平成20年第1回定例議会
代表質問 青山浪子議員(北区)
2月21日札幌市議会本会議において公明党議員会を代表して青山浪子議員(北区)が代表質問を行いました。
中でも、平成20年度予算と行財政改革プランについて、女性施策について質問。市側から前向きな答弁がありました。
以下、質問に対する市側の答弁の要旨を紹介します。
平成20年度予算と行財政改革プランについて
(1)予算編成の方針と特に力を入れた施策や事業について
 平成20年度予算案を見ますと、札幌市が置かれた厳しい財政状況と、限られた財源を最大限に生かすべく苦心された跡が垣間見えます。まず、歳入ですが、根幹をなす市税収入において、合計では前年度に比較して4億円増と若干の増加にとどまっています。
また、地方交付税につきましては、臨時財政対策債を合わせた、いわゆる広義の地方交付税が70億円という大幅な減となったところであります。
行財政改革プランの進捗状況について平成20年度予算は上田市政2期目の大事な意味を持つ予算であり、その編成過程におかれましては、市長も1期目の実績を踏まえて、ご自身のまちづくりにかける思いを込められたのではないかと思われますが、具体的にどのような方針で臨まれたか。また、特に力を入れた施策・事業は何か、お示しください。
(2) 行財政改革プランの進捗状況について
 「札幌市行財政改革プラン」についてお伺いいたします。このプランは、「新まちづくり計画」と並んで、いわば市政運営の「車の両輪」ともいうべき計画であります。昨年10月に素案が公表され、パブリックコメントを経て確定しておりますが、上田市長の1期目の「市役所改革プラン」に続き、平成22年度の収支不足が306億円と予想される中、行政が担うべき事業領域の見直しや担い手の検証を行うことにより、時代に即応した効率的な行政運営の実現と、聖域なき見直しによる持続可能な財政構造への転換促進を目指して策定されたものでありますが、平成20年度予算における行財政改革プランの財政的な取り組み項目の進捗状況はどのようになっているのか、お伺いいたします。
平成20年度予算と行財政改革プランについて
(1) 予算編成の方針と特に力を入れた施策や事業について
 予算編成の方針と特に力を入れた施策や事業についてでありますが、厳しさを増す財政状況のなかでも、「元気ビジョン第2ステージ」の実現に向けて、『伸ばすべきものは伸ばし、変えるべきことは思い切って変える』という基本方針のもとで、「人を大事にする」、「地域力」、「連携」という三つをキーワードとして編成いたしました。
まず、「人を大事にする」視点から、子育てや市民自治、環境問題などの施策に特に力点を置きました。
また、「地域力を高める」という視点から、市民自治基本条例や市民まちづくり活動促進条例を土台として展開される市民の自主的なまちづくり活動がしっかりと根付いていくような支援策を盛込みました。
これら重要な政策課題につきましては、できる限り「市民や企業と連携」して、より効果的に進めることとし、例えば、企業と連携した仕事と子育ての両立に向けた支援や、民間の住宅ローンと提携した環境保全への取組など、数多くの連携型の事業を実施することとしております。
(2) 行財政改革プランの進捗状況について
 行財政改革プランの進捗状況についてでありますが、新しいまちづくりの財源を確保するとともに、将来の世代に負担を先送りしない持続可能な財政構造への転換を図るために、「行財政改革プラン」に沿って歳入と歳出両面から聖域無く見直しに取り組むこととしております。
平成20年度予算では、特に人件費や事務的経費などを中心とした内部努力による見直しについて可能な限り前倒しを行うことで、84億円を見込むとともに、基金や土地の売却など財産の有効活用について盛込むなど、全体では178億円の効果を見込んだところであります。

ごみ問題について
(1)ごみ収集業務の委託比率の引き上げについて
 平成12年6月、循環型社会の形成についての基本原則を定めた「循環型社会形成推進基本法」が制定されて以来、資源有効利用促進法や廃棄物処理法の改正、さらには容器包装、家電、食品など各リサイクル法が整備されたことにより、ごみを増大させる大量生産・大量廃棄社会を転換し、ごみゼロを目指すという「循環型社会形成の推進」が、廃棄物処理における基本的な考え方になっています。この法律の制定に当たっては、わが公明党が中心となり法案を作り、経済界など関係団体の説得など、非常に重要な役割を担ってきたところであります。
