議会報告

平成26年第3回定例議会
代表質問 谷沢俊一 議員
(白石区)

 9月30日札幌市議会本会議において公明党議員会を代表して谷沢 俊一 議員が代表質問を行いました。
 電気料金値上げ対策、人口減少社会への対応について、集中豪雨による土砂災害対策について、危険ドラッグ対策について質問しました。
 以下、質問とそれに対する答弁の要旨を紹介します。
no1
財政問題について
(1)平成25年度決算に対する認識について
 平成25年度決算の執行率を見てみると、歳入が94.3%、歳出が93.2%であり、昨年度と比較すると歳入は0.3ポイント上昇、歳出は横ばいという状況でありました。
  歳入決算額は前年度比0.9%増の8,517億円、歳出は前年度比0.6%増の8,420億円であり、歳入の伸びが大きかったため、大きな決算剰余が出たものと言えるのではないでしょうか。
 特に市税収入は前年から57億と大きく伸びており、政権交代後の連立政権が進めている経済施策、いわゆる「アベノミクス」の効果が表れているところではないかと考えているところであります。
 一方、地方交付税に関しては前年度と比較してマイナス89億円と大幅に下回ったものの、臨時財政対策債発行額との合計ではほぼ前年並みを確保できた状況となっているところであります。
 平成25年度決算における市税収入及び地方交付税についてどのように認識しているのかお伺いします。
(2)市税および交付税の来年度の動向について
 来年度は、社会保障と税の一体改革が本格実施され、社会保障関係経費において伸びが見込まれます。
  市長が今季限りでの引退を表明し、来年度以降、新市長のもとで市政を推進することになりますが、肉付予算で新たな施策を進めるためにも、歳入の確保がますます重要となるところであります。
 市税及び地方交付税の来年度の動向を、どのように考えているか見解をお伺いします。
(3)ミニ公募債の発行の充実について
 将来世代との負担の平準化を図るという観点から、市債を活用した資金調達も重要なものと考えるところであります。
 このような中、市民が直接利用するカーリング場や円山動物園のアジアゾーンの建設には、住民参加型市場公募債、いわゆるミニ公募債を活用したと聞いております。
 ミニ公募債については、ライラック債、スズラン債という親しみやすい名前がついていること、また、使途が明らかなことから、施設への愛着を深めることに繋がったり、さらに市債の購入を通じて資金を提供することによって、市政の推進に市民が直接参加する手段の一つとしても評価できるところであります。
 このような意義のあるミニ公募債の発行の充実について検討すべきと考えるがいかがか、お伺いします。
(1)平成25年度決算に対する認識について
 まず平成25年度の市税収入について、決算額は2,795億44百万円となった。これは、予算額に対して59億円、また、前年度決算額に対して57億円それぞれ上回るもの。
 この要因は、市たばこ税において、法人税率の引下げの影響による法人市民税の減収の補填として、道府県たばこ税の一部が市町村たばこ税に移譲されたこと。
 法人市民税において、法人税率引下げの影響があったものの、景気が緩やかに持ち直す中、企業収益の改善が見られたこと。
 固定資産税が、家屋の新増築等により増となったこと。
 また、収入率が、種々の納税対策の結果、前年度決算から0.9ポイント向上したことによるものと認識。
 次に地方交付税については、前年度と比較し8.5%減の963億円となったが、臨時財政対策債を含めた広義の地方交付税では、市税収入の増による減要素がある一方で、特に社会保障関係の基準財政需要額が増加したことにより、前年度と同程度の1,543億円を確保することができたもの。
 これにより、市税を含めた一般財源総額は十分に確保され、財政運営に支障はなかったものと認識。
(2)市税及び交付税の来年度の動向について
 まず来年度の市税の動向について、現在、景気は緩やかな回復がみられるものの、今後の経済状況には不透明な要素があるところ。
 また、消費税や法人実効税率等についての議論が行われており、その結果によっては、市税収入に影響を及ぼすほか、来年度は3年に1度の固定資産の評価替えによる影響等もあり、市税を取り巻く環境は楽観できる状況にはないと認識。
