議会報告

平成23年第1回定例議会
代表質問 青山浪子 議員
(北区)

2月16日札幌市議会本会議において公明党議員会を代表して 青山浪子 議員が代表質問を行いました。
市長の政治姿勢について、また、平成23年度予算について質問しました。
以下、質問とそれに対する答弁の要旨を紹介します。
no1
市長の政治姿勢について ①昨年6月に実施された市民評価について
 札幌市が行った市民評価は、自治基本条例の趣旨を踏まえ、市政への市民参加をより進めることを主眼に行ったものですが、その結果は即日ホームページで公表され、資料や議事録もすべて公開されるなど、市民への情報提供も迅速かつ積極的に行われました。しかしながら、新聞報道では、センセーショナルな評価、結果ばかりがクローズアップされ、市民自治の取り組みとして本来趣旨が十分伝わったのか、疑問を感じる点もあり、このことは大変残念にも思っています。
  市民参加と情報提供に関しては今後もさらなる充実を期待していますが、今回の実施方法に関してはいささか首をかしげる点もあり、我が会派では、機会があるたびに幾つかの改善点を指摘してきました。すなわち、仕分け人が匿名ではいかにも無責任なことや、判定の前に利用者の声を聞いていないこと、さらに、結論の出し方が拙速で刺激的過ぎることなどが改善すべき点と考えます。
  また、不要と判定された保養センター駒岡に関しては、利用者団体が1万人分の署名を添え、議会に存続を求める陳情を提出し、議会では全会一致で採択しました。このことは、議会への市民参加が一層進んだと評価できる反面、仕分け人と利用者や議会の意見が異なる場合、それをどのように整理していくのか、今後に大きな課題を残したと言えます。
  我が会派といたしましては、市民自治の実践の場である市民評価に期待とともに強い関心を持って注目していますので、反省すべき点は素直に反省し、来年度の市民評価につなげていくことを強く求めておきたいと思います。
  そこで、質問ですが、今回、24年度以降に見直しとされた20事業について、市としての最終的な結論をどのようにしてまとめるのか、お伺いをいたします。
  また、来年度の市民評価ではどのような点を改善するお考えなのか、あわせてお伺いいたします。
  24年度以降に見直しとした20事業についてでありますが、具体的な検討方法は、例えば、保養センター駒岡のように検討委員会を設置して検討を行うものや、ていねプールのように老朽度の調査や改修等に要する費用の調査を行った上で施設のあり方を検討するもの、あいの里のごみの運搬用管路施設のように住民や事業者などの協議が必要なものなど、個々の事業によって異なりますけれども、今回の市民評価で指摘をされました課題や問題点について責任を持って検証を進め、できるだけ早く市としての考え方をまとめまして、見直すべきものはしっかりと見直していきたい、このように考えているところであります。
  次に、来年度の市民評価についてでありますが、この市民評価は、議員にもご理解をいただいておりますように市民自治の実践の場でございますので、行政と市民が一緒になって考えていくということがとても大切なことだというふうに考えております。
  その一方で、この実施方法につきましては、議会などからもご意見をいただいておりますが、1事業当たりの説明の時間あるいは議論の時間の長さ、あるいは、評価にかかわる市民の皆様方の人数や氏名の公開・非公開の問題など、検討すべき問題もある、このように認識をしております。
  したがいまして、来年度の市民評価に向けましては、市民自治の取り組みを一段と高めていくことを目指しまして、対象事業数を絞り込んで、より時間をかけてじっくりと議論ができるようにするなど、課題の改善に向けた検討をしていきたい、このように考えているところでございます。
no1
市長の政治姿勢について ②子ども手当について
 民主党は、平成21年の衆議院選挙に向けたマニフェストにおいて、子ども1人当たり月額2万6,000円を中学卒業まで支給する子ども手当を政策の目玉として掲げ、平成22年度は半額を実施し、平成23年度からは満額支給するというものでありました。しかも、その財源は、税金のむだ遣いをなくし、新たな財源を生み出し、全額国費で賄うとしていました。しかし、実際には、賄うだけの財源をつくり出すことができずに、従来の児童手当の枠組みを残し、財源に都道府県、市町村の地方負担を残したまま実施したのです。
  公明党は、恒久財源の確保や現物サービスの充実などを条件に、子ども手当法案に賛成をいたしました。平成22年の参議院選挙の際のマニフェストには、財源を確保しつつ、既に支給されている子ども手当を1万3,000円から上積みする上積み分については、地域の実情に応じて現物サービスにも変えられるようにするとしました。
  しかし、平成23年度予算の子ども手当は、いまだ財源に地方負担を残したままです。また、上積みをしたのは、年少扶養控除廃止により実受取額が減額となる3歳未満の子どもを持つ世帯に対する7,000円の増額でありました。このような政策では、もはやマニフェストは破綻したと言わざるを得ないのではないでしょうか。
  平成23年度の予算で、札幌市は、川崎市や千葉市などと異なり、地方負担を残す予算を計上しました。実際の支給に対し、対象児童が20万人を超える札幌市にあっては、極めて遺憾ではありますが、市民生活に影響を与えないために地方負担を含めて必要額の全額を計上したというのは、市長の判断としてやむを得ないものと理解をいたします。
  しかしながら、2カ年にわたりこれほど地方を無視して政策を実施してきたことに対して、市長としてどのように考えているのか、また、今後どのように対応されるのか、お聞かせください。
 再発防止のための取り組みにつきましては、まず、入札・契約事務のさらなる見直しといたしまして、業者から積算状況を確認する積算書の提出を求めるということや、あるいは、入札結果内部調査委員会における調査対象を拡大すること、また、情報管理の徹底といたしまして、設計図書をこれまで以上に厳重に管理するなど管理方法の改善を図ってまいります。さらに、職員の行動マニュアルを作成いたしまして、コンプライアンスの取り組みの強化を推し進めるなど、違法行為は絶対にやらない、やれない、やらせないという強い意思を持って公正な職務を遂行する環境づくりに一層努めてまいりたい、このように考えているところでございます。
no1
市長の政治姿勢について ③入札妨害事件に対する再発防止策について
 平成23年1月17日には、財政局職員が競売入札妨害の容疑で逮捕され、2月8日には札幌地検が起訴し、さらに、2月8日に収賄容疑で再逮捕されました。事件の概要は、逮捕された職員は、業者と共謀の上、昨年12月1日に開札した東雁来第2地区豊畑橋解体工事の一般競争入札に際し、特定の業者に落札させるため、職員が予定価格の基礎となる設計金額等の情報を漏らし、公正な入札を妨害したとの容疑で逮捕、起訴され、さらに、同工事入札等で情報を教えた見返りに現金等を受け取ったとして収賄容疑で再逮捕されたものです。
  このような行為は、公務員として当然許しがたいものであり、加えて、市民の信頼を大きく失ったことは言うまでもなく、市長の責任は重大であり、同じことが二度と起こらない対策を早急に打ち出すべきであると考えます。
