議会報告

平成22年第3回定例議会
代表質問 谷沢俊一 議員
(白石区)

9月28日札幌市議会本会議において公明党議員会を代表して谷沢俊一 議員が代表質問を行いました。
市長の政治姿勢について、事業仕分けの手法を用いた市民評価について、また経済対策になどの雇用・景気対策について質問しました。
以下、質問とそれに対する答弁の要旨を紹介します。
no1
市長の政治姿勢について
(1) 市民評価について
  本年6月、国に倣い、本市においても事業仕分けの手法を用いた市民評価が行われました。市民に身近な施設や事業が対象とされたこともあり、市民の関心も高く、仕分け結果に対する意見募集には1,402人から1,638件の意見が提出され、その結果に対して84%の市民が反対するという事態になっております。
 今回の事業仕分けは、手法を含め、やや拙速の感は否めません。そもそも事業仕分けは、2005年に公明党が政党として初めてマニフェストで提案をし、2006年に成立した行政改革推進法に事業仕分けという考え方を盛り込んだものでありますし、我が会派としても、大胆な事務事業の見直しや公共サービスの改革を推し進めるため、事業仕分けの活用も求めてまいりました。
さて、市民目線、市民感覚で行われた市民評価ですが、来年度も実施予定と伺っております。しかし、その前に、今回の実施を踏まえ、来年度に向けて見直すべき点がないのか、確認が必要と考えます。
 今回、市民評価に関しては、8月の総務委員会で結果の報告がありましたが、その質疑で、我が会派の高橋(功)委員が指摘したように、今回の実施方法については幾つかの問題点があり、とりわけ、市民の仕分け人を匿名としたことは大きな判断ミスでなかったかと考えるところであります。私は、プライバシーに配慮することや議論しやすい環境をつくることに関して一定の理解はしますが、仕分け結果に対する責任の重大性をかんがみると、匿名の仕分け人ではいかにも無責任であり、せめて氏名だけでも公表すべきであったと考えます。
 そこで、質問です。市民の仕分け人を匿名にしたことについて、明らかな判断ミスであったと考えますが、このことについて市長の見解をお伺いします。また、来年度の市民評価の検討に向けてはどのように考えておられるのか、あわせてお伺いいたします。
(2) 不祥事対策について
 ことしに入りましてから、市役所では、保健福祉局の自動車運転手による長期間の無免許運転、元建設局職員による横領、環境局による円山、藻岩山での廃材投棄と不祥事が続き、7月にはほぼ1週間置きに立て続けに3名もの逮捕者を出すという異常な事態となりました。市民の立場に立って考えてみますと、市民は市役所で頻繁に不祥事が起こっているとの感覚を持っても不思議ではなく、市長は、ことし2月の幹部を集めた緊急会議の席上、市役所の仕事は市民の信頼の上に成り立っていると訓示をされたそうですが、まさに今、その信頼が根底から揺らいでいることを市役所全体でよく認識する必要があると考えます。
 そこで、質問いたしますが、市長ご自身は、ことしに入ってから不祥事が続発する状況をどのように認識し、また、今後、どのような対策を講じていくおつもりなのか、お伺いをいたします。
(3) 平成21年度決算の評価について
 平成21年度の当初予算は、市長の2期目の任期の折り返しとなるものであり、札幌市を取り巻く厳しい経済状況のもと、編成されました。第2次新まちづくり計画に位置づけられた事業について積極的に予算配分を行い、特に、経済・雇用対策と新たな産業の育成、環境負荷の低減に向けた取り組み、子どもの健やかな成長と子育て環境の充実、保健医療の充実と高齢者、障がい者の地域生活の支援の四つの分野で重点的な取り組みがなされており、前年を1.5%上回る7,880億円となっておりました。その後、急激な景気後退を受けた国における緊急経済・雇用対策に対応するため、経済・雇用対策の事業に加え、不足する見込みとなった生活保護費や新型インフルエンザ対策など、延べ7回の議会で総額496億円余の補正予算を計上しております。また、平成20年度からの繰り越し事業も定額給付金を中心として346億円余りあったことから、平成21 年度の最終予算額については、前年度の最終予算額と比較して6.1%増の8,723億円となっております。
 次に、決算の内容について見ますと、歳出では、土木費88億円余、教育費で65億円余など、翌年への繰り越しが総額163億円余と多く、執行率も93.7%にとどまっております。また、諸支出金では109億円余、経済費で94億円余など、総額388億円余の不用額も出ております。経済対策として見れば、不用額を多く出したこと、事業を年度内に執行できなかったことで効果が薄れてしまったのではないでしょうか。加えて、財政調整基金の取り崩しを予算の66億円から30億円に抑え、市債についても残高を一般会計で5年連続減少させたことが成果とされておりますが、いまだ景気が低迷している状況においては、財政調整基金の取り崩しを抑えるのではなく、むしろ、取り崩した上で、さらに市債を発行してでも市内の企業を守る、札幌市が独自の経済・雇用対策を行うべきではなかったかという思いを強くいたしております。
そこで、お尋ねいたします。
 雇用や経済など札幌市を取り巻く状況が依然として厳しい現状を踏まえ、市長ご自身としてこの決算をどのように評価されておられるのか、お伺いをいたします。
(4)国における地域主権改革関連の動きに関する今後の取り組みについて
 民主党政権になって1年が経過しておりますが、いまだ地方行財政をめぐる議論は不安定な状況になっております。本年6月には、国において、地域主権戦略大綱及び財政運営戦略が発表されました。地域主権戦略大綱においては、基礎自治体への権限移譲などとあわせて、ひもつき補助金の一括交付金化、地方税財源の充実・確保などが挙げられており、一括交付金については、省庁の枠にとらわれない、できる限り大きいブロックにくくり、その政策目的の範囲で地域がみずからの判断で使い道を決定できるよう制度設計されることとなっておりますが、7月の参議院選挙以降、一向に議論が進まない中で時聞が経過しております。
 また、一括交付金にすれば、地方が知恵を出すので、総額をある程度減らしても同様のサービス水準が確保できるという意見が一部にあるようであります。一括交付金は、地方の自由度を拡大するという点ではメリットもあるとは言えますが、一方で、このような国の財源確保のために地方への支出を抑制しようという動きは、地域主権に大きく反しており、札幌市としても看過できないものではないでしょうか。
 そこで、お尋ねします。国における地方一般財源の総額確保やひもつき補助金の一括交付金化の議論を受けて、札幌市としても国に対し要望や意見を述べていくことが重要だと考えますが、今後、市長はどのように対応されていくおつもりなのか、お伺いをいたします。
(1) 市民評価について
 市民評価についてでございますが、市民の仕分け人を匿名としたことについてであります。今回の市民評価は、市民に身近な事業、すなわち、ある意味では市民間の利害が直接対立をするような事業を対象としておりますことから、さまざまな意見や考え方をお持ちの市民がおられる中で、仕分け人自身の考えに基づき率直な判定ができるようにと、また、仕分け人の発言や判定に対する直接的な反響といったことも配慮するとともに、できるだけ幅広い市民の方に参加をしていただきたい、していただけるようにという考えのもとに、公募の段階から匿名ということにして、氏名については非公開ということで募集をさせていただいた結果、その当日においても非公開、匿名とさせていただいたところでございます。このことに関しましては、その後、あるいはその過程におきまして、さまざまな皆様から匿名とすべきでないというご批判もたくさんちょうだいいたしました。また、ただいまのように、議員から匿名にすべきではないというふうなご主張もあることは承知をしているところでございます。
