平成18年第2回定例議会
代表質問 阿知良 寛美 議員(東区)
6月7日札幌市議会本会議において、公明党議員会を代表して阿知良 寛美 議員が代表質問を行いました。以下、質問項目と主な市側の答弁の要旨を紹介します。
質問第1 住宅の耐震化対策について
[1]
浅沼建築士による耐震偽装問題について
ア. 耐震基準を下回ったマンションの今後の是正の見通しと、これらのマンションに対して札幌市は、どのような支援を行っているのか
イ. 構造計算書調査補助等について、どのような目的で実施しようとしているのか基本的な考え方と事業の概要について
[2] 昭和56年以前の(旧耐震基準)のマンションの耐震化対策について
耐震化を促進する上で様々な相談に対する相談窓口についてどう考えているのか。またマンションの耐震診断・耐震改修に対する支援について、どのように考えているのか。
[3] 札幌市住宅耐震化促進条例に基づく木造戸建て住宅の耐震診断について
市内には、昭和56年以前の(旧耐震基準)木造戸建住宅は、約10万戸あり、木造戸建て住宅の耐震化を促進する事は、市民の生命や生活の安心・安全の確保のために重要な課題である。制度実施までの現段階での進捗状況及び実施の仕組み、さらに制度の開始時期と市民への周知
方法について
答弁第1
[1]
ア. 現在、売主である事業者と区分所有者の方々との間で是正に向けての話し合いが行われている状況である。札幌市としては、是正に向けた技術的な助言や必要な情報提供などの支援を行っている。
イ. マンション管理組合が行う構造計算などの調査に対しては資金的な支援を行うものである。また、構造関係の専門相談に対するために(財)北海道マンション管理組合連合会の相談窓口を活用して、相談体制の強化を図る。
[2] マンション耐震化促進のためには、相談窓口の充実や実際に耐震診断・耐震改修に対する支援が必要であると認識している。現在策定を進めている「耐震改修促進計画」のなかで検討していく。
[3] 木造戸建住宅の耐震診断については、条例制定を受け4月下旬に検討会を立ち上げ、実施に向け協議を進めている。市民から申込みを受け建築士が耐震診断を行い、その費用の一部を札幌市が補助する仕組を想定している。広報さっぽろ・ホームページ・パンフレットなどで、耐震診断の必要性や効果の周知につとめる。

質問第2 札幌観光の魅力アップについて
[1] これまでの取組みに係る評価について
札幌観光の魅力アップに向けた近年の取組みについて、どのような評価をしているのか。
[2] 今後の具体的な展開について
今後、どういった展開を考えているのか、今年度予定している具体的な取組みを示すべきだ。
答弁第2
[1] アートや食など、市民に親しまれながら観光素材として、従来取り上げられてこなかったものを、新たな札幌の魅力とし、発掘・発信しようという一連の取組みは、モエレ沼公園オープニングイベントのように話題性や集客面で一定の成果を得たと評価している。今後とも、継続的に取組んでいく事が不可欠である。
[2] 更に、札幌観光の魅力を高めるには、アート、食といった分野にとどまらず、新たな観光素材を見つけ、発信していく必要があり継続的に取組んでいく。

質問第3 環境問題について
[1] ごみ収集部門の委託割合の拡大について
本年2月に「集中改革プラン」を策定し、21年度までの5年間で事務事業の見直し、民間委託等の推進及び定員管理・給与等の適正化につとめていく方針を明らかにした。家庭用ごみ収集業務については、収集車1台あたり年間経費の比較は、直営3,500万円・委託2,000万円であり大きな開きがある。ごみ収集部門の委託割合の拡大については、どう考えるのか。
   
[2] 事業系ごみの1許可体制の見直しについて
市民のリサイクル意識の高まりや、事業系ごみのリサイクルの推進が求められている中で「環境低負荷型資源循環社会」を実現するためには、今まで以上に積極的なリサイクルの施策を打ち出すべきだ。廃棄物減量等推進審議会の資料によると16年度、環境事業公社が収集運搬したものは、約18万トン(全体は42万トン)そのうち16万トンは、清掃工場で焼却処理されおり、約8割がリサイクルされていない。札幌市環境事業公社のみへの付与である。いわゆる1許可体制をとっており、ごみのリサイクルを更に進めるためにも、収集運搬業者に対して新たに許可を付与すべきと、考えるがどうか。
答弁第3
[1] ごみ収集部門の委託拡大はこれまでも進めてきた.現在直営50%・委託50%になっている。清掃事業全体の効率化を進める中で、安定した収集体制の確保や災害時の対応なども考慮しながら、民間委託の拡大に取組んでいく
 
