平成19年第1回定例議会
代表質問 小田信孝議員(手稲区)
2月15日札幌市議会本会議において公明党議員会を代表して小田信孝議員(手稲区)が代表質問を行いました。
中でも、市長の政治姿勢について、市役所改革の進捗度と職員の士気について。市側から前向きな答弁がありました。
以下、質問に対する市側の答弁の要旨を紹介します。
質問第1 市長の政治姿勢について
1.第1期目の上田市政について
上田市長は、4年前の市長選後、初めてのぞんだ議会において、「選挙を通して強く感じたことは、多くの市民の方々が、それまでの市政、すなわち桂市政までのあり方に必ずしも満足せず、市役所の改革に熱い期待を寄せていることだった」と、述べています。同時に、「44年ぶりの民間市長として課せられた責務は、市民の視点、市民の生活感覚をしっかりと持ちながら、伸ばすものは伸ばし、変えるべきものは思い切って変えていくことである」とも表明されました。
[1] 板垣市政及び桂市政の評価と上田市政の自己評価について
改めて今、「板垣市政と桂市政のあり方」について、どのように評価をしているのか、お伺いいたします。また、この4年間、どのような「市政のあり方」に変えたのか、そして、「上田市政のあり方」は、市民の多くの満足を得ていると自己評価しているのか、それぞれお伺いいたします。
[2] 市役所改革の進捗度と職員の士気について
市役所をどのように改革したのか、その内容と進捗度はいかがか、さらに、その改革は、本当に職員の支持を得ているのか、職員に萎縮や士気の低下はないのか、それぞれお伺いいたします。
[3] 4年間で「伸ばしたもの」「思い切って変えたもの」について
併せて、4年間で「伸ばしたもの」「思い切って変えたもの」は、それぞれ何で、現在どのようになったのか、お伺いいたします。
[4] パブリックコメントの費用対効果の検証・効果について
「声なき声」の吸い上げ方、市民の総意の把握の仕方について、4年間の市長の実践を踏まえてどのように検証・評価しているのか、お伺いいたします。
パブリックコメントの費用対効果について、どのように検証・評価しているのか、併せてお伺いいたします。
[5] 議会対応について
市長は4年間、人生で初めて接した議会に対し、どのような思いを抱いているのでしょうか。
去る12月20日、市長選再出馬表明の際、マスコミの方が一般論とし市長は「少数与党対策」について質問したのに対し、市長は、おそらくその1週間前に市民活動促進条例が継続審査になったことを踏まえて答えたと思うのですが、「市民こそがその必要性を本当に感じる状況を作れば、議会も納得する、協力してもらえると確信している。そんな無茶なことを言う議会ではない」と答えておられます。
その市長発言は、「議会は執行機関のチェック機関である」との認識を欠いているように思いますし、「議会は市民から遊離している」と市長は見ているとも受け取れます。真意はどういうことなのか、お伺いいたします。
また、昨年の第3回定例会の決算特別委員会に、市長は、「出席要請がない限り、委員会には出席しない」との自らの考えを貫き、第二部決算特別委員会には、一度も顔を見せませんでした。議員は市民の代表であり、議員との議論の場に出ようとしないのは、「みんなで悩み、話し合い、解決しよう」という市長の日頃の言葉からすると、「言行不一」ではないで
しょうか。
これは、どのような考えに基づくものなのか、そして、来週から始まる予算特別委員会においても同じく踏襲するのか、併せてお伺いいたします。
2.子どもの権利に関する条例について
[1] 条例の理解・周知の状況と今議会への条例案提出の理由
昨年8月、文教委員会において、本条例に関し参考人の方々から、さまざまなご意見を頂戴いたしました。
あれから約半年が経過しておりますが、参考人から指摘されたそれらの問題点が解消したと考えているのか、お伺いいたします。また、参考人から「さらに議論が必要、条例の導入には時期尚早」との声が複数ありましたが、どのような考えのもとに条例案を今議会に提出されたのか、併せてお伺いいたします。
[2] 条例の再構築について
