議会報告

令和元年 第3回定例議会
代表質問 好井 七海 議員
(豊平区)

札幌市議会本会議において公明党議員会を代表して 好井 七海 議員が代表質問を行いました。

以下、質問とそれに対する答弁の要旨を紹介します。

目 次

1 市長の政治姿勢について
(1) 次期中期実施計画の策定について
(2) 北海道胆振東部地震から1年の総括と今後の取組について
(3) 地方公会計を踏まえた将来の財政運営について
(4) SDGsの理念に直結した動物園条例の制定について
2 札幌の経済施策の方向性について
(1) もいわ山ロープウェイのゴンドラ鉄塔衝突事故について
(2) これからの観光施策について
(3) 中小企業の生産性向上に向けた支援について
3 冬季オリンピック・パラリンピック招致について
(1) 全国レベルの招致機運の醸成について
(2) 市民に向けた機運醸成活動について
4 予防医療と健康寿命延伸について
(1) 感染症対策について
(2) 歯科保健医療の提供体制について
(3) 生涯現役社会の実現に向けた取組について
5 住みよいまちづくりについて
(1) ヒグマ出没対応時の地域への情報提供について
(2) 市民生活に寄り添った除雪支援について
(3) 河川における事前防災の在り方について
(4) スマートシティ推進に向けた取組について
6 誰もが輝くまちづくりについて
(1) 児童虐待対策について
(2) 社会で支え合うひきこもり支援について
(3) 公立夜間中学について
7 配慮が必要な子どもへの支援について
(1) 障がいのある子どもへの教育支援について
(2) 相談支援体制の充実について
no1
市長の政治姿勢について
(1)次期中期実施計画の策定について
  • アクションプラン策定の考え方と力点

    第2回定例市議会で、秋元市長は、次期中期実施計画である「札幌市まちづくり戦略ビジョン・アクションプラン2019」の策定方針を表明されました。このアクションプランは、一期目のアクションプラン2015に引き続き、本市のまちづくりの計画体系において最上位に位置する「札幌市まちづくり戦略ビジョン」を推進するための実施計画であり、計画期間における札幌市の全ての政策的事業が盛り込まれるとされています。

    また、市長の施政方針では、これからの人口減少や少子高齢化が進展する局面においても、この札幌が、魅力と活力を創造し続ける街であることが重要である旨が示されており、こうした課題への対応は、我が会派としても優先度が高いものであると捉えています。

    そこで質問でありますが、どのようなまちづくりを目指してアクションプランを策定しようとしているのか、また、現時点で考えられるプランの力点について伺います。

  • SDGsのアクションプランへの反映

    また、この魅力と活力にあふれる街を、将来の世代に渡って引き継いでいくため、持続可能なまちづくりに資する政策であるのか、という視点が不可欠であると考えています。

    市長公約においても「SDGsの視点を用いて市の施策全体を捉え直し、持続可能なまちづくりを推進する」とされているところですが、このことはまさに、我が会派がかねてより重視している考え方に合致するものであることから、このSDGsの視点がアクションプランにおいてどのように反映されるのか、注目をしているところであります。

    そこで質問でありますが、SDGsの視点をアクションプランにおいてどのような形で反映しようとしているのか、併せて伺います。

  • 区役所窓口の利便性向上

    市長は2期目の公約として、「窓口の一本化や待ち時間対策など「わかりやすく時間のかからない窓口」をめざす」と掲げられてますが、こうした行政サービスの高度化、市民サービスの質の向上という視点は非常に重要だと考えます。

    高齢者の方であれば、市内で住所異動をした際には、それに続けて介護保険や医療保険の手続きなど、それぞれの制度ごとの窓口での手続が必要になります。ひとり親世帯の方や障がいのある方なども同様です。

    子どもを連れている方や、歩行が困難とまではいかなくても負担になる方は、窓口間の移動も大変なうえ、それぞれの窓口で書類を書くのも時間がかかり、負担に感じていると思います。

