議会報告

平成27年第1回定例議会
代表質問 三浦 英三 議員
(清田区)

 2月17日札幌市議会本会議において公明党議員会を代表して三浦 英三 議員が代表質問を行いました。
 3期12年の評価と課題について、財政問題について、北海道の人口減少問題への対応について、札幌市の認知症施策について質問しました。
 以下、質問とそれに対する答弁の要旨を紹介します。
no1
3期12年の評価と課題について
 上田市政のこの12年間は、リーマンショックに伴う世界的な経済危機や、国政における2度の政権交代、そして何よりも福島第一原発事故を含む東日本大震災など、地域経済や自治体経営に与える影響の大きな出来事が、幾度となく起きた激動の時代であることを鑑みると、確かに難しい財政運営を強いられた時期であったと思います。

 しかし、今後は、人口減少・超高齢社会の到来に伴い、経済規模が縮小するとともに、脱原発依存社会を目指して、新たなエネルギー社会の構築に挑戦しなければならない、まさに時代の転換期を迎えます。このため、札幌市では、次の時代を見据えて、市民と共有する「札幌市まちづくり戦略ビジョン」を策定いたしました。

 これからは、人口減少・超高齢社会や公共施設の大量更新に対応するため、誰もが住み慣れた地域で安心して暮らせる「歩いて暮らせるまちづくり」を推進するとともに、札幌のみならず北海道全体の発展のため、北海道新幹線の札幌延伸や冬季オリンピック・パラリンピックの招致を見据えたまちづくりに取り組んでいくことが必要であり、「札幌市まちづくり戦略ビジョン」が目指す都市像の実現に向けて、積極的な投資をすべき時代がやってくると考えます。

 190万都市の舵取り役として、上田市長がこれまでの12年間で成し遂げてきた成果とこれからのまちづくりの課題を踏まえ、次の市長に特に託したいことは何か、お伺いします。
 これまで札幌市は、歴代市長の堅実な市政運営の下で発展してきたが、私が市長を務めたこの12年は、三位一体改革や世界的な金融危機の影響等により、地方財政が大変厳しい状況にあったと認識。

 そのような状況において、私は、地方債の大量発行による公共投資を続けていては自治体経営がもたないと判断し、市債残高の縮減や職員数の削減などの行財政改革に努めることで、持続可能な財政構造へと転換を図ることができたと考えている。

 次の市長には、これから人口減少・超高齢社会を迎える札幌だからこそ、未来を担う子どもたちに過度な負担を残さないよう、引き続き、規律ある財政運営に心掛けていただきたい。

 また、そのような中にあっても、誰もが住み慣れた地域で安心して暮らせるよう、歩いて暮らせるまちづくりに向けた「まちの再構築」を図ると共に、「冬季オリンピック・パラリンピックの招致」など、札幌のまちを次のステージへと押し上げるプロジェクトも推進してほしいと考えている。

 そして、札幌市まちづくり戦略ビジョンの都市像に掲げる「北海道の未来を創造し、世界が憧れるまち」と「互いに手を携え、心豊かにつながる共生のまち」を、市民一人一人の創造性とこれまで培ってきた市民力を結集して、実現してもらいたい。
no1
財政問題について
(1)骨格予算の規模について
 国の予算に呼応して、地方においても経済回復が実感できるような予算を編成することが期待されておりますが、札幌市においては市長選挙および市議会議員選挙を控えた骨格予算であることから、27年度の一般会計当初予算は、昨年度から1.4%減の8,722億円となっております。

 市長は提案説明において、「地域経済に影響が生じないよう、所要の建設事業費を計上するとともに、福祉施策や市民生活関連施策など市民生活に影響の大きい事業については、支障が生じないよう配慮した」としております。

 国が景気回復、経済成長に力強く取り組んでいるなか、骨格予算とはいえ、地域経済や市民生活への影響に考慮したことに関しては理解しております。

 ところで、市長は先の平成26年第4回定例市議会の提案説明において、「開催費などの経費は確かに少ない額ではない」としながら「行財政改革を実行してきた結果、現在の財政状況において、オリンピック・パラリンピック開催にかかる経費は、決して負担できないものではない」と述べられておりますが、今後の行財政改革について言及されなかったのがいささか残念であり、これまでの行財政改革は、あたかも今後の大規模投資のために行ってきたかのように、また、今までの姿勢を転換するかのように聞こえたところであります。

 こうした観点から今回の当初予算案を見ると、骨格予算であるにもかかわらず、予算規模としては史上2番目であり、地域経済や市民生活への影響を考慮したとはいえ、骨格予算としては規模が大きすぎるのではないか、と感じるところであります。