今日、いじめや児童虐待など、子どもたちを取り巻く環境は、誠に厳しいものがあり、いかにして子どもを健やかに育成するかが、大きな課題であることは、言うまでもありません。ただ、それは家庭、学校、地域そして大人社会も含めた極めて幅広い視点からの議論が必要でありますし、さらに、札幌市だけの問題として捉えるのではなく、国、地方公共団体、関係機関及び国民各層の密接な連携と広がりの中で、一体となった取組が不可欠であると考えるものであります。
国においては、法整備の議論も行われており、その基本的方向性を踏まえることも必要であります。わが国が「子どもの権利条約」を批准したことをもって、国内法を飛び越し地方自治体が条例を制定するのは、効果や整合性の点から、疑問なしとは言えないのであります。
市長は、「子どもが権利を学ぶことで、自分の行動に責任を持ち、そして、相手の権利を大切にするという社会性のある大人へ成長・発達をしていく」と言われますが、本条例案の全体に流れる「子どもの権利への過大評価」は、市長の思いとは逆に、まさに問題となっている「権利の履き違え」や大人と子どもの対立関係を助長し、ひいては躾や教育に深刻な弊害を及ぼすのではないかという懸念がどうしても払拭されないのであります。
本条例については、今申し上げたことを踏まえ再構築すべきと考えますが、いかがかお伺いいたします。
答弁・第1 市長の政治姿勢について
1.第1期目の上田市政について
[1] 板垣市政及び桂市政の評価と上田市政の自己評価について
板垣市政及び桂市政の評価と私の市政運営の自己評価についてでありますが、板垣・桂両市長は、卓越した識見と行政手腕を持って、市民生活に必要な基礎的都市基盤を充実させ、札幌の豊かな文化を醸成するための施策を進められました。こうした、お二人の功績につきましては、高く評価をしているところであります。
私の役割は、両市長が残された財産をいかに有効に活用して、市民の皆さんと一緒に、誰もが心豊かに暮らせる社会を築いていくかということであると認識しており、札幌市の将来のため、伸ばすべきものはしっかり伸ばし、全身全霊を傾けて市政運営をしてまいりました。そのことに、いささかの自負もございますが、その評価については、市民の皆さんに委ねたいと考えており、今春の選挙における市民の厳正な評価を、謙虚に受け止めたいと考えております。
[2] 市役所改革の推進度と職員の士気について
市役所改革につきましては、市役所改革プランに基づき、市民サービス、コミュニケーション、経営資源、組織それぞれの改革を柱として推進してまいりました。
市民サービスの改革では、職員の接遇改善の徹底、市民利用施設の開館日や開館時間の延長などのサービスアップに取り組み、コミュニケーションの改革では、出前講座などにより、職員が市民と直接対話する機会を充実させた市政課題を積極的に情報提供するため「広報さっぽろ」を問題提起型に変え、市民との情報共有の徹底を図ってきたところであります。
また、経営資源や組織の改革では、地域のまちづくり拠点となるまちづくりセンターの機能強化、行政評価制度への外部評価の導入や、出資団体改革を点検する外部委員会の設置などを行ってまいりました。
この市役所改革プランには106の取組項目がありますが、すべて実施中か実施済みで順調に進捗しております。
なお、今年度実施した職員アンケートでは、改革に意欲的な職員は90%を超え、士気は高揚してきていると考えているところであります。
[3] 4年間で「伸ばしたもの」「思い切ってのばしたもの」について
この4年間最も力を入れ、伸ばしてまいりましたのは市民自治の推進であります。具体的には、まちづくりセンターの機能整備を行なうとともに、地域のまちづくり活動を支援し、さらには、まちづくりの最高規範である自治基本条例を制定してまいりました。その結果、地域のまちづくりの芽はたくさん出はじめているところであります。
具体的には、団体のあり方や市の人的・財政的関与のあり方について見直す出資団体改革、さらには、歳出構造の改革と財政基盤の強化両面にわたる財政構造改革などに取り組んできたところであります。
[4] パブリックコメントの費用対効果の顕彰・評価について
