議会報告

平成21年第4回定例議会
代表質問 芦原 進 議員
(豊平区)

12月3日札幌市議会本会議において公明党議員会を代表して芦原 進 議員が代表質問を行いました。
新政権と市長の政治姿勢について、21年度第1次補正予算について、「事業仕分け」の手法に対する見解と、本市に与える影響について質問しました。
以下、質問とそれに対する答弁の要旨を紹介します。
no1
新政権と市長の政治姿勢について
    民主党の政治姿勢として、ハッ場ダム建設中止・高速道路4車線化凍結・子育て応援特別手当の執行停止・地域医療再生基金の大幅削減など、現場を無視した一方的な政策変更で不満の声も多く、国民生活がどう変わるのかの具体策も不明だ。
    経済運営については、「マニフェストあって経済政策なし」という感が強く、補正予算執行停止、赤字国債大量発行予定で日本経済の悪化の懸念が広がっている。
    社会保障政策については、後期高齢者医療制度の廃止をなど、介護・年金・医療の具体像は不明のままで、議論先送りの無責体質に不安が高まっている。
    外交・安保については、「普天間」で閣内不一致を露呈しており、また、鳩山総理の政治献金疑惑、小沢民主党幹事長の04年から05年間の重機土木大手企業からの計1億円の献金不記載疑惑、小沢幹事長秘書からの秘書給与強制等、政治とお金の問題が一向に収まらない。さらに、管直人副総理兼経済財政担当大臣が11月20日に「デフレを容認した」発言は、株価の急激な下落となって、景気の二番底が懸念されている。
    このように、民主党を中心とした政権への不安と先行き不透明さなどが少しずつ国民の前に浮き彫りになってきた。 新政権の初仕事は、前政権が緊急経済対策として計上した21年度補正予算額約15兆円の一部執行停止作業であり、民主党が掲げた、マニフェスト実施への財源のための、不要、不急の事業見直しであった。 2兆9529億円の補正予算が執行停止されることになった。この執行停止が本当に「コンクリートから人へ」という国民の賛同を得たのだろうか。
    たとえば、本市も含め全国の自治体が補正予算を議決し、既に、準備のための事務事業も大きく進み、支給の対象や金額そして支給時期も民主党が創設する「こども手当」とは違う、子育て応援特別手当を一方的に執行停止したこと。その他、緊急人材育成・就職支援基金、未承認薬対策基金の一部、スクールニューディール等々、多くは、必要な緊急経済対策であり、重要な国民生活直結事業と考える。
    さらに、揮発油税等の暫定税率廃止、子どの手当の創設と扶養者控除の廃止、後期高齢者保険の廃止、公共事業費の大幅削減、公立高校授業料無償化、高速道路無料化、農業戸別所得保証等々、4年間で16.8兆円の事業を国民に約束をした。 連日マスコミ等で事業仕分け作業での状況が報道され、国の事業予算のプロセスが国民の前に明らかにされたことは、評価する事ができる。しかし、仕分けの過程は、1事業1時間、説明者側は7分以内、さらに、仕分けの結果についての質問は受け付けないという手法である。
    科学技術予算の削減方針においては、日本を代表する4人のノーベル賞受賞者を含む5人が11月25日、一堂に会し国の政策批判をするという異例の事態も起こっている。
    地方自治体の財政に、国民生活、市民生活に直結する事業の仕分けが、このような性急な手法で大丈夫なのか、3兆円の財源確保へのパフオーマンスではないのかとの声がある。
(1) 21年度第1次補正予算の一部執行停止について
    市長は、「コンクリートから人に」を掲げる鳩山政権が実行しようとする、21年度第一次補正予算の一部執行停止について、どのような見解をお持ちか、また、一部執行停止が本市にどのような影響があるのかをお示しいただきたい。
(2)「事業仕分け」の手法に対する見解と、本市に与える影響について
    「事業の仕分け」の手法に対して、賛否両論はあるが、市長としてどの様なご見解をお持ちか、また、本市の市政運営にどのような影響があるのか、お示しいただきたい。
(3)鳩山政権への働き掛けと、今後の市政のかじ取りについて
    市長は、今後の市政運営、市民生活向上のためにどの様に鳩山政権に働き掛け、どの様に本市のかじ取りを行われるのかお尋ねする。
(4)北海道新幹線について
    北海道新幹線・札幌-長万部間の早期着工実現へ向けて、どのようにリーダーシップを発揮して取り組まれるのか、市長のご見解を示していただきたい。
