議会報告

平成20年第4回定例議会
代表質問 阿知良 寛美 議員
(東区)

12月5日札幌市議会本会議において公明党議員会を代表して阿知良 寛美 議員が代表質問を行いました。
公明党が日頃から取り組んでいる、生活者の目線での諸課題や追加緊急経済対策についてなどの景気対策について質問しました。
以下、質問とそれに対する答弁の要旨を紹介します。
no1
市長の政治姿勢について
(1) 追加緊急経済対策について
   政府与党は、10月30日に、世界的な金融不安や経済不況から国民生活を守るための新たな経済対策を発表しました。この対策の主なものは、生活支援定額交付金の支給や中小企業への資金繰り支援のための緊急保障制度、介護従事者への報 酬の引き上げ、3歳から5歳の子どもを持つ家庭に対し第2子以降から月額3,000円を支給する子育て応援特別手当の支給、フリーターを採用した企業へ奨励金を支給する雇用対策など、いずれも国民の切実な声を新たな政策として盛り込んだものであります。
   特に定額給付金は、急激な物価高と所得の伸び悩みに苦しむ家計を応援するための生活支援と、景気の先行き不安に対応するための経済対策という二つの意味合いがあります。
   国は今後、実施に当たってのガイドラインを示すこととしておりますが、こうした国の動向などを見極めたうえで、市長としての認識や見解を述べるべきであると思うのですが、いかがか伺います。また改めて追加緊急経済対策についての市長の見解を伺います。
(2) 市役所の業務執行に向けての取組について
①幹部職員と職員との協議、懇談と局長を核とした業務体制
   市長は、平成15年に就任以来「市役所改革プラン」、「財政構造改革プラン」、「出資団体改革プラン」に基づき、「変えるべきものは変え、伸ばすべきものは伸ばす」という考え方に立って、取り組んでまいりました。また、市民自治を推進するため「市民まちづくり活動推進条例」などを制定し、「市民の力みなぎる、文化と誇りあふれる街」の実現に努力されていることは承知しております。しかしながら、度重なる職員の不祥事や女性の長期軟禁問題、官製談合間題や中央バス問題に関する顛末など、市長の意図するところとは反対の方向に物事が進んでいるのではないかと指摘せざるをえません。
   こうした問題の根源に、市長をはじめとした市役所の業務執行のあり方に言及せざるを得ません。市長はじめ幹部職員が、これまで以上に職員との協議や懇談の場をもち、職員のモラルやモチベーションを高めるべきと考えますが、いかがか伺います。併せて、局長室を廃止し文字通り、局長を核とした業務体制を執るべきと考えますが、いかがか伺います。

②職員団体との交渉内容の開示
   市役所の業務執行に向けての取組の2点目として、現在、本市の財政は厳しい状況が続き、好転する兆しが見えない中、市職員の待遇は市民の大きな関心事となっております。職員の待遇を決定する過程の中で、市と職員団体との交渉は、非常に重要な協議の場でありますが、市民への情報開示をもっと積極的に図るべきと考えるものであります。既に一部自治体においては、労使関係の透明性を確保し、オープンな財政運営を推進するとともに、市民への説明責任を果たすために、交渉に関する情報を公表しております。
   本市においても市と職員団体との交渉内容を、経過も含め、極力開示すべきと考えますが、いかがか伺います。
(1) 追加緊急経済対策について
   追加緊急経済対策についてでありますが、定額給付金に対する私の発言につきましては、政府与党の発表後、報道による情報しか得られない状況の中、記者会見でご質問を受け、「自治体の負担を配慮して制度を組み立ててほしい」という趣旨でお話ししたものであります。
   去る11月28日には、総務省が自治体向けに事業概要の説明会を開催しましたが、この説明会においても、「内容の詳細は、自治体の意見を聞きながら今後詰めていく」とのことでありました。
   今後、国において事業の詳細が明らかにされるものと思いますので、札幌市としては、当該内容に沿った事務処理を適切に進めてまいりたいと考えております。なお、ご質問の追加緊急経済対策につきましては、市民や中小事業者、そして地方に向けての対策を重点として、多岐にわたる分野での取り組みが盛り込まれているものと受けとめております。
   今後、この追加対策の内容を見極めたうえで、札幌市としても事業の追加実施などを検討したいと考えております。
(2) 市役所の業務執行に向けての取組について
①幹部職員と職員との協議、懇談と局長を核とした業務体制
   幹部職員と職員との協議、懇談と局長を核とした業務体制についてでありますが、札幌市役所のような大きな組織においては、各局のトップである局長が、私や副市長と共通意識を持ち、全市的な方針や各局の使命を、しっかりと職員に伝え、力強いリーダーシップを発揮して、組織運営をしていくことは極めて重要であると認識しております。
   このため、これまでも局区実施プラン策定時の各局区長との協議、確認や定期的に局長会議などを行ってまいりましたが、今年からは新たに私や副市長と局長職が市政運営全般に関して自由に意見交換を行うグループミーティングも実施いたしました。
   また、部・課長職などとは、個別の事務事業の検討の際にできる限りの意見交換などを実施しているところであり、今後も組織内でさらに円滑な意思疎通が図られるよう努めてまいりたいと考えております。
   なお、局長室のあり方につきましては、外部との調整も頻繁である局長職の職務や職責における必要性や、職員間のコミュニケーションの活性化への効果など、多面的な検討が必要であると考えており、貴重な提言として受け止めさせていただきたいと思います。

