議会報告

平成24年第1回定例議会
代表質問 福田 浩太郎 議員
(手稲区)

2月21日札幌市議会本会議において公明党議員会を代表して福田 浩太郎 議員が代表質問を行いました。
市長の政治姿勢について、行財政改革推進プランについて、地域防災力の強化について質問しました。
以下、質問とそれに対する答弁の要旨を紹介します。
no1
市長の政治姿勢について
(1) 今後の社会福祉政策について
 これまでの社会福祉が守備範囲としてこなかった領域、制度と制度の狭間となっている領域にいかに対応していくかであります。
現行の福祉制度の狭間にあって、本当に支援を求めている人々に必要な支援が行き届くことのできる福祉社会を築くため、今後どのように取り組もうとされるのか、市長のお考えをお示しください。
(2) 不祥事防止対策について
① 今年度の不祥事に対する市長の認識
 昨年末からは窃盗や酒気帯び運転など不祥事が頻発しており、平成23年度の教員を除く懲戒処分者数は1月末までで14名で、職務上のものから職務外のものまで、さまざまな不祥事により懲戒処分を受けています。
 このように職員の不祥事が続いていることについて、市長はどのように認識しているのかお伺いいたします。  
② 新たな不祥事防止対策    
 懲戒処分者数あるいは不祥事の件数は、多い少ない、増えた減ったということを語るものではなく、本来ゼロであってしかるべき数字であります。
新たな不祥事防止対策についてどのように考えているのか伺います。
(3) 共通番号制度への対応について
 政府は2月14日、国民一人ひとりに番号を割り振りして、納税実績や年金などの情報を管理する共通番号制度を導入する「個人識別番号法案」いわゆる「マイナンバー法案」を閣議決定し、国会に提出しました。
少子高齢化や人口減少時代を迎える中で、共通番号制度は重要な社会的インフラになるものであり、札幌市においても、国の示すスケジュールに則り、しかるべき時期に導入すべきであると考えますが、市長はこの制度について、現状でどのような認識にあるのかお伺いたします。
(1) 今後の社会福祉政策について
 白石区で2人姉妹が孤立死された痛ましい出来事は、地域における「きずな」の重要性を改めて考えさせるものでした。本当に支援を求めている人々に必要な支援が行き届くことが出来る福祉社会を構築するためには、地域で行われている様々な活動を、分野を超えて複層的に重ね合わせ、支援を必要とする人々をすくう網の目をより一層細かくしていく必要があります。
 そのためには、現在策定中の地域福祉社会計画に基づき、福祉行政の質を高めるばかりではなく、地域での支え合い活動の活性化や、さまざまな地域資源をつなぐネットワークの推進などによって、市民による支え合いをより一層進めていくことが重要であると認識しています。
 今後、この視点に立って、まずは、行政と地域との連携体制を強化し、地域住民や関係団体が自主性を持って支え合い活動に取り組むことが出来るよう支援してまいります。
(2) 不祥事防止対策について
 1点目の不祥事に対する私の認識については、これまでも、過去の不祥事に関する事例をまとめて周知を図るなど、さまざまな再発防止策を講じ、市民の皆様の信頼回復に努めている中で、昨日も本市職員が逮捕されるなど不祥事が起きたことは、私としてもたいへん遺憾です。
 詳細が明らかになり次第、厳正に対処したいと考えているが、これ以上繰り返さないためには、今まで以上に不祥事防止の取組を着実に進めていくことが重要と認識しています。  
 2点目の新たな不祥事防止対策については、昨年11月に職員が逮捕された際に、過去の違法行為が判明したことを受け、職員がそのような行為を行った場合の所属への報告義務を明文化いたします。
 併せて、職員の違法あるいは不適切な一定の行為について、その類型や程度に応じた処分の基準を整理した「懲戒処分の指針」を新たに策定します。これらにより、職員が服務上の義務に違反した場合にどのような責務を負うかを明らかにし、職員の自覚を促すとともに、所属での職員の指導監督に生かしていくことにより、不祥事の未然防止につなげることができると考えています。
