議会報告

平成21年第2回定例議会
代表質問 国安 政典 議員
(北区)

5月28日札幌市議会本会議において公明党議員会を代表して国安 政典 議員が代表質問を行いました。
公明党が日頃から取り組んでいる、生活者の目線での諸課題や雇用施策について質問しました。
以下、質問とそれに対する答弁の要旨を紹介します。
no1
雇用施策について
(1) 本市の雇用の現状と今後の対策について
①雇用情勢に対する認識
  世界的な不況の進行により、政府は、4月下旬に、2009年度の経済見通しを大きく下方修正し、実質国内総生産成長率を戦後最悪のマイナス3.3%とし、2年連続で過去最低を更新する見込みとなっております。
年度当初からマイナス成長の見通しとなるのは、1955年度に見通しの発表を始めてから初めてであり、戦後最悪の景気後退が現実味を帯びてきていると言えます。
 こうした中で、雇用の状況も厳しさを増しており、総務省の発表による3月の完全失業者は335万人と5カ月連続して増加し、1年前に比べて67万人も増加しております。 完全失業率では4.8%と、前月より0.4ポイント上昇して、2004年8月以来の高水準となっています。 北海道においても、1月から3月期の完全失業率は5.6%と前期である昨年10月から12月期の4.3%と比べ1.3ポイント上昇し、全国の地域別では東北の6.4%に次いで高くなっており、早急に有効な雇用対策を実施していかなければならないと考えるところです。
市長は、本市の雇用の現状について、どのように認識しておられるのか、まずお伺いします

②今後の雇用対策事業
 現在、国会においては、「景気の底割れを回避するための『緊急的な経済・雇用対策』」、「未来への投資となることをめざす『成長戦略』」、「安心と活力を実現するための施策」などを柱として盛り込んだ、大規模な補正予算案が審議されているところでありますが、この中には、企業の従業員の雇用の維持を支援する「雇用調整助成金の拡充」、雇用保険の受給対象から漏れた人などに職業訓練を拡充し、訓練期間中の生活費を支援する「緊急人材育成・就職支援基金」の創設のほか、「緊急雇用創出事業の拡充」なども含まれております。
 先日の北海道新聞に、道内の4月の街角景況感の伸びが全国最大であり、その要因として、「定額給付金への期待」や「環境対応車の販売に動きが出ている」ことなどを挙げ、国の景気対策が消費者心理の改善に働いたとの記事が載っていました。
国民は、速やかな施策の実施に期待をしている表れだと思います。
 先の平成21年第1回臨時市議会において、国の交付金を活用した「ふるさと雇用再生特別対策事業」が決定されましたが、市の努力は認めるものの、残念ながら事業規模が小さかったという印象であります。
 国の施策を有効に活用しながら、最大限の効果を引き出せるよう、地域において時宜に即した、速やかな対応が望まれるところであります。 本市の取組について、国の補正予算への対応も含め、今後どのように対策を進めていくお考えなのか、お伺いいたします
(2) 障がいのある方々への就労支援について
 現在の危機的な経済・雇用状況の中で、一番しわ寄せを受けているのは、さまざまな障がいを抱えた方々であると思います。
5月15日に発表された厚生労働省のまとめによりますと、昨年、平成20年度に解雇された障がい者の数は、前年の平成19年度に比べ約8割増となる2,774人にものぼり、平成14年度以来の水準となっております。
 こうした状況も踏まえ、国においては、障がい者の雇用の維持と促進を広く呼びかけるとともに、障害者雇用納付金の適用範囲を、現行の従業員301人以上から、201人、101人と段階的に引き下げる法改正を行ったところであります。
しかし一方では、平成20年度の障がい者の就職件数は、過去最高であった平成19年度をわずか2.4%下回る、過去2番目に多い4万4,463人を記録しております。
 このように企業が障がい者雇用に努力してきたことは当然評価されるべきでありまして、企業の負担が過重となり、結果として障がい者の雇用を抑制させるような事態を招いてはならないと感じています。
札幌市では、昨年度から、障がい者への就労支援として「地域活動支援センター就労者支援型事業」や「元気はっけん(派遣)事業」などを、札幌市の独自事業として新たに開始しており、このことについては一定の評価をいたしますが、まだまだ十分とは言えない状況であります。 先日、厚生委員会の行政視察で行きました福岡市では、このことについてこれより5年も前から、先進的に取り組まれておりました。
札幌市として、民間企業等への障害者雇用を進める上で、何が課題であると考え、今後、どのような方策を講じていこうとお考えなのかお伺いします
(1) 本市の雇用の現状と今後の対策について
   雇用情勢に対する認識についてでありますが、昨日北海道労働局から発表された札幌圏における4月の有効求人倍率は、前年同月を0.15ポイント下回る0.28倍となっており、また、本市が設置している就業サポートセンターの4月の利用者も、一日平均216人と前年比で約30%増加するなど、市内の雇用環境は非常に厳しい状況にあると認識しております。
 次に、今後の雇用対策事業への取組についてでありますが、まず、「ふるさと雇用再生特別対策事業」につきましては、北海道が今年度の2次募集を実施する旨通知がありましたので、道と調整を進めながら、できるだけ速やかに補正予算を提案したいと考えております。
