議会報告

平成22年第4回定例議会
代表質問 本郷俊史 議員
(中央区)

12月2日札幌市議会本会議において公明党議員会を代表して 本郷俊史 議員が代表質問を行いました。
今後の経済・雇用対策の取り組みについて、また、補正予算に対する評価について質問しました。
以下、質問とそれに対する答弁の要旨を紹介します。
no1
今後の経済・雇用対策の取り組みについて
 我が国は、既に人口減少社会に突入するとともに、少子高齢化の進展や環境問題の深刻化など、我々を取り巻く社会状況は大きく変化しています。また、日本の経済の現状は、円高の進行や世界経済の停滞によって、足元はもとより、先行きはさらに厳しさを増していくものと思われ、デフレ脱却の糸口も全く見つからない中、生活の基盤である雇用の確保もままならない大変厳しい状況が続いているものと認識しております。
 内閣府が11月18日に発表した月例経済報告では、景気はこのところ足踏み状態となっている、また、失業率が高水準にあるなど厳しい状況にあるとしており、雇用情勢については、一部には持ち直しの動きがあるものの、依然として厳しい状況が続いていることを指摘しております。また、生産については、このところ減少していると、2カ月連続で下方修正するとともに、個人消費についても、持ち直しているものの、一部に弱い動きも見られるとして、1年9カ月ぶりに下方修正するなど、経済情勢の先行きの不透明さが一段と強まっているのであります。また、札幌圏のことし10月の有効求人倍率は、徐々に回復傾向を示してはいるものの、0.37倍にとどまっており、本市の経済・雇用環境は極めて厳しい状況にあると言えるのであります。
このような状況の中、札幌市の経済が持続的に発展し、魅力あふれるまちづくりを実現していくためには、これからの社会経済情勢の変化をしっかり見据えた上で、それらの変化に対応するための中長期的な視点から戦略的な産業振興策を講じていくことが不可欠であります。
 こうした中、市長は、ことし10月に札幌市産業振興ビジョンの素案を発表しました。その中で、さまざまな外的要因の変化にも対応できる足腰の強い経済基盤を確立することが急務となっており、そのためには、まず、雇用の場を確保、創出し、市民に働く機会を提供する必要があるとうたっているところであります。雇用対策としては、今年度、当初予算と補正予算とを合わせて28億円規模の緊急雇用対策を打ち出し、1,705人の新規雇用を創出するとしており、今議会においても、さらなる雇用施策を含む補正予算の提案があり、間断なく努力をされていることは認めるところでありますが、まさに結果としてあらわれる効果的な取り組みが求められているのではないでしょうか。
 そこで、1点目の質問でありますが、雇用対策について、これまで講じてきた施策を市長はどのように評価しているのか、また、札幌市における当面の雇用対策についてどう考えていくのか、さらに、雇用の場の確保に向けて長期的な取り組みをどのように進めていくのか、お伺いします。
今後の経済・雇用対策の取り組みについてというお尋ねでございますが、まずは雇用の場の確保についてお答えをいたします。
  雇用対策につきましては、札幌市の独自施策といたしまして、就業サポートセンターを初め、資格取得と就職支援の結びつけをいたしましたプログラム事業だとか、女性、中高年齢層など就職が困難な方々に対しまして各種再就職支援事業に取り組んできたところでございます。今年度も、9月までに、国の緊急雇用創出事業を合わせまして約4,000名の就職を実現することができました。そして、こういうことが雇用の下支えとして一定の成果が上がっている、このように認識をしているところでございます。
  しかしながら、雇用情勢というのは依然として厳しいというのは議員ご指摘のとおりでございまして、一人でも多くの求職者の就職確保といったことは当面の大きな課題でございます。このため、引き続き、緊急雇用創出事業など国のさまざまな雇用対策を最大限活用するとともに、雇用におけるミスマッチの解消、そして、企業に対する採用意欲といったものを喚起する、そんな施策などを積極的に進めてまいりたい、このように考えているところであります。
  また、長期的な取り組みについてでありますが、雇用の場の確保、創造のためには、何よりも産業振興といったことを進めるということが重要であると考えております。産業振興ビジョンに掲げますさまざまな施策を確実に実施することでさらなる雇用の創出につなげてまいりたい、このように考えております。
no1
若年層の創業支援について
ここ数年、札幌市から道外への人口流出が多くなってきており、すべての年代において転出者が転入者を上回る状況が続いております。特に、20代の若者の転出超過数が多くなっており、しかも、その数は年々増加傾向にあります。これは、先ほど申し上げた有効求人倍率からもわかるように、大学を卒業しても道内で就職ができず、やむを得ず道外に職を求めて流出しているものと考えられるのであります。