  一方で、国、地方を含めて公共事業が減少する中、一般競争入札の拡大などにより競争が激化、その結果、業者は何とかして受注しようと採算を度外視したような入札を繰り返し行う状況となっています。その結果、最低制限価格で応札しなければ落札できない状況の中、建設業者は非常に苦しんでいます。仮に運よく受注できたとしても、利益を確保することができず、さらに、下請の支払いや労働者に対する賃金等の確保も困難な状況にあることが考えられます。
  今後、捜査が進むにつれ、事件の詳細が明らかになってくると思いますが、この事件が起きた原因の一つとして、情報管理における職員の倫理観の欠如が大きいことは言うまでもありません。
  そこで、質問ですが、今回のことが札幌市の入札・契約制度を統括する部署で起きたことは極めて遺憾であり、一日も早く札幌市の入札・契約制度の信頼を回復しなければなりませんが、市長は、再発防止のためにどのような姿勢で臨もうとしているのか、改めてお伺いをいたします。
このたびの補正予算については、国が9月に打ち出しました経済対策を踏まえつつ、札幌市の経済情勢に即応した事業を盛り込むことに意を用いたところでございます。具体的には、高校卒業未就職者を正規に雇用いたします企業への助成や、商品券を発行する商店街への支援などを単独事業として実施するほかに、道路や街路の整備などの公共事業につきましても、国の経済危機対応・地域活性化予備費を活用したものに加えまして、独自の単独事業も一定の事業規模を確保したところでありまして、景気の回復と雇用環境の改善に資するもの、このように考えております。
no1
平成23年度予算について
 質問の1点目は、地域経済・雇用対策に係る取り組みについてです。
  先日の市長の提案説明では、平成23年度は、義務的な経費や継続的な事業などを中心とする骨格予算編成であるが、今日的に重要でかつ早急に実施が求められる政策課題には適切に対応したとの説明がありました。力を入れた分野として例示があったのは、子育て支援や福祉、都市の魅力を高める取り組み、加えて地域経済・雇用対策の4点でありました。
  私が市民や事業者の皆さんと接していて最近強く感じるのは、日々の生活や経済活動などの先が読めない、見通しがつかないといった不安の声です。こうした時代であるからこそ、行政で十分な手当てをするべきであると思いますが、残念ながら、今回の予算はそのような不安感を解消するまでには至っていないと思います。
  具体的には、まず、子育て、高齢者・障がい者福祉に力点が置かれた予算案となっていることについては理解するものです。特に、予算案に盛り込まれている保育所定員の1,300人の拡大は、増加傾向にある待機児童を減らすためにまさに必要な取り組みと考えるところです。
  しかし、特別養護老人ホームについては、広域型施設の整備数を前年度の1カ所から2カ所にふやして、昨年を上回る218人の定員増を確保したところですが、多数の待機者がいる実態を考えますと、もう少し踏み込むべきであると思います。
  地域経済・雇用対策については、目立った取り組みが乏しいようにも思います。例えば、地域経済対策としては、建設事業で事業量を増加させたほか、中小企業向けの新たな融資制度の創設が目新しいぐらいであり、また、雇用対策は、国が全額を負担する重点分野雇用創造事業などにより、一時的に雇用機会を確保するものが中心になっております。全体としては、さらに地域経済の底上げや継続的な雇用に結びつく実効性のある取り組みが必要と考えるところです。
  そこで、質問ですが、市長は、平成23年度の当初予算案について、どのような考えで長引く不況と厳しい雇用情勢に対処しようと考えておられるのか、お伺いをいたします。
  質問の2点目は、肉づけ補正に向けた留保財源についてです。
  市長の提案説明の中で、新年度の地方交付税については1,021億円と見積もったが、実際の計上は991億円として、残余の30億円は肉づけ補正等の財源として留保したとの説明がありました。過去の骨格予算編成を振り返りますと、平成15年度には180億円、平成7年度には80億円と、今回の数倍の留保財源を用意した実例があります。それに比べて今回の30億円は、新体制のもと、新たな取り組みを行うための財源としては少ない額ではないかと思います。
  骨格予算であっても、市民生活や地域経済を考えて政策的な事業も盛り込んだとのことですが、先ほども述べましたように、このたび提案のあった予算案には、低迷した地域経済、雇用情勢を打開するだけの力強さが感じられません。それでは、肉づけ補正で事業を追加する余地を残しているかと言えば、そのために用意された財源はわずか30億円です。果たしてこれで十分な対策をとることができるのか、大いに疑問が残るところです。
  そこで、質問ですが、市長は、どのような考え方に基づいて肉づけ補正に向けた留保財源を30億円としたのか、お伺いをいたします。
 まず、1点目の地域経済・雇用対策についてでありますが、今年度においても数次にわたります補正予算を積極的に編成して間断なく対応しておりますが、経済・雇用情勢はなお厳しい状況が続いている、このように認識をしているところでございます。
  そうしたことから、平成23年度当初予算は、骨格予算ではありますけれども、地域経済・雇用対策が最も重要な課題と位置づけまして、このたび、同時に提案をしております平成22年度の補正予算とあわせましてその対応に意を用いたところでございます。具体的な事業といたしましては、保育所や特別養護老人ホームの整備など雇用面での効果が見込めます事業に重点を置いたほか、建設事業についても一定額を確保し、地元中小企業の受注機会の確保に十分に配慮をしているところでございます。また、企業誘致や都心部でのにぎわいづくりへの取り組み、継続雇用の実現に向けた若者、若年者のスキルアップ事業などを実施いたしまして、現時点で可能な限りの対策を盛り込んだところでございます。
  次に、2点目の肉づけ補正に向けた留保財源についてでありますが、その時々の財政状況だとか、骨格あるいは肉づけ予算についての考え方などによりまして、金額は大きく変わるものというふうに考えております。今回の場合には、事業実施の判断の余地が少ない除雪費、これはどうしてもやらなければならないものでありますので、こういう除雪費、国の補助を受けて行います建設事業を全額骨格予算というふうに計上いたしました。そういうことが、過去、特に、議員ご指摘の平成15年、私が市長に就任をした年でございますが、この年は180億円残されていたということでありますが、その中で除雪費が当初予算には入っていなかったということもございます。そんなこともありまして肉づけ予算として180億円残されていたというように、大きな相違点というのはそういう形で出てきているというふうにお考えいただきたい、このように思っているところでございます。
  政策的な経費に使えます財源の確保というものが年々難しくなってきておりますけれども、そうした中でも前回の骨格編成におけます留保額20億円を上回る30億円を確保しております。これに加えて市債などの財源を活用することによって、相当量の事業の追加ができるものと考えておるところであります。さらに、肉づけ補正を含めた平成23年度の補正予算には、留保した地方交付税のほかに、必要に応じてまちづくり推進基金などを活用することも可能であるということから、当面の財源は確保されている、このように考えているところでございます。
no1
新卒者の雇用対策について