 27年度予算は骨格予算とはいえ、史上2番目の規模となっていますが、その要因は何か、お伺いします。
(2)肉付予算に向けた留保財源について
 市長は、提案説明の中で、「臨時財政対策債を含む広義の地方交付税については、1,415億円と見込んだが、当初予算には1,365億円を計上し、残余の50億円は肉付補正等の財源として留保」との説明をされています。

 前回の市長交代時、平成15年度骨格予算においては、180億円と今回の3倍の留保財源を用意しております。

 当初予算案は地域経済に影響が生じないよう考慮された予算とのことでありますが、景気回復への取組はもとより、地域づくりや安全安心な市民生活へのさらなる対応については、肉付予算で行うことになります。

 そのことから、新体制のもと新たな取組を行うための財源が50億円というのは、少なすぎるのではないかと懸念しております。

 肉付予算に向けた留保財源が少なく感じますが、その規模についてどのように考えているのか、お伺いします。
(1)骨格予算の規模について
 平成27年度の骨格予算は、地域経済や市民生活に支障のないよう十分に配慮するとともに、「札幌市まちづくり戦略ビジョン」に掲げる間断なく進める必要のある事業についても盛り込んだ。

 このうち、市民生活に密接に関連する扶助費は、一般会計の予算規模が市政史上最大となった平成26年度予算と比較しても更に伸びている。

 また、道路・街路事業などの社会基盤整備事業については、札幌が積雪寒冷地であることからの工期の制約や平準化に配慮して、前年度当初予算の概ね65%を計上した。

 このほか、市民交流複合施設を始めとした都心と拠点のまちづくりの推進の取組など、これまで検討や準備を重ねてきた事業が本格化することもあり、平成26年度予算に次いで、市政史上2番目の予算規模となったところ。
(2)肉付予算に向けた留保財源について
 骨格予算における留保財源は、平成23年度が30億円、平成19年度が20億円、平成15年度が180億円となっている。

 平成15年度は除雪費の多くを肉付予算で追加することとしていた(⑮肉付予算における除雪費の一般財源:108億円)ほか、当時と比較して義務的な経費である扶助費の額及び予算に占める割合も大幅に増加している。

 今回の予算では、50億円の財源を留保したことに加え、財政調整基金を支消せず、現行の行財政改革推進プランにおけるベンチマークである100億円を超える126億円を残しているところ。

 新市長のもとでは、これらの財源のほか、国庫支出金、市債などを活用することで、一定規模の肉付予算を編成し、様々な政策に対応することが可能と考えている。
no1
北海道の人口減少問題への対応について
(1)北海道全体の人口減少が札幌市に与える影響について
 昨年11月、北海道・札幌市行政懇談会、いわゆる道市懇談会が開催され、深刻化する北海道の人口減少問題に北海道と札幌市が連携して取り組むために、対応策を協議し、推進する場を設けることを、高橋知事と上田市長が合意いたしました。

 道市懇談会終了後の新聞報道では、「札幌市には道内人口の約3分の1が集中する一方、多くの大学卒業生らが就職などで道外に転出しており、札幌からの道外流出をいかに抑えるかも課題となっている」という指摘がなされていました。

 また、国においては、昨年9月、人口急減・超高齢化という我が国が直面する大きな課題に対し政府一体となって取り組み、各地域がそれぞれの特徴を活かした自律的で持続的な社会を創生できるよう、「まち・ひと・しごと創生本部」を設置し、昨年11月、地方創生を成し遂げるべく、「まち・ひと・しごと創生法」を制定いたしました。

 さらに、人口の現状と将来の姿などを提示する「長期ビジョン」と、今後5カ年の目標や施策などをまとめた「総合戦略」を策定したところであります。

 一方、札幌市においては、こうした国の動きを待つことなく、創成会議の試算結果発表前から既に、人口減少局面に間もなく突入することに危機感を持ちながら、これに対応したまちづくりの基本指針、「札幌市まちづくり戦略ビジョン」を策定したものと理解をしております。

 まさに、戦略ビジョンが訴える「道内連携」という札幌市の取組姿勢の原点がここにあると受け止めております。

 北海道においては、1997年をピークに既に人口が減少しており、それに起因する諸課題に対して様々な取組を進めてきたところですが、2040年までに道内約半数の市町村の人口が6割未満になると見込まれることなどから、改めて、人口減少問題への対応を道政の最重要課題と位置づけ、今年度内に、北海道における人口減少問題に対する取組指針を取りまとめる予定と伺っております。