  20代を中心とする若年層が雇用の受け皿が少ないために就職ができないのであれば、必ずしも企業への就職という形にとらわれずに、みずから起業・創業することも選択肢に入れられるようにすることも重要ではないでしょうか。そのためには、市としても、これまで以上に創業を志す若者への支援に力を入れていくことが必要であると考えるところであります。
  そこで、質問ですが、若年層に対する創業支援のあり方についてどのように認識しているのか、お伺いします。
札幌市は、これまで、セミナー、相談対応、資金の貸し付け、起業家育成施設の提供など、年代を問わずさまざまな支援を行ってまいりましたが、若者の雇用情勢が厳しさを増す中にあって、若年層にスポットを当てた創業支援というものは極めて重要である、このように認識しているところでございます。したがいまして、これらの支援事業を若年層に対して周知するとともに、創業に対する意識調査を行った上で、商工会議所など関係団体と連携をいたしまして、若年層向けのセミナーを実施するなどの取り組みを検討してまいりたいと考えております。
no1
補正予算に対する評価について
 今議会には、既に議決済みである職員費関連の項目を除き、歳入歳出予算総額37億6,600万円の補正が提案されております。このうち、後期高齢者医療や新型インフルエンザのワクチン接種などに係る経費を除いた29億6,000万円ほどが経済対策関連の事業になると理解しているところです。提案のあった事業を見てみますと、雇用対策としては高卒未就職者への支援、地域経済対策としては商店街独自の商品券発行に対する支援などがあるほか、子育て分野では家庭的保育事業、いわゆる保育ママ制度の実施や、環境分野では市有施設への太陽光パネルの設置、さらに加えて、公共投資としては道路の整備や学校の耐震補強など、多岐にわたる分野での事業が盛り込まれております。
 今回の補正予算は、国における経済危機対応・地域活性化予備費活用の閣議決定が一つの契機になっていると思うのですが、これまでのたび重なる経済対策にもかかわらず、なお、景気の厳しさが続いている状況をかんがみると、国の対策のみならず、札幌市が地域の実情に合った独自の経済・雇用対策を行うことが必要であると考えるところです。  
  そこで、質問ですが、このたびの補正予算を市長は何に重点を置いて編成したのか、また、今回の補正予算をご自身はどのように評価しているのか、お伺いをします。
このたびの補正予算については、国が9月に打ち出しました経済対策を踏まえつつ、札幌市の経済情勢に即応した事業を盛り込むことに意を用いたところでございます。具体的には、高校卒業未就職者を正規に雇用いたします企業への助成や、商品券を発行する商店街への支援などを単独事業として実施するほかに、道路や街路の整備などの公共事業につきましても、国の経済危機対応・地域活性化予備費を活用したものに加えまして、独自の単独事業も一定の事業規模を確保したところでありまして、景気の回復と雇用環境の改善に資するもの、このように考えております。
no1
住宅エコリフォーム補助制度の条件緩和について
 本この補助制度は、昨年の第4回定例市議会において、全議員提案により成立した札幌市環境負荷の低減等のための住宅リフォームの促進に関する条例に基づき、平成22年度に新たに創設されたものであります。条例制定の大きな目的の一つは、市内産業の活性化であります。長引く景気の低迷を反映して、新設住宅の着工戸数は、平成18年以降、減少傾向となっており、平成18年度は対前年比5.4%減、19年度は24.2%減、20年度は12.5%減と非常に厳しい状況が続く中、この制度により市内中小企業の受注機会の増大が図られ、住宅業界が活性化されることを期待していたところです。
  こういった経緯のもと、今年度、補助金として1,500万円を予算化し、制度をスタートさせました。申請の受け付けは7月1日から10月末までの4カ月間であり、その利用状況は、申請件数が45件、補助額が約1,000万円、予算の執行率は約67%で、1件当たりの補助金は約22万円ですが、実際の工事費は約550万円で、経済効果は26倍という結果でした。国の住宅版エコポイント制度の影響もあり、申請件数としては物足りない結果であったと言わざるを得ません。
  その要因の一つとして、手続面の煩雑さがあるのではないかと考えます。私たちが条例制定に当たって視察した川越市など他都市の事例では、補助申請のために新たに用意するものは工事写真程度で、あとは見積書や契約書のコピーなど、非常に簡素化された制度となっておりました。札幌市においても、利用拡大を図るためには申請手続の簡素化を検討されるべきと考えます。
