平成19年第4回定例議会
代表質問 國安 政典 議員(北区)
12月5日札幌市議会本会議において、公明党議員会を代表して國安 政典 議員が代表質問を行いました。以下、質問項目と主な市側の答弁の要旨を紹介します。
石油製品等高騰への対策について
 これまで、原油価格高騰の影響から、石油製品が急騰を続け、現在、灯油小売価格が1リットル当たり90円を、ガソリンも1リットル当たり150円を超えるなど、厳冬期を迎え需要が増大するこの時機、札幌市民の生活は大きな打撃を受けることになり、市民の間では不安が募っています。私ども、公明党議員会も緊急対策本部を設置しました。
 札幌市として、市民生活や経済活動に大きな影響を及ぼす石油製品高騰について、どのように認識しているのか、また、今後の見通しと対応について改めて伺います。
石油製品等高騰への対策について
 石油製品等高騰への対策についてお答えいたします。原油価格高騰に伴い、灯油、ガソリン、軽油など石油製品価格が値上がりを続けており、積雪寒冷地に住む札幌市民の家計のみならず、中小企業の経営をはじめ産業活動にも大きな打撃を与えていることは、憂慮すべき事態と受け止めております。また、見通しにつきましては、投機的な動きから原油価格が高騰していることもあり、今後も予断を許さない状況にあります。
 したがいまして、昨日申し上げた緊急対策会議において、先般いただいた要請の趣旨を踏まえ、低所得者や中小企業に対する支援に向けた既存制度の条件緩和を検討するなど、12月11日を目途に札幌市としての対策を示し、ただちに実施したいと考えております。

行財政改革プランについて
 少子高齢化と人口減少時代に突入する中で、雇用環境をはじめとして全国的に厳しい社会経済情勢にあります。とりわけ北海道は、言うまでもなく、全国の中でも最も厳しい状況に置かれているのであります。
 地方財政全体に目を向けますと、税源移譲や減税措置の廃止により税収そのものは一定の増加があるものの、代替措置であった特別な地方債がなくなったことや地方交付税が縮減されていることなどから、一般財源総体としては減少しております。
 厳しい財政状況にあっても健全な財政運営を行っていると認識しているところであります。とはいえ、平成20年度の198億円をはじめとして、ピークの平成22年度には306億円の収支不足が予想されますことから、仮にこのままの状態を放置すれば、札幌市も財政健全化団体となる恐れがないわけではありません。
 これを解消するために、先日公表された新しい行財政改革プランは、内部努力や事業の選択と集中をはじめとして、受益者負担の見直しなど市民サービスに影響のあるものを含めて平成22年度までに総額306億円の見直しを行うこととされています、市役所内部の努力により、効率的かつ効果的な運営に努め、民間にできることは民間に任せるなど、コストの縮減に関する検討は十分なのでしょうか。限られた人的資源及び財源で公共サービスの拡大に対応するためには、すでに行っている事務事業のひとつひとつについて、検証が必要であります。そこで2点質問いたします。
(1) 内部効率化に取り組む観点について
 今回の行財政改革プランにおいては市民サービスの低下や市民負担の増加を招く項目が数多く盛り込まれておりますが、これまで述べたとおり、その前提として市役所内部の効率化を徹底的に行うことが求められていると考えます。プランに掲げられた内部効率化について、どのような観点で取り組んでいくのか伺います。
(2) 更なる内部効率化について
現在プランに盛り込んでいる内部効率化は、これで限界なのでしょうか。更なる効率化は考えていないのか伺います。
行財政改革プランについて
(1) 内部効率化に取り組む観点について
 内部効率化に取り組む観点についてですが、持続可能な財政構造への転換を図るうえで、スリムで効率的な市役所を確立することは不可欠と考えており、これまでも平成16年度に策定した財政構造改革プランに沿って、内部努力の目標としていた81億円を上回る108億円の効果をあげるなど、さまざまな努力を行ってまいりました。