 平成23年3月卒業予定の大学生の内定率は、昨年12月1日現在で全国68.8%、北海道・東北地域で69.9%、高校生は、11月末現在で全国70.6%、北海道は50.3%となっております。高校生は昨年よりは持ち直しているものの、大卒の全国の内定率は過去最低で、就職氷河期の再来とも言われております。このような厳しい雇用情勢の中、就活につまずき、就職できないことが原因となって、うつ病になったり引きこもりになったりするケースもあると私は聞いています。当事者である学生たちにとっても大変な問題であるだけではなく、人口減少が進む中でこのような若者がふえ続けることは、将来の社会構造にも大きなひずみをもたらす深刻な問題です。
  そこで、質問ですが、札幌市においても、このような状況の中、今年度、市費、または国の緊急対策事業を活用してさまざまな新卒未就職者の就労支援事業を実施してきておりますが、その実施状況と効果はどのようになっているのか、また、これを踏まえて来年度はどのように取り組んでいこうと考えておられるのか、あわせてお伺いをいたします。
  また、民間調査機関によると、大卒の従業員規模別の求人倍率は、1,000人以上の企業では0.7倍と低くなっておりますが、300人以下の企業では4.41倍と非常に高くなっているとのことであります。また、本市の新規高卒者臨時的任用職員へのアンケート調査では、希望する職種としては、販売スタッフ、事務職、公務員がそれぞれ30%を占めていると聞いており、希望職種が偏っており、いわゆる雇用のミスマッチが存在し、学生がなかなか内定をとれない原因の一つではないかと考えます。
  そこで、質問ですが、市としても、新卒未就職者対策をさらに効果的なものにするためには、この雇用のミスマッチについても対策を講ずるべきであると思いますが、今後どのような取り組みを考えているのか、お伺いをいたします。
 まず、1点目の新卒未就職者の就職支援事業についてでございます。
  今年度、市費で103人の高校新卒者を札幌市の臨時職員として雇用をいたしました。既に18人が就職または就職見込みであります。さらに、22年3月卒業の高卒未就職者を採用いたしました企業に助成金を交付する制度を開始しているところであります。また、国の交付金を活用いたしまして人材を育成いたします企業が、大学などの新卒者165人を雇用いたしまして、職場学習や研修などを実施いたしますジョブスタートプログラム事業によりまして、その中の107人が就職に結びついているところでございます。
  来年度に向けましては、この効果が高かったジョブスタートプログラムの事業の対象を高校新卒者にも拡大いたしまして、定員を150人から255人にふやして実施いたしますほか、若年層の就業促進事業において、就職内定率の低い定時制高校生も対象に加えて支援をしてまいりたいと考えております。
  次に、2点目の雇用のミスマッチへの対策についてでありますが、新卒者就職内定率が低い原因の一つにミスマッチがあるというふうに認識をしているところでございます。
  そこで、来年度実施いたします若年層の就業促進事業やジョブスタートプログラムなどの事業において、企業、職種を幅広く選択できるような意識改革だとか、あるいは、中小企業への職場学習を行うほかに、業界団体や中小企業の事業主との意見交換会を行うなど、ミスマッチ解消に向けた積極的な取り組みを行ってまいりたい、このように考えております。
no1
市有建築物のバリアフリー化について
 2006年に、建築物を対象としたハートビル法と道路や駅などを対象とした交通バリアフリー法とが統合され、いわゆる新バリアフリー法が制定され、札幌市では、これを受け、2009年に新・札幌市バリアフリー基本構想を策定しました。この新たな基本構想では、これまで都心、副都心、麻生の3地区のみであった重点整備地区を、ほとんどの地下鉄やJRの駅周辺を含む53地区へと大幅に拡大しており、各地域では、順次、歩道のバリアフリー化などが進められているところです。
  一方、建築物に関しては、これまでも多くの市民が利用する施設や高齢者、障がい者たちの施設について、法や条例に基づくバリアフリー化が図られてきました。しかしながら、こうした法令の基準は、基本的には新築・建てかえ時などに限って義務づけられているのが現状です。まちが成熟し、新たな施設を次々と整備する時代ではなくなっている今、こうした新築などの機会だけに頼ったバリアフリー化では十分な効果は期待できません。そのため、今後は既存の建築物への取り組みを強化していくことが必要です。さきに述べた新バリアフリー法でも、既存の建築物を基準に適合させることを新たな努力義務として規定しています。
  こうした中、札幌市では、2009年度から市有建築物のバリアフリー化の現状を調査しています。そして、このたび提出された2011年度予算案では、市有建築物バリアフリー改善事業として新たな改善工事費が計上されています。特に、既存施設のバリアフリー改善は比較的小規模な工事が多いと言われますが、これは小回りのきいた仕事ができる地元の建設業の方々が得意とする分野です。そのため、札幌の経済振興の面からもこの事業に期待を寄せています。
  そこで、市有建築物のバリアフリー化について質問ですが、1点目として、これまでの現状調査でどのような結果が出て、その結果をどう評価されているのか、2点目として、多くの既存施設がある中で、効果的に取り組みを進めるため、今後どのような方針でバリアフリー改善を実施していくのか、お伺いいたします。
 1点目の現況調査の結果と評価でありますが、これまで重点整備地区にある全施設と地区外で延べ床面積2,000平米以上の施設、合わせて187施設で調査を終えまして、各施設についてバリアフリー化の現状を具体的に把握したところでございます。特に、オストメイト対応トイレや障がい者等に配慮した案内表示といった新バリアフリー法による新たな基準については、対応が不十分であり、改善が必要であると認識しております。
  次に、2点目の今後のバリアフリー改善の方針でございますが、工事に伴う市民への影響が最小限になりますよう配慮しつつ、計画的な保全、改修に合わせて効率的に実施することを基本としております。このような方針に基づきまして、平成23年度におきましては、北区民センターなど6施設のバリアフリー改善に着手いたしまして、その後も継続して取り組みを進めてまいりたいと考えております。
  次に、地下鉄駅におけます授乳室設置のその後の検討状況についてお答えをいたします。
  現在、交通局では、大通駅の東西線と東豊線をつなぐ改札内の通路に、平成23年度から利用していただけますようユニット式授乳室の実験的な設置に向け準備を進めているところでございます。この実験に当たりましては、子育て中の利用者が、授乳室を初め、地下鉄駅空間にどのようなものを求めているのかといったニーズを具体的に把握するためのアンケート調査を行いまして、今後の展開に生かしてまいりたいと考えております。
no1
職員の昼休み時間短縮に係る諸問題について
 平成20年1月1日から本市職員の休息時間が廃止になりました。いわゆる昼休みが1時間から45分に短縮となった件についてですが、我が公明党議員会では、かねてより地域経済の影響を懸念し、調査を行いました。昼休み時間の短縮から半年が経過した後の市役所や各区役所周辺の飲食店の影響調査については、経営的には打撃を受けた飲食店が全体の4割近くを占めているとともに、市役所、また区役所からの距離が徒歩5分未満の飲食店に限れば、全体の6割が昼休み短縮に伴う影響があったと回答するなど、国と横並びの昼休み短縮の措置が、近年の経済状況の悪化と相まって地域の経営環境に大きな影を落とす要因となっていることが明らかになっています。
