議会報告

平成27年第2回定例議会
代表質問 国安 政典 議員
(北区)

6月30日札幌市議会本会議において公明党議員会を代表して国安 政典 議員が代表質問を行いました。

市長の政治姿勢について、防災、減災対策について、福祉施策について、教育政策について質問しました。

以下、質問とそれに対する答弁の要旨を紹介します。
no1
市長の政治姿勢について
(1)地方創生に向けた国、北海道、道内市町村との連携について
 国においては、「まち・ひと・しごと創生法」を制定し、「人口の長期ビジョン」と、今後5か年の政策目標や施策をまとめた「総合戦略」が策定されたところであります。

 現在、各地方自治体において、「地方人口ビジョン」と「地方版総合戦略」の策定を急いでいるところでありますが、昨年5月に発表された日本創生会議の人口減少問題検討分科会による推計では、現状のままでは、2040年までに道内の約8割の市町村が消滅する可能性があるとされております。

札幌市は北海道の人口のおよそ3割を占める大都市でありますが、札幌の産業構造は飲食店や宿泊業といったサービス業や、卸・小売業などが中心であり、それらの経済活動は、北海道の人々、自然、資源などに支えられて成り立っていることから、道内各地域の衰退は、決して他人事ではありません。

 各地域が衰退し、地方の豊かな資源などが失われるような事態になれば、札幌の経済や産業は多大な影響を受け、大都市としての機能や魅力を持続することが困難になり、最終的には、札幌市の人口減少にも歯止めがきかなくなると考えます。

 これまでも、札幌市は、経済や観光をはじめ、様々な分野で道内各市町村との連携を進めていることは承知しておりますが、今後は、これまで以上に、道内市町村と手を携え、北海道の発展に向けた取組を推進していかなければなりません。

 そのためには、広域自治体として、各地域の実情やニーズを把握している北海道と、北海道の中心都市である札幌が、より一層連携を深め、知恵を出し合うことが重要であります。
また、そういった取組を後押ししていただくために、国との連携も欠かすことができないと考えており、「国」「北海道」「道内市町村」「札幌市」が互いに連携・協働することで、はじめて、人口減少問題の克服に向けた実効性のある取組が推進できるものと考えます。

 人口減少・超高齢社会における地方創生に向けた、国や北海道、道内市町村との連携に関する基本的な考え方を伺います。

(2)オールさっぽろ体制の構築について
 また、この時代の転換点とも言える札幌市の人口減少局面を乗り切っていくためには、行政のみならず、市民や企業を巻き込んだオールさっぽろ体制で臨んでいくことが求められます。

 観光の振興や都心のまちづくりといった施策の実現には、市民、企業、行政がスクラムを組むことはもちろん、とりわけ経済界との連携を重視して取り組んでいくことが必要であると考えます。

 札幌の未来を切り開いていくための、オールさっぽろ体制の構築について、どのように考えているのか、市長の考えを伺います。

(3)冬季オリンピック・パラリンピック招致への市民の気運醸成と東京オリンピック・パラリンピックの合宿誘致について
① 冬季オリンピック・パラリンピック招致への市民の気運醸成
 昨年実施した市民へのアンケート調査によると、札幌に冬季オリンピック・パラリンピックを招致することについて支持する割合が約67%ということであります。

 東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会招致では、低い支持率が課題となっていましたが、47%だった支持率を開催都市として選定される前には70%まで引き上げています。
市民からの支持が、開催都市を決める投票にも大きく影響することから、札幌においても市民の支持率をさらに高めることが必要であると考えます。

 1972年の札幌冬季オリンピック招致の際には、市民や経済界などが中心と   なって「札幌冬季オリンピック招致協力会」と呼ばれる組織を立ち上げて、「オリンピックを札幌に」というスローガンのもと招致運動が展開され、オリンピックムードを高めるための運動が開催直前まで継続的になされたと聞いております。

 冬季オリンピック・パラリンピック招致を実現し、さらに大会を成功させていくためには、北海道とも連携して、早い段階での市民・道民への気運醸成が重要であると考えます。

 今後、どのように気運醸成の取組を進めていくのか伺います。


② 東京オリンピック・パラリンピックに係るスポーツ合宿誘致

 冬季オリンピック・パラリンピック招致を成功させるためには、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けたスポーツ合宿誘致の取組が効果的であると考えます。