 北海道全体の人口減少が札幌市にどのような影響を与えると考えているのか、まずは基本的な認識をお伺いします。
(2)北海道の人口減少における札幌市の取組の方向性について
 北海道全体の人口が減少する中にあって、札幌市が北海道と連携し、どのような方向性で取り組んでいくこととしているのか、お伺いします。
(3)北海道と札幌市の協議状況について
 道市懇談会後、北海道と札幌市とはどのような協議を進めているのか、その状況もお尋ねします。
(1)北海道全体の人口減少が札幌市に与える影響について
 例えば、札幌市の主力産業の一つである卸売業の年間商品販売額は、道内人口の減少に比例する形で、既に低下傾向を示すなど、地域消費型の経済構造となっている札幌にとって、道内人口の減少は、札幌の経済に深刻な影響を与えることが懸念されている。

 さらに、札幌の魅力は、豊かな自然や食などの北海道の魅力に支えられており、道内地域の衰退は、札幌のブランド力の低下にも直結する、極めて重大な問題だと認識。

 だからこそ、札幌市まちづくり戦略ビジョンに、「北海道の発展なくして札幌の発展はない」という考え方を明確にし、道内連携の取組を強力に推し進めているところ。
(2)北海道の人口減少における札幌市の取組の方向性について
 道内各地域の豊かな資源と札幌の都市機能を結び付けることで、新たな付加価値を創出するなど、地域経済の活性化に貢献してまいりたいと考えている。

 また、現在、道内から多くの若年層が道外に転出していることを踏まえ、今後、北海道の各地域で、いわゆる「人口ダム機能」が発揮されるよう、道内中核都市との連携を一層深めながら、北海道全体の人口流出を阻止する取組を進めてまいりたいと考えており、これらについては、昨年11月の道市懇談会でも高橋知事と認識を共有したところ。
(3)北海道と札幌市の協議状況について
 昨年の道市懇談会のあと直ちに、課長級の「北海道と札幌市による人口減少問題対策協議会」を設置し、その中で、民間企業を巻き込みながら、官民一体で道内連携を推進するための知恵を生み出す場の創設のほか、公的研究機関の誘致や、国際線直行便の誘致などについて、具体化に向けて検討を進めている。

 それらの結果については、新年度に策定する札幌版の「人口ビジョン」と、それを踏まえた「総合戦略」の中にしっかりと位置付けることで、北海道全体の人口減少の緩和に貢献してまいりたい。
no1
札幌市の認知症施策について
(1)札幌市の2025年の認知症高齢者の推計と認知症国家戦略の受け止めについて
 厚生労働省が先ごろまとめた推計では、日本全体の認知症高齢者数は10年後の2025年には、最大で730万人に達するとの推計値の発表がありました。この数は、65歳以上の高齢者の5人に1人という割合になります。

 認知症をいかに予防するか、また、認知症になっても安心して暮らしていくためにはどうしたらよいのか、こうした課題は日本に留まらず、先進各国の共通の課題でもあります。
 政府は、認知症の推計値を踏まえ、認知症施策を総合的に推進するための「国家戦略案」をまとめました。

 この「認知症施策総合戦略(新オレンジプラン)」の基本的な考え方には、「認知症の人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域で自分らしく暮らし続ける」ことと明記されており、また、「認知症の人を単に支えられる側と考えるのではなく、認知症の人が認知症とともに、よりよく生きていくことができるような環境整備」を、関係省庁が連携して取り組む事としております。

 今後10年間の国家戦略においては、認知症の人の視点に立って理解を深めること、適時・適切な医療・介護等を提供すること、65歳未満で発症する若年性認知症の施策を強化すること。さらに、認知症患者を含む高齢者にやさしい地域づくりも進め、徘徊で行方不明になる人の早期発見・保護のために地域での見守り体制を整備することや、詐欺などの消費者被害を防ぐための相談体制を設けることなども盛り込まれており、認知症の人にやさしい地域づくりが求められております。

 札幌市においては、2025年の認知症高齢者をどのように推計し、認知症国家戦略をどのように受け止めているのか、お伺いします。
(2)第6期介護保険事業計画の認知症施策の位置づけと取組について
 第6期介護保険事業計画には、認知症施策をどのように位置づけ、どのような取組を充実・強化していくつもりか、併せてお伺いします。
(1)札幌市の2025年の認知症高齢者の推計と認知症国家戦略の受け止めについて
 札幌市の認知症高齢者は、平成26年5月末で48,200人(65歳以上の高齢者の10人に1人)であるが、厚生労働省が従前から公表している方法で算出すると、2025年には、83,000人あまり(65歳以上の高齢者の7人に1人)と推計。