  また、平成23年度の補助事業については、真に市内産業の活性化に結びつくよう予算規模の拡大というものも求められるところです。
  そこで、質問ですが、札幌市では次年度に向けて住宅エコリフォーム補助制度の条件緩和についてどのようにお考えか、伺います。
 この制度はことしからスタートさせたものでありますが、その初年度において思いのほか申請が伸びなかったと。その要因につきましては、市民及び事業者への周知不足というものが考えられるほか、議員ご指摘のとおり、受け付け開始が遅かったということだとか、手続面における煩雑さ、加えて国の住宅エコポイント制度との競合、こういう要素が複合した結果であったというふうに考えているところであります。
  こうしたことからも、平成23年度に向けましては、市民から直接相談を受けることになりますリフォーム事業者を対象としました説明会を早目に開催するなど、より一層制度の周知に努めるとともに、申請期間の前倒しだとか、あるいは提出書類の見直し、さらには、対象となります住宅の要件だとか申請者の年齢要件の緩和など、利用拡大に向けた見直しを早急に行ってまいりたい、このように考えているところでございます。
no1
来札1,500万人を目指した観光戦略について
 近ここ数年の世界経済の状況を見ていくと、東南アジア各国のほか、中国やインドなど、いわゆる新興国が急速な経済成長を遂げており、グローバル化による変化は、日本全体はもとより、この札幌においても観光を取り巻く環境にさまざまな影響を与えているところであります。一方、国内では既に人口減少の時代に入っており、今後、定住人口の増加が見込めない中、都市の活力を維持していくためには、観光を初めとした交流人口の拡大や地域経済の活性化が極めて重要であります。
  現在、策定が進んでいる産業振興ビジョンでも、観光は、札幌の経済を支える重要な要素として位置づけられたところであります。ご存じのとおり、観光にかかわる産業は、宿泊、飲食、物販、運輸など非常にすそ野が広く、今後、札幌の産業全体の活性化を図っていくためには、観光客誘致を一層推進することで外貨を稼ぐという考え方が非常に重要であると考えます。最近は、中国を初めとしたアジア圏からの外国人観光客の増加が目立っていますが、昨年度の統計では、全体の約56%が道内からの観光客であり、海外からの誘致ももちろん大切ではありますが、地元北海道内からより多くの方に来ていただくということも重要であります。
  そこで、1点目の質問でありますが、今後、道内市町村からの観光客をふやす取り組みについてどのように考えておられるのか、お尋ねします。
  次に、札幌の新たな魅力づくりについてです。
  民間のシンクタンクが実施したことしの地域ブランド調査において、札幌は魅力的な都市ランキング第1位となりました。雪まつりやYOSAKOIソーラン祭りなどのイベントやモエレ沼公園、芸術の森といった施設は、札幌の魅力を代表するものであります。さらに、時計台を初め、豊平館、旧小熊邸といった歴史的な建造物も貴重な観光資源と言えるのではないでしょうか。このような建造物や庭園などを整備、活用することによって、札幌の歴史と庭園をめぐるまち歩きツアーのようなものも企画することができるのではないかと思います。
  そこで、2点目の質問でありますが、こうした歴史的建造物を新たな観光資源として発掘し、活用することについてどのように取り組んでいくお考えなのか、お伺いします。
  次に、行政の果たすべき役割についてです。
  今年度の観光コンベンション部の予算は、昨年度より増加したとはいえ、約6億8,800万円、一般会計予算全体の0.08%にすぎません。本来であれば、より多くの予算を投入し、積極的な観光振興策を展開していくことが重要でありますが、本市の厳しい財政状況を考えますと、これからの観光コンベンション部の取り組みとしては、芸術文化、スポーツ、都市景観など、各部局が行っているさまざまな施策を観光の視点でコーディネートしたり、また、官民との連携では、観光にかかわる企業や団体、北大を初めとした観光学部を持つ大学等、観光に携わるあらゆる主体がそれぞれの分野で十分な力を発揮してもらうための役割を果たすべきであると考えます。
  そこで、3点目の質問でありますが、策定が予定されている観光振興プランの中で、行政の役割をどのように位置づけ、責務を果たしていこうと考えているのか、お伺いをします。
  1点目の道内市町村からの観光客をふやす取り組みについてでありますが、気軽に札幌の観光を楽しむことができる道内観光客の誘致活動というのは今後もしっかりと取り組んでまいりたいと考えておりまして、その一つとして、来年春にオープンをいたします札幌駅前通の地下歩行空間におきましても、魅力あるイベントの実施だとか、あるいは、札幌や北海道の魅力の発信などをコンセプトといたします広場において、大型映像装置を活用しました観光イベント情報などの発信を検討しているところでございます。また、北海道全体の観光振興のためにも、オータムフェストのような全道各地の特産物が札幌に集まるイベントというものを充実させていきたいと考えております。さらに、今年度からは、旭川市、函館市などの道内中核都市と連携を図りまして、それぞれの都市のホームページに新たにこの中核都市の観光情報もお互いに載せ合う、こういうことも企画をしているところでございます。
