議会報告

平成24年第4回定例議会
代表質問 阿知良 寛美 議員
(東区)

12月6日札幌市議会本会議において公明党議員会を代表して阿知良 寛美 議員が代表質問を行いました。
市長の政治姿勢について、公契約条例について、子育て施策について、防災・減災対策について質問しました。
以下、質問とそれに対する答弁の要旨を紹介します。
no1
市長の政治姿勢について
(1) 総選挙にかかる市長の見解について
① 民主党の政権運営への評価
 衆議院選挙がこの16日に執行されることとなり、あと10日もすれば、我が国の政治の新たな体制が決まります。
 衆議院の解散が囁かれていたころの8月22日付、読売新聞の社説は「実現可能な政策へ論議深めよ。ポピュリズムは排除すべきだ」との見出しを掲げ、民主党のマニフェストについて、次のように指摘しております。「選挙直前に急ごしらえした政策は有権者受けを狙って、大衆迎合主義(ポピュリズム)色の強い“バーゲンセール”となりがちである」と。正にこの指摘どおり、政権交代を狙って民主党が掲げた平成21年の衆院選マニフェストは、文字通りバーゲンセール以外の何ものでもなかった、と言っても過言ではありません。

月額2万6千円の子ども手当支給、全額税方式による月額7万円の最低保障年金制度の創設、高速道路の無料化、ガソリンの暫定税率の廃止など、民主党のマニフェストは、総崩れの状態にあります。加えて、「外交・安全保障の迷走」、「東日本大震災の復旧・復興の遅れ」、「自公政権時代と比較して約8兆円増の水ぶくれ予算」、「経済対策の無策ぶり」など、3年、3代にわたる経験と責任感のない民主党政権は、「社会保障と税の一体改革」という3党合意の実績以外は、失政の連続であったと言わざるを得ないのであります。
11月17日の朝日新聞の社説は、「熱狂の政治はいらない」と題して、平成17年の郵政選挙、平成21年の政権選択選挙のような、二者択一的な争点を掲げての熱狂的な選挙の危うさに触れたうえで「右肩上がりの経済成長は終わり、少子高齢化が進む。国の借金は1千兆円に及び、景気の低迷に出口は見えない。産業の空洞化も進み、多くの若者が正社員になれないなど、国民の不安は切実だ。今の政治の使命は、経済成長を前提につくられた仕組みの仕立て直し、この国の未来を切り開くことに他ならない」と指摘しております。

そこで、市長に質問いたします。 民主党政権3年間の政権運営をどのように評価されるのか、また、札幌市の行財政運営においてどのような効果があったと考えておられるのか、プラス面、マイナス面の両面から、市長の見解をお伺いいたします

② 喫緊の課題に対する政治姿勢
 ポピュリズムに陥ることなく、「広がる格差社会の解消」などの喫緊の課題にどのように対応するのか、市政運営に当たっての市長の政治姿勢をお聞かせください
(2) まちづくり戦略ビジョンについて
① まちづくり戦略ビジョンの推進に向けた組織体制
 まちづくり戦略ビジョンは、今後10年間のまちづくりの方向性を示す指針として位置づけられ、策定が進められておりますが、先般、その「ビジョン編」が答申され、昨日からパブリックコメントに付されているところであります。
 この、まちづくり戦略ビジョン原案の中でも興味深いのは、第2章の「社会情勢の変化と札幌」で記載されている、統計データや推計を多く用いた現状分析です。
 それによると、札幌市の人口は、平成27年頃をピークとして減少に転じ、年齢構成も大きく変わって、少子高齢化が急速に進行いたします。生産年齢人口は今後も減り続け、これに伴って、経済規模も縮小する見込みであることから、今後、生産年齢人口の減少幅の縮小や、付加価値の向上により市民1人あたりの所得を高める取組が必要であることなどが分析されております。
 また、東日本大震災を契機として、エネルギー消費に対する考え方そのものを転換すべき必要性も、指摘されております。

 そして、このような厳しい社会情勢の中にあっても、札幌を持続可能なまちとして、子どもたちにしっかりと引き継いでいくために、「北海道の未来を創造し、世界が憧れるまち」「互いに手を携え、心豊かにつながる共生のまち」という2つの新たな都市像を掲げ、目指すべき将来像を明らかにすると共に、地域、経済、子ども・若者など7つの分野ごとに「まちづくりの基本目標」を掲げ、具体的な目標を示しております。
 社会経済情勢が大きく変化している中にあって、いずれの分野についても、着実に取り組んでいくことが重要であります。

 まちづくり戦略ビジョンは、ビジョン編が、今年度末には完成することとなっておりますが、並行して、戦略編についても策定を進めているとのことであります。
 その現状分析を見ると、今後、空き家の発生や買い物弱者への対応など、人口減少に伴う地域課題や、東日本大震災を受けたエネルギー転換の必要性などに対応していくために、従来の価値観や物事の進め方、いわゆるパラダイムの転換が必要であると考えております。
 こうした課題への対応は、戦略編の中で、重点施策として盛り込むべきと考えますが、機動的な対応のためには、今までの組織体制を前提とした取組を超えて、新たな組織体制の検討を含む、戦略的な施策展開が必要であります。

 そこで質問ですが、まちづくり戦略ビジョンにおける新たな課題への対応を図るために、組織の再編の必要性についてどのように考えているのか、市長のご認識を伺いたい
また、必要であると考えているのであれば、どのような分野での体制構築や強化が必要であると考えているのか、併せて伺います

② 防災・減災に対する基本的考え方
 公明党は、災害に強い地域社会を構築するとともに日本経済を再生する観点から、10年間に百兆円を計画的に投資する「防災・減災ニューディール」を打ち出しております。これは、従来型の公共事業バラマキではなく、これまであまり注目されてこなかった社会資本の老朽化対策と併せて、防災・減災対策を計画的に進め、大規模災害から国民の命を守ると共に、低迷している経済の活性化と新たな雇用を生み出すものであります。