市民の総意の把握方法についてでありますが、市に直接寄せられる様々な声を集約する個別広聴とタウントークなど多くの市民との対話による集団広聴、広く市民の意向を調べる調査広聴の3つを柱としております。調査広聴では、直面する施策や事業などの質問項目を設定し、世論調査や市民アンケートを実施することにより、潜在的な市民意見の聴取に努めております。
毎年、来訪や電話、メールなどで直接寄せられる声はこの3年間で1万件近く増えて8万件を超えており、これらの声と調査広聴の結果を併せて集約・分析し、市民の総意を総合的に判断しているところであります。
パブリックコメントの費用対効果の検証・評価についてでありますが、パブリックコメントは、市民参加の機会の拡大、政策決定過程の公正の確保及び透明性の向上を目的としており、費用対効果という観点から評価することは一概には難しいことと認識しております。
[5] 議会対応について
昨年12月に今春の市長選挙に出馬を表明した際の議会に関する発言についてでありますが、市民の皆様に必要なことは、議会の皆様のご理解も得られるものと信じている旨をお話したものであり、議会が市民から遊離しているとは、考えておりません。
次に、予算・決算特別委員会への出席についてでありますが、昨年の第1回定例市議会予算特別委員会には、第1部、第2部合わせて6回、第3回定例市議会決算特別委員会には、第1部に2回出席しております。
委員会には、従前から出席しておりますが、昨年の第3回定例市議会第2部決算特別委員会につきましては、諸般の事情により結果として出席できなかったものであります。
今後につきましても、従来どおり、その時々の事情を総合的に勘案し、出席してまいりたいと考えております。
2.子どもの権利に関する条例について
[1] 条例の理解・周知の状況と、今議会への条例案提出の理由について。
家庭、学校、地域の方に、条例の理念を理解していただくことは欠かせないものと考え、懇談会や説明会の実施等により、周知に努めておりますし、昨年7月に実施したパブリックコメントにおきましては、子ども、大人を含めて、市民の皆様から貴重なご意見を、多数お寄せいただいたところでございます。
また、議員ご指摘の参考人の方々のご意見を伺った後におきましても、私が直接、校長会・PTAの代表の方々から意見を伺うとともに、各区PTA連合会への説明や地域で子どもの育成にかかわる方へのニュースレターの配布などを通して、積極的な広報・周知に努めてきたところでございます。
私は、これらの取組を通して、市民の皆様の条例への理解が、十分深まってきたものと認識しており、このたび、条例案を取りまとめ、提出させていただく運びとなったところでございます。
[2] 条例の再構築について
誤った子どもの権利の行使によって、様々な問題が生ずるというご懸念でありますが、子どもが権利を行使するに当たって、他の人の権利を尊重する必要があること、他の人の権利を侵害してはいけないことは、当然のことであり、条例案にも、はっきりとその趣旨を定めているところでございます。さらに、私は、そのようなことが起こらないよう、子どもが正しい権利行使の仕方を身につけることは極めて重要であると考えており、むしろ、この条例は、子どもの権利について、市民全体が共通の認識に立つ上での拠りどころになると確信しているところでございます。
条例案をまとめるにあたりまして、私は、あらゆる機会を捉えて、議論を深めてきたところであり、是非、このたびの条例案に、ご理解をいただきたいと考えているところでございます。

質問第2 国際化施策について
[1] 韓国との交流について
札幌市では、最近の韓国との交流の現状と実績をどのように受け止め、評価しているのかお伺いします。
[2] 韓国の都市との姉妹都市提携について
平成14年に策定した「札幌市国際化推進プラン」においては、東アジア地域を視野に入れた都市間ネットワークの充実・新たな交流圏の創出を図ることが重要であると述べておりますが、その考えを多くの市民の間にも広げていくためにも、特に、隣国韓国の都市との姉妹都市提携を進めることが望ましいことと思いますが、この点についてどのようにお考えか伺います。