  今後は、このような取り組みを進めていくことによりまして、札幌市民が道内各地を訪れる機会がふえ、お互いのまちの魅力を発信することで、結果として札幌を訪れる観光客が増加するというふうに考えてもおります。
  2点目の札幌の新たな魅力づくりについてでございます。
  札幌の観光の強みと言える季節ごとのイベントや食に加えまして、札幌独自の歴史を今に伝える歴史的な建造物の活用というのは新たな観光の魅力づくりにつながるもの、このように私も考えます。今後は、歴史的な建物を発掘いたしまして見学会を実施しております札幌建築鑑賞会などの市民団体とも連携を図りながら、市内各所にあります景観的にもすぐれた建物、庭園などを観光資源として掘り起こし、観光客に紹介をしてまいりたい、このように考えております。
  3点目の行政の果たすべき役割についてでございますが、現在策定を進めております観光振興プランでは、札幌市の新たな魅力の発掘や、道内市町村と連携した広域的な取り組み、官民の連携強化ということが課題であると認識をしているところでございます。また、観光は、都心のまちづくりなど札幌市における各分野の事業と関連を持つものでありますので、これからは、まちづくりを進めていく上で観光という視点をしっかりと位置づけていくことも課題である、このように考えております。したがいまして、こうした課題を解決していくとともに、北海道全体の観光振興の牽引役としてのリーダーシップといったものを発揮していくことが札幌市の役割と責務である、このように考えているところでございます。
no1
学校など市有建築物の耐震化について
 近年、国内や海外において大地震の発生が続いています。国内では、平成19年の新潟県中越沖地震や平成20年の岩手・宮城内陸地震、海外では、ことしの初めに起きたハイチやチリの大地震が記憶に新しいところですが、これらの地震により甚大な被害が発生している状況を考えると、市民の安心・安全を確保する観点から、建築物の耐震化は重要な施策です。
  特に、平成20年5月に起きた四川大地震では、学校の崩壊により多くの子どもたちが犠牲となりました。言うまでもなく、学校は、児童生徒が一日の大半を過ごす活動の場であるとともに、災害時には地域住民の応急避難場所としての役割も果たすことから、その安全性の確保は極めて重要であり、耐震化の推進が喫緊の課題であると考えます。
  しかしながら、北海道における公立小・中学校の耐震化は全国レベルと比べておくれており、文部科学省の平成22年4月1日現在の調査結果では、北海道の公立小・中学校の耐震化率は全国と比べ10%以上低い60.6%となっております。同様に、札幌市における公立小・中学校の耐震化率は64.9%であり、今後、さらに一層の耐震化の実施が必要な状況にあります。
  このような状況の中、国では、平成20年に地震防災対策特別措置法を改正し、Is値0.3未満の公立小・中学校等の施設の耐震化事業に対し、国庫補助率を引き上げ、あわせて地方財政措置も拡充しており、地方公共団体の財政負担は大幅に軽減されてきている状況にあります。さらに、平成23年度には、学校の耐震化を含む施設環境の改善のための新たな交付金を新設する予定であり、このような施策の活用も考慮しつつ、より迅速に耐震化を進めることが必要であると思われます。
  また、学校以外の市有建築物についても、災害拠点や応急避難場所として指定されている施設は多く、その安全性の確保は非常に重要な課題であります。札幌市においては、平成18年に市有建築物耐震化緊急5カ年計画を策定し、震度5強の大地震において倒壊のおそれがあるIs値0.3未満の64施設について緊急的に耐震化を実施してきており、学校施設52校を初め、区役所などの災害拠点施設や避難施設についても計画に沿って耐震化が進められているところであります。
  そこで、2点質問します。
  まず、1点目ですが、市有建築物耐震化緊急5カ年計画に引き続き、Is値が0.3以上で目標値に達していない154施設については、先ほど説明したとおり、安全性の確保の面から迅速な対応が求められているところであります。このため、早急に耐震化計画を策定し、着実に耐震化を進めていくべきと考えますがいかがか、お伺いいたします。