 スポーツ合宿を受け入れることで、市民へ世界のアスリートと触れ合える機会を提供することができ、大会開催後においても引き続き合宿の受入や国際交流の取組につながることが期待できます。
北海道内におけるスポーツ合宿誘致の取組に関しては、例えば網走市では、昭和63年からスポーツ合宿誘致に係る実行委員会を発足させ、積極的に取り組み、過去にはラグビーの日本代表合宿を誘致した実績もあります。

 札幌市でも東京オリンピック・パラリンピック開催に向けて事前キャンプ誘致に積極的に取り組むべきと考えますがいかがか伺います。
(4)観光振興に資する交通施策、バリアフリー施策について
① 都心アクセス道路の意義、役割
 先に示された補正予算案では、観光関連の予算を15年度当初予算と合わせ、昨年度から大幅に増額するとの方針を掲げております。

 実際、札幌を訪れる外国人観光客は、平成25年度に初めて100万人を超えるなど、ここ数年急激に増加しており、国内観光客においても、更なる増加が期待されています。

 このように観光客が増え続ける一方で、受け入れ側の環境として、入り口となる新千歳空港の混雑や駅・空港からの2次アクセスが脆弱であるなどといった課題があります。今後、観光分野の更なる成長を目指すためには、観光客の受け入れ環境をしっかりと整える必要があり、将来を見据えた交通施策を展開していくことが重要であると考えます。

 まず、道都札幌の都心部と高速道路を結ぶ都心アクセス道路についてでありますが、新幹線札幌延伸と連携し広域的な交通ネットワークを形成するためにも、その重要性はますます高まっていくものと考えます。

 市長の公約にも掲げられている都心アクセス道路の意義や果たす役割について、改めて市長の考えを伺います。

② 丘珠空港の役割
丘珠空港は、函館、釧路、利尻への道内空港路線を有していますが、加えて最近は、道外からのチャーター便が運航されるなど、丘珠空港を取り巻く環境が変化してきております。

 過密する新千歳空港の代替や道内連携強化の観点から、丘珠空港が果たす役割は非常に重要であると考えますが、観光振興に果たす丘珠空港の役割について、市長の考えを伺います。


③ バリアフリー施策

 様々な手段で札幌を訪れてくれた観光客に市内観光を十分に楽しんでいただくためには、何よりもまず市内を安全かつ快適に移動できる受け皿が必要であります。

 さっぽろ冬季オリンピック・パラリンピックの招致を見据えた場合、障がいのある方などに対するまちづくりの配慮は、今後のインフラ整備にとって欠かせない要素であります。

 これらのことを踏まえると、道路や駅施設などが一体的にバリアフリー化されていくことが重要であると考えます。

 今後、どのようにバリアフリー施策を展開していくのか、市長の考えを伺います。

④ 地下鉄延伸の検討
 地下鉄の延伸は、札幌ドームへのアクセス性の向上など交通面での利便性向上だけでなく、沿線地域のまちづくりの進展にも大きく貢献するものであり、札幌の魅力と活力をより一層向上させるためにも早急に検討を進めるべきものと考えます。

 地下鉄延伸の検討については今後どのように進めていくのか伺います。

(1)地方創生に向けた国、北海道、道内市町村との連携について
 札幌の魅力や経済活動は、豊かな自然や食などの北海道の魅力に支えられており、人口減少による北海道の活力の低下は、札幌の発展にも大きな影響を及ぼすものと認識。

 こうした中、「札幌市まちづくり戦略ビジョン」で示した「北海道の発展なくして札幌の発展はない」との考え方に基づき、現在、札幌と北海道の一体的な発展を目指し、道内連携の取組を積極的に展開しているところ。

 今年度は、札幌の都市機能を活用した地域活性化に向け、道内連携を推進するためのアイディアを生み出す場として、企業人・有識者で構成する「道内連携ラウンドテーブル」を北海道と連携して設置するなど、官民一体となり更なる道内連携の推進を図ってまいる考え。