(1)21年度第1次補正予算の一部執行停止について
    新政権と私の政治姿勢についてお答えいたします。
    まず1点目の、平成21年度第1次補正予算の一部執行停止に対する見解と札幌市への影響についてでありますが、今回の補正予算の執行停止につきましては、基本的には、新政権が掲げる「コンクリートから人へ」という政治理念と、それに伴う各種施策を実現するために執られた措置であると考えております。
    したがいまして、今回の措置につきましては、新政権として、政策の優位性というものを十分吟味したうえでの判断であると思いますので、私といたしましては、今後の推移を見守りながら、新たな政策展開に期待したいと考えております。
(2)「事業仕分け」の手法に対する見解と、本市に与える影響について
    「事業仕分け」の手法に対する見解と、本市に与える影響についてお答えします。
    まず、「事業仕分け」の手法に対する私の見解についてですが、国の取組や事業について、初めて、国民にオープンな形で、外部の方々により、真剣な議論が行われたことは、新政権の下における、ダイナミックな政治の転換を実感でき、全体の印象としては、好感を持って見させていただいたところであります。
    札幌市に与える影響につきましては、事業仕分けの結果が、国としての結論ではありませんし、また、見直しの詳細が明らかにされておりませんので、具体的な影響は把握できない状況であります。
    今後、札幌市としても、迅速な対応ができるように、情報収集や見直された場合の対応について検討するとともに、見直しの影響が特に大きいものについては、国に必要性を強く訴えていきたいと考えています。
(3)鳩山政権への働き掛けと、今後の市政のかじ取りについて
    鳩山政権への働き掛けと、今後の市政のかじ取りについてお答えいたします。
    現在、国においては、行政刷新会議における事業仕分けの結果を踏まえ、平成22年度予算の編成作業中でありますが、民主党のマニフェストの実現に向けては、依然として流動的な要素が多く、地方への影響も懸念されるところであります。
    新政権発足後、私といたしましては、これまでも、鳩山首相や前原国土交通大臣のほか、地元選出国会議員を中心に、新幹線や丘珠空港問題、あるいは政令市連携による財源拡充要望などについて、積極的に働き掛けてきたところでありますが、今後も、あらゆる機会を捉えて、地方の実情や課題を訴えるとともに、積極的に政策提言を行ってまいりたいと考えております。
(4) 北海道新幹線について
    北海道新幹線についてお答えいたします。 政府においては、未着工区間の基本的な考え方をまとめ、時間をかけて議論していきたいとのことであり、今後、地元自治体との対話が着実に進められていくものと受け止めております。
    北海道新幹線の整備は、北海道と東北地方の交流を活発化させ、両地域に毎年1,400億円を超える経済波及効果をもたらすなど、我が国の発展に大きく貢献するものであると認識しております。
    私は、これまで新政権に対し、具体的な根拠データも示しながら北海道新幹線が如何に優位性の高い事業であるかを説明してまいりましたが、今後においても、北海道や関係自治体、経済界と十分に連携し、広範な視点から北海道新幹線の優位性を整理しながら、政府との政策対話を重ね、1日も早い札幌延伸を実現してまいりたいと考えております。
no1
財政問題について
    民主党の政治姿勢として、ハッ場ダム建設中止・高速道路4車線化凍結・子育て応援特別手当の執行停止・地域医療再生基金の大幅削減など、現場を無視した一方的な政策変更で不満の声も多く、国民生活がどう変わるのかの具体策も不明だ。
   
(1) 21年度税収の状況及び22年度予算編成への影響について
    深刻な経済不況の中、21年度税収入の減少が予測されるが、どの程度の税収になるのか、お示しいただきたい。さらに本市の22年度予算編成にどの様な影響を及ぼすのか、併せてお聞きする。
(2) 揮発油税等暫定税率廃止の影響について
    1リッター当たりガソリン税25円・軽油取引税17円、総額、国税分約1兆6,800億円・地方税分約8,000億円、合計約2兆4,800億円となっているが、札幌市への財政上の影響額はどの程度の金額になるのか、お示しいただきたい。
(3) 公共事業費の削減による本市への影響について
