議会報告

平成25年第2回定例議会
代表質問 國安 政典 議員
(北区)

6月5日札幌市議会本会議において公明党議員会を代表して 國安政典 議員が代表質問を行いました。
まちづくり戦略ビジョンについて、経済・雇用・観光振興策について、バックアップ拠点への取り組みについて質問しました。
以下、質問とそれに対する答弁の要旨を紹介します。
no1
まちづくり戦略ビジョンについて
(1) 市職員の育成や行政組織のあり方について

まちづくり戦略ビジョン<戦略編>については、その内容がおおむね見えてきたところであります。特に、今回、まさにパラダイムの転換に当たって策定する計画ということで、例えばSWOT分析などを行いながら、札幌の強みや弱み、時代背景などを踏まえた上で市に求められることを書き込んだという、これまでの長期総合計画にはない理論的な策定手法をとったことについては、我が会派としても一定の評価をしているところであります。こうした計画において最も重要なことは、実効性をどのように確保しながら実現に向けて全庁的に活動していくか、いかに絵に描いた餅に終わらせないかということであります。

もちろん、現在の戦略編(案)の中でも、まちづくり戦略ビジョンの実効性を高めるための取り組みが記載されております。例えば、戦略の方向性に沿って中期実施計画や行財政運営の計画を策定し、個別計画の策定や見直しも行いながら具体的な取り組みを進めていくこと、また、成果指標やロードマップを設定するなどによってわかりやすい進管理に努めること、さらに、適宜、中間点検や評価を実施し、必要に応じて戦略の見直しを行うことなどが掲げられております。

しかし、そうした展開に当たっての視点に加え、なお重要なことは、行政組織を支える職員の育成、そして、施策の展開を図りやすい組織体制の構築に向けた取り組みであります。

戦略編には、特に、専門的な知識や能力を持った職員が力を結集し、集中的に取り組むべきテーマが多数示されております。例えば、国際関係の取り組みなどはその典型例と言えます。戦略編でも、人口減少社会の到来に伴う経済規模縮小への懸念を背景として、国際戦略を積極的に展開する旨が随所で語られています。そうした戦略を進めるには、国際的な感性や語学力のみならず、幅広い視野と知識、スキルが不可欠であります。

また、地域医療やエネルギー施策など、専門性の高い職員の育成も必要であり、技術職の職員数も減少傾向にある中、市役所としての技術水準の維持を図ることも大切であります。さらに、組織体制の面では、縦割り組織の弱点を克服していくことが必要であります。これまで、ことあるごとに縦割り組織の弊害に対する批判がありました。そうした中で戦略編の実現を図るには、まず、市役所組織にこそ、パラダイムの転換が求められていると言えるのではないでしょうか。例えば、空き家の問題や、環境技術の輸出などを展開していくためには、組織を超えた横断的な取り組みが必要であります。

そこで、質問でありますが、まちづくり戦略ビジョン推進のため、職員の能力の向上について、市長はいかに考えているのか、また、柔軟な組織体制の構築についてどのように考えておられるのか、あわせて伺います。

(2) まちづくり戦略ビジョンについて(市民参加という観点から)

まちづくり戦略ビジョンの策定に当たって、市長は、市民と共有できるビジョンということを第一に掲げ、策定作業を進めてこられました。その目玉となったのが、将来の札幌を考える市民会議を初めとした各種の市民参加であります。また、ワールドカフェといった新しい話し合いの方法を採用することで、従来、こうしたまちづくり関係のイベントへの参加に必ずしも積極的ではなかった若い世代などから、多くの意見を聞き取ったことは大きな成果であると思います。

しかし、こうした市民参加のイベント等は、そのほとんどが平成23年度中に開催されており、審議会において戦略編を集中的に議論していた平成24年度の秋以降にはほとんど開催されておりません。もちろん、戦略編は行政が取り組むことを主に示したものであることは理解しつつも、その中身は市民の暮らしに直結してくるものであります。

そこで、質問です。今後、戦略編策定に向けて、市民参加をどのように行っていこうとされているのか、伺います。

(1) 市職員の育成や行政組織のあり方について

職員の能力向上と柔軟な組織体制の構築ということでのご質問でございますが、この戦略ビジョンに盛り込んだ、今後見込まれるさまざまな問題に迅速かつ的確に対応していくためには、専門職を活用するとともに、職員に求められる能力に応じた各種研修などを充実させることが重要でございまして、既に、今年度から、国際的な視野を持つ職員の育成ということを目的にいたしまして、先進事例等を調査研究する海外研修を行うということを決定したところでございます。

また、組織体制につきしましては、今後とも、まちづくり戦略ビジョンの効果的推進のために、組織横断的なプロジェクトチームの設置や、従来組織の再編、さらには、このビジョンで掲げます北海道全体の活性化に向けまして北海道、札幌市双方の職員により構成する政策研究未来会議の設置など、課題に応じた組織体制の構築について検討をしてまいりたい、このように考えております。

(2)まちづくり戦略ビジョンについて(市民参加という観点から)

戦略編策定過程における市民参加についてということでございますが、これまで行ってまいりました市民参加事業では、基本的にビジョン編、戦略編の別なく、まちづくり戦略ビジョン全体として市民意見を反映させることを目的に行ってきたものでございます。