 言うまでもなく、札幌市でも、政令指定都市移行時に整備した建築物などが、今後集中的に更新時期を迎えることとなります。こうした都市基盤の更新に合わせて、防災・減災の観点から、計画的な対策を講じていく必要があります。
 まちづくり戦略ビジョンでも、「安心・安全」の基本目標の中で、「地域防災力が高く災害に強いまち」を掲げ、公共施設や道路などの都市基盤の耐震化を進め、被害を最小化させることを将来のまちの姿として明記しておりますが、今後のまちづくりを進めていく上でも、ハード・ソフト両面から大規模な地震に備えることが重要であります。

 そこで質問でありますが、まちづくり戦略ビジョンでも掲げられている「災害に強いまち」の実現に向けて、今後の防災・減災に資する公共投資に、どのように取り組んでいくのか、市長の基本的な考え方を、お伺いします

③ まちづくり戦略ビジョンの実現に向けた市民との目標や課題の共有
 まちづくり戦略ビジョンは、当然のことながら作って終わりという類のものではなく、計画期間全般にわたって、課題と目標を、市民としっかり共有しながら推進していくべきものであります。札幌市は、自治基本条例第17条第3項で、総合計画について、「その内容及び進ちょく状況に関する情報を市民に分かり易く提供しなければならない」としております。

 今回のまちづくり戦略ビジョンでは、特に、第4章に掲げた基本目標部分について、将来のあるべき姿を掲げております。このあるべき姿を、絵に描いた餅に終わらせないためには、
市民や企業などと一体となった取組が必要であり、策定後も進捗状況を検証し、市民と目標や課題の共有を図りながら、ビジョンの目標を実現する取組が重要であります。

 そこで伺いますが、今回のビジョンについて、策定公表後に、市民と目標や課題の共有をどのように進め、まちづくりの目標を達成していくつもりであるのか、市長のご認識を伺います
(3) 平成25年度予算編成について
 次に、同じく市長の政治姿勢という観点から、平成25年度予算編成について伺います。
 現在、まちづくり戦略ビジョンの策定作業と並行して、平成25年度予算の編成作業が進められております。札幌市が10月に公表した来年度の予算編成方針では、「ビジョンの策定に向けた検討を踏まえて、中・長期的なまちづくりに資する事業の推進に積極的に取り組む」との考えが示されております。
 私は、先ほど述べました防災・減災といった観点による施策については、中・長期的な課題として重要であることはもちろんでありますが、いつ起こるかわからない地震や風水害から、国民・市民の貴重な生命や財産を守るためには、何よりスピード感をもって進めることが肝要と考えております。特に、社会インフラの整備を始めとする多角的な事業の実施による防災力の強化は、公共事業の創出などを通じた景気回復の原動力にもなり、現下の札幌市における非常に厳しい経済雇用状況を考えると、ビジョンの策定を待たずとも、早急に実施すべきです。

 札幌市では、旧耐震基準で建設された市有建築物のうち、建物用途や耐震性能の面などから緊急性の高いものについて、平成19年度から「市有建築物耐震化緊急5カ年計画」及び「第3次札幌新まちづくり計画」に基づき、計画的に耐震化を進めると共に、「幹線道路等舗装補修計画」や「橋梁長寿命化修繕計画」を策定するなど、道路・橋梁の老朽対策に取り組むほか、上・下水道についても、順次、耐震化を進めてまいりました。
 また、先日公表されました「平成25年度予算要求の概要」を見てみますと、各局からの要求段階ではありますが、区役所や学校の耐震化に加え、収容避難施設となる学校の環境整備や高断熱化といった新たな取組も検討しておられるようであります。

 そこで質問ですが、市が既に着手をしている取組を含め、先ほどから申し上げてまいりました喫緊の課題である防災・減災に関する取組の平成25年度予算における位置付けについて、どのようにお考えかお伺いいたします
(1) 総選挙にかかる市長の見解について
○1点目の民主党の政権運営への評価について
 民主党への政権交代後、高校授業料の無償化や保育所定員の大幅な増加など、子ども・子育て世代を後押しする施策を充実させたこと、さらには、将来世代に負担を先送りしないために、自民・公明両党の協力のもとで「社会保障と税の一体改革」を推進したことは、評価しているところ。

 一方、多くの国民の期待を集めたマニフェストについては、初めての政権与党という経験不足や財源捻出等の難しさから、実際の政策との乖離が生じたこと、さらには、不幸にも発生した東日本大震災に伴う原発事故の対応などによって、国民生活に混乱をきたしたことは、残念に感じている。
 また、札幌市の行財政運営においては、地域主権改革を踏まえた国の中期財政フレームが示されたことによって、地方一般財源が確保されるとともに、北海道新幹線の札幌延伸の決定や総合特区の認定などさまざまな成果があるものの、原発事故に伴うエネルギー政策の見直しなど、今後取り組むべき課題もあるものと認識。

○2点目の喫緊の課題に対する政治姿勢について
 私は、これまで一貫して「市民とともに考え、共に悩み、共に行動する」という基本姿勢を貫きながら、市政運営に臨んできたところ。
 超高齢社会、人口減少という、かつて経験したことのない時代を迎える中で、さまざまな新たな課題に対応していく必要があるが、ポピュリズムに陥ることなく、これまで築き上げてきた市民自治をより確かなものにしながら、今後とも、持続可能なまちづくりに取り組んでまいりたい。
(2) まちづくり戦略ビジョンについて
○1点目の推進に向けた組織体制について
戦略ビジョンにおいては、人口減少や超高齢社会の到来、さらには、脱原発依存社会の実現に向けたエネルギー対策など、いわゆるパラダイムの転換が求められるさまざまな課題を掲げており、こうした新たな課題に機動的に対応するための推進体制を構築していくことが重要であると認識。
 中でも、地域における保健福祉活動の充実やエネルギーネットワークの構築は大きな課題であり、組織の改編や充実を含め、推進体制のあり方について、早急に検討を進めてまいりたい。

