議会報告

平成23年第3回定例議会
代表質問 國安 政典 議員
(北区)

9月29日札幌市議会本会議において公明党議員会を代表して國安 政典 議員が代表質問を行いました。
市長の政治姿勢について、 国政運営のあり方について、経済・雇用対策について質問しました。
以下、質問とそれに対する答弁の要旨を紹介します。
no1
市長の政治姿勢について
(1)国政運営のあり方について
 民主党政権が発足して2年余りが過ぎ、外交問題や円高等の経済対策、東日本大震災への対応等に対し、国民の期待を裏切るばかりであり、国内外から、その政権担当能力が厳しく問われました。
 先の代表選で勝利し、9月2日に発足した野田新政権も、戦略なき思いつき発言が相次ぎ、早くもダッチロールのような様相を呈しております。
市長はこれまでの民主党の政権運営にどのような印象を持っているのか、また野田新政権についてどのような思いをお持ちか、お聞かせください。 .
(2)平成22年度決算の評価について
 上田市政2期目最後の年である平成22年度決算は、一般会計で8,241億円であり、前年度と比較して0.8%の微増となっております。
 一方で、予算に対する執行率に目を向けますと、歳出では最終予算額8,712億円に対し94.6%にとどまり、23年度への繰越分を除いても323億円にものぼる多額の不用額が生じ、結果として、近年では最大規模である約25億円の実質収支の黒字となっております。
 平成22年度の一般会計決算について、市長はどのように評価しておられるのか伺います。
(3)第3次札幌新まちづくり計画について
 「第3次札幌新まちづくり計画」は、急速に進展する少子高齢化への対応を始めとして、東日本大震災の痛ましい被害状況を踏まえた、札幌市における災害対策の充実や、市民一人ひとりが安心して暮らせるよう、地域のまちづくりのさらなる推進など、さまざまな今日的課題に適切に対応したものでなければならないと考えるところです。
 「第3次札幌新まちづくり計画」の事業規模はどうなるのか、また、事業の実施に必要な財源はどのように確保しようとしておられるのか、お示しいただきたい。
(4)泊発電所の1・2号機の再稼働に関する市長の見解について
 泊発電所の1・2号機の再稼働にあたっては、事実上運転が継続していた3号機とは事情が異なり、点検のため運転が休止されていた発電所が文字通り再稼働になること、またこれまでの原子力発電に関する北海道電力の姿勢を考えますと、極めて慎重な対応が求められると考えます。
 泊発電所の1・2号機の再稼働について、市長としてどのように考えているか、見解をお伺いします。
(1)国政運営のあり方について
 民主党政権においては、東日本大震災や原発事故など不測の事態に加え、外交問題や経済問題などにより、国民生活に混乱を来したことは、残念に感じています。
 新政権においては、国民が政権交代に何を期待していたのかということを踏まえ、国民の生活が第一であるということを基本理念に持ち、しっかりとした政権運営を行っていただきたい。
 今後は、原発事故に伴うエネルギー政策の見直しなど、多くの課題を抱えていますが、国民が納得する形で説明するなど、国民の信頼に応えていただくことを期待しています。
(2)平成22年度決算の評価について
平成22年度は、予算に計上した事業については、貸付金や繰出金など一部で相当の不用額が生じたものの、概ね予定通りの執行ができました。
 景気の持ち直しによる市税収入の増加や臨時財政対策債を含めた広義の地方交付税の増加により、22年度中の補正予算でまちづくり推進基金に一定額を造成でき、さらに歳出全体を効率的に執行した結果、一定の実質収支を確保することができました。
 22年度は「第2次札幌新まちづくり計画」の最終年度であり、計画目標を概ね達成できたうえに、年度中の執行の工夫や努力によって、決算剰余金を財政調整基金に一定額積むことにより、貴重な財源を次世代へ引き継ぐことができ、適切な財政運営ができたと認識しております。
 中期財政見通しにおいて、平成24年度から平成26年度までの合計で337億円の財源不足が見込まれるなど、依然厳しい状況が続いていることに加え、長引く景気低迷や東日本大震災の影響などにより、今後の税収や地方交付税の見通しが極めて不透明となっている中ですが、今後も引き続き歳入・歳出の見通しについて注視していきます。