 また、平成21年度の国の補正予算にともなう追加対策につきましては、現時点では不明な点もございますが、国・道との連携を図りながら、迅速な対応がとれるよう、現在、準備を進めているところです。
 これら国の事業の活用に加えまして、市民生活に密着した公共事業の追加や商店街の活性化対策など、企業・地域経済への支援に取り組むことで雇用の維持・創出を図るとともに、札幌市におきましてもワークシェアリングを実施し、100名の臨時職員を採用することとしております。 今後、経済団体や労働団体等との連携を図りながら、さらなる雇用の確保・創出に向けて努力をしてまいりたいと考えております
(2) 障がいのある方々への就労支援について
 障がいのある方の地域での自立を支えていくため、第2次新まちづくり計画において、障がいのある方への就労支援を施策の柱の一つに位置づけ、働く障がいのある方や企業の相談に応じる「就労者支援型の地域活動支援センター」を設置し、これまでに約50名に対し延500件を超える支援を行ってきているところであります。
また、派遣という雇用形態を通じ、障がいのある方の多様な就労のあり方などを検証する「元気はっけん(派遣)事業」を民間派遣会社と連携し開始しており、派遣受入企業の開拓とともに、約30名の登録者に対し順次派遣に向けた研修を実施しているところであります。
 これら札幌市独自の取組を実施する中で、多くの民間企業において障がい者の雇用経験がないことから、接し方に不安がある等の課題が浮かびあがっており、何より、障がいのある方と企業との相互理解を深める支援が重要だと感じているところであります。今後におきましても、先進都市での取組も参考にしながら、札幌市の実情にあった障がいのある方への就労支援策を引き続き検討してまいりたいと考えております。
no1
都心のまちづくりについて
(1)都心部と高速道路のアクセス性の強化について
 昨年度から実施されている国の経済対策では、「安心と活力のための基盤づくり」や「未来への投資」などを積極的に推進していくこととしており、本市においても、国の経済対策と連動したまちづくりを力強く推進する必要があるのではないかと考えております。
 先のゴールデンウィーク期間中には、「高速道路の1,000円乗り放題」が本格的に実施されたこととあいまって、全国の高速道路は例年よりも利用者が増えるなど、各地の観光地は活況を呈しておりました。
私は、高速道路のもたらす経済効果を有効に活用し、大いにまちづくりに活用すべきと考えておりますが、他の大都市に比べ、本市の高速道路網は希薄であります。
都市間を結ぶ高速道路は物流を支えるとともに、医療機関が集積する本市と結ぶことにより、安全で安心な暮らしをも実現できます。
 特に冬季間に多くの雪が降る本市での必要性は高く、高速道路網の充実を図ることにより、冬季間における定時性確保が可能となり、さまざまな観光ルートの設定が可能となるなど観光面への波及効果も期待できるところです。
平成18年第1回定例市議会で、わが会派の柿崎議員が指摘しているように、北海道の玄関口である新千歳空港と観光・経済の中心地である都心部とが高速道路によりネットワーク化され、円滑なアクセス性や定時性が確保できることがたいへん重要なことと考えております。
 しかしながら、現在の経済状況を鑑みると、既成市街地を貫くような新たな道路整備は現実的には難しいため、既存の道路空間を有効に活用する視点が重要になるものと考えております。
このように考えた場合、創成トンネルのように創成川通の空間を活用し、都心部から札幌北インターチェンジまで伸ばすことで高速道路との連携を強化し、都心部へのアクセス性を向上させるような取組が必要ではないかと考えております。
創成川通の空間を活用し、都心部と高速道路のアクセス性を強化させる取組について、市長の見解をお伺いします
(2) 「都心まちづくり戦略」及び創成川以東地区のまちづくりについて
   現在、都心部では、札幌駅前通や創成川通、そして創世1. 1.1区、大通交流拠点など、都心の骨格軸や拠点の整備が具体的に動き出しており、特に、駅前通については、地下歩行空間整備にあわせて、沿道ビルの建替えが促進され、新たな賑わいの創出が期待されるなど、官と民が連携協調しながら一体的なまちづくりが進められていることは、評価するところであります。
都心には、道都さっぽろの中心として、商業、業務、文化、娯楽、居往など、多様な機能が求められており、今後も札幌が都市間 競争の時代に確固たる地位を築いていくためには、しっかりとした都市像を掲げて、将来にわたり発展し続けていけるよう、いかに戦略的に都心の新たな魅力、価値を創出していくのかが重要であります。
 現在、都心のまちづくりについては、将来を見据えたまちづくりを官民が一体的、効率的に展開するための指針である「都心まちづくり戦略」の策定を進めていると聞いておりますが、私は極めて重要な取組であると考えております。
特に、私がこの中で重要な地区として認識しているのが創成川以東地区であります。この地区については、都心の直近にあり、明治の開拓期以来、ものづくりの面から札幌の発展を支える重要な役割を担ってきたにもかかわらず、サッポロファクトリー開業以降は特に目立った大きな開発はなく、未だに低未利用地が多く存在するなど、そのポテンシャルを十分に生かしきれていない状況にあります。