②職員団体との交渉内容の開示
   職員団体との交渉内容の開示についてでありますが、市政運営の透明性の確保は、今後とも進めていかなければならないものでありますが、労使交渉につきましては、労使双方が自由かつ十分に意見交換を行うことが必要であり、その経過を明らかにすることは、自由な発言機会の制約につながることが懸念されるものでありますので、ご指摘の件につきましては慎重に検討する必要があるものと考えております。
no1
経済対策について
   民間の調査会社によりますと、今年度4月から9月までの上期の市内企業倒産件数は、昨年度上期と比べて67.6%多い119件、負債総額では106.6%も多い406億円となっております。業種別で見てみますと、製造業の倒産件数が28.6%増加しているほか、建設業では42.9%も増加しており、大変厳しい経済状況となっております。また、11月の有効求人倍率は、全国の0.80倍に対して、札幌圏ではその2分の1の0.39 倍という極めて低い雇用動向となっているところであります。
   こうした厳しい経済状況が続いておりますことから、我が会派では、11月6日に中小企業への金融対策の充実・強化について市長に要望したところ、11月25日から「原油・原材料価格高騰緊急対策おうえん資金」がスタートしておりまして、この対応については評価したいと申し上げたいと思っております。
   さて、札幌圏の企業の新規求人状況を9月時点で昨年と比較してみますと、12.6%減少しており、中でも製造業については18.7%の減少であり、全体を上回る割合で新規求人を減らしていることが明らかとなっております。
   このような中、札幌市におきましては、職業相談事業や若年層の雇用対策などに取り組んでいるほか、創業者の人材育成やベンチャー企業への支援を通して、就業率を高める事業を実施しております。また、東京事務所においても、市内中小企業の販路開拓支援などを行っていることは承知しております。しかしながら、このような厳しい雇用状況を抜本的に解決していくためには、多くの従業員を雇用する業種の1つである製造業、つまりものづくり産業の振興について、中長期の展望に立った取組が求められていると考えます。
   その状況の中、札幌市では平成19年3月に市内に本社がある1,200社を対象に製造業の実態調査を行ったと聞いております。
(1)札幌市のものづくり産業について
①市内製造業の実態調査の結果
製造業の実態調査において、市内のものづくり産業の業種や規模、企業の課題などについて、どのような結果であったのか。