(3)第3次札幌新まちづくり計画について
 第3次札幌新まちづくり計画には、施政方針「さっぽろ元気ビジョン 第3ステージ」の実現に向けて、必要な事業を計画化しております。
 特に、東日本大震災の被害状況を踏まえた災害対策など、市民の安全を守るための事業は積極的に計画化。加えて、札幌市が政令指定都市移行後に集中して建築した市有建築物が、今後一斉に更新時期を迎えます。
 そのため、これらの施設の適切な長寿命化、財政需要の平準化など計画的な取組を進める必要もあることから、第2次札幌新まちづくり計画では対象外としていた改築、大規模改修や長寿命化のための保全事業も計画対象としたところです。
 これらにより、全体事業費の規模は、前計画と比較して約1千3百億円ほど増えることになりました。一方、札幌の経済情勢は依然厳しく、厳しい財政運営が続くことを認識しております。
 そこで、第3次札幌新まちづくり計画を着実に推進するために、行財政改革推進プランを策定しました。行財政改革推進プランでは、財政運営の改革として「歳出構造の改革」と「財政基盤の強化」の大きく2つの柱を設定。行財政改革プランの取組としては、まずは事務的経費のさらなる節減や公有財産・基金の活用といった、内部努力を優先的に進めた上で、公共施設のあり方や受益者負担の適正化についても検討しております。
 これらの取組を進めることにより、第3次札幌新まちづくり計画に必要な財源を確保してまいりたい。
(4)泊発電所の1・2号機の再稼働に関する市長の見解について
 事実上継続運転中であった3号機と異なり、現在休止中の泊発電所の1、2号機の再稼働については、極めて慎重な判断が求められるものと認識しております。
 国は、速やかに福島第一原子力発電所の事故の検証を行い、再稼働の安全性が担保されるための必要な条件や手続きを、納得できるよう分かりやすい形で示すべきと考えています。
 また、北海道電力は、緊急の安全対策は実施しているが、4年以内を目途に行なうとしている電気設備の浸水対策など、すべての安全対策についても直ちに実施すべきと考えます。
no1
経済・雇用対策について
(1) 安定的な雇用を確保するための対策について
 札幌市が開設した就業サポートセンターの求人情報でも正規雇用は、2~3割程度であり、多くは臨時職員やパートの雇用条件となっています。
 札幌市では、これまでもさまざまな雇用対策を実施して来ましたが、現実と将来展望を勘案した更なる雇用の確保策が必要であると考えます。
 求職者やその家族の安定した生活に繋げるためにも、臨時職員やパートではなく、長期的な生活設計が出来るための安定的な雇用の確保が最も必要と考えますが、札幌市はこのことに対して、どのような対策を行っているのかお伺いします。
(2) 産業振興面での大学連携の意義と方向性について
 札幌市の未来に向かって、実効性、発展性のあるまちづくりの実現の為には、さまざまな異業種の連携や産学官連携など、重層的な連携を進めるとともに、人材の育成など基本的な観点も含めて、しっかりとした対策が肝要と考えます。
 札幌には特性豊かな大学が数多く集積しており、これらの「大学の知」を産業振興面で活用して行くことは有効かつ重要であると考えられます。
 産業振興面で大学との連携を行っていく意義について、どのように認識しておられるのか、また、大学との連携をどの様な方向で進めていくおつもりかお伺いします。
(1) 安定的な雇用を確保するための対策について
 誰もが、希望する就労形態で就職できることが望ましいと考えます。これまでも各種施により、安定した雇用を希望する求職者が正社員として就職できるよう支援に努めてきましたが、厳しい経済状況等により、正社員の求人は十分に確保できていない状況にあります。
 このような状況を踏まえ、今年度からは、対象を正社員に限定した企業向け若年層雇用安定助成事業を始めました。今後とも、就業サポートセンターによる求人開拓や合同企業説明会など、さまざまな機会を通じて、正社員としての就職を支援していきます。
(2) 産業振興面での大学連携の意義と方向性について