 市民評価の方法にはさまざまな方法がありますけれども、このやり方についても、今後、多くの皆様方のご意見をいただきながら、その方法等についてもしっかりと検討し、来年度の市民評価の実施に向けての努力をしていきたい、このように考えます。
(2) 不祥事対策について
 不祥事対策についてでございます。ことしに入りましてから不祥事が続きましたことに関しましては、市民の皆様の信頼を損ねるものでございますので、市民の皆様に対しまして、改めておわびを申し上げたいと思います。ことし発生いたしました一連の不祥事を受けまして、各職場で自主的に議論をし、解決に向けた具体的な行動も出てきているところでございます。
 不祥事の根絶に向けた取り組みは、地道であってもできることから間断なく取り組んでいくことが肝要である、このように認識しております。また、各職場においても、不祥事から教訓|を学び取り、引き出して、そして、それをみずからの職場でも起こり得る問題として取り組んでいくようにより一層指導していきたい、このように考えているところでございます。
(3) 平成21 年度決算の評価について
 決算の評価についてでございますが、当初予算に計上いたしました第2次新まちづくり計画事業などにつきまして、おおむね予定どおりの執行ができたと考えております。
 そして、経済・雇用対策についてでございますが、国と連携した間断のない補正予算を編成いたしまして、可能な限り年度内に執行するなど、厳しい状況のもとでできる限りの対策を講じてきたところでございます。こうした結果、地域経済にも持ち直しの動きが見えているもの、このように受けとめているところであります。
(4) 国における地域主権改革関連の動きに関する今後の取り組みについて
 地域主権改革に関する今後の取り組みについてでありますが、長引く景気低迷や少子高齢社会への対応など喫緊の問題が山積している地方にとりまして、必要な一般財源の確保というのは最も重要な課題の一つでございます。そうした意味では、現在検討が進められております一括交付金につきましでも、国の財源確保のために縮減されるといったことは決してあってはならないものと考えております。
 札幌市といたしましては、これまでも、国に対して、適宜、必要な要請等を行ってきておりますが、今後も、一括交付金制度の内容も含めまして、地方との十分な議論を求めるということなど、他の指定都市との連携を図りながら、さまざまな機会をとらえまして国に対して積極的に働きかけてまいりたい、このように考えているところでございます。
no1
観光行政について
 札幌市における観光施策についてでございます。観光は、宿泊を初め、飲食、物販、運輸など関連する産業のすそ野が広いことから、経済波及効果が高く、雇用創出の面でも大きく寄与することが期待されております。ことし6月に国が策定した新成長戦略では、我が国の持続的な成長を牽引する七つの成長分野の一つとして観光立国の推進がうたわれております。
 2020年までに、訪日外国人2,500万人、経済波及効果約10兆円、新規雇用56 万人という目標が掲げられました。公共事業が縮小を続ける中、観光関連産業への期待はますます高まっており、札幌市として市を挙げて取り組むべきものと考えます。
そんな中、今年度から観光振興プランの策定に着手するとお闘きしておりますが、このプラン策定について、札幌市としてどのような考え方で臨もうとされているのか、お尋ねをいたします。
 観光振興プランについてでございますが、このプランは、産業振興ビジョンのアクションプランの一つとして策定をするものでございまして、官民の連携によりまして観光関連産業を発展させていくことを指針にすべきというふうに考えておるものであります。策定に当たりましては、イベントや観光施設だけではなくて、歴史的な建物や緑地、公園などの都市の美しさ、さらには、市民の活気、おもてなしの心を観光資源としてとらえるとともに、北海道観光全体における札幌市の役割といったものを明確にするなど、幅広い角度から検討を行っているところでございます。今後、市民や企業の方々と広く議論を重ねまして、実効性のある計画にしてまいりたいと考えているところでございます。
no1
観光分野における韓国との交流について
 近年、札幌を訪れる中国からの観光客数が目覚ましく増加し、国別内訳では第3位に躍り出た一方で、最も近い隣国である韓国からの観光客入り込み数は約7万人の第4位となっております。日本全体で見ると、韓国からの入り込み数が第1位であることから、本市においてはまだまだ伸びる余地があることに加え、ことしは韓国・大田市と札幌市との姉妹都市提携が予定され、韓国国内での札幌の知名度がさらに高まるものと期待をしているところであり、この姉妹都市提携を機に相互往来の機会が拡大していくものと考えます。
 現在、韓国では、ハイキングや軽登山などのアウトドアブームが到来していると聞いておりますが、それらは、まさに札幌や北海道にとって有利な分野であることから、韓国の方々にアピールできる部分ではないかと考えます。大田市そこで、札幌市としては、韓国との観光交流についてどのような取り組みをしているのか、また、今後、どのような展開を考えているのか、お尋ねをいたします。
 また、近年、コンベンションに加えて、企業の会議、報奨旅行、イベントなどを包括したMICEの概念が世界に広まり、政府も、本年をJapan MICEYearと位置づけ、観光とともに、集客交流産業の両輸をなすMICEの振興に力を入れております。一方、韓国でも国を挙げてMICE振興を加速させており、特に、大田市は韓国随一のMICE先進都市として世界標準の取り組みを進めていると聞いております。そういった中、札幌市でも従来より財団法人札幌国際プラザコンベンションビューローを中心にMICEの誘致開催に取り組んでいることは承知しておりますが、世界を舞台に札幌が飛躍するためには、そういった海外先進都市との連携も必要であると考えます。
そこで、札幌市は、観光を補完し、札幌の集客力を一層高めていくために、今後、MICEの推進に向けてどのように取り組んでいく予定か、お尋ねをいたします。
 一つ目の韓国との観光交流における取り組みについてでございますが、韓国ではインターネットを用いた個人旅行というものが主流となっておりますので、札幌市の観光情報サイトやブログなど、インターネットを利用して札幌の魅力を発信しているところでございます。今後は、大田市民向けのイベント、大市場でございますソウルの旅行代理店に対する観光セミナーを実施するなど、姉妹都市提携という好機を最大限に生かしていきたい、このように考えております。
 二つ目のMICE推進に向けた取り組みについてでありますが、コンベンションや海外企業の報奨旅行、インセンティブツアーと言うのでしょうか、これは、札幌の観光需要というものが落ち込んでいる時期において新たな集客創出を期待できるものであると考えております。したがいまして、今後は、札幌国際プラザコンベンションビューローが、札幌観光協会を初め関係業界などとの連携を強化し、たしまして、誘致を促進するとともに、札幌国際プラザとMICE先進都市でございます太田市のコンベンションビューローとの聞の提携といったものを通じまして世界における確固たる地位を確立してまいりたい、このように考えているところでございます。