 国家戦略(新オレンジプラン)は、認知症は今や誰でも罹りうる疾患であり、予防、早期発見、治療のほか、見守りや居場所づくりなど、国全体で取り組むべき総合的な施策を示したものである。

 札幌市においても、この戦略は極めて重要であると受け止めており、この方針に基づいて、今後とも、認知症の人と家族の声に耳を傾けながら、認知症になっても安心・安全に暮らせる地域づくりを進めてまいりたい。
(2)第6期介護保険事業計画の認知症施策の位置づけと取組について
 札幌市の認知症施策は、3つの柱を掲げており、認知症の方と家族への支援体制の充実、市民理解の推進、医療・介護関係者の資質の向上とネットワークの構築について取り組んでいるところ。
 次期介護保険事業計画においては、これらを重点施策に位置付け、新規事業も実施していくこととしている。

 例えば、医療や介護サービスにつながっていない認知症の方を、医師などの専門職が訪問して支援する、認知症初期集中支援チームの立ち上げや、認知症の人と家族の居場所づくりや地域住民との相互理解の場となる認知症カフェの拡大に向けた取組等、地域住民や専門職、民間事業者など地域が一体となって取組を推進することを目指す。
no1
子ども・子育て支援新制度での子ども施策について
(1)待機児童対策の取組について
 急速な少子化の進行とともに、家庭・地域における子育て力の低下、子育てにおける孤立感・負担感の増加、児童虐待問題の深刻化、更には、多様化する保育ニーズへの対応、質の高い幼児期の学校教育・保育の提供、といった課題が残されているところであります。

 このような中で、平成27年4月からは「子ども・子育て支援新制度」がスタートしますが、この新制度は、地域や子ども・子育て家庭の状況に応じて、幼児期の教育・保育、地域の子ども・子育て支援を総合的に推進することを目指したものであります。

 新制度がスタートし、様々な保育サービスを充実させていく中にあっても、やはり、待機児童は速やかに解消しなければならない問題と考えます。これまで札幌市は待機児童の解消を喫緊の課題として取り組んできました。第3次新まちづくり計画においても、当初の整備予定が4,000名分であったところ、5,469名分を確保する予定で現在進められているところであります。

 新制度では、市民を対象としたアンケート調査を実施し、必要な保育サービスを把握したうえで、今後5年間における幼児期の学校教育や保育、地域子ども・子育て支援事業についての需給計画を策定することが市町村に求められており、札幌市においても、現在パブリックコメントを実施している「新・さっぽろ子ども未来プラン」において需給計画を策定しているところであります。

 現在策定している子ども・子育て支援事業計画の中においては、待機児童対策についてどのように取り組もうとしているのか、お伺いします。
(2)放課後児童健全育成事業について
 札幌市においては、放課後児童クラブの利用者は年々増加してきており、近年は多様な働き方や女性の社会進出を支援する動きが広まってきていることや、国においても女性の社会での活躍を推進しており、今後、ますますその必要性が高まっていくものと思われます。

 次代を担う人材育成のため、全ての児童が安全安心に過ごし、多様な体験・活動を行うことができるよう、国においては、放課後児童クラブの定員を平成31年度末までに約30万人分を整備することしております。

 また、基準条例は、放課後において留守家庭の児童が安全かつ衛生的な環境のなかで心身ともに健やかに育成されるための質を向上させるためのものであります。

 新制度や国の動きを踏まえ、今後、放課後児童健全育成事業についてどのように取り組んでいこうとしているのか、お伺いします。
(1)待機児童対策の取組について
 子ども・子育て支援事業計画は、今後、保育所等を利用したいという潜在ニーズも取り込んで需要を見込み、平成30年度当初までにその需要を満たすよう各年度の保育サービスの供給量を定めたもの。

 供給量の確保に当たっては、今後の就学前児童数の動向を踏まえ、幼稚園の認定こども園化を始めとした既存施設の活用を優先することなどを基本方針としたところ。

 新制度開始後は、各年度、計画にもとづき供給を図っていくが、計画策定時に想定していないニーズが発生するなど、保育サービスの供給量が不足する場合も起こり得るところ。

 こうした場合は、その要因を検証し、必要となる保育サービスの供給量を確保するなど、適切に対応していく。
(2)放課後児童健全育成事業について
 放課後児童クラブの利用者は年々増加しているが、ほぼ全ての小学校区での児童クラブの開設や、民間児童育成会への支援により、利用意向調査を踏まえた今後5年間の需要に対する供給量は確保している。