答弁・第2 国際化施策について
[1] 韓国との交流について
韓国は日本にとって身近な隣人であり、近年は、行政だけではなく市民
レベルでも様々な分野において交流が進められており、このような相互交流の活発化は、非常に意義のあることと考えております。
札幌市といたしましては、今後も交流が活発に行われ、相互理解がより深まるとともに、実質的な交流が進められるよう支援してまいりたいと考えております。
[2] 韓国の都市との姉妹都市提携について
札幌市は、これまで様々な国の都市から提携の申し出がありましたが、最近は、姉妹都市という形にはこだわらずに、それぞれの都市の特長を活かした形での実質的な交流を進めることに心がけてまいりました。
姉妹都市交流となりますと、幅広い分野での、多くの市民との交流が必要となってまいりますので、提携ということにつきましては、まず何よりも市民や議会全体の盛り上がりが重要であると考えております。
したがいまして、今後は、韓国との交流が着実に増えてきている状況を充分に認識し、実際に交流活動を支えている市民・団体等の動きを大切にしながら、その活動を見守ってまいりたいと考えております。

質問第3 文化芸術振興策について
平成13年には、我が党が積極的に推進してきた文化芸術振興基本法が施行され、国全体としても、文化芸術振興の向かうべき方向が明らかにされたところであります。
本市といたしましても、新たな時代に向けて、さらなる街の魅力アップを図るため、平成16年には観光文化局を新設し、「芸術・文化の薫る街の実現」に向けてさまざまな努力を行っているところであります。
市民生活に安らぎと潤いを与え、また、街の魅力をアップし経済にも元気を与えるために、新たな時代を見据えた文化芸術の振興策について、市民と共に考えていかなければならないのではないでしょうか。
[1] 各種ホールの有効活用に関する考え方について
文化芸術の振興を図るためには、市民が気軽に文化芸術に触れることができる場の確保が重要であると考えております。
特に、各種のホールにつきましては、発表・鑑賞の場として重要な役割を担っているものでございますが、これらの有効活用について、今後、どのように取り組んでいくべきか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
[2] 文化芸術振興策に関する自己評価と今後の課題について
「文化と誇りあふれる街」という施政目標に沿って、上田市長は、就任以来、さまざまな文化芸術振興策に取り組んできたところではありますが、各種の施策についてどのように自己評価しておられるのか、今後の課題なども含めて、お聞かせいただきたいと思います。
答弁・文化芸術振興策について
[1] 各種ホールの有効活用に関する考え方について
現在、札幌市内には、小劇場から大規模なホール、さらには音楽などの専用ホールまで、公立及び民営の大小さまざまなホールがございます。
これらのホールを有効に活用するためには、ハード面の機能を維持、充実させることは引続き必要でありますが、今後は、各ホールがソフト面で連携を強化していくことが大切であると考えております。
例えば、11月に行っている「さっぽろアートステージ」では、昨年、公立・民営の垣根を越えて「札幌劇場祭」というイベントを立ち上げ、各ホールの主催した公演が競い合うことによるホールの企画力のレベルアップや統一した広報・PRによる情報発信力の強化などが図られ、札幌の舞台芸術全体の活性化に成果を上げております。
こうした取組により、各ホールが身近な発表、鑑賞及び人材育成の場として多くの市民に利用され、そのことが札幌市の文化芸術の振興、ひいては魅力あふれるまちづくりに貢献するものと考えているところでございます。
[2] 文化芸術振興策に関する自己評価と今後の課題について
文化芸術は地域の経済活動にも高い付加価値を与えるものであるという考え方から、モエレ沼公園、芸術の森、札幌コンサートホール「キタラ」あるいはPMFなどさまざまな施設や事業を活用し、一層の文化芸術の振興と集客交流の促進に取り組んでまいりました。