 一方、この地区については、今後、苗穂や北4条東6丁目地区における開発の動きがあること、また近年のマンション建設による居住人口の増加、飲食や雑貨など小粒ながら個性的な店舗が立地してきているなど、変化の兆しも見え始めております。さらに、平成23年春には、創成川通の地上部の緑地整備が完成することから、今後は東西市街地の連携強化や、以東地区へのまちづくりの波及が期待されると考えます。
現在策定に向けて検討を進めている「都心まちづくり戦略」について、どのような検討がなされているのか、基本的な方向性についてお伺いします また、創成川以東地区のまちづくりについて、今後より一層、促進させていくべきと考えますが、見解をお伺いします
(1)都心部と高速道路のアクセス性の強化について
 観光を始めとするさまざまな目的を持って都心を訪れる人や物資の円滑な移動を確保するという観点から、将来の交通体系のあり方を検討する上での課題のひとつと認識しております。したがいまして、平成18年度から実施している道央都市圏パーソントリップ調査での実態調査の結果を踏まえ、現在策定を進めている新たな都市交通マスタープランの中で、この課題についても検討してまいりたいと考えております。
(2) 「都心まちづくり戦略」及び創成川以東地区のまちづくりについて
   「都心まちづくり戦略」につきましては、これまで有識者等からなる「都心まちづくり戦略会議」を設置し、この中で、人や創造、環境といったまちづくりの視点を踏まえ、官民連携による一体的なまちづくりの展開や、人を中心とした都心空間のあり方、地区特性を生かしたまちづくりの推進など、今後のまちづくりの基本的な方向性について検討を行ってきたところです。
今後は、これらの基本的な方向性を踏まえ、より具体的かつ実効性のある指針として策定してまいりたいと考えております。
また、創成川以東地区につきましては、議員のご指摘にもありましたとおり、都心の魅力向上や、多様性の創出、創造都市の実現など、都心再生において極めて重要な地区であると認識しております。したがいまして、「都心まちづくり戦略」の中でも、この地区の潜在的な可能性を生かし、まちづくりを促進させるため、どのような展開が可能なのか、さまざまな角度から検討を進めてまいりたいと考えております。
no1
災害に強いまちづくりについて
(1) 学校の耐震化について
   昨年起こった中国四川大地震から、去る5月12日で丸1年が経ちましたが、マグニチュード7.9の巨大地震により、死者・負傷者・行方不明を合わせると実に約46万人もの人的被害をもたらしました。また、520万戸もの建物崩壊があり、この中には3千棟を越える学校が崩壊し、5千人を越える子ども達の尊い命をわずか数秒の揺れで奪い去ったのですから、その脅威と備えの重要性に目を背けてはいけないと思います。
 日本と中国四川省の建築構造上の技術基準は異なり、一概に論じることに無理はありますが、大きな地震が突然襲った場合に備え、建築物の耐震化と、中にいる人々の意識と行動レベルを高めなければ、人的・物的被害を減らすことはできないと考えます。
安全で安心な暮らしの実現は、災害に強いまちづくりが根底となり、ハード面とソフト面、双方ともに調和のとれた施策を推進することが何よりも大切な視点であります。
 本市では、平成18年1月の改正耐震改修促進法に基づき、平成20年度から27年度までを計画期間とする「札幌市耐震改修促進計画」を策定し、地震に対する安全性を中期的な観点から向上させようという取組を進めていることは理解しています。
この計画に包含された「市有建築物耐震化緊急5ヶ年計画」においても、平成19年度から23年度までに耐震化を実施するとしていますが、当初計画であった学校施設52校を1年前倒し、平成22年度中実施とのことでありますから、このことにつきましては高く評価したいと思います。
 しかしながら、残る学校施設128校はどうなるのか、計画が先送りになるのではないかとの心配もあります。そうした中、政府は平成20年度第一次・二次補正予算を組み、引き続き、平成21年度予算を含め、75兆円の緊急経済対策を打ち出し、全国的に問題視されている学校の耐震化促進事業を推し進めるとしています。さらに現在審議されておりまさす平成21年度補正予算案の中にも耐震化と太陽光発電などを一体的に推進する、いわゆる「スクール・ニューディール」事業が盛り込まれています。
 国は、学校施設の耐震化については、平成23年度までの5ヶ年で1万校余りとする当初計画としていましたが、平成21年度補正予算案で実質的な事業を1年前倒しするとしています。本市としても国の方針に歩調を合わせて国の予算をしっかりと取り込み、学校施設の耐震化の取組を加速させていくべきと考えます。 学校の耐震化促進について「市有建築物耐震化緊急5ヶ年計画」に位置づけた、学校施設52校の進捗状況を伺います。また、5ヶ年計画の対象外としている残る128校の学校施設の耐震化について、今後どのように進めていこうとしているか考え方をお聞かせ願います
(2) 緊急地震速報について
   今月、緊急地震速報の利活用のための実証実験として、私が住んでいる北区の幌北小学校をはじめ市内の小学校2校で、気象庁から発表される緊急地震速報を受信し、自動的に校内に一斉放送するシステムを活用した避難訓練が行われたとのテレビ報道がありました。
教室で授業中に地震が発生した場合、これまで児童は、揺れに気づいた時点で机の下に隠れておりましたが、緊急地震速報が一斉放送されることにより、揺れる前に机の下に隠れることができるだけでなく、教師が、窓ガラスの飛散を防ぐためカーテンを閉めるなどの行動を取ることができる様子を見て、児童の安全を確保する上で非常に有効なシステムであると改めて感じたところであります。