○2点目の防災・減災に対する公共投資の基本的考え方について
 東日本大震災などの教訓を生かし、災害時の拠点や避難場所となる学校などの公共施設の耐震化を進めることはもちろんのこと、超高齢社会を見据え、自力で避難することが困難な災害時要援護者への避難支援の充実強化を図るなど、市民、企業、行政が連携した防災協働社会を実現していくことが極めて重要であると認識。
 そこで、要援護者の避難場所での生活環境の充実に向けた取組や、特に冬期間の災害に備えた防寒対策など、札幌ならではの防災対策にも積極的に取り組んでまいりたいと考えているところ。
 加えて、原発事故に伴い、エネルギー供給体制が極めて不安定な状況の中で、今後とも想定されるエネルギー需給の逼迫や、先月、道内で発生したような暴風雪による停電といった不測の災害にも対応するため、たとえば、自立分散型エネルギーネットワークの整備なども必要であると考えている。
 さらに、先日発生した笹子トンネル崩落事故が象徴的に示しているとおり、今後、老朽化した公共施設の適切な保全に取り組むことも喫緊の課題であると認識しており、これら防災・減災に関わる公共事業について、地域経済に対する波及効果にも配慮しながら計画的に進めることで、災害に強いまちづくりを進めてまいりたい。

○3点目の戦略ビジョンの実現に向けた市民との目標や課題の共有について
 まちづくり戦略ビジョンは、「市民との共有」をその特徴として掲げており、策定後も市民とまちづくりの目標、課題を継続的に共有しながら、その取組を進めることが重要と認識。
 このため、このビジョンの策定に合わせて、市民向けのフォーラムを開催するとともに、今後、経済団体を始めとして、さまざまな場面で情報提供の場を継続的に設けることによって、目標である将来のまちの姿や、これを進めるための課題の共有を図ってまいりたい。
 また、ビジョンの進捗状況についても、適宜検証しながら、その状況についても発信し、市民と共に一体となって、ビジョンで掲げる目指すべき都市像の実現に向けて取り組んでまいりたい。
(3) 平成25年度予算編成について
○防災や減災に関する取組については、例えば、避難場所となる学校について、改築予定校を除くすべての施設の耐震化に着手するなど、市有建築物の耐震化を迅速に進めるほか、道路橋梁の整備など防災につながる社会基盤整備について、着実に進めてまいる所存。
 このような防災などに役立つインフラ整備については、ご指摘のとおり、景気浮揚にも資すると考えるので、先に答申をいただいたまちづくり戦略ビジョンの趣旨を踏まえて、できるものから速やかに平成25年度予算に盛り込んでいきたい。
no1
公契約条例について
(1) 関係業界との信頼関係について
 先の第1回定例会において提出されました同条例案については、関係団体等から十分な理解が得られていないこともあり、我が党が継続審査を求め、現在に至っているところであります。
 この間、理事者においては、建設業界及びビルメン・警備業界、それぞれの業界と関係者による協議の場を設け、議論を重ねてきたと伺っております。特に、建設工事においては、実際のモデル工事により作業報酬台帳を提出してもらい、実務上の具体的な課題や問題点の解消に向けた議論がなされていることは、大いに評価できると考えております。
 また、札幌建設業協会及び北海道ビルメンテナンス協会、北海道警備業協会からの入札制度改善の要望に対しても、迅速かつ丁寧な対応をしており、失われつつあった関係業界との信頼関係の再構築に向けて、第一歩を踏み出しているところと認識しております。
 しかしながら信頼構築には、何といっても、業界の声に積極的に耳を傾けることが必要であります。札幌市は、これまでこうした業界の声を直接聞く機会が、あまりにも少なかったのではないか、いや、むしろ自ら閉ざしてきたのではないかと思うのであります。このため、業界の切なる思いや悲鳴が市に届かず、地元中小企業の受注機会が十分確保されず、仮に、受注できたとしても低価格にあえぎ、疲弊してきたのであります。

 我が党は、こうした業界との信頼関係の構築がなされていない中で、公契約条例案を提出したことは、あまりにも拙速であったと指摘してまいりました。実際、この間の関係者協議の場では、条例のあり方から実務的な疑問点・課題まで、幅広い議論がなされておりますが、このような議論は、本来、条例案の提出前に済ませておくことが筋だと思うのであります。
 そこで伺います。質問の1点目は、本来、条例案提出前に関係団体等とこうした議論をしっかりと行い、それを踏まえて条例案を提出すべきであったと思いますが、このことについて、どのように受け止めているのか
更に、今後、どのように関係業界との信頼関係を構築していこうとしているのか、お尋ねいたします
(2) 関係業界との協議における論点について
  また、これまでの関係業界との協議の内容についてでありますが、そこでの論点は、大きく2つあると考えております。
 論点の一つ目は、企業の健全な育成や発展、経営環境などの観点から条例を考えるべきということです。景気が悪い中、賃金のみに着目して下限額を決めるのではなく、企業経営が非常に厳しい現状を踏まえ、地域全体が発展するような条例にすべきであります。これまでの条例制定の理念や背景の説明を聞くと、労働環境の悪化は、低価格で入札する企業側にもっぱら非があるかの如く聞こえますが、企業経営あってこその雇用であります。低価格で競争せざるを得ない状況こそ、まずは改善されるべきであり、企業の経営体力を向上させた上で、労働環境の改善が図られなければなりません。
 そのためには、まず、発注者において、サービスの質の確保はもちろんのこと、その事業にかかわって働く方々の労働環境や生活にまで責任を持って、それに見合った受注金額を保障することが必要であります。思うに、条例案では、発注者である本市の権限や働く側の権利の条項は明記されておりますが、受注者である企業には、賃金支給の責務とペナルティだけが課せられているかのように見えるのであります。本来、発注者と受注者は、対等の立場であるはずです。お互いの立場を理解し、尊重しながら、市民生活の向上に、両輪の如く進むべきであって、どちらか一方に偏る条例であってはならないと考えます。