戦略編の答申後の取り扱いについても、ビジョン編策定時と同様に、パブリックコメントに加えまして、町内会あるいは経済団体との意見交換会などを行いながら、その意見を最終案に反映させてまいりたい、このように考えているところでございます。

no2
経済・雇用・観光振興策について
(1) 北海道フード・コンプレックス国際戦略総合特区について
フード特区では、5年間の輸出、国際化推進及び海外進出による売り上げ増加額の累計1,300億円を目指しており、その成功のためには、北海道内や日本国内での需要拡大も大切でありますが、海外の需要取り込みこそチャンスが大きいものであり、輸出の振興が重要なポイントであると思っております。また、今、TPPへの交渉参加が決定した状況において、北海道の農業を守るためには、ただ守るだけではなく、より積極的に稼ぐ農業への転換が必要と考えております。

5月24日には、我が党においても、日本経済再生のための成長戦略を発表し、品目別、国別の輸出戦略を策定し、省庁横断的に民間と連携しながら、食産業と食文化を一体的にグローバル展開しながら輸出倍増をすべきとしており、今こそ攻める農業への転換を進めなければなりません。

例えば、フード特区が目標としているフードバレーがあるオランダにおいては、人口、国土ともに我が国の8分の1にもかかわらず、1ドル100円とした場合、日本の輸出が0.3兆円に対し、実に7.7兆円もの市場を獲得しております。オランダはこの50年で輸出額を大きく増加させましたが、穀物を生産してももうからないことにいち早く気づき、畜産、野菜、花などに特化させることで輸出型農業への転換に成功しているのであります。

北海道においても、国別、品目別の戦略に基づく輸出拡大が重要であり、その戦略策定には非常に精緻な市場の調査研究、分析が必要でありますが、戦略的な売り込みについてのノウハウ、人材、情報は、行政組織よりも民間に蓄積されており、その力を十二分に活用することが求められます。実際、先月末に日本の大手商社が香港の現地企業と提携して、青果や加工食品の販売を始める計画を発表し、他の大手商社にも広がる可能性があります。

フード特区は、平成23年12月に国から指定を受け、その後、昨年3月に民間事業者からも出向者を受け入れ、フード特区機構が設立され、4月から実質的なスタートを切ってちょうど1年が経過したところであります。

そこで、質問ですが、これまで、どのような取り組みをして、どのような成果があったのか、また、今後、輸出の増加を図るに当たって、札幌市としてどのような役割を果たそうとしているのか、伺います。

(2) 東南アジアからのインバウンドに関する北海道、民間との連携の促進について
現在、国政におけるアベノミクスの効果によって円安傾向が続いていることから、国内において景気が上昇しているほか、海外からの観光客が増加しております。日本政府観光局の最新統計によると、この4月の訪日外客数は、前年同月比18.1%増の約92万人となり、1カ月として過去最高の数値となっております。特に、マレーシア、ベトナムは3カ月連続、タイは13カ月連続して毎月の過去最高を更新し、東南アジアからの訪日外客数の好調ぶりを示しております。

今年度、政府は、ASEA友好協力40周年を契機に、入り込みの増加が著しい東南アジアからの観光客誘致に力を入れております。例えば、政府は、東南アジアに特化した商談会ASEAトラベルマートを開催して日本観光を売り込んでいるほか、訪日の壁となっているビザの発給要件の緩和を検討するとしております。その内容は、平成24年にマルチビザの取得が可能となったタイ、マレーシア、インドネシアについてさらにビザの免除を行うとともに、ベトナム、フィリピンなどの国についてマルチビザを導入するものであります。

我が会派では、この5月20日に、北海道の観光振興に寄与すべく、産学官による観光振興を通じて、北海道の元気アップを目指す取り組みとして、早稲田大学の吉村作治名誉教授を迎え、北海道観光懇談会を開催いたしました。吉村教授は、今までの日本のインバウンド観光は中国や韓国が6割程度を占めているが、今後はイスラム圏に目を向けるべきであるとして、ムスリム対応の重要性や、南国で降雪のない国の雪に対する憧れ、北海道の食といった独自の魅力と資源を大いに活用すべきであると強調されておりました。このような国内外におけるインバウンドを取り巻く環境を踏まえると、特に世界や日本における都市間競争が激しい東南アジアについて、札幌市が北海道観光の底上げや活性化に積極的にかかわりながら、北海道、札幌の自然や食などの独自の魅力をより一層PRするとともに、ムスリム対応の充実を図るべきであります。

札幌市では、昨年度から、マレーシア、タイ、インドネシアの旅行博に参加するとともに、ことし2月には、タイ政府観光庁との間で観光発展に資する映像制作等についての覚書を締結するなど、東南アジアに対しての取り組みを始められたところであります。

そこで、質問ですが、これからの成長が予想される東南アジアからのインバウンドについて、今後、どのように考え、取り組んでいこうとしているのか、伺います。

続いて、東南アジアからのインバウンドに関する北海道、民間との連携の促進についてであります。

これまで、我が党は、道内連携の重要性について取り上げてまいりました。特に北海道との関係においては、さまざまな分野で協力関係を強化し、密接に連携していくべきと考えております。

東南アジアからのインバウンドについては、国内外の競争が激化する中で、官の連携がますます重要さを増しております。例えば、ハラル対応を含むムスリム市場の対応については産学官の連携強化が非常に重要になってまいります。

そこで、札幌市として、北海道や民間などとの幅広い連携についてどのように考えているのか、伺います。

(3) 適切な水準の賃金支払いについて
3月29日、平成25年度公共工事設計労務単価が決定され、都道府県、政令市に通知されたところでありますが、その内容は、建設業で働く51職種の技能労働者の賃金を、全国平均で15.1%、北海道においては17.5%の大幅な増加とするものでありました。また、公共事業の発注者である地方公共団体に対しては、平成25年度公共工事設計労務単価の早期適用、低入札価格調査制度及び最低制限価格制度の適切な活用によるダンピング受注の排除のほか、受注者と専門工事業者との間で社会保険料相当額を適切に含んだ額で下請契約が締結されるよう、受注者に適切な支払いを指導し、支払い状況を確認するなどの特段の配慮が要請されたところであります。