(3) 共通番号制度への対応について
 共通番号制度の導入については、日弁連が指摘するようにプライバシー権の問題や費用対効果の問題などさまざまな課題を抱えていると認識しています。一方で、より正確な所得・資産の把握は新しい社会保障制度に必要なものと考えます。
 非常に悩ましい問題だと言わざるをえないが、やはり、この制度の抱えるさまざまなリスクが、公益、私益と比較し社会的に許容できるものとして国民的合意が必要だと考えています。国は、そのために、国民に対して丁寧な説明と議論をしっかりと行い、市町村と十分協議のうえ、国民が納得いく制度を作るべきであると考えています。
no1
平成24年度予算について
(1) 予算編成の考え方について
 市町村は、市民に一番近い基礎的自治体として、何よりも住民の生活を守ることが最重要の使命であり、そのためには、低迷する経済状況や、今後の超少子高齢社会への推移なども踏まえ、中長期的な視点にたち、将来を見通した自治体運営が不可欠なものと考えます。
 平成24年度予算の編成にあたり、市長が重点化を図った事業などの財源を、どのような考え方で盛り込んだのか伺います。
(2) 行財政改革推進プランについて
① 実施する項目選定の考え方 
 平成24年度予算には、行財政改革推進プランの取組によって102億円の効果額が見込まれております。
 行財政改革推進プランに掲げた項目について、平成24年度予算で実施する項目をどのように選定したのか、その考え方を伺います。   
② 基金取崩しの考え方
 さまざまな政策課題への対応を充実しながら、市民負担にも一定の配慮をした結果であるとは思いますが、札幌市の貴重な蓄えである基金を、取り崩すことに不安を感じるところです。
 平成24年度予算案における基金取崩しの考え方について伺います。
(1) 予算編成の考え方について
 平成24年度予算編成にあたっては、子どもを安心して生み育てることができるまちを目指す施策や、依然として厳しい状況にある地域経済への対策などに、重点的に予算を配分したところだが、こうした新たなまちづくりの財源を確保するために、「札幌市行財政改革推進プラン」に基づく取組を着実に進めることとしました。
 財源確保に当たっては、持続可能な財政構造の確立に向けて、継続していくことが見込まれる新規・レベルアップ事業への対応として、見直し効果が継続していくような方策を一定程度盛り込むことを基本としました。
(2) 行財政改革推進プランについて
 1点目の実施する項目選定の考え方については、札幌市行財政改革推進プランにおいては、人件費の見直しや事業執行方法の工夫など内部努力を優先的に進める一方、収納率向上や受益者負担の適正化など財政基盤の強化にも取り組むこととしています。
 平成24年度予算編成に当たっては、プランに盛り込んだ項目について、歳出、歳入の両面からスピード感を持って取り組むこととしたものです。これらの中には、保育所保育料や児童クラブ利用料などの受益者負担の見直しについて盛り込んでいるが、保育サービスを中心とした子育て施策の大幅な充実を図りつつ、安定的に進めていくためにお願いするものであるので、市民の皆さんにもご理解をいただきたいと思います。  
 2点目の基金取崩しの考え方についてです。行財政改革推進プランにおいては、平成24年度から26年度の間で210億円の基金を活用することとしているが、基金は、限りある貴重な財源であることから、他の財源とのバランスや後年次の財政需要を勘案した上で、取崩しが過大とならないように留意し、平成24年度予算では、土地開発基金からの30億円の取崩しに留めたところです。
 さらに、なお不足する財源の補填のため、財政調整基金を26億円計上し、合せて56億円を基金から取り崩すこととしているが、基金の重要性を踏まえて、今後も予算執行段階での節約などを通じて、取崩しをできる限り抑え、将来の財政需要に備えて参ります。
no1
官製ワーキングプア対策と公契約条例について
(1) ワーキングプア解消に向けた取組について