 このように地震による被害の軽減に大きな効果を発揮することが期待される緊急地震速報ですが、昨年度の市民1万人アンケートでは、90%以上の方が「知っている。」と回答しているものの、そのうち、「名前だけを知っている。」という方がその半数を占めるという結果が出ております。
 緊急地震速報は、その速報を見聞きした時に必要となる行動、いわゆる危険回避行動を正しく理解していなければ、適正な効果が得られませんので、突然発生する地震に対してもそれぞれの場面、状況に応じて適切な行動ができるように、取るべき行動の内容を市民に分かりやすく周知することが非常に重要であると考えております。
 本市では、この緊急地震速報のさらなる利活用を図るため、緊急地震速報を受信し自動的に一斉放送するシステムの導入に向けて検討を進め、本庁舎をはじめ一部の施設では既に導入されているとも聞いておりますが、このシステムの導入と取るべき行動の内容について市民へ周知することと併せて、先に質問いたしました市有施設の耐震化を図ることで、より一層、「災害に強いまちづくり」の実現に近づくのではないかと考えているところであります。
今回の小学校2校への緊急地震速報の利活用のための実証実験についての評価、また、今後、このシステムの市有施設への導入について、どのように取り組んでいこうと考えているのかお伺いします

(1) 学校の耐震化について
   「市有建築物耐震化緊急5カ年計画」の学校52校のうち、昨年度(平成20年度)までに10校で耐震化が完了しており、今年度は17校で完了を予定しております。
また、残りの学校につきましても、来年度(22年度)での耐震化完了を目指して、今年度中に実施設計を行う予定であります。
次に、5カ年計画の対象外としている残る128校の耐震化につきましては、5カ年計画の学校耐震化に引き続き、間を空けることなく耐震化に着手できるよう、現在、関係部局と連携しながら準備を進めているところであります。

(2) 緊急地震速報について
   まず、緊急地震速報の利活用のための実証実験についての評価でありますが、緊急地震速報は、この速報を見聞きした場合に、適切な行動を取ることができるように、日頃から準備しておくことが重要となります。 この度の実証実験では、事前の学習等を通じて、児童、教職員に地震から自分の身を守るための具体的な行動を理解していただくことができ、大変、有意義なものであったと考えております。 また、緊急地震速報の一斉自動放送システムの市有施設への導入につきましては、この速報が僅かな時間での対応行動を促すものであることから、防災上有効なものであると考えております。 その導入にあたりましては、市民が状況に応じて適切に行動できるような啓発活動など、緊急地震速報の利活用で最も大切となるソフト面の充実と併せて、一体的に取り組んでまいりたいと考えております。
no1
環境重視社会への取組について
(1) 環境に関する市民運動の推進について
 ①「さっぽろエコ市民運動」の取組状況と今後の方向性   
 昨年は歴史的な北海道洞爺湖サミットが開催され、本市としてもこうした機会に市民一人ひとりがこれまで以上に地球を守る行動に取り組み、世界に誇る環境都市を目指していくために「環境首都・札幌」を宣言したところです。併せて、「こども環境サミット」や「サミット記念環境総合展」のほか、環境教育を含めた数多くの普及啓発事業を行っていることも承知しております。    
 本市では平成17年にスタートした「さっぽろエコライフ10万人宣言」において、13万人の市民が参加するという、成果を残しました。そしてこれをさらに大きな市民運動の輪として広げていくために、平成19年度からは「さっぽろエコ市民運動」をスタートしており、エコライフレポートにより日常生活のエコ行動がC0²削減や節約に効果があり、また自分の行動により新たな森が生まれる運動であると伺っております。 この「さっぽろエコ市民運動」について、これまでの取組状況と今後の方向性を併せてお伺いします。

②「さっぽろキャンドルナイト」、「クールアースデー」の参加

 昨年、わが党が政府に要請し、創設された「クールアースデー」は北海道洞爺湖サミット開催初日の7月7日を「クールアースデー」と宣言し、地球温暖化防止のため、啓発し合い、皆で行動する日と定めたものです。 行動の中心はライトダウンであり夜8時から10時までの2時間、一斉消灯し、天の川を見ながら、地球環境の大切さを国民全体で再確認する。ライトアップに馴れた国民一人ひとりに対して、日頃いかに照明を使用しているかを実感していただき、日常生活の中で地球温暖化対策を実践する動機付けを行うことであります。
 昨年度は、東京タワーをはじめとして全国で7万6千施設が消灯し、925トンの二酸化炭素が削減されたと公表されており、本市においても、時計台などの観光名所や市役所施設の消灯に取り組みました。 「さっぽろキャンドルナイト」や「クールアースデー」についても、気軽に参加できる市民運動として、今後も進めていくべきと考えますが、いかがかお伺いします。
(2) 市有施設への新エネルギーの導入拡大について
   今、私たちは未曽有の環境問題と経済危機を迎えています。地球温暖化対策とともに経済危機対策を同時に取り組んでいかなくてはなりません。この危機を乗り越えた時に新しい札幌の姿を作り出していくことが重要です。