no1
総合交通計画について
 本年3月、札幌市を含む近郊の7市3町で構成される道央都市圏において、道央都市園都市交通マスタープランが策定されました。札幌市では、この都市交通マスタープランの策定を受ける形で、今後、およそ10年間の短中期計画となる交通戦略を含む札幌市総合
 交通計画を取りまとめる予定となっております。本計画においては、従来の右肩上がりを前提としたものではなく、少子高齢化、環境問題への対応など、今日的な課題に的確に対応した新たな交通体系の確立が求められているところです。そのために、本計画の策定に当たっては、パーソントリップ調査の結果をもとに、随時、検討していくことになると考えます。
 そこで、質問ですが、第4回道央都市圏パーソントリップ調査の結果等を通じ、現時点において札幌市の直面する交通課題はどのようなものがあると整理、認識されているのか、その内容についてお伺いをいたします。
この総合交通計画については、7月14日に設置された札幌市総合交通計画策定委員会において、今後、1年程度の期間をかけて検討が進められるとのことであります。これからの交通施策は、人口減少や少子高齢化のほか、環境問題などとも切り離して考えることはできません。その検討に当たっては、主担当である市民まちづくり局だけではなく、保健福祉局、環境局、観光文化局など、関係部局と連携した検討体制の構築が望まれるところであります。
また、現在、札幌市の交通施策に関しては、総合交通計画の策定と並行して整備、解決すべき問題が山積をしております。北海道新幹線については、この7月末に、前原前国土交通大臣が北海道新幹線の新函館札幌間を含む整備新幹線未着工3区間の着工の是非について、今夏をめどとしていたにもかかわらず、その判断時期を先送りする意向を表明するなど、依然としてその実現に向けた正念場が続いております。また、
 HAC、北海道エアシステムへの支援に関しては、北海道がさきの道議会において、10月にはその事業プラン案をまとめる意向を示すなど、こちらもまさに現在進行形の課題となっているところであります。その他、路面電車の延伸問題なども含め、総合交通計画の策定に当たっては、これらの問題解決と並行した作業が求められるわけですから、さまざまな専門分野の方々から成る策定委員会の各委員に対しては、当然ながら、随時、タイムリーな情報提供が行われるべきと考えます。
そこで、質問ですが、このような複雑な情勢のもと、総合交通計画の策定を進めるに当たり、各委員に対してはどのような情報提供の方法をお考えなのか、今後の委員会の検討スケジュールとあわせてお伺いをいたします。
 1点目の市の直面する交通課題でありますが、パーソントリップ調査におきまして日常生活における自動車への依存傾向が強まっているという結果から、環境負荷の増大につながる過度な自動車利用への対応策が求められていること、また、公共交通、特にバス利用者が大幅に減少するという予測から、公共交通機関維持の方策が求められていることなどが主な課題であると認識しております。
 2点目の各委員への情報提供の方法と今後の検討スケジュールについてであります。計画策定委員会では、交通課題を認識していただいた上で、札幌市全体の将来交通の考え方を整理し、具体的な施策の体系化を目的としております。このため、情報の共有化が重要であると認識しておりまして、委員会において的確な議論が行われますよう、各委員の意向も踏まえ、わかりやすく資料をまとめ、適宜、情報提供を行ってまいります。
今後の検討スケジュールですが、これまでの2回の開催に引き続きまして、委員会を3回程度開催した後に中間の取りまとめを行いまして、市民意見の募集を経て、さらに議論を深め、来年秋ごろをめどに計画を策定したいと考えております。
no1
総合交通計画に取りまとめられるべき具体的な戦略の内容について
 近北海道における中核都市として、札幌市には北海道経済を牽引する役割が期待されていることは言うまでもありません。北海道の強みである食や観光を初めとして、東アジアを中心としたビジネス機会の拡大が今後ますます見込まれるほか、個人観光ビザの発給条件の緩和などにより、来道する中国人観光客の増加も期待されております。
 このような状況において、このたびの総合交通計画には、新千歳空港のほか、石狩湾新港や小樽港、さらには苦小牧港をつなぐ国際的な交通ネットワークの充実まで含めたグローバルな視点に基づく戦略が求められていると考えます。この点について、先ほど述べた道央都市圏都市交通マスタープランでは、我が会派が従来から指摘してきた都心部と高速道路のアクセス性の向上策として、創成川通が都心アクセス強化道路軸として位置づけられており、本市の総合交通計画にもしっかりと位置づけ、その具体化を図っていただきたいと思います。
 一方、人口減少、少子高齢化等の観点からは、通勤・通学など日常生活の基盤となるバスなどの地域交通の行方が心配されるところであります。今後の人口減少社会において、バス利用者が増加に転ずることを期待するのは困難に思われます。札幌市内の路線バス、そのすべてが営利事業である現状においては、不採算路線の廃止問題が再びクローズアップされることもそう遠いことではないかもしれません。高齢化の急速な進展も踏まえると、障がい者も含めた、いわゆる交通弱者の移動手段の確保は喫緊の課題であり、不採算路線の廃止問題とあわせ、その対応が後手後手とならないよう積極的な取り組みを期待するものであります。
 この点について、我が会派では、これまでもコミュニティバスについて取り上げてきたところであります。先行する各都市においても、コミュニティバスの導入に当たっては、採算性以上に地域特性への対応を重視しており、地域住民の意向を十分に反映させた形で、小型バスで住宅地の内部まで入ったり、公共施設を結ぶといったさまざまな形で運営されているところであります。このように、通常の路線バスではカバーしにくいきめ細やかな需要に積極的に対応していってこそ、多様な市民が安心して暮らせるまちづくりが実現できるのではないかと考えます。
 そこで、質問です。このたびの総合交通計画において、今後の地域交通への取り組みについてどのようにお考えなのか、コミュニティバスの導入検討も含めて、そのお考えをお伺いいたします。
 総合交通計画におきます今後の地域交通への取り組みについてでございますが、本計画では、将来交通の考え方の重要な視点といたしまして、地域特性に応じた地域交通の検討の必要性や方向性などを位置づけてまいりたいと考えております。これと並行して、地域交通のあり方につきましては、コミュニティバスの国内の利用状況や問題点を把握しつつ、今後、地域の課題や現状を調査し、検討を進めてまいりたいと考えております。
no1
我が党が掲げる新しい福祉について
   日本は、今、少子高齢化、女性の社会進出、世界を取り巻く不況などの目まぐるしい変化の中にあります。国民の生活と価値観は多様化し、男女の役割や家族のあり方など、次世代のライフスタイルの模索も始まっています。一方、グローバリゼーションと不況のはざまで生み出される不安定な雇用と格差、うつ病、DV、児童虐待、不登校など、病んだ心が人生を脅かす深刻な事態、また、増加する独居老人の孤独死など、これまでの社会制度では想定し得なかった課題が増加し、現行の福祉制度から漏れてしまう方身がふえております。