    公共事業費1.3兆円削減によって、本市公共事業への予算縮減を余儀なくされると考えるが、どの程度の影響が予測されるのか、また、地元企業への対策について伺う。
(4) 平成22年度局予算要求における収支不足について
    平成22年度局予算概算要求における一般会計総額8,236億円と、22年度歳入予定額7,916億円との差額320億円の収支不足について、どのような手法で調整されるのか、また、鳩山政権のような事業の仕分けの必要性もあると考えるが、いかがか伺う。
(5) 扶養控除廃止の影響について
    これまで、子育て支援の一翼を担ってきた児童手当制度が廃止され、新たに「子ども手当」が中学卒業まで支給されることが決定している。
    その財源確保のためとして、所得税の扶養控除の廃止が言われている。
    仮に個人住民税においても扶養控除が廃止される場合、市税の影響額はどの程度になるのか、伺う。
(1) 21年度税収の状況及び22年度予算編成への影響について
    平成21年度の税収状況についてですが、景気悪化の影響を受け、個人及び法人の市民税を中心に減収が見込まれるため、予算額の2,780億円を確保することは厳しいものと考えております。
    また、市内経済の低迷が現在も続いている状況から、平成22年度予算における市税につきましては、本年度の計上額を下回って見込まざるを得ないものと考えております。市税の減少分は、地方交付税などで一定程度は補てんされるものと思われますが、例年以上に厳しい予算編成となるのは避けられないと考えております。
(2) 揮発油税等暫定税率廃止の影響について
    暫定税率が廃止された場合の札幌市の影響額についてですが、平成21年度予算ベースで試算すると72億円程度の減収となります。
(3) 公共事業費の削減による本市への影響について
    公共事業費削減による札幌市の公共事業への影響と地元企業への対策についてですが、現在、国においては、行政刷新会議における事業仕分けの結果を踏まえ、平成22年度予算の編成作業中でありますが、緊急経済対策として第2次補正予算を検討するという話もあり、公共事業を取り巻く環境は、依然として流動的な状況にあります。
    したがいまして、現状では、札幌市への公共事業の影響につきましては、判断できない状況であります。
    なお、今後の地元企業対策につきましては、国の動向を十分見極めたうえで、必要な対策を検討してまいりたいと考えております
(4) 平成22年度局予算要求における収支不足について
    平成22年度に見込まれる収支不足についてですが、行財政改革プランに掲げた取組を着実に進めるほか、事業の成果や行政が担うべきものかどうかの検証などを徹底的に行って、その解消を図りたいと考えております。また、事業仕分けの必要性についてですが、札幌市におきましても、来年度、「事業仕分け」を実施したいと考えており、現在、仕分けへの市民参加や仕分け人に十分に事業を理解してもらう方法など、実施方法の検討を行っているところであります。
(5) 扶養控除廃止の影響について
    仮に個人住民税において扶養控除33万円が廃止された場合の市税の影響額についてですが、平成21年度の調定額ベースで試算すると44億円程度の増収となります
no1
市長公館・公宅の廃止について
   市長公館・公宅は、中央区北1条西28丁目の北1条宮の沢通り沿いに、円山公園に隣接して建っている。昭和61年には、市長公館は大幅な改修が加えられ、市長公宅は全面的に建替えされ、今日に至っている。
    市長公館が建設された昭和37年当時は、市内には、ホテル等のお客様を迎える施設は少なく、市長公館は、来札された皇族の方々をお迎えしたり、市内にある領事館関係者を招いてパーティーをしたりとお客様をおもてなしする施設として大いに活用され、今日に至っているが、近年は、市内のホテル等も充実してきたこともあり、利用頻度が著しく減少していきている。
    そのような状況を鑑み、我が会派は、平成18年と19年の決算特別委員会において「市長公館は、必要ないのではないのか」「何か市民のために活用出来ないか、跡利用について検討すべきではないか」等の質問をした。理事者からは、「平成20年3月をもって、市長公館を廃止し、維持管理費用をできる限り抑えながら、跡地利用について検討する」と答弁をいただいている。
    一方、市長公宅は、歴代市長の住居として使われ、上田市長も、平成15年8月から一時期、公宅に住んでおられたが、平成17年5月に市内のご自宅に戻られて以来、空き家の状態である。