今回の大幅な単価改定の背景には、近年の建設投資の減少に伴う受注競争の激化があります。そのしわ寄せが技能労働者の賃金低下や保険未加入などの処遇悪化を招き、若年入職者の減少とあわせて高齢化を招いております。また、技能労働者の需給 迫が顕在化しており、被災3県では労働者不足に起因する入札不調も発生しております。道内においても、参加業者が1社もいない応札ゼロのケースが相次いでいるとの報道があったところであります。

こうした状況は、決して一時的なものではなく、建設業が抱える構造的な課題でありまして、今、適切な対策を講じなければ、近い将来、災害対応やインフラの維持・更新に重大な支障を来すおそれがあります。まさに、建設労働者に対する適切な賃金の支払いは建設産業全体の喫緊の課題と言えるのであります。

国においては、建設業団体に対して、公共工事設計労務単価の上昇が技能労働者の賃金水準の上昇に結びついているかを確認するため、別途行う実態調査への協力を求め、翌年度の単価改定に反映する旨、通知するとともに、4月18日には太田国土交通大臣が、日本建設業連合会など業界4団体に対して異例の直接対話による要請を行い、技能労働者に対して改定単価による賃金支払いがなされるよう適切な元請・下請契約の締結等を要請したところであります。

これらを踏まえて、お尋ねいたします。

公共工事設計労務単価の上昇分が技能労働者に賃金として支払われなければ、建設業が抱える構造的な課題の解決とはなりません。適切な水準の賃金が技能労働者へ支払われるように、札幌市としてどのように企業を指導していくのか、また、賃金水準の上昇に結びついていることをどのように確認していくのか、伺います。

また、工事請負については、技能労働者の労働環境の改善に向けた取り組みがある一方で、労働集約型の委託業務について、依然として一部の業務では過度な競争が見受けられ、低価格受注の結果がそのまま労働者の賃金にしわ寄せされ、労働者の低賃金化の一因となっているのではないでしょうか。

札幌市では、ダンピング対策として、委託業務についても最低制限価格制度や低入札価格調査制度を適用していますが、対象業務は建物の清掃や警備業務などの一部に限定しています。そこで、事業者の健全な経営とともに、労働者に適切な賃金が支払われるためにも、適正な価格での受注を促し、地域経済の活性化につながるよう、最低制限価格制度適用の対象業務をもっと拡大すべきと考えますがいかがか、伺います。

(1) 北海道フード・コンプレックス国際戦略総合特区について
フード特区では、香港向けの米や、中国向けのナマコのブランド化だとか、あるいは、鮮度保持技術活用によります台湾向けの野菜の輸出拡大、商社のOBによりますタイやシンガポールへの輸出ルート確立などに取り組んできたところでございます。また、昨年度は、市内企業の4社が特区制度を活用した輸出拡大への取り組みを開始いたしまして、さらに、札幌市が食関連事業で独自に支援をいたしました企業においても、新たに輸出を視野に入れた動きが見られるところでございます。

平成24年度分の成果目標は74億円というふうにしており、実績は現在精査中でありますが、暫定数値では7割強の達成がかなったというふうに理解をしておりまして、取り組み成果が数字にあらわれるというのは、時間がかかることを踏まえると、そこそこ健闘したもの、このように私どもは評価をしているところでございます。

2点目の札幌市の果たす役割についてでございますが、フード特区における札幌の役割は、大学や研究機関、加工業者や販売業者などが集積をしております札幌の都市機能というものを、道内各地の1次産品の付加価値を高めるために最大限活用していただくことだと承知をいたしております。輸出拡大に向けまして、消費期限延長のための技術開発や、あるいは、魅力的なパッケージデザイン採用など、積極的に高付加価値化に取り組む事業者をさまざまな施策によって支援をしてまいりたいと考えております。

(2) 東南アジアからのインバウンドに関する北海道、民間との連携の促進について
今年度、国におきましては、東南アジア市場の拡大について力を入れておりまして、札幌市においても、経済成長が著しく、将来性を持った大きな市場であることから、積極的に誘致事業を実施しているところでございます。そしてまた、これを展開していこうと考えているところでございます。具体的には、今年度、有望市場誘致強化事業といたしまして、昨年、直行便が就航いたしましたタイをターゲットにいたしまして、MICE、物産、映像コンテンツなど、広がりのある誘致事業を展開する考えでございます。

2点目の北海道と民間との連携についての考えでございます。

議員ご指摘のとおり、激化する国内外の都市間競争を勝ち抜くためには、北海道とか民間との連携強化というのは非常に重要なものだというふうに考えておりまして、その一環として、昨年、札幌市が北海道などに呼びかけまして連絡会議を設置いたしまして、相互に連携を強化していくということにしたところでございます。特にタイにつきましては、今年度、北海道や他の自治体における事業がふくそうしておりますことから、事業の共催、そして実施時期の調整などを図り、より効果的に行うことにしているところであります。また、ムスリムにつきましては、国ごとの正確な情報をもとにいたしまして、それぞれのニーズに対応するということが必要だと考えておりまして、札幌市といたしましても、国、商工会議所などと連携をしながら受け入れ環境の充実を図ってまいりたい、このように考えているところでございます。

(3) 適切な水準の賃金支払いについて

この項目の1点目の工事請負企業に対する指導と賃金水準の確認についてでありますが、工事請負の受注企業に対しまして、下請企業で働く技能労働者も含めまして、適切な賃金が支払われるように通知文を送付するとともに、業界各団体の研修会など、さまざまな機会を通じて指導をしていくつもりでございます。