 次に地方交付税については、国が6月に公表した「経済財政運営と改革の基本方針2014」では、必要な地方の一般財源総額を確保するとしつつも、国の取組と基調を合わせた地方財政計画の見直しによる地方歳出の抑制についても言及するなど、現段階では地方交付税の見通しは不透明であるところ。
 今後の国の動向に注視しながら、必要に応じ、他都市とも連携して対応してまいりたい。
(3)ミニ公募債の発行の充実について
 ミニ公募債については、平成14年度から継続して発行しており、市民の方々にも定着してきているところ。
 また、個人の資金を市政に活かす機会の拡充は、札幌市債のご購入を通じて市政に参加していただくこととなり、また、札幌市債の安定的な販売にも資するものと認識。
 今年7月に発行したライラック債では、札幌国際芸術祭の開催も意識し、市民交流複合施設整備費と公園整備費に資金を充当するとともに、ご購入いただいた方に送る感謝カードでも国際芸術祭をPRしたところ。
 今後とも、金利水準や他の金融商品との競合など、金融市場の動向やニーズも把握しながら、より一層ご購入していただけるよう幅広く検討してまいりたい。
no1
原発再稼働と電気料金値上げ対策について
 北海道電力が、本年10月1日から個人部門で17.03%、法人部門において22.61%の値上げを申請しております。 北電は、値上げの最大の理由を、泊原子力発電所の再稼働の時期が大きくずれ込むことにあり、この間、火力発電所の燃料費や電力買い取り費用などが増高していること、また火力、水力発電所の経年劣化による管理費用の負担も経営を大きく圧迫していることなどを挙げております。
 当然、北電としても一層の経営努力が求められるのは当然であります。 3年半前の東日本大震災と福島第一原子力発電所の事故以来、日本の原子力発電所の全てが稼働を停止した状態が続いております。
 政府は、この4月に「エネルギー基本計画」を閣議決定し、「原発を重要なベースロード電源」と位置付け、原子力規制委員会の審査で安全が確認されれば、再稼働させることを明記しました。もちろん、将来的に「原発に依存しない社会・原発ゼロ社会」をめざすものであります。
 福島の事故後、火力発電が主力となっておりますが、二酸化炭素を大量に発生する高価な石油や天然ガス、石炭に頼らざるを得ず、福島事故後、僅か2年で体力を消耗した電力会社は値上げを申請することとなります。 原発の再稼働がなくても日本の経済が持続するのであれば、と多くの国民が願っているわけですが、今後どのような選択をすべきなのか、時間の経過とともに現実的な判断が求められてくると思うのであります。
 原発再稼働は、事故時の苛酷性から慎重の上にも慎重さが求められますが、一定の条件をクリアした場合に原発再稼働も選択肢の一つと考えるのか、あるいは経済的なリスクを負いながらの不安な生活も止むを得ないと考えるのか、ある意味では、文明史的な岐路に立たされているともいえるのであります。
(1)原発再稼働について
 原発再稼働に対するご見解をお聞かせください。
(2)北電の再値上げに対する対応について
 北電の再値上げが実施される場合には、市民生活と経済・産業活動等に対する支援策を講じるお考えがあるのか、お伺いします。
(1)原発再稼働について
 福島第一原発事故の徹底した原因究明が先決であり、考え得る全ての安全対策や、避難計画など十分な防災体制が整っていない状況何ら変わっていないところ。
 3年前の巨大災害を経て、地震に関係する新たな知見が得られつつある最近の状況などを勘案すると、再稼働を議論する段階にはないとの思いを改めて強くしたところ。
(2)北電の再値上げに対する対応について
 今回の電気料金再値上げについては、その予定されている値上げ幅が大幅であり、また昨年に引き続きの値上げであることから、市民生活や産業活動等へ多大な影響を及ぼすものと認識。
 市民に対しては、値上げの影響を少しでも抑えられるよう、これまで取り組んできた消費電力量見える化事業など節電を支援する事業や、効果的な節電方法の情報発信などを引き続き行ってまいりたい。