    緊急時や危機管理上等の理由や配慮があったのであろうが、現在では、交通手段や情報通信技術の発達そして危機管理上からも、市長公宅に住まわなければならない必要性はない。
    他の政令都市を見ても、市長公宅を保有しているのは、本市と横浜市・広島市の3市だけ、うち、市長が入居しているのは、広島市のみである。
    多額の費用をかけてまで、立派な市長公宅を維持していくのではなく、市長公宅を廃止し、既に閉館している市長公館とあわせて、何か市民の皆さんが利用できるような施設として、活用すべきではないかと考えるが、いかがか伺う。
市長公館・公宅の廃止についてお答えいたします。
    ご質問にありましたとおり、市長公館は平成20年3月をもって廃止いたしました。
    一方、市長公宅は、歴代市長の住居としてだけではなく、市長が執務を行ったり、打ち合わせ場所としての機能も担うなど、公館とあわせて市長室の分室的な役割を果たしてきました。しかしながら、現在に至っては、多額の維持管理費用をかけてまで行政が保有する時代ではないと考えており、市長公宅につきましても今年度中に廃止したいと考えております。
    廃止後の跡活用については、さまざまな角度から検討をかさねてまいりましたが、市長公館・公宅は、設備等の大幅な更新時期を迎えており、その改修費や維持管理費が膨大な額に上ることから、建物の他への転用は難しいと判断しました。
    公館公宅の建物は、現在も防犯上の観点から機械警備を行っており、これらの維持経費もかかっておりますことから、早期に解体し、解体後は敷地の豊かな樹木を活かすため円山公園の一部として市民の皆さまに利用していただくことを考えております。
no1
雇用対策と就労支援について
(1) 緊急雇用創出事業に関する札幌市の対応について
    国においては、今年度補正予算の執行停止による事業の先送りや、来年度予算の景気刺激に即効性が期待される公共事業などをカットすることが言われており、地方経済などの冷え込みを加速させる懸念は消えず、よって雇用情勢がさらに悪化することが心配される。
    政府は10月23日緊急雇用対策本部会議において、貧困困窮者等に対する緊急支援と新しい雇用を生み出す緊急雇用創造プログラム、さらに緊急雇用創出事業等の運用改善と前倒し執行等を打ち出した。
    中小企業の雇用を掘り起こし、環境・エネルギーや観光分野などで新産業を育成し、介護分野をより充実した雇用に育て、NPO・社会的企業と協力した「地域社会雇用」の創造により、強力な雇用創出策を講じていかなくてはならない。
    長期的には産業振興による経済成長が必要だが、短期的には雇用推進策による多様な雇用機会の創出や就労支援が重要だ。そこでまず国の緊急雇用創出事業について質問する。
    この事業は、本市においても、このたびの補正予算案を含めて過去3回にわたり、提案されてきたところだ。特に今回においては、運用面で改善が図られ、使い易くなったことに加えて、財源となる基金を所管する北海道も前倒しを認めていることから、札幌市も積極的な活用を図るべきと考える。
① これまでの実施規模と雇用創出効果
まず、これまでの実施規模と雇用創出の効果について、伺う。
② 前倒しに当たっての考え方
また、本事業の補正については、14事業で約7,400万円となっているが、前倒しに当たり、どのような考え方で事業をとりまとめたのか伺う。
③ 平成22年度以降の取組
さらにこの事業は、平成21年度から3カ年事業とされているが、景気の二番底が懸念される中、来年度以降の事業について、より積極的な取組を検討すべきと考えるが、いかがか伺う。
(2) 若い世代の雇用について
   最近の北海道の雇用情勢については、有効求人倍率の低迷が長きに渡り、10月の速報値では0.39倍となっており、同じように完全失業率も直近では5.4%と高い状況が続いている。 とりわけ、新規求職者の年齢別構成比では44歳以下の若い世代が65.9%と高い比率を示すなど、新規高卒者の厳しい採用状況と合わせて、比較的若い世代の雇用状況の悪化がうかがわれる。
    そこでより踏み込んだ就労支援策を進めるべきと考える。―つには、ジョブカード制度の活用だ。この制度は平成20年から24年度の計画で100万人のカード取得者を目標としているが、未だ低調だ。
