平成19年 第2回定例議会
代表質問 涌井 国夫 議員(西区)
6月13日、札幌市議会本会議において、公明党議員会を代表して涌井国夫議員(西区)が、代表質問を行いました。以下、質問に対する市側の答弁の要旨を紹介します。
 多くの市民に期待されて注目を集めている2期目は、これまでの4年間に蒔いた種が結実する大切な時期である。従前にも増して、市民党という立場で、融和と協調による市政運営が重要と考えるが、市長の2期目における市政運営の基本姿勢について伺いたい。
 今後の札幌市のまちづくりを効果的に推進するためには、行財政改革を強力に押し進めるとともに、まちづくりとしては、特に力を入れていく重点政策を明確にし、事業を重点化した計画づくりが、引き続き重要であると認識している。
 
今回、施政方針を実行するための「まちづくりのプラン」を策定する旨の考えを示されたところであるが、新たなまちづくりの計画づくりの基本的な考え方について、今一度その認識について伺いたい。
 今後、北海道新幹線の札幌延伸や、創世1.1.1区の事業化などが期待され、それに伴う経済波及効果もかなり期待できるここ10年が、長い目で見て、先人から受け継いだ「札幌」を、後世に誇れる街「札幌」として引き継ぐために、極めて重要なターニングポイントになる。 今好調な民間の投資も、札幌に魅力がなくなれば撤退していくことになり、そうなれば経済的な衰退は時間の問題である。たゆまず都心の魅力を発信し、民間投資が継続して行われるようなまちづくりの展開が強く求められている。
 市長は、経済政策の一面も踏まえて、魅力と活力のある都心をどのように再生していこうとしているのか、市長の考えを伺いたい。
 市長は、選挙公約の中で、「敬老優待乗車証」の利用上限額を現行5万円から2万円引き上げ、7万円にするとしている。この事業は、対象者が20万人を超え、事業費も約41億円に達する札幌市の事業の中でも規模の大きなものであり、その目的である社会参加の促進という観点からも極めて有効な施策であると考えている。

〈1〉
上限額の引き上げについて、いつ実現するおつもりなのか伺いたい。

〈2〉上限額引き上げに当たっては、利用者負担率の設定の問題がある。さらに、有効期限の見直しなど市民から寄せられた意見や要望も多いことと思うが、これら
上限額の引き上げ以外の課題や要望について、市長は、どのようなお考えをお持ちなのか伺いたい。
 1点目の市政運営の基本姿勢についてでありますが、4年前の初心と変わることなく全身全霊を傾けて札幌市の舵取りを担ってまいりたいと考えております。
 また、多くの市民の理解のうえに街づくりを進めるためには、様々な意見、立場の方々や活動をしている方々が、お互いを尊重しつつ議論を尽くすことが肝要であり、そのことによって、融和と協調によるまちづくりが実現されるものと考えており、これがまさしく、私が目指す市民自治の本旨であります。 2期目に当たりましては、「人を大事にすること」を原点に、自治基本条例の目指す市民が主役のまちづくり、すなわち、市民自治をまちづくりの根本に据えた市政運営を確かなものとし、この4年間で根付いた市民自治の芽をしっかりと育てていくために、渾身の力を傾注してまいりたいと考えております。
 次に2点目の新たなまちづくりの計画づくりの基本的な考え方についてでありますが、新たな施政方針でお示しした「まちづくりの基本的方向性」は、平成16年度に策定した新まちづくり計画におけるまちづくりの方向性や様々な議論を引き継ぎながら、マニフェストで掲げた「5つの目指す街の姿」を、5つの政策目標と15の重点課題として具体化したものであり、新たなまちづくりの計画では、この政策目標と重点課題を計画の体系とすることにしております。
 また、計画策定にあたっては、ご指摘にありましたように、将来の財政状況が予測困難であることを踏まえると、限られた経営資源の効率的な配分を行う計画とすることが重要と認識しているところであり、市政運営の2期目となる新たなまちづくりの計画においても、課題を明確化し、計画事業を重点化してまいりたいと考えております。
 3点目の経済対策としての都心の再生についてお答えします。
 公民の連携と協働により都心の再生を進めることは、経済対策としての効果はもとより、札幌市の税源涵養を図るという財政的な効果や、都市全体の魅力の向上というまちづくり上の効果が、非常に大きいと認識しております。
 例えば、駅前通地下歩行空間整備事業では、沿道ビルと接続可能な構造とし、地下空間の民間活用を可能とすることで、日本生命ビルの着工、旧拓銀本店ビルや三井ビルの建替えなど、沿道の民間プロジェクトが具体化してきており、今後も、接続を前提としたビルの更新が、駅前通全体で連鎖的に進むものと考えられます。これらのことは、雇用の創出、一般消費の増大などの経済波及効果や、固定資産税等市税の増収効果のみならず、新たな“さっぽろの顔”として都心の魅力の向上が期待されるところであります。
 ご質問にありましたとおり、私もここ10年が、都心の再生において極めて重要な時期であると考えておりますことから、マニフェストでお示ししていますとおり、将来を見据えた都市再生として、2008年度を目標に都心のまちづくりを一体的、効率的に進める戦略プロジェクトを策定することとしております。
 4点目の敬老優待乗車証制度につきましては、上限額の引き上げ時期とそれ以外の課題や要望に対する考え方の2点を併せてお答えさせていただきます。