 今回のプランの策定にあたりましても、依然として厳しい財政状況を踏まえて、管理職の10%削減など効率的な組織体制への変革や定員管理等の適正化、民間委託の推進や他団体との協働による民間活用の推進、更には出資団体の見直しや企業会計の経営効率化などの内部効率化を優先して行うこととしており、効率的かつ効果的な行財政運営に努めてまいりたいと考えております。
(2) 更なる内部効率化について
 更なる内部効率化についてでありますが、行財政改革プランにおける内部努力としては、現時点で可能な限りの見直しを盛り込んでおり、効果額としても、前回の財政構造改革プランの実績を上回る115億円を見込んでおります。
 しかしながら、内部効率化にかかる取組については、これで限界ということではなく、少しでも前倒しをして実施するとともに、さらなる効率化に向けて、不断の努力と工夫を行っていきたいと考えております。

第2次札幌新まちづくり計画について
 第2次札幌新まちづくり計画について2点お伺いします。第2次新まちづくり計画は、今年6月に公表された施政方針「さっぽろ元気ビジョン 第2ステージ」に掲げるまちづくりの基本的な方向性を実行に移すためのまちづくりのプランとして、5つの政策目標と15の重点課題が設定され、特に優先的・重点的に実施する施策や事業が計画化されたところであります。これらの重点課題ごとに、「市民意識・行動指標」、「社会成果指標」として66項目の成果指標が設定され、その達成に資する事業が積極的に計画化されたとのことでありますが、どのような考え方に基づいてこれらの指標を新たに設定したのか、お伺いします。また、今後第2次新まちづくり計画を推進していくにあたって、どのように施策や事業の評価や検証を行い、計画の進ちょく管理を行っていくお考えか、お伺いします。
第2次札幌新まちづくり計画について
(1) 成果指標設定の考え方について
 成果指標設定の考え方についてでありますが、成果を測る指標にもいくつかのタイプがあることから、今回の計画においては、「子育てしやすいまちだと思う人の割合」などの市民の満足度や「週2回以上外出する高齢者の割合」などの市民意識や行動を中心とした指標と、札幌を訪れる「年間来客数」などのように統計的なデータから得られる指標の両面から、成果の度合いを確認していくことを目指し、各重点課題に「市民意識・行動指標」と「社会成果指標」の2つのタイプの指標を設定することを基本に、作業を進めたところであります。
 その設定につきましては、前計画において設定した成果指標のうち、ある程度目標を達成したものやデータ把握が困難であったり、成果指標としてふさわしくないものなどについて見直しを行いました。併せて、目標値の設定につきましても見直しを行い、努力目標として設定できるものは、高めの目標値設定を行うとともに、部門別計画や行政評価などで設定されている指標とも整合性を図りながら、成果指標全体の再設定を行ったところであります。
 昨年4月、雪対策事業に関する喫緊の課題を克服するため、3ヵ年を集中取組期間として市内部に「雪に負けないサッポロづくり本部」が組織された。今後とも雪を意識したまちづくりを、長期的視野に立って関係部局が一丸となって検討するべきことを強く要求するものである。
「雪に負けないサッポロづくり本部」は、今年で2年目となっており、実効を上げていると思うが、これまでどのような成果を上げ、どう評価しているのか伺いたい。
(2) 計画の進ちょく管理について
 進ちょく管理についてでありますが、前計画に引き続き、毎年度、各事業の所管部局による事業の評価を行うとともに、政策目標ごとに組織横断的に設置したプロジェクトによる施策の評価を行っていきたいと考えております。
 特に、今回の計画においては、各事業に設定した「達成目標」に基づいて、毎年度、その進ちょく状況を確認するとともに、各重点課題に設定した「成果指標」についても、さまざまな事業実施の結果、成果としてどのように現れているかを把握しながら、その結果を次年度の事業実施に生かしていきたいと考えております。
 また、これらの評価内容につきましては、ホームページ上で公開することにより、計画の進ちょく状況や成果指標の達成状況を市民の皆さんにもわかりやすく公表していく予定であります。