    それはキャリア形成が主目的と思われ、中小企業での雇用発掘と新しい人材育成策でもあることが周知不足のためと考える。社内研修が充実している大企業と違い、中小企業では新人の育成、非正規労働者のキャリアアップのための仕組みがなく、時間と経費をかけて育ててきた人がやっと一人前になった時期に辞められることとなると、簡単に雇用ができない実態がある。
    しかし、中小企業であっても座学を組み入れた研修プログラムを作れ、訓練期間の賃金と訓練実施に対する助成があれば、新規雇用、人材育成に、より積極的に取り組めるし、求職者にとっても働いて給与を得ながら訓練を受け、企業を選ぶことが出来るので、マッチングの可能性が高まる。

① ジョブカード制度の普及に向けた取組
札幌市でもこのジョブカード制度の周知徹底とともに、普及に向けた取組を進めるべきと考えるがいかがか。
② 来年度のワークシェアリングの実施
また、札幌市版ワークシェアリングについても、次の就労に繋がるような内容も入れながら、来年度のさらなる拡充を検討するべきと思うが、いかがか、併せて伺う。
(1)緊急雇用創出事業に関する札幌市の対応について
緊急雇用創出事業に関する札幌市の対応についてであります。
    これまでの実施規模と雇用創出効果でありますが、64事業で約12億1千万円、雇用創出効果は1,525名、このたびの補正を加えますと、全体で78事業、約12億8千万円、雇用創出効果は1,641名を見込んでおります。
    また、このたびの前倒しに当たりましては、雇用者数や市民サービス向上の視点に立って、事業の取りまとめを行ったところであります。
    平成22年度以降の取組についてでありますが、札幌市の厳しい雇用情勢を踏まえ、雇用者数の拡大と就労機会の早期提供に留意しつつ、積極的な活用に向けて検討を進めているところであります。
(2) 若い世代の雇用について
    若い世代の雇用についてであります。
    まず、ジョブ・カード制度の普及に向けた取組についてですが、札幌市も、札幌商工会議所に設けられました「北海道地域ジョブ・カード運営本部」の構成員として、この制度の周知を図るため広報活動を行ってまいりました。今年7月には、さらに利用し易い環境を整えるよう、国に対して改善を要望したところでありまして、引き続き、こうした活動を通じて、ジョブ・カード制度の普及に努めてまいりたいと考えております。
    また、来年度のワークシェアリングの実施につきましては、現在採用している方々には、就職に繋がるような情報提供をはじめとした支援や所属を通しての動機付けなどを行っているところであり、今後の雇用情勢の推移を見ながら、検討してまいりたいと考えております
no1
女性と子育て支援について
(1) 女性特有のがん検診推進事業について
   公明党は、これまで、あらゆる場において、がん対策の強化を訴え、女性特有のがん検診を受けやすくする必要性を指摘し、「女性が健康に意識を持つことへのサポート]に全力を挙げて取り組んできた。そして、わが党がリードして推進した、「女性特有のがん検診推進事業」が実現した。
    子宮頸がん・乳がん検診無料クーポンは札幌市では、いち早く8月1日に配布された。大切なことは、「受診しやすい環境を作ること」と「受診率アップの取組」の運動の展開である。
    わが党では、受診率アップを目的とし、国会議員を含めた女性議員と女性党員を中心に連日、各地で活発に街頭演説やチラシの配布などを実施し、「クーポン券届きましたか」との「お知らせ運動」を展開している。しかし、当事業は、厚生労働省の平成22年度の概算要求の中の1項目に組み込まれたようだが、まだ、国の正式決定には至っていないのが現状だ。
     この制度は、大変に有意義なものと思っているが、受診者の対象年齢が20歳から60歳までを5歳区切りに限定されているため、単年度事業に終わらせることなく、来年度以降も、この措置を継続し、恒久化すべきと、国政の場でも主張し続けているところだ。 本市にあっても、先の第3回定例市議会、決算特別委員会で、我が会派の議員から、「この事業の継続を政府に積極的に働きかけるべきである」との要望をさせていただいた。
    本市は、これまでの努力をさらに活かすためにも、当検診事業を今後5年間、少なくとも平成22年度は継続実施すべきではないかと考えるが、このことについて、市長のご見解をお聞かせいただきたい。
(2) 父子家庭への支援について