 産業活動等に対しては、北海道が8月に実施した北電の再値上げに関する企業向けの調査結果を踏まえ、市内企業や業界団体を対象に、省エネや節電に関する技術的ノウハウを提供する講習会を開催するほか、電力値上げに関する経営相談窓口を設置し、本市が実施している低利な融資制度等の周知も行う予定。
no1
人口減少社会への対応について
(1)人口の動きの特徴と対応について
 札幌市においても、急激に進む少子高齢社会が、地域にどのような影響を与えるのかが具体的なイメージとして提示され、大きな衝撃を与えたところであります。
 改めて、札幌市が昨年策定したまちづくり戦略ビジョンをみてみますと、既に今後の人口減少社会の到来を織り込んだ上で、まちづくりの方向性を示しており、今後は、このまちづくり戦略ビジョン等に基づき、人口減少社会の到来を前提としたまちづくりを進めつつ、人口減少そのものを抑止していくことが、札幌の社会・経済の活力を高めていく上では欠かせないものと考えております。
 札幌市の人口の動きについて、その特徴はどのようなものか、端的にお答えください。 また、こうした人口の動きに対し、札幌市としてどのように対応していくのか改めて、お伺いします。
(2)北海道の人口減少が札幌市に与える影響と札幌市が果たすべき役割について
 道全体の人口に占める札幌市の人口の割合は1/3以上と極めて高く、人口減少という問題に対しての札幌市の対応と道の対応は、密接不可分のものであります。
 人口減少対策は札幌市にとっても喫緊の課題であり、結婚、子育て、住まい、教育、産業・雇用、まちづくりなどの施策を総動員する必要があります。
 北海道の人口減少が札幌市に与える影響についての課題認識と札幌市が果たすべき役割について、市長のお考えを、お伺いします。
(1)人口の動きの特徴と対応について
 我が国全体の人口が既に減少基調にある中で、札幌市においては、出生率が全国に比べて低水準にあるものの、道内からの人口流入により、現在でも人口の増加が続いていることが特徴であると認識。
 しかしながら、道内からの人口流入の減少により、今後は札幌市においても人口減少が見込まれることから、まちづくり戦略ビジョンでは、出生率の向上に向けた子どもを生み育てやすい環境の整備や、若年層の雇用を生み出す企業誘致の推進などを重点施策として掲げたところ。
 今後とも、国の動向などを踏まえながら、これらの人口減少を緩和する様々な施策を全庁的に進めてまいりたい。
(2)北海道の人口減少が札幌市に与える影響と札幌市が果たすべき役割について
 札幌の魅力や経済活動は、北海道の人々や自然、資源などに支えられており、人口減少による北海道の活力の低下は、札幌の発展にも影響を及ぼす重要な課題であると認識。
 そこで、「北海道の発展なくして札幌の発展はない」との考え方に基づき、道内各地の豊かな資源と札幌の都市機能を結びつけながら、札幌・北海道の一体的な発展を目指す道内連携の取組を積極的に展開しているところ。
 具体的には、札幌の都市機能や活用事例を幅広く紹介する「札幌☆取扱説明書」の道内全市町村への配布や、札幌市民による道内周遊の促進に取り組んでおり、今後とも、北海道の中心都市として、道内経済循環の促進や北海道の魅力発信などの役割を果たすことで、道内各地の活性化に貢献してまいりたい。
no1
さっぽろ冬季オリンピック・パラリンピックの招致について
 先日、市長から、札幌で冬季オリンピック・パラリンピックを開催する場合の費用や効果についての調査結果の発表がありました。それによると、開催に要する費用は4,045億円であり、そのうち札幌市の負担額715億円に対し、経済効果は市内で見ると約5,400億円、さらに約44,000人の雇用を生むとのことでありました。
 今回の結果には、開催計画が未確定なため、道路整備などのインフラは含まれていないとのことでありますが、パラリンピックが開催される以上、バリアフリー化を進めるために様々な整備が行われることとなるので経済的な効果はさらに大きくなると思われます。
 1972年の札幌冬季オリンピックの開催時には、北海道で初となる高速道路が整備され、地下鉄南北線の開業や地下街の整備も行われ、札幌のまち全体が大きく変貌をとげ、オリンピックがまちに残した財産は、今もなお重要な役割を果たしているところであります。