  次に、2点目ですが、この154施設については、学校128校を含むものであり、現在の耐震化計画から期間をあけることなく耐震化を実施し、安全性の確保を急ぐべきであります。財政負担についても、国の補助などを利用した上で進めることにより、より市の負担を軽減できるものと考えるものです。
  そこで、この154施設の耐震化について、今まで以上にスピード感を持って進めていくべきと考えますがいかがか、お伺いします。
 学校などの市有建築物の耐震化についてでございますが、まず、次期耐震化計画の策定についてであります。
  Is値0.3未満の64施設につきましては、平成19年度より順調に耐震改修を進めておりますが、これに引き続き耐震化が必要となります154施設については、平成23年度中には次期計画を策定し、事業を進めてまいりたいと考えております。
  次に、次期耐震化事業への取り組みについてでありますが、議員ご指摘のとおり、学校を初めといたします市有建築物の耐震化は、地域の安全・安心確保の面からスピード感を持って取り組むべき喫緊の課題と認識をしております。そのため、次期計画の対象となります施設のうち、学校22校につきましては、既に今年度より前倒して設計業務に着手しており、そのうち5校については改修工事も予定しているところであります。今後につきましても、新たな国の交付金の動向を注視するなど、補助制度を有効に活用いたしまして、財政負担の軽減を図りながら積極的に事業を推進してまいりたいと考えております。
no1
住宅の耐震化の推進について
 住宅の耐震化については、平成17年度に、議員提案により、木造戸建て住宅を対象に耐震診断等に係る費用に対する支援を柱とした札幌市住宅耐震化促進条例を制定したところです。その後、平成20年度におきまして条例の一部改正を行い、対象をマンションを含むすべての住宅に拡大するとともに、昨年度、エコリフォーム条例を制定し、バリアフリーや断熱改修とともに工事費用の一部助成の制度がスタートしたところです。
  札幌市においては、住宅及び多数の者が利用する建物の耐震化率を平成27年度までに90%とすることを目標に、札幌市耐震改修促進計画を策定し、耐震化に取り組んでおりますが、多額な改修費用や高齢化の進展に伴うマンション管理組合の合意形成が図りにくいなどの課題により、耐震化が進みづらい状況になっていることは私も十分認識しているところです。
  しかし、阪神・淡路大震災の犠牲者の8割以上の方が住宅の倒壊による圧死であったこと、また、市内の人口の約6割の方が共同住宅で生活していることを考えると、住宅の耐震化は喫緊の課題です。特に、昭和56年の新耐震基準以前に建てられた分譲マンションが市内に約600棟もあることを考えると、今後、行政による支援が一層重要になってくるものと考えます。現在、国においては、分譲マンションなどの耐震化を促進するため、改修工事などに対する助成制度の創設を検討しているという動きがあります。
  そこで、札幌市における分譲マンションを対象とした耐震化について、これまで取り組んでこられた内容と社会情勢を踏まえたこれからの取り組みに関する考え方についてお伺いします。
 まず、これまでの取り組み内容ですが、平成20年度からは分譲マンションにおきましても耐震診断に対する補助事業を実施しており、平成22年度からは、耐震設計も追加いたしまして、所有者の耐震化への取り組みに対する支援制度の充実を図ってきております。
  なお、市内にある分譲マンション約3,500棟のうち、昭和56年以前の旧耐震基準で建築されたものは約600棟ございますが、これまでの耐震診断の補助制度の活用実績などを踏まえますと、所有者の合意形成が難しいこともあり、その多くは耐震性の有無の確認さえも行われていない状況にございます。
  したがいまして、耐震化への取り組みの第一歩として、この耐震診断がまずは実施されることが重要と考えております。このため、例えば、大規模修繕の際に合わせて耐震診断を行うよう所有者へ働きかけるなど、さらなる周知やPRに努めますとともに、国や他の自治体の動向も踏まえながら、より充実した制度運用と支援策を検討してまいりたいと考えております。
no1
特別養護老人ホームの整備について
 公明党では、昨年暮れ、介護総点検を実施し、全国3,000名を超える議員が現場に出向き、実態調査やアンケート活動を展開してまいりました。これらの調査を受け、介護基盤の整備を加速させることや介護職員の処遇改善に向けた施策について強く要望してきたところであります。
  現在、国においては、高齢者の生活を地域で支えるために、介護保険サービスや介護予防サービスのほかにも、住宅や生活支援サービス、医療保険サービスなどといった五つのサービスを一体化して提供していくという地域包括ケアを念頭に置いた第5期の介護保険事業計画の基本指針等を示そうとしております。札幌市においても、これらを受けて次期高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画を策定していくわけであり、それに向けた高齢者の意識調査についても実施しているところであります。