技能労働者の賃金水準の動向につきましては、例年、国とともに実施しております公共事業労務費調査結果などを比較することによりまして確認してまいりたいと考えております。また、現在、継続審議となっております公条約条例が施行された場合には、この条例によっても把握をすることができると考えております。

2点目の委託業務における最低制限価格制度の拡大についてということでありますが、委託業務は、業務の種類やその積算の考え方もさまざまでございまして、品質確保と過度の競争防止の観点から、個々に必要性を判断し、最低制限価格制度や低入札価格調査制度を順次導入してきたところでございます。低落札傾向にあります業務に対する最低制限価格制度の適用につきましては、まずは低入札価格調査制度の対象として、賃金実態や、あるいは低価格の影響、積算方法などを精査した上で判断をしてまいりたいと考えております。

no3
バックアップ拠点への取り組みについて
(1) 政府機能のバックアップ拠点としての札幌市の活用について
我が会派では、かねてから札幌市と北海道との連携の重要性を指摘してまいりました。さきの第1回定例市議会の代表質問で、北海道と札幌市の連携強化について質問したところ、市長からは、北海道と札幌市双方が同じ方向のもとで、それぞれ役割分担をしながら緊密に連携をしていくということが、北海道全体の発展にとって極めて重要であるといった答弁をいただいたところであります。

それに前後して、本年1月に、北海道と札幌市が連携して、政府機能のバックアップ拠点としての札幌市の活用について、国に対して共同提案を行ったと伺っており、道と市の連携事例として評価をしているところであります。この提案の中では、一つに、政府機能が首都圏に一極集中している現状を踏まえ、大規模災害時には政府機能全体が継続不能になることも想定した備えが必要であることから、現在策定を進めている政府の事業継続計画、BCPの中で政府機能のバックアップ拠点として札幌市を位置づけることが盛り込まれております。もう一つには、札幌の政府バックアップ機能と相互に連携し、被災地への救援活動や物資供給を迅速かつ円滑に行うため、千歳・苫小牧地域を中心に災害時支援拠点を形成することや、災害の状況に応じ、日本海側航路を活用する場合の支援拠点として石狩湾新港及び小 港を位置づけることが提案されております。

我が会派としては、このたびの政府機能の誘致実現のためには、札幌市と北海道だけではなく、災害支援拠点としての位置づけを想定する千歳市、苫小牧市、石狩市、小 市などの周辺市町村との連携が必要だと認識しており、このような取り組みは、道内市町村との広域的な連携を深めながら、北海道の持つ資源と札幌の都市機能を結びつけるというまちづくり戦略ビジョンの考え方のまさに具体化になるものと考えております。

こうした行政による取り組みとは別に、先月22日の新聞報道によりますと、学識経験者や東京に本社を置く民間企業9社の道内支店長などで構成する首都圏バックアップ誘致研究会が、札幌市と北海道に対して、政府機能の誘致に向けたアプローチ強化や、リスク分散を重視した企業誘致の活動などについて提言書を提出したと報じられており、これらの具体化についても、関係機関との連携のもと、その実現可能性も含めて検討すべきと考えております。

そこで、1点目の質問でありますが、バックアップ拠点誘致に向けて、札幌市はこれまでどのような取り組みを行ってきたのか、改めてお尋ねするとともに、今回の研究会の提言をどのように受けとめているのか、伺います。

また、提言を受け、今後、政府機能の誘致に向けて具体的にどのような取り組みを行っていくのか、あわせて伺います

(2) 企業の事業継続計画、BCPを踏まえた本社機能の誘致について
日本各地に甚大な被害をもたらした東日本大震災からの教訓、さらには、今後、高い確率で発生することが予測されている首都直下型や南海トラフの巨大地震に備え、民間企業の間では、首都圏などに所在する本社機能などをリスクの少ない地域へ移転させることを検討する動きが見られます。さきに述べましたことし1月の政府に対する提案の中では、政府機能が首都圏に一極集中している現状の見直しを訴えておりますが、このことは民間企業にも全く同じことが言える状況であります。本来であれば、こうした政府への働きかけに連動させて、札幌の優位性を前面に打ち出しながら、積極的に民間企業の本社機能などの誘致に取り組んでいくべきであると考えますが、札幌市の動きはまだまだ十分とは言えません。

我が会派としては、昨年の決算議会から継続してこの問題を取り上げてきましたが、このままでは、こうした好機をみすみす逃すことになりかねないと危惧しているところであり、先ほどの研究会の提言も踏まえ、今こそ、北海道と綿密な連携を図りながら、民間企業を巻き込んだオール北海道体制で本社機能の誘致に取り組んでいくべきであると考えております。

ここで、2点目の質問でありますが、札幌市では、民間企業の本社機能移転の動きに対応して、今後どのような方策を講じるおつもりなのか、改めて伺います

また、他の地域においても企業のバックアップ拠点として名乗りを上げていることから、北海道や札幌市が中心となって首都圏にアピールし、本社機能を札幌に移転させる動きを加速させることが必要であると考えますが、全国的な競争の中にあって、どのように他の地域に負けない打ち出しを行っていくつもりであるのか、あわせて伺います

(1) 政府機能のバックアップ拠点としての札幌市の活用について
1点目のこれまでの取り組みについてでありますけれども、中央防災会議が、昨年7月、首都直下地震対策の中間報告におきまして、札幌市を含みます5都市を政府機能のバックアップ拠点の候補として示したことを受けまして、誘致に向け、北海道と札幌市の事務レベルでの検討を重ねてまいりました。その結果、ことしの1月に開催をいたしました北海道・札幌市行政懇談会におきまして、札幌市を政府機能のバックアップ拠点とすることについて国に共同提案することで高橋知事と合意をいたしまして、古屋内閣府特命担当大臣に提案書を提出したところでございます。