[2] リサイクルの推進を目的の一つとして事業系一般廃棄物の収集運搬の許可を札幌市環境事業公社1社に限定している。リサイクル率が平成6年度は10%であったものが、17年度は、21%にと倍増しているところであり、まずは現行体制の1許可体制を維持し、更なるリサイクル率向上を図っていく。排出事業者におけるリサイクルへの積極的な取組みによる業務量の急増が予想される場合においては、収集運搬体制のあり方などの見直しも含め、十分検討していく必要があると考えている。

質問4 障害者自立支援法について
[1] 今後の事業展開について
障害者自立支援法の施行に伴い制度の見直しにあたっては、札幌市として地域に密着した障害のある方のための福祉サービスをこれまでの各種の事業を踏まえ、新たな地域生活支援事業も含めて、今後どのように展開していくのか。
[2]
就労支援について
ア. 就労の現状と今後の取組み
障害のある方や授産施設や小規模作業所などにおける福祉的就労や企業等での一般就労についての現状認識と今後の取組みについての、見通しはどうなのか。
イ. 業務発注情報の仲介システムについて
授産施設などが安定的に活動持続の為の各種の企業等から業務発注情報を集約し適切に施設等に提供したり、仲介するようなシステムを構築し札幌市も関与してのシステム作りについての具体的な考えはどうなのか。
[3] 精神障害のある方の退院後の環境整備について
退院後の精神障害のある方の自立支援の観点から行政としての対策が必要と思うが、どう考えるのか。
答弁第4
[1] 10月から移行する新事業体系において事業を円滑に実施するよう努める。特に地域生活支援事業については、相談支援事業や移動支援事業などの必須事業だけではなく、市町村が任意で実施する事業についても、これまでの経緯や水準等を考慮の上、必要な事業の範囲や利用料の設定のあり方などについて検討し、支援の充実を図りたい。
[2]
ア. 公共的性格を持つ指定団体に対し、雇用状況の調査を行い、その結果を基に説明会を実施するなど、雇用促進に努めてきた。今後は、国、北海道、民間の関係団体と更に連携を深め、ITを活用した在宅就労支援の具体化など、新たな就労支援の施策を展開する。
イ. 業務発注情報の仲介システムについては、授産製品の販売などを行うため、大通駅コンコースに開設する「元気ショップ」に業務受注の窓口機能を持たせる。広報誌やホームページを活用し、PRに取組む。併せて商工会議所など経済団体にも働きかかけ、企業の理解と協力を得てまいりたい。
[3] グループホームの整備など生活支援を計画的に進めてまいりたい。

質問第5 高齢者対策について
[1]
介護保険料の改正について
ア. 制度改正による介護予防サービスの評価について
予防給付になった、軽度の方への介護予防サービスは訪問介護や通所サービスが利用回数や利用内容による時間別の評価から1ヵ月単位の定額報酬となっているが、今回の制度改正による介護報酬体系でサービス提供が不当に過少化されることがないのか。
イ. 介護予防システムの現状について
介護予防は要支援・要介護状態になる以前からの取組みが重要になると考えるが、制度改正に伴う札幌市の介護予防システムはどのようになっているのか。
[2]
敬老優待乗車証について
ア. 現行制度の維持について
70歳以上の市民が、この先1万人ほど増え、これに伴う事業費も2億円ずつ増加する推計を出し、今後の制度維持が困難とされていたが、17年度当初見込みを下回った実績と18年度からの制度改正による動向を踏まえてこの先、どのくらいの時期まで現行制度が持続できると考えているのか。
イ. 利用上限額の引き上げについて
市民議論を得た上で、利用上限額を現在の5万円に定めた事は承知している。実績として17年度の事業費が大幅減少した事を受け、今後、市民のために、5万円の利用上限額を引き上げる事を考えているのか。
答弁第5
[1]
ア. 本年4月の改正により、軽度の要介護者に対する新予防給付が創設されたのは、高齢者本人の能力や意欲を引き出し、出来るだけ自立した生活を継続できるように支援するとの観点からである。介護予防プランの作成を担当する地域包括支援センターでは、利用者本人の理解と同意を得ながら個々のプランを作成しており、利用者の意向や心身の状態などにあった適切なサ−ビスが提供されると考えている。
イ. 市内には17ヵ所の地域包括支援センターと53ヵ所の介護予防センターを設置した。それらを中心として運動能力の向上、栄養改善など効果的な介護予防に取組む事により、要支援、要介護状態になることを予防してまいりたいと考えている。
[2]
ア. 18年度は制度発足2年目となり、利用者の理解が深まる事や、見直しにより、利便性が向上する事から、利用率は更に高まると見込んでいる。札幌市の負担額は制度設計当初の見通しとほぼ同様に推移していると考えており当面は現行制度を維持できると考えている。
イ. 18年度の運用上の改善による変化が見られます。現行の上限額では不足しているとの声も寄せられていることから、利用上限額の変更も含めた、制度の根幹にかかわる見直しにつきましては、市民意見を十分に踏まえながら、今後の利用実態等を更に調査・検証し、その結果に基づき検討していく。

