判断を下されたものと理解している。そこで、その立場から、市長に確認しておきたいことについて、いくつか質問する。

(1) 生活困窮世帯への配慮について
ごみ減量リサイクルを大幅に進めるため、家庭ごみ有料化を含めた「スリムシティさっぽろ計画」を円滑に実行に移すためには、このような社会情勢の中で生活に困窮している、いわゆる生活弱者への特別な配慮が不可欠である。
第一回定例市議会でお答えいただいた、生活困窮世帯への配慮について、今回、家庭ごみ有料化を提案するに当たって、どのような対策をされようと考えておられるのか伺いたい。

(2) 有料化実施直後のごみステーション対策について
家庭ごみ有料化の目的や新しい排出ルールなどを市民に十分説明し理解を求めることが、新制度の円滑な導入のために最も大切なことであり、単位町内会や老人クラブをはじめ、さまざまな団体や市民に対し、徹底的な周知を図るべきと考えている。
本市においても、家庭ごみ有料化実施直後の一定期間、担当部局のみならず、全庁をあげて取り組む意気込みでごみステーションでの指導を行い、新制度の円滑な導入を図るべきと思うが、いかがか伺いたい。

(3) ごみ関係の組織・機構について
計画の実施に当たっては、これまで以上に行政と地域との協力が重要になってくる。清掃事務所は、例えば区の土木センターに比べ、住民とのつながりが希薄であるという印象を受けた。除雪とごみという市民にとっての重要で身近な問題は、住民に身近な区役所において取り組むべきと考える。
市長も2期目のビジョンの中でも区の機能強化を進めると明言されているが、
現在7カ所の清掃事務所を10カ所にするということではなく、市民が区役所でごみ減量やリサイクルの方策について相談できる体制にすべきと思う。
区役所にごみに関する部署を設置するお考えは無いのか伺いたい。
(1) 生活困窮世帯への配慮について
第一回定例市議会でも答弁いたしましたとおり、家庭ごみを有料化するにあたりましては、全ての市民にごみ減量に取り組んでいただくため、ごみの排出量に応じて一律に負担していただくことが原則であると考えております。
しかしながら、生活困窮世帯につきましては、原油価格の急騰による諸物価の上昇をはじめとした今日の社会経済状況にかんがみ、負担の急変を緩和し、新制度へスムーズに移行するために、有料化実施年度に限り、一定数の指定袋を配布いたしたいと考えております。

(2) 有料化実施直後のごみステーション対策について
市民に対する事前の制度変更の周知につきましては、説明会の実施や様々な媒体を使った広報などにより、きめ細かく行ってまいります。また、有料化実施直後においては、約3万4千カ所のごみステーションを対象に、短期間のうちに新たな分別・排出ルールの定着を図る必要がありますことから、地域の皆様と連携し、札幌市一丸となってごみステーションでの早朝啓発に取り組んでいく考えであります。

(3) ごみ関係の組織・機構について
現在、清掃事務所では収集・運搬及び普及・啓発業務を行っておりますが、業務の効率的な執行の観点から、一元的な体制として環境局の組織としているものであります。
しかしながら、今後、「スリムシティさっぽろ計画」に掲げたごみ減量やリサイクル施策を推進していくためには、その目的や意義、方法などについて市民の理解を深め、より多くの方々に取り組んでいただく必要があります。
したがいまして、相談業務や普及・啓発業務につきましては、市民の利便性をより高めるため、清掃事務所と区役所との連携のあり方について、今後、検討してまいりたいと考えております。
手稲区の諸問題について
(1) 手稲区における総合防災訓練について
最初に、平成20年度札幌市総合防災訓練(手稲区)の実施についてである。
現在、日本及び海外で大きな地震などが連続して発生しており、本市においても、いつ起こるか、予測のつかない大規模災害の発生に備えて、危機管理的意識を強くもって対応していかなければならない。
このような状況の中、例年、本市では、札幌市地域防災計画に基づき、市域内での直下型の地震発生を想定して、札幌市と防災関係機関、そして地域住民が連携して、札幌市総合防災訓練を実施することにより、市民の防災意識の高揚と地域の災害対応能力の向上を図っている。
また、総合防災訓練は、各区の輪番制に基づいて実施されており、今年度は、手稲区が担当区として、来る「9月1日防災の日」に手稲区のシンボルである手稲山(テイネオリンピア)をメイン会場として、実施予定である。