 ワーキングプアに該当する人は、必ずしも民間企業に働いている人々ばかりでなく、地方自治体の保育所、学校、市役所、公営企業などで、臨時職員や嘱託職員として安い賃金と不安定な労働条件の下で働いている人や市の出資団体や指定管理者の下で働く人々の中にも沢山おり、その賃金は正規職員の3分の1程度で、いわゆる官製ワーキングプアと言われております。
 ワーキングプアの解消に向けては、本市発注の工事等に係る人件費のアップに限ることなく、本市の出資団体や民間への委託事業等については適正な賃金を支払うよう指導するとともに、指定管理者についても公募要件に適正な雇用環境の確保を定め、それに見合う指定管理費を増額するなど、可能な取組から速やかに実施すべきと考えますが如何か、お伺いいたします。
(2) 公契約条例について
 今回の条例の適用範囲として予定される関係業界である、建設業界、ビルメンテナンス業界・警備業界などの業界団体、さらには札幌商工会議所から、条例の施行については、いろいろな課題があることが指摘されており、これに対する反対の陳情、要望書が提出されている現状であります。
 市長は「公契約条例」制定に反対されている札幌建設業協会、北海道ビルメンテナンス協会、北海道警備業協会さらには札幌商工会議所に対して、これまでどのように理解を求めてきたのか、更には、今後どのようにして理解を得ていこうとしているのか、合わせてお聞かせ願います。
(1) ワーキングプア解消に向けた取組について
 厳しい経済情勢を背景に、労働者の労働環境が大変厳しい状況にあり、ワーキングプアが増加していることは大きな課題と認識します。この解消に向けての取組のひとつとして札幌市が発注する工事や業務委託などについて、受注者に労働者の一定水準の賃金支払いを義務づける公契約条例を提案しているものであり、指定管理者についても対象とし、労働環境の確保を図りたいと考えています。
 なお、すでに指定管理者の選定の際には、雇用継続の取組について提案してもらうなど、雇用問題に対する一定の配慮を行っています。また、公契約条例の対象外となる委託契約の一部についても、労働集約型で落札率が著しく低いものについて、低入札価格調査の対象とし、労働者の賃金実態の把握に取り組むなど、今後も、市の事業に関わる労働者の適正な労働環境の確保に向けて、可能なものから順次取り組んで参ります。
(2) 公契約条例について
 ご指摘にあるとおり、野田市、川崎市においては、全会一致で承認されているほか、昨年12月には多摩市では全会一致、相模原市でも大多数の賛同を得て、条例が可決されたと承知しています。
 条例は、市が発注する工事や業務委託で働く人々に適正な賃金が支払われるとともに、関係業界にとっても人材の確保や技術の継承につながることから、双方にメリットがあり、本市においても、ぜひ多くの議員の賛同を得て、条例を成立させたいと考えています。  
 次に、関係業界や経済界に対して、これまで、どのように理解を求めてきたかという点については、昨年の7月以降、業界ごとに条例に係る意見交換を行ったほか、条例素案の説明を行うなど、条例の趣旨や内容について、理解がいただけるよう努めてきたところです。
 しかしながら、関係業界において、さまざまな不安や懸念があることから、これを払拭するため、まずは札幌商工会議所に対して、あさって2月23日に、条例案に加えて賃金額の確認方法など具体的な実務に関する説明の機会を設けることとしているほか、関係団体に対しては入札制度のあり方について、それぞれ継続的な協議の場を設置し、速やかに開催することで合意を得ており、こうした意見交換や協議を通じて、課題を整理し、条例に対する理解が得られるよう、さらに努力していきます。
no1
地域防災力の強化について
(1) 防災会議への女性委員登用について
① 防災会議への女性委員の登用拡大
 公明党では、女性の視点で既存の防災対策を見直すと共に、新たな対策を検討するための「女性防災会議」を立ち上げ、全国で「女性の視点からの防災行政総点検」を実施しました。
 札幌市においても、防災会議への女性委員の登用をより拡大するべきと考えますがいかがか。