    これまで父子家庭は、比較的母子家庭より、経済的に恵まれているとの判断から児童扶養手当支給の対象外とされてきた。しかし、現下の不況は父子家庭をも直撃し、家計が苦しい家庭が増え、家事や育児支援、さらに、父子家庭への児童扶養手当支給実施を求める声が広まっている。
    平成17年の国勢調査によれば、本市においては、母子家庭は約16,000世帯、父子家庭は約1,500世帯となっている。
    生活が苦しい父子家庭を支援するため、全国で202の地方自治体が「父子家庭支援手当」など独自の経済支援措置を実施している。
    さらに、母子家庭と同じ基準で児童扶養手当支給は、大津市や千葉県野田市など11市区が実施しているとの調査報告もある。
    本市の父子家庭への支援状況は、一人親家庭等のみな様への「暮らしのガイド」~あ・か・り~において、各種支援制度が紹介されているが、その多くは、母子家庭や寡婦への支援制度であり、父子家庭への支援は相談窓口、医療費助成、生活支援くらいが目につく程度だ。
    一人親家庭支援の中でも、父子家庭支援については、経済的支援も含め、さらに積極的に取り組むべきと考えるが、本市の父子家庭支援への今後の対策について、お示しいただきたい。
(1) 女性特有のがん検診推進事業について
女性と子育て支援についてお答えいたします。
    1点目の女性特有のがん検診推進事業についてですが、この事業は、平成21年度の緊急経済対策として、国が検診費用のすべてを負担して実施したもので、受診率の向上とがんの早期発見、早期治療に大変有効なものと認識しております。
    しかし、事業の継続には多大な費用が必要であり、札幌市単独での実施が困難であることから、11月に北海道市長会を通じまして、「平成22年度以降における財政措置を求める要望書」を国に提出したところであります。
    10月に公表された平成22年度予算に対する厚生労働省の概算要求の中には「がん対策の拡充」が組み込まれており、現在、その予算化について検討されておりますので、この事業の継続について、国に対して積極的に要望してまいりたいと考えております。
(2) 父子家庭への支援について
父子家庭への支援についてであります。
    札幌市では、父子家庭も利用できる「ひとり親家庭」への支援の取組として、各種相談窓口の設置や、ホームヘルパー派遣による日常生活支援などを実施しているほか、医療費の自己負担を抑えるため、補助主体である北海道の基準を上回る助成をしております。 また、父子家庭に対する支援は、母子家庭同様、国の制度に負うところが大きいことから、札幌市ではかねてより、父子家庭への経済的支援を始めとする施策の充実を、国に対して要望してまいりました。
    この要望の一つである父子家庭に対する児童扶養手当の支給は、現在、国で検討されていることから、札幌市といたしましては、今後の動向を注視するとともに、さらなる施策の充実について国へ提言してまいりたいと考えております。
no1
高齢者支援について
(1)札幌市の介護現場の現状と課題について
公明党は、3,000人を超える国会議員と地方議員が一斉に、11月から12月上旬にかけて介護問題総点検運動を行っている。深刻化する介護現場の実態を全国的に総点検し、本格的な高齢社会に対応した介護の在り方など、新たな介護ビジョンを組み立てていこうと取り組んでいる。
    厚生労働省が11月に発表した、65歳以上の高齢者に対する虐待の実態調査結果によると、平成20年度に家庭内や介護施設などで確認された虐待は、全国で1万4,959件で、前年度より1,624件(12%)増加。この中では、殺害など24人が死亡した深刻な実態が浮き彫りになっている。また家庭内虐待のうち、被害にあったお年寄りの45.1%が介護が必要な認知症で、加害者の約4割が息子という現実もあった。
    超高齢化、家族の崩壊、貧困、制度の不備などさまざまな問題が絡み合う「介護社会」の重い現実を浮き彫りにしている深刻な事態と考える。
    先の調査結果のとおり、増え続ける男性の家族介護者、そして加害者の約4割が息子という現実から、男性ならではの悩みの傾向など、深刻な課題が浮き彫りになっており、また介護をめぐる事件では、加害者のうち定職を持たない男性介護者が6割を占め、介護を機に離職して収入を失い、経済的に追い詰められる介護者の姿も浮かび上がっている。
① 家族介護者への生活支援に対する認識と今後の対応
今の介護保険制度では家族介護が評価されておらず、家族介護者の経済的支援も視野に入れた生活支援がさらに重要と思われるが、どう認識されているのか、また今後の対応についてどうお考えか、お聞かせいただきたい。