②札幌市の製造業の強みと弱み
札幌市の強み、弱みをどう認識しているか。

③ものづくり産業の振興策
これからどのようにものづくり産業を振興していこうと考えているのか伺います。
(2) 広域でのものづくり産業の振興について
   平成19年度の工業統計調査の速報では、道内市町村別の製造品出荷額は、苫小牧市が1兆432億円でトップとなっておりまして、本市は5,502億円、室蘭市が5,485億円、千歳市は2,264億円となっております。苫小牧の製造業は、自動車部品の増産などで前年比13.2%増加し、道内の市町村で初めて1兆円を突破いたしました。札幌市は道内では2番目の出荷額ではありますが、苫小牧市の約半分の出荷額となっており、大きく差をつけられています。
   こうした状況から本市といたしましては、雇用を創出するためにも、苫小牧や室蘭、石狩の港、そして千歳の空港、さらに本市における大学等の知の集積機能など連携してものづくりに取り組んでいくことが必要ではないでしょうか。
   一方、東北地方では平成18年度から、緊密な地域連携によってものづくり産業の活性化を図っており、半導体やIT、医療、自動車といった技術・産業分野を重点産業と位置付け、東北6県10カ所の産業集積地の有機的な連携を行い、相乗効果で産業の集積を図る「TOHOKUものづくりコリドー」というプロジェクトを進めています。
   こうした東北地方の先駆的な取組のように、札幌市においても、例えば道央圏のような広域で、ものづくり産業の振興を図ることについて、どのようにお考えか伺います。
(3) 企業誘致の取組について
   企業誘致が、地域経済の活性化や雇用対策の強化のために極めて重要であることにつきましてはあらためて申し上げるまでもありません。札幌市では、コールセンターやニュービジネスの企業誘致に早くから取り組み、平成19年7月からはこれに加えて、IT、バイオ、デジタルコンテンツ産業の企業誘致を行うことにより、雇用創出や税源涵養の面で大きな成果をあげていることは承知しております。
  しかしながら、昨今、企業誘致の都市間競争は激化しつつあり、またアメリカ発の金融不安や株式・為替市場の変動から、わが国の経済も先行きが不透明な状況になってきており、企業誘致を行うには非常に厳しい状況となっております。この様な状況においてこそ、ものづくり産業の企業誘致には長期的、かつ広域的な視点で取り組む必要があると考えます。新たな産業集積の創出という成果をあげている良い例に学び、札幌市が、圏内における最大都市としての役割を果たし、「札幌広域圏」として広域的な視点に立って企業誘致に取り組んでいただきたいと考えます。

①近隣市町村との連携の状況
企業誘致について、近隣市町村との連携の状況は現在どのようになっているのか、

②今後の進め方
さらに今後どのように進めていくおつもりなのか、市としての考えを伺います。
(1)札幌市のものづくり産業について
①市内製造業の実態調査の結果
   札幌市のものづくり産業についてでありますが、市内製造業の実態調査の結果につきましては、業種では「食料品」、「印刷」、「金属製品」の3業種で全体の企業数の約半数(46.8%)を占めており、規模別では従業員200人未満の中小企業がそのほとんど(98.6%)となっております。また、企業が直面している経営上の課題につきましては、「人材育成」、「資金調達」、「営業力不足」等が挙げられております。

②札幌市の製造業の強みと弱み
   札幌市の製造業の強みにつきましては、北海道の新鮮で豊富な食材を活用した食品産業の集積があること、また、高い技術力や魅力ある製品を持つ企業が数多く存在するということが挙げられます。これに加え、大学や多くの研究機関など、知の集積が図られていることも大きな要素と考えております。一方、弱みといたしましては、中小・零細企業が多いことから、企業間連携や技術開発、さらには販路開拓などを積極的に進めていくことが困難であると認識しております。

③ものづくり産業の振興策
   今後のものづくり産業の振興にあたりましては、融資制度や人材育成についてきめ細やかな支援を行うとともに、技術開発支援や販路開拓、産学官の連携について、積極的に支援することにより、足腰の強いものづくり産業の振興を図ってまいりたいと考えております。
(2) 広域でのものづくり産業の振興について
   広域でのものづくり産業の振興についてお答えいたします。昨年12月に、札幌市や小樽市、石狩市など11市4町が中心となって、道央中核地域産業活性化協議会を構成し、自動車産業や情報関連産業など、ものづくり産業を中心とした、域内での産業の集積及び活性化の取組を進めており、加えまして本年11月には、札幌市を含む4市1町1村で、食品や物流産業などについて、新たな連携に向けた検討も開始しているところであります。
   このように、ものづくり産業の振興について、各地域の特長を生かしながら広域圏での連携を図ることは、札幌市の経済の発展に極めて有効でありますことから、今後とも道央圏における産業連携に向けた取組について、その中核的な役割を担ってまいりたいと考えております。
(3) 企業誘致の取組について
①近隣市町村との連携の状況
   近隣市町村との連携状況についてでございますが、現在、石狩市に係長職1名を派遣し、連携した取組を進めており、本年7月には、東京で開催された「企業誘致フェア2008」に共同で出展し、両市の立地優位性をPRしたところであります。また、適宜、所管部局の間で情報交換を行うとともに、来年度の取組の強化について検討を進めているところでございます。