 そこで、我が会派は、安心の市民生活を実現するために、これまでの福祉の充実に加え、これらの新しいリスクにも対応できる従来の枠組みを超えた新しい福祉を強化すべきと考えています。うつ病対策から独居老人対策まで、新しい社会問題に対応するヒューマンケア、職業訓練による再就職支援など、安定した雇用を保障する新システム、所得格差を是正する生活保障の拡充など、次の世代を担う若者の将来も視野に入れた福祉政策の刷新が求められております。大きくは国の役割でありますが、本市においては、課題の認識と庁内の連携をより一層進めることが肝要と考えます。
以下、このことについて大きく二つお伺いをいたします。
 札幌市においては、うつ病や不安障がい等への対応力を向上させる研修事業を抜本的に拡充するなど、早期発見・早期治療の体制を整備する必要があると考えています。国民の4人に1人が一生のうちに一度は精神疾患を体験すると言われており、うつ病は自殺の原因、動機の上位項目に挙げられております。病気が慢性化することや薬物療法が長期化するなどの問題もあります。
 我が党では、2008年4月、早期発見・早期治療、受診率の向上など、20項目の柱から成る総合的なうつ対策の提言を発表し、厚生労働大臣に提出をいたしました。中でも、認知行動療法という精神療法の拡充強化を掲げていますが、薬物中心の日本のうつ治療にあって精神療法と薬物療法を組み合わせることで症状の改善や再発防止に有効であると言われております。
この認知行動療法は、ことしの4月より保険の適用が認められました。
そこで、質問ですが、札幌市において、認知行動療法を実施している医療機関の状況についてどの程度把握をしているのか、また、認知行動療法の普及推進についてどのように取り組むのか、お伺いをいたします。
さらに、うつ病や不安障がいの早期発見・治療はもちろんですが、その後の社会復帰までの一貫した支援体制を構築する必要があると考えます。そこで、札幌市においては、うつ病や不安障がいなどに対する支援体制の推進についてどのようにお考えか、伺います。
 また、企業でメンタルヘルス対策を推進することも重要であると考えます。労働者の心の健康を保つための相談体制の整備や、企業におけるメンタルヘルス推進担当者や事業主に対する研修が有用と思われます。
札幌市としては、このような心の健康づくりについてどのように取り組んでいるのか、また、今後はどのように推進するのか、お伺いをいたします。
 1点目のうつ病や不安障がいなどへの対策についてであります。まず、認知行動療法の普及推進についてでありますが、平成22年8月現在、札幌市内で認知行動療法を導入している医療機関は51 カ所であります。札幌市としては、認知行動療法の有効性を十分認識しており、今後とも適切な情報の提供を行ってまいりたいと考えております。
次に、支援体制の推進についてでありますが、普及啓発の取り組みとして、うつ病に関するパネル展などの実施、さらには、かかりつけ医を対象とした研修会を開催しております。また、各区でこころの健康相談を行っているほか、心に不安を抱える方が気軽に相談できる窓口として、障がい者相談支援事業を社会福祉法人等へ委託し、市内15 カ所で実施しており、今後も支援体制の充実に努めてまいります。
 次に、企業のメンタルヘルス対策への支援についてでありますが、札幌市では、労働者のさまざまな悩みに応じる仕事の悩み相談室や、講師を無料で派遣するメンタルヘルス研修講師派遣事業を行っております。職場におけるメンタルヘルス対策は、早期発見・早期対応が重要なことから、札幌市といたしましては、今後も企業等への支援を継続してまいりたいと考えております。
no1
高齢者対策について
 家族関係の希薄化や核家族化に伴う独居高齢者や高齢者夫婦世帯の増加が顕著となり、地域社会とのつながりが希薄になる中、単身世帯の約6割が孤独死を身近に感じ、不安を覚えています。また、住民登録があって所在の不明な100歳以上の高齢者は、マスコミの報道によれば全国で300人ほどになるものと見られ、問題は深刻の度を増しています。さらに、身近な商店街の衰退やスーパーの閉店、交通手段であるバスの減便によって日常の買い物が不自由になっている高齢者など、いわゆる買い物弱者は全国で600万人程度と推計され、生活を脅かす課題であり、本市においても対応が求められます。
このように高齢者を取り巻く環境が厳しくなってきている中で、さきに行われた市の事業仕分けでは、多くの高齢者施策が見直しや廃止の判定結果となりました。高齢者保健福祉週間行事を初め、高齢者の居場所づくりに寄与し、引きこもりの防止や生きがい支援、健康づくりにもつながっているおとしより憩の家や保養センター駒岡などが見直しあるいは廃止の判定結果となっております。
 そこで、質問ですが、今後一層重要になるおとしより憩の家や保養センター駒岡といった事業、老人クラブへの助成措置を安易に廃止あるいは見直すべきでないと考えますがいかがか、お伺いをいたします。
また、高齢者の孤立化を防止するためには、地域の見守り力を高め、つながりを再構築し、支援の輸を広げていくような重層的な取り組みが必要だと考えます。地域の中では、民生委員、児童委員が地域の情報を収集し、援助を必要とする方々の相談役を担うなど、地域福祉のかなめとなって重要な役割を果たしていただいております。
しかし、平成12年に民生委員法の改正や福祉のあり方が措置からサービスへと変更されたことに伴い、民生委員の活動内容も、それまでの生活保護事務への協力を中心とした活動から、高齢者の安否確認活動や子育て家庭への支援活動など、地域福祉の担い手としてより幅広い活動が求められるようになってきております。このため、民生委員が行うべき業務の増加や多様化が進み、負担がより大きくなってきていることから、引き受けていただけるような人材を確保することが難しくなっている状況にあると聞いております。
 そこで、2点目の質問ですが、民生委員の人材を確保するため、拡大する一方の活動内容を見直し、負担を軽減する考えがないのか、また、民生委員だけではなく、地域全体で見守る力を高めることで、民生委員の活動を行いやすい環境を構築する考えがないのか、お伺いをいたします。
 高齢者対策についてでありますが、まず、事業仕分けの判定結果についてであります。おとしより憩の家や保養センター駒岡、老人クラブ活動費の補助の今後のあり方につきましては、事業仕分けの結果を真撃に受けとめるとともに、市民の皆様からいただいたご意見や今後の議会での議論などを踏まえまして、十分検討の上、判断してまいりたいと考えております。
 次に、民生委員の活動内容の見直しと活動しやすい環境づくりについてでありますが、民生委員の皆様には、福祉のまち推進センターとともに地域福祉の担い手として活動していただいているところであります。今後は、町内会等の住民組織、福祉関係施設、学校やPTAとの連携協力をより一層充実させるとともに、社会福祉協議会で養成している見守りサポーター等のボランティアの方々との協力や、地域にあるさまざまな社会資源の有効活用を図り、民生委員が活動しやすい環境づくりを進め、その中で活動内容の見直しについても検討してまいりたいと考えております
no1
児童施策について
 最初は、児童虐待対策についてでございます。平成20年4月に児童虐待防止法の一部改正が行われ、児童の安全確認のための立入調査等の強化、保護者に対する面会、通信等の制限の強化、保護者に対する指導に従わない場合の措置の明確化等が強化されました。