〈1〉上限額引き上げの時期につきましては、システム変更作業や利用者への周知に要する相当の期間も考慮し、平成21年度からの実施を目指したいと考えております。

〈2〉利用上限額の引き上げとそれに伴う利用者負担などの条件設定につきましては、これまでの利用実績や寄せられた市民意見などの分析を行い、交通事業者との協議を進め、議会での議論をいただきながら検討してまいりたいと考えております。

 市長は、厳しい財政状況の中で、職員自らが汗を流して政策の実現を目指すと言っているが、職員の頑張りに期待して、果たしてどれだけの成果が挙げられるのか。市民、企業、あるいはさまざまな団体が力を合わせて、市政を担っていくべきではあるが、まずは、行政の無駄な仕事をなくし、徹底した歳出削減を行い、そこで捻出した財源を必要な政策に投入していくべきではないか。 堰@我が会派は、税金の無駄遣いをチェックする仕組として事業仕分けの実施を主張してきた。昨年6月に制定された「公共サービス改革法」の基本理念にも、この事業仕分けの考え方が盛り込まれ、いわば国、地方を問わず行財政改革を進めるための標準仕様になったところである。
 平成14年度から昨年度まで9県8市において事業仕分けを行っている。仕分けには住民のほか、経営者やNPO、他自治体の有志職員も参加し、さまざまな議論をしながら、個々具体的に評価を行っている。
 事業仕分けを進めるプロセスにおいて重要なのは、市民の目線と考え方を積極的に取り入れることである。
 市長は、市政の根幹に市民自治を据えているが、そうであれば、なおさら、この専門性と市民の目線、これをうまく調和させて、仕分けを進めなければ、透明性、中立性及び公正性が担保され、かつ、市民が納得できるような大胆な事務事業の見直しは進まない。
 集中改革プランでは平成22年度までに850人の職員削減を数値目標として掲げている。今後、職員数が減少していく中で、行政サービスを停滞なく提供していくためには、不要と思われる事業はすぐに廃止し、民間へのアウトソーシングを積極的、かつ、スピード感を持って進めていく必要がある。
 事業仕分けは、具体的にどのように進めようとしているのか。特に、外部評価について、専門性と市民の目線をどう調和させて、仕分けを進めるのか伺いたい。
行財政改革を推進していくためには、事業仕分け結果を着実に実施していく必要があるが、具体的にどのような手法で仕分け結果を実現につなげていくつもりなのか伺いたい。
 現在、すべての予算事業を対象に、行政評価の手法を用いて、事業の必要性や担い手のあり方について分類整理を行う事業仕分けの作業を実施しているところであります。この仕分けでは、まず最初に、事業を所管している部局が1次評価を行い、次に、市政推進室等が全庁的な視点で行う2次評価、さらには、学識経験者や公認会計士など外部の専門家で構成する「札幌市行政評価委員会」の外部評価を経て、最終的に仕分け結果をとりまとめることとしております。なお、この行政評価委員会には、経済界からの委員も加えまして、事業の必要性や担い手の評価に、民間の経営感覚もしっかりと取り入れてまいりたいと考えております。
 また、今年度は、出前講座や出前トークで市民の方々と事業の見直しについて意見交換をさせていただくほか、無作為抽出した市民に参加を依頼して、市民による事業仕分けを試行的に実施したいと考えております。
その検討結果を行政評価委員会が活用することにより、外部評価に市民の意見を反映させる取組を進めてまいりたいと考えております。 ont>
 厳しい財政状況の中で、今後も安定した公共サービスを提供していくためには、事業の必要性や公共サービスのあり方、担い手の見直しを含めた歳入・歳出、定数、機構等の一体的な見直しを進める必要があります。
 そのための推進計画として、「行財政改革プラン」を年内に策定したいと考えており、事業仕分け結果につきましては、この行財政改革プランに盛り込み、プランの進行管理の中で、着実に実施してまいりたいと考えております。