 また、地方創生を真に実効性を伴ったものにするためには、国の後押しも重要であると考えており、情報の共有や制度要望など、国との対話を進めながら、「国」「北海道」「道内市町村」と連携・協働し、地方創生に取り組んでまいりたい。
(2)オールさっぽろ体制の構築について
 札幌が直面する厳しい局面を乗り越え、新しい時代を切り開いていくためには、市民、企業、行政がその持てる力を最大限発揮し、オール札幌で立ち向かっていかなければならない。

 こうした私の思いを、今定例会の冒頭にて「市民力の結集」という言葉に込めて述べさせていただいたところであり、まさに、議員のお考えと軌を一にするもの。

 今後、例えば、おもてなしを含めた受入環境の向上など様々な観光施策をはじめ、北海道新幹線の早期完成に向けた機運醸成、さらには、再開発による都市のリニューアルなど、私のリーダーシップの下で「市民力」を結集し、経済界も含めたオール札幌体制で取組を加速させ、心豊かで明るい札幌の未来を描いてまいりたい。
(3)冬季オリンピック・パラリンピック招致への市民の気運醸成と東京オリンピック・パラリンピックの合宿誘致について
1点目の市民の気運醸成について
冬季オリンピック・パラリンピック招致という市民の夢をかなえるためには、行政のみならず、地元の経済界や競技団体などが一体となり、熱意をもって招致運動が展開され、こうした動きが市民さらには北海道全体に広まっていくことが何よりも重要と考えている。

 先の北海道・札幌市行政懇談会において、北海道とも連携しながらオール北海道で推進体制を整備しながら招致を進めていくことが確認されたところであり、今後、PR動画の作成や各種イベントの開催を通じ、官民一体となって北海道全体の招致気運を盛り上げてまいりたいと考えている。

2点目の東京オリンピック・パラリンピックに係るスポーツ合宿誘致について
 合宿誘致を行うことは、札幌市に宿泊や観光といった経済的効果をもたらすとともに、各国代表チームを通して、札幌の魅力を世界に発信する絶好の機会になるものと認識。

 また、合宿期間中には選手による子どもを対象としたスポーツ教室などにより、選手と市民との交流が広がるという効果も期待されるところ。

 この度、札幌市において平昌オリンピックの男子アイスホッケー予選の誘致が実現したところであり、ウインタースポーツシティとしての優位性を訴えながら、東京オリンピック・パラリンピックのみならず、平昌オリンピック・パラリンピックの事前合宿誘致についても積極的に取り組んでいきたい。
(4)観光振興に資する交通施策、バリアフリー施策について
1点目の都心アクセス道路の意義、役割について
 今後、札幌が国内外からヒト、モノなどを引きつけ、世界都市としての魅力を創造し続けていくためには、周辺の空港等から都心へのアクセスを強化し、新幹線札幌延伸とも連携した広域的な交通ネットワークを形成することが重要。

 そのために、都心部と高速道路を結ぶ都心アクセス道路が果たす役割は大きく、市内及び道内の観光振興や物流強化、経済活性化を促進するのみならず、札幌駅交流拠点などのまちづくりにも貢献できるものと認識。

2点目の丘珠空港の役割について

  道内航空ネットワークの拠点としての機能を維持するとともに、道外路線の開設に向けても取り組むことで、観光客やビジネス客など交流人口の増加につなげ、観光振興や経済活性化に一層活用していく考え。

3点目のバリアフリー施策について

 平成27年3月に「新・札幌市バリアフリー基本構想」の見直しを行っており、今年度は、この基本構想に基づき、各事業者が具体的な事業計画を策定する予定。

 特に、地下鉄駅やJR駅を中心とした地域においては、関係する事業者が連携して重点的にバリアフリー化を図るなど、市民や観光客など誰もが安全で快適に移動できる空間整備に努めてまいりたい。