政府においてはわが党の斎藤環境大臣が通称・日本版グリーンニューディール政策を発表しました。この中に環境保全に取り組む地方公共団体への支援策として、「地域グリーンニューディール基金」が既存の「地域環境保全基金」に積み増しする形で抜本的に拡充されます。
 本年度の補正予算が成立することが前提ですが、基金事業でありますので札幌市の積極果敢な取組が必要です。地域の活性化と地域における低炭素化・エコ化を同時に推進できるまたとないチヤンスであります。
北国住宅の特徴を生かした札幌らしい計画を立案し他の基金、補助制度なども組み合わせながら新しい札幌につながるよう強く求めます。
 また、当面の対策として、市が率先して市有施設に新エネルギーの導入を実施して、実行性のある取組みを目に見える形で市民に示していくことが大切であります。
しかしながら、新エネルギー導入に当たっては、設備費が割高になることから、設置が進みにくいことも事実であり、本市での導入実績としては、平成20年度は、北郷小学校への太陽光発電と認定こども園の地中熱ヒートポンプの2件だけとなっています。
 市有施設への新エネルギーの導入を推し進めるため、環境局が事業部局とエネルギー使用を伴う事業の計画段階から、事前協議を行うことを定めた要綱を昨年秋に制定し、新エネルギー導入の実現に向けた取組を行っていると聞いておりますが、現実的にはその成果がなかなか伝わってこないのが実感であり、新エネルギー設置の義務化も視野に入れた本市独自の施策を実行する必要性を感じております。
今後、市有施設への新エネルギー導入については、これまで以上に積極的に行っていくべきと考えますが、いかがかお伺いします
(1) 環境に関する市民運動の推進について
   まず、「さっぽろエコ市民運動」の取組状況ですが、市民の皆さんが実践したエコ行動について提出いただいたエコライフレポートは、これまでに約20万枚に上り、約1万8千トンのCO2削減効果となりました。この削減量は、10万本の植樹を目指す「エコライフの森づくり」で植樹する本数に換算すると約5万本に相当します。
 札幌市民が家庭で排出するCO2は市内全体の排出量のうち約35%を占めており、この削減に向け、今後さらに家庭や地域にエコ行動を広げてまいりたいと考えております。
 次に、「さっぽろキャンドルナイト」と「クールアースデー」についてでありますが、これらはエコ行動実践の動機付けとして有効な活動であり、今後、より多くの事業者や市民の皆さんにさまざまな機会を通じて参加を呼びかけてまいりたいと考えております。
(2) 市有施設への新エネルギーの導入拡大について
   今年度から「札幌サンサンプロジェクト」として、本庁舎や札幌ドームなどの市有施設に太陽光発電を導入していく予定であります。さらに、今後新築、改築する市有施設においては、太陽光や木質バイオ燃料などの新エネルギーを活用することを基本として、国の補助制度なども利用しながら、導入を推進してまいりたいと考えております。
no1
高齢者福祉政策について
(1) 第5期札幌市高齢者保健福祉計画・第4期札幌市介護保険事業計画について
 本市におきましても、高齢者を取り巻く環境は非常に厳しくなっております。 一例を挙げますと、介護療養病床の問題でありますが、厚生労働省は社会的入院の解消のため、平成23年度末までに全国の介護療養病床を廃止する方針を打ち出しております。
 市内におきましても介護療養病床、約2,600床を医療療養病床、介護療養型老人保健施設などへの転換を計画していますが、約1,000床が転換先未定となっており、今後の動向によっては、家庭や施設など、どこにも行き場のない、いわゆる介護難民の発生が懸念されています。
 そのような中、3月には、群馬県で、無届の高齢者入居施設で火災が発生し、10名もの尊い命を奪う結果となりました。
こうした悲劇の背景には高齢者住宅や施設の大幅な不足もあげられており、増加を続ける単身、夫婦のみの高齢者世帯の増加を考慮すると、市としても今後、何らかの対策を講じていく必要があるのではないかと考えます。
 さて、本年の3月末に、札幌市の第5期札幌市高齢者保健福祉計画・第4期札幌市介護保険事業計画が発表されました。 両計画は、老人福祉法及び介護保険法の規定により、3年毎に一体のものとして策定することとされているものです。 平成18年3月に前計画を策定した際、団塊の世代がすべて65歳に到達する平成27年、西暦2015年の高齢社会のあるべき姿を念頭に、平成26年度末までに実現すべき目標を「明るく健やかな、活力ある高齢社会の実現」としています。 このため、今回の計画は、計画期間は、平成21年度から23年度の3年間となっており、平成26年度の目標に至る中間段階と位置付けています。
 計画は、今後の札幌市の全体を見通した総論部分と、高齢者保健福祉計画、介護保険事業計画の各論部分に分けて記述されており、「若年性認知症」や「孤立死」などのタイムリーな問題についても盛り込まれており、全体的な印象としては、わかりやすい内容となっています。
今回の第5期札幌市高齢者保健福祉計画・第4期札幌市介護保険事業計画の策定に当たって、これまでの計画を踏まえ、どのように課題の整理を行ったのか、その結果として、どのようなところに札幌市としての意を用い、新計画としての特徴を打ち出したのかお伺いします
(2) 介護職員の資質の向上について
 このことは、マスコミも大きく取り上げられ、市議会においてもこれまで職員の処遇について議論してきたところです。