 我が党は、児童虐待によって措置が必要なケースにおいては、民法上の親権を制限できる制度の検討を進めることを提案し、児童相談所、市町村に児童福祉司などの専門家の配置を拡充して、子育てのアドバイスをする家庭訪問つき相談支援事業の創設や、里親制度のさらなる推進を目指しております。
一方、これまで、稚内市、横浜市、大阪市等で、極めて残念ではありますが、親による子どもへのあってはならない児童虐待事件が発生しております。全国各地で同様な事件が後を絶たない現状をかんがみれば、子どもの大切な命を守るという観点から、児童虐待対策の取り組みは一刻の猶予も許されない状況と考えております。
そこで、質問いたします。
 これまで、安全確認の強制調査は、昨年度は全国で1件しかありませんが、万が一、子どもの安全が確認されない場合、札幌市としてどのように対応するつもりなのか、お伺いをします。

 私は、本年7月、児童虐待に対して先進的な取り組みをしている大阪市こども相談センターを視察してまいりましたが、このセンターには、精神科、小児科などの専門医や保健師、児童福祉司など総数134 名の職員が、ワンストップサービスを目指し、総合的に取り組んでおり、市の意気込みを感じてまいりました。
 全国の警察がことし1月から6月の上半期に摘発した児童虐待事件は181件です。統計を取り始めた2000 年以降、増加し続け、本年は最多となっております。また、児童相談所が対応した虐待件数は、19年連続で過去最多を更新し続けています。児童虐待に至るまでの背景にはさまざまな要因があるとは思いますが、このように増加の一途をたどっている状況では、現状の児童相談所や行政機関だけの対応にはもはや限界があるのではないかと思われます。
 青森県では、一つの事件をきっかけとして、児童福祉法施行令で定める人口5万人から8万人に1人の児童福祉司配置基準を、3万人に1人と倍以上にふやしたところ、対応が格段とよくなり、予防的取り組みまでが可能となるなど、量は質を確保するという側面も実証されております。
 そこで、質問いたします。市では、本年度中に児童相談所の将来構想を策定することになっておりますが、早期発見・早期予防の観点からも、慢性的な人員不足の改善を含めた児童相談所の機能強化が必要であるとともに、関係する区役所などの行政、学校、医療機関、子育てサポート、警察、商店街、町内会等との連携が不可欠であります。このためには、関係機関の連携や市民協力への周知徹底の向上が最も重要であると考えますがいかがか、伺います。
 1点目の児童虐待対策についてですが、まず、安全確認できない場合の対応について、札幌市では、子どもの安全確認・確保を最優先としていることから、確認を拒否された場合は、強制調査などあらゆる権限をちゅうちょすることなく行使することを考えており、日ごろから家庭裁判所や警察とも協議し、連携する体制を整えております。
 次に、関係機関との連携と市民協力の周知についてですが、これまでの学校や警察、医療機関などとの連携強化が早期発見、予防につながる通報等の増加に結びついており、今後もより緊密な関係を構築してまいります。また、市民協力の周知ですが、毎年新たに約400人に対し研修を行い、児童虐待予防地域協力員になっていただいているほか、出前講座等を開催するなど、民生委員、児童委員を初め、身近な地域の方々の協力をいただいており、今後もさまざまな機会を通じて周知徹底をしてまいります。
no1
待機児童対策について
 先般、厚生労働省から、ことし4月1日現在の全国の保育所待機児童数が発表されましたが、札幌市の待機児童数は840 人と、横浜市、川崎市に続き、全国で3番目の多さとなっております。待機児童の増加数では438 人と、全国の市区町村で最も多くなっております。また、特定保育所のみを希望し、入所していない児童を含めると、札幌市全体で1,290 人と、前年同時期の890 人に比べて急激に増加して大変厳しい状況となっております。
 札幌市の子ども未来プラン後期計画では、平成22年度から26 年度の5年間で3,500 人の定員増を目標に掲げ、この計画の1年目である今年度、過去最多の820 人の整備を行うなど、待機児童の解消を目指して取り組んでいることについては承知をいたしております。
 しかし、女性の社会進出、経済情勢などを考慮しますと、これまでの待機児童数の急激な増加傾向は今後も続くことが予想され、また、働きながら子育てしやすい環境を整備するという意味合いからも、保育所整備数は今年度の水準ではまだまだ不十分ではないかと危倶するところであります。
 そこで、質問ですが、札幌市として、このように待機児童が急増している現状に対応するため、来年度については少なくとも今年度以上の保育所整備を進めるべきと思いますが、市長のお考えをお伺いいたします。
 待機児童対策についてであります。現在、札幌市では、認可保育所の整備に最大限の努力をしているところですが、これによる保育所定員増が保育需要の急増に追いついていない現状であり、全国の大都市におきましても大きな課題となっております。 札幌市といたしましては、ただいまご指摘にありました点も踏まえながら、来年度も積極的な保育所整備を進めてまいりたいと考えております。
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障がい者の就労支援施策について
 障がいのある方が地域で生活していく上で就労を促進していくことは、非常に重要なことであると考えております。札幌市においてもさまざまな就労支援を行っていることは承知しており、例えば、法に基づく制度としては、障害者自立支援法の就労移行支援や就労継続支援などの障がい福祉サービスの給付があります。こうした法に基づく就労支援を推進するのは当然でありますが、札幌市独自の支援を展開することがさらに必要であると考えます。
 札幌市独自の支援策として、とりわけ福祉的就労支援における代表的なものとしては、平成18 年に地下鉄大通駅の構内に設置した元気ショップが挙げられます。障がいのある方々がさまざまな福祉施設や作業所でパンづくりや木工製品づくりなどを行っており、それら製品の展示、販売を行う元気ショップの設置により、障がいのある方の作業工賃アップに寄与していることは理解いたします。しかしながら、平均で月額1万5,000 円程度と言わ
れる作業工賃では、自立して生活していくためには余りにも不十分であると言わざるを得ません。働く能力も意欲もある障がいのある方については、企業への就労、いわゆる一般就労に結びつけることが地域で自立した生活を送るためには重要であると考えます。
 一般企業における障がい者雇用の状況として、昨年度の北海道労働局の統計では、札幌圏における民間企業1,306 社の障がい者平均雇用率は1.7%となっており、法定雇用率の1.8%を下回っている状況であります。現在の厳しい経済・雇用情勢により、民間企業は新規採用に抑制的であることに加え、これまで障がいのある方を雇用したことがない企業が抱く漠然とした不安、あるいは、障がいのある方を雇用した場合の負担感などが雇用の広がりをおくらせている原因ではないかと考えます。
我が会派では、これまでも、障がいのある方本人への支援と同様、雇用する企業への支援が必要であり、とりわけ両者へのきめ細かなマンパワーによる支援が、障がいのある方の就労促進と定着支援につながるものであると主張してきました。こうした支援として国の制度はありますが、ジョブコーチの派遣による支援は両者への支援として非常に有効であり、その必要性は高いと考えます。