② 防災対策に女性や高齢者、障がい者等の視点を反映させる取組
 札幌市の防災対策に女性や高齢者、障がい者等の視点をより反映させるため、どのように取り組んでいくのか伺います。
(2) ハザードマップの普及啓発と活用の実態について
 先の大震災では、災害発生時の迅速・的確な判断と、確実な避難行動の実施が生死を分け、あらためてそれぞれの地域における災害危険の把握と、災害事象や対策に係る知識の重要性が明らかになりました。
 札幌市では、地震防災マップをはじめとして、数種類のハザードマップが作成されていますが、その普及啓発と活用の実態について伺います。
(3) 自主防災組織の停滞・形骸化を防ぎ、新たな人材育成に向けた支援について
 札幌市の自主防災組織の結成率は、全国的にも高い数値であると認識しておりますが、都市化の進展による地域コミュニティーの変化や高齢化などにより、自主防災組織の形骸化や活動の停滞化に悩む地域も少なくないと聞いています。
 自主防災組織の停滞、形骸化を防ぎ、新たな人材育成に向け札幌市としてどのように支援をしていくのか伺います。
(1) 防災会議への女性委員登用について
 1点目の防災会議への女性委員の登用拡大については、防災会議の委員は、災害対策基本法に基づき、札幌市防災会議条例を定め、指定地方行政機関、指定公共機関及び指定地方公共機関などの防災関係機関からの推薦により、委員の委嘱を行っています。
 平成20年度には、女性の視点からの防災対策検討の必要性と男女共同参画の基本理念にのっとり、条例改正を行い「市長が防災上必要と認める者」とした条項を追加し、女性委員3名の登用を行いました。今後も、各関係機関に対し、女性委員の推薦を依頼するなど、登用拡大に努めてまいります。
 2点目の防災対策に女性や高齢者、障がい者等の視点を反映させる取組については、今回の大震災の事例からも災害対策には、改めて女性、高齢者及び障がい者等の視点を反映させることが重要であると認識し、男女共同参画のシンポジウムへの参加や高齢者団体、障がい者団体の方々との意見交換会を行ってきました。
 今後も、女性や福祉専門職等の方々の意見を聞く場を設けるなどし、地域防災計画や収容避難場所の環境整備の見直しに反映させてまいります。
(2) ハザードマップの普及啓発と活用の実態について
 ハザードマップについては、これまで対象地域の住民への説明会や出前講座、各区が実施する防災リーダー研修等において配布し、活用方法についての周知を図ってきたほか、災害図上訓練(DIG)などの場においても、参加者の共通認識を図る資料として活用してきたところです。
 ハザードマップは、身近な災害危険を知り、その危険から回避する備えを考えるうえで有用なものであることから、今後も、あらゆる機会をとらえ、積極的活用と普及啓発に取り組んでまいります。
(3) 自主防災組織の停滞・形骸化を防ぎ、新たな人材育成に向けた支援について
 自主防災組織への支援については、来年度から、これまでの防災リーダー研修に加え、既に地域の防災リーダーとして活動されている方を対象に、上級研修を実施し、市民の防災知識の習熟度に応じた研修機会を提供していきたいと考えています。
 また、現在企業向けの防災パンフレットを作成しているところであり、企業の組織力や技術力等を生かして、自主防災組織と連携しながら、地域の防災に貢献する取組を促すこととしています。 さらに、来年度は、小中学校で活用できる副教材を作成し、防災教育の充実を図ることとしています。これらの取組を推進し、自主防災活動の活性化や新たな人材育成など、継続的な地域防災力の向上につなげていきたいと考えています。
no1
丘珠空港の課題と将来展望について
(1) HACの経営安定化に向けた取組について
 株式会社でもあるHACの経営については、まずはHAC自身と筆頭株主である北海道が中心となり今後の安定に向けて対策を講じ、説明責任を果たして行くものであります。
 札幌市はHACの拠点空港である丘珠空港を抱える地元自治体として、HACの経営の安定化に向けてどのように取り組んで行くのか伺います。.
