平成18年第3回定例議会
代表質問 涌井 国夫 議員(西区)
9月27日、札幌市議会本会議において、公明党議員会を代表して涌井国夫議員(西区)が、代表質問を行いました。市長の政治姿勢についてや財政問題についてなど8点にわたって質問をしました。以下、質問に対する市側の答弁の要旨を紹介します。
質問第1 市長の政治姿勢について
1.札幌市長期総合計画とまちづくりについて
[1] 長期計画や実施計画への議会の関与
二元代表の一翼を担う議会として、市民に開かれた市政を進めていくために「長期総合計画」などの長期計画や実施計画に関して、議会の議決や報告を義務付ける事についてどう考えるのか。
[2] 第4次長期総合計画の改定に対する市長の考えについて
現在の「長期総合計画」が市長の公約であるこの度の「自治基本条例との整合性や市長の考え方を反映しているか疑問も感じる。第4次長期総合計画の改定について市長はどう考えているのか。
2.公共サービスの改革について
[1] 「公共サービス改革法」についての基本的な認識について
「公共サービス改革法」の趣旨と理念に基づき、全ての事務事業と公共サービスについて、聖域を設けず普段の見直しを行うべきと、考えるがこの法律の基本的な認識は如何か。
[2] 行政評価制度について
今後は、外部評価に経済界の視点も必要である。経済人を交えて事務事業と公共サービスを分類,整理等の事業仕分けを行っていく必要があると考えるが如何か。
[3] 改革をサポートする体制について
実効性確保の為には、改革をサポートする機構・体制について配慮し整備する必要があると考えるが如何か。
3.出資団体改革にについて
[1] 出資団体改革プランの進捗状況の認識について
市長は、出資団体改革プラン進捗状況を、どのように認識しているのか
[2] 職員の再就職について
再就職の透明性をたかめる手続きを導入した初年度の、評価と課題についてどう考えるのか。また、役員の選任には、民間の優秀な人材にも候補者を求めるなど多用な人材活用の手法をとる考えがないのか。
[3] 今後の出資団体改革に向けた決意のほどを伺いたい。
答弁・第1
1.札幌市長期総合計画とまちづくりについて
[1] 行政計画の策定は、基本的には市長等の権限に属する事柄であるも、これまでも長期計画や実施計画に関し、議会に報告し議論を頂いてきた。今後これに加えて更に、どのような方法により議決や報告を行うべきかについては、将来のまちづくりの方向付けのあり方や、効率的な行財政運営の実現という観点から充分な議論をしていく。
[2] 現在の第4次長期総合計画は、平成12年度から平成31年度までの20年間を見据えた基本的なまちづくりの方向性を示したものである。まちづくりの指針として社会,経済情勢の変化を見極め柔軟な対応と必要な進行管理を進めることが重要であると認識している。
2.公共サービスの改革について
[1] この法律は、公共サービスによる利益を受ける国民の立場に立って,透明かつ公正な競争のもとで、より良質かつ低廉なサービスの実現を目指すものである。今後とも、改革法の趣旨を踏まえながら、行政の事業領域などサービスのあり方を見直し、その担い手を決める際の、手法についても引き続き調査検討を行っていく。
[2] 札幌市の事業評価では、事業の必要性や実施主体の有り方といった「事業仕分け」の考え方も含め多様な視点で点検・評価を行っている。
[3] 現在、市政推進室が全体を総括し庁内各部局と調整し改革に取り組んでいる。今後ともより効率的で効果的な推進体制のあり方についても検討していく。
3.出資団体改革にについて
[1] 今年度,新たに出資団体点検評価委員会を設置し、外部専門家に評価を受ける事によって、確実な推進を図る事としている。出資団体改革に向け着実に動き出したと考えている。進捗状況については、満足しているわけではなく、より積極的な取り組みの必要性を認識している。
[2] 出資団体が役員等の人選に当って、主体的に意思決定し市退職者を必要とする理由や適任要件等を市に提出し、これらを公表する事により、再就職の透明性の向上が図られていくものと考える。また、今後とも役員等の選任に当っては、民間人の積極的な登用について各団体と協議してまいりたいと考えている。
[3] 出資団体改革に向けた決意は、今後、出資団体点検評価委員から出される報告書を踏まえ着実に取り組みを進める。出資団体改革は、私の重要な公約であるので、その実現に全力を挙げて取り組む。