  一方、ことしの6月末で6,000人を超える特別養護老人ホーム、いわゆる特養の待機者がおり、本人や家族が希望してもなかなか入所できないという厳しい状況にあります。このような中、札幌市の来年度の特養の施設整備は218人分と待機者の5%にも満たない整備数にとどまっているわけであります。
  そこで、質問ですが、高齢者人口がますます増加する中、今後、策定予定の次期高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画においてはこれまで以上の施設整備が必要と考えますがいかがか、お伺いします。
 札幌市では、現在、高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画に基づき、特別養護老人ホームを含め、施設や在宅の介護サービス提供基盤の整備を進めているところでございます。今後は、在宅介護が困難な高齢者の一層の増加が見込まれており、これまで以上の特別養護老人ホームを初めとする高齢者向け施設の整備が必要になると考えておりますが、介護保険料に与える影響などさまざまな課題もありますことから、市民意見の把握に努めるとともに、議会における議論を深めてまいりたいと考えております。
no1
児童相談所の将来構想について
 急増する児童虐待を含めた児童相談全般に関して、児童相談所の職員が懸命に対応されていることは承知しておりますが、増加の一途をたどっている現状では、児童相談所や行政機関だけの対応では改善は難しいのではないかと思うのであります。具体的な数値を挙げますと、札幌市児童相談所への相談件数も、平成17年度の4,040件が平成21年度には6,036件と大幅に増加しており、また、一時保護された子どもは、平成17年度の延べ7,569人から平成21年度には1万452人と急増しております。また、札幌市が児童養護施設に措置している児童は平成21年度末で569人となっており、市内施設の定員は368人であることから、約200人は札幌市外の施設に入所している状況です。
  札幌市では、今年度中に児童相談所の将来構想を策定することとなっており、先日、札幌市社会福祉審議会から札幌市児童相談所のあり方について意見具申がなされたところです。
  そこで、3点お伺いします。
  まず、1点目は、児童相談所の業務量が増大する中、現状の施設面で十分に対応できているのかということについて、意見具申では、児童相談所の拡充については提言されていますが、面接室や一時保護所等の狭隘等の解消については判然としないように見受けられることから、児童相談所の拡充についてどのようにお考えか、伺います。
  2点目は、札幌市外の児童養護施設に多数の児童が入所している状況下で、家庭復帰に向けた保護者との面会や指導等を考えると、札幌市内で養護するためにも、ファミリーホームの増設等を検討するなどその受け皿をふやす必要があると思いますが、このような社会的養護体制に関しては今後どのような方向性をお考えなのか、お伺いします。
  3点目は、子どもの権利の保障の観点にかんがみ、子どもの権利条例において、子どもの権利に関する保障の状況を調査審議する機関として位置づけている子どもの権利委員会に対しても意見を求めるべきと考えますがいかがか、お伺いします。
 初めに、児童相談所の施設面の拡充につきましては、社会福祉審議会から提言をいただきましたので、相談件数の増加に見合う面談室等の増設を図るほか、一時保護所については、定員増や学習専用室の新設とともに、児童のさまざまな状況にきめ細やかな対応をとるため個別指導用の個室を配置するなど、現施設内にある発達医療センター部分の有効活用も含めて検討してまいります。
  次に、社会的養護体制の方向性ですが、少人数養育のファミリーホームや児童養護施設における小グループケアなど、家庭的な養育環境の充実を図るとともに、市内で多様な受け皿を拡大し、整備してまいります。
  次に、子どもの権利委員会の意見についてですが、児童相談所の将来構想は子どもの権利の保障にも深くかかわることでありますので、今後、当権利委員会の意見を十分に聞いてまいりたいと考えております。
no1
特定不妊治療費助成事業について
 少子化が進む中、健やかに産み育てられる環境をつくることは社会全体の責務であります。札幌市の合計特殊出生率は、平成17年に過去最低の0.98になっています。その後、平成18年は1.03、平成20年には1.07とおおむね微増していましたが、平成21年には1.06とわずかながらも再び低下が見られています。また、平成21年の出生数は1万4,506人で、前年より339人減少しています。