 市内における犯罪発生状況は、平成13年の41,290件のピークを過ぎた後、現在は減少の兆しを見せ始めているものの、17年は、31,929件と依然として多くの犯罪が発生しており、予断を許さない状況のまま推移している。
 わが会派では、これまでも代表質問や委員会などの場で、スクールガードの取組の充実や、児童への防犯ブザーの配布について、提案や質問をさせていただき、それらが施策に反映されてきたところである。
 このたびの市長のマニフェストには、「地域の安全は地域で守ることを基本とする安全・安心まちづくり条例を平成22年までに制定する」とある。
 しかし、今回の補正予算案には、この条例に関する項目が計上されておらず、予算の概要に「新たな予算計上は伴わずに実施する取組」との掲載があるだけで、積極性に欠けるのではないか。
 札幌市としても、こうした地域の防犯活動をこれまで以上に積極的に支援し、犯罪に強いまちづくりを進めていくため、いわゆる「生活安全条例」の早期制定を行うべきであると考えるが、どのような考えをお持ちか、伺いたい。
 札幌市が昨年夏に実施した市民意識調査では、4割以上の市民が、今後、何らかの地域防犯活動に参加したいと回答しており、さらに、地域で活動されている防犯ボランティア団体は、3年前に比べて、3倍以上の約160団体と、大幅に増加しております。
 こうした地域防犯への取組に対する市民の皆さんの機運をより一層高めていただき、地域での防犯活動に対する支援を総合的に推進するとともに、防犯の視点に立った公園の整備や、通学路の安全確保に努めるなど、地域、事業者そして行政が連携して、犯罪のないまちづくりを進めていくためにも、早期の条例制定が必要であると認識しているところであります。
 従いまして、「犯罪のない安全で安心なまちづくり条例」を平成20年度中に提案できるよう、具体的な検討に着手し、市民の皆さんが、より一層安心して暮らすことができるまち・さっぽろを実現したいと考えております。