②今後の進め方
   今後の取組についてでございますが、広域的な企業誘致は札幌市にとっても大変重要なことであると考えております。従いまして、ただいま申し上げた石狩市との連携をモデルに、たとえば札幌広域圏としての共同パンフレットの作成やビジネスイベントへの共同ブース出展、さらには札幌市東京事務所を、各市町村の情報提供や商談の場として活用してもらうなど、札幌広域圏全体とした取組を進めてまいりたいと考えております。
no1
入札制度の改善について
(1) 総合評価落札方式の改正について
   平成12年9月に発覚した、都市局建築部発注の工事で、当時の部局主導による割り付けが長年行われていたことが表面化し、談合が大きな社会問題となりました。愚行は二度と繰り返えしてはならないとし、悪しき慣習の排除と談合防止の為の入札制度の改善や発注部門の分離など鋭意努力を重ねてきたにもかかわらず再び繰り返されました。
   過度な競争により品質が劣る事にならないための方策として、本市は総合評価落札方式を導入しているところでありますが、総合評価落札方式の工事案件についても技術評価をしているものの、結果的に最低価格で応札した企業が落札をしている現実をみると、ここでも低価格入札の傾向となっており、実体として総合的な競争ではなく、現状は価格競争であることは明らかであります。このような状況をみると真に品質が保たれるのかと懸念するところであります。
   また、低入札調査の案件が増加し、その調査に一定程度の時間を要するため工事の着手が遅れることにより、工期に影響を及ぼし、その結果、工事の品質の低下につながる恐れがあるのではと懸念をしているところであります。行き過ぎた価格競争を招かないよう、総合評価落札方式を今年度中に改正すると聞いていますが、具体的にどのように改正するお考えなのかお伺いします。
(2) 予定価格の事後公表について
   受注競争が激化する中、予定価格の事前公表により必然的に最低制限価格付近の応札を強いられている状況が続いており、会社の経営、職員の雇用確保を維持する適正な利益すら得られず、工事の品質の確保もまた厳しい状況となり、建設業界とりわけ中小建設業者の衰退も著しい状況であります。さらに事前公表のため、見積もり積算能力の有無にかかわらず応札する事も可能であり、低価格の競争での工事受注は結果として品質の確保に重大な懸念が生じております。
  本市においても、行き過ぎた価格競争による品質低下などの予防のため、また 北海道においても、事後公表を導入したことなどに鑑み、工事の予定価格の事後公表を試行的に行い、その結果について検証などを行うべきと考えますがいかがかお尋ねします。
(3) 設計図書のダウンロードサービスについて
   入札参加を希望する業者は、工事内容の把握や積算に必要な設計図書を、市指定の印刷会社から購入しているのが現状です。
   工事によっては図書の枚数も多くなり、応札する中で多くの工事を受注することは至難であり、年間トータルするとその購入費用も高額になることもあると聞いております。景気低迷の中で少しでも経費の削減に取り組む企業にとって負担になる出費でもあります。
   電子入札の導入を開始したわけですので、パソコンを十分活用する体制にすべきであります。
   入札参加業者の積算に伴う経費の軽減および談合などの不正な入札行為をより一層防止する観点や、電子入札の効果を高める意味からも、早急に設計図書のダウンロードサービスの導入が必要と考えますが、サービスの導入についてどのように考えておられるのかお尋ねします。
(1) 総合評価落札方式の改正について
   総合評価落札方式の改正についてでありますが、現在検討しております内容は、技術評価のウェートを高めるため、現在10点である技術評価の加算点を引き上げることや、入札参加業者などの事務負担軽減のため、現行の特別簡易型の評価項目を更に簡素化した新たな方式の導入などであります。
(2) 予定価格の事後公表について
   予定価格の事後公表についてでありますが、事前公表は、平成13年の国の指針も受け導入したものであり、予定価格を探ろうとする不正な動きを防止し、透明性を確保するという、所期の目的を果たしつつ、今日に至っているところであります。そのような中、近年受注競争が厳しさを増し、最低制限価格付近への応札の増加により、最低制限価格と同額のくじ引きも増加しております。そこで、予定価格の公表時期の見直しにつきましては、札幌市の落札率等の推移や入札制度を取り巻く環境を踏まえ、解決すべき課題の検討を行ってまいります。
(3) 設計図書のダウンロードサービスについて
   設計図書のダウンロードサービスについてでありますが、今年4月から段階的に導入を開始した電子入札システムも軌道に乗りつつありますので、設計図書のうち、仕様書のダウンロードサービスの提供につきましては、現在、準備を進めているところであります。また、図面情報につきましても、実施に向け検討してまいります。
no1
介護保険制度について
(1) 介護従事者の就労環境について
   平成12年に介護保険制度が導入されてから、8年が経過しました。制度導入時は、介護を必要とする高齢者の身体や家族の状況等を踏まえ、国が示した82項目の状況を一人ひとりについて、いわゆる介護度を判定しなければ制度を利用できないということで、区の職員や介護の現場で大きな混乱が起き、社会的にも大きな関心を呼んだことを覚えております。
   その後も高齢者・要介護者の増加に伴い、区や介護の職場では業務量が増加を続け、現在でも大変な状況にあると聞いております。