質問第2 財政問題について
1.新たな三位一体の改革について
「基本方針2006」で示された方針に基づき、平成19年度予算編成に向けて、地方税・地方交付税・国庫補助負担金の見直しを、一体的に行うための三位一体改革を具体化する検討が、今後、政府与党で進められるものと考える。こうした今後の改革に札幌市は、どのように進めようと考えているのか、市長の見解は如何か。
2.地方交付税改革について
 17年度決算における、本市の地方交付税(臨時財政対策債含む)は、1348億円となっており、神戸市に次いで2番目に多い額となっている。15年度との比較では229億円も減っている。三位一体改革による地方交付税改革の影響を本市は大きく受けている。今後の地方交付税改革の動向とその影響について、どう想定されているのか。
答弁・第2
1.新たな三位一体の改革について
国と地方が本来担うべき事務役割分担を整理した上で、国が義務的に負担すべき分野を除き、地方が担う事務に係る国庫補助負担金は、全廃する事で基幹税による税源移譲につなげるべきと考える。国の関与や義務付けの廃止・縮減をすすめ、地方税を拡充することにより、財政面における自治体の裁量・自由度が拡大し、市民自治によるまちづくりが、更に推進していくことが可能になるものと考えている。
2.地方交付税改革について
積雪等の自然条件のために必要となる、除排雪経費などが算定の簡素化により、適切に措置されなくなる事なども想定される。見直しの影響により、本市の財政運営に支障が生じない様に、今後も国の動向を見極め情報収集に努め意見交換等の機会に、本市の意見を充分に主張するなど、対応をしていきたいと考えている。

質問第3 観光対策と新幹線札幌延伸について
1.観光対策について
本年7月1日から3日にかけて、釧路市,旭川市及び札幌市で初めての「日中韓三国の観光大臣会合」が開催され、日本からは北川国土交通・観光立国担当大臣が参加し、「日中韓三国間の観光交流と協力強化に関する北海道宣言」が採択され、東アジアが一体となり、観光交流拡大に向け、三国が連携を強化していくことが宣言されました。三国間の観光交流規模を、2005年の1200万人から2010年には、1700万人に増加させる事が、目標として設定されました。
[1] 日中韓観光大臣会合が北海道で開催された意義について、札幌市長として、どのように考えているのか。
[2] 採択された「北海道宣言」及びこれに基づく「日中韓観光ビッグバン」において具体的な方策が定められところですが、この宣言を受け、札幌市としては、日中韓三国間の観光交流について、今後どのような取組みを進めて行くのか。
[3] 今後、三国以外の地域との観光交流について、どのように考えているのか。
2.北海道新幹線の札幌延伸について
北海道経済連合会が発表した、札幌までの延伸に伴う効果と課題によると、開業に伴う経済波及効果は約5千百億円に及び、そのうち半数近くがサービス業に及ぶとされている。また、道央,道南と東北地域との交流を大きく拡大させる効果も期待できるとされており、将来の北海道そして、札幌市の観光政策にとっても、新幹線の札幌延伸は重要な役割を担うものと考える。
[1] 市長は、これまでの北海道新幹線実現に向けた関係者の努力をどのように評価しているのか。
[2] 市民の盛り上がりを促す為に、どのように取り組んで行かれるのか。
[3] 札幌駅周辺のまちづくりの検討にむけた組織体制を、早急に整え具体的検討に着手すべきと、考えるが如何か。
[4] 札幌市側の体制づくりとも合わせ、議会と行政が車の両輪として一体となった推進体制を整え,札幌延伸の早期実現を目指す事が、必要不可欠と考えるが如何か。
答弁・第3
1.観光対策について
[1] 「北海道宣言」が広く国の内外に発信された事により、知名度向上やイメージアップが図られ、北海道及び札幌市のさまざまな魅力を実感して頂いた事から、両国(中国・韓国)からの観光客の更なる増加につながるものと期待している。
[2] ライラックまつり」と中国・大連市の「アカシアまつり」との間で協定を締結し、相互の観光交流を推進する。観光のネットワーク拡大への取り組みを始め、この度採択された「北海道宣言」の趣旨を充分に踏まえ、観光交流の拡大に努める。
[3] 三国以外の地域としては、札幌への観光客が多い台湾・香港・シンガポール・オーストラリアなどに対して、旅行博覧会への出展等を通じ観光PRを行ってきた。今後は、広く観光客の増加が期待できる   地域に対し、札幌の文化や食、四季の様々な魅力などを積極的にPRを行っていく。
2.北海道新幹線の札幌延伸について
[1] 北海道新幹線誘致の歴史は30年を超える。新幹線を取り巻く情勢の変化や紆余曲折もありながら、北海道や経済界、地元選出国会議員の間で、誘致に対する強い意志が今日までつながれてきたことへは、そのご苦労に対し最大の敬意を払うべきものと感じている。
[2] 札幌延伸が決定される為には、ライバルの北陸に負けない道民、そして札幌市民の機運の盛り上がりが不可欠であると感じている。今後は、適宣、機会を捉えて、工夫を凝らし市民により多くの情報を的確に示し、新幹線に寄せる期待や熱意の醸成に努める。
[3] 札幌駅周辺は札幌の玄関にふさわしい駅の構えが整い、都市機能の集積と、にぎわいある空間が形成されている。都心まちづくり計画に基づき,駅周辺のまちづくりを進めていく必要があるので、庁内の組織体制について検討を進めたい。
[4] 市議会と私どもが、それぞれの役割を果たしながら、共に札幌延伸の実現に向けて取り組んでいくべきとのお考えであり、大変に心強く感じている。