(1)市民意見を聴くにあたっての考えについて
 今まさに冬季オリンピック・パラリンピックの招致に関して、1万人市民アンケートを実施しようとしているところでありますが、市民の意見を聴くにあたって市長は、オリンピック・パラリンピックを招致することについてどのような考えをお持ちなのか、お伺いします。
(2)大会開催に係る見解について
 今回の調査結果を受けて、冬季オリンピック・パラリンピックを開催すべきと考えますが、この点について市長の見解を、お伺いします。
(1)市民意見を聴くにあたっての考えについて
 世界最大の冬のスポーツイベントを開催することは、まちににぎわいを生み出し、再び世界に札幌の魅力を発信する絶好の機会となるものと認識。
 さらに、パラリンピックの開催を契機に、障がい者への理解が一層進み、将来の超高齢社会を見据え、年齢や障がいの有無にかかわらず、全ての人が安心で快適に過ごせるバリアフリーのまちづくりが加速するといった効果も期待できる。
 大会開催により、世界における冬季スポーツの牽引都市として、北海道、さらには日本の経済にも大きな効果をもたらすことができるものと考えており、そのためには、国や北海道、企業などの力を結集することが不可欠であるとともに、何より、市民の熱意が必要。
(2)大会開催に係る見解について
 1972年2月、札幌のまちはアジア初の冬季オリンピック開催という歓びと興奮に包まれた。
 あのすばらしい記憶から40年あまりの時を経た今、市民の理解が得られるならば、再び、札幌にオリンピックを招致し、開催都市としての誇りや競技施設などの新しい財産を、未来の子どもたちに残したいと考えている。
no1
集中豪雨による土砂災害対策について
(1)今回の大雨への対応の検証等について
① 今回の大雨への対応の検証
 札幌市では33年ぶりに避難勧告を発令されました。
 こうした中、午前5時35分に、北海道で初となる大雨の特別警報が石狩地方に発表され、気象台は、「重大な危険が差し迫った異常事態」で「土砂崩れや浸水による重大な災害が既に発生していてもおかしくない状況」であるとして、身を守るために最善を尽くすよう呼びかけました。
 このような状況下での避難勧告の発令や避難場所の開設であり、いろいろと課題があったものの、市長は今回の経験に対して、今後の防災に役立てるための分析をしたいと述べています。
市として、今後、今回の大雨への対応の検証をどのように行うつもりなのか、お伺いします。

② 土砂災害の危険性の周知
 一連の検証作業では、この避難勧告の対象人数の多さに対し、避難所へ行った人が非常に少なかった原因が何であるかの分析も行うべきであります。
土砂災害の危険性の周知をさらに強化していくべきと考えますが、いかがかお伺いします。
(2)土砂災害警戒区域の指定について
札幌市の警戒区域の指定率は9月現在37%であり、北海道の指定率13%よりは上回っているものの、全国平均の68%と比べると、やはり指定が進んでいないと言えます。

① 札幌市において土砂災害警戒区域の指定が進んでいない要因に対する認識
 札幌市において土砂災害警戒区域の指定が進んでいない要因をどのように認識しているのかお伺いします。

② 土砂災害警戒区域指定を早めるため、札幌市としてすべきこと
 今後土砂災害警戒区域の指定を早めるため、札幌市としてするべきことは何か、お伺いします。
(1)今回の大雨への対応の検証等について
 1点目の今回の大雨への対応の検証について 今回の大雨への対応においては、さまざまな課題があると認識しており、まず、危機管理対策室をはじめ庁内各局区に対し、当日の対応状況の精査を指示しているところ。
 また、市民の皆様からもさまざまな意見を頂いているところであるが、避難行動の実態を把握するうえでも、広く市民の皆様に、当日の行動、課題等について調査を行う予定。
 今後、これらの調査結果を踏まえ検証を進める予定であり、有識者から助言をいただきながら、課題の抽出及び対策の検討を行い、防災体制の強化に活かしてまいりたい。