    市長の公約にある「わかりやすく時間のかからない窓口」とは、まさにこのような市民の大変さ、負担感の解消を目指しているのではないかと考えるところであります。

    そこで質問でありますが、行政サービスの高度化、市民サービスの質の向上という視点で、今後、区役所窓口の利便性向上に向け、どのように取り組んでいくのか市長の考えを伺います。

(2)北海道胆振東部地震から1年の総括と今後の取組について
  • 現時点における被災者支援に関する総括と今後の対応

    昨年9月の北海道胆振東部地震の発生から今月で1年を迎えました。被災された方々が、発災前の元の生活に戻るためにはまだまだ道半ばでありますが、特に被害の大きかった里塚地区などにおける復旧復興に向けた速やかな決断や対応は大いに評価します。

    今回の災害は、市民のみならず、職員にとってもこれまで経験したことのないものであり、発災後から現在までの対応を振り返り、そこから得た教訓を今後の被災者支援に生かしていくことが、市民が安心して暮らせるまちの実現につながるものと考えます。

    そこで質問ですが、北海道胆振東部地震の発生から1年を迎え、現時点における被災者支援に関する総括と今後の対応について伺います。

  • 多様な住民の意向を踏まえた復旧工事の進め方

    また、特に被害の大きかった里塚地区については、復旧工事が4月に着工して以来、概ね順調に進んでいるものと伺っておりますが、住民の多くは今年度の地盤改良工事が終わってから住宅再建に取り組む意向を持っている一方で、住民の中には地盤改良工事と並行して、一日も早い住宅再建の取組を進めたい方がいらっしゃるものと聞いております。

    そこで質問ですが、このように多様な住民の意向があるなかで、復旧工事をどのように進めていくのか伺います。

  • 被害が見られた大規模な盛土造成地の安全確保に向けた今後の取組

    一方、比較的被害が大きかった美しが丘、里塚霊園隣接地域、月寒地域などの里塚以外の地区については、実施している調査や分析等を踏まえ、地域住民への情報提供を進めていますが、特に、美しが丘地区については、平成15年の十勝沖地震の際にも、大きな被害が生じた地区であり、今後、同様の被害が起きないよう、再度災害の防止に向けた対策が極めて重要であります。

    昨年度の胆振東部地震で宅地被害が顕著だったことを受け、国土交通省は、防災・減災国土強靭化のための3か年緊急対策などを掲げ、各自治体に対し、大規模盛土の造成地マップの作成・公表や盛土の安全性評価を求めており、本市においても、今年度よりマップの高度化など、それに係る調査を開始したとのことであります。

    そこで質問ですが、美しが丘や月寒地区など被害が見られた大規模な盛土造成地の安全確保について、今後、どのように取り組んでいくつもりかお伺いいたします。

(3)地方公会計を踏まえた将来の財政運営について

我が会派は経営感覚を持った持続的な財政運営を進めていくべきとの考えから、企業会計と同じ会計手法に基づく地方公会計の取組を推進し、財政状況を客観的かつ多角的に分析しながら進めることの重要性について指摘してきました。

現在公表されている財務書類は平成29年度決算に基づく数値でありますが、運営の効率性が確保されていることを読み取ることができる一方、固定資産の老朽化度合いを示す有形固定資産減価償却率が悪化してきており、公共施設の老朽化が進んでいることが見てとれます。

本市では冬季オリンピックや政令指定都市の移行を契機に施設やインフラの整備が急速に進んだため、まさにこれから一斉に更新時期を迎えようとしております。

この一斉更新に必要な事業費について、施設を法定耐用年数の経過に合わせて現在と同規模で更新する条件での試算によりますと、今後10年間で1兆5,000億円を超える事業費が必要になるという推計が示されております。

公共施設マネジメントの取組を進める際には、地方公会計を用いたコスト分析を行い、その情報を資産管理や予算編成などに活用しながら、より効率的に行政運営を行っていくことが、ますます重要になると考えております。