[1-1]今回の訓練の特徴
今回の訓練の実施に当たり、どのようなところに重点を置いているか、訓練の特徴についてお聞きしたい。
[1-2]各区防災訓練の今後の進め方
地域における「安全で安心なまちづくり」を進めるため、総合防災訓練はもとより、各区で行う防災訓練について、今後、どのような点に重点をおいて進めていくお考えかお聞きしたい。

(2) 手稲区における安全で安心なまちづくりについて
防犯や交通安全対策など、地域における「安全で安心なまちづくり」の推進は、まちづくりを考えるときに最も重要なテーマの一つである。また、本市においては、犯罪のない安全で安心なまちづくり条例の早期制定に向けて検討されているところである。
私も、手稲区に居住していることから、平成16年の手稲警察署の開署、それに引き続く連続放火事件を契機に、翌年度には、区民の力強い声により安全・安心をテーマに区民協議会が立ち上げられたと認識している。
最近においては、身近な事象として小・中学生に対する「声かけ事案」などの不審者情報や車上あらし、さらには、全国的に発生している硫化水素ガスによる自殺行為の事案が発生したところである。
いつ、どこで犯罪に遭うかもしれないという不安も少しずつ感じてきているところである。このような不安の解消や危険から身を守るための対策や取組をより一層強化していく必要性について、強く感じているところである。
そこで、手稲区における安全で安心なまちづくりについて、伺いたい。

[2-1]取組内容
犯罪のない安全で安心なまちづくりの推進に当たり、どのような取組を行っているのか。
[2-2]地域との連携体制
また、地域の安全は地域で守るという考えのもと、今後の「地域防犯活動」を進めるためには、地域の協力が必要不可欠であると考えるが、地域との連携体制について、どのように考えておられるのか伺いたい。
(1) 手稲区における総合防災訓練について
今回の訓練の特徴についてでありますが、手稲区は、南西部に手稲山系の山々が連なり、恵まれた自然環境がある反面、がけ崩れや林野火災、札樽自動車道での重大事故などの災害が懸念されます。
このため、実践的な訓練が行なえるようテイネオリンピアを主会場に、土砂災害や車両の多重衝突を想定した救助活動、消防団員でもある北海道工業大学山岳部の学生と連携した訓練など、手稲区の災害の特徴をとらえた訓練のほか、第二会場では、体験型の避難場所生活訓練も予定しているところであります。
次に、各区防災訓練の今後の進め方についてでありますが、各区防災訓練は、地域住民や企業・団体等の幅広い参加のもとに、訓練を通して防災意識の高揚や知識の習得を目的に行っているものであります。
平成20年度は、これまでの発災対応型訓練や避難場所運営訓練などに加えて、近年の災害で課題になっている災害時要援護者の避難支援を新たに予定するなど、今後は、地域の住民や団体との連携による地域力の向上を重点に、訓練の充実を図ってまいりたいと考えております。

(2) 手稲区における安全で安心なまちづくりについて
取組内容についてでありますが、コミュニティFM局との連携を図り、手稲区内で発生する不審者・犯罪発生情報を幅広く提供し、地域防犯活動の支援や注意喚起を行っております。
また、民間事業所との連携体制を促進するため、「安全・安心パトロール」ステッカーの貼付を、地域の青色回転灯装着車に加え、新聞販売店、手稲郵便局、手稲区災害防止協力会に所属する各事業所などの車両に広げるといった取組を行っております。
次に、地域との連携体制についてでありますが、既に、手稲区では、区民協議会であります「ていねっていいね!区民の集い」において、地域住民や事業者、そして関係する54団体が、それぞれの活動や事業内容に応じた防犯活動を推進しており、「安全・安心なまちづくり」のネットワークづくりが着実に進んでおります。 
今後も、安全で安心なまちづくりを目指した地域力の形成を推進するため、こうしたネットワークを通じて、より一層地域住民や団体との連携を深めてまいりたいと考えております。
教育問題について
(1) 中高一貫教育について
札幌市では、平成15年に策定した「札幌市立高等学校教育改革推進計画」に基づき、生徒の主体的で意欲的な学習を促し、多様な選択が可能となるよう、市立高校の特色づくりを進めてきおり、中高一貫教育についても検討項目の一つに位置づけられている。
全国の設置状況を見ると、公立では昨年度までに、153校が設置されているが、札幌市においても、今年の2月に、これまで教育委員会で行ってきた検討成果を取りまとめ、このたび、外部有識者や学校関係者、市民等からなる検討協議会を設置し、広く市民議論を展開しようとしているのは、一歩前進だと評価しているところである。
札幌の将来を担う人材を育成する環境の整備の観点から、現行制度の他に、6年間の計画的、継続的な教育により、子どもたちのすぐれた才能を見出し、個性や創造性を一層伸ばしていくこともできる中高一貫教育を、新たな選択肢として、一日も早く子どもや保護者に提供していく必要があると考えている。
[1-1]中高一貫教育検討協議会に期待する検討内容
教育委員会では、外部有識者や学校関係者、市民等からなる検討協議会を設置し、札幌市における中高一貫教育の必要性などについて、協議していくということであるが、これからおよそ1年間という長い期間をかけて、どのような議論を期待しているのか伺いたい。
[1-2]答申後の方針決定までの予定
また、この検討協議会から答申された後、教育委員会として方針を決定するまでに、さらに1年間の検討期間を設定しているが、教育委員会として、どのような検討を予定しているのか、併せて伺いたい。