   しかし、関係者の多大なご努力によって、在宅ケアを基本としつつ、より密度の高い介護を必要とされる高齢者の方には、特別養護老人ホームやグループホームなどの施設で適切に介護を行うという介護保険の制度や利用の仕方などは、多くの市民に理解され、定着しているのではないかと思います。ただ、懸念されるのは、右肩上がりで増加を続ける高齢者・要介護者に、今後も良質な介護を提供できる環境を整備維持できるかということです。こうした中、政府、与党は10月30日、介護現場での人手不足が深刻な状況にあることを重く受け止め、平成12年の介護保険制度開始以来、引き下げが続いていた介護報酬を来年度から3%引き上げることを決定し、介護職員の賃金アップを図るとともに、人材確保のためのさまざまな対策を検討しておりますが、札幌市においても、介護職員の待遇改善に積極的に取り組んでいくことが特に重要であると考えます。
   介護保険制度の根幹をなす、各種サービスの提供を担う介護従事者の就労環境についてどのような見解をお持ちか伺います。
(2) 施設の整備方針について
   安心して介護を受けて生活できると感じていただくためには、介護保険制度をより充実させることが不可欠であります。ホームヘルプなどの在宅サービスと特養などの施設サービスは、制度の基盤となるものであり、そこで働く人たちの賃金をはじめとする就労環境を向上させ、有資格者が安心してサービスを提供できる環境整備は、喫緊の課題であると考えます。
   札幌市では、去る10月30日の介護保険事業計画推進委員会で、平成21年度から始まる高齢者保健福祉計画及び介護保険事業計画の基本理念や施策の体系などが示されたところです。委員会では、3年間の計画期間内における特別養護老人ホームや認知症高齢者グループホームなどを含む施設の整備方針についても示され、特別養護老人ホームについては、計画期間中に、地域密着型と呼ばれる小規模なもののほかに、定員80人規模の大規模なものについても3カ所整備を行うとしております。また、グループホームについては、平成18年度から事業者の新規指定を行っておりませんでしたが、計画期間中に定員で150人程度の整備を行うこととしております。これについては、今後における高齢者人口の増加や要介護者の増加を踏まえ、整備が必要と判断したということで、現実を踏まえた前向きの姿勢と評価はできると考えております。
   しかしながら、特別養護老人ホームについては、待機者数が年々増加している状況にあり、また、グループホームについては、その利用対象である認知症高齢者が今後も増加することが予想されることから、これだけの整備を行ったとしてもまだまだ不十分ではないかと考えます。
   こうした施設については、介護療養型の整理が進められていく中で、在宅での介護が難しい高齢者の動向を見ながら、より実情に即した整備が必要であると思いますが、今後の中・長期的な整備方針について、どのように考えておられるのかお伺いします。
(1) 介護従事者の就労環境について
   介護従事者の就労環境についてでありますが、昨年11月の札幌市の調査からも、介護業務は精神的・身体的負担が大きいにもかかわらず低賃金であり、他の業種と比べて離職率が高いとの結果が出ており、介護従事者の就労実態は厳しいものと理解しております。
   介護従事者の就労環境の改善は、利用者の処遇に直接関わる全国的な緊急課題となっております。このため、国では来年度から、介護報酬の3%引上げのほか、人材確保対策などについて検討を行っているところであり、介護保険制度の安定的運用を図るうえでも、これらの対策を通じて介護従事者の就労環境を改善していくことが重要であると認識しております。
(2) 施設の整備方針について
   施設の整備方針についてであります。札幌市では、高齢者人口の増加に伴い、将来を展望した施設と在宅のサービス提供基盤の整備を行っていく必要があると考えており、現在策定を進めている平成21年度からの高齢者保健福祉計画では、利用者の動向、待機者数や介護療養病床の転換状況等を踏まえ、必要な施設整備を行う方向で検討を行っております。
no1
文化芸術基本計画と広域観光の推進について
(1) 文化芸術基本計画について
①本市の文化芸術振興における課題
   我が党は、平成13年5月に「文化芸術立国・日本をめざして」という政策提言を行うなど文化芸術の振興を政策の根本に据えており、また、党のマニフェストにおいても「地域の文化施設や多様な文化の人材を活用し、多くの人が文化芸術に親しめるための環境を整備する」、「全ての小中学生に少なくとも年に1回、本物の文化芸術に触れさせる機会を提供する」など、具体的な施策に言及しているところであります。
   これらの活動が平成13年12月に可決・成立した「文化芸術振興基本法」の制定につながったものと確信しているところであります。
   こうした国の動向は少なからず地方にも良い影響を与えており、本市では政令市で4番目となる文化振興に関する条例である「札幌市文化芸術振興条例」を全議員の提案により上程し、平成19年4月に施行されたところであります。
   振り返ってみますと、本市では平成9年に、文化芸術振興の指針として、「札幌市芸術文化基本構想:アンビシャス札幌21」を策定しましたが、策定から11年余が経過する中で、時代の要請に対応できない部分も出てきているのではないかと思います。
   国においては、文化芸術振興基本法の理念を具体化するため、平成14年12月に「文化芸術の振興に関する基本的な方針」を打ち出し、その後平成19年2月には諸情勢の変化を踏まえて第2次の基本的な方針を打ち出しております。
   この中で、社会情勢の変化として[1]構造改革の進展による民間と行政の役割分担の見直し、[2]規制緩和等による新分野への民間進出、[3]指定管理者制度の導入、[4]過疎化、少子化による地域社会の衰退、などが見られるとの言及があります。
   先ほど述べた「札幌市文化芸術振興条例」では、文化芸術の振興に関する施策を総合的かつ計画的に実施するために、「基本計画」を年度内に策定することとなっていると伺っているところであります。
   国においては、さまざまな社会情勢の変化をいくつか掲げていますが、本市が基本計画を策定するに当たって、本市の文化芸術振興にどのような課題があると認識しておられるかお伺いたします。