 国の医療制度改革においては、少子化対策の一環として平成20年4月から、医療保険の一部負担金の軽減措置(3割から2割へ)について、現行3歳未満の乳幼児から小学校就学前まで拡大することとしている。
 わが会派は、個人の意思を尊重することに十分な配慮を払いながら、子どもを産みたいと主張する人々に積極的に機会を与え保障することが重要との考えから、従来から少子化対策や子育て支援対策には積極的に取り組んできた。
 本市の乳幼児医療費助成制度は北海道の補助事業として実施されているが、平成16年10月に対象年齢が小学校就学前までに引き上げられた際に、北海道の制度が3歳以上の課税世帯を1割の自己負担としたのに対し、本市では入院について、年齢制限なしに初診時一部負担金を払うだけの原則無料にしたところである。
 しかし、現在、4歳以上で市民税課税世帯の通院だけは、一定の限度額が設けられてはいるものの、残念ながら1割の自己負担のままとなっている。
 他の政令市における助成状況を見ると、横浜市など5都市が無料化を行っており、次代を担う子どもを健やかに産み、育てる環境づくりの一貫として、さらに制度の充実に努めるべきと考える。
 本市の乳幼児医療費助成制度の拡充は公約どおり実施するのかどうかについて伺いたい。 a@また、その実施時期はいつと考えているのか伺いたい。
 企業には、育児休暇制度や短時間勤務制度の充実整備などの働き方の見直しや、事業所内保育所の設置など、まずは、自社の従業員のワーク・ライフ・バランスを実現する環境づくりへの取組が望まれる。
 先月初め、次世代育成支援対策推進法が定められた認定企業の道内第1号として、北洋銀行が認定されたとの報道があったが、続いて、札幌市内では丸井今井など複数の企業が認定された。
 さらに、企業による取組として注目するのは、従業員対象ではなく、子育て家庭全体を支援・応援する事業への取組である。具体的には、百貨店や大型商業施設などでの託児サービス、乳幼児の休憩や遊びのスペースの設置とそこでの医師や保健師などによる育児相談の実施などがよく知られているが、他にも、金融機関による子育て家庭への金利優遇や、飲食店などでの子育て家庭割引サービスなど、さまざまな取組が全国に広がりを見せている。
 市長は、企業によるワーク・ライフ・バランス実現や子育て家庭応援への取組をどう評価し、行政として
どのように関わるべきとお考えか、伺いたい。
 この制度は、本市における子育てを支援するための重要な施策の一つと認識しておりますので、その拡充については、小学校入学前の子どもの医療費を原則無料とする内容で、平成20年度の受給者証更新時の8月実施に向け、検討を進めているところであります。
企業によるワーク・ライフ・バランスの取組や、子育て家庭全体を応援する取組については、子どもを生み育てやすく、子どもにとってやさしいまちづくりを推進する上で、大変、重要な取組であり、行政としてもできる限り支援し、こうした取組を促進していくことが必要であると考えております。
 そこで、現在、札幌市では、札幌商工会議所の全面的な協力を得て、従業員数10人以上の全会員企業を対象に、ワーク・ライフ・バランスに関するアンケート調査を行い、取組の実態や経営者のお考えをお尋ねしているところであります。
 今後、この調査結果を受けて、市内企業の現状や課題等を明らかにするとともに、経済界をはじめ関係の方々のご意見を伺いながら、取組の評価基準や入札優遇、助成金などの支援策を内容とする認証制度を、今年度内に創設する考えでおります。
 国において、去る4月18日に開催された「新健康フロンティア戦略賢人会議」において、国民の健康寿命の延伸に向け、予防を重視した健康づくりを行うことを国民運動として展開するとともに、国民一人ひとりが充実した人生を送るための今後10年間の戦略として、「新健康フロンティア戦略〜健康国家への挑戦」を策定したところである。
 その中で、特に「メタボリックシンドローム克服」については、50歳代からの脳卒中や心筋梗塞等の患者数が増加している現状を踏まえ、これらの発症の危険因子であるメタボリックシンドローム対策や糖尿病予防の重要性を強調するとともに、その克服に向けて、運動や食事等の生活習慣改善に関する支援などの取組を一層推し進める必要があると述べている。
 