 しかしながら、既存の老朽化した児童会館等の再整備の必要性や、地域によっては利用児童が多く、過密化している放課後児童クラブがあるなどの課題もあるところ。

 今後は、小学校と併設した児童会館の再整備や、基準条例に基づく事業運営を推進するとともに、民間児童育成会も含めた放課後児童クラブのあり方について検討を進め、量の確保及び質の向上を図っていく。
no1
家庭ごみの収集について
(1)家庭ごみ収集業務の効率化について
 平成26年3月には、札幌市の一般廃棄物処理基本計画、いわゆる「スリムシティさっぽろ計画」の改定版が策定されました。

 この改定計画においては、家庭から出る廃棄ごみ量の減量目標を政令指定都市トップとなる1人1日当たり380グラムに設定するなど、高い目標を設定するとともに、市民に更なる努力を求める内容となっております。

 そして、この計画に基づく取組の成果として、今年度のごみ量は、過去最低であった平成22年度の1人1日当たり404グラムを下回るペースで推移するなど、更なるごみの減量に向けて大きく前進しているところであります。

 しかしながら、このことは、市民のごみ減量のための努力の積み重ねによる結果であり、我が会派は、これまでも、市民に新たな努力や負担を求めるのであれば、市も当然にして更なる清掃業務の効率化など、行政としての内部努力をすべきと主張をしてきました。

 平成26年度の行政評価による「指摘事項と改善・見直しの検討結果」では、家庭ごみ収集業務の民間委託を拡大して、平成30年度までに現在の直営車の台数を73台から48台まで段階的に削減し、直営の比率を現行の3割から2割まで引き下げるとの考えが示され、これによる平成27年度の見直し効果額は、約1億3千万円を見込んでいるとのことであります。

 家庭ごみ収集業務の効率化について、どのような考えの下に今回の判断に至ったのか、お伺いします。
(2)ごみステーション問題について
 市内のごみステーションの状況は、ごみパト隊が地域と相談し、連携をしながら重点的に改善を図っていることもあり、以前と比べると、全般的にかなり良くなってきていると感じているところであります。

 一方、きちんと管理されているように見えるごみステーションについても、ごみステーションの管理を特定の個人が担っていたり、除雪などを高齢の方が大変苦労されて行っているなど、そうした負担を軽減してほしいとのニーズは潜在的に多くあるものと考えております。

 こうした課題を解決するために、より負担の公平を図るため、ごみステーションの設置場所自体についても、利用者間で半年程度の輪番制としているところもあると聞いております。

 また、共同住宅には専用ごみステーションの新設をお願いしたり、歩道上のごみステーションを複数に分散することにより、地域一帯のごみステーションを小規模化する町内会も、出てきています。

 超高齢社会の到来を見据えると、ごみステーション管理体制について、無理なく継続できる仕組みを、それぞれの地域で構築していく必要があるのではないかと考えておりますが、福祉や防災など様々な課題を抱えた地域が、とりわけごみステーションの管理上の課題を取り上げて、自発的に解決していくのは、現実的には難しいと思うのであります。

 市は、今後、ごみステーション管理体制の充実に向けて、積極的に各地域を支援していくべきと考えますが、如何かお伺いします。
(1)家庭ごみ収集業務の効率化について
 家庭ごみ収集業務の効率化については、安定的かつ確実な収集体制の確保を前提に、これまでも検討を重ね、民間への委託を進めてきたところ。

 一方、近年多発する大規模災害に鑑みて、迅速に判断を行い、適切な初動対応が可能となる直営による一定の体制が必要であると、改めて認識しているところ。

 そこで、この度、他都市における事例や積雪寒冷地である札幌市の特性も踏まえ、非常時の市民生活の維持に最低限必要な体制として、ごみパト隊も収集業務にあたらせることとし、直営車を50台程度とする判断に至ったもの。
(2)ごみステーション問題について
 ごみステーションにおける不適正排出などの課題については、これまでも、地域の方々とごみパト隊が、連携して解決を図るなど、一定の成果をあげてきている。

 しかしながら、ご指摘のとおり、特定の方に管理の負担が偏るなどの課題も少なからず見受けられるところ。

 ごみステーション管理は、排出する市民一人ひとりがその責任を負うものであり、各自がその責任を果たすことによって、適正排出が保たれるもの。

 今後、ごみに関する様々な情報をお伝えするクリーンミーティングなど、地域との意見交換の場を積極的に活用して、市民一人ひとりがごみステーション管理を担うことについて、一層の理解を求めてまいりたい。