2点目の研究会の提言の受けとめについてでございます。
首都圏に本社を置く企業の方々から、都市機能の集積など、札幌市の優位性を評価していただいたことをうれしく思いますとともに、北海道と札幌市の取り組みを後押しするものと、大変心強く思っているところでございます。

3点目の今後の取り組みについてでございますけれども、今後は、北海道のみならず、周辺市町村とも一層連携し、札幌圏の機能向上について検討を深めますとともに、民間企業や経済団体などに対しましても、この取り組みへの賛同の輪を広げ、官民一体となった誘致活動を展開してまいりたいと考えております。

(2) 企業の事業継続計画、BCPを踏まえた本社機能の誘致について
1点目の今後の方策についてでございますけれども、現在、本社機能移転に対する補助制度を新たに設けるための準備を進めておるところでございまして、より大きなインセンティブを付与することで民間企業のリスク分散の動きに積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

2点目の他の地域に負けない打ち出しについてでございます。
今年度、北海道におきましても、新たに本社機能等の移転に対する補助制度が設けられておりますことから、今後は、北海道と共同歩調をとって誘致活動を展開してまいります。また、官民が一体となった政府機能の誘致活動を通じまして、札幌圏の存在感を高めますとともに、札幌市や北海道の東京事務所のほか、ご提言をいただいた民間研究会の参画企業や経済団体などのネットワークを活用しながら、首都圏の民間企業に対しまして札幌の優位性を訴えてまいりたいと考えております。

no4
空き家対策について
(1) 空き家対策について
1点目は、空き家が地域に与える影響についてであります。

戦後、奇跡の復興をなし遂げた我が国ですが、時代の変遷とともに生活様式は多様化し、核家族化や少子高齢社会が進行いたしました。そのような中、住環境も大きく変化し、さまざまな問題が生じておりますが、その一つに空き家の問題があります。愛知県安城市では、空き家の連続放火事件が発生するなど、適切に管理されていない空き家については、安全・安心の観点からも社会問題としてクローズアップされているところであります。総務省では、5年ごとに住宅・土地統計調査を実施しておりますが、平成20年度の調査によると、札幌市においても、空き家は13万5,000戸あり、そのうち腐朽、破損ありとされたものは1万9,000戸にも上るとされております。

そこで、質問ですが、このような空き家にはどのような問題があり、地域にどのような影響を与えていると考えているのか、その認識について伺います。

(2) 空き家のある土地の固定資産税について
空き家のある土地については、空き家を除去することにより固定資産税の額が上がってしまうため、除去につながらないという背景があると聞いております。

このような空き家のある土地に係る固定資産税について、具体的にどのような扱いとなるのか、また、それに対し、今後、どのような検討がなされていくのか、伺います。
(3) 危険な建物に対する行政代執行について
他都市では、建築基準法や独自の条例に基づき、倒壊のおそれのある建物に対して行政代執行を行った例があるとのことですが、本市においては、そのような例を聞きません。

そこで、伺いますが、本市において行政代執行を行うに当たっての支障があるとすれば、それは何か、また、全ての空き家に対応することは難しくても、本当に危険な建物については行政が積極的に除去に取り組む必要があると考えますがいかがか、お尋ねいたします。

(4) 戦略ビジョン<戦略編>との関係について
戦略ビジョン<戦略編>の中には、空き家や空き地を適切に管理、活用する新たな手法を総合的に検討するとあります。

そこで、お尋ねいたしますが、総合的な検討と言うからには、問題のある空き家については、生活環境や防災などの面も含めて検討する必要がありますし、利用が可能な空き家については、子育て世代への住宅提供など、有効に空き家を活用する方法なども検討する必要があると考えますがいかがか、また、現状の法令では対応することが難しい対策については、いわゆる空き家対策条例の制定を視野に入れて検討する必要があると思いますがいかがか、あわせて伺います。

(1) 空き家対策について
適切に管理されていない空き家は、放置すると老朽化が進み、倒壊のおそれ、防災、防犯、景観、衛生面など、多岐にわたる問題が発生し、地域に悪影響を与えます。また、地域に空き家が増加することで、地域の活力、魅力の低下も懸念されるところであります。このため、適切に管理されていない空き家が市内にどれくらい存在し、また、どのような問題点があるのかを把握するため、現在、地域へのアンケート調査を実施しているところであります。
(2) 空き家のある土地の固定資産税について
住宅用地については、固定資産税の課税標準の特例が設けられているため、当該住宅が空き家か否かにかかわらず、その敷地にかかわる固定資産税額は、更地に比べまして減額をされることになりますが、住宅が除却されますと特例対象外になりますので減額の適用は受けません。

次に、空き家の敷地に対します固定資産税の取り扱いに関しましては、国会でも取り上げているところでございまして、この問題は、特例対象外とする空き家の定義や住宅用地に対します軽減のあり方など、さまざまな観点から検討を要するものでありますことから、国等における議論の動向を注視してまいりたいと考えております。

(3) 危険な建物に対する行政代執行について
建築基準法上、著しく、保安上、危険があり、かつ放置することが著しく公益に違反する場合は、行政が代執行を行うこともあり得ますが、その判断基準は必ずしも明確ではありません。他都市における事例も極めて少ないのが現状であります。