  そこで、我が会派では、平成20年11月に、市長に対して、地域事情を考慮し、適切な見直し、改善策を講ずるよう要望を行った経緯がありますが、現時点において具体的な見直しなどは行われておりません。全国的には、地元商業者への影響を考慮して、昼休み時間を1時間に戻した自治体が青森県、金沢市など多数あらわれている現状であり、他地域に比べて回復の歩みの遅い本市においては特に早急な改善策の実施が必要であると考えます。
  そこで、1点目の質問ですが、昼休み時間の短縮による市役所や区役所などの周辺飲食店に対する影響について、市長はどのように認識しているのか、お伺いをいたします。
  2点目は、職員の公務能率の向上や健康保持への影響についてです。
  昼休みの短縮については、市民への質の高いサービスを継続的に提供するため不可欠な職員の公務能力の向上や、健康保持への影響も懸念されています。現在のように限られた職員数の中で、一定の市民サービスの水準を確保し、それをさらに向上させていくためには、職員の能力を一層高めていく必要があると同時に、いろいろな方策により、公務能率そのものも向上させていく必要があると考えます。その直接かつ効果的な手段は、やはり、一人一人の職員が業務に集中して取り組めるような快適な職場環境づくりではないでしょうか。現状の昼休み時間は、以前の休息時間で補われていた業務の後始末や準備時間などを含んだ45分であり、休みとしての実質時間は30分程度しかありません。その意味で、現状の昼休み時間は休憩時間として十分とは言いがたい状況であり、公務能率の向上に対するマイナス要因となっているのではないかと考えます。
  福岡市では、一日じゅう職場に束縛されているようで、気分的にも慌ただしく、疲労感を感じるようになった等の声が職員から寄せられたことを契機として、職員に対するアンケート調査が実施されています。その結果、回答者の約8割が時間延長を希望したとして、一度45分に短縮した昼休みを1年後には1時間に戻しています。現行の勤務時間を維持しながら昼休み時間を延長するためには、始業時間または終業時間の変更が必要となるため、育児、介護を行う職員を中心とした家庭生活への影響等には十分留意する必要があると思いますが、福岡市でも、従来から実施していた時差通勤制度を活用するなどしてこの問題を解決しております。また、他の自治体においても、休みを45分と60分の選択制にするなど柔軟な勤務制度を導入しており、同様のことは本市においても可能であると考えます。
  そこで、質問ですが、市内経済の活性化の視点、加えて公務能率の向上及び職員の健康保持の視点から、昼休み時間について、その延長を検討すべきと考えますが、時差通勤制度など柔軟な勤務制度の導入の可能性も含め、市長のご見解をお伺いいたします。
 まず、1点目の市役所や区役所などの周辺飲食店に対する影響についてであります。
  札幌市には、市役所本庁舎や各区役所のように庁舎内に食堂を構えた施設もございますし、また、職場によって周辺の飲食店の状況もさまざまでございますが、平成20年にいただいた要望書や他の自治体の状況などから推察いたしますと、影響はあったものと考えております。
  次に、2点目の昼休み時間の延長等についてでございますが、現行の昼休み時間は、公務能率の維持や育児、介護に当たっている職員への影響などを総合的に考慮した上で、平成20年1月に見直したものでありまして、職員にも一定程度定着しているものと認識をしております。
  しかしながら、ご指摘いただきましたような他の自治体の動きもございますことから、昼休み時間を含めた勤務時間制度のあり方について、各職場の現状を踏まえ、検討してまいりたいというふうに考えております。
no1
女性のがん対策について
 がんは日本人の死因の1位を占め、年間に30万人以上の人が亡くなっています。中でも子宮頸がん、乳がんは、ウイルス感染や女性ホルモンが関係しているため、他のがんと違って30歳・40歳代の若い世代に多いがんであります。そして、年間1万人以上の女性がこの二つのがんで命を落としているのです。
  公明党は、がん治療の先進国を目指して、がん対策基本法の成立をリードするなど、これまでがん対策に一貫して取り組んできました。とりわけ子宮頸がん、乳がんは検診が有効ながんであることから、女性特有のがん検診を推進するための事業の実施について国政の場で働きかけた結果、平成21年度から、一定の年齢の女性に対して子宮頸がん・乳がん検診を無料で受診できるクーポン券を送付する事業、いわゆる女性特有のがん検診推進事業が全国で実施され、札幌市でも受診率向上に大きく寄与することとなりました。
  我が会派は、昨年、この事業の札幌市における継続実施を強く求めるため、市民に呼びかけ、8万5,071人の署名を集めて、12月に要望書とともに市長に提出をいたしました。つきましては、署名をいただいた多くの市民の方々の思いを込めて、一定の年齢すべての方に受診の機会を与えるため、改めて、この事業の継続に対する市長のご見解をお聞きします。
 女性特有のがん検診推進事業の継続につきましては、受診率の向上により、がんの早期発見、早期治療に大変有効なものと認識をしており、今後とも、他の政令指定都市などと連携をしながら、指定都市市長会や全国衛生部長会などを通じ、さまざまな機会をとらえて要望活動を行い、この事業の継続に努めてまいります。
no1
子宮頸がんの併用検診について
 がん対策を進める上では、検診の普及啓発を図るとともに、効果的な検診の実施が必要です。島根県では、県独自の事業として、子宮頸がんの検診時に細胞の異変を調べる細胞診と、DNAレベルでウイルスの有無を調べるヒトパピローマウイルス検査を同時に行う併用検診を実施して注目を集めています。この子宮頸がんの早期発見、早期治療に非常に有効な検診方法である併用検診を札幌市においても早期に実施していただくべきと考えますがいかがか、お伺いいたします。
 子宮頸がんの併用検診の実施につきましては、ウイルス検査の有効性や実施上の課題などについて、国や他の政令指定都市の動向も踏まえながら、今後、調査研究をしてまいりたいと考えております。
no1
効果的な普及啓発について
 公明党は、これまで、女性特有のがん検診を受けやすくする必要性を指摘し、女性が健康に意識を持つことへのサポートに全力を挙げてきました。国ががん対策推進基本計画において目標として掲げている5年以内に受診率を50%以上とすることと比較すると、今なお十分とは言えない状況であります。
  そこで、受診率向上のための今後の取り組みについてですが、東京都の北区や豊島区では、普及啓発イベントにおいて乳がんのセルフチェックのために補助用具である特殊手袋を配付していると聞いています。また、乳がん触診模型を活用し、実際にしこりの感触を体験していただくことも、乳がんを予防する意識の醸成を図り、検診につながる上で大変有効な手法であると考えています。
  女性のがん対策を重要な政策課題の一つととらえ、さらなる受診率向上のために、今後、さらに効果的な普及啓発策を講じていかなければならないと考えますが、市長の見解をお聞かせ願います。
 効果的な普及啓発につきましては、これまで新聞等のメディアの活用や関係団体のイベントを支援するほか、デパート等の女性が多く集まる場所にポスターを掲出するなど、受診率向上のための取り組みに努めてきたところですが、今後とも、女性に向けた効果的なPRの手法を工夫するなど、重点的に取り組んでまいります。
no1
女性施策について