 論点の二つ目は、条例の対象となる従業員と他の従業員との間で賃金格差が生じ、不公平となることへの懸念であります。
 これまでの関係団体からの要望書でも、労働者の賃金に格差を生じさせ混乱を招くとの指摘がありましたが、今年9月に開催されたビルメンテナンス協会及び警備業協会との第2回目の関係者協議では、1千万円以上の対象業務と、それ以下の対象外業務に従事する従業員との間で企業内格差が生じ、労務管理上の問題となるとの懸念が示されています。

 これまでの議会質疑の中で、理事者からは「1千万円以上で発注量全体の概ね70%くらいが確保される」との答弁がありました。しかしながら、清掃・警備業務は金額の多寡にかかわらず、ほとんどが人件費であるという経費の構図は同じであり、業界が主張するように、金額で適用対象を区分することは、単に労使対立を呼び起こすきっかけ、いわば弊害を招くだけではないかと思うのであります。
 そうであるならば、少なくとも同じ市発注の業務に従事する従業員については、取扱に格差を設けるべきではなく、それによって札幌市の事務量が増加しても、きちんと対応できる組織体制を整える覚悟を持つべきであります。

① 発注者責任の明確化と企業経営の安定化を図る視点の明確化
 そこで伺います。質問の2点目は、一方的に労働環境の確保を企業経営者に義務付けるのではなく、広く企業経営の安定と賃金水準の維持に寄与する条例とするため、発注者責任の明確化と企業経営の安定化を図る視点を明確に盛り込むべきと考えますがいかがか、お尋ねいたします

② 清掃・警備業務の対象範囲
 質問の3点目として、市発注の清掃・警備業務等において、条例対象と対象外の従業員の間で賃金格差が生じないよう、下限報酬額の適用範囲を限定せず、基本的に全件を対象とすることについてどう考えるか、市長のご見解を伺います
(1) 関係業界との信頼関係について
○公契約条例の制定に向けては、条例案提出前において、関係業界との意見交換会を開催するなど、条例への理解を求めてきたところ。
  しかしながら、それ以前に関係業界との意思疎通が十分でなかったこともあり、唐突な提案と受け取られたことについては率直に反省するとともに、結果として関係業界の理解が広まらなかったことについて、真摯に受け止めている。
 そこで、この間、時間をかけて、関係者と幅広く議論や検証を重ねてきたことは、公契約条例についての共通認識を深め、条例施行に伴う不安や懸念の解消を図るうえで、大変有意義であったと認識。
 今後は、関係業界と定期的な協議の場を設けるなどの成果を踏まえ、幅広く業界の声に耳を傾け、できる限り施策に反映させていくことで、信頼関係の構築に努めてまいりたい。
(2) 関係業界との協議における論点について
○一つ目の発注者責任の明確化と企業経営の安定化を図る視点の明確化について
 ご指摘の通り、条例施行により、企業経営の安定化が図られるとともに労働環境の改善が進むことは、そもそも公契約条例の目的とするところであり、税の地域内循環を促し、地域経済の活性化につなげていくことが本来のねらい。
 しかしながら、条例案では受注企業への義務だけが強調されているとの指摘から、発注者の責任と企業経営の安定化を図る視点を明確に盛り込むべきとするご提案については、これまでの議論を踏まえると極めて重要な観点と考えており、前向きに受けとめてまいりたい。

○二つ目の清掃・警備業務の対象範囲について
 本来、条例の趣旨からは、より多くの労働者を対象にすることが理想であるが、実務上の負担等を考慮し、条例の実効性の確保を図る観点から、対象範囲をある程度大規模な契約に制限して提案させていただいたところ。
 しかしながら、ご指摘の通り、人件費の比率の高い清掃・警備業務については、できる限り対象を拡げることが望ましいと考えており、今後とも、議会でご議論をいただきながら、その対応について検討してまいりたい。
no1
経済活性化対策としての札幌駅交流拠点のまちづくりについて
  経済活性化対策の視点から、札幌駅周辺地域、いわゆる「札幌駅交流拠点」のまちづくりについて質問いたします。
  本市の経済は、明治2年の北海道開拓使の設置以来、一貫して行政主導による公共投資により支えられ、これまで、その経済効果は非常に大きいものがありました。
 しかしながら、財政状況が厳しさを増す中で、公共投資を抑制せざるを得ない現状においては、民間投資の拡大による経済基盤の再構築が課題といわれながら、本市においては、なかなか進展がみられず、経済の好転に結びついていないのが現状であります。
 札幌の都心は、道都として北海道の政治・経済・文化の中心的役割を担う重要な位置を占めていることから、私は、札幌のみならず、北海道全体の景気回復を牽引するためにも、本市自らが民間の投資を生かしたまちづくりを先導し、これを積極的に展開すべきであると、強く考えているところであります。
 他の大都市には見られない自然環境や、大都市ならではの多様性を有する街並みなど、札幌の特質を活かした魅力を鮮明にして、これをどのようにして経済活動の活性化や観光資源として活用できるのかを、多方面から真剣に検討し、対策を講じていけば、今以上に、国内外から多くの投資を呼び込むことができると確信しております。

 現在、本市においては、「札幌市まちづくり戦略ビジョン」の策定作業が進められております。今後、世界的な都市間競争をリードし、効果的に、より良い民間投資を勝ち取っていくためにも、たゆまずその魅力を発信し続けるとともに、札幌がどのようなまちづくりを目指しているのかを一層明確にして、民間投資が継続して行われるまちづくりの展開を図るべきです。
 ご承知のとおり、市民・道民の悲願でありました北海道新幹線の札幌延伸については、今年6月29日に工事の実施計画が認可され、その開業は23年後とされており、私も、市民・道民の1人として、1日も早い開業を願っているところであります。