国では、急速に進む要介護高齢者の増加に対応するため、特別養護老人ホームをはじめとする各種高齢施設の整備を計画的に進めてきました。
 しかしながら、ご承知のとおり、そこで働く方々の仕事の内容は新3Kとも言われ、すなわち、「きつい、給料が安い、結婚できない」、と揶揄される大変過酷な就労環境となっています。 私も多くの施設にお伺いし、介護にあたられる職員の方々をお見かけするたびに、その笑顔や熱心な仕事ぶりに心を打たれますが、厳しい環境の中で、いつその笑顔が消えてしまうのではないかと憂慮しているところです。 特に営利企業が運営をしている施設などにおいては、そういった可能性がややもすると強いのではないかと、心配しております。
 厚生労働省は、この4月から介護報酬を3%程度引き上げ、介護職員の処遇向上につなげようとしているようですが、実態としては、施設運営のマイナス分の補填に使用されるのではないかと危惧されています。
そのようなこともあり、国の補正予算案では、さらに給与面で改善が図られるよう対策が打ち出されており、その成立が待たれるところです。
 今回の札幌市の計画においては、介護の担い手の育成支援と確保のための支援についても取り上げられていますが、今後、ますます介護需要の増加が想定される中、札幌市としては、介護の担い手の確保について、どのように考えておられるのか、また、量的な面もさることながら、今後はさらに良質のサービスが求められることから、質的な向上について、どのように対応しようとしておられるのかお伺いします
(1) 第5期札幌市高齢者保健福祉計画・第4期札幌市介護保険事業計画について
 これまでの計画につきましては、市内17か所の地域包括支援センターの整備を始め、概ね計画どおり実施できたものと判断しております。しかし、この間、要介護者や認知症高齢者、単身あるいは夫婦のみの高齢者世帯の増加など、新たに取り組むべき課題も増えてまいりました。
 これらの諸課題に対応するため、今回の計画におきましては、中断していた広域型特別養護老人ホームや認知症対応のグループホームの整備を復活するほか、「さっぽろ孤立死ゼロ安心ネットワークモデル事業」等による地域での見守りや安否確認運動の推進など、高齢者個々の状況に応じた対策を重点的に講ずるとともに、介護保険料をこれまでよりも低く抑え、負担感の軽減に努めたところであります。
(2) 介護職員の資質の向上について
 介護の担い手の確保につきましては、全国的な課題であり、介護サービスを安定的に供給していくため、人材確保に向けた処遇改善等について、引き続き国に対して要望してまいりたいと考えております。
 さらに、札幌市といたしましても、介護現場の人材確保に向けて、ホームヘルパーやケアマネージャーの資格を持っていながら介護現場で働いていない方を対象に、今年度から、現場復帰に向けた実践的な研修を実施いたします。また、介護職員の質的な向上につきましては、高齢者の方々の多様なニーズに対応できる介護人材の育成を目的として、これまでも各種研修を実施しておりますが、来月からは、現場で働くホームヘルパー等に対するスキルアップ講座を新たに開始する予定であり、介護職員の資質とサービスの質の向上に、一層取り組んでまいります。
no1
女性の健康支援について
   平成19年4月に国が策定した「新健康フロンティア戦略」においては、「女性の健康力」を柱の一つに位置づけ、予防を重視した健康づくりを行うことを国民運動として展開することといたしました。
 女性が生涯を通じて健康で明るく、充実した日々を自立して過ごすためには、今後、乳がん・子宮がん、更年期障害、骨そしょう症といった、女性特有の健康課題に対する事業の推進が一層、求められます。 また、公明党はがん治療の先進国を目指して「がん対策基本法」の成立をリードするなど、これまで、がん対策にも一貫して取り組んできたところです。 平成19年6月には「がん対策推進基本計画」が閣議決定となり、計画では、がんを早期に発見するため、検診受診率の目標を「5年以内に50%以上」とすることが掲げられました。
 このため、各都道府県は、がん対策推進計画を策定し、受診率の向上に努めているところですが、財政状況の悪化もあり、自治体の取組はあまり進んでいない状況にあります。
特に、がん検診の中でも、女性の健康づくりにとって大切な乳がん・子宮頸がん検診の受診率は諸外国と比べると低く、今後、受診率の更なる向上を目指す必要がありますが、そのためには、「受診しやすい環境を作ること」や「受診を促す環境を整備すること」が有効であると考えます。 公明党は、これまで、あらゆる場において、がん対策の強化を訴え、また、女性特有のがん検診を受けやすくする必要性を指摘し、「女性が健康に意識を持つことへのサポート」に全力を挙げてきました。
 そしてこのたびの補正予算案の中に、女性特有のがん検診に対する支援として、乳がん・子宮頸がんの無料検診事業費216億円が盛り込まれました。 その内容を見ますと、乳がんについては、40歳から60歳までの5歳刻みで、子宮頸がんについては、20歳から40歳までの5歳刻みで、検診の無料クーポンを配布するとともに、検診手帳を交付することとしています。
 この制度は、大変、意義あるものと思いますが、受診者の対象年齢が限定されているため、わが党としては、単年度事業に終わらせることなく、来年度以降もこの措置を継続し、恒久化すべきことを国政の場で主張しているところです。
 また、制度が定着いたしますと、子宮頸がん検診においては、「婦人科に行くのに抵抗がある。」として、受診をためらっていた若年世代の検診受診率向上に大いに寄与するものと考えます。