この「新健康フロンティア戦略」についてどのように認識されているのか、また、今後、この戦略を札幌市の健康施策にどのように反映させるお考えなのか、伺いたい。
 「新健康フロンティア戦略」においては、健康増進のために運動やスポーツに親しむことは、体力の向上や生活習慣の予防など、健康寿命の延伸を図るうえでも重要と位置づけ、一生涯にわたる豊かなスポーツライフの実現を求めるとともに、運動やスポーツに親しむことができる環境整備の重要性を挙げている。
 運動は、生活習慣病の要因となるメタボリックシンドロームの予防に効果的である。運動習慣の定着という意味では、札幌市の積雪寒冷地帯という地域特性のなかで、冬時期を視野に入れた取組が必要ではないか。
 
運動習慣の定着のため、札幌市として今後どのような対策が必要とお考えか、伺いたい。
 このたび国が示した「新健康フロンティア戦略」は、国民の健康寿命の延伸に向け、予防を重視した健康づくりを国民運動として展開しようとするものであります。
 今年度は、「健康さっぽろ21」の中間評価の年にあたりますことから、この予防重視の考え方を、計画期間の後半における健康づくり施策に反映させてまいりたいと考えております。
 これまでも各区の保健センターなどを中心に、継続して自主的に健康づくりに取り組むグループやリーダーの育成と、そのネットワーク化などを通して、市民の運動習慣の定着を図ってきたところであります。
 今後は、各区で作成したウォーキングマップの活用などにより、冬期間でもさまざまな形で継続できるように、コースの選定やスノーシューなど用具活用の工夫に努めるとともに、冬期間の積極的な健康づくりに向けて、カーリングなど手軽に楽しめるスポーツの普及にも努めてまいりたいと考えております。
 本年4月に「札幌市スポーツ振興事業団」と「札幌市健康づくり事業団」の統合により「さっぽろ健康スポーツ財団」が設立されたところであります。新財団は、スポーツや医学に関する専門的知識・技術をもとに、健康づくりとスポーツとの相乗効果をねらった幅広い事業展開を図るべく、新たな事業の創出を目指しておりますことから、札幌市におきましては、この財団の支援を通して市民の運動習慣の定着を図ってまいりたいと考えております。

 我が党では、かねてより、地球環境問題は人類最大のテーマであるとの認識の下で積極的な取組を進めており、環境問題は資源の賢明な利用法さえ確立すれば解決するといった政治的、経済的、また技術的問題にとどまらず、人間と人間、人間と自然、そして人間と社会というそれぞれの関係を規定している価値観という次元にまで掘り下げる必要があることを訴えてきた。 a@この考え方は、2002年に南アフリカのヨハネスブルグで開催されたサミットで、地球評議会が、世界各国のNGOや市民、行政等と討論を重ねて意見を集約した「地球憲章」の前文で示している、「私たちが未来に向かって前進するためには、自分たちは、すばらしい多様性に満ちた文化や生物種と共存するひとつの人類家族であり、地球共同体の一員であるということを認識しなければならない。自然への愛、人権、経済的公正、平和の文化の上に築かれる持続可能な地球社会を生み出すことに、私たちはこぞって参加しなければならない。そのためには、地球上で生をいとなむ私たち人間は、互いに、より大きな生命の共同体に、そして未来世代に対して、責任を負うことを明らかにすることが必要不可欠である。」という認識に基づくものであり、国に対し、この憲章の国連での承認や、国内外での普及啓発を求めてきた経緯がある。 a@そこで、2008年度を目標に制定する予定の「さっぽろ地球環境憲章」に、この地球憲章の考え方を是非反映していただきたいと考えている。
 札幌市では、環境基本計画に基づく個別計画である「札幌市温暖化対策推進計画」を昨年度改定し、積極的に地球温暖対策の取組を進めてきているが、この環境基本計画に基づくいろいろな取組にもかかわらず、CO2の排出量は依然として減少の傾向がみられず、なお一層の取組の強化が求められている。
 