(2) 札幌市及び道内全体における丘珠空港の位置づけについて
 丘珠空港は、札幌市民の空港としてのみならず、道民すべての方々にとって、大変重要な空港であり、更には東北地方からの将来の路線展開も含め、道内全体の活性化のためにも、永続的な活用が重要と考えます。
 市長は、札幌市及び道内全体における丘珠空港の位置づけについて、どのように考えているのか伺います
(3) 丘珠空港の現状認識と取組及び今後の有効活用について
 丘珠空港の滑走路の延長や、ジェット化の検討も含め、道内便ということにこだわらず、広く道外便を飛ばすことも視野に入れるなど、空港機能のなお一層の充実・強化が必要ではないかと考えます。
 市長は丘珠空港の利用の現状をどのように認識し、今後、どのような取組をすべきと考えているのか伺います。
 今後のより一層の有効活用のため、滑走路の延長やジェット化を検討する考えはないのか、あわせて伺います。
(4) 丘珠空港周辺への道立施設等の誘致について
 丘珠空港の活性化を図るために、民間企業のみならず、道立施設等の誘致を市長として北海道知事に要請すべきではないのか併せて伺います。
(1) HACの経営安定化に向けた取組について
 現在HACでは、経営安定化に向けた主体的な取組を行っているところであり、札幌市としても側面から支援を行う必要があると認識しています。
 札幌市としては、航空利用の拡大を柱とした「丘珠空港活性化プログラム」を昨年5月に策定し、HACとともに札幌駅前通地下歩行空間でのPRを始めとした、路線の利用拡大に向けた取組を実施してきたところです。今後もHACとの連携をさらに強め、積極的に利用促進の取組を進めることにより、経営安定化を支援してまいります。
(2)札幌市及び道内全体における丘珠空港の位置づけについて
(3)丘珠空港の現状認識と取組及び今後の有効活用について
 2点目と3点目は、関係する質問なので一括してお答え致します。
 丘珠空港は、札幌と地方都市間を結び、ビジネスや医療、観光をはじめとした市民生活を支える道内航空ネットワークの拠点としての役割を担っているところです。現在、HAC1社のみの運航であるが、関係機関が連携して丘珠空港の活性化に向けた取組を進めており、こうした取組により利用者数の増大及び就航路線の拡大につなげたいと考えます。  
 滑走路の延長などを含めた丘珠空港の今後の有効活用については、これまでの周辺住民の皆様との合意などの経緯を前提としつつ、国の航空政策や航空業界の動向を踏まえるとともに、議会や経済界などの幅広いご意見を頂戴しながら、中長期的な視点に立って考えてまいります。
(4) 丘珠空港周辺への道立施設等の誘致について
 先ほども申し上げたとおり、丘珠空港は札幌と地方都市間を結ぶ道内航空ネットワークの拠点として、今後とも札幌が有する高次都市機能を広く道民が享受することに寄与する役割を有しています。したがって、空港周辺にその役割にふさわしい施設が立地されることは望ましく、ひいてはこのことが空港の利用促進にもつながるものと考えています。
 丘珠空港の活性化については、ご質問の趣旨も踏まえまして、今後とも北海道など関係機関と連携のうえ取組を進めていきます。
no1
障がい児福祉施策について
(1) 新サービスへの移行の見通しについて
 一昨年12月には、ねじれ国会の中、障害者自立支援法及び児童福祉法の改正法が成立し、障がい児支援については、児童に障がいがあるとわかってからの一貫した支援を可能にするため、本年4月から、身近な地域で支援が受けられるよう、施設・事業体系が大幅に見直されることになります。
 とりわけ、障がい児の通所サービスについては、日々の療育を提供するとともに、ご家族に対する相談や助言を行う重要な機能を担っておりますが、今後は根拠法が児童福祉法に一本化され、障がい種別による区分をなくした新サービスに再編されるとともに、施設系サービスについては中核的な療育支援施設である「児童発達支援センター」と、身近な地域における療育の場である「児童発達支援事業」の2類型が設けられると聞いております。
 今回の制度改正に関しては、国から詳細が示されるのが遅延しているとも聞いており、児童デイサービス事業所や障害児通園施設が、まずは新サービスに円滑な移行を果たすことが課題と思いますが、本年4月の時点でどのように移行していく見通しなのか伺います。
(2) 児童発達支援センターの整備について