札幌市として、このような国の乳がん・子宮頸がん検診の取組に対し、市民への周知、受診率の向上にむけどのように対応するおつもりなのか、女性の健康支援にどう取り組むつもりなのか、お伺いします
   がんの中でも乳がん・子宮頸がんは、早期発見と適切な治療により、完治・生存する率が高いと言われております。
このため、女性の健康づくりの推進において、女性特有のがんに対する検診の支援は大変重要な事業であり、札幌市における健康づくり基本計画である「健康さっぽろ21」の中で積極的に取り組んできたところであります。
 この度の追加景気対策に盛り込まれた乳がん・子宮頸がん検診の無料クーポンは、直接、対象者に配付されることから、受診率向上に大いに寄与する施策であると考えられます。このため、今後、予算の成立後には、市民周知の方法も含め、実施に向けて具体的に検討してまいりたいと考えております。
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自殺予防対策について
   警察庁が5月14日に発表したところによりますと、2008年の自殺者が32,249人とのことであります。11年連続で3万人を超え一向に歯止めがかからない状況であることは、国民生活にとってまことに深刻な事態であるといわざるを得ません。我が会派では、昨年の第2回定例会代表質問で硫化水素自殺問題を取り上げるなど、自殺問題については一貫して深い関心を寄せ、取り組んでまいりました。 民間団体への支援強化や、白殺のサインヘの気づきを高めるような対策、多重債務問題や国民健康保険料滞納者への配慮も行うよう求めてきました。 今回、庁内連絡会議を設置したことは―歩前進であるとしても、横の連絡だけで全庁挙げての対策を強力に推進する部局がないのは不足の感を否めません。 総合的な自殺対策の推進部局を早急に定めて直ちに行動を起こしてゆくことが求められると思うのであります。 そして、市民にとって身近な存在であり、市民を支える存在である市役所、そして職員が、自殺問題に対して高い意識を持つことが大切であり、市職員の意識啓発と、悩みを抱えた市民に対し適切な相談窓口を紹介できるネットワーク化は必要な政策であります。
(1)社会・生活問題の対策について
 多重債務問題や雇用問題など、自殺につながりかねない社会・生活問題に対しては、精神保健と連携した相談会を実施してきたことは聞いておりますが、自殺対策のうち、精神保健以外の社会・生活問題の対策においては、ここまでのところどのような行動を起こしてきたのか、まず伺います
(2) 地域の実情に合わせた具体の取組について
 現在、国会において審議中の平成21年度補正予算案に総額100億円の「地域自殺対策緊急強化交付金」が計上されております。 これは、都道府県に、当面の3年間の対策にかかる基金を造成し、国の示す事業メニューの中から地域の実情を踏まえて対策を実施するというものでありますが、国の補正予算が成立すれば、早ければ、今年の秋から具体的な施策をスタートすることが必要となります。
 このチャンスを活かして積極的、具体的な取組を進めていく必要があると考えますが、札幌市としてどのような具体の取組を実行するのか伺います
(1)社会・生活問題の対策について
 自殺は表面的にはうつ病等の精神保健の問題であるように見えても、その背後にある社会・生活問題への対応なくして命を救うことはできません。
従いまして、札幌市といたしましては、仕事の悩み相談事業などの「職場のメンタルヘルス対策の推進」や、多重債務等、経済的困窮への「相談支援体制の整備」などの社会・生活問題への対策を進めると共に、地下鉄の可動式ホーム柵設置などの取組も自殺対策の一環であると位置づけ推進してきたところであります。
(2) 地域の実情に合わせた具体の取組について
 札幌市におきましても、この度の自殺対策交付金の制度を有効に活用し、国と北海道の動向を見極め、札幌市の実情を踏まえた相談支援体制の整備や人材養成にかかる具体的な事業計画を作成し、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
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教育問題について
(1) キャリア教育の推進について
 今日、経済構造の変化や雇用形態の多様化などを背景に、子どもたちの進路を巡る環境は大きく変化しております。
厚生労働省が発表した平成20年度版「労働経済白書」によりますと、15歳から34歳のフリーターの数については、ここ数年、減少傾向が見られるものの、平成19年度は181万人となっております。また、就職しても、自らが考えていたことと現実との違いから、わずか数年で離職してしまう若者や、就業しようとしないニートの若者も多くおります。
 フリーターやニートを続けることは、本人にとって大きなデメリットがあるだけではなく、これらが増加することは、我が国の社会や経済に与える影響は極めて大きいものがあります。
 このような問題を解決するためには、学校教育の段階から、子どもたちに職業に関する知識などを身に付けさせ、主体的に自己の進路を選択する能力や態度を育てることが必要であります。