 スリムシティさっぽろ計画に係る市民意見の集約が進められる中、当然、清掃事業の効率化についての内部議論も進められていることと思いますが、現状ではごみ収集業務の民間委託の拡大についての具体的な姿勢が見えないのであります。そこで質問ですが、現在、直営と委託の比率は5:5と伺っております。有料化を見据え、業務効率化の観点から委託比率を大幅に引き上げる決断をすべきと考えますが、いかがかお伺いいたします。
(2) 生活困窮世帯への配慮について
 ごみ有料化に当り、一定の減免措置を計画素案の中で検討されておりますが、昨今、石油価格の高騰や、それに伴い諸物価が軒並み値上がりする中、生活に困窮しているいわゆる生活弱者も少なくないのが実態であります。ごみの減量、リサイクルが、所得の水準にかかわらず必要な行動であるとしても、やはりそこには一定の配慮がなされてしかるべきであります。そこで質問ですが、ごみの有料化に対する意見が分かれる中で、仮に有料化を導入する際には、いわゆる生活困窮世帯に対する温かさを持った視点が必要と考えますが、いかがかお伺いいたします。
ごみ問題について
(1) ごみ収集業務の委託比率の引き上げについて
 ごみ収集業務の委託比率の引き上げについてでありますが、ごみ収集業務につきましては、現在直営5割、委託5割で行っておりますが、『スリムシティさっぽろ計画』の素案において、清掃事業の効率化やコスト削減等、これまで以上に行政の内部努力を図ることを掲げております。
そのため、非常時における収集体制の確保など直営の果たすべき役割を踏まえ、見直しの検討作業を進めてまいりましたが、今後、段階的に委託比率を引き上げ、平成21年度中には約7割とする考えであります。
(2) 生活困窮世帯への配慮について
 家庭ごみ有料化における生活困窮世帯への配慮についてでありますが、『スリムシティさっぽろ計画』の素案において提案した家庭ごみ有料化の考え方は、排出量に応じた処理経費の一部を負担していただくことを通じて、より一層、市民の皆さまのごみ減量・リサイクルに対する取組の促進を期待しようとするものであり、排出量に応じて一律に負担する制度とすることが原則であると考えております。
しかしながら、家庭ごみ有料化を実施する場合におきましては、その時点の社会経済状況も勘案し、さらに他の政令市等の対応も参考にしながら、生活困窮世帯への経過的な配慮について検討してまいりたいと考えております。

女性施策について
(1)女性にとって安全・安心な公共交通のあり方について
 女性にとって安全・安心な公共交通についてでありますが、これまでも、わが党では、札幌市内の公共交通における顕在的・潜在的な女性への犯罪被害が相当数あるものとし、現に被害に遭われた人や痴漢被害でつらい思いをした人が心に深い傷を残す重大な問題として、女性専用車両の導入を再三にわたり求めてまいりました。
そこで質問ですが、こうした多くの市民の切実な声を真摯に受け止め、すでに、東京、横浜、名古屋、大阪、神戸など、道外の多くの都市においても導入されているところでありますことから、札幌市営地下鉄においても女性専用車両を早急に導入すべきと考えますが、いかがか、お伺いいたします。
 
(2) 札幌市のDV対策について
 最近はDVに関する事件が多発しており、市民、とりわけ女性には深刻な問題となっております。警察庁の統計では配偶者間の障害、暴行事件の被害者のほとんどが女性であり、女性にとってDVは重大な人権侵害であり、男女共同参画社会の形成に大きな障害となるものです。 そこで、今回の法律や国の方針の改正により、札幌市はこれからのDV対策をどのように進めていかれるのか伺います。
(3)女性の起業支援について
 女性の起業支援について質問します。わが国においては、平成11年6月に「男女共同参画社会基本法」が施行され、本市においても、平成15年1月に「男女共同参画推進条例」を施行し、「男女共同参画さっぽろプラン」に基づき、さまざまな施策を展開しております。本市としても、視点をかえた産業・経済振興・雇用拡大の観点からも、女性起業家支援が必要と考えるものであります。