(2) 冬や雪を活用した教育の推進について
学校現場において、小学校でのスキー授業は、ほぼ100%の実施ということだが、中学校になると、30%を下回っているとお聞きした。冬を楽しく過ごすという観点で、あるいは、ウィンタースポーツが生涯スポーツとなる観点では、子どもの時の経験は、何物にも代え難いものであり、何とか、中学校でのスキー授業が再び盛んになってほしいと願っている。
ただ、保護者の立場で考えると、毎年、体の成長に合わせて用具等を揃えることになるなら、大きな負担となることは想像ができる。
これからの環境を考えたときに、不要物が即ごみになるという感覚からは脱する必要があり、スキー用具についても、体に合わなくなったからといって、それがすぐにゴミとして捨てられるのであれば、その処理も含めて、環境への影響は看過できるものではない。スキー用具をリサイクルするようなシステムが出来れば、使わなくなったスキー用具の処理に困っている家庭や、用具の調達に苦慮している家庭など、双方の家庭が助かるのではないかと思う。
ただ、資源としてのスキーの回収やそのリサイクルといった手順を考えると、教育の分野のみでの話とはならず、関係部局等との連携が鍵になることは言うまでもなく、すぐに実現できるものではないかも知れないが、「環境教育」という、大きな観点から考えたとき、このリサイクルというアイディアには一考の余地があるのではないかと思っている。
スキー授業をはじめとする冬や雪を活用した教育を推進するため、教育委員会としてどのようなお考えをお持ちか、伺いたい。
(1) 中高一貫教育について
中高一貫教育校の設置については、新しい制度の導入として、充分に市民議論を行っていく必要がありますことから、生徒や保護者のニーズをきめ細かく把握するため、アンケート調査を実施し、本年2月には、これまでの検討成果を公表するとともに、市民意見を募集したところであります。調査結果では、保護者の関心も高く、一定程度の入学希望がある一方で、懸念する声や具体的な教育内容がわからないなどの回答もございました。
このことから、検討協議会での検討に当たりましては、課題や留意点、市民意見などを踏まえながら、札幌に相応しい教育内容等に関する具体的な議論を行った上で、札幌市における中高一貫教育の必要性やその望ましいあり方について、答申をいただくこととしております。
次に、答申後の方針決定までの予定についてであります。
教育委員会といたしましては、検討協議会から答申を受けた後、改めて、答申に対する市民意見を募集するとともに、議会での審議をいただきながら、関係部局との協議を行ってまいりたいと考えております。併せて、高校部分の間口等に関する道教委との事前調整や、候補となる学校との調整なども必要になってまいります。
いずれにいたしましても、これらの点について、総合的に検討した上で、教育委員会としての方針を決定してまいりたいと考えております。

(2) 冬や雪を活用した教育の推進について
スキー授業などの取組は、札幌の恵まれた自然と共生し、生涯スポーツに親しむ市民を育成するためにも、とても大切なものであります。
また、冬や雪を活用した教育を推進していくことは、子どもたちが自然の中で、環境の保全を考えるきっかけとなり、議員ご指摘のリサイクルなど、限られた資源の有効な活用についても学習する機会になると考えております。
こうしたことから、教育委員会では、スキー授業をはじめ、「雪像づくり」や「環境に配慮した除雪の学習」など、北国札幌の特色を生かし、冬や雪を活用した取組を一層推進するよう、関係する部署や諸団体と、積極的に連携してまいりたいと考えております。