② 札幌市の小規模多機能型居宅介護の現状と課題、設置状況
介護が必要になっても、住み慣れた地域で生活が続けられるよう365日、24時間体制で、さまざまな介護サービスを提供する「小規模多機能型居宅介護」は、本年9月末時点で全国に約2,200カ所ある。団塊の世代が75歳を迎える2025年には、約3万カ所の整備が必要との推測もある。
    本市の小規模多機能型居宅介護の現状と課題、設置状況についてお聞かせいただきたい。
(2)後期高齢者医療制度について
    2000年の参議院委員会で共産党を除く与野党は、「今の老人保健制度では、安心の高齢者医療は確保できない、新たな高齢者医療保険制度をつくらなくてはいけない」と議決した。
    そのような状況の下、約10年間に渡る議論を経て現在の後期高齢者医療制度が平成20年4月1日よりスタートした。 その後、ネーミング問題、保険料の納付方法や国保との保険料の比較問題、年齢制限問題等々と、一つ一つ丁寧な検討と見直しを重ね、現在の長寿医療制度として、一歩一歩と前進してきたと認識している。
    民主党は、先の衆議院選マニフェストに後期高齢者医療制度廃止を掲げ鳩山新政権を誕生させた。民主党のマニフェストを受けて厚生労働省は、現行制度廃止時期を平成24年度末までとし、平成25年から新制度へ移行するとしているが、制度設計が何ら示されていないのが現状である。
    前政権では、国民健康保険加入の場合より保険料を低く抑える対策が行われてきた。また、現下の社会経済情勢等を鑑み保険料の軽減措置を22年度も継続するとしていた。また、来年度は、2年に1度の保険料見直しの年度であり、政権交替で、軽減措置などの制度見直しの動向が国民の関心事となっている。
① 保険料の取り扱いに対する対応
本市の後期医療保険制度の被保険者の負担増や不公平感がないように対処すべきと思うがいかがか。
② 新制度導入に向けての国への要望
さらに、新制度導入に当たっては、国民の不安と期待が交差する中での、制度設計を促進するので、国民の混乱は是非とも回避しなければならない。そのためにも、政府は、国民へ懇切丁寧な説明を充分に果たすべきだ。
    札幌市は国に対して、市民の混乱を起こさず、理解と協力を得るためにも、しっかりと申し入れを現時点から行うべきと考えるがいかがか。
(1)札幌市の介護現場の現状と課題について
 札幌市の介護現場の現状と課題についてであります。
    まず、家族介護者への生活支援に対する認識と今後の対応についてであります。
    介護保険制度は、要介護者がその身体状況等に応じた適切な介護サービスの利用を通じて日常生活の維持向上を図ることを目的としており、家族介護者に対する経済的支援は制度上設けられておりません。
    しかし、家族の介護力等に配慮した制度の運用は重要なことであり、地域包括支援センターを始めとする関係機関の相談機能を強化するほか、家族介護者の精神的、肉体的負担を軽減するため、デイサービスやショートステイなどを適切に組み合わせたケアプラン作成能力向上に向けた研修の充実を図ってまいりたいと考えております。
    また、家事や介護に不馴れな男性介護者の介護負担の軽減を目的として、先月、「男性介護者のつどい」を開催いたしましたが、引き続き家族介護者同士が交流できる場を設け、その負担の軽減に努めてまいりたいと考えております。
     次に、札幌市の小規模多機能型居宅介護の現状と課題、設置状況についてであります。
    この新しいサービスが発足した平成18年度末には事業所が9箇所、利用者が124名でしたが、その後各区に整備が進み、今年10月末現在で、事業所は30箇所、利用者も569名と増加を続けており、事業所数では政令市の中でも極めて高い整備状況となっております。
    課題といたしましては、住民が利用しやすい事業所の適正配置や利用者本位での適切な事業所運営体制の構築が必要であると考えております。
(2)後期高齢者医療制度について
    後期高齢者医療制度についてお答えします。 まず、保険料の取り扱いに対する対応についてであります。 札幌市は、これまでも他の政令市などと連携しながら、国に対し、保険料の負担軽減に配慮するよう要望してきたところであり、国においても当面、軽減策を継続する方針であると聞いております。 次に、新制度導入に向けての国への要望についてであります。 新たな制度の実施に当たりましては、札幌市としましても、被保険者を始め国民の理解と協力が何より重要であると考えており、国が責任をもって、積極的かつ主体的に十分な広報を行うよう、強く要望してまいりたいと考えております。