さまざまな文化施設などが連携して、街全体を文化芸術のステージとして盛り上げていく取組を進めてまいりました。
さらに、人材育成の面では、将来、この街を担っていく子どもたちに本物の芸術に触れる機会を提供し、豊かな感性を育んでほしいとの想いから、「キタラ ファーストコンサート」を始めたところでございます。
文化芸術に関するイベント等の情報を、市民をはじめ観光客のみなさんに分かりやすくきめ細かに伝える方策を推進することや、札幌が有する文化資産の魅力をさらに向上させ、有効に活用することなどにより、札幌ブランドの文化芸術をより一層力強く発信してまいりたいと考えております。

質問第4 災害時等における避難対策について
(1)災害時等要擁護者対策について
[1] 現在の検討状況と今後の具体的な進め方  
高齢化が否応なく進んでいる本市においても、要援護者対策は喫緊の課題であると考えますが、本市では、平成19年度を目処に、要援護者対策の検討を進めていると聞いており、現在の検討状況と今後の具体的な進め方についてお伺いいたします。
[2] 検討に当たっての基本的な考え方
本市は、冬季の積雪寒冷という厳しい気象環境に加えて、マンションの立地や転出入による地域コミュニティの希薄化など、大都市特有の課題を抱えております。
このため地域の住環境やコミュニティ事情、要援護者の実態等はさまざまであり、地域の実情に即した対応が必要になってくると思われますが、検討に当たっての基本的な考え方について併せてお伺いいたします。
(2)近隣市町村との連携について
自然災害、武力攻撃など事態の如何を問わず、的確かつ円滑な避難体制を確保するためには、平素から近隣市町村との連携を深めていくことが肝要と認識しているところであります。
自然災害や有事における避難対策に関し、近隣市町村との連携について今後どのような取組をされていこうとしているのかお伺いいたします。
答弁・災害時等における避難対策について
(1)災害時等要擁護者対策について
[1] 現在の検討状況と今後の具体的な進め方について  
これまで行った先進事例等の調査結果を踏まえ、現在、本市における災害時要援護者対策の課題や検討体制について、関係団体等との調整を進めているところであります。
今後は、支援の担い手となる町内会や自主防災組織はもとより、支援を要する高齢者や障がい者団体などで構成する検討会を設け、要援護者のニーズを把握しながら、情報の扱いや地域での支援体制等について検討を進めてまいりたいと考えております。
[2] 検討に当たっての基本的な考え方について
要援護者の支援については、議員ご指摘のとおり、自助・共助による取り組みが不可欠でありますので、地域においてその仕組みを作ることが必要であると考えております。したがいまして、検討会では、地域においてこれらの資源や意欲を活かした支援の仕組み作りがなされるよう、その手引きとなるガイドラインの作成を検討してまいりたいと考えております。
(2)近隣市町村との連携について
札幌市におきましては、大規模災害等が発生した場合、市域外からの通勤・通学者の避難対策も含め、近隣市町村との連携が非常に重要であり、また、国民保護の観点からも、特に、住民の避難や大都市特例によって北海道にかわり本市自らが行う住民への救援に関し、連携が求められているところであります。
今後は、避難施設や福祉関連施設など連携に必要な情報を互いに共有し、どのような支援が可能かについて、意見交換の場を設ける方向で、現在、北海道と調整を進めているところであり、より緊密な連携が確保できるよう努めてまいりたいと考えております。

質問第5 生活習慣病対策について
我が国では、急速な人口高齢化の進展に伴い、疾病構造が変化し、疾病全体に占める、がん、心疾患、脳血管疾患、糖尿病などの生活習慣病の割合が増加しており、生活習慣病の死亡原因に占める割合は全体の約6割、医療費に占める割合は、国民総医療費の約3割にも上っています。
昨年6月、がん検診受診率向上を含め、がん予防や研究を総合的・計画的に推進する「がん対策基本法」が成立したところであります。