 企業は、新製品・新技術の開発に当たり「大学の知」を活用でき、また、大学は、企業との共同研究により自らの研究成果を実証できるなど、双方にとって意義があるものと認識しております。したがって、今後も、バイオテクノロジーや福祉・環境分野の研究開発など、需要が見込まれる技術開発分野において、企業と大学との連携を継続的に支援していきます。
 これに加え、商店街の活性化など地域の課題解決についても、大学の知識・ノウハウや人材を活用するなど、積極的に企業と大学との連携を支援していきたいです。
no1
災害対策の充実・強化について
(1) 地域防災計画の見直しについて
 札幌市においては昨年地域防災計画を大幅に見直し、新たな被害想定のもと、最大震度7を想定した地震災害に対しての計画を策定したところですが、今回の震災を見れば、決してこの計画も万全であるとは言えないと考えます。
 その課題として仮設住宅のほかに、とりわけ大きな課題として、地域コミュニティーの喪失が挙げられます。
 札幌市においては、このような課題に対し、地域防災計画にその対策が記載されているということではありますが、仮設住宅については、事前に建設用の敷地の選定や地域ごとの入居、新たな地域コミュニティー作りの推進などについて、また想定では8万人以上となる帰宅困難者に対する食糧・飲料水など生活必需品の確保、バスなどによる代替交通手段の早期確保といった点について、この東日本大震災の教訓を踏まえて、十分な検討を行うことが必要であると考えます。
 今回の大震災の教訓などを踏まえて、札幌市として、より実践的な体制強化を図るための、地域防災計画の見直しについてどのように考えているかお伺いします。
(2) 学校の耐震化について
 国では、平成20年(2008年)に改正した「地震防災特別措置法」による、Is値0.3未満の公立小中学校等の耐震化に対する国庫補助率の引き上げと地方財政措置の拡充が、本年3月までの時限措置であったものを、平成28年3月まで5年間延長し、耐震補強による地方公共団体の財政負担の大幅な軽減を継続している状況であります。
 さらに、照明器具や窓ガラスなどの非構造部材の耐震化や、災害時の避難施設として使用するための備蓄倉庫等の整備も交付金の対象とするなど、対象範囲が拡大しており、このような制度の活用も考慮しつつ、迅速な耐震化を進めることが必要であると思われます。
 国ではこの補助制度を5年間延長したことにより、平成27年度までのできるだけ早い時期に、公立学校施設の耐震化を完了させるという目標を明確化しており、札幌市においても、それまでには学校の耐震化を完了させる必要があります。
 今後、学校の耐震化を早急に図るためには、今まで以上にスピード感を持って進めていくべきであり、更なる工事の前倒しが必要であると考えますが、いかがかお伺いいたします。
(1) 地域防災計画の見直しについて
 今回の大震災では、長引く避難生活や帰宅困難者問題など、さまざまな問題が明らかとなってきました。内閣府は中央防災会議において、年度内に国の防災対策の基本となる防災基本計画の見直しを行う予定です。
 また、消防庁も今回の災害対応の検証と防災計画見直しに関する検討会を設置し、秋頃をめどに最終取りまとめを公表する予定です。
 これらの結果の他、大学や防災関係機関の検証なども参考とし、札幌市地域防災計画の実践的な見直しに反映していきたい。
 また、被災地に派遣された職員の経験を災害時業務マニュアルに反映することにより、実践的な体制強化につなげて参ります。
(2) 学校の耐震化について
 学校施設の耐震化については、児童生徒の安全と、災害時の地域の避難場所の確保の観点から、早急に進めていくことが必要であると認識しています。Is値0.3未満の学校施設は、改築校等を除き完了しているが、引き続き耐震化が必要な128校、267棟については、「札幌市耐震改修促進計画」に基づき、平成27年度までに耐震化を目指すことを目標としていました。
 しかし、学校施設に求められる安全性を鑑みると、今まで以上に早急に耐震化を進めていく必要があり、今後は、当該目標を1年前倒しして、平成26年度までに改築校を除いて耐震化を完了することを目指し事業を推進していきます。
no1
都心のまちづくりについて