  札幌市の妊娠、出産をめぐる問題としては、10代の人工妊娠中絶率が高いこと、また、妊婦健診を一度も受けずに出産間近に医療機関へ駆け込む未受診妊婦の増加などが見られます。望まない妊娠による人工妊娠中絶が後を絶たない一方で、子どもの誕生を望んでいるにもかかわらず、授からない夫婦もおります。
  いわゆる不妊に関しては、精神的な悩みや負担感のみならず、治療にかかる費用が高額なため、経済的な理由を背景に子どもをあきらめざるを得ない夫婦もおります。このような方々への支援として、医療保険の適用外であり高額の治療費が必要となる体外受精や顕微授精の費用の一部を、公費で助成することを我が党としても強く要望してきたところです。
  札幌市においても、平成17年10月から特定不妊治療費助成事業を開始していることは一定の評価をしているところであります。事業開始から5年が経過する中で、制度の充実も図られてきていると思いますが、厚生労働省では、助成制度のさらなる拡充として、これまで1年度当たり助成回数が2回であったものを3回までにふやすとともに、所得制限の緩和なども想定し、平成23年度予算の概算要求を行っております。
  そこで、質問ですが、札幌市では、平成23年度から特定不妊治療費助成事業における助成回数をふやすなど制度の拡充についてどのようにお考えか、お伺いします。
 平成23年度からの制度の拡充についてでありますが、札幌市といたしましては、国の動向を踏まえながら助成回数などについて検討を行い、不妊に悩む市民の方々への支援を充実してまいりたいと考えております。
no1
今後の母子保健事業の推進について
 現在、各区保健センターにおいては、妊婦や乳幼児期の母子などを対象として、母子保健法に基づき、専門職による相談、家庭訪問、各種教室などの事業を展開しています。このような事業を通じて、育児に悩みや不安を抱えるハイリスク親子を早期に把握し、早期に支援を開始することは、児童虐待発生予防のためにも重要であると考えております。
  札幌市では、平成15年度から、市内の産婦人科や小児科医療機関と連携し、ハイリスク親子の早期把握と支援を行う保健と医療が連携した育児支援ネットワーク事業を展開しています。この事業を通じて医療機関から寄せられる情報提供は年間360件前後でありますが、医療機関別に見ると、産婦人科からが約7割であり、小児科からは約3割という現状にあります。
  現在、小児科医療機関では子どもが病気のときの治療や予防接種を行うという役割分担がなされていると思いますが、最近では、地域の小児科においても、子育て中の母親が気軽に集える場を提供し、情報交換や仲間づくりを進める医療機関が出てきていると聞いております。病気の治療に加えて、育児支援の必要性や重要性から、医療機関においてもこのような動きが始まったものと考えるところです。このように、母子保健上のさまざまな課題を解決し、保健と医療が連携した育児支援ネットワーク事業の一層の推進を図るとともに、地域の小児科医療機関と行政が連携して親子の支援を切れ目なく行っていくことが重要であると考えます。
  そこで、質問いたしますが、母子保健事業を推進するためにはより一層保健と医療の連携が重要になると思いますが、札幌市としていかがお考えか、お伺いいたします。
 札幌市といたしましては、医療機関と母子保健上のさまざまな課題を共有し、地域における育児支援がきめ細かく進められるよう、さらに連携を深めてまいりたいと考えております。
no1
今後の路面電車の活用についてお伺いいたします。
 市長は、平成17年2月に路面電車を残すと決断し、その後、さまざまな検討を進め、本年3月に札幌市路面電車活用方針をまとめた中で、まちづくりに路面電車を活用するため路面電車を延伸するべきであると方向性を示したことは、大変評価しているところです。
  先ほども申し上げましたが、今後、札幌市が1,500万人の観光客誘致を目指すに当たり、都市の装置として魅力的な景観を創造することが可能な路面電車を観光資源として活用すべきであると考えます。札幌駅へおり立った観光客が魅力ある札幌の都心部を回遊するためにも、路面電車の札幌駅までの延伸やその活用を検討すべきと考えます。また、路面電車の活用を考えるに当たっては、既設線地域のまちづくりも一体的に考える必要があります。路面電車が運行する山鼻線や西線周辺では、古くから営業し、地域の生活を支える商店がある一方で、個性的な店舗や飲食店が点在するなど、まちが変わり始めております。このような既存の資源を活用し、これら地域と連携したまちづくりを進め、路面電車沿線地域の活性化を図りつつ、観光スポットとして活用することにより、回遊性を高め、地域の活力、にぎわいが向上するとともに、札幌市全体への経済効果が図られると考えます。