安全・安心の街づくりについて
(1)安全マップを通じた地域連携の推進について
 地域安全マップを通じた地域連携の推進についてであります、先月9日、南区真駒内で3歳の男の子が母親と帰宅途中、いきなり男に首を切りつけられるという事件が起きました。さらに、16日には白石区川北で下校途中に中学2年の女子生徒がすれ違いざまにハサミのようなもので上着の袖を切られるという事件もありました。いずれも、未だ犯人が明らかになっておらず、一日も早い犯人の逮捕を切に願うとともに、関係機関の連携・協力により、子どもたちをこうした危険から守るための対策を一層強化していく必要性を認識したところであります。
 教育委員会では、学校における安全教育の具体的な取組の一環として、市内小学校に対し通学路の中にある危険な場所などを地図に示した安全マップづくりやその活用について指導を進めており、各学校現場では、さまざまな形で取り組まれていると聞いております。
 私はこの安全マップづくりを通じて築かれる地域や学校、行政との連携の輪といったものが地域防犯活動を継続的にかつ円滑に進めていくために必要不可欠であり、そして、何よりも重要な要素ではないかと考えているわけでありますが、こうした地域の連携づくりがさらに活発になるよう、札幌市において取組を進めていくべきと考えるのでありますが、いかがか、お伺いします。
(2) 住民参加型の災害図上訓練(通称:DIG)について
 住民参加型の災害図上訓練(通称:DIG)について伺います。札幌市では、過去数十年にわたって、大きな地震や水害の被害を被っていませんが、全国的には、阪神淡路大震災以降、今年の中越沖地震まで震度6を超える巨大地震が頻発するとともに台風による水害も毎年のように起こっております。
 いざという時に備えるためには、防災の知識を習得することに加え、もっと自分達の住む街に関心を持ち、防災上の課題は何か、どうしたら被害を軽減することが出来るかについて、地域の皆さんが話し合い、考えることができるような環境づくりが必要であると考えております。
 そこで私は、住民参加型の災害図上訓練を積極的に推進してはどうかと考えます。この災害図上訓練はDIGと呼ばれ、1997年に三重県津市で産声をあげた住民参加型の屋内防災訓練でありますが、大きな住宅地図、色付ペンなどの軽易な道具さえあれば、子どもから高齢者、障がいのある方々など、誰でもが気軽に参加できるのが特徴の訓練手法です。
 そこで質問ですが、地域の防災力向上に寄与できるこのDIGの普及をどのように進めていくのか、お伺いします。
質問の2点目は、今後、このDIGを広く実施していくにあたり、どのような防災施策に活用していくお考えなのか、お聞かせ願います。
安全・安心の街づくりについて
(1)安全マップを通じた地域連携の推進について
 安全マップを通じた地域連携の推進についてお答えいたします。子どもたちの目線からみた危険箇所をみんなで確認しあい改善していこうとする安全マップづくりは、子どもたちのみならず、学校や地域、行政が連携・協力しながら進めることが大変効果的であり、このような協働による取組が、まさにまちづくりの基本であると考えております。
 現在、北区が進めている安全マップづくりに関わる地域協力者の養成や、手稲区における小学校と地域が協働して実施した危険箇所の改善などの取組を、今後、全市に広めるよう努め、安全マップづくりを契機とした地域の連携を促進してまいります。また、この10月に決まった教育委員会の区担当の指導主事が、区やまちづくりセンターと緊密な情報交換を行うことなどにより、学校と地域とのネットワークづくりを積極的に進めてまいります。
 さらに、来年度制定を目指す「犯罪のない安全で安心なまちづくり条例」において、学校や地域、行政の役割のほか、より効果的に地域の連携を促進していくための仕組みづくりについても検討してまいります。
(2) 住民参加型の災害図上訓練(通称:DIG)について
 住民参加型の災害図上訓練(通称:DIG)についてお答えいたします。DIGの普及の進め方についてですが、これまで以上に、各種広報媒体を活用して広く市民の皆さんに知っていただくとともに、区役所やまちづくりセンター、消防署などの職員をDIG普及員として養成し、地域の要請に応えることができるようにしていきたいと考えております。