 都心におけるさまざまなハード整備の効果を十分に発揮させ、札幌の魅力や活力をより高めるためには、大通まちづくり会社や駅前通まちづくり会社により実践されている、地区の特性を生かし、地域価値を高めるために民間が主体的にまちづくりの担い手となるエリアマネジメントが重要であると考えております。
 都心におけるエリアマネジメントは、大通地区や駅前通地区が先行しておりますが、すすきの地区や創成川以東地区においても、関係者によりエリアマネジメントの実現に向けた取組が進行していると聞いております。
 札幌の魅力や活力をさらに高めるためには、都心各地区のエリアマネジメントの推進はもとより、都心全体を見据えたまちづくりが必要であると考えますが、どのように進めようとされているのか、市長のご見解をお聞かせください。
  都心におけるプロジェクトの進展により、都心の姿が今まさに大きく変貌しようとしています。この機会を捉え、都心全体を発展・活性化していくためには、各地区の取組を都心全体で共有する総合的なまちづくりの推進が重要であり、街区単位や地区単位、さらには都心全体を対象とする重層的なマネジメント体制の構築が必要です。
 具体的には、昨年、都心各地区のまちづくりの担い手や札幌商工会議所、市関係部局からなる「札幌都心まちづくり推進会議」を立ち上げました。今後、この会議を定期的に開催し、情報共有や意見交換を行いながら、都心全体での一体的な魅力向上や、各地区の連携事業の実施を進めていきたいと思います。
 また、これらの取組を通じて、都心全体のエリアマネジメントの組織化についても検討していきます。
no1
エコエネルギー社会の推進について
エコエネルギー社会の推進について
 私たちの住んでいる北海道は、自然エネルギーの潜在力が高い地域であり、北方型住宅など寒冷地における独自の技術も蓄積されております。私は札幌らしい環境技術の育成を促進させるべきであり、その実行のためには民間の力を活用する必要があると考えます。
 今年度、札幌市では、「エネルギー転換調査」を実施するとのことであり、その調査の中で市民アンケートも行うと聞いていますが、ぜひそれらの市民ニーズなども反映しながら、意欲的で、なおかつ現実的なバランスも考慮しながら検討を実施していただき、地球温暖化対策という視点も忘れることなく、新しいエネルギー社会を目指して進めていただきたいと思います。
 これから行うエネルギー転換調査の結果を、今後どのように施策に反映していくお考えなのかお伺いします。
エコエネルギー社会の推進について
 エネルギー転換調査は、原子力発電に依存しない社会を目指して、代替エネルギーへの転換や、省エネルギー社会の実現に向けた課題などを整理し、今後のエネルギー施策の目指すべき方向性を検討しております。
 調査結果を踏まえ、まずは、太陽光発電など再生可能エネルギーの普及や省エネルギー推進の施策において、既存事業の拡充を図るなど具体的に反映できるものから、順次取組を進めて参ります。
 また、今後、国が策定予定の新たなエネルギー基本計画や、来年7月に施行される再生可能エネルギー特別措置法などの動向を見極めながら、より効果的な再生可能エネルギーの普及や、省エネルギーの手法について検討するとともに、高い効果が期待できる事業を組み入れるなど、具体的な施策に反映して参ります。
no1
アレルギー疾患とがん対策の強化について
(1) 市立札幌病院へのアレルギー専門外来の設置について
 アレルギー疾患に苦しむ市民は多く、治療に関する情報を集め、さまざまな治療法を試みており、自身や家族に最適な治療法を知りたい、提供してほしいとの思いは極めて強いと聞いています。
 特に医療提供の面では、札幌圏の基幹病院であり市民の生命、健康を守る市立札幌病院により専門的な治療等を行う「アレルギー専門外来」を設けて、地域のかかりつけ医と協力して的確なアレルギー治療を提供していくべきではないかと思いますが、この市民要望の強い「アレルギー専門外来」を設置する考えはないかお伺いいたします。
(2) 今後のアレルギー疾患対策について
 アレルギー疾患対策につきましては、札幌市におきましても、たとえば乳幼児健診は保健福祉局、保育園の給食は子ども未来局、学校給食は教育委員会など、各部局での個別対応にとどまっており、連携が不足しているように感じます。