質問第4 医療改革に伴う療養病床の再編について
1.「地域ケア整備構想」の策定について
各都道府県が策定する「地域ケア整備構想」の内容としては、基本的な考え方を始め、将来のニーズと各サービス利用見込みの整備について、どのような手順で構想を策定するのか。また、市は策定にどのように関わっていくのか。
2.介護施設サービスの整備について
市として、今後、介護施設サービスの整備をどのように進めていくのか。
3.介護給付費の増加について
厚生労働省によると、介護保険適用病床が廃止された直後の平成24年には、全国で医療給付が4000億円減少する反面、介護費が1000億円増加すると見込まれている。札幌市では、介護給付費がどの程度増加すると見込んでいるのか。
答弁・第4
1.「地域ケア整備構想」の策定について
北海道が本年10月1日を基準日として、療養病床を有する医療機関を対象に、アンケート調査を実施し、療養病床の転換意向や入院患者の状態などを把握した上で、来年秋頃を目途に策定されます。本市の意向が適切に反映されるよう、必要な要望や提言を行っていく。
2.介護施設サービスの整備について
介護施設サービスの整備についても、本市の実状が反映された構想となるよう働きかけ、そのうえで本市として次期介護保険事業計を策定し、計画に基づく施設整備に努める。
3.介護給付費の増加について
介護給付費の増加に付いてでありますが、本市の介護給付費の見込みについては、地域ケア整備構想の中で示される転換計画に基づく推計を行う事から、現段階では示す事が出来ない。平成21年度から始まる第4期介護保険事業計画の策定に向け、介護保険事業計画推進委員会において検討いただく。

質問第5 障害者自立支援法について
1.障がいのある方の相談支援体制の構築について
法律の施行に伴い、札幌市の相談支援体制も再編されるが、精神障害のある方に対する充分な支援も含め、どのような形で障がいのある方の、地域生活を支える相談支援体制を構築していくのか。
2.地域活動支援センターについて
地域活動支援センターは、障がいのある方の日中活動を支えるものとして必須の事業となっている。本市が行う地域活動支援センター事業の有り方について、どのように考えているのか、また、どのように整備していくのか。
3.就労支援策について
障がいのある方の収入確保策、作業工賃の引き上げ策や障がいのある方に対する就労を進めるため、どのように取り組むのか。
4.利用者負担の軽減策について
本市として、所得の低い障がい者の方々の負担軽減について、どのような考えで、どのような方策をとろうとしているのか。
介護予防は要支援・要介護状態になる以前からの取り組みが重要になると考えるが、制度改正に伴う札幌市の介護予防システムは、どのようになっているのか。
答弁・第5
1.障がいのある方の相談支援体制の構築について
障がいのある方の相談支援体制についてですが、一般的な支援相談を行う障がい者相談支援事業と、障がいのあるお子さんや知的障がいのある方などを対象に、専門的な療育を行う障がい児等、療育支援事業を実施する。また、精神障がいのある方を対象とした事業所においては、地域活動支援センター事業も併せて行う事からより一層の支援が行われると考える。
2.地域活動支援センターについて
地域活動支援センターについては、障がいのある方の社会参加を促す事を目的としている。本市では専門職員を配置して、生活支援や支援相談事業も行う形態と、社会適応訓練や入浴サービスを提供する形態の二つの事業を行っており、この10月から実施。また小規模作業所からの移行分については,円滑な意向を図るため、19年度から実施する。
3.就労支援策について
就労支援についてありますが、授産施設や小規模作業所の製品売上を伸ばし、工賃収入を増やすためには、消費者ニーズを的確に把握し、売れる授産製品づくりをめざす、必要があると受け止めている。
4.利用者負担の軽減策について
利用者負担の軽減策についてでありますが、低所得者に対する軽減策や、障がい児通園施設の利用者に対する負担軽減策と同様に他都市の方策も考慮し、実施時期も含め最後の詰を急いでいる。