札幌市におきましては、これまでも、おおむね所有者によります自主解決が図られておりまして、このような状況にあると判断された事案はいまだございません。行政による除却につきましては、市民の理解を得ながら、今後、慎重に検討していく必要があると考えております。

(3) 戦略ビジョン<戦略編>との関係について
四つ目の空き家対策の総合的な検討についてでありますが、空き家に関する問題は多岐にわたりますことから、適切に管理されていない空き家の対策だけではなく、空き家の利活用や空き家にならないための対策なども含めまして、さまざまな面から検討する必要がございます。

今後、他の自治体の検討事例などを参考にしながら、条例制定の必要性も含め、空き家に関する対策について検討してまいりたいと考えております。
no5
若者支援策について
(1) 就職支援について
経済・社会構造が目まぐるしく変化し、世界規模での競争が激化する中で、持続的な経済成長を実現し、人々の生活の安定を図るため、産業競争力強化に対応した雇用対策が非常に重要であることから、我が党は、4月22日、「一人ひとりを大切にする社会の実現に向けて」と題する労働政策の提言をまとめ、厚生労働大臣に対し、申し入れを行ったところであります。

少子高齢化が進展する中で、経済を力強い成長軌道に乗せていくためには、良質で安定した雇用機会の創出を図るとともに、就労意欲のある全ての人々が、希望に応じて安心して生活できる多様な雇用形態を選ぶことができ、また、スキルアップすることで雇用機会を得られるようにすることが重要であります。とりわけ、社会に新たに旅立つ若者や社会に出たばかりの若者に対して、十分な能力開発の機会が与えられ、スムーズに就労できるよう、若者の雇用対策に対する重点的な取り組みが必要であると考えます。インターネットによる就職活動が急速に普及する中、就職活動に迷いや不安を感じる学生が多く、サポートを必要とする場合がふえております。また、就職留年や就職先が見つからないまま学校を卒業する未就職卒業者も数多く出てきております。こうしたサポートを必要とする学生等に対して、一人一人の特性に合わせ、特に中小企業との丁寧なマッチングを行うことができるような支援を拡充していくことが重要であります。

そこで、質問の1点目ですが、札幌市においては、新卒未就職者に対する就職支援事業として座学研修及び職場実習を行うジョブスタートプログラムを実施しておりますが、4年目となる今年度はどのように取り組んでいこうと考えておられるのか、伺います。

また、不安定な状態に置かれ、能力開発の機会も十分でないフリーターに対しては、貧困の拡大を防ぎ、格差の是正を図るために、より手厚い支援が必要であります。フリーターについては、国レベルでは、わかものハローワークによる就職に向けた支援体制をより一層充実させるとともに、産学官が協働で就職の可能性を高める職業訓練コースの開発を推進するなど、正社員としての道を切り開くための支援が求められております。

そこで、質問の2点目ですが、札幌市においても、フリーターなどへの就職支援事業としてジョブチャレンジプログラムを実施しておりますが、今年度はどのように取り組んでいかれるのか、伺います

(2) ひきこもり対策について
札幌市のひきこもり対策は、若者支援総合センターにおいて、ニート、ひきこもりの若者支援施策として相談及び自立支援プログラムを実施しており、さらに、早期支援として中学校、高校などとの連携を進めております。また、精神保健福祉センター、通称札幌こころのセンターでは、相談及びひきこもり青年のグループケアを実施しており、さらに、各区の保健福祉課においても精神保健福祉相談員がひきこもりを含めた相談を受けております。

しかしながら、今日的なひきこもり状況を見た場合、適切な支援が受けられず、ひきこもりが長期化、高齢化し、親子が地域で孤立するケースが大変多いと認識しております。みずから相談に出向くことができないひきこもり者の支援には、相談が来るのを待って対応するのではなく、積極的に地域や家庭に出向いていく訪問支援、いわゆるアウトリーチ型の支援が重要であります。このアウトリーチ型の支援については、現在、民間団体において積極的な取り組みがなされています。

北海道のひきこもり親の会であるはまなすが運営しているNPO法人レター・ポスト・フレンドでは、ひきこもり者の細かな悩みやニーズを拾い上げ、北海道ひきこもり生活支援ガイドブックを発刊するとともに、ひきこもり当事者がみずからの経験と当事者性を生かし、すぐれたアウトリーチ支援を実施し、その取り組みを地域拠点型アウトリーチ支援事業としてまとめてこられました。この中では、ひきこもり経験者やその家族など、経験や当事者性を持った支援者、いわゆるピアサポーターが訪問支援を行うことが重要であることが述べられております。

また、愛知県のひきこもり者の家族会であるNPO法人なでしこの会は、愛知県から財政的支援を受け、長期のひきこもり者と家族に向けた訪問支援活動を最重点に、面接、ピアカウンセリング、居場所、活動拠点の設置などを行っております。

国では、平成21年度から、ひきこもり対策推進事業として都道府県と政令市にひきこもり地域支援センターの設置を求めており、政令市では既に14市が設置済みであります。その実施要綱には、児童期、成人期に応じた適切な支援を行うこと、また、名称をひきこもり対策の実施機関であることがわかるものとすることや、アウトリーチ型の支援を行うことも明記されております。また、本年度から、ひきこもり対策推進事業の新規事業としてアウトリーチ型支援の活動を担うひきこもりサポーターの養成研修、派遣事業が実施され、その実施機関としてひきこもり地域支援センターが重要な役割を担うこととなっております。

さらに、先日、我が会派で視察した横浜市では、特徴的な取り組みとして、ひきこもり地域支援センターでもある青少年相談センターを初め、若者サポートステーション、地域ユースプラザの三つの専門機関が支援連携の核となるユーストライアングルを形成することにより、多様な段階にある相談者に対して広く受け皿を用意しておりました。