 防災施策への活用についてでありますが、まずは、多くの市民にDIG参加を促し、防災を身近な問題として考えていただけるような地域の底上げを図ってまいりたいと考えております。
 あわせて、自主防災活動の活性化に向けて、例えば防災リーダー研修に取り入れることも必要であると考えております。
また、現在検討を進めております、高齢者、障がい者など災害時要援護者の避難支援の運用上においても有効であると考えております。
 いずれにいたしましてもDIGは、地域ぐるみで行う防災対策の効果的な手法ですので、さまざまな場面で活用してまいりたいと考えております。

ごみ問題について
(1)資源物抜き取り対策について
 ごみステーションにおける資源物抜き取り対策についてでありますが、このことについては「スリムシティさっぽろ計画」の素案の推進施策に、ごみステーション問題の改善策の一つとして計画されています。
 資源物収集については、平成10年10月の開始以来、市民の協力もあって毎年約3万トンもの収集量を維持し、また、これの売却益も平成18年度は約5億4千万円の実績をあげています。これを基金として積み立てたリサイクル推進基金も8億円を超え、その運用益は市民、事業者の自主的な実践活動の支援体制として「製造」、「流通」、「消費」、「回収」、「再生利用」の各段階の市民や事業者で構成されている「ごみ減量実践活動ネットワーク(さっぽろスリムネット)」の活動資金として活用されているところであります。
 
ところで、近年、ごみステーションから資源物を抜き取る行為が全国的に問題となっておりますが、本市においても同様の事例が見られ、特に金属の市場価格が高騰してきたここ1、2年、ごみステーションに資源物として排出された、主にアルミ缶を抜き取る行為が増加していると聞いております。そこで質問でありますが、この資源物の抜き取り行為についてどのように考えているのか、また、今後どのように対応しようと考えているのか、見解をお伺いします。
(2)ごみステーション管理の支援について
 ごみステーション管理の支援についてお伺いします。現在、「スリムシティさっぽろ計画」の素案についての意見交換会が、各地域で開催されておりますが、参加した市民からは素案の内容について様々な意見、要望などが出されております。
中でも、ごみステーションの管理に係る問題の改善については、市民にとって最も関心のある事柄であり、意見交換会では「有料化を実施するなら、ごみステーションの管理は市でやってもらいたい。今後、町内会はステーションの管理には関わらない」との意見まで出ていると聞いています。
しかし、このごみステーションの管理については、条例において市と市民の役割分担が謳われており、ごみを排出し収集されるまでの間は市民が管理することとなっております。
 しかしながら、実態は、不適正排出などにより皆さん大変なご苦労をされているわけであります。そこで、今回の計画素案ではこれらの対策として、ごみパト隊の配置、地域環境美化やごみステーション管理器材の購入助成などの支援策を盛り込んでおり、先般、公表された来年度予算要求概要においても、管理器材の助成について予算要求されています。
 そこで質問でありますが、改めて管理器材の助成について、どのようにお考えか、お伺いします。また、この助成については、一時的なものではなく、継続して実施していくべきと考えますが、お考えをお伺いします。
ごみ問題について
(1)資源物抜き取り対策について
 資源物抜き取り対策についてであります。資源物の抜き取り行為は、市民と行政が協働で築きあげてきた資源物収集の仕組みを阻害するものであり、市民からも多くの苦情が寄せられているところであります。
 今後、他都市の状況も参考としながら、資源物抜き取り行為を防止する規程を、早急に整備してまいりたいと考えております。
 議員ご指摘のとおり、サミットには全庁を あげて対応すべきであるとの考えから、市長を本部長とする札幌市サミット支援推進本部を立ち上げる予定でございます。3副市長及び関係局長がメンバーとなり、札幌市が行うサミット支援事業及び独自に行う関連事業について決定していくことを考えております。