②基本計画策定に当たっての視点
   国においては、社会情勢の変化を踏まえ、今後、文化芸術を振興する施策として、[1]日本の文化芸術の継承、発展、創造を担う人材の育成、[2]日本文化の発信、国際文化交流の推進、[3]文化芸術活動の戦略的支援、[4]地域文化の振興、[5]子どもの文化芸術活動の充実、[6]文化財の保存・活用の充実、の6つを重点的に位置付けています。
   一方、札幌に目を向けてみますと、以前、札幌の名を冠した「札幌焼」という焼きものが存在していました。これは山形県新庄市に伝わる東山焼の流れを引くものとされていますが、だれがどういう経緯で札幌に持ち込んだかということはあまり知られていません。
   これは一つの事例でありますが、時代の経過とともに忘れ去られようとしている文化芸術に光を当てる、若しくは先代から大切にされてきたものを再度評価していくことは、今後の札幌の大きな財産になるものであると強く感じるものであります。
   私は、今回の基本計画の中に、ただいま申し上げたような札幌の文化遺産をきちんと後世に伝えていくという視点も盛り込むべきであると考えております。課題として認識されている事柄を解決するための処方箋を基本計画に盛り込むことになると思いますが、先ほど私が述べた点も含め、どのような視点に立って基本計画を策定するおつもりなのか、併せて伺います。
(2) 広域連携について
①今後の広域連携による観光振興の取組
   市長は日ごろから、札幌が、人口の集積地であり一大消費地であること、また、企業、教育・研究機関が集積していること、さらには集客力が高い観光地であることなど、札幌のこれらの都市機能を北海道全体で活用していただき、道内各地の活性化に是非役立てたいと言っておりますが、私もまさにそのとおりだと思います。
   例えば、さっぽろオータムフェストの札幌大通ふるさと市場については、まさに札幌にいながら道内各地の食を堪能できる、非常に良い取組であり、さらには、昨年までのリンケージアップフェスティバルから開催期間を伸ばしたことで、市民のみなさんだけではなく、観光客の集客も見込めるイベントに成長しています。今後、海外の観光地との競争に勝ち抜けるような観光魅力を創出するとともに、地域における集客力を相乗的に高めるためには、地域の魅力ある観光資源を広域的にネットワーク化することが重要であるとし、「広域連携による観光振興の促進」を重要な施策の一つと位置付けています。
   こうした動きがある中、今までも札幌市は札幌広城圏組合の一員として、主導的な立場で札幌圏の広域観光に取り組んで来ました。
   今後の広域連携による観光振興の取組についてどのようにお考えかお伺いします。