なお、北海道では、平成21年にひきこもり地域支援センターを開設しておりますが、相談延べ件数は年々増加し、実相談人数も24年度は前年度比35%増となっており、相談者の状況では、高齢化、ひきこもり期間の長期化傾向が見られるとのことであります。

そこで、質問ですが、札幌市では、ひきこもりの長期化、高齢化についてどのように認識されているのか、また、このように国や他の自治体、さらには民間においてもいろいろな取り組みがなされている中、札幌市として、ひきこもり地域支援センターの設置や民間団体との連携等、今後どのようにひきこもり対策に取り組んでいくお考えか、伺います

(1) 就職支援について
1点目の新卒未就職者への就職支援事業についてでありますが、ジョブスタートプログラムは、現在、六つのコースに分けて実施をしておりますが、今年度は、新たに各コースの受講者が相互に交流できる場を設け、互いに刺激し合い、研修効果を高められるよう工夫を行っているところであります。さらに、秋には新卒未就職者を含めた25歳以下の求職者を対象にしたジョブスタートプログラムパート2も実施をする予定でありまして、その中でも多くの新卒未就職者が就職できるように努めてまいります。

2点目のフリーターなどへの就職支援事業についてでございますが、ジョブチャレンジプログラムは、おおむね35歳未満のフリーターや若年求職者を対象として実施をしておりまして、今年度は、合同企業説明会の参加企業数をふやし、就職機会の一層の拡大に努めてまいりたいと考えております。

(2)ひきこもり対策について
次に、ひきこもり対策についてであります。若者のひきこもりが長期化をし、高齢化していくことは、本人やその家族にとりまして精神的、経済的に大きな負担であると同時に、社会的にも大きな損失であるものと認識をしております。そこで、20の構成機関から成りますさっぽろ子ども・若者支援地域協議会を組織いたしまして、ひきこもり等の困難を有する若者が若者支援総合センターなどの支援機関につながるよう連携に努めているところでございます。

今後は、ひきこもりの長期化や高齢化を踏まえ、ひきこもりの本人や家族が支援機関とつながるよう広報に努めますとともに、民間団体等と連携をし、こちらから出向いていく、いわゆるアウトリーチ型の支援を実施するなど、体制の充実を図ってまいりたいと考えております。

no6
障がい者施策について
(1) 障がい者施設等からの優先調達の推進について
これまでも、我が会派は、代表質問や各委員会で障がいのある方の就労支援の充実を繰り返し求めてまいりました。昨年の第3回定例市議会でも、障がいのある方の一般就労施策のさらなる推進、障がい者施設への優先発注の拡大等について札幌市の姿勢をただしたところであります。

障がいのある方の就労支援を推進するに当たっては、札幌市役所が一丸となって、障がいのある方の雇用や障がい者施設等からの調達に率先して取り組み、これを民間企業に波及させていく責務があると考えております。また、民間企業に就職する方が安心して働き続けられるよう、就労面だけではなく、生活面も含めた切れ目のない相談支援体制を構築するとともに、障がい者施設等で働く方の賃金や工賃の向上に向けて、障がい者施設への業務発注をふやしていく必要があります。

この4月には、我が党が一貫して法制化を求めてきた障害者優先調達推進法が施行されるに至りました。この法律においては、国や地方公共団体等において、障がい者施設等から優先的に調達するための方針を策定、公表し、調達実績についても取りまとめて公表することとなっております。

国において基本方針が閣議決定されたところでありますが、札幌市においては、まだ調達方針が策定されていないと聞いております。障がいのある方の支援ということを考えると、保健福祉部局のみで行うべきものではなく、全庁的に取り組む課題であると考えております。

ここで、1点目の質問でありますが、障害者優先調達推進法の施行を踏まえ、障がい者施設等からの優先調達を今後どのように推進するのか、伺います。

(2) 障がい者の就労支援における関係機関等との連携強化について
また、先日、厚生委員会で福岡市障がい者就労支援センターを視察いたしましたが、障がいのある方の一般就労に向けた札幌市の相談体制はまだまだ十分ではないと改めて実感したところであります。例えば、福岡市が独自に配置し、雇用主や障がいのある方の間に立って就労面や生活面まで支援を行うジョブコーチの人数は現在15名に及び、札幌市内の就業・生活相談支援事業所に配置されているジョブサポーター2名と比較してもはるかに多い状況であります。

また、福岡市のセンターにおいて障がいのある方を就職に結びつけた件数は、昨年度で188名、平成15年度の開設からの累計で1,306名と、着実に実績を積み重ねております。改めてセンターでお尋ねしたところ、働きたい障がいのある方も、雇用をしたい企業もともに増加しているが、それに対応する形で双方の間に立ってマッチングする人材が不足しているとのことでありました。障がいのある方に対してどのような仕事が可能かを評価することも、企業に対してどのような職域で雇用が可能かを提案することも、どちらも大変手間のかかることであり、札幌市においても状況は同様であると考えます。

札幌市の就業・生活相談支援事業所における相談支援件数や就職に結びついた件数は年々増大し続けているにもかかわらず、平成25年度においても、就業・生活相談支援事業所への1カ所当たりの委託料予算は増額となっておりません。ジョブサポーターは、毎年1人ずつ増員されて、やっと今年度で3名という状況であります。支援に従事する支援担当員の負担軽減を図る上でも、委託料の増額とジョブサポーターの増員を引き続き強く求めていくものでありますが、障がいのある方の就職者数を今後も一定数以上を確保し、また、就業支援を切れ目なく進めるためには、保健福祉部局だけではなく、各関係部局においても公的機関や民間事業者との連携をさらに強化していく必要があります。