 事業ごとに部局が分かれていることは理解いたしますが、それぞれが個別に取り組むのでは、必要かつ有効な手立てを打つことが難しいのではないかと懸念いたします。
 今後アレルギー疾患対策について、どのように対応するおつもりなのか、市長のご見解をお尋ねします。
(3) がん対策の強化について
 胃がんをはじめとする胃・十二指腸の病気にヘリコバクターピロリ菌が関係していることが、わかっております。
 ピロリ菌の除菌は胃がんの発症予防とともに再発防止にも極めて有効であると考えられ、医療費の抑制にも効果が期待できます。
 がんは早期発見・早期治療が重要といわれます。しかしながら、さらに大事なのは、がんそのものに罹患する危険性を少なくする、いわゆる1次予防であると考えます。
 現在、札幌市が実施している胃がん検診は、問診と胃部エックス線検査となっておりますが、これにピロリ菌の感染の有無を判定する検査を加えるべきと考えますが、市長のご見解をお聞かせください。
(1) 市立札幌病院へのアレルギー専門外来の設置について
 総合的なアレルギー疾患対策については、今後の国、北海道の計画などを見極めながら、札幌市及び医療機関である市立札幌病院として必要な対応を行います。
 多岐にわたるアレルギー疾患全般を診る専門外来の設置は難しいが、市立札幌病院小児科は、日本アレルギー学会認定専門医教育施設であり、食物アレルギーや難治性アレルギー患者の対応など、かかりつけ医と連携した診療体制の整備を進めているところであり、小児科に専門外来の設置も併せて検討しております。
(2) 今後のアレルギー疾患対策について
 アレルギー疾患については、患者数の増加に伴い市民の関心も高まってきており、対策の重要性については、札幌市としても認識しております。
 従前から家庭医学講座等で広く市民に周知を図るとともに、保健センターでの健康相談など、個別の対応にも努めてきました。今後は、関係部局の組織的連携強化を図り、よりきめ細やかな対応に努めて参ります。
(3) がん対策の強化について
 さまざまな研究成果から胃がんの発症要因のひとつとして、ピロリ菌が関わっているとの指摘があることは承知しております。厚生労働省では、現在、ピロリ菌検査を含む有効な胃がん検診方法の研究に取り組んでいるところです。札幌市としては、今後も国の研究結果を踏まえて、がん検診の精度向上に努めてまいります。
no1
福祉施策の推進について
(1) 障がい者制度改革の動向を踏まえた札幌市の取組について
 本年6月24日には障害者虐待防止法が成立、8月5日には障害者基本法が改正されたところであります。
 今後、障害者自立支援法に代わる新たな総合的な福祉法の成立が平成25年夏を目途に予定されるなど、障がいのある方の権利擁護と社会参加の一層の推進に向けて、国家としての取組がさらに前進するものと期待しているところであります。
 札幌市が平成15年に策定した「障害者保健福祉計画」においては、計画目標として「地域で自立した生活をおくることができる共生社会の実現」を掲げ、また、平成21年に策定した「第2期障がい福祉計画」においては、地域生活の支援や就労支援を施策の柱に据え、さまざまな取組が行われていますが、障害者基本法の改正等を踏まえ、障がいのある方の自立及び社会参加の支援等のための施策を、全庁的な取組として、福祉、教育、雇用、防災等、関係局との綿密な連携のもと、総合的かつ計画的に推進していくことが重要であると考えますが、このことについて市長の見解を伺います。
(2) 介護支援ボランティア事業について
 高齢者の方々の中には、地域で人とつながっていたい、支え合って生きていきたいという方が数多くいらっしゃると思います。そうしたことをさらに進めていくためにも、ボランティア活動をとおして共助を担っていただいている方々を支援していく仕組みづくり、環境づくりが重要になると考えます。
 共助社会の実現に向けて、介護支援ボランティア事業の意義をどのように捉えているかお伺いいたします。
(1) 障がい者制度改革の動向を踏まえた札幌市の取組について