4点目の地下鉄延伸の検討について

 地下鉄の建設には多大な費用を要することから、利用者数予測に基づく事業採算性などを勘案しながら総合的に判断していく必要がある。

 清田方面への延伸検討については、オリンピック施設の配置や後利用方策が利用人員の推計に大きな影響を及ぼすことから、オリンピック施設の状況を踏まえつつ、検討を行う必要があるものと認識。
no1
防災、減災対策について
(1)北海道強靭化計画に対する認識について
 国では平成25年12月に「国土強靱化基本法」が制定されましたが、国土強靭化を実効性あるものとするためには、地方公共団体や民間事業者を含め、関係者が総力を挙げて取り組むことが不可欠であり、札幌市においてもすみやかに地域計画を策定し、国・道と一体となって強靭化の取組を推進していくことが重要であると考えます。

 北海道は今年3月に国土強靭化地域計画として「北海道強靭化計画」を策定しており、その計画では、首都直下型地震や南海トラフ地震におけるリスク分散の受け皿として、同時被災の可能性が低い北海道への企業の本社機能の移転についてなど、特に経済活動の代替が可能な札幌圏の役割に言及しております。

 また、避難者の受け入れや物資の供給、医療救護等の被災地支援を円滑に行うため、札幌都心と物流の拠点をつなぐ交通ネットワークの整備等も盛り込まれており、北海道の人口の約3割を占め、行政や経済機能が集積する札幌の強靭化は重要と位置づけられております。

 「防災」「減災」対策として、札幌市も今後国土強靭化地域計画を策定していくことと思いますが、本年3月に策定された「北海道強靭化計画」に対する認識と、この計画と札幌市の強靭化計画の関係について、基本的な考え方を伺います。

(2)官民一体の地域計画策定について
 社会基盤の強化は各分野に多様なニーズを生み出し、これが新たなイノベーションや更なる民間投資の拡大をもたらすことになるのであって、地域が強靭化されれば、市民の生命と財産が守られるとともに、持続的な成長も促されていくというのが最大のメリットといえます。

 そのような好循環を生み出すためには、行政の取組のみならず、民間事業者ともしっかりと連携を図って強靭化に取り組んでいくことが不可欠であります。

 札幌市においては、建設業の方々を中心に各区に災害防止協力会が結成されており、昨年の9月11日の大雨の際も、率先して土のうによる河川の氾濫防止に尽力されていたことを私たちも現場で目の当たりにしたところであります。

 このような防災意識が高い民間事業者との協働やネットワークの構築は、札幌市全体の防災力を高め、まちのステイタスの向上にもつながっていく非常に重要なものと考えます。

 一方で、建設業界を始めとした民間事業者の方々は、将来的な公共投資の見通しが立たなければ、新規雇用や新たな機材の購入などの設備投資に踏み出せない状況にあると聞いています。

 行政とともに札幌市の「防災」「減災」の一翼を担う民間事業者の今後の見通しに対する不安を払しょくすることで、関係者が総力を挙げて積極的に強靭化に取り組むことにつながると考えます。

 札幌市の国土強靭化地域計画策定にあたっては、民間事業者の意見を取り入れるとともに、官民一体となって強靭化を進めるべきと考えますが、札幌市の国土強靭化地域計画策定にあたっての基本的な考えを伺います。
(1)北海道強靭化計画に対する認識について
 「北海道強靭化計画」は、その策定段階において、本市とも意見交換を行いながら策定されたものであり、道内各地域における施策展開の方向性を示すなど、札幌を含めた北海道全体における基本的な指針として位置づけられているものと認識。

 札幌市の地域計画を策定するにあたっては、道の計画と調和を図りつつ、道計画で示された施策の下に、札幌市の具体的な事業を盛り込む行動計画(アクションプラン)として策定してまいりたい。
(2)官民一体の地域計画策定について
 計画の策定にあたっては、北海道や北海道開発局のほか、有識者や経済界など、様々な立場の方々から意見を伺うとともに、計画の主な推進事業を、中期実施計画に位置づけることで、事業の見通しを示し、官民が一体となって強靭化に取り組むことができるような計画としてまいりたい。
no1
地域課題解決へ向けた施策の展開について
(1)自治基本条例の検証について
 上田前市長の時代に、まちづくりの基本的なルールとなる自治基本条例の制定や、まちづくりセンターの設置による地域支援の強化などが進められました。その結果、まちづくりセンターを中心としたまちづくり活動の事例数は、平成27年1月末時点で1,113事例と大きく増え、それまで以上に、市民自治が進んだことについては評価するところです。