 あわせて、昨年の障害者雇用促進法の改正により、本年7月から障害者雇用納付金制度の対象企業と法定雇用数算出の対象となる従業員の範囲が拡大されております。このことにより、障がいのある方を雇用したことがなかった企業を初め、各企業はこれまで以上に障がい者の雇用を進める必要があり、マンパワーによる支援のニーズはますます高まっていくものと考えます。そのためには、障がいのある方の一般就労促進における中心的役割を担っているハローワークなど、関係機関との連携を図ることが必要不可欠であります。その上で、国の施策を待つことなく、札幌市独自の支援をあわせて行っていくことが重要であります。
 そこで、質問ですが、障がいのある方と雇用する企業への札幌市独自の支援をどのように進めていこうとされるのか、また、そうした独自の支援策とあわせて、他機関との連携をどのように図っていこうと考えているのか、お伺いをいたします。
 1点目の札幌市独自の支援についてということでありますが、働く障がいのある方や雇用する企業からの相談に乗っております就労者支援型の地域活動支援センターを設置しておりまして、昨年度は、障がいを持った方本人や企業などから延べ3,000 件を超えるご相談を受けているところでございます。今後もその需要はますます高まっていくと考えられますことから、今年度中にもう1カ所増設をすることとしているところであります。まだまだ実績というものは少のうございますけれども、これらの就労支援型のセンターを中核として、障がいのある方と企業の双方をサポートする体制の強化といったことを図ってまいりたい、このように考えております。
 2点目の他機関との連携についてでございますが、札幌市では、障がい福祉関係者間の連携を図り、障がいのある方への支援体制に関する協議を行います札幌市地域自立支援協議会というものを設けておりますが、さらに、今年度から、この協議会の部会として、就労に係ります福祉サービス事業所やハローワーク、それから特別支援学校関係者などを構成員といたします就労支援推進部会を設置いたしました。今後におきましでも、この部会の議論を初め、さまざまな取り組みの中で関係機関との連携強化を図りまして、働く障がいのある方を各方面から支援する体制を構築してまいりたいと考えているところでございます。
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アイヌ施策の拡充について
 札幌市アイヌ施策推進計画については、平成21年度から、アイヌ民族や公募市民の方も参加した検討委員会において検討がなされ、本年3月に報告を受け、パブリックコメントを経て、この9月に策定したとのことであります。
アイヌ民族は、古来、自然との共生を大切にし、自然とともに暮らしてきました。このような生活のあり方は、多くの自然が失われていく現在の日本において尊重すべき貴重な文化であります。
 一方で、近世以降のアイヌ民族からの財産没収や国の同化政策により、アイヌ民族独自の文化が制限、禁止され、アイヌ語を話す機会が減少し、日本の中でアイヌ民族は差別の対象となってきました。このような困難な中でも、アイヌの人々は、社会的地位の向上と文化を保存、伝承、発展させる活動を国内外で行ってきました。こういった地道な活動と長年の努力により、平成19 年9月に、国連総会において、先住民族の権利に関する国際連合宣言が我が国も賛成して採択されました。さらに、この宣言を受け、平成20 年6月、アイヌ民族を先住民族とすることを求める決議が衆参両院議院の本会議で全会一致により可決されました。この決議は、政府に対し、アイヌの人々を、日本列島北部周辺、とりわけ北海道の先住民族として認めること、これまでのアイヌ政策をさらに推進し、総合的な施策の確立に取り組むことを求めております。これらの国内外の動きを踏まえ、政府においては、アイヌの人々の意見等を踏まえつつ、総合的かつ効果的なアイヌ政策を推進するため、アイヌ政策推進会議を平成21年12月に設置し、本年8月には第2回会議が開催された
ところであります。
 このようにアイヌ民族を取り巻く環境が大きく変化しつつあるこの時期に、本市でアイヌ民族に関する初めての計画を策定したことは、時宜を得たものと評価します。
一方で、本計画でも記載しておりますが、北海道大学アイヌ・先住民研究センターが平成20年に実施したアイヌ民族の生活実態調査でも明らかなとおり、アイヌ民族と一般市民との聞には、今日においても生活や教育の面でいまだ格差が存在しております。アイヌ民族がいまだこのような実態に置かれていることから、今後は、速やかに計画に位置づけられた施策を実施し、成果を上げていただきたいと考えるところであります。
そこで、今後、具体的にどのように取り組んでいくのか、以下、3点伺います。
1点目として、計画では、駅前通地下歩行空間を活用して情報発信するなど、市民理解促進のためのさまざまな施策のほかに、藻岩山での儀式の場の確保といった伝統文化の保存、継承、さらには、アイヌ民族の相談、交流の場である白石区の共同利用館の代替施設設置等、多岐にわたっております。観光施策や教育施策など関連する分野も多いわけですが、これらの施策を総合的にどのように進めていくのか、伺います。
 次に、市内の大学では、アイヌ民族の若い方たちに奨学制度を導入し、アイヌ民族文化継承の担い手として育成するとともに、学内に多文化共生のモデルをつくり出す取り組みも進められており、この取り組みに多くの企業や個人も協賛していると聞いております。
 アイヌ民族のアイデンティティーを尊重し、共生していくためには、今後、特に次代を担うアイヌ民族の若い方たちによる文化伝承活動を支援していくことが重要と考えますが、どのように認識しているのか、伺います。
 最後に、計画では、埋蔵文化財センターの展示の見直しが位置づけられております。これまで、埋蔵文化財センターでは、アイヌ文化期の出土品を収蔵してきておりますが、埋蔵文化財センターの展示に十分に生かされていない状況であります。
そこで、アイヌ民族の歴史を広く市民に理解してもらうため、今後、アイヌ文化期の出土品の展示公開についてどのようにお考えか、お伺いをいたします。
 1点目の施策の総合的な進め方についてですが、札幌市アイヌ施策推進計画は、アイヌ民族を初め、有識者や市民の方々のご意見をもとにアイヌ施策に関する初めての計画として策定したものでございまして、これを着実に実施していきたいと考えております。そのため、本計画は、文化や観光、教育等さまざまな分野にかかわりますことから、札幌市一体となって取り組んでまいりますとともに、実施段階にあっても、適宜、アイヌ民族や有識者、市民方々からのご意見をいただきながら計画を推進してまいります。また、現在、国において総合的なアイヌ政策の立案について検討しており、その成果が本計画に掲げられた施策を推進する力になることを期待しているところでございます。
 2点目のアイヌ民族の若い方たちによる文化伝承活動の支援についてです。アイヌ民族の文化を後世に伝えていくためには、若い方たちの活動が不可欠であり、本計画では、伝統文化活動の推進を一つの柱として、これまで実施してきた文化体験講座に、より多くの若い人たちが参加するよう促してまいりますとともに、担い手育成の支援を図るなど、伝統文化の保存、継承、振興に取り組んでまいりたいと考えております。
 3点目の埋蔵文化財センターの展示の見直しについてであります。センターの展示には、郷土の歴史を学ぶことにより、ふるさと札幌に対する誇りと愛着をはぐくむという大切な役割があると認識しております。アイヌ文化期の出士品は、主に平成3年度のセンター開設以降に発掘されたことから、今後における展示の見直しの際には、これらの収蔵品を市民にわかりやすく紹介するなど、展示の充実を図ってまいりたいと考えております。