 これまでも、「障害者保健福祉計画」や「障がい福祉計画」により、障がい福祉施策について様々な取組を行っており、これらは、先に成立した障害者虐待防止法や改正障害者基本法、さらには北海道障がい者条例の基本理念と方向性を同じくするものです。  
 障害者保健福祉計画や障がい福祉計画は、平成23年度中に改定を予定しており、市民・関係団体との意見交換会や出前講座などで寄せられた意見も踏まえ、現在、策定作業を進めているところです。今後とも、障がいのある方が安心して暮らしていくことができるよう、庁内関係部局の連携をより一層強化し、全庁的な取組を進めて参ります。
(2) 介護支援ボランティア事業について
 介護支援ボランティア事業は活動そのものが支え合いの精神にもとづくものです。この事業を進めていくことで、元気で支えていた側の方が、やがて、支えられる側に立場を代えていくことなどをとおして、このような活動がさらに将来につながっていくものになると考えています。
 今後、地域社会において、自助・共助・公助がそれぞれの役割を果たしていくことが重要であり、こうした活動に参加する高齢者が増えていくことで、市民の間に共に助け合う風土がさらに広がることが期待できるものと考えております。
no1
障がいのある子どもの施策について
(1) 放課後の居場所の充実について
 障がいのある子どもの「放課後の居場所」や「留守家庭への対応」として、小学校の中にはミニ児童会館が開設されている学校もあり、健常児との交流の場となっています。
 専門の指導員だけでなく、すべての指導員が一定の知識を持ち、ノウハウを共有する必要があります。また、学校などと個別の子どもの対応の場面で連絡を密に取り合う連携体制を築くことも必要になるのではないでしょうか。
 児童会館やミニ児童会館など、障がいのある子どもの放課後の居場所の充実に向けてどう考えているのか、また、指導員の研修、学校等の関係機関との連携についてどのように取り組んでいくのか伺います。
(2) 特別支援教育の充実について
 障がいの軽い子どもは、施設や設備が普通学級のままでも少しの手助けがあれば、学ぶことができる場合もあります。方や、障がいの重い子どもには、学びやすい環境や設備が必要です。
 受け入れるハードの整備と、合わせて人的な対応などソフトの面も含め、多様なニーズに対応していくことが、これからの障がいのある子どもの教育に必要であると考えます。
 札幌市として、今後、障がいのある子どもの教育の充実に向けてどのように取り組んでいくのか伺います
(1) 放課後の居場所の充実について
 札幌市では、国の補助対象となっている放課後児童クラブの登録児童に限らず、障がいのある子どもの利用がある児童会館やミニ児童会館には、専門指導員を派遣し、受け入れ体制の充実を図ってきました。今後は、すべての指導員に専門知識や遊びのプログラムの工夫に関する研修を行い、一人ひとりのスキルアップを図っていきます。
 また、他の子どもやその保護者を含めた、会館の利用者すべてが障がいのある子どもに対する理解を深め、共通の認識を持つことが必要と考えます。そのため、保護者との懇談により子どもの特性などを把握し、保護者を含め、学校や保育所など関係機関と情報共有しながら、障がいのある子どもの育ちを支援してまいります。
(2) 特別支援教育の充実について
 小中学校についてですが、障がいのある子どもがより身近な地域でそれぞれの教育的ニーズに応じた支援を受けことができるよう、厳しい財政事情や制度上の制約のもと、工夫をしながら、今後とも可能な限り特別支援学級や通級指導教室の整備に努めてまいります。  
 また、通常の学級における障がいなどのある子どもへの支援として、学びのサポーターの全校への配置に向けて、段階的に事業の拡充を図っていきます。  
 次に高等養護学校についてですが、市教委としても、札幌市外への進学の実態や既存の学校の地域的な偏在については課題として認識しております。また、保護者アンケートの結果でも、4割近くの回答者が進学先を選ぶ理由に自宅から距離など通学に関する不安を挙げております。これらの課題の解消に向け、これまでも道教委と協議してきたところであり、先般、道の教育長あて要望書を提出いたしました。市教委としても、これまで以上に道教委と連携して課題の解決に努めてまいります。