 2点目の土砂災害の危険性の周知について 本年8月の広島市や礼文町の災害、そして、このたびの札幌市における特別警報が発表されるほどの大雨への対応を踏まえ、土砂災害の危険性周知の取組を今まで以上に進めていく必要があると考えている。
 これまで、土砂災害ハザードマップの配布や防災訓練、地域説明会の開催など、土砂災害の危険性を周知する取組を行ってきたが、今後は広報さっぽろで特集を組むことや、ホームページの充実、さらには地域への説明機会を増やすなど、より一層の土砂災害の危険性の周知に取組んでまいりたい。
(2)土砂災害警戒区域の指定について
 1点目の札幌市において土砂災害警戒区域の指定が進んでいない要因に対する認識について 土砂災害警戒区域の指定にあたっては、北海道の基礎調査が終了した地域から、順次住民説明会を開催しているところ。
 説明会やその後の意見徴収では、地価の低下の懸念のほか多くのご質問やご意見が寄せられるが、最終的にはご理解をいただき、順調に区域指定されてきたところ。  したがって、土砂災害警戒区域の指定が進まないのは、多大な費用を要する北海道の基礎調査の進捗状況によるものと認識。
 2点目の土砂災害警戒区域の指定を早めるため、札幌市としてすべきことについて 北海道の基礎調査を早急に進めることが必要と考え、毎年要望しているところ。
 現在、国において検討されている土砂災害防止法の改正により、基礎調査の財源が拡充され、区域指定が促進される環境が整うことを期待しているところ。
 この度の第3回定例道議会において、知事が未調査個所の解消に向け、基礎調査を積極的に進め、早期の区域指定に取り組みたいと意欲を示したところ。
 札幌市としては、この機を捉え北海道に対して基礎調査を早めるよう強く要望してまいりたい。
no1
国土強靭化計画等について
(1)国土強靭化に対する基本的認識と札幌市の取組状況について
「国土強靱化基本計画」は、大地震等の発生の度に甚大な被害を受け、その都度、長期間をかけて復旧・復興を図るといった「事後対策」の繰り返しを避け、機能不全に陥らない経済社会システムを平時から確保し、大規模自然災害等に対する備えを行っていくものであります。
 最近の例では、広島市や礼文町での土砂災害のように、各地で集中豪雨などの異常気象に伴う災害も多数発生しており、国土強靱化が基本理念とする「事前防災」「減災」の必要性は高まるばかりです。
 一方、「国土強靱化基本法」では、地方公共団体は、国が策定した「国土強靱化基本計画」との調和を図りながら「国土強靱化地域計画」を策定できることになっています。
 この地域計画には、地域特有の自然災害への対応も盛り込むことができるなど、より地域の実態にあった計画を策定することができます。
 今、国・地方公共団体を挙げて進められようとしている国土強靱化の取組について、札幌市の基本的な認識を、お伺いします。
また、地域計画のモデル団体に選定された北海道とは十分に連携を図っていくべきと考えますが、国土強靱化に向けた札幌市の取組状況についても、併せてお伺いします。
(2)地元建設業界の現状認識と公共投資の中長期的見通しについて
 国土強靱化は、「人命の保護」や「社会機能の維持」などを基本方針とすると共に、その推進による投資の拡大は、国の成長戦略にも寄与するものとされています。
 しかし、国土強靱化の取組を担っていただく地元建設業界は、この状況が本当に続くのかに不安を感じ、新規雇用や新たな建設機材の購入などに踏み出せない状況にあると聞いております。
 請負業としての建設業は、自ら市場で需要を創出していくことが難しく、工事の需要があって初めて生産活動ができるという、工事の発注に依存せざるを得ない受け身の産業としての宿命があります。
 建設業は、地域に密着しながらその特性を活かし、また弱点を克服して地域社会の基盤をつくりあげてきた地域づくり産業ともいえます。ところで、この4月には、今後、更新需要を迎える公共施設等の計画的な修繕や長寿命化など、長期的視点に立った老朽化対策の推進のために「公共施設等総合管理計画」を策定するよう、総務省から通知があったところです。
 この計画が策定されますと、国土強靱化の取組と合わせて、公共投資に一定の見通しが立ち、地元建設業界の不安も払拭されることが期待され、札幌市が公共投資の中期展望を示すことは、老朽化の進む都市基盤の維持保全や更新需要を支えていくとともに、業界の体制強化にも繋がり、ビジョンに掲げる安全・安心な市民生活を実現していくものと考えます。