 あわせて、地域の実情に応じた、持続可能な管理の仕組みづくりがなされるよう、よりきめ細やかな支援をしてまいりたい。
no1
民間建築物の耐震化の促進について
(1)要緊急安全確認大規模建築物の所有者への働きかけについて
 地震国日本では「南海トラフの巨大地震」や「首都直下型地震」の発生も予測され、大地震はいつどこで起こってもおかしくない災害であります。札幌市においても、「札幌市地域防災計画」では、過去の大地震の痕跡などをもとに市直下を震源とする地震を想定し、最大震度7を予測しております。

 このような状況の中、平成25年11月に「建築物の耐震化の促進に関する法律」、いわゆる「耐震改修促進法」が改正されております。 

 この改正法では、不特定多数の方が利用する病院・店舗・ホテル等の建築物や、避難弱者が利用する学校・老人ホーム等の建築物等で、旧耐震基準で建築された一定の規模以上のものを、新たに「要緊急安全確認大規模建築物」として定めたところであります。

 「要緊急安全確認大規模建築物」の所有者には、耐震診断を行い、その結果を今年の12月31日までに札幌市に報告する義務が課されており、その耐震診断の結果は建築物の名称とともに公表されることとなっております。

 「要緊急安全確認大規模建築物」は、市内に約80施設あるとお聞きしていますが、耐震診断結果の報告は現在13件にとどまっていると伺っております。報告期限までにあと1年を切っている状況でこの数字は少ないと思われますが、公表に向けて建物の所有者に対しどのような働きかけを行っていくつもりか、お伺いします。
(2)耐震診断後の耐震改修について
 耐震改修は所有者の努力義務となっておりますが、耐震診断の結果、耐震性が低く耐震改修が必要であると判定されれば特にホテルや旅館、商業施設などは施設の性格上速やかな改修が望まれることとなります。しかし経営状況が厳しい所有者からは多額の改修費がとても出せないとの声が上がっており、耐震診断の結果が公表された後、耐震改修が進まなければ、風評被害等につながり、札幌の経済や観光にマイナスの影響を及ぼす恐れがあるのは明らかであります。

 2017年の冬季アジア大会の開催、2026年の冬季オリンピック・パラリンピック招致を表明している本市にとって、ホテルや旅館など「要緊急安全確認大規模建築物」の耐震改修は本市の観光産業にとっても重要な課題であると考えます。

 これらの状況を踏まえ、平成27年度予算案では「要緊急安全確認大規模建築物」の耐震設計と耐震改修工事に対する補助が新たに創設され、設計は7棟分3,500万円、工事は1棟分2億円の予算が計上されており、これまでに比べて支援策が拡充したことは評価するところであります。

① 来年度の補助事業の予算額
 来年度予算の「要緊急安全確認大規模建築物」の耐震改修に係る耐震設計7棟分3,500万円、耐震改修工事1棟分2億円は、来年度の補助事業の予算として不足はないのか、お伺いします。

② 耐震化を円滑に進めていくための対応
 「要緊急安全確認大規模建築物」の耐震化を円滑に進めていくために、市は今後どのような対応を考えているのか、併せてお伺いします。
(1)要緊急安全確認大規模建築物の所有者への働きかけについて
 要緊急安全確認大規模建築物の所有者に対しては、平成25年11月の法改正以降、文書や電話などで個別に連絡をとりながら耐震診断の実施を促してきたところ。

 現段階での報告件数は13件にとどまっているが、80施設のうち半数以上が耐震診断を実施済、または実施中であることを把握しており、これらは順次報告される見込み。

 残りの耐震診断未実施の所有者に対しては、建築士による技術的な相談窓口や補助制度の活用、中小企業向けの経営相談や融資制度の紹介など、期限内の報告に向けて早期に対応して頂けるよう、引き続き働きかけを行ってまいりたい。
(2)耐震診断後の耐震改修について
 1点目の来年度の補助事業の予算額について
要緊急安全確認大規模建築物の耐震改修については、所有者の資金計画や施設の休業時期等により流動的な部分もあるが、所有者からの聞き取りや建物の利用状況から工事規模や事業スケジュールなどを見極め、来年度の利用が見込まれる件数、額を計上したところ。

 2点目の耐震化を円滑に進めていくための対応について
ホテルや旅館、百貨店などは札幌市の観光、経済を支える施設であり、その耐震化は重要な課題であると認識。

 そのため、新たに創設する補助制度は、建替や複数年度にまたがる工事も補助対象に含めることなど、従来よりも活用しやすいものとなるよう検討してまいりたい。

 今後も相談等を通じて所有者の意向を十分に把握した上で、国に対しても補助事業の拡充を働きかけながら、より一層の支援に努め、耐震化の促進を図ってまいりたい。
no1
今後に向けた公共交通利用促進の取組について
 「札幌市交通事業経営計画」においては、人口減少や少子高齢化の進展といった人口構造の変化を意識し、エレベーターの増設やトイレの設備改良など、これからの時代に合ったお客さまサービス向上の取組を計画に盛り込んでおり、目指す乗車人員を達成しようという意気込みを強く感じるところであります。