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女性施策について
 一つ目は、ヒト白血病ウイルスI型母子感染の予防についてであります。ヒト白血病ウイルスI型とは、成人T細胞白血病の原因ウイルスで、主に母乳などを介して母子感染するウイルスで、感染してからおよそ40 年もの長い潜伏期間を経て、そのうちの約5%が発病すると言われております。この白血病は、急性化すると1年以内にほぼ半数が死亡に至る極めて重篤な疾患であります。ウイルスの感染経路は、母子感染が60%のほか、性交渉を介した感染が20%程度存在するとされております。ウイルスに感染している母親が母乳保育をすると、4~5人に1人の割合で子どもが感染すると言われておりますが、人工栄養に切りかえた場合には感染率は6分の1程度に減少するということであります。
 平成21年度厚生労働省研究班の報告では、国内の感染者数は108 万人と推定されております。この研究報管書を受けて、本年6月に、厚生労働省は、妊婦に対してヒト白血病ウイルス-I型母子感染に関する情報を提供するなど、適切な対応をするよう通知をしております。
 そこで、次の2点についてお伺いをいたします。1点目として、国の方針を受けて、札幌市では、妊婦に対してどのような情報提供の取り組みを実施するお考えか、また、成人T細胞白血病などに関する相談体制はどのように行うのか、お伺いをいたします。
2点目に、政令指定都市では、静岡市、浜松市、神戸市が既に妊婦健診の検査項目として導入しており、北海道も標準検査項目に指定しているなど、先進的な取り組みがなされております。札幌市は、妊婦健診の検査項目として導入するお考えはあるか、お伺いをいたします。

 二つ目には、子宮頚がん対策についてでございます。子宮頚がんは、我が国では年間約8,500 人以上の女性が罹患し、約2,500人が亡くなっております。近年、若い女性の罹患が急増しており、死亡率も高いことから、女性の健康と生活に深刻な影響を与えております。
 公明党は、子宮頚がんの検診無料クーポンの配付や、国に予防ワクチンの早期承認を申し入れるなど、以前から子宮頚がん対策にいち早く取り組んでおり、ことしの3月には、市内で約9万人の署名を集め、札幌市に提出し、ワクチン接種費用の助成制度の早期導入を働きかけてまいりました。
今回、厚生労働省の2011年度予算の概算要求案に子宮頚がんの予防事業として150億円が計上されております。その内容は、ワクチン接種費用を助成する市町村にその事業費の3分の1を補助するというものであります。しかしながら、子宮類がんワクチンの接種費用は3回接種で約5万円と高額であり、現在実施しているヒブワクチンの助成制度のような半額助成では自己負担が約2万5,000 円となり、まだまだ負担は大きいものがあります。また、他に先駆けて助成制度を導入している自治体では、全額助成を実施しているところが多い状況にあります。
 一方、我が党では、さきの国会で廃案となりましたが、来る臨時国会において、子宮頚がんワクチンや予防検診費用の全額公費負担を盛り込んだ予防法案を与野党の共同提案として再提出すべく、現在、鋭意働きかけているところであります。
 そこで、1点目の質問ですが、札幌市としても、国の助成制度導入の動きに加え、先進自治体の導入状況を勘案して子宮頚がんワクチンの接種費用を全額助成すべきと考えますがいかがか、お伺いをいたします。また、子宮頚がん対策としては、ワクチン接種とともに、がん病変の早期発見につながる定期的な検診が重要な取り組みであります。我が党は、かねてから定期的な検診の必要性を強く主張してきた結果、平成21 年度から、一定の年齢の女性に対し、乳がん、子宮頚がんを無料で受診できるクーポンを配付する女性特有のがん検診推進事業が全国で実施されることになりました。この事業は、検診の受診率の向上に大きく寄与することから、単年度で終わらせることのないように、継続事業とすることが必要です。札幌市では、21年度に引き続き平成22年度においても実施を決定しましたが、この制度は受診者の対象年齢が5歳刻みとなっていることから、5年聞は継続して実施すべきと考えます。
 そこで、2点目の質問ですが、当該検診事業の継続実施を実現するためにどう取り組んでいくのか、見解をお聞かせください。
 1点目のヒト白血病ウイルス-I型母子感染の予防についてですが、一つ目は、妊婦に対する情報提供と相談体制についてであります。母子健康手帳の交付時や母親教室などの機会をとらえて母子感染の予防に関する正しい知識の普及啓発に努めるとともに、ヒト白血病ウイルス-I型のキャリアの方に対する精神的な支援を図るため、各区保健センターにおける健康相談体制を一層充実してまいります。
 二つ目の妊婦健診への検査項目の導入についてでありますが、現在、国におきましてヒト白血病ウイルス-I型に関する総合的な対策を検討中でありますことから、札幌市といたしましでも前向きに検討してまいりたいと考えております。
 2点目の子宮頚がん対策についてであります。一つ目の子宮頚がんワクチン接種費用の全額助成についてですが、国や北海道等の動向を踏まえるとともに、財政状況も勘案しながら助成のあり方を検討してまいりたいと考えております。
 二つ目は、女性特有のがん検診推進事業の継続についてであります。札幌市では、これまで、政令指定都市市長会や全国衛生部長会を通して、事業の継続及び財源措置を国に要望しております。今後とも、他の自治体とも連携をしながら、さまざまな機会をとらえて事業継続を求めてまいりたいと考えております。
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市有建築物の長寿命化対策について
 札幌市では、1972年の政令指定都市への移行後、70年代から80年代にかけて、各区役所を初めとする多くの施設を建設してきております。当時、建設された教育施設や保健福祉施設、スポーツ施設などは、その多くが30年以上経過し、老朽化が進んでおり、先般報道された白石区役所の建てかえに象徴されるように、今後、市有建築物の建てかえを含めた維持管理の問題が大きな行政課題となっております。
 そこで、市有建築物の耐震化に関する施策についてでありますが、平成18年度に策定した市有建築物耐震化緊急5カ年計画では、平成19年度から23年度までに耐震性能が特に低い市有建築物64施設について耐震化を進めることとしており、そのうち、学校施設52校は既に1年前倒しで実施をしていると聞いております。また、学校施設のうち、耐震性が劣る残り128校についても、順次、補強への取り組みに着手しているとのことでありますので、一定の評価をしているところでありますが、今後ともスピード感を持ってこの計画を進めていくべきであると考えます。
 保全事業の今後の見通しについてであります。札幌市では、市有建築物の長寿命化対策といたしまして、平成20 年度より予防保全の考え方に基づく保全事業に着手しており、対象施設を段階的に拡大しながら計画的な実施に努めております。また、今年度からは、この保全事業にあわせまして、太陽光発電設備の導入など環境負荷低減への取り組みを開始したところであり、さらに、来年度以降はバリアフリー新法に基づく新たな取り組みも検討しておりますことから、今後とも、保全事業を中心とした総合的な取り組みを計画的に進めてまいりたいと考えております。