 これまで地域を守り支えてきた地元建設業界の今日の現状について、どのように認識しているか、お伺いします。また、公共投資の中長期的な見通しについて、市長のお考えをお伺いします。
(1)国土強靱化に対する基本的認識と札幌市の取組状況について
 昨年度策定した「まちづくり戦略ビジョン」では、都市基盤の計画的な維持・保全や災害に強い安全・安心な都市の構築に加えて、経済を支える交通ネットワークの強化、更には、エネルギーネットワークの構築により、持続可能な札幌型の集約連携都市への再構築を進めることとしている。
 この度の国が推進する国土強靱化の取組は、従来の「防災」の範囲を超え、経済社会活動を安全に営むことができる地域づくりを通して、地域の経済成長にも繋げようとするものであり、札幌市の目指すまちづくりの考え方と方向性が一致していることから、札幌市としても積極的に取組を進めていくべきものと認識。
 次に、札幌市の取組状況についてであるが、国土強靱化に資するバックアップ拠点の形成やエネルギーネットワークの構築、更には、事前防災・減災の取組などについて、今年度、国への要望活動を行ったところである。
 この札幌市の取組については、随時意見交換を行いながら北海道が策定する地域計画への反映を検討していただいており、その策定状況を見据えながら、札幌市における地域計画のあり方を現在並行して検討しているところ。
(2)地元建設業界の現状認識と公共投資の中長期的見通しについて
 今後、老朽化が急速に進む都市基盤の更新対応や、冬の暮らしに欠かすことのできない除排雪作業など、安全・安心な市民生活を支えていくうえで、地元建設業界の役割はますます重要となる。
 しかし、公共投資が上向きになりつつある現在でも、「中長期的な視点での事業の見通しがない中では、人材確保に踏み出せない」といった声も伺っており、公共投資の先行きを懸念している状況にあるものと認識。
 次に、公共投資の中長期的見通しについてである。 今後、市有建築物やインフラなどの更新時期が集中的に訪れることから、これまで、計画的な道路・橋梁の修繕や市有建築物の長寿命化などの取組を進めてきたところである。
 また、現在、公共施設の効果的・効率的な配置や総量のあり方について30年先を見据えた「市有建築物配置基本方針」の策定などに取り組んでおり、今後迎える更新需要のピークを平準化するなど、中長期的視点をもって、保全や再構築を計画的に進めていく。
 こうした取組が、地域を守り支えてきた地元建設業界の体制強化にも繋がっていくものと考えている。
no1
地域包括ケアシステムの構築に向けて
地域包括ケアシステムの構築に向けて
 政府は、社会保障と税の一体改革により消費税の引き上げを行い、この財源を活用した施策を進めることとしております。
 元気な高齢者はできるだけ健康を維持し、介護が必要になっても地域で暮らし続けることができるよう、公的サービスに加えて自助や互助による地域の支え合いの体制を強化するなど、医療・介護・予防・生活支援・住まいの一体的な提供を可能とする「地域包括ケアシステム」の構築を目指しております。
 札幌市においても高齢化の進展は避けられず、先の「札幌市まちづくり戦略ビジョン」において公表された人口推計によれば、平成27年をピークに総人口は減少に転じる一方、高齢者人口は増え続け、加えて、2025年(平成37年)にはおおむね8世帯に1世帯が高齢単身世帯になると推計されております。
 高齢者の社会的孤立を防止し、要介護者や認知症の人が病気を隠さず安心して暮らしていくためには、医療・介護・福祉サービスの基盤整備はもちろんのこと、一般住民の中にも理解者と協力者を増やし、地域の絆で高齢者を支える体制の整備が重要と考えます。
 厚生労働省では、平成24年9月に「認知症施策推進5か年計画(いわゆるオレンジプラン)」を公表し、各市町村が主体となって施策を推進することとしております。
 札幌市においても現在の事業計画の中で認知症に関するさまざまな施策を進めていると認識しております。