そこで、2点について質問します。
1点目は、あらゆる分野で活躍し、その経験と知恵と知識とチャレンジ精神旺盛な女性起業家を目指す女性専用の相談室や経営セミナーの開催等が必要と思いますが、いかがかお伺いします。
2点目は、本格的な起業家への助走として、一定期間、低料金で誰でも安心してチャレンジできるためのオフィス開設や企業に向けた中小企業診断士などのアドバイザーの配置、事業資金の相談、情報収集、発信等を含めたプラットホーム型の支援オフィスを備えた支援が必要と思いますが、いかがかお伺いします。
女性施策について
(1) 女性にとって安全・安心な公共交通のあり方について
 昨年9月の列車内における傷害事件を契機に、札幌市交通局におきましては、車内の巡回警備の強化、車内アナウンスによるお客様への注意喚起、警察との連携強化など、安全・安心の態勢強化に取組んでいるところであります。
女性専用車両の導入につきましては、現状の混雑状況や、今回、交通局が実施したアンケート調査の結果から判断すると、直ちに本格導入に踏み切る状況にはないと考えております。
 しかしながら、アンケート調査において『必要』または『どちらかといえば必要』という回答が4割近くありますことから、今後、広く有識者などのご意見を聞きながら、導入実験の実施も視野に入れて、引き続き検討を進めてまいりたいと考えております。
(2) 札幌市のDV対策について
 札幌市のDVの発生状況と主な施策についてでありますが、市内における一時保護件数はここ数年100件以上で推移し、平成18年度の市内の相談件数は4,500件を超え、DV防止法が施行された平成13年度の約2倍となったことから、憂慮すべき状況と認識しております。
また、法改正等に伴う今後のDV対策についてでありますが、法改正により市町村の努力義務となりました、基本計画の策定及び相談支援センターの開設につきましては、札幌市は既に実施しており、その他の保護命令の拡充の周知については、ホームページでPRを行ったほか、現在パンフレットを改定中であります。
国の基本方針の改正につきましては、札幌市は政令指定都市の中で唯一DV方針を策定しており、今回の国の改正内容もほとんど含んでおります。今後は、改正内容を十分検討し、独自の自立支援策等も盛り込んで、新年度中にDV方針を見直し、先駆的なDV対策を進めてまいりたいと考えております。
(3)女性の起業支援について
女性の起業支援について一括してお答えいたします。
本市ではこれまでも、相談窓口の設置やセミナーなどの開催を通して、起業を目指す女性への支援を行ってきたところですが、来年度からは、新たに「起業塾」を開設し、支援体制を強化して参りたいと考えております。具体的には、これまでの取組に加え、コーディネーターが起業に向けた様々な課題等に対して個別アドバイスを行うほか、産業振興センター内の起業者育成施設を活用するなど、総合的な支援を積極的に進めて参りたいと考えております。

ひとり親家庭の支援策について
 わが党では、札幌における母子家庭の実態をしっかりと把握し、政策に反映していくために、昨年、「ひとり親家庭の生活実態調査」を実施し、1525世帯の方から回答をいただきました。ここから浮かび上がってくるのは、大変厳しいひとり親家庭の姿でありました。
雇用形態については契約社員、パートタイマー・アルバイトが67.8%と全体の約3分の2にのぼり、正社員は、25.2%に止まっています。全国と比べて、格差があることがわかります。1ヶ月の収入については、10万〜15万円未満の割合が38.9%と最も高く、次いで5万〜10万円未満が28.4%となっています。養育費については、「取り決めた」がわずか28.1%であることに加え、その1ヵ月あたりの額は、「2〜4万円未満」が37.2%と最も高く、次いで「1〜2万円未満」が23.4%となっています。また、現在、特に困っていることについては、「収入(生活費)」ということをあげた方が約半数いらっしゃいます。
このほか、ひとり親家庭のお母さんから、「パートで仕事をしていたが、店がつぶれ、無職となった」「母一人で、小さい子ども2人を育てるには無理なことがたくさんある」などといった切実な状況を訴える声が多く届きました。