 我が会派といたしましては、社会人、職業人として自立していくことができるようにするキャリア教育の推進について、一貫して主張してきたところであり、新しい中学校及び高等学校の学習指導要領において、生徒に勤労観・職業観を育てることの重要性が示されたところであります。 そのような中、札幌市においては、市立高等学校の共通施策である「進路探求学習」において、平成15年度から、すべての市立高等学校でインターンシップなどの職場体験学習を実施していると伺っております。
また、中学校においては、平成17年度から20年度まで、文部科学省の委嘱事業である「キャリア教育実践プロジェクト」を受け、中学校における職場体験を広めてきており、多くの成果をあげてきたと聞いております。
中学校及び高等学校におけるキャリア教育については、今後も一層重要性を増すものと考えており、市立高等学校におけるインターンシップに加え、中学校においても職場体験が一層充実していくことを期待しております。
ただ、今後、中学校、高等学校で、ともに職場体験が充実していくと、両方で貴重な体験を重ねることができるようになる、という 一方で、同じような体験をするだけに留まってしまうことのないよう、実施の方法等をいろいろ工夫する必要が出てくるのではないかと、考えているところでもあります。 札幌市として、今後、中学校及び高等学校におけるキャリア教育をそれぞれどのように推進しようと考えているのかお伺いいたします
(2) 特別支援教育の推進について
 特別支援教育は、障がいのある子どもの自立や社会参加に向け、その子自身の主体的な取組を支援するものです。
そして、この特別支援教育を推進していくことは、障がいの有無にかかわらず、誰もが相互に人格と個性を尊重し、支え合う共生社会の基盤となるものであります。
 教育委員会では、現在、「自立した札幌人の育成」を目標に掲げ、学校教育の推進を図っていこうとしておりますが、障がいのある子どもたちにとっての自立の意味を、しっかりととらえなくてはならないと考えております。
 障がいのある子どもにとっての自立とは、全てのことが自分でできるようになることを指すものではありません。周囲に支えられながらも、自らが主体的に社会にかかわり、自分のもてる力を発揮しながら、一市民として生きていく力を身に付けていくことが、障がいのある子どもにとっての自立であり、保護者の切なる思いでもあります。 障がいのある子どもたちにとっても、住んでいてよかったと思える街、保護者の方々にとっても障がいのある子どもを育てやすい街、そういう札幌であってほしいと強く願っております。
 その実現のためには、周囲の理解や支援が必要であり、互いに支え合う気持ちや助け合う心を養う上でも、学校教育における特別支援教育の充実は、極めて重要なことであると考えます。
 我が会派としても、そのような考えに基づき、これまで、特別支援学級の整備拡充や、志願者の増加する知的障害高等養護学校への対応など、特別支援教育の充実に向けて、提言を行ってきたところでありますが、現在、小学校や中学校の通常学級にも、発達障害など、障がいのある子どもが多数在籍している状況や、障がいのある生徒の進路、就労の問題など、解決すべき喫緊の課題が多く見られており、今、特別支援教育のあり方が、改めて問われていると考えます。
新たな状況に対応すべき特別支援教育のあり方が問われている中、札幌市として、今後、特別支援教育をどのように推進していくのかお伺いします
(1) キャリア教育の推進について
 中学校及び高等学校においては、これまで、「札幌市教育推進計画」及び「札幌市立高等学校教育改革推進計画」に基づき、進路探究学習に取り組み、生徒が自らの生き方について考え、望ましい勤労観、職業観を身に付けるなどの成果をあげてきたところであり、併せて、受入先事業所の開拓などを通して、学校と地域との連携が一層深まるなどの成果もあがってきているところであります。
 教育委員会といたしましては、これまでの成果等を踏まえ、今後、すべての中学校において職場体験を実施するとともに、その内容や方法の一層の工夫・改善を図るなどして、社会で働くことの実感を通して、自らの将来を考え、主体的に学ぼうとする態度の育成に努めてまいりたいと考えております。また、高等学校においては、受入先事業所や北海道経済産業局などの関係機関と連携し、中学校での取組を一歩進め、生徒の発達段階を踏まえたプログラムの充実を図るなどして、社会に出て、実際に仕事を行っていくために必要とされる「社会人基礎力」の育成に努めてまいりたいと考えております。
(2) 特別支援教育の推進について
 札幌市における特別支援教育については、札幌市特別支援教育基本計画に基づき、学びの支援委員会の設置など校内体制の整備や、巡回相談など教育的支援の充実に努めてまいりました。しかしながら、現在、発達障害への対応や、卒業後の社会的自立と就労の問題、保護者等との連携の難しさなど、専門的な対応を求められる新たな課題が明らかになってきております。
 教育委員会といたしましては、これまでの巡回相談員や学びのサポーターによる支援体制の一層の強化を図るとともに、心理職として高い専門性をもつセラピストを新たに教育委員会に配置し、関係機関との連携の促進や、早期からの相談支援体制の充実を図ってまいりたいと考えております。また、障がいのある子どもの自立と社会参加に向けては、校種間はもとより、就学前から卒業後までを見通した継続的な支援が必要なことから、学びの手帳を一層活用しながら、保健福祉局などの関係部局との連携や、特別支援教育における職業教育充実に向けた教育内容の見直しを図るなど、就労支援の一層の推進に努めてまいりたいと考えております。