 しかしながら、地域に目を向けてみると、実際の活動において特定の人に負荷がかかることにより、少なからず負担を感じている市民がいる一方で、興味は持ちながらもなかなか実際の活動に結びつかない市民もいます。

 平成19年4月に施行された自治基本条例は、「一人一人の思いや声が調和の中で生かされる、市民自治を実感できるまち札幌」を目指したものであり、5年を超えない期間ごとに、市民の意見を聞いたうえで検証し、その結果に基づき見直し等の措置を行うものと定められております。

 平成27年度はこの自治基本条例の検証時期に当たり、これから2年間をかけて検証作業を進めることとされており、自治基本条例の検証に際しましても、より一層、市が地域に貢献するような形で検討・検証されることを期待するところであります。

 市長は、「徹底した地域主義」を施政方針として掲げておられますが、自治基本条例の見直しに向けた検討を行っていくのに際して、どのような点に重点をおいて検証していく考えであるのかお聞きします。

(2)地域における防犯活動について
 地域防犯力を高めていくためには、何よりも住民意識の向上が重要であり、意識向上への啓発をより地域のニーズに即して支援するべきと考えます。

 例えば、以前から我が会派が訴えてきた市の管理道路における防犯カメラの設置についても、これまでにない地域防犯活動のシンボル的な存在としてその役割を果たすものではないかと思います。

 また、防犯活動における市民の負担感を軽減するため、市民が継続して積極的に活動に参加できるような枠組みを用意することも、非常に重要であると考えます。

 特定の市民だけに頼らず、多くの市民が持続的に安全で安心なまちづくりに参加してもらうために、札幌市としてどのように取り組んでいこうと考えているのか伺います。

(3)市民との協働による除排雪の取組について
 秋元市長は、補正予算の中で、交差点排雪の強化など、除排雪のレベルアップに要する費用を盛り込んでおります。

 限られた予算や機材・人員の中において、効果的で効率的な除排雪を行わなければならないのは勿論ですが、除排雪のレベルアップを図るためには、交差点排雪の強化といった、行政によるサービスに加えて、市民力を結集した取組を展開していくべきではないかと考えます。

 市民との協働による除排雪の取組について、市長は具体的にどのようなことを考えているか伺います。
(1)自治基本条例の検証について
 少子高齢化と人口減少の進行を背景とした地域構造の多様化に伴い、地域が抱える課題も複雑化する中、その解決に当たっては、地域に関わる市民、企業、行政の総力である「市民力」を結集して、協働してまちづくりを進めていくことが非常に重要と認識。

 このため、まちづくり活動の担い手が、特定の人や世代に限られることのないように、地域の実情に応じて多様な主体によるまちづくり活動を促進し、結び付けていく役割を、行政として担っていく必要がある。

 このような考え方に基づき、有識者と公募の市民から成る「市民自治推進会議」における自治基本条例の検証作業においても、市民参加の裾野の拡大や、地域ネットワークの形成に資する視点から、幅広く意見をいただき検証してまいりたい。
(2)地域における防犯活動について
 犯罪のない安全で安心なまちづくりは、札幌市としても重要な課題と認識し、全市を挙げて取り組んでいるところ。

 犯罪抑止には、市民の皆さんによる地道で継続的な防犯活動が不可欠だが、活動をされている方の負担感を軽減するには、より多くの市民や企業が参加し、相互に連携しながら活動を積み重ねていくことが重要と考える。

 札幌市では、企業の皆さんが地域と連携して防犯活動に参加していただく「札幌市地域安全サポーターズ」の取組に力を入れ、子ども110番の店や営業車によるパトロールなどを行っていただいている。

 今後も、北海道警察など関係機関との連携を図るとともに、多様な担い手による防犯活動の支援に取り組み、安全に安心して暮らせるまちの実現に向けて、これまで以上に努めていきたい。
(3)市民との協働による除排雪の取組について
 昨年度まで実施した「地域と創る冬みち事業」では、町内会との懇談会などを通じて、地域の雪置き場としての公園活用や、除雪ボランティア活動に対する支援など、地域の方との協働の取組を行ってきたところ。