 次代を担う子どもの健やかな成長を社会全体で支援し、安心して子どもを産み育てることができる環境を整備することは、少子化が進む中、大変重要な課題であります。何より生命をはぐくむ女性の健康が最も基本になると考えますので、私から女性施策について3点お伺いいたします。
  まず、産後うつに対する支援体制の充実についてです。
  女性は、思春期に初潮を迎え、その後、妊娠、出産、さらに更年期へと、女性ホルモンの影響によりその時々で体調の変化が生じます。同時に、結婚や育児、子どもの巣立ち等、ライフスタイルにも大きな変化が重なるため、心身のバランスを保つことが難しいとも言われております。特に、妊娠、出産は、ホルモンバランスも大きく変化することに加え、さまざまな不安を生じるため、出産した母親のうち約1割前後に産後うつが発生すると言われております。産後うつは、決してまれな病気ではなく、だれにでも起き得るものですが、家事、育児の影響が大きく、悪化すると、子どもと適切なかかわりが持てず、ネグレクトなどの児童虐待にもつながり、さらに自殺の危険性も高まるなど、母親本人の命にもかかわる重大な問題であります。
  札幌市としては、保健と医療が連携した育児支援ネットワーク事業や、生後4カ月までの乳児家庭全戸訪問事業を通して、これまでも育児不安の軽減や母親の健康に関する支援を行っていますが、産後うつ病の兆候を早期に発見し、適切な支援を行うことは、今後より一層重要であると考えます。
  そこで、質問いたします。
  札幌市における産後うつに対する早期発見や相談支援体制を今後どのように整備していく考えか、お伺いをいたします。
 産後うつに対する支援体制の充実についてでありますが、平成23年度から、妊娠届出書に心の健康状態を確認できる問診項目を導入するとともに、母子健康手帳の交付時には保健師等の専門職による面接を行い、リスク要因の高い妊婦に対して、産婦人科医療機関と連携をしながら家庭訪問などにより支援を行ってまいります。また、出産後は、生後4カ月までの乳児家庭全戸訪問事業において、エジンバラ式産後うつ病質問票を用いてハイリスク者を早期に把握し、適切な医療へつなげるなど、経済的な支援を行ってまいります。
no1
不妊治療支援事業の拡大について
 市 平成21年の人口動態統計によりますと、女性の平均初婚年齢は28.6歳であり、1人目の子どもを出産したときの母親の平均年齢は29.7歳と、昭和50年以降上昇しており、晩婚化、晩産化が進んでいます。
  現在、全国には約50万組の不妊症に悩む夫婦がいると言われており、これは、夫婦のおおよそ10組に1組が不妊で悩んでいるということになります。不妊に対しては、精神的な悩みや負担感のみならず、治療にかかる費用が高額なため、経済的な理由を背景に子どもをあきらめてしまう夫婦もおります。
  我が党は、これまでにも、医療保険の適用外で高額の治療費がかかる特定不妊治療に対する助成制度の整備や拡充を強く要望してきたところです。国においては、特定不妊治療に関して、年度内に2回まで、通算5年という制度内容を見直し、平成23年度からは、1年目の申請に限り年度内に3回まで助成金を交付するとして制度の拡充を図ることとなっております。
  しかし、数年にわたる治療の結果、子どもを授かる夫婦がいることを考えますと、1年目の申請者に限り助成回数をふやすことだけでは、少子化が進む中ではまだまだ不十分であり、助成制度のさらなる充実が必要と考えます。
  そこで、質問いたします。
  札幌市として、独自に助成回数の上乗せや所得制限の緩和等、制度の拡充についてどのようにお考えか、お伺いをいたします。
 不妊治療支援事業の拡大についてでありますが、札幌市といたしましては、平成23年度から、国の制度改正に合わせて1年目の申請者に対して年度内3回までの助成を行うこととしており、助成回数の上乗せや所得制限の緩和などの制度の拡充につきましては、引き続き国の動向を注視してまいりたいと考えております。
no1
不育症対策について
 不妊に悩む夫婦がいる一方で、妊娠しても流産を何度も繰り返してしまう、いわゆる不育症は、厚生労働省の研究班によると、年間約8万組の不育症夫婦が存在すると言われております。不育症に関する一般的な認知度はまだ低い状況であるが、適正な検査と治療によって約85%前後の人が出産に至ると言われています。
  しかし、不育症の検査や治療の多くは医療保険の適用外となっており、高額な医療費を負担しなくてはならない実情があります。少子化が進む中、授かった生命が健やかに生まれるためには不育症に対する公的支援も必要と考え、我が党では国に対してその必要性を訴えているところであります。
  そこで、質問いたします。
  札幌市における不育症に関する今後の公的支援体制についていかがか、お考えをお伺いいたします。
 不育症対策についてでありますが、現在、国において不育症に関する研究事業が進められておりますので、札幌市といたしましては、国の方針に基づき、対応してまいりたいと考えております。
no1
自殺対策について
 我が国の自殺者数は、平成10年に一挙に8,000名余り増加し、3万を超え、その後も高い水準で続いております。自殺死亡率も欧米の先進国と比較して突出して高い水準にあります。自殺総合対策大綱などによりますと、世代別に、将来ある子どもの自殺や20歳代、30歳代を中心にニート、引きこもりが問題となっております。中高年のうち、特に男性は自殺者急増の主要因であり、今後、この世代が高齢者層に移行するにつれ、さらに問題が深刻化することが懸念されております。高齢者は、従来、自殺死亡率が高く、今後、高齢化、核家族化が一層進行するにつれ、健康問題や介護疲れ、また、最近話題の孤独死が課題となっております。
  先般、新聞報道で、警察庁発表による平成22年度自殺死亡者数が発表され、全国で前年度から3.9%減と報じられておりましたが、札幌市では、自殺総合対策推進会議を平成21年度に設置して、各組織が連携協力して包括的に取り組みを進めていると伺っております。
  そこで、質問ですが、札幌市の自殺死亡者の推移はどのような状況なのか、また、今後、事業方針についてどのようにお考えなのか、お伺いをいたします。
  次に、うつ病の予防、早期治療に向けての普及啓発の重要性についてお伺いをいたします。
  厚生労働省による患者調査によりますと、うつ病の患者数は、平成11年には24万人でしたが、平成20年には70万人を超えています。一方で、うつ病になっても、大多数は医療機関を受診していないことが問題になっています。
  WHOによる世界保健調査の最終報告によれば、8割近くの方が医療機関を受診していない状況であり、うつ病を放置した場合の最悪の状態は自殺です。自殺の原因として考えられる精神疾病の多くはうつ病ですが、自殺は社会的要因や家族環境などさまざまな要因が複雑に関係しています。
  自殺総合対策大綱は、気づきの促しによる早期発見、早期治療の重要性が指摘されています。気づきにより、仕事が多忙で自分の健康は二の次となりがちな働き盛り世代に健康管理を勧め、経済問題を抱えた中高年男性や、健康問題を抱えた女性や高齢者などには相談するきっかけをつくることが必要です。また、本人のみならず、家族などで身近な方への気づきを高めることでより一層の効果があると思います。
  札幌市において、平成21年度より25年度までの5カ年に、自殺総合対策行動計画に基づき総合的な取り組みを行っています。
  そこで、質問ですが、うつ病の早期発見、早期治療が自殺予防に有効であることから、札幌市としてどのように取り組んでいくのかについて伺います。