この「さっぽろ地球環境憲章」制定に向け、今後、どのように取り組まれようとしているのか伺いたい。
 私は、この「地球温暖化対策」を市政の最重要課題の一つと位置づけ、平成16年度(2004年度)からの3年間、“CO2削減アクションプログラム”を進め、“エコライフ10万人宣言”の目標達成をはじめとして、市民の環境意識の醸成を図ってきたところであります。
 さらに、本年度は、市民に浸透してきた環境意識を、具体的な環境行動につなげていくことが必要と考え、市民とともに“環境首都”を目指す姿勢を強く表明することとしたものであります。
 具体的には、地球環境を守るために目指すべき市民像・都市像を“さっぽろ地球環境憲章”として制定するとともに、世界に向けて発信する具体的な行動を“地球を守るためのプロジェクト札幌行動”として策定するものであります。
 この“さっぽろ地球環境憲章”の制定にあたりましては、広く各界、各層から参加をいただく市民会議を設置して進めて行く考えであり、地球環境問題が主要テーマと目される2008年の北海道洞爺湖サミットが開催される機会をとらえ、「環境首都・札幌」の宣言とともに、国内外に向けて発信したいと考えております。

 本年3月に策定された札幌市障がい福祉計画では、施設入所者と入院中の精神障がい者の地域生活移行の方針が打ち出されており、平成23年度末までに具体的に施設入所者で480人、精神障がい者で400人の地域生活を目指すこととしている。 a@しかし、これまで施設や病院で生活してきた人が、一挙に地域に出て生活するにはさまざまな困難がある。
特に、生活の場としての住居の確保に苦労しているという話をよく耳にする。
 計画を掲げられたような大勢の方々の地域移行を進めるためには、今後は民間住居の活用が不可欠と考えられる。
 今回の補正予算で新たに障がいのある方のための「住宅入居等支援事業(居住サポート事業)」の取組が打ち出されているが、札幌市として、
どのように障がいのある方が住居を借りる際の不安や困難を解消し、また、この事業を通じて計画に掲げた目標の実現や地域移行をどのように具体的に支援しようとしているのか、明らかにしていただきたい。
 自立支援法は、地域移行と合わせて障がいのある方の就労支援の推進を基本目標として掲げている。札幌市も独自にITを活用した在宅就労支援や障がい者協働事業、元気ショップなどの事業を行い、一定の成果を挙げている。
 このような就労支援策の継続と充実は、引き続き重要だが、障害者福祉計画の一般就労目標値の100人を達成するためには、新たな視点からの取組も必要ではないか。 今 今後、大勢の障がいのある方達が地域生活に移行して、安定した生活を営むためには、従来の就労支援策に加えて、より多くの人が就労に結びつく方策をできるだけ早く講じておく必要があり、国のプロモート事業も札幌市として有効に活用し、取り組む必要があるのではないか。

〈1〉就労継続支援・雇用型の今後の見通し
これまで札幌市が進めてきた就労支援策として一定の評価を受けている従来の福祉工場、自立支援法でいう就労継続支援・雇用型の今後の見通しについて明らかにしていただきたい。

〈2〉元気ショップ2号店の整備の考え方
市長も公約として掲げている
元気ショップ2号店の整備の考え方について明らかにしていただきたい。

〈3〉障害者職業能力開発プロモート事業の活用
併せて、
国の障害者職業能力開発プロモート事業について、札幌市としてどのように捉え、活用しようとしているのか、伺いたい。

 知的障がいや精神に障がいのある方が、賃貸借契約による一般住宅への入居を希望するときに、保証人がいないなどの理由で入居が困難な場合、札幌市が家族や不動産業者などとの調整を行うことにより、地域での自立生活をサポートしていくものであります。
 具体的には、障がい者相談支援事業者等に委託し、不動産業者との仲介や、家主との入居契約に係る手続きの支援に加え、入居後の日常生活上の相談などを行うものであります。
 この事業を通じて、グループホームや、施設、病院などとの連携を密にしながら、障がいのある方の地域生活への移行を積極的に推進し、障がい福祉計画の目標を達成するよう努めてまいりたいと考えております。
〈1〉就労継続支援・雇用型の今後の見通し
 就労による自立を支援する具体的な事業として、ご質問の就労継続支援・雇用型を設けております。この事業は契約に基づいた就労機会の提供と必要な支援を行うことにより、一般就労への移行を促進しようとするものであります。
 この事業の今後の見通しについてでありますが、4月時点で新設が1カ所、従来の福祉工場と作業所から移行したものが5カ所の、計6カ所となっており、今後も引き続き、事業所指定を行う北海道と連携しながら、作業所や民間事業者等に当該事業所への移行を働きかけてまいりたいと考えております。