②札幌広域圏の農畜産物の消費拡大に向けた取組
   私は、近隣市町村との連携は、非日常的な観光分野のみならず、常日ごろから、地道に結びつきをより強くしていく必要があるものと考えています。
   昨今、輸入野菜等に対する残留農薬や事故米の不正流通の問題など消費者の食の安全・安心への信頼が揺らぐ中で、札幌広域圏の各市町村との結びつきを今以上に強固にし、大消費地である札幌における安全・安心な近郊の農畜産物の消費拡大と安定的な供給に向けて積極的に取り組むべきものと考えています。
   本年9月、"さとらんど"において、「さっぽろ圏大地の恵みフェア」として、札幌広域圏組合の全8市町村や農業団体など関係機関が連携・協力し、市民に圏域の農畜産物を紹介するイベントが行われ、3日間で6万6千人の来園者があり、市民に非常に好評でした。このイベントにより、私たちのごく身近なところで生産されている農畜産物が、安全・安心かつ新鮮で、とても美味しいものだということが、多くの市民にPRできたのではないかと考えています。
   このように"さとらんど"を積極的に活用していくことを期待するものですが、今年度実施した「さっぼろ圏大地の恵みフェアなど近隣市町村の農畜産物の消費拡大に向けた取組について、今後、どの様な姿勢で臨もうと考えているかお伺いいたします。
(1) 文化芸術基本計画について
①本市の文化芸術振興における課題
   本市の文化芸術振興における課題についてでありますが、「文化芸術基本計画」は平成20年度内に策定するべく、鋭意取り組んでいるところでありますが、有識者や公募委員からなる「文化芸術基本計画検討委員会」における議論を中心としながら、さまざまな文化芸術活動に携わる方々との懇話会も7回開催するなど、多角的な見地からご意見をいただいているところであります。
   そうしたご意見を踏まえつつ、札幌における文化芸術の課題として、地域の方々が文化活動を行う拠点の必要性、札幌で育った芸術家が札幌で創作活動に打ち込むことができる環境整備、創作する側と鑑賞する側をつなぐ役割、創造活動の中心となる文化芸術を都市戦略の中に明確に位置付けること、などが重要な課題であると認識しております。