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老朽化が進む市有建築物の維持管理について
 今年7月に発表された国土交通白書において、これまで整備してきた道路や橋梁、公的住宅などの社会資本の維持管理、更新費用に多額の予算が必要となり、27年後の2037年には新設に充てる予算がゼロになるとの推計が出されました。
一方で、異常を早期に発見し、大規模修繕が必要となる前に改修し、コストを抑える体制を整えれば、維持管理費用を大幅に抑制できると示されております。壊れてから直す事後修繕ではなく、施設の長寿命化と建てかえ時期の分散化による予算の平準化を図ることを目的として、壊れる前に直す予防保全の考え方に立った計画的な保全事業の推進が重要であると考えます。
 また、少子高齢化が進む中、平成18年度に施行されたバリアフリー新法により、どこでも、だれでも、自由に、使いやすくというユニバーサルデザインの考え方に基づいた施設整備の推進が求められているとともに、公共施設の省エネルギー化を推進するため、積極的な環境対策への取り組みも求められております。このように、市有建築物の維持管理に当たっては、耐震化やバリアフリー化、そして環境負荷低減対策といった一連の対策を含めた効果的・効率的な保全を進めていく必要があります。
さらに、このような施設の改修は、中小建設業者の得意とする分野であり、一定規模の事業を継続的に行うことは中小企業の経済対策にもつながるものと考えます。
 そこで、質問でありますが、平成24年度には、学校、市営住宅等を除く市有建築物の保全事業が一元化されると聞いております。より計画的な保全事業が推進されるものと思いますが、さらに、バリアフリー化、環境負荷低減対策など、市有建築物が抱える課題とあわせ、当該事業を推進していくべきと考えますが、今後の見通しについて伺います。
 また、全国的な公共工事の大幅な削減や民間の設備投資意欲の減退により、建設業界にとっては企業経営が大変厳しい状況にあります。このような状況を受けて、市有建築物の長寿命化対策としての公共事業を早急かつ継続的に実施していくことは、中小企業の経済対策としても有効であると思いますが、本市の考え方をお示しいただきたい
 市内中小企業への経済対策についてであります。今年度の保全事業につきましては、環境負荷低減対策及び補正予算による追加を合わせまして総額28億円の事業を予定しているところであります。この事業は、建物の補修や設備の更新など多岐にわたり、多くの市内中小企業に受注機会が確保されることから、議員ご指摘のとおり、地域における効果的な経済対策につながるものと認識しております。来年度以降につきましでも、着実に事業を進めてまいりたいと考えております。

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子ども・若者の育成と支援について
 さまざまな困難を持つ子どもやその家族が安心して生活できるよう、一人一人を温かく包み込む社会を目指した青少年育成の施策は何よりも重要なものであると思っております。
 しかし、昨今の社会の様子を見渡したとき、ニートや引きこもり、不登校の子どもの増加、経済格差による子どもの貧困等、子どもや若者にかかわる多くの問題が存在をしております。それぞれの背景には根深いものがあり、報道等を見聞きするたびに胸を痛めているところであります。それらの中には家庭の状況や社会情勢によるものなどもありますが、そのような現状の中で子どもや若者の心がむしばまれているのであれば、ゆゆしきことであり、社会全体で解決に向けて取り組んでいかなければならない問題であると認識をしております。
 一方で、青少年の健全な育成を図るためには、子どもみずからが学ぶ意思や意欲を持ち、未来への夢や目標を抱き、みずからを律しつつ、社会や公共のために何をなし得るかを大切に考える姿勢をはぐくむことが重要であり、そのための地域や学校における取り組みが不可欠であります。とりわけ、学校においては、地域の自然に親しんだり、文化芸術に触れたり、地域社会に関心を持って調査、見学したりするような体験活動が行われており、その活動を通して、子どもが喜びや充実感を味わい、豊かな心がはぐくまれていくものと考えており、そのような体験活動をより一層推進していくことが大切だと強く感じているものであります。
 そこで、質問の1点目ですが、学校教育における子どもたちの豊かな心をはぐくむための体験活動についてどのように認識をしておられるのか、また、体験活動を今後どのように推進していくのか、お伺いをいたします。
 2点目は、困難を有する子ども、若者を支援する具体的な取り組みについてであります。不登校や引きこもりなどは、その背景、誘因となるべきものがさまざまであり、このような困難を有する子ども、若者を支援するためには、単一機関による支援だけではなく、多様な関係機関がネットワークを形成し、それぞれの専門性を生かした支援を行っていく必要があると考えております。
我が会派では、本年2月に「引きこもり対策の推進に関する調査・研究」と題した報告書を札幌市に対して提出をしており、その中において、複数の機関が相互に連携協力し合い、その情報を共有、蓄積し、今後の活動内容の向上に結びつけていくことの必要性を訴えるなど、関係部局、支援機関のネットワークの構築を提言しております。その後、さきの第2回定例市議会において、我が会派の福田議員の質問に対し、専門機関と連携して包括的かつ継続的に若者を支える仕組みを整える必要があるとの答弁があったところであります。また、国においては、昨年7月の子ども・若者育成支援推進法の成立に続き、本年7月には、子ども、若者を育成、支援するための施策大綱である子ども・若者ビジョンを策定し、困難を有する子ども、若者への支援、特にネットワーク形成の必要性を示しております。
 そこで、質問でありますが、この子ども・若者ビジョンの中で示されている子ども、若者を支援するためのネットワークの形成について、札幌市ではこれまでどのように取り組んでこられたのか、また、今後どのように取り組んでいくのか、お伺いをいたします。
 1点目の豊かな心をはぐくむための体験活動についてであります。まず、体験活動の認識についてでありますが、体験活動は、子どもたちの学びの核であるとともに、命や自然を大切にする心や、本物の芸術の持つ美しさに感動する心、社会のために尽くそうとする心など、豊かな心をはぐくむ上で極めて重要であると考えております。
次に、今後の体験活動の推進についてでありますが、教育委員会といたしましては、体験活動の指導計画例を示すとともに、児童生徒が主体的に取り組む具体的な実践例を示しながら、各学校における体験活動の一層の充実を図ってまいりたいと考えております。
 次に、2点目の子ども、若者を支援するためのネットワークの形成についてであります。まず、ネットワークにつきましては、これまで、教育、保健福祉、雇用などさまざまな分野の支援機関に呼びかけ、その形成に向けた協議を行ってきたところでございます。このような取り組みにより、今月1日には、さっぽろ子ども・若者支援地域協議会を設置することができまして、24日には第1回の代表者会議を開催したところでございます。今後につきましては、定期的にこのネットワーク会議を開催し、各支援機関同士の情報交換を積極的に行うとともに、実務者会議を随時開催し、具体的な困難事例に即応していくなど、とのネットワークを有効に機能させてまいりたいと考えております。