〈2〉元気ショップ2号店の整備の考え方
 元気ショップにつきましては、運営を開始し6カ月を経過したところであり、当面は、安定的な運営と作業所の収益向上を目指し、売れる製品の開発や販売方法などの検証を進めていく必要があると考えております。
 こうした検証の結果を踏まえ、2号店につきましては、作業所とのより密接な連携や、新製品の開発など収益向上につながる新たな機能をもつものとして、可能な限り早期の開設を目指したいと考えております。

〈3〉障害者職業能力開発プロモート事業の活用
 札幌市としましては、この事業を、企業側の障がい者雇用に対する理解促進や、障がいのある方の就労に向けた準備の機会として位置づけ、特に高等養護学校や福祉施設と、就労の場をつなぐ役割を果たす事業として展開したいと考えており、実施に向けて、現在、国と協議を進めているところであります。
 本市が4度の招致活動の末、開催権を獲得したFISノルディックスキー世界選手権大会は、3月4日に無事に閉幕したところである。80年を超える本大会の歴史上初めてアジアで開催されたことに加え、札幌ドームに雪を入れてコースを造成するといった他都市には真似のできない新しい試みは、ウインタースポーツ都市「札幌」を世界に大いにアピールできたものと思う。
 札幌市は冬季オリンピック、冬季アジア大会、冬季ユニバーシアード大会、そしてノルディックスキー世界選手権とウインタースポーツのビッグイベントをほとんど経験している世界にも数少ない都市である。こうしたビックイベント開催の有形無形の財産を次代につなげ、ウインタースポーツの振興を図るのは、言ってみれば札幌市に課せられた大きな命題と言っても過言ではない。
 
今回のノルディックスキー世界選手権大会を総括して、市長はどのような評価をしているのか伺いたい。
 先日、今回の大会収支では、数千万円の黒字が見込まれるとの新聞報道があった。もし、報道どおりに大会収支が黒字になり剰余金が発生した場合、札幌市にも何らかの還付があるものと思われる。
 その場合、黒字分を単に会計に組み戻すのではなく、札幌市スポーツ振興基金に組み入れるなど、本大会を単なる一過性のイベントに終わらせず、実施した意義をより深めるために、スポーツ振興を図るために有益に活用されるべきかと思う。
 
ノルディックスキー世界選手権大会の剰余金が発生して、札幌市に還付金が発生する場合、スポーツ振興を図るために活用するお考えはないのか、併せて、次代を担う子ども達のスポーツ活動への支援拡大についてはどうお考えになるのか伺いたい。
 運営面においては、カスパー国際スキー連盟会長からもお褒めの言葉を頂いたところですが、全競技日程を円滑に終えることができましたのも、今まで札幌が積み重ねてきたウィンタースポーツイベントのノウハウを十分に発揮できたものと考えております。
 また、全天候型施設である札幌ドームに雪を入れ、クロスカントリーのスプリント競技を実施するといった、スキー競技の歴史を塗り変える試みは、世界に札幌の名を広めるに十分なインパクトがあったのではないかと思っております。
 さらに、2,000名近いボランティアスタッフの献身的な取組により、期間中、市内各所で市民との交流が図られ、札幌の高いホスピタリティを示すことができたことなど、さまざまな成果を得られたものと評価しているところであります。
 大会の開催を通じて得たこのような経験と財産を活かし、引き続きウィンタースポーツの振興を図るとともに、スポーツを通じた魅力ある集客交流都市の実現に取り組んでまいりたいと考えております。
 今大会の最終的な収支は、今年12月に確定する予定で、剰余金が生じる場合があります。剰余金については、市民のために有効に活用すべきものと思いますが、ノルディックスキー世界選手権の開催主旨を踏まえて、検討したいと考えております。
 また、中学校におけるスキー授業の実施校が減るなどスポーツに取り込む機会が減少している状況の中で、次代を担う子どもたちのスポーツ活動に対して支援を行うことは有意義と考えますので、今後の支援策の充実などについて検討したいと考えております。