  また、気づきを高める中で求められるのは相談体制の強化であります。このことについても、どのようにしていくのか、お伺いをいたします。
 1点目の自殺死亡者の推移と今後の事業方針でありますが、平成22年の札幌市における自殺死亡者は、公表されております5カ月間の統計から、平成21年と比較して減少傾向にはありますが、自殺により数多くのとうとい命が失われていることも現実でありますことから、一人でも多くの命を救うために、今後とも、「わたしは、ほっとけないキャンペーン」等の普及啓発事業を行い、市民一人一人が自殺を身近な問題としてとらえることができる取り組みを進めてまいります。
  2点目のうつ病への取り組みについてでございますが、うつ病の予防、早期発見のため、1月から新聞広告や地下鉄等へのポスター掲出による啓発を開始しております。さらに、3月の自殺予防キャンペーンの期間には、公共施設を初め、民間企業にもご協力をいただき、うつ病のサインをわかりやすく表現したステッカーをトイレへ掲出するほか、書店、図書館には同様のしおりを配付し、市民の皆さんの理解を広げてまいりたいと考えております。また、相談体制の強化といたしましては、3月には電話相談の受け付け時間を平日4時間延長し、さらには、土・日・祝日にも対応することとしており、その利用状況により平成23年度の事業継続の必要性について検討してまいります。
no1
地下鉄駅における授乳室の設置について
 長引く景気の低迷を初め、人口減少や少子高齢化の進行など、交通事業を取り巻く環境が厳しさを増している中にあって、さまざまなサービス向上を通じ乗客誘致や輸送需要を拡大していくことは、交通事業にとって喫緊の課題となっています。交通局では、エコをテーマにした乗ってコ!プロジェクトや駅の個性化など、駅自体の魅力づくりを推進することで利用促進を図る取り組みを進めております。また、IC乗車券SAPICAは、ようやくバスや路面電車との共通利用開始に向けた準備が本格化してきました。社会情勢の変化をとらえたこうした積極的な取り組みが必要であると思います。
  地下鉄は、さまざまな方々に利用され、多様なニーズにこたえていく必要があります。特に、少子化の対応策としてより子育てのしやすい環境づくりが求められる中で、乳幼児を連れて安心して利用できる地下鉄環境を整えることで利便性が向上し、これまで利用を控えていた新たな利用客の増加につながるのではないかと思います。
  我が会派では、これまで、女性利用者の視点から、専用席におけるマタニティーマークの普及啓発や、女性と子どもの安心車両の運行について提案し、実現してまいりました。こうした取り組みを今後もさらに一歩進めてほしいと考えています。
  私は、都心の地下鉄駅に授乳室が欲しいという子どもを持つお母さん方からの切実な要望を踏まえ、昨年の決算特別委員会で大通駅の改札内に授乳室を設けてはいかがかという提案をさせていただきました。公営地下鉄の中でも横浜市と福岡市では既に設置されておりますし、空港やJRなどの一部の駅でも設置されているところがふえております。札幌市営地下鉄はことし12月に開業40周年を迎えますが、時代に合ったより利便性の高い地下鉄を目指すために、授乳室の設置は駅の具体的な魅力向上のための取り組みとして大変有効であると考えます。
  そこで、質問ですが、地下鉄駅構内における授乳室について、その後の検討状況はいかがか、お伺いをいたします。
 不妊治療支援事業の拡大についてでありますが、札幌市といたしましては、平成23年度から、国の制度改正に合わせて1年目の申請者に対して年度内3回までの助成を行うこととしており、助成回数の上乗せや所得制限の緩和などの制度の拡充につきましては、引き続き国の動向を注視してまいりたいと考えております。
no1
児童相談体制の強化プランについて
 私たち公明党では、以前から、市議会において、児童虐待問題や児童相談所の将来構想については非常に重要視しており、何度も取り上げてきたところです。先日、札幌市児童相談体制強化プラン(素案)が公表されておりますが、その中では、市民に身近な区役所における相談体制を強化するなど、期待できる内容と評価しております。しかしながら、親の経済的困窮や養育力の低下、親の疾病などにより家庭での養育ができない等に加え、虐待問題の増加により、里親や児童福祉施設等での子どもの養護も増加していると聞いておりますが、虐待を受けた子どもの心のケアも非常に重要な問題であると強く感じております。
  札幌市では、里親制度に対しては里親委託率としても全国トップレベルで、ファミリーホームも3カ所設置されておりますが、現在でも多くの子どもたちが札幌市以外の施設に入所している状況であります。また、社会的自立への支援につきましては、新たに自立援助ホームでの取り組みも始まっておりますが、保護者から適切な支援が受けられない状況で、施設職員等の努力だけではなかなか難しい状況であると聞いております。
  そこで、2点質問いたします。
  まず、一つ目は、里親や施設に関して今後も充実や強化を図っていく必要があるものと考えますが、今後、社会的養護体制についてどのような方向性をお考えか、お伺いいたします。
 1点目の社会的養護体制の方向性につきましては、家庭的な環境のもとで子ども一人一人の状況に応じた細やかな支援が重要でありますことから、里親制度では、里親や児童養護施設などの児童福祉関係者が参加する里親委託等推進委員会を新設し、情報を共有することで効果的な研修や家庭訪問などによるフォローアップの充実を図るとともに、子どもと里親のマッチングを高め、里親委託を促進してまいります。また、少人数で家庭的な養護を行うファミリーホームや地域小規模児童養護施設の整備を推進するほか、既存の児童養護施設におきましても少人数のユニット制の導入について設置者との協議を行ってまいります。
no1
児童養護施設に入所した子どもの自立支援について
 現在は、環境に恵まれた一般家庭の子どもでも就職氷河期と言われている状況であり、児童養護施設に入所し学校の卒業を控えている子どもや施設を退所した子どもが就労することは一層難しいとも聞いております。このようなときにこそ、行政が率先して子どもたちの社会的自立を促進することは大変重要なことだと考えますが、札幌市では、施設入所などの子どもの就労を目指した自立支援について、今後、受け皿対策を含めて具体的にどのような取り組みを行っていくお考えか、お伺いをいたします。
 次に、2点目の児童養護施設に入所した子どもの自立支援についてでありますが、昨年4月に自立援助ホームを設置し、施設を退所した子どもなどに生活就労指導を開始したところでございますが、新たに就労支援コーディネーター制度を創設し、卒業を控えた施設入所児童などを対象に、一人一人の状況に見合った具体的な個別支援を実施してまいります。さらに、就労先の受け皿となる企業とのネットワーク化を図り、子どもの就労に協力をいただく企業応援団の構築を検討してまいりたいと考えております。
no1
円山動物園について
 私が初めて円山動物園に関して質問をしたのは、平成14年の第3回定例市議会の決算特別委員会でした。この年は、旭山動物園が行動展示を掲げ、廃園の危機を脱し、少しずつ入園者をふやし、67万人でしたが、翌年は82万人、そして、平成19年度にはピークとなる307万人となりました。一方、円山動物園は、旭山動物園と相反するような低迷期にあり、平成14年度は55万人、17年度は史上最低となる49万人まで落ち込むという大変厳しい状況にありました。