 そのような中、札幌駅交流拠点については、平成22年1月から北海道新幹線の札幌延伸を見据えた将来的なあり方の検討が行われ、今年4月には、学識経験者や経済界、関係行政機関等からなる「札幌駅交流拠点再整備構想案策定委員会」から市長に、「再整備構想案」が提言されました。
この提言では、本市が北海道劇場用地として先行取得し、現在、青空駐車場や公共駐輪場として暫定利用している北5西1街区について、隣接する北5西2街区との一体的な活用を図りながら、立地特性に応じた高次都市機能の導入や土地利用と併せて交通結節機能の再編を図り、札幌の新たな“顔”の創出を目指すべきとしております。
 現在、都心部、特に駅前通沿道においては、札幌駅前通地下歩行空間(チ・カ・ホ)の開業後、これを契機としたオフィス・店舗等のビルの建替え計画や施設のリニューアルなどが進んでいるところであります。
 また、市民交流複合施設の実現を目指す北1西1地区のほか、検討を開始して以来20年余になる北8西1地区や、南2西3地区などで、民間再開発の構想が具体化してきており、私は、これらに伴って、今後、かなりの経済波及効果が期待できるものと考えております。
しかし、北海道劇場の建設が断念されて以降、北5西1街区に関しては、具体的な土地利用のイメージが見えてきません。

 私は、北海道新幹線の札幌延伸の決定は、本市の経済の立て直しを図るうえで千載一遇の好機ではないかと思っております。   
この機を逸することなく、道都さっぽろの玄関口である札幌駅交流拠点のまちづくりを具体化することは、停滞感の強い本市の経済活性化に、大きな弾みをつけるものと考えております。

 そこで質問ですが、札幌駅交流拠点のまちづくり、特に北5西1街区の土地利用については、北海道新幹線の早期開業に結びつけるためにも、早急にその見通しを立てるべきであると考えますが、経済活性化対策の一面も含め、今後、どのように進めていこうとしているのか、市長のお考えを伺います
○行政と民間の協働により都心の再生を進めることは、札幌の都市魅力を向上させることに止まらず、集客交流の活性化などがもたらす経済的な効果や、固定資産税等、市税の税源涵養を図るという財政的な効果も非常に大きいと認識しているところ。

 札幌駅交流拠点において、特に北海道新幹線の札幌駅乗入れを見据えた土地利用を行う場合、北5西1街区と、隣接する北5西2街区の一体的な活用を図ることが効果的であり、道都札幌の玄関口として拠点性の向上が期待出来ると認識。
 その際、北海道新幹線札幌延伸決定によって、札幌駅周辺の開発ポテンシャルが一層高まることが見込まれる中、民間活力を導入した周辺土地利用の早期の実現を促す取組が重要になると考えるところ。
 したがって、今後は、北5西1街区の土地利用の具体化に向けて、関係機関とも協議を進め、札幌市としての基本的な整備方針の策定を急ぐとともに、その経済波及効果をより高めるため、民間活力導入の方策などについても、検討を進めていく考え。
no1
持続可能な水道事業経営について
  持続可能な水道事業の経営について質問いたします。
水道は言うまでもなく、ひとたび断水すると市民生活や産業活動に多大な影響を与え、かつ、生命にも関わる重要なライフラインであるため、将来にわたって安全な水を安定して供給する使命があります。このためには、事故や災害が発生しても断水しないような強い水道システムを構築するとともに、適切な維持管理を継続して、給水機能をしっかり確保することが重要で、札幌市は、事故・災害対策の一環として、豊平川水道水源水質保全事業や白川第3送水管新設事業、管路や施設の耐震化等に取り組んでおります。
 一方、既存の水道施設を維持していくためには、施設の更新が不可欠ですが、市勢の発展に伴い集中的に整備した施設や管路が、近い将来、一斉に更新時期を迎えます。
 このうち、市内に張りめぐらされた約5,800㎞におよぶ配水管の更新は、現在実施している事業量の2倍のペースで行ったとしても、全て完了するまでおよそ80年はかかる見込みであると聞いています。
 また、白川浄水場の更新・改修は、現時点の概算でも500億円を超える規模になるとのことですが、本市の給水の8割を担う最大の浄水場が、万が一にも止まる事のないよう、こちらも確実に実施していかなければなりません。

 これらの更新事業は、事業量が膨大であるだけでなく、常に給水し続けながら行うことから、複雑で困難なものになり、確実な実施は、決して簡単ではないと感じております。
 そして、これらの事業を実施していくためには、当然多くの資金が必要となります。
これまでの施設の整備拡張は、高度経済成長期に給水人口が急激に増加したことに対応するべく進めてきたもので、給水需要の増加に伴う水道料金収入の増加を見込むことができましたが、現状では給水普及率も99.9%に達し、もはや給水人口と水需要の大幅な増加を期待することはできません。

 札幌市が今年5月に公表した将来人口推計によると、市内の総人口は、平成27年以降減少に転じるとともに、少子高齢社会が急速に進行する見込みとなっております。水道事業の収入の根幹である料金収入は、現在、長引く景気の低迷で減少傾向にありますが、今後は、給水人口の減少という要因が加わって、この減少傾向はさらに続くものと予想されます。
 このような社会情勢の変化に対応しつつ、多額の資金が必要となる更新や耐震化といった事業を進めるに当たっては、長期的な視点に立ち、将来にわたって健全な財政状況を維持していくことが必要であると考えます。一方、料金収入による運営を原則とする地方公営企業においては、料金制度について、利用者の理解を得ることが不可欠であります。

 現在の水道料金は、一般家庭で1カ月の使用水量が基本水量の10立方メートル以内であれば、基本料金のみの負担でよいため、使用水量に関わらず料金が同じになっています。
 しかしながら、一般家庭のうち、1カ月の使用水量が基本水量の10立方メートル以内に収まっている世帯の割合は、料金改定を行った平成9年度の35.6%から、徐々に高まり、ここ数年は43%前後で推移しています。また、使用水量が10立方メートル以内であれば料金が変わらないので、節水が報われないという意見も寄せられています。