 国のオレンジプラン5か年計画の2年目にあたる今年、介護保険制度の改正を受けて、札幌市の地域包括ケアシステム構築に向けた認知症施策の充実と今後の方向性をどのようにお考えか、市長の見解をお伺いします。
地域包括ケアシステムの構築に向けて
 札幌市の高齢者人口は、平成26年4月現在約43万人、そのうち認知症高齢者は約4万5千人であり、団塊の世代が75歳以上になる10年後には、現時点での推計では、認知症高齢者は約8万人になると見込んでいる。
 札幌市の認知症施策については、早期発見・早期支援に向け、「認知症に関する市民理解の推進」、「認知症の方と家族への支援体制の整備」、「医師や介護職員等の資質向上とネットワークの構築」を3つの柱に掲げ事業を実施してきたところ。
 今後とも、医療・介護従事者の資質向上のための研修や連携強化、認知症サポーター養成講座などを一層充実強化するとともに、新たな取組についても検討を行っていく。
 具体的には、このたびの介護保険制度改正で認知症施策の充実に位置付けられた、「初期集中支援チーム」による早期支援の取組や、認知症の人を理解し支援するための市民交流の場づくりについて検討するなど、認知症になっても安心して暮らせる地域づくりのための施策を推進してまいりたい。
no1
教育問題について
(1)学校施設の耐震化について
 学校は、地震などの災害発生時には、地域住民の応急的な避難場所としての役割を果たす重要な施設となります。
 札幌市では、これまで計画的に学校の耐震化に取り組んでいるところであり、今年度、26校の吊り天井などの落下防止対策が予算化されているが、いまだに耐震性が確保されていない学校施設が存在するのが現状であります。
 地震発生時には、子どもたちの命を守るとともに、地域住民の避難場所としての機能を確保するためには、学校施設の耐震性能を向上させることが急務であります。

① 構造体の耐震化及び吊り天井の落下防止対策
 構造体の耐震化及び屋内運動場などの吊り天井の落下防止対策について、今後の見通しをお伺いします。
② 教室の窓ガラスの飛散防止
 子どもたちの安心安全を確保するためには、屋内運動場や玄関だけではなく、教室の窓ガラスの飛散防止も必要だと考えますが、 いかがかお伺いします。
(2)学校給食における食物アレルギー対応について
 近年、特定の食物により、アレルギー反応を起こす児童生徒が増加傾向にあります。
 札幌市教育委員会においては、学校給食の対応では、すでに「学校給食における食物アレルギー対応の手引き」等を作成し、食物アレルギーのある児童生徒の実態把握から給食提供までの流れなどが示されております。
 また、昨年度は、エピペンの使用方法を実際に学ぶ全校対象の研修会を行うなど学校におけるアレルギー対応の知識等の普及・啓発に努めております。
 このたび文部科学省では、「今後の学校給食における食物アレルギー対応について」を通知し、平成20年に公益財団法人日本学校保健会が発行した「学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドライン」に基づく対応の徹底により、今後さらに施策の充実に取り組むこととされております。

① 「学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドライン」に基づく対応の徹底のポイント
 今回の通知では「学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドライン」に基づく対応の徹底とありますが、札幌市の学校給食での食物アレルギー対応では何がポイントとなるのか、お伺いします。
② 今後の学校給食における食物アレルギー対応の充実
 札幌市では、この通知を受けて、学校給食における食物アレルギー対応について今後どのような充実が図られるのか、お伺いします。
(3)危険ドラッグ対策について
 危険ドラッグは、極めて危険な薬物であるにもかかわらず、安易に使用し、急性中毒や精神異常、強い依存症状が現れたり、交通事故などにより他人へ危害を加えた事例が後を絶たず、大きな社会問題となっております。