本市では、次期母子家庭等自立促進計画の策定の検討を昨年から進めていると聞いておりますが、公明党としましても、その計画内容の充実を期待しているところであります。
(1)ひとり親家庭の現状と認識について
わが党の実態調査などから見えてきたひとり親家庭の現状についてお示ししましたが、市でもアンケート調査を実施したと聞いており、どのような調査結果となったのか、また、現在の札幌市のひとり親家庭の現状について、どのように受け止めているのかを明らかにしていただきたいと思います。
 
(2) 母子家庭等自立促進計画の達成状況について
 現在の母子家庭等自立促進計画の達成の状況についてでありますが、札幌市は、母子家庭等就業支援センター事業をいち早く平成15年10月から開始し、平成18年には、母子寡婦福祉センターを指定管理者制度に移行し、母子団体の運営によって一層充実したセンターにするなど、母子家庭の支援策について、意欲的に取り組んできたと思います。新しい計画の策定にあたっては、まずは現行の計画のしっかりとした検証がなされていなければなりません。現計画は、平成17年度から平成19年度までの3年間でありますが、この達成状況について明らかにしていただきたいと思います。
(3)次期母子家庭等自立促進計画策定における基本的な考え方について
 次期母子家庭等自立促進計画の策定についてでありますが、ひとり親家庭の厳しい実態を踏まえて、特に就労支援策について、いかに実効性ある施策を盛り込んでいくのかが鍵となると考えますが、次期計画策定の基本的な考え方を明らかにしていただきたいと思います。
ひとり親家庭の支援策について
(1) ひとり親家庭の現状と認識について
 平成17年の国勢調査では、母子家庭が16,121世帯、父子家庭が1,508世帯となっており、5年前に比べいずれも増加しております。
また、昨年8月に実施したアンケート調査によりますと、母子家庭の4割以上が、パートやアルバイトなど非正規雇用であり、半数以上が年間収入も200万円未満となっているなど、一人で子育てと生計の二つの役割を担うひとり親家庭の実情は、厳しい状況にあると認識しているところであります。
(2) 母子家庭等自立促進計画の達成状況について
 「母子家庭等自立促進計画」の達成状況についてでありますが、「ひとり親家庭等の生活の安定と子どもの健やかな成長」を基本理念とする現計画は、「子育て・生活支援の充実」や「就業支援の充実」など4つの基本目標を掲げ、ホームヘルパーなどの講座修了者を対象とした給付金事業を始めとして、予定された施策は概ね所期の目標を達成したものと考えております。特に、母子家庭等就業支援センターにおける就業実績は、平成18年度418件となっており、計画策定前の平成16年度に比べ約3倍と、大きく伸びております。
(3)次期母子家庭等自立促進計画策定における基本的な考え方について
 次期「母子家庭等自立促進計画」策定の基本的な考え方についてでありますが、学識経験者などから幅広く意見を聞くため、昨年10月に公募も含めた外部委員による検討協議会を立ち上げ、議論を進めてきたところでございます。
次期計画の策定に当たっては、現行の基本理念を継承しながら、母子家庭等就業支援センターによる就労先のさらなる開拓や、養育費の相談体制の充実、子育て・生活支援策の拡充など、ひとり親家庭の現状に即した施策を盛り込んでいく必要があると考えております。この計画を通して、ひとり親家庭の自立を地域全体として支え合う環境づくりを、進めていきたいと考えております。

障がい者施策について
(1)障がい者交通費助成制度の見直しについて
障がい者施策についてお伺いいたします。
昨年12月の厚生委員会で障がい当事者の方を対象としたアンケート調査の結果を踏まえ、制度を見直す考え方が示されました。
 札幌市は、見直しの主たる理由として「制度が複雑化し、判りづらいものになっていること」、「障がい種別によって内容が異なり、不公平感が生じていること」、「事業費が年々増加を続けていること」の3点を挙げております。  
市長は、障害者交通費助成制度をどのような観点から見直し、利用者にとってどのように改善しようとしているのか、基本的な考え方をお伺いします。
(2) 障がい者「元気はっけん(派遣)」事業について