 児童発達支援センターについては、地域の中核的な療育支援施設としての機能が期待されますが、札幌市では、今後どのように整備を進めていく考えなのか伺います。
(1) 新サービスへの移行の見通しについて
 児童デイサービス及び障害児通園施設の新サービスへの移行の見通しについてです。今回の制度改正については、国からの通知が遅延している状況にあるが、新サービスへの移行に関しては基本的な方針が示されたところ。本年4月の時点で、障害児通園施設は「児童発達支援センター」に、児童デイサービス事業所は「児童発達支援事業所」と就学児童を対象とした新サービスである「放課後等デイサービス事業所」に、それぞれ指定を受けたものと見なされます。  
 各施設・事業所が、自ずから新サービスへ移行することとなり、従前どおり障がい児に対する療育が、途切れることなく提供されます。現行利用者や事業者に対しては、制度改正に伴う不安感を抱くことのないよう、個別に制度改正について案内し、情報提供を行っているところです。
(2) 児童発達支援センターの整備について
 札幌市における児童発達支援センターの整備については、本年4月の時点で市内では、現行の知的障害児通園施設4ヶ所、肢体不自由児通園施設3ヶ所が、児童発達支援センターとして引き続き運営されています。
 児童発達支援センターは、地域における療育の場であることはもとより、新たに保育所等への支援や障がい児相談支援を提供するという地域支援の役割も担うこととされています。地域支援については、中核的な療育機関として重要な機能であり、その実施に関しては、人員体制の確保などを考慮し、施行後3年の猶予期間が設けられています。
 札幌市としては、児童発達支援センターがいかにして地域と連携を図り、専門的支援のノウハウを提供していくかといった課題を整理しながら、整備についての検討を進めてまいります。
no1
エネルギー施策について
 札幌市は、2008年6月に「環境首都・札幌」の宣言や2011年3月に温暖化対策推進ビジョンの策定など、環境・エネルギーに関する市民意識の啓発と目指すべき将来の札幌市の姿を示しています。
 札幌市独自の高断熱化基準「札幌版次世代住宅基準」に適合する新築住宅を認定し、建設費の一部を補助する「札幌版次世代住宅普及促進事業」により高断熱住宅が普及し、CO2排出を抑制することはもとより、高断熱住宅の必要性が理解され、認知度が高まることが期待されるところです。
(1) 原子力発電に依存しない社会を目指すことについて
 札幌市においても「原子力発電に依存しない社会」を目指すため、早速、エネルギー転換調査にとりかかり、調査を進めていることは承知しており、昨年12月にはこの調査の中間報告がありました。
 今年度行っているエネルギー転換調査のアンケート調査結果を、今後の施策にどのように具体的に反映し、「原子力発電に依存しない社会」を目指していくのか伺いたい。
(2) スマートグリッドやスマートメーターなどの新技術について
 今後、エコ社会への転換をしていく上で、情報通信技術を活用し、電力を効率的かつ安定的に供給する新たな送電網であるスマートグリッドや、通信機能を備えた電力メーターであるスマートメーターなどの新技術の普及が鍵となるが、これら新技術についてどのような見解をお持ちなのか伺いたい。
(1) 原子力発電に依存しない社会を目指すことについて
 省エネの推進と太陽光発電をはじめとした再生可能エネルギーの普及を進めることが重要であると考えており、このたびの市民アンケート調査においても同様の意見が多数を占めました。
 新年度においては、アンケート結果を踏まえ、太陽光発電や高効率給湯器等の設置に対する補助枠を大幅に増額するなど、既存事業の拡充を図ります。また、節電効果が高く市民が誰でも気軽に参加できる事業として、LED電球の普及を促進するキャンペーンを新たに実施する予定です。
 今後も、効果の期待できる施策は迅速に事業化を図り、エネルギー転換調査を進めるなかで具体的な道筋を検討し、「原子力発電に依存しない社会」を目指してまいります。
(2) スマートグリッドやスマートメーターなどの新技術について
 省エネをより一層推進させるとともに、天候に左右されやすい太陽光や風力発電などの再生可能エネルギーを大幅に普及させていくためには、電力の安定的かつ効率的な需給バランスを実現させる必要があり、スマートメーターやスマートグリッドなどの新技術が不可欠であると認識しています。今後、国のエネルギー政策や技術開発の動向などを注視しながら、札幌に適した新技術の活用方法について調査・検討を行ってまいります。