 このため、これまでも指摘をしてきましたが、利用者に納得して料金を支払っていただくためにも、また、限りある水資源を有効に活用するための配慮の点からも、社会情勢の変化に応じた料金制度の検討を、適宜行う必要があると考えます。
 また、先にも述べたとおり水道システムを維持しながら行う施設更新や耐震化工事は、今までの新しく施設を作って拡張していく整備とは異なり、複雑で困難なものになるため、非常に高度な判断と技術力を要します。このような難易度の高い事業を確実に進めていくためには、水道局職員の技術力、人的資源の確保が必要であります。
 しかしながら、団塊の世代であるベテラン職員の大量退職により、ますます急激な世代交代も進んでいることから、高い技術力を持つ職員の育成が重要な課題となっております。例えば、白川浄水場の改修工事は、高度な技術を要するため、現場条件を熟知した経験に加え、これまでの技術力をベースとした新しい取組に対応することができる職員の存在が欠かせません。
 そこで、持続可能な水道事業の経営に向けて今後どのように取り組まれるのか、4点質問いたします。
(1) 施設整備の基本的な考え方について
 まずは、常に水を供給するために必要な施設整備の基本的な考え方を伺います
(2) 施設整備の財源の確保について
 そして、多額の資金が必要となる施設の整備について、その財源を、どのように確保していくのか伺います
(3) 料金制度のあり方について
また、水道施設の更新に備えた財源の確保は必要ですが、一方で、今後、水の使用がこれまで以上に変化していくことも踏まえると、事業運営に影響を与えない範囲で、基本水量の見直しなど、料金制度のあり方を検討してもよいのではないかと思いますが、これについてはどのように考えているのか伺います
(4) 技術力の育成及び人的資源の確保について
更に、水道事業の将来も見据えた技術力の育成及び人的資源の確保について、どのように考えているのか、併せて伺います
(1) 施設整備の基本的な考え方について
○水道事業にとって、最も重要な給水機能を確保するためには、事故や災害に強いシステムの構築を進めるとともに、予防保全の観点から施設の更新に適切に対処していく必要がある。
 現在、管路については、耐震化や更新の基本的な考え方を定めたほか、水道システム全体を見通した総合的な検討を進めている。
 今後も事業の優先順位をしっかりと見定め、将来の水需要を勘案して、施設規模の適正化を考慮しながら、計画的かつ効率的に事業を進めていく。
(2) 施設整備の財源の確保について
○健全な財政運営の観点から、借入金に過度に依存することなく、可能な限り自己財源で対応する必要がある。そのため、今後も効率的な事業運営に努め、利益を積み立てて財源として活用していきたい。
(3) 料金制度のあり方について
○健全経営を維持するための料金水準とあわせて検討する必要があることから、まずは、その前提となる施設の更新計画や中・長期の事業計画の策定を進めていく。
 また、引き続き、水の使用状況の調査分析を行い、料金制度の検証に向けて課題を整理していきたい。併せて、利用者の皆さまに水道事業の現状や料金設定の考え方などを理解していただくための取組も引き続き進めていく。
(4) 技術力の育成及び人的資源の確保について
○技術力の育成については、専任スタッフの配置や研修機会の拡大などにより、新たな技術の習得や継承に努めている。
 また、人的資源の確保については、水道局内にとどまらず、浄水場の運転管理など安全安定給水に直結する業務を担っている、札幌市水道サービス協会との技術の共有化を図ることも含め対応してきた。
 今後は、職員の更なる技術力の育成に取り組むとともに、重要なパートナーである札幌市水道サービス協会などとの連携を強化し、人的資源の確保と技術の研鑽に努めていきたい。
no1
子育て施策について
(1) 子育て環境の整備について
 この度の社会保障と税の一体改革の一番重要なポイントは、子ども子育て3法です。そして、3法の趣旨はいうまでもなく、3党合意を踏まえ、幼児期の学校教育・保育、地域の子ども子育て支援を総合的に推進することであり、その主なポイントは、①認定こども園制度の拡充、②認定こども園・幼稚園・保育所を通じた共通給付(施設型給付)及び小規模保育等地域型保育給付の創設、③地域の子ども子育て支援の充実の3つです。
 この新制度が本格的に動き出すのは、早ければ平成27年度ですが、消費税率8%への引上げにあたる平成26年度から本格施行までの1年間、保育の需要の増大等に対応するため、新制度の一部を先取りした保育緊急確保事業(子ども子育て支援法附則第10条)が行われることとなっております。
 これについては、札幌市といたしましても、国の動向を見極めながら、できる限り円滑かつ速やかに新制度を導入できるよう、万全の準備をしていくべきであると考えます。
そこで、以下、具体的に質問いたします。

① 地方版子ども・子育て会議の設置
 国においては、平成25年4月に、子ども子育て会議が設置されます。会議の構成メンバーとしては、有識者、地方公共団体、事業主代表、労働者代表、子育て当事者、子育て支援当事者等(子ども子育て支援に関する事業に従事する者)が想定され、子育て支援の政策決定過程から、子育て家庭のニーズが、しっかりと反映できるような仕組みとなっております。
 子ども子育て支援法第77条においては、市区町村において地方版子ども・子育て会議を設置することを努力義務化しておりますが、子育て家庭のニーズを把握して施策を行う仕組みは、国のみならず地方においても、極めて重要であります。
札幌市においても、子育て家庭のニーズが、より一層反映できるよう、来年度から子育て当事者等をメンバーとする合議制機関の新たな設置が必要と考えますが、いかがか伺います