  また、今後、高齢化社会を迎えるに当たり、みずから自動車を運転しない、できない高齢者が増加することが見込まれていることから、公共交通機関の充実は必要不可欠であると考えます。路面電車は、道路から直接乗降できることから、上下運動が少ないことに加え、駅間距離が短いなど、高齢者などだれにとっても優しい乗り物です。さらに、これからの少子高齢化を考えると、ぜひ早期に低床車両を導入するべきと考えます。
  また、本市は、平成20年6月に環境首都・札幌を宣言し、市民一人一人が環境保全に取り組んでいく決意を世界に発信したところです。まち中で排気ガスを出さない路面電車は、環境政策のシンボルとして活用できると考えます。
  路面電車については、幅広い市民議論を重ね、延伸についての検討を進めていると思いますが、今後、市長として最終的な判断を下すに当たっては、私がただいま述べたような路面電車が持つさまざまな面での有効性を十分に考慮し、積極的に評価する立場で臨むべきと考えますが、市長のお考えをお聞かせください。
 路面電車は、使いやすい公共交通機関としてだけではなくて、まちづくりにおける都市の装置として、その特性が地域の活性化に極めて重要な役割を果たすものと考えております。こうした観点から、今後の路面電車延伸の検討に際しましては、地域活力の創造や環境首都・札幌の実現、さらには、札幌の魅力を世界に向けて発信することへの活用など、多角的に検討を進める必要がある、このように認識をしているところでございます。
  私といたしましては、路面電車につきまして、積極的に活用すべきだという考えを持っておりますが、今、まさに幅広い市民議論を行っている最中でございまして、そうした中で市民の意向を適切に把握し、また、関係機関などとの協議も進めながら最終的な判断をしてまいりたいと考えているところでございます。
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子どもの読書活動の推進について
 読書は、さまざまな知識を獲得するとともに、子どもに豊かな心をはぐくむ大切な活動であります。すぐれた作品と出会うことによって、子どもの本来持っているみずみずしい感性が一層磨かれ、創造力が豊かに育っていきます。そのようなことから、私は読書活動を推進することは、子どもが健やかに成長するために欠かすことのできないものであり、大変重要であると考えております。
  また、読書には、個々の子どもが自分で作品を味わい、また、興味・関心に基づいて知識を深めるだけではなく、その経験を家族や友達、先生などさまざまな人と共有することによって人とのかかわりが深まり、コミュニケーションの広がりにつながるという側面があります。したがって、私は、子どもの読書活動を進めるに当たっては、学校はもちろんのこと、家庭や地域の大人が互いに協力して、それぞれの役割を分担しながら取り組んでいくことがぜひとも必要だと考えております。
  ことしは、平成20年に国会において全会一致で採択された国民読書年であります。この決議では、平成22年を国民読書年に制定し、政・官・民協力のもとで国を挙げてあらゆる努力を重ねることを盛り込んでいます。札幌市でも、ことしは、第2次札幌市子どもの読書活動推進計画が策定された計画推進の初年度であります。その中の学校等における活動の推進においては、札幌らしい特色ある学校教育の一つに、生涯にわたる学びの基盤となる活動として読書を位置づけ、小・中・高等学校の各段階において読書に親しむ態度や習慣を身につけることは、論理や思考などの知的活動や意思伝達能力をはぐくみ、豊かな感性を磨く上で不可欠であるとしているところであり、今後の取り組みに強い関心を持っているところであります。
  そこで、質問ですが、まず、これまでの学校における読書活動の取り組み状況についてお伺いします。
  次に、今後、子どもの豊かな心をはぐくむための読書活動をどのように推進していこうとしているか、お伺いします。
 1点目の学校における読書活動の取り組み状況についてでありますが、各学校においては、子どもの豊かな創造力をはぐくむとともに、知的好奇心を持って学び続けようとする心を培う読書活動を、教科はもとより、特別活動や朝読書の時間などにおいて行っております。中でも朝読書の活動については、年を追うごとに増加してきておりまして、平成22年度の調査によると、小学校においてはほぼ全校が、中学校でもおよそ9割の学校が取り組むようになってまいりました。
  次に、2点目の今後の読書活動の推進についてであります。
  子どもの豊かな心をはぐくむためには、読書の機会の拡充だけでなく、読書にかかわるボランティアなどさまざまな人との触れ合いも大切であることから、今後も、朝読書を初めとした主体的な読書活動を推進するとともに、中学生による小学生への読み聞かせや、地域書店や地区図書館等と連携した取り組みなど、一つの学校の枠を超えた人とのかかわりを生かした読書活動を一層推進してまいりたいと考えております。