平成19年度においては、国が策定する「がん対策推進基本計画」に基づき、都道府県が「都道府県がん対策推進計画」を策定する予定となっていますが、道民の3割を占める札幌市民の健康・がん対策の計画ですので、札幌市も積極的に参画し実効性のある計画となるよう切に望みます。
 さらに、国は、医療制度構造改革において、医療費の適正化に向け、予防を重視した生活習慣病対策を平成20年4月から実施することとしており、具体的には、メタボリックシンドロームの概念を取り入れた対策に重点をおくこととしています。
生活習慣病は、生活習慣の改善により、病気の発症を抑えることができます。生活習慣病を予防するには、市民一人ひとりが健康的な生活習慣を実行することがなによりも大切であり、札幌市としては、市民の健康を守るために、運動習慣の徹底、食生活の改善、禁煙の3つを柱とした総合的な対策が求められるところです。
[1] 運動習慣の定着を図るための取組について
生活習慣病対策として、市民の運動習慣の定着を図るために、どのように取り組んでいくお考えなのかお伺いします。
[2] 食生活改善事業の取組について
生活習慣病は、とりわけ食生活と深く係わっておりますので、まず毎日の食生活を見直すことを通じて疾病の発症そのものを予防する「1次予防」が非常に大事であります。
一人ひとりが自分にあった食事量を知ることや、どのような食品を選択するべきかを理解し、日常の生活で実行していくことが大切であると考えます。
生活習慣病予防のために、食生活改善対策が重要と考えますが、本市における食生活改善事業の取組についてお伺いします。
[3] 未成年者のたばこ対策の推進について
未成年者の喫煙を防止するに当たって、社会全体で取り組んでいく必要があることから、昨年、協議会を設置したと聞いておりますが、このように未成年者に係わる多くの関係者が協議することは、大変重要であると考えます。
札幌の子どもたちが、たばこの害を受けることがないよう、この協議会でしっかりとご検討いただきたいと思います。
この協議会では、どのように未成年者のたばこ対策を推進していくお考えかお伺いします。
[4] 「健康さっぽろ21」中間評価の基本的な考え方について
平成15年度にスタートした「健康さっぽろ21」においては、市民一人ひとりが主体的に、正しく継続して健康づくりを実践していくため、身体活動や栄養・食生活などの領域ごとに10年後の目標値が設定され、市民の健康づくりが進められています。
生活習慣病の予防が重要な課題となっているところですが、平成19年度に、「健康さっぽろ21」の中間評価を行うと聞いています。
中間評価にあたり、どのような方針で取り組んでいくのか、基本的なお考えをお伺いします。
答弁・第5 生活習慣病対策について
[1] 運動習慣の定着を図るための取組について
これまでも、健康づくりグループの育成やウォーキングマップの作成など、市民の健康づくりを支援する施策を進めてまいりました。
なかでもウォーキングは、誰でも手軽に取り組める有酸素運動であり、特に生活習慣病の予防に効果的でありますことから、今後もより一層推進してまいりたいと考えております。
 また、健康づくり活動の普及にあたりましては、これまでに育成してきたグループなどを中心に健康づくりネットワーク促進事業を展開しており、このネットワークを活用して運動習慣の定着に取り組んでまいりたいと考えております。
[2] 食生活改善事業の取組について
望ましい食生活を実践するためのガイドラインとして、平成17年3月に「札幌市食生活指針」を策定し、ボランティア団体である「食生活改善推進員協議会」とともに、その普及・啓発に努めているところであります。
また、糖尿病や高脂血症予防の講習会を開催するほか、エネルギー表示等を行う「外食料理栄養成分表示の店」登録推進事業を外食産業界との協働で実施するなど、食生活改善による生活習慣病予防に取り組んでおります。
[3] 未成年者のたばこ対策の推進について