② 事業計画の策定に向けたニーズ調査
 次に、今回の子ども子育て支援法の制定で、全ての自治体が事業計画を策定しなければならないこととなっております。事業計画の期間は5年で、計画策定に当たっては、国の基本指針に基づき子育て家庭の状況及びニーズをしっかりと調査し、把握することが求められています。
 平成27年度からの本格施行に向け、事業計画を平成26年度半ばまでに策定するためには、平成25年度予算において、事業計画策定に向けたニーズ調査のための経費を計上することが必要だと考えますが、いかがかお尋ねいたします

③ 札幌市における実施体制
a 準備組織の設置
 また、新制度への移行に当たっては、事業計画や条例の策定など、関係部局の連携の下で膨大な準備が必要です。国では、既に内閣府で新制度施行準備室が立ち上げられ、本格施行後は、子ども子育て本部が設置されることとなっています。 
 新たな制度への円滑な移行を目指し、札幌市においても、速やかに準備組織を立ち上げて対応すべきだと考えますが、いかがか伺います

b 利用者支援の取組
 一方で、新たな制度への移行に当たり、利用者の中から「具体的にどのような制度となるのか」「保育料はどうなるのか」等々、不安の声が数多く寄せられております。利用者に対して、新たな制度についての情報を丁寧に提供するとともに、地域子育て支援拠点などの身近な場所で、利用者の気軽な相談にも応じる体制を整えていくことが必要であります。
 例えば、横浜市では「保育コンシェルジュ」を全区で1人から2人配置して、利用者である保護者の方々のニーズや状況を伺い、それに合った保育サービスの情報提供を行っております。また、千葉県松戸市では、地域子育て支援拠点に「子育てコーディネーター」を配置し、地域の子育て支援サービスの情報提供を行い、利用者からの相談も受け付けております。
 こうした取組を、札幌市においても来年度から実施すべきではないかと考えますが、いかがか伺います
(2) ひとり親家庭の自立促進計画策定について
  ひとり親家庭は、経済状況の悪化や社会構造の変化による非正規雇用者の増大などの生活不安の中で、仕事や子育てなどの生活全般のさまざまな問題を親1人で担っており、その苦労は大変なものであります。
 このようなひとり親家庭の生活状況については、9月に厚生労働省が発表した「平成23年度・全国母子世帯等調査結果報告」の中からも読み取れます。
 これによると、厚生労働省による5年前の同じ調査との比較では、仕事についている方のうち「正規の職員・従業員」の雇用割合が、母子世帯で42.5%から39.4%に、父子世帯で72.2%から67.2%に減少し、一方「パート・アルバイト」等の非正規の雇用割合が母子世帯で43.6%から47.4%、父子世帯で3.6%から8.0%に増加しています。
 この調査結果から、不安定な雇用形態の中で、母子世帯及び父子世帯が経済状況の悪化などの影響を受けながら、家計や仕事、健康面での不安や子どもの教育・進学・就職に悩みながら生活している状況にあることが伺えます。

 国においては、母子家庭及び父子家庭の就業の支援を図るために「母子家庭の母及び父子家庭の父の就業に関する特別措置法」が今年9月に制定され、今後、厚生労働省からこの特別措置法を踏まえた基本的な方針が示される予定と聞いております。
  札幌市においても、ひとり親家庭への自立促進を図る総合的な支援計画として「札幌市母子家庭等自立促進計画」を平成20年5月に策定し、ひとり親家庭等の生活の安定と子どもの健やかな成長を基本理念として、各施策に取り組んでおります。

 しかし、この計画は今年度が最終年度となっていることから、現在、来年度からの新しい「ひとり親家庭の自立促進計画」の策定が進められておりますが、この計画の策定に当たっては、ひとり親家庭の置かれている社会的・経済的な不安定さに対応した支援の充実が必要であります。
 また、これからのひとり親家庭への支援に当たっては、生活や経済面での支援だけではなく、親にとって一番大事な感心事である子どもの健やかな成長を支える支援も必要であることから、親が安心して仕事や生活ができるように、ひとり親家庭の子どもへの学習支援や相談体制など、子どもへの総合的な支援も必要であると考えます。

① ひとり親家庭の状況把握と検討の進め方
そこで質問ですが、現在進めている「ひとり親家庭の自立促進計画」策定に向けて、どのように状況を把握し、どのように検討を進めていくのか、伺います

② ひとり親家庭の子どもへの支援 更に、ひとり親家庭の子どもへの支援について、どのようにお考えか、お尋ねいたします
(1) 子育て環境の整備について
○1点目の地方版子ども・子育て会議の設置について
 子ども・子育て関連3法の円滑な施行に向けては、幼稚園や保育所の事業者や利用者、子育て支援に従事する方など、幅広い意見を反映させる必要があり、札幌市としても早期の「子ども・子育て会議」の設置が必要と認識。
 国の動向を見極めながら平成25年度中の設置に向け準備。

○2点目の事業計画の策定に向けたニーズ調査について
 事業計画の策定に当たっては、子どもや子育てに関する需要を正確に把握することが重要であると認識。
 今後、国が示す政令や指針に基づき、しっかり調査した上で、札幌市の特性を踏まえた計画を策定する所存。

○3点目の札幌市における実施体制について
 準備組織の設置について、議員ご指摘のとおり、法施行に向けては、事業計画や条例策定のほか、新たに創設される施設型給付への対応や地域型保育給付の認可事務など、膨大な準備作業が発生すると認識。
 新制度への円滑な移行に向け、市民の混乱を招かぬよう組織体制を整え対応してまいりたい。

 利用者支援の取組について、子育てに関する相談や情報提供については、区役所のほか、区保育・子育て支援センターなどの子育て支援拠点で行っているところ。
 今後、個々の子育て世帯の状況やニーズに対応した情報を効果的に提供できるよう、他都市の取組も参考にしながら検討してまいりたい。
(2) ひとり親家庭の自立促進計画策定について
○1点目のひとり親家庭の状況把握と検討の進め方について
ひとり親家庭の実態を把握するため、札幌市独自のアンケート調査を本年10月に実施したところ。
 調査結果によると、非正規雇用の割合が全国平均より高く、収入、雇用の不安や子どもの教育・進路などの子育てに関する悩みを抱えている世帯が多かった。
 このアンケート結果に加え、現計画での事業の検証を行い、国の動向や学識経験者、公募市民などによる「札幌市ひとり親家庭等自立促進計画検討協議会」での意見を踏まえ、次期計画の策定を進めてまいりたい。