 また、すでに、サミット対応の窓口となる組織を10月1日付で設置しており、サミットセミナーの開催による市民広報や道民会議と連携したインフォメーション機能の充実など、時宜を得た対応を図ってまいります。
(2)ごみステーション管理の支援について
 ごみステーション管理の支援についてでありますが、ごみステーションにつきましては、地域の皆様に設置・管理していただくことを基本としておりますが、様々な問題があることから、行政としても管理器材の助成など、地域に対する支援をしていくことが必要と認識しているところであります。
 具体的な助成のあり方につきましては、地域の実情や要望などを踏まえ、十分に検討してまいりたいと考えております。

本市流通業の振興策について
 本市流通業の振興策について伺います。卸売業をはじめとする流通業は、北の商都として発展してきた本市経済を下支えしている、いわば基幹産業であると考えております。本市の卸売業は、これまで、札幌市内のみならず道内全域へ商品を供給する役割を担ってきたことから、市内における卸売業の企業集積は、事業所・企業統計調査によりますと全国平均が6.8%であるのに対して、本市は9.2%となっており、他の政令市の平均8.6%と比較しても大きな割合となっております。
 その結果、本市の産業構造における比重を見ましても、市内生産額における卸売業の割合が例年、13%〜15%を占めるなど、本市最大の産業であることは間違いのないところだと認識しております。しかし、市内の卸売業の年間販売額は、商業統計調査によりますと、平成3年の10兆7千億円をピークに減少を続け、平成16年にはピーク時の約30%減となる7兆7千億円まで落ち込んでおります。また、これに伴って従業員数も大きく減少しており、平成3年に約10万1千人であったものが、平成16年には約7万3千人となっております。
 今後、道内人口の大幅な減少、2030年には現在より100万人減少するといわれている状況下にあって、消費地としての需要が大幅に縮小することから、道内小売を主な販売先として発展してきた卸売業をめぐる経営環境はよ次に、質問の2点目は層、厳しくなるものと予想されます。
そこで、流通業の振興策について2点お伺いします。
 
(1) 流通業に関する現状認識と今後の振興策の方向性について
 卸売業をはじめとする流通業は大きな転換期を迎えていると考えられますが、市長は現状をどのように認識しており、今後、どのようにして振興しようとしているのかその方向性についてお伺いします。
(2) 道内の地域資源と連携して、「札幌発の流通」をつくっていくことについて
 道内の地域資源と連携して、「札幌発の流通」をつくっていくことが本市の流通業に必要だと考えますが、このことについて、どのような認識を持っておられるかお伺いします。
本市流通業の振興策について
(1) 流通業に関する現状認識と今後の振興策の方向性について
 卸売業をはじめとする流通業に関する現状認識と今後の振興策についてでございますが、札幌市の卸売業は、市内生産額に占める割合の大きさや、道内全域の小売店や事業者への商品供給といった役割の重要性を鑑みましても、商都札幌を代表する基幹産業のひとつであると認識しております。
 しかしながら、近年、小売とメーカーが直接結びついた流通形態の進展や、道内人口の減少といった逆風の中で、従来の中間流通を担う役割だけでは更なる成長は厳しい環境にあるものと考えます。そこで、今後は道内のみならず日本全国、特に首都圏への販路拡大や、札幌スタイル製品に代表される、道外にはない北国の生活に根ざした付加価値の高いオリジナルデザイン商品の企画・開発、さらには新しい流通環境に対応した人材の育成などについて、実際に卸売業の経営者の皆様からご意見を伺いながら、積極的に支援してまいりたいと考えております。
(2)道内の地域資源と連携して、「札幌発の流通」をつくっていくことについて