 障がいのある方への就労支援として新たに取り組まれる、障がい者「元気はっけん(派遣)」事業についてですが、札幌市ではこれまでに、小規模共同作業所への補助や元気ショップなどの福祉的就労の支援、ITを活用した在宅就労支援事業、そして障がい者協働事業など様々な事業に取り組んできております。
特に、元気ショップは、小規模共同作業所などで働く方々の工賃アップや就労意欲の向上、広く市民の理解と支援の意識を高める役割を果たしており、評価できるものであります。
 そこで、伺いますが、市長は、新たにこの「元気はっけん(派遣)」事業に取り組まれようとしているわけですが、この事業が札幌市の障がいのある方に対する就労支援施策の中でどのような位置づけとなるのか、また、事業効果をどのように捉えているのか、お考えを伺います。
障がい者施策について
(1) 障がい者交通費助成制度の見直しについて
 障がい者交通費助成制度の見直しについてでありますが、この制度は、交通費の一部を助成することにより、障がいのある方の社会参加を促進することを目的としておりますが、障がいの種別や等級による助成内容の相違、将来的な財政負担のあり方などが課題となってきております。
この度の見直しは、このような課題を改善し、公平で利用しやすい制度を目指すとともに、併せて、利用者の増加に対応した、将来にわたり持続可能な制度とすることを基本として検討してまいりたいと考えております。
(2) 障がい者「元気はっけん(派遣)」事業について
 「元気はっけん(派遣)」事業についてでありますが、この事業は重度の障がいのある方などを対象に、民間企業での雇用機会を広げるため、人材派遣会社を活用し試行的に行うもので、これまで進めてきました福祉的就労施策と併せて、障がいのある方の就労支援を総合的に進めていきたいと考えております。
この事業によりまして、これまで障がいのある方を雇用したことのない企業が、一定期間、派遣形態により雇用を行うことで、障がいに対する理解を深め、直接雇用する企業が増えるものと期待しているところであります。

高齢者支援策について
 高齢者支援策についてお伺いいたします。介護予防サービスの利用調整は、地域包括支援センターが担っています。「要支援」と認定を受けている方、すなわち全要介護認定者数の約4分の1強の方に地域包括支援センターが支援をしていることになります。
このような地域包括支援センターの幅広い役割は、さまざまな資源をつなぐネットワークにより、地域の見守りやボランティア活動を支援するなど、地域の中で高齢者支援の大きな役割を果たすことができるのではないでしょうか。
今後は、これまで以上に町内会やまちづくりセンター、民生委員、医療や福祉の関係機関、介護サービス事業者などとの連携を強化し、地域の中で決め細やかな支援が浸透していくことを期待するものであります。
そこで質問ですが、地域包括支援センターの活動実績はどのようなものとなっているのか、また、それをどう評価しているのか伺います。
さらに、地域包括支援センターの今後の課題と充実強化策について、どのように考えているのか、併せて、伺います。
高齢者支援策について
(1) 地域包括支援センターの実績とその評価について
地域包括支援センターの実績とその評価についてでありますが、昨年度、地域包括支援センターでは、要支援と認定された方の約6割に相当する1万件を超えるケアプランを作成しているほか、権利擁護や介護、福祉など、各種の相談も1万件を超えております。
地域包括支援センターの活動は、さまざまな地域福祉活動と密接な連携を図りながら、高齢者の健康や介護にかかる総合的な相談支援の中核としての役割を発揮しており、今後はさらに、地域に根付いた活動の充実を図ってまいりたいと考えております。
(2) 今後の課題と充実強化策について
今後は、介護予防の支援を必要とする特定高齢者の把握をより一層進め、介護予防事業をさらに効果的に進めていくことが必要であり、課題と考えているところです。
したがいまして、地域包括支援センターの専門職員の増員や研修の充実など、運営体制の強化を図るとともに、地域の特性や高齢者人口の推移などに応じて、地域包括支援センターの増設と担当地区の見直しについても検討してまいりたいと考えております。