no1
総合特区の推進に向けた取組について
(1) 北海道フード・コンプレックス国際戦略総合特区における国内外の企業誘致の推進と企業集積について
 北海道フード・コンプレックス特区は、食産業の研究開発及び販路拡大拠点の形成によって、東アジアの食市場を獲得することを目指しております。
 この実現のためには、行政による経済施策の展開はもちろん、経済活動の担い手である企業自体の集積が非常に重要な要素となると考えます。
 企業の集積は、企業間の新たな連携による相乗効果を生み出し、付加価値をますます高めていくという経済の好循環に繋がるものでありますから、地域経済の担い手である地場企業の発展はもちろんのこと、それらとの連携が期待される国内外の企業を戦略的に誘致してくることも不可欠であると考えるところであります。
 北海道フード・コンプレックス国際戦略総合特区を確実に推進し、その効果を高めていくために、どのように企業誘致を進め、企業の集積を図っていくおつもりか、お伺いします。
(2) 札幌コンテンツ特区における目標の実現について
 札幌コンテンツ特区は、ロケ撮影に係る規制緩和、権限の委譲、そしてワンストップ窓口の創設という、我が国ではこれまでにない、先駆的なチャレンジを進めていこうとするものであることは間違いないと思いますが、世界における先進的な地域では国家レベルで大型ロケ誘致に取り組んでおりますことから、「アジアにおけるコンテンツ産業拠点都市を目指す」という札幌コンテンツ特区の目標は非常に高いハードルと言えます。
 札幌コンテンツ特区が掲げるこの高い目標をどのように実現しようと考えているのか、伺います。
(1) 北海道フード・コンプレックス国際戦略総合特区における企業誘致の推進と企業集積について
 特区の指定を受けたことから、国際競争力強化への取組を進める食・バイオ関連企業に対しては、法人税や融資利率の軽減といった税制・金融上の支援や、国の補助金といった財政支援など、特区のメリットを積極的にアピールします。
 また、誘致活動にあたりましては、特区の関係団体が連携して取り組むこととし、札幌市においても、来年度、エレクトロニクスセンターへの受け入れ態勢を整えるほか、バイオ産業などの先端産業の立地を促進するための補助制度を創設するなど、企業誘致につながる施策の強化を図り、食関連産業の集積に取り組んでいきます。
(2) 札幌コンテンツ特区における目標の実現について
 札幌市は韓国・釜山広域市と、また、さっぽろ産業振興財団等がオーストラリア・クイーンズランド州の映像制作事業者との間で、映像産業の振興に係る覚書(MOU)を締結しました。さらに、札幌のフィルムコミッションが、アジアを中心に15の国で構成する国際的なフィルムコミッションネットワークにおいて中心的な立場にあります。  
 この他、国内外の有力な映像制作会社やその分野のキーマン、行政機関等と強い信頼関係を築いてきており、それが札幌の大きな強みです。したがって、札幌は世界の先進的な地域と競い合うというよりは、共存関係を築き、こうした国際的なネットワークを活用するとともに、札幌・北海道が有する豊かな自然環境や、特区で提案しているワンストップ窓口など撮影しやすい環境をアピールすることで、アジアにおけるコンテンツ産業拠点都市を目指していきます。
no1
若者支援の取組強化について
(1) 就業支援について
 

長引く経済の低迷により厳しい雇用情勢が続いています。とりわけその影響を受けているのが若い世代であり、他世代と比較しても低い求人倍率や高い非正規雇用の割合からもわかります。

① 若者と中小企業をつなぐ新たな支援
 中小企業に関する情報提供体制の充実など、さらなる若者と中小企業のマッチングにむけた取り組みをどのようにおこなっていくのか伺います。

② 若者雇用施策の充実
 求職者の若者を早期に就職につなげていくために資質の向上が必要であり、これらの事業をより一層充実していくべきと考えますがいかがか伺います。

③ 中学校における職業観を育む教育の充実
 札幌市では、これまでも市立高校において「自分自身を発見し、将来の生き方や進路について考えさせる」ため「進路探究学習推進事業」を実施してこられました。
 本市では中学校でも職場体験を行っていると聞いておりますが、今後、中学校でも、様々な方策を取りながら、職業観を育む教育を、より一層充実させるべきと考えますがいかがか伺います。