 発達障がいのある児童生徒への支援については、平成17年4月「発達障害者支援法」の施行により、LD(学習障害)、ADHD(注意欠陥多動性障害)、高機能自閉症などの発達障がいのある子ども達に対して、早い時期から医療的、福祉的、教育的援助を行うことが、国及び地方公共団体の責務とされている。
 この法の趣旨に基づく教育については、平成18年に「学校教育法等の一部を改正する法律」が国会において可決・成立し、平成19年4月から施行されている。
 この法改正により、これまでの盲・聾・養護学校が、障がい種別を超えた特別支援学校に転換され、また、特別支援教育が法律上、明確に位置づけられるとともに、特殊学級につきましても特別支援学級に名称の変更があった。
 
 札幌市においては、学校において通常の学級で学ぶ特別な支援を必要とする児童生徒への適切かつ効果的な指導を確立するための学校支援を目的として、「特別支援教育巡回相談員配置モデル事業」を平成18年度から開始し、さらに平成19年度からは巡回相談員を増員し、全市を対象とするなど事業を強化したことは高く評価する。
 また、札幌市では、平成17年度から、障がいのある子どもたちを支援する一方策として、学校支援ボランティア導入モデル事業を進めていると聞いている。
 障がいのある子どもが学校生活を安心して送ることができるよう、身近な地域から障がいの種類や程度に応じた必要な支援を受けられるボランティアネットワークの充実が求められているが、このためには、学生などの若い力の活用、地域住民で支える体制づくりが欠かせない。
 学生の支援については、今年度、文部科学省が実施している特別支援教育体制推進事業の中で、学生支援員を活用した支援についての取組を始めたところである。このことについて、すでに札幌市においてモデル事業として先行して取り組んでいることについては評価しているが、今後、多種多様な支援が必要となる中、さらなる事業の拡充推進をお願いするものである。
 現在、札幌市で進めている「学校支援ボランティア導入モデル事業」を、さらに拡大し、地域に根ざした活動とすべきと考えるが、今後、ボランティア支援についてどのように取り組んでいかれるのか伺いたい。
 文部科学省では、今年度、障がいのある児童生徒の学習活動上または学校生活上の支援を行うため「特別支援教育支援員」の配置に関わる財政措置を行うと聞いている。
 
札幌市として早急に対応し、有効な活用を図るべきと考えるが、特別支援教育支援員の配置についてどのように考えておられるのか伺いたい。
 平成17年度から「学校支援ボランティア導入モデル事業」により、地域ボランティアのネットワーク化や、その運営のあり方とともに、発達障がいのある子どもに対する支援のあり方などについて、実践的な調査研究を行っているところであり、平成18年度は、対象校を6校に拡大し、65人のボランティアにより実施したところであります。この実施にあたっては、学校のニーズの把握とともに地域の大学などとの連携を図りながら、モデル事業で得られたノウハウなどを蓄積して、その成果を小・中学校に提供し、支援を必要とする学校におけるボランティア活用の基盤づくりに努めているところであります。
 先月、文部科学省から、配置に必要な経費に係る地方財政措置の詳細が示されたところであります。
 教育委員会といたしましては、小・中学校における障がいのある児童生徒の学習活動や学校生活を支援するための効果的な体制の確立は喫緊の課題と認識しており、札幌市として先行して取り組んできた学校支援ボランティアの役割も含め、総合的に検討したうえで、できるだけ早期に実現を図ってまいりたいと考えております。