質問第 6 少子化対策について
公明党は、「子どもの幸せ」「子育ての安心」が確保される社会づくりを、めざし子育てを社会全体で支援するチャイルドファースト、こども優先社会の構築をめざし、4月に「少子社会トータルプラン」をまとめました。
[1] 少子化担当大臣との懇談会について
 4月16日、猪口少子化担当大臣と市長による国と地方自治体の連携役割分担による、一層の推進を図るための、意見交換会が開かれた札幌市とどのようなやりとリがあり、どのような感想を持ったのか。
[2] 「子どもの幸せ」「子育ての安心」を確保するための、今後の方針や考え方、環境や特性に応じた札幌市の少子化対策、「子どもの幸せ」「子育て安心」が確保されるまちづくりに向け、市長としてどのような方針や考え方を持って進めていこうとしているのか。
答弁第6
[1] 国への要望として、特に、中小企業の取組みや若者の就労支援など「働き方」の見直しは、国が指導して進めていただきたい。少子化は全国的な喫緊の課題であり「少子社会トータルプラン」の指摘と同様に、国と自治体が一体となって果たしていかなければならない。
[2] 「さっぽろ子ども未来プラン」を確実に実施し、子どもや子育て家庭を支える地域に根ざした、市民活動を行政が様々な面から支援していく。2005年の全国の合計特殊出生率が1.25と過去最低を大幅更新した。札幌市の数値も前年を更に下回ることも考えられる。この状況に危機感を強め、より一層、子どもを生み育てやすいまちづくりに向け、全力で取組んでいく。

質問第7 水道事業における市民サービスの向上について
[1] 無線式メーターの活用について
無線式メーターは、積雪期の検針や社会環境の変化に対応可能な検針システムである。将来的には無線式メーターを活用して、更に市民サービスの向上を図るべきだ。
[2] 今回実施された電話受センターの24時間化においては、届出や緊急電話以外の水道に関する各種問い合わせなど、どのような利便性の向上が図られたのか。
[3] 電話受付センター業務の拡大について
料金・水質・技術的な相談に一括して対応する総合窓口の設置に向け電話受付センター業務の拡大について、どのように考えているのか。
答弁第7
[1] 無線式メーターは、積雪期の検針に非常に有効な手段であり、現在厚別区をモデルに面的な調査研究を行っている。無線式メーターの全面的な導入にあたっては、メーター価格を見極める必要がある。費用対効果、無線式メーターの技術動向などを見据え、財政状況等を勘案し総合的に検討していく。
[2] 電話受付センターの24時間化については、新たに電話対応マニュアルを整備し、様々な問い合わせについて、電話受付センターで直接回答を行い、電話受付センターで完全に完結する事が出来た。
[3] 将来的には、札幌水道長期構想に掲げられた総合窓口の設置を視野に、市民サービス向上を図るため、料金や検針関係、メーターや給水装置などの技術的な分野における、より専門的な相談にも対応していくなど、曜日や時間にとらわれないワンストップサービスの更なる充実に向け、電話受付センター業務の拡大に努めていく。

質問第8 英語教育について
小学校における英語教育の重要性について、公明党は、これまで国会において強く主張してきたところである。今年3月末、ようやく中央教育審議会から、小学校から英語を必修にすべきとの報告が示されたところである。
[1] 札幌市立小学校における英語活動の取組みについて
現在、札幌市の小学校の英語活動において、どのような取組みが行われているのか。
[2] 今後、札幌市として小学校の英語学習にどのように、取組もうとしているのか。
答弁第8
[1] 現在、「総合的な学習の時間」の中で、教育委員会から派遣している外国語指導助手や地域人材を活用し、歌・挨拶・ゲームなどの活動を通して、英語の音声やリズム、表現に触れたり、外国の生活や文化に慣れ親しむなど、小学校の段階にふさわしい体験的な学習が行われ、学校研究委託事業等をとおして、全市的に広め、国際理解教育の充実につとめている。
[2] 現在、小学校の英語学習については、中央教育審議会の教育課程部会において、指導等の教育条件の整備を含め、英語教育の必修化にかかわって、総括的な検討が行われており、国における検討の動向を見ながら、小学生にふさわしい英語活動を含めた、国際理解教育の一層の推進に取組んでいきたい。