(2) 今後のニート・ひきこもり支援について
 札幌市においては、平成22年4月に若者支援総合センター及び若者活動センターからなる若者支援施設を設置し、さらに、同年9月には地域における子ども・若者育成支援のネットワークとして北海道労働局やジョブカフェ北海道を始めとする関係行政機関やNPOなど民間団体で構成される「さっぽろ子ども・若者支援地域協議会」を創設し、子ども・若者の支援体制づくりを進めてきております。
 今年度、札幌市は「ひきこもり実態調査」を実施し、この調査によって得られる引きこもりの原因や望まれる支援の内容などを検証し、今後の若者支援の施策に反映させることとしております。
 若者支援総合センターの活動実績や「ひきこもり実態調査」の結果などを受けて、今後のニート・ひきこもり支援について、どのように進めていくのか、伺います。また、新年度から若者支援に係る事務が教育委員会から子ども未来局に移管されますが、その目指すところと併せてお伺いいたします。
(1) 就業支援について
 1点目の若者と中小企業をつなぐ新たな支援については、現在実施している、インターネットによる求人情報の提供に加え、企業の特徴やアピールポイントを、広く求職者に発信できるサイトを、新年度から立ち上げます。さらに、求職者の希望に合致する新規の求人登録があった際に、就業サポートセンターから、求人情報をタイムリーにメール配信するサービスを開始します。
 2点目の若者雇用施策の充実については、これまでも、参加者を始め求人企業からの声などを参考に、社会人基礎力を習得するためのカリキュラムの充実や、資格取得などを取り入れた就職支援に取り組んできたところです。今後も、若年求職者の資質向上につながるよう、事業の充実に努めます。  
 中学校における職業観を育む教育の充実については、教育委員会として、札幌市教育推進計画に、将来の生き方や進路について考えさせる進路探究学習の充実を位置付け、職業観を育む教育を推進しているところです。現在、すべての市立中学校において、職場体験を実施しているほか、職業調べや事業所見学の実施など、3年間を見通した系統的な進路探究学習に取り組んでいます。
 教育委員会としては、今後とも、職場体験の活動日数や内容の一層の充実に向け取り組んでまいります。
(2) 今後のニート・ひきこもり支援について
 今後のニート・ひきこもり支援について、若者支援の事務移管の目指すところと併せて答えます。若者支援総合センターの相談や支援プログラムの実績、「ひきこもり実態調査」などから、ニート・ひきこもり支援に当たっては、早期支援が重要と考えます。
 早期支援・未然防止の観点から、中学校・高校の卒業者のうち進路未定の者を若者支援総合センターにつなげる事業などを実施しており、これからも学校と連携した取組を行っていきます。
 また、ニートやひきこもりの若者やその家族が孤立しないよう、地域と連携した取組も重要です。
 そこで、青少年の健全育成を所管する子ども未来局に、若者支援の事務を移管し、各区の青少年育成組織などを通じて、ニートやひきこもりに対する啓発を行い、支援機関を紹介するなど、地域と連携した若者支援の取組を進めていきます。
no1
縄文文化の評価と遺跡の活用について
 市場経済の行き詰まりや、3.11、とりわけ福島第一原発事故を経て、大量生産、大量消費社会からの転換が模索されております。
 昨今、北海道・北東北の「縄文遺跡群」を世界遺産にという動きがあります。そして札幌市には博物館構想や古代の里の遺跡公園計画がございます。さらには着実に積み上げてきた埋蔵文化財センターもあるのであります。
 ポスト3.11とも言える、新しい文明のあり方を模索する上でも、示唆に富む縄文文化とその精神性をどのように評価し、また、縄文時代の遺跡としては、現在、国指定史跡となるようなものは無い札幌市ではありますが、本市の縄文遺跡を北の縄文文化のひとつとして育んでいくなかでどのように活用していくのか、お伺いいたします。
縄文文化には、現代に生きる我々が忘れかけている、多様な環境への適応や、過度に自然資源を収奪しない循環型の生活様式に見られる、自然との共生を尊重する豊かな精神性について学ぶべきことが多いと評価しています。
 これらのことをしっかりと認識し、市内でも最大規模の縄文遺跡が保存されているさとらんど内において、縄文時代の生活体験ができる遺跡公園を整備し、先人の知恵を学べる場として遺跡の活用を図っていきます。