質問第6 放課後の子どもの居場所づくりについて
小学生の放課後の居場所づくりについての施策である「放課後子どもプラン」の創設は、わが公明党が「少子社会トータルプラン」で強く主張してきたものである。
1.放課後の安全安心の居場所づくりについて
どのように考え、今後、どのように進めていこうとしているのか。
2.「放課後子どもプラン」について
国が推進しようとしている「放課後子どもプラン」を、どのように受け止め、本市としてどう取り組んでいこうとしているのか。
答弁・第6
1.放課後の安全安心の居場所づくりについて
放課後の安全・安心の居場所づくりについては、子どもたちが被害者になる痛ましい事件が、相次いでいる昨今、安全・安心な子どもたちの居場所の確保は重要な課題と認識している。今後の進め方として,小学校の余裕教室の整備を、引き続き積極的に推進していく事により,放課後において子どもたちが楽しく充実した時間を過ごせるような居場所の拡充に努める。
2.「放課後子どもプラン」について
放課後の子どもプランについてでありますが、今回、文部科学省と厚生労働省の連携により子どもたちの安全・安心ない居場所づくりに向けて、効果的に推進していくことを強く打ち出したことは、本市にとっても大変に心強いことと考える。今後は、教育委員会と子ども未来局の一層の連携を図りながら対応していく。

質問第7 新しい視点からの健康づくりについて
1.食生活に関する環境整備について
健康づくりを効果的に進める為に、生活習慣病予防対策として、食生活に関する環境を今後どのように取り組んでいくのか。
2.森林を生かした健康づくりについて
豊かな森林に恵まれた本市の、自然環境を健康増進に活用することは、非常に有効であると考えます。森林の効用を普及する人材の育成等も含め、森林を生かした健康づくりに取り組んでいくべきと考えるが如何か。
答弁・第7
1.食生活に関する環境整備について
食生活に関する環境整備についてですが、生活習慣病の要因となる、メタボリックシンドローム対策は、重要な課題である。生活習慣病の予防の観点から、エネルギーや脂肪を控えた、ヘルシーメニューを提供する飲食店を増やす事を、重点課題として取り組んでいく。
2.森林を生かした健康づくりについて
森林浴の医学的効能等に関する専門家の意見なども踏まえながら、既に、実践的な活動・研究や人材育成を行っている団体等との連携を図り、市民の健康づくりに取り組みたいと考えている。

質問第8 信頼される学校づくりについて
1.教師に対する信頼を確立するための方策について
教員採用のあり方や採用後の研修等を通して、教師の資質の向上を図り、教員に対する信頼を確立するために、教育委員会としてどのように取り組もうとしているのか。
2.学校改善の取り組みについて
「信頼される学校づくり」の実現に向け、保護者や地域住民などの考えを取り入れた学校改善を教育委員会として、どのように進めていこうと考えているのか。
答弁・第8
1.教師に対する信頼を確立するための方策について
教師に対する信頼を確立するための方策については、教員採用についてこれまでは、民間人面接官の導入など、多角的な視点から、人物重視した選考に努めてきた。今年度から実際の指導場面を想定した「場面指導」試験を導入するなど、教員採用方法のさらなる工夫・改善を進めているところである。教員研修については、実践的な指導力を高めることを目指して、研修内容や方法の質的改善を図っている。 特に初任者に対し、2年目の研修の支援体制を次年度から新たに構築したいと考えている.更に教員評価制度の導入については、市立高校及び幼稚園につては本年8月、要綱を制定し、小・中学校については今後、北海道教育委員会の要領制定を待って、導入してまいりたいと考えている。
2.学校改善の取り組みについて
学校改善の取り組みについては、保護者や地域の声を学校運営に反映させるための、学校評議員制度は、現在、90%を越える小中学校で実施され、今年度中に全校に導入する事になっている。学校評価システムの確立については、今年度から文部科学省の事業を受託し、小中学校10校をモデル校に指定し、先進的な学校評価の実践研究を行っている。各学校の評価結果の公表を一層推進すると共に、学校評価委員等からなる外部評価委員会を設けるなど、学校改善の更なる充実を図ってまいりたい。