②基本計画策定に当たっての視点
   これまでの議論を踏まえますと、市民が文化芸術を広く享受できる環境を整えること、未来を担う子どもたちが文化芸術を通じて心豊かに育まれていくこと、文化芸術を基軸として産業や経済を活性化させていくこと、さらには、議員のお話にもありました、歴史を積み重ねてきた文化遺産や自然遺産を大切にし後世に伝えていく、といった点が特に重要な視点と考えております。
(2) 広域連携について
①今後の広域連携による観光振興の取組
今後の広域連携による観光振興の取組についてでありますが、旅行形態の主流が、団体旅行から個人旅行へ移行していることに伴い、周遊型観光から滞在型観光への需要が高まってきております。
   札幌市といたしましても、滞在型の観光を促進し、「札幌ファン」とも言えるリピーターを確保するためには、札幌近郊の豊かな自然などを活かした体験型観光を充実させるなど、広域連携による観光振興が重要になるものと考えております。したがいまして、今後におきましても、札幌市がリーダーシップを発揮することで、近隣市町村との連携を今まで以上に強め、新たな観光の魅力を創出してまいりたいと考えております。

②札幌広域圏の農畜産物の消費拡大に向けた取組
   札幌市の地産地消をより一層推進するには、近郊市町村との連携が必要であり、今回初の試みとして、圏内八つの市町村をはじめ、六つの農業団体や石狩支庁などの関係者が一体となったイベントを開催したところであり、市民の皆様から大変高い評価をいただけたものと考えております。
   今後とも、関係団体等と十分な連携を図り、札幌市民には新鮮で安全安心な身近な農畜産物の供給、そして広域圏にとっては更なる農業の振興・発展を実現できるよう、なお一層の努力をしてまいりたいと考えております。
no1
水道施策について
(1) 水道料金へのクレジットカード収納の導入について
   クレジットカードは、国民の経済活動において、一般的な決済手段として広く普及しているところでありますが、平成18年5月に地方自治法が改正され、クレジットカード会社が指定代理者として歳入の納付ができることとなり、地方公共団体の使用料等のクレジットカードによる支払いが可能となりました。
   市民サービス向上などの点から、クレジットカードによる収納を札幌市としても水道料金について導入すべきと考えますが、いかがかお伺いします。併せて、導入した場合における初期費用や手数料など、費用対効果についてどのように見込まれているのかお伺いします。
(2) 第3次地震被害想定を踏まえた水道局の地震対策について
   札幌市の水道は、平成19年度末現在で99.8%という普及率を達成し、市民生活、経済活動にとって必要不可欠なライフラインとなっております。そのため、ひとたび水道施設が地震などにより大きな被害を受ければ、市民生活への影響は甚大となります。特に、平成7年1月の阪神・淡路大震災では、震度7を記録し、配水管などの水道施設に重大な被害が発生し、市民生活などに大きな支障を与えました。改めてライフラインである水道施設の地震対策の重要性を再認識したところであります。
   このような中、本年9月18日に開催された札幌市防災会議において、第3次地震被害想定が示されました。この被害想定では、市直下の伏在活断層によって震度7にも達する地震が発生し、これによって引き起こされる被害や影響を想定しており、平成10年に策定された札幌市の地域防災計画もこの想定に基づき見直されます。
   この想定によると、水道に関する被害については、配水管の被害箇所数が約2,300カ所、これによって生じる断水は約56万世帯、断水率は全市の約67%、その復旧に要する期間は積雪期においては約43日となっており、この被害想定は、平成8年にまとめられた前回のものと比べて大きく上回る規模であります。
   このような地震が発生したとしても、市民生活への影響をできるだけ軽減するような水道システムの構築が必要であり、これに向かって着実に対策を進めていくことが重要であると考えます。
   この第3次地震被害想定を踏まえ、水道局では、今後どのようなところに重点をおいて地震対策を進めていくつもりなのか、お伺いいたします。
(1) 水道料金へのクレジットカード収納の導入について
   水道料金へのクレジットカード収納の導入についてでありますが、近年、広く普及したクレジットカードによる収納は、利用者からの要望も多く寄せられているところであり、私どもといたしましても、支払いの選択肢を広げ、利用者サービスの向上につながることから、実施へ向け検討に入りたいと考えております。
   具体的には、カード会社や料金情報を一括して処理する代行会社の選定、クレジット収納に対応したシステム改修などを明年度中に行い、その後、利用者への周知などの必要な期間を見定めたうえで、実施時期を決定してまいりたいと考えております。
   また、費用対効果につきましては、クレジット収納に対応したシステム改修やカード会社に支払う手数料など、収納にかかる経費は現在よりも増加するものと見込まれますが、今後、より一層の業務の効率化に努め、導入に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
(2) 第3次地震被害想定を踏まえた水道局の地震対策について
 第3次地震被害想定を踏まえた水道局の地震対策についてでありますが、水道は市民生活の重要なライフラインの一つであり、これまで特に主要な水道施設である浄水場や大規模配水池などについて優先的に耐震化を図ってきたほか、軟弱地盤地域などにおける配水管の耐震化や応急給水の拠点作りを進めてまいりました。
   今回の想定では、最大震度が7と予測され、被害の規模も拡大していることから、これまで進めてきた対策の検証をはじめ、地震対策の大幅な見直しが必要であると考えております。
   具体的には、浄水場など特に主要な水道施設については、新たに耐震診断を実施し、必要な補強工事を行うほか、災害時に拠点となる病院や避難所等への給水ルートを優先的に耐震化するなど、被害想定を踏まえた整備を進めてまいりたいと考えております。
   また、断水等の被害が長期的かつ広範囲にわたることが想定されていることから、市民生活を確保するための応急給水施設の充実や、都市機能の回復に向けた有効な方策を検討していくほか、市民の皆さんや民間企業との協力体制と全国的な支援体制の強化を図っていきたいと考えております。
   このような対策に重点をおき、今後、地域防災計画の見直しと十分連携をとりながら、災害に強い水道システムの構築に向けて取り組んでまいりたいと考えております。