雪たい積場の受益者負担について
 雪たい積場の受益者負担についてお伺いいたします。本市の財政状況は、景気の低迷から基幹となる税収の大幅な減少や国の「三位一体の改革」の影響により、地方交付税が大幅に減額となるなど依然として大変厳しく、先行きの見通しが不透明な状況となっております。
このような財政状況を背景に、雪対策予算においても「道路除雪費」予算額115億円のうち、運搬排雪費と雪たい積場の管理費を合わせたものは約半分を占め、排雪作業や雪処理に掛かる費用が大きなウエイトを占めているところであります。
そこで質問ですが、「雪たい積場の有料化」の必要性について市長はどのように認識されているのか、また、検討の進め方についてどのように考えているのか、お聞かせください。
雪たい積場の受益者負担について
(1) 必要性について
 必要性について」でありますが、雪たい積場は、近年確保することが大変厳しい状況となっております。また、民間排雪サービスや生活道路排雪の普及により雪処理費の増加をもたらすとともに、適地不足による郊外化によって、公共排雪の運搬経費の増加など、雪対策事業費を圧迫している要因となっております。
昨年12月に策定いたしました「行財政改革プラン」における「雪たい積場の有料化」については、これらの課題に着目し、民間から運ばれる雪に応分の負担を求めることで、雪たい積場の確保に資すること、さらには、サービス水準の公平化の視点からも検討を行うこととしたものです。
(2) 検討の進め方について
 「検討の進め方について」でありますが、新たな受益者負担の検討につきましては、現在進めております「第2次札幌市雪対策基本計画検討委員会」における大きな課題の一つであり、この委員会での議論を踏まえ、検討を行うこととしております。
これらの検討過程において、市民議論を反映し、合意形成を醸成して行くことがなによりも重要であり、影響が懸念される近隣市町との関係も考慮することが必要と考えております。
このことから、市民や関係する企業・団体との意見交換の場を多く設けるとともに、市民フォーラムや広報さっぽろ・ホームページなど様々な広報媒体による意見収集、さらに、パブリックコメントの実施など、丁寧で深みのある議論を行ないながら検討を進めてまいりたいと考えております。

広域連携について
上田市長は、昨年来、北海道における道都・札幌の役割、あるいは近隣をはじめとする道内他市町村との広域的な連携の重要性について、さまざまな場面で思いを述べられているようですが、昨年5月以降、石狩市や千歳市など、いわゆる「石狩支庁管内」の市町村を順次個別訪問して首長同士の意見交換をされ、また、11月30日には、新篠津村に管内8市町村長が集って、農業や観光といった話題を中心に、石狩エリアの将来について、色々な意見交換をされたと伺っております。
そこで、石狩管内の枠を超えて、小樽市あるいは後志地域のような共通の課題を多く抱えた都市や地域と、今後どのような関わりを持って施策に取り組んでいくお考えか、お伺いいたします。
広域連携について
石狩支庁管内8市町村では、平成9年に「札幌広域圏組合」を設立し、圏域一体での地域振興を図るためのさまざまな取組を進めてまいりましたが、今後、経済波及効果の大きい分野などでの、より具体的な成果につなげていきたいとの思いから、昨年、市長から、管内各市町村長に対し、連携の強化を呼びかけたところであります。
 一方で、「リンケージ・アップ フェスティバル」など、北海道全体を視野に入れたこれまでの事業を通じて、支庁所管区域に留まらない幅広い広域連携の必要性についても、札幌市として十分認識したところであります。
小樽市をはじめとする後志地域とは、これまでも、中国での国際観光プロモーションや、北海道新幹線誘致など、連携した取組を進めてまいりましたが、石狩・後志両地域間で、より具体的な連携を図ることが、道央圏域のさらなる活性化に繋がるものと考えており、今後とも、行政区域にとらわれない幅広い広域連携を進めていくため、近隣をはじめとする他市町村に対しまして、機会をとらえて積極的な働きかけを行ってまいりたいと考えております。

円山動物園の諸問題について
(1)ボランティア活動の拡大と「アニマルファミリー制度」の今後の展望について