 今年度からは、「冬みち地域連携事業」をスタートし、これまでの取組をさらに拡大するとともに、新たに、将来の協働の取組を担う小学生を対象に、除雪に関するルールやマナーを守ることや、自ら除雪に参加することの大切さについて学習する雪体験授業を実施してまいりたい。
no1
福祉施策について
(1)地域福祉力を活かした福祉施策の展開について
 高齢者福祉については、本年3月に策定された平成27~29年度札幌市高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画においても、「いくつになっても住み慣れた地域で安心して暮らし続けることができるまちづくり」が基本目標に掲げられています。

 札幌市の高齢者は、平成27年には約48万人であるのが、10年後の平成37年には58万人を超えると推計されております。また、要介護・要支援の認定を受けている方の割合についても、平成26年10月現在で20.5%であるのに対し、平成37年には26.7%となり、高齢者のおよそ4人に1人が要介護等認定者になることが計画の中で見込まれているところであります。

 これまでも、在宅生活を支えるための生活支援サービス等の充実が図られるとともに、高齢者の増加を踏まえて、特別養護老人ホームやグループホームなどについても、計画的に整備が進められています。

 しかしながら、今後は、行政等の公的なサービスだけで、超高齢社会を支えていくことは難しくなり、医療機関、地域包括支援センター、介護事業者など、地域の関係機関との綿密な連携によって、必要な支援が行き届くようにしていくことが重要であると考えます。

 また、障がい者福祉については、より充実した内容になりました。障がい者プランは、障がいのある方もない方も、市民誰もが互いに人格と個性を尊重し、支え合う共生社会の実現を基本理念とするものであり、障がいのある方の地域生活の支援にあたっては、関係機関、事業者、ボランティア等の地域福祉力との連携により、ライフステージに応じた切れ目のない相談支援・サービス提供体制の充実を図ることとしています。

 市長は、超高齢社会という大きな課題に対し、地域に住む人みんなが互いに支えあう地域福祉力を活かし、高齢者福祉施策、障がい者福祉施策の取組をどのように展開していくのか伺います。

(2)仕事と子育てを両立させやすい環境の醸成について
 子育て支援については、本年3月に策定された「新・さっぽろ子ども未来プラン」において、「安心して子どもを産み育てられる環境の充実」が基本目標の1つに掲げられています。

 札幌市においても女性の社会進出が進んでおり、出産後も働き続ける女性が増えてきているところであります。子育て家庭が希望した時期に希望した保育サービスを利用できるよう、認可保育所等の整備を行うとともに、延長保育や一時保育の実施施設数を増やすなど、待機児童の解消を実現するだけでなく、女性が子育てをしながら安心して働き続ける環境整備に一層、取り組んでいく必要があると考えます。

 子育て支援施策にあっては、設備や制度といったサービス量を充実させる必要がある一方、社会全体で仕事と子育てを両立させやすい環境を醸成していくことが大変重要になってくると思いますが、こうした視点をどのように施策に盛り込んでいくのか伺います。

(1)地域福祉力を活かした福祉施策の展開について
 地域に住むすべての市民が、互いに支え合いながらいつまでも安心して暮らせる街を実現するためには、公的サービスの充実に加えて、元気な高齢者も含めた地域住民主体の見守り活動やボランティア活動を支援し、支え合いの意識を醸成していく必要がある。

 また、行政はもとより、地域包括支援センターや障がい者相談支援事業所をはじめとした関係機関、企業、さらには地域住民による連携の強化を図り、心身に不安のある高齢者や障がいのある方を適切な支援につなげる体制を充実するとともに、こうしたネットワークの担い手となる人材の育成にも注力していく。
(2)仕事と子育てを両立させやすい環境の醸成について
 子育てをしている家庭が安心して働き続けていくためには、企業はもとより地域においても、仕事と子育ての両立を望む家庭の状況を十分理解し、必要な配慮がなされることが重要と考えている。