 これほど急激に増加した要因としては、ハーブ、アロマオイルなど、あたかも安全であるかのような呼称で販売されていること、スマートフォンの普及などによりインターネット販売で簡単に購入できることなどが挙げられています。
 麻薬や覚せい剤など明らかな違法薬物と違って、危険ドラッグは罰則対象の指定薬物を拡大しても、化学構造をわずかに変えて規制を逃れたドラッグが次々に販売されるという「いたちごっこ」が続いており、その対策の困難さも指摘されております。
 札幌市においても、道警、北海道と連携しながら対策を強化するとともに、危険ドラッグの危険性を広く市民に周知する必要があります。
 特に、使用者は、比較的若い層に多いことから、学校における取り組みが大切と考えます。

① 学校における危険な薬物の乱用防止の指導
 これまで危険な薬物の乱用防止について、どのように指導を行ってきたのか、お伺いします。
② 危険ドラッグの危険性の周知
 薬物汚染とまで言われる今日の深刻な状況を踏まえ、児童生徒及び保護者に対して、その危険性等を周知するなど更なる取り組みが必要と考えますが、いかがかお伺いします。
(1)学校施設の耐震化について
1点目の構造体の耐震化及び吊り天井の落下防止対策について 地震などの災害時における子どもたちの安全確保は最優先に取り組む必要があり、学校施設の耐震化を積極的に進めているところ。
 今後の札幌市の小・中学校の構造体の耐震化については、26年度に31校、27年度に16校の耐震化が完了する予定であり、耐震化率は96.5%となる見込み。
 この結果、老朽化対策も考慮し、建替による耐震化を予定している15校が残るが、これらについても、できる限り早急に耐震化を図ってまいりたい。
 屋内運動場等の吊り天井の落下防止対策については、80棟のうち、建替事業に合わせて実施する予定の4棟を除き、27年度までに対策を完了したいと考えている。
 2点目の教室の窓ガラスの飛散防止について 学校施設は子どもたちの活動の場であることから、災害時における安全性を確保することは重要と認識。
 このため、教室の窓ガラスの飛散防止のみならず、家具の転倒防止など、被害の影響度を考慮し、優先度が高いものから対策を講じてまいりたい。
(2)学校給食における食物アレルギー対応について
 1点目の「学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドライン」 に基づく対応の徹底のポイントについて 札幌市の学校給食における食物アレルギー対応は、この「ガイドラ イン」を踏まえ、札幌市の実態を考慮して作成した「手引き」に基 づき、実施している。
 その中で、今回、特に徹底を図るポイントは、誤配・誤食といった事故を防止するために、関係する教職員が個々の児童生徒の対応内容について、正確に情報共有を図ることである。
 2点目の今後の学校給食における食物アレルギー対応の充実について 各学校においては、今申し上げました、情報共有の強化を図るため、関係する教職員が一同に会し、食物アレルギーのある児童生徒の個別の対応を検討する「食物アレルギー対応委員会」を校内組織として明確に位置づけ、十分機能させていくことが重要。
 教育委員会としては、そのことの徹底を図るため、必要事項を盛り込んで「手引き」を改訂し、研修会等あらゆる機会を捉えて関係者へ働きかけていく所存。
(3)危険ドラッグ対策について
 1点目の学校における危険な薬物の乱用防止の指導について 各学校においては、保健体育科の学習の他、特別活動等の時間を通して、文部科学省作成の啓発教材などを活用したり、警察等と連携し講師を招いたりして、薬物が及ぼす害について学習を進めている。
 特に、市立高等学校においては、8校すべてで薬物乱用防止教室を開催するなど、危険な薬物の乱用防止について指導している。
 また、教育委員会としては、毎年、教員研修や通知などを通して、学校が家庭と連携を深めながら、危険な薬物の乱用防止に向けて指導を徹底できるよう努めているところ。
 2点目の危険ドラッグの危険性の周知について 合法ドラッグや合法ハーブなどと称して販売されるものも含め、危険ドラッグは、人体に大きな影響を与える危険な薬物であることを、警察や薬剤師会等の関係機関と一層連携し、児童生徒・保護者へ周知徹底してまいりたい。