 「札幌発の流通」についてでございますが、流通業が集積した札幌市の特性を活かすためには、近隣市町村の地域資源を活用した広域での連携が必要であり、同時に札幌の力をいかに他の道内都市のために役立てていくかといった視点も大事であると認識しております。その意味で、「札幌」や「北海道」ならではの新たな地域ブランドの掘り起こしとその対外発信を「札幌発の流通」として形成していきたいと考えております。
 具体的には、北海道産の「花き」などは非常に重要な地域資源のひとつであると考えており、道内花き市場流通の5割以上を取扱う「札幌花き地方卸売市場」を拠点に北海道産の「花き」を活用した流通のあり方を検討するなど、道内の生産者と手を携えながら、道産ブランドの構築、「花育」などの需要振興策や、「北海道洞爺湖サミット」でのPR活動をはじめとした国内外への情報発信等に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

札幌市障がい者権利条例の制定について
 「札幌市障がい者権利条例」の制定についてお伺いします。昨年12月、国連総会で「障害者の権利条約」が採択され、この9月28日にわが国の政府が署名したところであります。今後は、批准に向けて、関係法令の改正などの作業が行われることとなりますが、条約の基本的な精神は、障がい者への差別撤廃と社会参加を、国家を挙げて進めていくことにあります。わが党は1990年11月の全国大会で「障害者差別禁止法の制定」を重点政策に盛り込み、これまで機会あるごとに実現を訴えてきましたが、この条約への署名で障がいのある方へ十分配慮した社会環境の整備に向けて、国家としての取組が大きく前進するものと期待しています。
 すでに、市長は、今年4月に施行された「自治基本条例」において、まちづくりを市民参加で進めていくという基本的な考え方を示されました。その第21条では、「市政への参加にあたって、障がいの有無により不当に不利益を受けないよう配慮する。」内容となっておりますが、より積極的に障がいのある方に焦点を当てた、札幌市としての基本的取組、理念等をうたった条例が私は必要であると考えるところであります。
 札幌市が、障がいの有無や年齢に関わらず、誰もがより暮らしやすい街として、今後も発展を続けるためには、障がいのある方が社会のあらゆる分野でその能力に応じて活躍できることが不可欠であります。そのために、障がい者への理解を一層促進すると共に障がい者の社会進出を進め、市民の誰もがお互いに支え合いながら共生していくまちづくりを推進することなどを札幌市の基本理念とする「札幌市障がい者権利条例」の制定は、時機を得たものであり、是非とも必要と考えますが、この条例制定についての市長の見解をお伺いします。
札幌市障がい者権利条例の制定について
 札幌市障がい者権利条例の制定についてお答えいたします。千葉県が制定した障がい者の権利条例につきましては、地方自治体における先駆的な取組として、注目されるものであります。
 この条例は、「共生社会の実現」を目指し、障がいのある方への差別をなくす取組を進めていくものでありますが、この考え方は、札幌市の障害者保健福祉計画や第2次新まちづくり計画の目指す方向と軌を一にしております。
 障がい者権利条例の制定につきましては、国連の障害者権利条約の批准に向けた関係法令の整備状況などを注視しながら、さまざまな角度から調査、検討を重ねていく必要があるものと考えております。

子どもの権利条例について
 子どもの権利条例についてお伺いします。先の第1回定例市議会において、「札幌市子どもの権利に関する条例案」が否決されましたが、その後の定例会や議案審査特別委員会等での質疑を経て、改めて条例案の見直しとともに救済制度の検討が進められているところであります。
 わが党としては、もとより「子どもの権利」そのものを否定するものではありませんが、「子どもの権利」についての周知不足による誤解や混乱、それから派生する関係者の不安への対処といった点で、なお、懸念されるところがあり、一旦は支持を見合すべきと判断したところであります。
 そこで、「子どもの権利」を守るための重要な柱となる救済制度を中心に3点について、市長としてのお考えをお伺いします。
(1)救済制度に対する期待について