 札幌市においては、これまで、ワーク・ライフ・バランス推進事業を実施するなど、そうした配慮を行う企業の取組を促進するとともに、地域におけるマンパワーを活用した子育て支援事業についても推進してきたところ。

 仕事と子育てが両立しやすい環境の醸成のためには、このように市民、企業、そして行政が一体となった子育て世帯への支援が必要であり、今後も、こうした考え方のもと、子育て家庭のニーズを十分把握しながら、施策を進めていきたい。
no1
教育政策について
 新体制においては、昨年の法改正により導入された、新しい教育委員会制度を運用していることから、今後、市長主宰の「総合教育会議」が設置され、公の場で、市長が教育行政に意見を述べることができるようになるなど、市長の教育行政に対する影響力が増すことが想定されます。
(1)キャリア教育の充実について
 日本では、若者の数が減っているにもかかわらず、ニートや引きこもりの数が依然として高止まりしているなどといった問題が未だ存在しております。ある民間の調査では、働くことに対する姿勢や意識の低さが増えているという課題が指摘されております。

 こうした課題を解決していくには、学校教育において、子どもたちが、将来どのように働き、生きていくのかという、職業観をもてるようにすることが大切であり、小学校の段階から、働くことや、それによって人の役に立つことの喜びを実感させるなど、子どもの発達に応じたキャリア教育を計画的に実施していくことが重要であると考えます。

 今後、キャリア教育について一層充実すべきと考えますが如何か、教育長の見解を伺います。

(2)学校司書配置の取組について
 札幌市では「読書」を、「雪」「環境」とともに、「札幌らしい特色ある学校教育」の三つの柱のうちの一つと位置付け、その充実に向けた取組を進めており、平成25年度からはその一環として、学校司書を配置するモデル事業を市内中学校1校で行っていると伺っております。

 この事業では、学校司書の配置前と比べて貸出冊数と貸出人数がともに1.6倍に増加するなどの効果が表れており、学校司書の配置が子どもたちの読書の推進に大きく寄与している様子がうかがわれます。これからの学校図書館は、子どもたちが自らの学びを進めるための学習・情報センターと位置付けられるとともに、その積極的な活用を推進するためには学校司書を配置することが大変重要だと考えます。

 今後の学校司書の配置について、教育長の見解を伺います。

(3)教育現場における多様な人材の活用について
 子どもたちが健やかに成長していくためには、学校においては、教員だけではなく、多くの大人が様々な役割を果たしつつ、子どもや保護者に関わっていくことが大切であると考えます。

 札幌市においては、現在、99名のスクールカウンセラーを全ての市立小中学校及び市立高等学校に配置し、配置時間数等について毎年事業を拡充してきていることについては、一定の評価をするところであります。

 札幌市では、現在8名のスクールソーシャルワーカーがおり、補正予算においてスーパーバイザー1名の増員を盛込んでいるところであります。学校数が300校を超える札幌市において、困難を抱える多くの家庭に対応していくためには、今後、スクールソーシャルワーカーを大幅に拡充していくことが必要ではないかと考えます。

 札幌市においては、特別支援教育巡回相談員を配置し、各学校への訪問相談を行うとともに、直接、子どもへの支援を行うものとして、学びのサポーターの活用も行っているところであります。
しかしながら、現在どの学校においても、特別な教育的支援を必要とする子どもが数多く在籍しており、このような子どもたちへの支援は十分ではないとも聞いています。

 子どもを守り育てるために、学校において多様な人材の活用を図ることが必要と考えますが、教育長の見解を伺います。
(4)オリンピック・パラリンピック教育について
 「心のバリアフリー」の広がりが、共生社会を実現するための重要な要素であり、ここ札幌市でも、市をあげて取り組んでいただきたいものであると考えています。

 例えば、「外国を知り日本を伝える活動」や「パラリンピックの意義を知る活動」などをテーマに、大会の参加国・地域に関する学習を実施したり、オリンピック・パラリンピック選手を実際に学校に招き、子どもたちとの交流の場を設けるなど、様々な工夫が考えられると思います。

 ぜひ、大会を観戦する、応援する、ということにとどまらず、「心のバリアフリー」の大切さを理解し、自ら人を尊重し、手助けする行動力を子どもたちに育み、共生社会の担い手として、成長することができるよう、教育委員会としても努力していただきたいと考えます。