 札幌市が1月20日に発表した昨年の人口動態統計によれば、すでに札幌市の全区で人口が自然減になったとのことでありますので、定住人口の増加が期待できない人口減少期においては、交流人口、すなわち札幌を訪れる人たちを対象にした利用促進策が必要ではないかと考えます。

 現在の円安を背景に、特にアジア方面からの外国人観光客は急激に増加しており、今後、ますます外国人を中心に観光客が増え続けるものと期待しております。

 国内外からの観光客の方々を一人でも多く地下鉄や路面電車に誘導することができれば、乗車人員を更に増やすことができるものと考えるところであります。

 「札幌市まちづくり戦略ビジョン」においても、外国人観光客の受入環境の向上がうたわれ、無線通信環境の充実や多言語対応の促進などが施策として掲げられておりますが、交通局においても、こうした情報化や国際化に対応した利用促進の取組を進めていくことが必要であります。

 最近は、ツアー用の貸切バスではなく、個人で行動する観光客も増えてきているようでありますが、それら観光客の多くは、スマートフォンなどの情報端末を活用して情報を収集しながら、観光を楽しんでいると聞いておりますので、移動の拠点である地下鉄駅に無料のWi-Fi(ワイ・ファイ)環境が整備されれば、交通情報や観光情報をインターネットから自由に取得することが可能となり、公共交通によってスムーズに市内の観光地を訪れることができます。

 2026年の冬季オリンピックに立候補することを表明しているのですから、今から、外国人観光客の受入環境の向上を図っていくことは必要であると思うのであります。

 観光客を対象にした利用促進について、移動中に交通情報などにスムーズにアクセスできる環境を、どのように整備していくお考えか、お伺いします。
 近い将来札幌市においても人口減少に転じることが予測されるなか、観光客を対象とした地下鉄等の利用促進策がますます重要になってきていると認識。

 交通局では、かねてより、外国人観光客へのサービスアップとして、駅の案内表示や、利用案内のパンフレット、ホームページなどについて、外国語表記を進めているところ。

 今後は、国内外の観光客に対し、より時代のニーズに合った情報環境の整備が必要と考えている。

 現在、大通駅の一部で試行中の公衆無線LANサービスを、27年度には、今回の補正予算でも盛り込まれている国の交付金を活用しながら、大通交流拠点周辺や、さっぽろ駅、すすきの駅を始めとした主要な駅に拡大していく予定。

 また、携帯情報端末向けのホームページも新たに構築する。
 今後も、観光客を始め札幌を訪れる方々のニーズを的確に捉え、より一層のサービスアップにより、利用促進を図っていきたい。
no1
これからの国際理解教育の在り方について
 平成25年度に札幌を訪れた外国人宿泊者数は105万5千人にのぼり、過去最高を更新しました。増加した要因として、円安や、新千歳空港国際線の新規就航・増便等が挙げられるそうですが、私も街を歩いていると、外国人観光客の姿を目にすることが増えたことを実感しております。

 また、2026年開催の冬季オリンピック・パラリンピックの開催地として、招致が実現すれば、札幌は、これからもますます国際観光都市として大きく羽ばたいていくものと思います。

 このような中、文部科学省は、2020年の東京オリンピック・パラリンピックを見据え、「グローバル化に対応した英語教育改革実施計画」を策定しました。

 岐阜市教育委員会では、小学校の英語教育の進め方について、民間企業と共同で市の文化や地理などに関する英語教材を作成し、使用するなどしており、加えて平成27年度からは、これに準拠した電子教科書を独自に作成し、教室に設置されている50インチモニターを用いた学習を全ての小学校で行うとのことです。このことからすると、私は札幌市でも国の計画から一歩踏み出し、より実践的な英語教育を先がけて展開する必要があると考えるのであります。

 私が外国語を学ぶ時に、大切にしたいと思うのは、その「心」であります。自分の国の伝統・文化に根ざした自分がいて、異なる文化をもつ人々を受容し、共生することのできる「心」を身に付けることであります。それをもとにするからこそ、我が街札幌を誇りとしながら、世界の方々へ素晴らしいおもてなしができる人に成長していけるのではないでしょうか。