 制度設計はこれからでしょうが、救済制度に対して、どのような期待を込めようとしているのか、基本的なお考えを伺います。
 
(2) 子どもが利用しやすい制度について
 救済制度の主たる対象は子どもたちでありますので、子どもにとって使いやすい制度とすべきと考えますが、この点に関してどのような枠組みを考えているのか伺います。
(3)組織の考え方について
 行政改革を進めている立場として、組織は、ムダを省き実効性のあるものとすべきと考えますが、この点についてのお考えを併せて伺います。
子どもの権利条例について
(1) 救済制度に対する期待について
 救済制度に対する期待についてでありますが、一人で悩み、誰にも相談できずにいる、あるいは、これまでの相談体制の枠組みでは解決が難しく、苦しんでいる子どもたちに対し、迅速かつ適切な救済を図るとともに、自らの力で次のステップを踏むための支援ができる制度とする必要があると考えております。
さらに、この制度を考えるに当たっては、子どもたちが、自分たちの問題を子ども同士で考え、そして解決を目指していくことも、重要な視点であると考えております。
 私は、この制度によって、一人でも多くの子どもたちが悩み苦しむ状態から立ち直ることはもちろん、子どもたちが自分で考え判断し、自分の行動に責任を持ち、そして他者のことも考えることができる、自立した社会性のある大人へ成長していくことを、強く期待しているところでございます。
(2) 子どもが利用しやすい制度について
 子どもが利用しやすい制度についてでありますが、幅広い内容の相談に対して、子どもの立場に立って対応するなど、誰からも親しまれる制度とする必要があると考えております。今後、検討会議において、委員と子どもとの意見交換を通して、相談の方法、時間帯、場所等について議論していただくことになっており、それを踏まえ、子どもにとって利用しやすく、信頼される制度となるよう、工夫してまいりたいと考えております。
(3)組織の考え方について
 組織の考え方についてでありますが、検討会議の議論を尊重したうえで、子どもの視点に立った実効性のある制度を目指すとともに、既存の相談機関等との役割分担や連携について十分考慮し、ムダがなく、かつ最大限の効果を発揮できるような組織づくりを進めてまいりたいと考えているところでございます。

教育問題について
(1)教育問題について
 教育問題についてお伺いいたします。最初に、いじめ問題についてであります。11月15日に発表された、文部科学省の「問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」の結果によりますと、全国の学校で平成18年度に確認されたいじめの件数は、12万4898件に上り、昨年度の2万件から一気に約6倍に増えたとのことであります。
 文部科学省は、このような急増の理由として、いじめの実態を幅広く把握するため、「心理的、物理的な攻撃を受けたことにより苦痛を感じている」など被害者の気持ちを重視する形に改めた他、調査の項目を増やし、その内容も具体的に示すなど、調査方法も変えたことや、学校側の姿勢の変化も大きいと捉えているとのことであります。
 さらに、今回の調査では、これまで発生件数としていたものを認知件数という表現に変え、アンケートや個別面談等を通して、子どもから直接聞く機会を設けることを求めるなど、より子どもの立場に立った調査となっており、私としましても、一定の評価をしているところであります。
そこで、いじめの問題について3点お伺いします。
[1]札幌市における平成18年度のいじめの現状について、文部科学省へ報告した認知件数、態様などについて。
[2]教育委員会として、いじめの解消に向けての取り組み・解消状況について。
[3]教育委員会として、保護者や地域を巻き込んだ取組・今後のいじめ問題についての取り組みついて。
 
(2) 公立中学校夜間学級設置に向けた取組について