  私は、これまで、動物園が持つ機能に着目し、子ども動物園、動物病院、動物園ボランティア、象の導入、市立大学との連携など、一貫して動物園が抱える諸問題を議論させていただき、おかげさまで動物園と言えば青山と言われるようになりました。
  円山動物園は、平成18年度から始まった改革で円山動物園基本構想を策定しました。構想には、レクリエーション機能に加え、動物園が本来持っている環境教育、生物多様性、調査研究の機能を明確にするとともに、維持可能な経営視点を盛り込んでいます。そして、市民参加型の動物園として市民に愛される動物園を目指したことで、21年度は14年ぶりに90万人台を回復したのでありました。22年度は、天候不順などの影響もあり、若干下回っているようですが、入園者が増加基調にあるのは確実と思っております。本来、動物園は入園者数のみで評価するのではないと思いますが、円山動物園には円山らしい魅力が徐々に備わり、市民の支持も着実に高まっているように感じます。
  ことしは、ちょうど60周年を迎え、動物園基本計画で目標としている入園者数100万人も夢ではないと確信をしております。そこで、私が去った後も、動物園がいつまでも存続し、市民にいやしと学びの場を提供してほしいとの思いで2点お伺いをいたします。
  来年度予算案を見ますと、アジア館の建設費が計上され、24年度に完成、さらに、早ければその2年後には現在基本計画策定中のアフリカ館が完成する予定で、いよいよ名実ともに円山動物園の新しい時代が到来します。しかしながら、私は、円山動物園には中長期的に解決しなければならない重要な課題が残されていると考えております。それは、象の導入とホッキョクグマの展示・繁殖施設の問題であります。
  アジア・アフリカ館といった大規模施設にめどがつきつつある中で、次に市民の最大の関心は、現在、不在となっている象の問題にあります。私は、象舎の建築などに10数億円かかることは理解した上で、早期に導入するべきとこれまで何度も質問をしてまいりました。象の導入のアンケートでも賛否いろいろありますが、昨年は市民レベルで動物園に象を導入するための動きも出てきました。さらに、札幌青年会議所は、60周年事業として、動物園に、短期間ですが、象を導入する構想を発表しております。
  そこで、1点目の質問ですが、象の導入について、今は亡き象の花子の前で象さんの歌を歌われた市長といたしましてどのようにお考えか、お伺いをいたします。
  次に、ホッキョクグマの展示施設ですが、地球温暖化の象徴的存在のホッキョクグマは、極めてメッセージ性の高い動物として全国的にも注目されています。その中で、2000年以降、繁殖に成功している円山動物園の主体的な動きもあり、ようやく全国的に繁殖に協力する体制が整いつつあります。しかしながら、この推進のためには、国内では数少ない繁殖実績を着実に積み上げてきた円山動物園での展示、繁殖をより効果の高いものにすることが急務ではないでしょうか。動物園基本計画には、第2ホッキョクグマ舎の建設が盛り込まれています。今後、各動物園の繁殖計画をさらに進めていくために、現在の手狭で老朽化した施設では限界があると思います。
  そこで、2点目の質問ですが、ホッキョクグマ舎の充実についてどのようにお考えか、お伺いをいたします。
 3期にわたります議員活動の中で、何度も取り上げていただきましたことを、そして、関心を寄せていただきましたことに心から感謝をし、敬意を表させていただきたいと存じます。
  象の導入ということでございます。
  ご指摘のとおり、市民団体によります象導入のための動きというものが、市民の象導入に関する関心だとか、あるいは、機運を高めるものである、そしてまた実際にそういう機運が高まりつつある、このように私も感じているところでございます。
  しかしながら、象は大変大きな動物で、かつ希少動物であるというようなこともございまして、予算面だとか、あるいは検討すべき課題というのが非常に多いということがございまして、これを解消するために、新しい飼育方法だとか、あるいは、寒冷地仕様の象舎というものがどうあるべきなのかということに関する基礎的な調査を現在実施しているところでございます。今後は、この調査結果に基づきまして、実務上の諸課題の整理を進めるとともに、例えば、複数頭の象を飼育する体制だとか、あるいは、繁殖のあり方など、引き続き必要な調査を継続してまいりたいと考えているところでございます。
  2点目のホッキョクグマ舎の充実についてでございますが、円山動物園では、平成21年7月に、これまで培ってまいりました繁殖技術というものを生かしまして、ホッキョクグマの繁殖基地としての役割を担うということを宣言いたしました。また、昨年1月には、道内の4動物園が繁殖のためのクマの移動を積極的に進めるという協力体制を構築したところでもございます。その結果として昨年12月に新たな命が誕生したということは、まさにこの協力体制の成果である、このように喜ばしく考えているところでございます。
  円山動物園が繁殖基地としての役割というものを果たすためには、複数の親グマのペアが同時に繁殖することが可能となる飼育環境への改善など、そのような環境の改善というものが求められますので、早期にホッキョクグマ舎の充実に向けて検討をしてまいりたい、このように考えているところでございます。
  ご質問ありがとうございました。
no1
自転車対策について
  自転車事故の7割が交差点との大見出しで、本年1月6日の朝刊紙の報道がありました。報道では、警視庁によると、全国での自転車事故は、09年では約15万6,000件、うち交差点での発生は11万4,000件で73%に上ります、その理由として、相手がよく見えなかったと表現したドライバーが79%あったと指摘しています。
  さらに、草野 厚慶應義塾大学教授は、ある月刊雑誌に、自転車事故は高齢化社会の盲点として寄稿しています。その中に、自転車と歩行者の事故は、10年前に比べて約3.7倍まで増加してしまった、今後、高齢化の進展により、特に人口の多い都市圏において自転車事故に巻き込まれる高齢者は確実に増加していく、しかし、この点に関しては実効性のある対策はとられていない、暴走自転車の問題は高齢社会における深刻な盲点なのであると、自転車社会に警鐘を鳴らしています。
  本市は、昨年、放置自転車全国第4位と不名誉な報道がありました。放置自転車が歩道を狭め、歩行者と自転車の接触の危険性は一層高まっています。加えて、自転車が我が物顔で走行するため、ここ数年来、自転車での死亡事故も発生しています。
  私は、自転車事故絶滅のためには、事故の根本原因を明確にし、その上で自転車事故の抜本的対策を講ずる必要があると考えます。もちろん、自転車事故対策は、本市だけではなく、北海道警察など関係機関及び市民との協働なくして実現はできません。しかし、本市は道路管理者である大きな責任を担っています。違反の詳細な実態を調査し、自転車事故原因の徹底究明を行い、急激に進行する超高齢社会を見据えた自転車対策に取り組んでいくべきと考えます。
  そこで、質問ですが、高齢化が進行している中で、交通弱者である歩行者保護の観点から、今後、自転車利用者のモラル向上のためどのように取り組むべきとお考えか、お聞きをいたします。