「健康さっぽろ21」では、未成年者の喫煙をなくすことを目標としており、その達成に向け、保健医療団体、教育関係者、地域の代表などが協議する場として、昨年11月に「未成年者喫煙防止対策推進協議会」を開催いたしました。この協議会において、たばこを吸っている子どもの実態や子どもを取り巻く環境などの課題が明確になりましたので、具体的な方策を行動指針としてまとめ、広く市民にアピールしていくことにいたしました。
今後は、この協議会を核として、市民、関係機関、行政が一体となって未成年者の喫煙防止に一層取り組んでまいりたいと考えております。
[4] 「健康さっぽろ21」中間評価の基本的な考え方について
中間評価は、計画の中間年にあたる平成19年度に、その推進状況を検証するものであります。今年度は、計画策定時の調査項目のほかに、新たにメタボリックシンドロームや食育に関する認知度などの項目を加え、昨年11月に「市民の健康に関する意識調査」を実施し、現在その分析を行なっているところであります。中間評価につきましては、意識調査の結果や統計資料などをもとに目標に対する進捗状況を検証するとともに、国の動向や社会情勢の変化なども考慮しながら、計画期間の後半に重点的に取組む課題を明らかにし、「健康さっぽろ21」のさらなる推進を図ってまいりたいと考えております。

質問第6 PCB対策について
ポリ塩化ビフェニール、いわゆるPCBについては、人体に有害な化学物質であるとして、平成13年に採択された『残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約』により国際的な約束事として、その使用停止や処理が定められております。
我が国もこの条約を締結するとともに、『ポリ塩化ビフェニール廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法』、いわゆるPCB特措法などにより規制を強化するとともに、日本環境安全事業株式会社=JESCO(ジェスコ)を中心とした処理の枠組みが構築され、北九州や東京などで既に処理が始まっております。
また、国内5カ所に設置予定の処理施設の内、北海道や北日本15県分のPCB廃棄物を処理する「北海道事業」の処理施設が室蘭市において建設中であり、いよいよこの秋にも営業運転を開始すると聞いております。
今後については、札幌市内にあるPCB廃棄物を室蘭の処理施設に運搬されるまで、安全、確実な保管を続けること、また、保管場所から室蘭まで運搬する際の安全性を確保することが次の課題であります。
[1] PCB廃棄物行政に対する市の姿勢について
未発見のPCB廃棄物対策も含め、今後、PCB廃棄物行政をどのように進めていくのか、その姿勢についてお伺いいたします。
[2] 収集・運搬業の許可について
PCB廃棄物の運搬については、北海道知事や札幌市長の許可を受けた、
産業廃棄物収集運搬許可業者が担うこととなると思われますが、 このような危険物を運搬する場合には、万が一事故が起きた場合にも環境中には流出をさせないという二重三重の安全性の確保が大切であります。
PCB廃棄物収集・運搬業の許可に当たってどのような方針で行い、また、運搬時の安全性をどのように担保するのか伺います。
答弁・PCB対策について
[1] PCB廃棄物行政に対する市の姿勢について
今後もPCB廃棄物が処理されるまでの間、あらゆるルートを活用し情報収集するとともに、立入指導等を通じ、適正処理を推進してまいりたいと考えております。特に未発見のPCB廃棄物の所在が判明した際には、ただちに調査を行うなど、確実な保管を指導していきたいと考えております。
[2] 収集・運搬業の許可について
PPCB廃棄物の運搬の際の基準については、廃棄物処理法に定められておりますが、さらに、危険物の輸送の際の安全性を担保し、環境汚染を防ぐため環境省が策定した「PCB廃棄物収集・運搬ガイドライン」や「JESCO(ジェスコ)の受入基準」など、より厳格な基準があります。
これらの基準を遵守することができる確実な業者を許可するとともに、北海道知事の許可を受けた事業者が、室蘭市などで先行して事業を開始することから、これらの実例も参考にしつつ、必要に応じて運搬時に職員を立会するなどし、安全性を高めてまいりたいと考えております。