 円山動物園の諸問題についてお伺いいたします。私は、円山動物園のファンであり、応援団の一人として、機会あるたびに、動物園に関する質問をし、提案もしてきました。
その提案の1つが、円山動物園の利用者である市民が魅力を感じ、市民から愛され、市民から誇りに思われる動物園となるためには、市民が単に動物を見て楽しむだけではなく、市民が自分の得意分野で充実感や達成感を味わえる、そんな動物園を目指して欲しいということでした。
基本構想のなかで、従来は「動物園が飼育している動物を見に行く」関係から「預かってもらっている動物に会いに行く」という、あたかも動物の里親や家族になったような関係性への転換を提案しています。これが「アニマルファミリー制度」で、ファミリーがエサ代などを負担し、動物園からはその動物の情報等が提供されるものです。
そこで、1点目の質問ですが、この「わたしの動物園」という視点からの行動として、動物園で行われているボランティア活動の範囲が拡大したり、企業、大学、研究機関との連携などで実現した事例はどの程度あるのか、また、先月から募集が始まった「アニマルファミリー制度」は試行的な実施でありますが、今後の展望についてもお伺いします。
 
(2) ゾウの新規導入の可能性について
 アジアゾウの花子が亡くなり1年がたちました。花子は円山動物園の開園後まもなく来園し、動物園のアイドルとして60歳の長寿を全うし、数々の逸話を残した動物園のシンボルでありました。花子が亡くなったことで、円山動物園はゾウのいない動物園となり、「動物園に行ったらゾウはいなかった」、「早く新しいゾウを入れてほしい」など市民の声が寄せられています。
そこで、円山動物園におけるゾウ導入についてどのようにお考えかお伺いします。
(3)基本計画におけるキッドランドの位置づけについて
動物園では、本年度、基本構想を具現化するため、基本計画を取りまとめる作業を進めておりますが、園内には、現在、キッドランドがあり、一定のファンもいて営業しており、遊戯施設の老朽化を更新できるような利用者数にはなく、また、平日には経費が見合わないため、運転を一部休止している状況です。  
 そこで、動物園で検討中の基本計画のなかでこのキッドランドをどのように位置づけようとしておられるのか、お伺いします。
円山動物園の諸問題について
(1) ボランティア活動の拡大と「アニマルファミリー制度」の今後の展望について
 ボランティア活動については、従来からの動物解説のほかに、イベントの企画運営に市民や企業が直接参画して様々な活動を展開しており、なかには小学生による解説看板の制作も行われるなど、活動の年齢層も徐々に拡大してきているところであります。また、年末年始に開催したワイルドマウス展は、円山動物園と酪農学園大学、NPO法人霧多布湿原トラストが連携してネズミの捕獲から展示、解説までを協働で実施したもので、今後の研究も三者で連携して行うこととしております。
(2) ゾウの新規導入の可能性について
 花子が常に動物園のシンボルとして多くの市民に愛されてきたように、ゾウが動物園に存在していることの意義は、極めて大きなものがあり、私といたしましても、円山にゾウがいて欲しいという気持ちでいっぱいです。その一方で、新たにゾウを導入するにあたっては、種の保存という観点から、繁殖を前提とした施設が飼育の要件となるため、ゾウが群れで生活できる頑丈で大きな獣舎とそのためのスペースが必要となります。
したがいまして、ゾウの導入に関しては、市民みんなで議論を尽くし、札幌の動物園にふさわしい結論を導き出していく必要があると考えているところであります。
(3)基本計画におけるキッドランドの位置づけについて
 基本構想の中では、動物舎の面積を確保する上で、遊具の老朽化に伴う縮小または廃止による空間の創出を行うとしておりますので、基本計画もこの趣旨を踏まえた方向性を打ち出すことになるものと考えております。

教育問題について
(1)幼稚園・保育所などの教育施設と小学校の連携について