そこで、2点目の質問でありますが、障がい者の就労支援において関係機関との連携をどのように強化するつもりであるか、お尋ねいたします。

(1) 障がい者施設等からの優先調達の推進について
これまでも、現行制度の中で、障がい者施設からの物品購入や清掃等の役務について優先調達の全庁的な拡大に努めてきたところであります。また、今年度は、指定管理者の選定に当たりまして、障がい者雇用という視点を採点項目に盛り込んだことから、これらの施設での優先調達の拡大にも期待をしております。

今回の障害者優先調達推進法の施行に伴います札幌市としての調達方針につきましては、現在、関係部局間で連携しながら、早期策定に向けて取り組んでいるところであります。これを契機として、障がい者の自立の促進のために、さらに一層、庁内一丸となって取り組みを進めてまいりたいと考えております。

(2)障がい者の就労支援における関係機関等との連携強化について
連携を強化する上でハローワークや企業等の就労関係者で構成する自立支援協議会の専門部会を活用した相互交流の取り組みが大変有効と認識をしており、この専門部会の会議には、保健福祉局だけでなく、経済局や教育委員会からも職員が参加しているところであります。

札幌市といたしましては、障がい者の支援にかかわるさまざまな関係者に自立支援協議会への参加を働きかけることで、企業と福祉関係者の相互理解を一層促進し、就労支援のさらなる強化を図ってまいりたいと考えております。

no7
篠路駅周辺地区のまちづくりについて
篠路駅周辺地区は、札幌に開拓使が置かれる以前から開拓が進み、昭和9年の札沼線開通に伴う篠路駅の開設や、昭和30年の札幌市への合併などを経て、これまで札幌市における急激な人口増加の受け皿としての役割を担ってまいりました。また、昭和63年に策定された第3次札幌市長期総合計画では、地域中心核に位置づけられ、北区北部地区の生活文化の拠点として交通基盤整備や商業・行政機能の集積を目指すこととされています。

しかしながら、当地区の現状は、JR学園都市線による東西市街地の分断、横新道の慢性的な渋滞、脆弱な生活道路に起因する土地利用更新の停滞などの課題を抱え、今でも一昔前のたたずまいを残す場所が見受けられる状況であります。

このような中、当地区のまちづくりの動きが本格化したのは、平成7年の横新道オーバーパス化に対する地元説明会がきっかけでありました。そこでは、昭和40年の古い計画のまま、まちづくりを進めていいのかですとか、改めて当地区にふさわしいまちづくりを考えるべきではないのかなどといった声が上がり、まちづくりへの機運が高まったことが始まりであります。

その後、札幌市と地域が協力し合い、ともに汗を流しながらワークショップや勉強会などを積み重ね、平成9年にはまちづくりの目標像となるまちづくりガイドラインが、平成14年には整備計画となる篠路駅周辺地区まちづくり事業計画が策定され、鉄道高架事業と区画整理事業を柱に北区北部の拠点地区としてのまちづくりを目指すことが打ち出されました。この取り組みは、これまで計81回開催され、延べ1,590人にも及ぶ地域の方々が参加していますが、パートナーシップ型のまちづくりの先駆けとしてさまざまな場面で評価されたすばらしい取り組みでありました。

それから11年、駅西側の再開発など、一部の事業は実施されたものの、まちづくりの柱である鉄道高架事業と区画整理事業は依然として進展がない状況にあります。また、駅東側の花畔札幌線についても、篠路出張所やJR篠路駅につながる地域の重要な連絡道路でありながら、道路幅が狭く、特に冬季において歩行者や自動車の通行に支障を来している状況となっております。

この間、地域では、決して諦めることなく、地道にまちづくりの取り組みを継続しながら、早期実現を求める要望を行ってまいりました。我々北区選出議員も、地域の悲願をかなえるため、党派を超えて一致団結し、議会においてもたびたび取り上げてまいりました。昭和40年に横新道が都市計画決定されてから、手つかずのまま48年が経過し、地域のまちづくりへの継続した取り組みは、平成7年に本格化してから18年にも及ぼうとしております。本市の財政が厳しいことは理解できますが、新たなまちづくりの指針となる札幌市まちづくり戦略ビジョンがスタートしようとする今こそ、当地区が本市のまちづくりにおいて担うべき役割の重さ、これまで地域の方々が流した汗の重さ、18年という時間の重さを踏まえて、当地区のまちづくりについて方向性を出す時期と考えます。

そこで、質問ですが、札幌市として篠路駅周辺地区のまちづくりを今後どのように進めていくのか、市長の考えを伺います。

篠路駅周辺地区は、現在、策定中の札幌市まちづくり戦略ビジョンにおきまして、地域交流の拠点の一つとして検討をしているところでありまして、北区北部の重要な地域と認識をいたしているところでございます。

今後は、歩いて暮らせるまちづくりの観点や、あるいは、事業効果の面などから検討を加える必要がありますが、まちづくり事業計画に示された鉄道高架と、それから、区画整理を柱とした一体的なまちづくりを踏襲いたしまして、その実現を目指していく所存でございます。具体的には、今年度から関係機関との協議をスタートさせ、おおむね5年後の事業化を目指していきたい、このように考えています。

また、ご指摘のありました花畔札幌線につきましては、早期に道路整備を完了できるように先行して着手してまいる所存でございます。地域の方々、そして北区選出の議員の皆様方のこれまでの大変なご努力に敬意を表しますとともに、長い間お待たせをすることになってしまいましたが、まちづくりの早期実現に向けてしっかりと取り組んでまいりたい、このように考えているところでございます。