○2点目のひとり親家庭の子どもへの支援について
 ひとり親家庭の子どもは、一方の親との離別に伴う生活環境の変化によってさまざまな不安を抱えていることから、精神的にも経済的にも特別な支援が必要と認識。
 このため、「札幌市ひとり親家庭等自立促進計画」の策定に当たっては、ひとり親家庭の子どもへの支援の充実についても検討を進めてまいりたい。
no1
防災・減災対策について
  東日本大震災から1年8ヵ月余りが経過し、会計検査院は、平成23年度復興関連予算の執行状況調査の結果を明らかにいたしました。
 総予算額14兆9,243億円に対し、執行率は8兆906億円の54.2%に留まり、5兆7,203億円は今年度に繰り越され、1兆1,132億円は不用額として国庫に返納されました。

 先月22日、政府は復興状況に関する初の報告書を閣議決定し、国会に報告しましたが、直轄の河川堤防は99%が完了、国道は97%が復旧した一方で、被災者にとって最も大切な復興住宅の必要戸数2万952戸に対し、着工出来たのは、20%の4,227戸にすぎません。避難者は約47万人から約14万人が減少するも、約70%の32万6,873人の方々が住み慣れた我が家を失い、今も避難所暮らしを余儀なくされておられます。

 民主党を中心とした政府与党の拙い予算運営で復旧・復興が大きく遅れていることは、数字の上でも明らかであります。
 「民の声」「現場の声」をしっかりと聞き受け止め、その声に応えて、国民や市民の生命と財産を守り抜くことが、国や札幌市、行政の責務であることは当然のことであります。
 日本の国土面積は、世界の国土面積の約0.3%にも拘らず、世界におけるマグニチュード6以上の地震のうち、約20%は我が国周辺で発生しています。
昨年の3.11以降は、「想定外をなくす」「想定外は必ず起こる」ことを前提に、これを原点とした新たな「防災・減災」のハード・ソフト両面からの対策が必要不可欠であり、喫緊の課題になっていると考えます。

 防災・減災対策の加速が求められる中で、厳冬期における月寒断層によるマグニチュード7.3直下型大地震の発生シミュレーションや橋梁の長寿命化計画など、札幌市の多くの取組は評価できますが、防災という観点からの対策が主たるもので、札幌市まちづくり戦略ビジョンの策定に関する答申書でも「地域防災力が高く災害に強いまちにします」との基本目標が掲げられておりますが、減災という視点からの対策が不足している感があります。
 公明党は「防災・減災ニューディール」という政策を掲げており、わが会派は、「防災・減災」両面からの新たなる対策が肝要であると考えております。

 橋や道路をつくるハード面だけではなく、どうしたら災害を減らすことができるか、どう避難したらいいか、子どもたちに何を教えたらいいか、ご近所でどういう取組をしたらいいか、そのようなソフトの面を含めた防災・減災対策を、命を守る視点で実行していく。更に、防災・減災の取組は、有効な経済対策という側面も持っております。
 そのために、総点検運動を実施し、どこから先に手をつけるか、優先順位を決めて確実に実行し、国からの押し付けではない、地方や札幌市の裁量で独自性を発揮できる事業を進めるべきであると考えます。
(1) 非構造部材の総点検の実施について
 そこで質問です。
 公共施設や学校等の建築物本体の耐震補強工事は予定通り進捗しているも、非構造部材の耐震化は大きく遅れている中で、非構造部材の総点検を実施すべきと考えるがいかがか
(2) アクセス道路等の空洞化対策について
 また、災害時の救援物資搬送の緊急輸送道路は確保されていても、地域内の病院や避難所へのアクセス道路が陥没すれば、緊急搬送や生活救援物資の搬送ができなくなることも予測されます。
 アクセス道路等の安全性確保を目的とした、空洞化対策の総点検を実施すべきと考えるがいかがか
(3) 防災・減災対策の優先順位等の計画立案について
 更に、その他、社会基盤施設の総点検を実施し、本市の防災・減災対策の優先順位等の計画立案に取り組むべきと考えるがいかがか、併せてお伺いいたします
(1) 非構造部材の総点検の実施について
○東日本大震災では、天井材などの落下による被害も多数発生しており、地震発生時の安全確保の観点から、建築物本体だけでなく、非構造部材の耐震対策も重要と認識。
 現在国において、建築物における天井落下防止対策の基準づくりを進めており、来年度はこの基準も踏まえながら必要な調査を行い、非構造部材の耐震対策を進めてまいりたい。
(2) アクセス道路等の空洞化対策について
○ご指摘にありました、アクセス道路等の安全性確保を目的とした道路の空洞化対策については、都市の防災・減災対策としても有効と認識。
 これまで、道路陥没等の恐れのある箇所を対象に、空洞調査を行うと共に補修を行い、陥没事故の未然防止に努めてきたところ。
 今後については、ご指摘の主旨を踏まえつつ、空洞化対策の効率的かつ効果的な実施について、検討してまいりたい。
(3) 防災・減災対策の優先順位等の計画立案について
○地域防災計画では災害に強いまちづくりを進めることを目的としており、各社会基盤施設において調査・点検を行いながら、災害対策に取り組んでいるところ。
 第3次札幌新まちづくり計画においても、「市民とともに災害に備えるまちづくり」を重点課題に掲げ、重点的・優先的に推進すべき事業を定めている。
 今後も、優先度等を考慮しつつ、札幌市全体としての防災力向上に努めてまいりたい。