 私は、生涯にわたる人格形成の基礎を培う幼児期や小学校低学年での教育が、大変重要であると考えております。子どもたちは、幼児期に、砂や泥に触れながら夢中になって遊ぶなど、たくさんの体験を通して学び育ちます。この時期に、好奇心や探究心、思考力などを育てるための適切な働きかけをするとともに、同年代の幼児が集団で生活することをとおして、社会性や道徳心の芽生え、健康な体を培うことは、その後の人間としての生き方に大きな影響を及ぼすものであります。また、幼児期の教育の延長線上にある小学校低学年における教育は、基礎的な知識や技能を身に付けることや、学校生活を送る上で必要な生活習慣を身に付ける意味でも非常に大切であると思います。
 そこで質問ですが、これまで教育委員会として、幼稚園・保育所などの教育施設と小学校の連携にかかわってどのような取組がなされてきたのかを伺います。また、今後、これまでの取組をもとに、どのように連携を進めていこうとしているのかを併せて伺います。
(2) 中学校におけるキャリア教育について
 昨年8月、厚生労働省が発表した平成19年度版「労働経済白書」によりますと、正規社員への就職を求めない、あるいは、現在パートやアルバイトとして働いている15歳から34歳のフリーターの数は、ここ数年、減少傾向が見られるものの、平成18年度は187万人となっており、また、若年無業者、いわゆるニートも62万人と、依然、高止まりの状況となっております。  
このような、フリーター志向の広まりやニートと呼ばれる若者の存在が、今や社会問題化しておりますが、その背景には、非正規雇用者が増加するといった雇用環境の変化が根底にあることは言うまでもないことであります。
このような状況の中で、若者が自らの将来について夢を持てず、ひいては、勤労観、職業観の希薄化につながっているとの指摘もあります。
私は、子どもたち一人一人に望ましい勤労観、職業観を一層育んでいくためには、職場体験をすべての市立中学校で実施する必要があると思うのであります。
そこで質問であります。札幌市がキャリア教育実践プロジェクトの委託を受けてからの3年間の成果をどのように考えるのか、また、その中でどこに課題があるのか伺います。さらに、今後、札幌市としてどのように取り組んで行こうと考えているのか、併せて伺います。
教育問題について
(1) 幼稚園・保育所などの教育施設と小学校の連携について
 幼児期及び小学校の低学年は、生涯にわたる人間形成の基礎を培う大切な時期であります。
このことから、教育委員会といたしましては、一人ひとりの子どもを継続して育てていくという視点に立ち、これまで、幼児と児童のさまざまな交流や、職員間の情報交換などに取り組み、子どもの育ちなどについて相互に理解を深めながら、連携体制の構築に努めてきたところであります。
今後につきましては、幼稚園における遊びを通した学びから、小学校の教科等による学習へ、どのように円滑に移行させていくかを具体的に探っていくことが必要であると考えており、来年度から「幼小連携モデル園」を設置し、小学校と市立及び私立幼稚園が連携した共同研究を行うこととしております。
また、この取組を進めていく中で、保育所とも連携し、その成果を全市に広めながら、幼稚園・保育所・小学校の連携が、これまで以上に深まるよう努めてまいりたいと考えております。
(2) 中学校におけるキャリア教育について
キャリア教育実践プロジェクト事業の成果と課題についてでありますが、職場体験に参加した生徒からは、「働くことの厳しさとともに達成感を実感できた」との感想が寄せられ、事業所からは、「中学生のイメージが好ましく変わった」との声が聞かれております。
このように、生徒にとっては、自らの将来を考えるきっかけになったり、地域にとっては、地域と学校が一体となって、子どもを育てようとする気運が高まったりするなど、教育的な観点からばかりでなく、白石区のでっち奉公事業のように、まちづくりの観点からも大きな成果が上がってきているものと考えております。
一方、学校からは、受け入れてくれる事業所を確保することの難しさ、事業所からは、生徒を受け入れるに当たっての安全面への配慮や、人的負担の増加などの課題が指摘されております。
次に、今後の取組についてであります。
教育委員会といたしましては、これまでの成果を生かしながら、来年度、新たに、厚別区と手稲区を推進地域として指定する予定であります。
今後、まちづくりの観点も踏まえ、できるだけ速やかに、すべての市立中学校において実施されるよう、努めてまいりたいと考えております。