 そうした意味で、国際観光都市を標榜する札幌市において、札幌市の将来を担う子どもたちに、英語教育や国際理解教育を通して、他者と積極的に関わることのできるコミュニケーション能力を身に付けさせることが必要と考えています。

 英語教育及び国際感覚を身に付ける国際理解教育について、今後どのように取り組んでいくのか、お伺いします。
 グローバル化の進展するこれからの社会においては、国際共通語となっている英語の必要性はますます高まっており、学校教育における実践的な英語教育の推進が重要と認識。

 そのため、今後は小学校においても英語教育の充実を積極的に図るとともに、これまで取り組んできた外国語指導助手、いわゆるALTを活用した指導をさらに進める。

 また、真の国際交流を実現するためには、言葉だけではなく、世界の多様な文化等を理解し、尊重することが重要であり、英語教育と併せて、国際理解教育の一層の充実に努める。
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2026年冬季オリンピック招致と街づくりについて
(1)競技施設の集約的配置について
 1972年の冬季札幌オリンピック開催時には、大会を契機に地下鉄南北線が開通し地下街が整備され、下水道が飛躍的に普及し、ビル街が沢山できました。また、札幌新道、道央自動車道、札樽自動車道など、市域の内外に及ぶ交通ネットワークが幅広く整備されました。

 市長は、昨年10月に「オリンピック開催に必要な経費とその負担」を示しながら市民理解を求めてきたところでありますが、その試算では、開会式などを行うメイン会場を札幌ドームに想定し、建て替えが必要な競技施設や選手村、メディアセンターなどは具体的な建設場所等は未定のままとなっております。

 これら関連施設の建設場所について、競技施設の一部には富良野やニセコなど道内連携も視野に入れているとの事でありますが、市内で確保すべき施設については、可能な限り札幌ドーム周辺に関連施設を配置していくことが、コンパクトな大会にしていくために望ましいと考えますが、いかがかお伺いします。
(2)オリンピック開催による街づくりについて
 札幌ドーム周辺、特に豊平区の東月寒から清田区の北野、清田地区にかけて未利用地や高度利用の余地のある土地が存在することが明らかになっています。そして、これらの地域には発展の余地があることを指摘し、このエリアを「スポーツ健康拠点」として位置づけ、札幌ドームを中核としてスポーツの感動とともに進化する街づくりを提案しております。

 具体的には、札幌ドームは年間300万人の利用者があり重要な集客資源となっていますが、現在は単体として存在し、その波及効果を存分に地域に還元しているとは言い難い状況にあると指摘されており、日本ハムファイターズ球団と連携協力して、健康づくりスタジアムやスポーツ医療なども含む複合型の商業施設や多世代交流型の集合住宅などを整備する「ファイターズタウン構想」を提案しております。

 こうした手法は、実際に広島市のマツダスタジアムや横浜市の横浜スタジアム周辺の街づくりに見られ、「見る」「体験する」「買う」「住まう」などの機能を集約する複合型エンタティメントの創出を目指しております。

 仮に、オリンピック開催が決定し、選手村やメディアセンターなどが札幌ドーム周辺から東月寒、清田区方面にかけて建設されるとすれば、ファイターズタウン構想はこれらの施設の跡利用問題を解決しながら地下鉄の清田区方面への延伸にも道を開くものとして、十分検討の価値があるものと思っているところであります。

 今後、招致に向けて、施設の跡利用も含む具体的な開催計画を策定する際には、プロ・スポーツ事業者と連携した民間活力の積極的な導入による地域の活性化を図るべきと考えますが、いかがかお伺いします。また、そのために国や道の敷地も含めた東月寒、北野、清田方面までの大胆な街づくり構想を進めるべきと思いますが、いかがかお伺いします。
(1)競技施設の集約的配置について
 オリンピック・パラリンピック開催に当たっては、施設の配置をコンパクトにすることもさることながら、経費をいかに抑制するかも重要と認識。

 競技施設や選手村、メディアセンターなどの関連施設は、選手や大会関係者の利便性への配慮等が求められる一方で、大会開催後の市民利用や後利用も見据えた整備計画とすることが必要。

 競技施設等の具体的な配置については、来年度に策定する開催概要計画に盛り込むこととなるため、その策定にあわせて検討することとしている。
(2)オリンピック開催による街づくりについて
 開催概要計画の策定に当たっては、競技施設等の後利用を検討する上で、プロスポーツの持つ集客力をいかすということも重要な観点の一つであると考えている。

 また、オリンピック・パラリンピックの招致は、札幌の新たなまちづくりの「起点」と捉えており、計画の策定にあわせて、様々な分野の意見を取り入れながら、将来の札幌のまちづくりについて検討していきたいと考えている。