 公立中学校夜間学級について伺います。公立夜間中学につきましては、本年第2回定例会の代表質問において、副市長から「これまで様々な困難を抱えながら、学ぶ意欲を持ち続けてこられた方々の思いを大切に受け止め、支援のあり方について考えてまいりたい。」との認識が示され、また、教育長からは「札幌遠友塾自主夜間中学につきまして、引き続き団体と協議しながら、学校施設の使用も含め、具体的にどのような支援が可能か、検討してまいりたい。」との札幌市としての姿勢を示されたところであります。そこで質問でありますが、これまで北海道には公立夜間中学が設置されておらず、設置されるとなれば、初のケースとなるわけでありますから、ソフト面・ハード面における解決すべき諸課題が多いことは理解いたします。しかしながら、こうした学ぶ権利を有しながら、学齢期に修学することができずに、今、教育を受けたいという人々に対して就学の場の提供は、わが党がかねてから主張してきたところでありますが、札幌市としては、公立夜間中学の設置に向けて、今後、どのような取組を進めようとしているのか伺います。
教育問題について
(1) いじめ問題について
[1]札幌市における平成18年度のいじめの現状
 札幌市における平成18年度のいじめの現状についてでありますが、文部科学省は、いじめられている子どもの思いを重視した調査方法に改めたことから、いじめの認知総件数は、952件と、前回の約4倍となっております。
このいじめの態様についてですが、昨年と同様、「冷やかしやからかい・悪口や脅し文句・いやなことを言われる」という言葉によるいじめが、複数回答による延べ1,381件のおよそ50%に上り、次に「仲間はずれ・集団による無視」と続いております。また、今回新しく項目に加わった、「パソコンや携帯電話での誹謗中傷」は、およそ5%でありました。
次のいじめの解消についてであります。教育委員会といたしましては、いじめ電話相談の対応時間を延長したほか、新たにスクールカウンセラーを小学校へ派遣するなどして、相談体制の強化を図るとともに、各学校に対して、継続的な状況把握や、新たないじめの早期発見と指導体制の充実など、いじめの未然防止と解消に向け取り組むよう指導してまいりました。
[2]いじめ解消への取組と解消状況
 札幌市におけるいじめの解消状況についてであります。解消されていないとした児童生徒については、保護者や地域、関係機関と連携しながら、いじめの解消に向け取り組んでいるところでありますが、いじめが解消されたという76%の児童生徒についても、引き続き、きめ細かに見守りながら支援してまいりたいと考えております。
 続いて、保護者や地域との連携と今後の取組についてであります。教育委員会では、昨年に引き続き本年11月、札幌市独自の調査を保護者の理解と協力のもと実施し、いじめ問題の解決に向けた取組を進めているところであります。
その取組の中で、子どもも参加して作成した「いじめに関するリーフレット」には、地域や保護者へ向けたメッセージなども載せ、学校だけでなく、PTAや地域の健全育成推進会等でも活用するよう働きかけております。
[3]保護者や地域と連携した取組と今後のいじめ問題についての取組
 現在、保護者や関係機関と連携した取組事例などを扱った指導資料を作成しており、今後、その活用を促しながら、いじめ問題に対して学校はもちろん、地域総ぐるみで取り組んでいくことができるよう努めてまいりたいと考えております。
(2) 公立中学校夜間学級設置に向けた取組について
 公立夜間中学の設置に向けての今後の取組についてであります。札幌市といたしましては、戦後の混乱期にあって公立夜間中学が果たしてきた役割は、きわめて重い意味を持っているものと考えており、学ぶ意欲を持ち続けてこられた方々の思いを大切に受け止め、こうした方々の教育を受ける機会について配慮がなされるべきものと考えております。しかしながら、公立夜間中学の設置にあたっては、議員ご指摘のとおり、ソフト面、ハード面において、さまざまな解決すべき課題を有していることも事実であります。
 こうしたことから、教育委員会といたしましても、既に公立夜間中学を設置している他都市における取組や運用の状況などについて、具体的な調査を進めているところであります。今後も、関係団体からの要望などを踏まえつつ、北海道とも連携しながら、学ぶ意欲を強く持ち続けておられる方々に対する就学機会の提供のあり方について、引き続き調査検討してまいりたいと考えております。