 自転車利用者のモラル向上につきましては、自転車と歩行者との事故の増加傾向に伴い、高齢者を初め、子どもや障がい者などの交通弱者の被害増加が懸念されますことから、その対策が必要であると認識しております。したがいまして、小・中・高校生を対象とした正しいルールやマナーの啓発を充実させますとともに、老人クラブなど高齢者が集う機会や出前講座などにおきまして歩行中の危険について周知するなど、自転車利用者と歩行者の両面からの取り組みを行ってまいりたいと考えております。また、自転車利用者に対しましては、事故は身近なもの、他人事ではないという意識を持ってもらうため、事故の態様、原因、特に賠償責任の重さなどを強く周知していきたいと考えております。
no1
自転車走行空間整備の取り組みについて
 市  私は、今後、自転車走行空間整備に向けては、歩行者、自転車利用者、自動車利用者それぞれ分離して、自転車の走行位置や走行方法を明確化することが重要だと考えています。昨今、自転車走行の現状としては、自転車利用者の多くが歩道を走行し、歩行者との接近事故が急増しております。また、先ほど紹介した自転車事故の約7割が交差点との新聞報道では、歩道を走る自転車が交差点に進入する際、ガードレールや電柱などで死角に入り自動車との事故に遭うのだとしています。
  自転車走行空間の整備に向けては、このような事故の実態を踏まえた安全確保の工夫が重要と考えます。世界の取り組みに目を向けて見ますと、欧州では自転車の車道走行を徹底しているそうです。さらに、ロンドンなど主要都市では、自転車専用道路の設置ができない自動車との共用区間においても、交差点やその付近だけは車道に自転車マークをつけて自転車通行部分を明示したり、車の停止線より前に自転車停止線を設けたりしています。日本では、バイクと自動車の停止線は見かけますが、自転車停止線は目についたことがありません。札幌市が北海道警察に働きかけ、全国に先駆けて交差点付近の車道に自転車停止線を設けるということも一つのアイデアだと考えます。
  そこで、質問ですが、自転車事故解消という視点から自転車の車道走行が有効であると考えますが、今後の自転車走行空間の整備について札幌市はどのように考えているのか、お伺いをいたします。
 今後の自転車走行空間の整備についてでございますが、ご指摘のとおり、車道走行も視野に入れた検討が必要と考えております。
  しかしながら、車道走行におきましては、自動車との接触による重大な事故発生の可能性も懸念されますことから、安全性の確保という観点において慎重に対応すべきと考えております。
  したがいまして道路の形状や交通量、沿道の土地利用など、路線ごとの状況を考慮し、北海道警察などの関係機関と協議の上、安全な走行空間の整備に努めてまいります。
no1
学校施設設備について
 我が会派は、これまで、安全・安心な教育環境づくり、特に学校施設の老朽化の解消や耐震性の確保等に向けて積極的に取り組んでまいりました。
  耐震化については、さきの議会で、前倒しし、改修工事に着手するとの答弁があったところであり、その取り組みについては評価をしております。
  しかしながら、一方で、学校には、安全・安心対策ではなく、学校本来の役割として、良好な教育環境を確保し、子どもたちがきめ細かな教育を受けられるよう、現在の教育上のニーズに合った施設づくりも必要です。
  そこでまず、学校のトイレ改修についてでありますが、札幌市の学校は昭和40年代から50年代に建てられたものが多く、校舎の老朽化が進んでいる状況です。特に、トイレについては、臭い、暗い、汚いといういわゆる3Kと言われる状態のものがあり、また、洋式化も進んでおりません。そのため、学校のトイレを使いたがらず、中には家に帰るまで我慢をする子どももいると聞いております。子どもたちが一日の大半を過ごす学校にあって、トイレを使いたくない、行きたくても我慢する、あるいは、せっかくトイレに行ったのに数少ない洋式便器が使用中のため休み時間中に用を足せないということがあるとすれば、子どもたちが健康な学校生活を送る上で大変な影響があると思うのであります。
  我が会派としては、以前からこのことを重要な課題であると認識しており、平成12年の決算特別委員会以降、トイレの洋式化の推進と計画的な改修を訴え、これまで積極的に取り組んでまいりました。
  しかしながら、我が会派の指摘などを受け、教育委員会が本格的にトイレ改修に取り組みを始めた平成13年度以降、改築を含めた小・中学校のトイレ改修のペースは、今年度までの10年間で合計49校にとどまっており、洋式トイレの設置率については小・中学校全体では約37%とのことであります。学校のトイレは、子どもたちが毎日使うものであり、使いやすいか、清潔であるかということが学校生活に大きな影響があることを踏まえ、この10年間の改修実績ではまだまだ不十分ではないかと言わざるを得ません。
  そこで、1点目の質問ですが、財政状況も厳しいことは承知しておりますが、今後もさらに積極的にトイレの全面的な改修を進めていくべきと考えますがいかがか、お伺いをいたします。
  次に、格技場の整備についてでありますが、平成20年3月に中学校学習指導要領が改訂されたことにより、これまで選択制教科であった武道が必修となり、すべての生徒が武道を履修することとなりました。この改訂は、平成24年4月から完全実施されることとなっております。
  札幌市では、既にほとんどの学校が武道の授業で柔道を実施しており、格技場がない学校では屋内運動場の一角に畳を敷いて授業を行っておりますが、畳が崩れると、手足を挟み、けがにつながるおそれがあります。文部科学省の統計では、武道におけるけがの発生割合は、武道場が3割弱、屋内運動場が7割強となっているとのことから、安全上の対策として格技場の整備が必要不可欠であります。また、屋内運動場は、他の体育授業や部活動、集会等に使われるため、畳を常時敷いておくことはできず、授業中に畳の準備、片づけをするため、柔道の指導に十分な時間がとれないとの学校現場の声も聞いております。
  しかしながら、格技場の整備状況は、今年度末で分校を除く中学校98校中66校で整備済みとなるものの、残る32校については格技場がないという状況であります。これは、生徒の教育環境に著しく不公平が生じてくるものと思われます。
  そこで、2点目の質問ですが、学習指導要領に沿った武道の授業を安全かつ円滑に実施するためには、屋内運動場ではなく、専用の格技場において行う必要があると思いますが、3割以上の学校においていまだ格技場が整備されていないという現状についてどのように認識されているのか、また、今後、格技場の整備についてどのように考えておられるのか、お伺いをいたします。
 1点目のトイレの改修についてでありますが、これまで改修を行った学校の児童生徒からは明るく清潔で使いやすくなったと喜ばれておりまして、トイレ改修を進めていくことは大切であると考えているところであります。
  トイレの全面的な改修に当たっては、便器だけではなく、床や壁、給排水管などの大がかりな工事を伴いますことから大規模改造事業等の中で進めておりますが、今後は、全面的な改修に加えて、便器の洋式化を優先するなど、さらにトイレ改修をして促進していくための方策についても検討してまいりたいと考えております。
  次に、2点目の格技場の整備についてでありますが、武道の授業をより円滑に行い、また、生徒たちの負担を軽減させるためにも、専用の格技場が重要であると認識しております。したがいまして、現在、敷地等の制約を受ける学校もありますが、全校への設置を目標として整備を進めているところであります。厳しい財政状況ではありますが、格技場が未整備である学校につきましては、設置場所等について学校とも十分協議しながら、今後も、順次、整備を進めてまいりたいと考えております。