 札幌市においても、この機会をとらえ、オリンピック・パラリンピック開催を踏まえた教育を積極的に推進すべきと考えますが如何か、教育長の見解を伺います。

(5)市立高等支援学校の2校体制による教育内容と就労支援の充実について
 これまで、北海道では、札幌市内及び近郊において、平成21年に小樽高等支援学校、平成23年に札幌稲穂高等支援学校、平成25年に千歳高等支援学校を整備してきました。さらに、平成28年に札幌拓北高校跡に新設校を整備します。

 北海道に対しては、今後、少子化で見込まれる道立高校の空き校舎、空き教室を活用した間口整備等も含め、札幌市として、北海道の役割を着実に実施するよう、通学可能な範囲での間口確保を求めていくべきと考えます。

 一方、札幌市の役割としては、北海道の広域行政で対応しきれない地域ニーズに対して、きめ細やかな対応が求められます。

 市民の視点からすると、通学可能な範囲で間口が確保されることは大変重要であり、平成29年度に(仮称)南部高等支援学校を開校し、札幌市立の高等支援学校2校体制の歴史の幕を開けられるということは、1人でも多くの生徒が自宅から近い学校に通うことができることになるわけですから、これは大変喜ばしいことであると考えます。

 私が調べたところによりますと、京都市では、平成25年度から3校体制となっており、その3校で、それぞれの生徒が行き来して、お互いに自分たちの学習内容を教え合い、学び合うといったいわゆる共同学習を始めたそうです。

 このことにより、生徒の自己決定力、自己選択力が高まり、「働きたい」という動機に繋がっていきます。

 市立高等支援学校2校体制における、教育内容や就労支援の充実等、生徒にとってどのような相乗効果を想定しているのか、伺います。

(1)キャリア教育の充実について
 キャリア教育は、将来の生き方や進路について考える力を養うとともに、自己肯定感や自己の実現に向けた意欲を育む上で、大変重要と認識している。

 今後は、小学校段階で行う体験的な活動を含めた高等学校までの系統的なキャリア教育をより一層充実させてまいりたい。
(2)学校司書配置の取組について
 子どもの読書は、感性を磨き、表現力を高め、創造力を豊かなものにするとともに、知的好奇心をふくらませ、学ぶ意欲を培うために重要であると認識。

 学校司書の配置は、子どもたちの読書に対する意欲を高めたり、図書を活用して自ら課題を解決したりする上で大変有効であり、今後全中学校への配置について検討してまいりたい。
(3)教育現場における多様な人材の活用について
 教育委員会としては、子ども一人一人の個性の伸長と人格の形成に向け、多様な人材を活用することが大変重要であると認識。

 特に今日、不登校やいじめ等、解決が困難な課題も多く、専門的な支援をより必要としている状況にある。

 今後とも、子どもの健やかな成長に向け、多様な人材の適正な配置について検討するとともに、各人材の専門性を有効に活用できるよう努めてまいりたい。
(4)オリンピック・パラリンピック教育について
 オリンピック・パラリンピックは、スポーツを通じて、民族や国、障がいの違いなどを超えて人々を結びつけるなど、国際親善や世界平和に大きな役割を果たしている。

 教育委員会としては、平和でよりよい世界の構築というオリンピックの意義を踏まえ、人間尊重の教育や国際理解教育について一層充実させるとともに、オリンピック・パラリンピックの理解促進を図ってまいる。
(5)市立高等支援学校の2校体制による教育内容と就労支援の充実について
 (仮称)南部高等支援学校においては、これまでの道内の学校には見られない普通科職業コース制を取り入れ、企業の求める作業内容を用意し、生徒の適性に応じて選択可能とする等、特色ある教育を実施。

 現在、札幌市内及び近郊には、6校の高等支援学校がある。さらに平成28年度に開校する道立の新設校では、新しいタイプの学科を新設すると聞いており、様々な職業教育が展開されることが予想される。

 これらの特色を共有することで、生徒の進路選択の幅が拡大し、就労支援に資するものと認識。