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自転車安全利用の促進について
    昨年6月に改正道路交通法が施行され、自転車が歩道を通行できる場合が追加された。法施行後、札幌市では北海道警察などとも連携し、啓発イベントを実施したり、冊子やチラシを配布するなどさまざまな取組を行なってきている。
    しかし、交通ルール、マナーを守らず、危険運転、迷惑運転が少なからずあり、何とかならないか、何とかすべきであろうとの市民の声も多くいただいている。
    歩行者が一番安全であるべき歩道において、自転車と歩行者の接触により大怪我をしたり、特に10月、11月の2カ月間に自転車にかかわる死亡事故が3件発生している現状は、重く受け止めるべきで、何らかの対策を講じる必要がある。
     子どもたちに対しては、幼児期から家庭や学校において、交通安全については、いろいろと指導しているところだが、それらは交通事故に遭わないように注意することが中心であろうかと思う。しかし、自転車を運転していると、歩行者に接触し、被害を与える事故も起きる危険性があるのであり、自転車を運転する立場としての交通安全指導も重視する必要があるのではないか。
    もちろん、自転車は子どもだけの乗り物ではなく、広く市民一般も利用するものであることから、札幌市として自転車利用者に対する一般的なマナーやモラルの向上を啓発することは大切なことと考えるし、さらに踏み込んで、札幌市における自転車利用のあり方を明確にする対応が必要である
(1) 学校における自転車利用の指導について
    歩道上での自転車による事故が発生している中、学校において、これまで自転車の利用に当たりどのような指導を行ってきたのか、また、改正道路交通法を踏まえながら、今後、自転車の安全指導の徹底をどのように図ろうとしているのか伺う。
(2) 自転車安全利用に関する条例制定について
    マナーやモラルについて、市条例を制定して、行政や市民や事業者等の責務を明らかにし、自転車の安全利用に関する意識向上を一層図るべきと考えるがいかがか伺う。
(1) 学校における自転車利用の指導について
   学校における自転車利用の指導についてお答えします。 各市立学校では、学級担任などによる日常的な指導を行うとともに、区役所等と連携した交通安全教室などを実施してまいりましたが、道路交通法の改正を受けて、平成20年度からは、自転車で歩道を走行する場合の注意や事故を起こさないための指導を強化しております。特に、最近の事故等の状況を踏まえ、教育委員会として改めて自転車の安全利用について通知し、各学校において指導の徹底に努めているところであります。
    今後につきましては、交通安全の大切さを体験的に実感できる指導をより一層充実させることが必要であると考え、家庭や地域、区役所、警察などと連携した取組を働きかけるとともに、児童会・生徒会活動等を通して子どもが主体的に交通安全に取り組んでいくことができるよう努めてまいりたいと考えております
(2) 自転車安全利用に関する条例制定について
    次に自転車の安全利用の促進についてお答えいたします。
    2点目については私からお答えし、1点目については教育長からお答えします。
    札幌市では今年度の交通安全対策の重点として「自転車の安全利用の推進」をかかげ、自転車マナー向上指導員の雇用等、各種対策を実施しております。
    他都市の中には自転車利用者等の責務を条例で定めているところもあり、条例により改めて責務を課すことも一つの方策ではございますが、自転車の正しいルールを学ぶ機会を拡大し、広報啓発を充実するなどの自転車利用に関する取組みを徹底することが市民一人ひとりの安全意識の向上に繋がっていくものと考えております。
    札幌市といたしましては、今後も引き続き交通安全教室の拡大を始めとしたソフト対策の充実、強化を図ってまいります。 さらに、札幌市では自転車の走行空間の整備、駐輪対策、自転車ルールの順守やマナー向上対策などを網羅した「自転車利用総合計画」を策定する予定であり、今後とも総合的な自転車対策に取り組んでまいりたいと考えております。