そこで質問でありますが、札幌市では今後の施設更新需要の増加を踏まえ、どのような取組を行っていくのか伺います。

また、地方公会計の取組を財政運営へどのように活用していくお考えか伺います。

(4)SDGsの理念に直結した動物園条例の制定について
  • 環境教育の拠点としての位置づけ

    私たち公明党は、これまで、動物園の持つ機能に着目して、円山動物園が抱える様々な課題について議論をしてきました。

    新施設のオープンなどの効果もあって、昨年度の入園者数は100万人を超え、今年度も多くの方々に来園いただいていると伺っており、円山動物園の魅力の高まりが来園者数に表れてきているものと考えております。

    平成27年9月の国連サミットで採択された持続可能な開発目標(SDGs)は、2030年までに「誰一人取り残さない持続可能な社会」の実現を目指す国際社会の共通の目標であり、我が党の理念である人間主義と通じるものであります。昨年6月、本市はSDGs未来都市に選定されたところでありますが、ビジョン2050で目指す円山動物園の取組は、SDGsの推進に直結する重要な役割を担うものと考えております。

    私といたしましては、円山動物園は、「ビジョン2050」において生物多様性の保全と環境教育に力を入れていくことを宣言したわけでありますので、SDGsへの取組を始めとする環境を学ぶ場としての社会的な役割を担っていくために、より一層社会教育施設として博物館的な活動へシフトしていくことが重要と考えているところであります。

    円山動物園は博物館法上の博物館相当施設として位置付けられておりますが、生きた動物を通じて、地球環境の現状を知ってもらい、環境をまもるための行動につなげていく。このような地球の「今」を展示し、これからの「未来」に思いを馳せる場である円山動物園は、相当施設ではなく、まさしく「命の博物館」であると私は考えるのであります。

    そこで質問でありますが、これからの動物園は、環境教育の要素がより強く求められるところですが、このことについてこのたび制定される条例の内容にどう反映しようとされているのか、市長の考えを伺います。

  • 条例制定までの検討方法とスケジュール

    条例の検討に当たっては、動物や法律等の専門家の意見を聞ききながら進められると伺っておりますが、先ほど申し上げたとおり、残念ながら今日動物園が果たしている役割や機能については、まだまだ市民の皆さんに浸透していないのが現状であると思います。

    このことから、市民の皆さんにも近年の動物園の役割や条例の必要性をしっかりと説明し知っていただきながら、条例の内容を検討していくことが必要と考えます。

    そこで伺いますが、今後、どのような方法で、市民との情報共有を行っていくのか、また、条例の制定はいつごろを目指しているのか伺います。

(1)次期中期実施計画の策定について

○1点目のアクションプラン策定の考え方と力点について
今回のプランは、市制施行100周年を迎える札幌の街の魅力と活力を更に高め、持続可能な形で将来の世代に引き継いでいくまちづくりを目指すものと認識。

○現在、プランの策定は大詰めを迎えており、その中においては、将来世代への負担を考慮して、中長期的な財政見通しを踏まえながら、公約の達成にもほぼ道筋が付けられるものと考えている。

○とりわけ、地域包括ケア体制の拡充や健康寿命の延伸のほか、少人数学級の拡大や医療的ケアを必要とする児童の支援など、市民の多様な暮らしを支える取組に力点を置いてまいりたい。

○2点目のSDGsのアクションプランへの反映について
先ほど申し上げた、持続可能なまちづくりを進めていく上では、SDGsの理念や目標に沿ったものとすることが重要と認識。

○このため、プランの策定に当たっては、経済・社会・環境の三つの側面から一体的に課題解決するというSDGsの視点を踏まえ、計画事業の構築や選定を進めているところである。

○さらには、プランに位置付ける各施策とSDGsとのつながりをわかりやすく示すことで、人口減少下においても都市を持続的に発展させるまちづくりの方針を、市民と共有してまいりたい。

○3点目の区役所窓口の利便性向上について
住所の異動や各種福祉サービスの手続などに、多くの市民が訪れる区役所の窓口について、その利便性向上を進めていくことは大変重要な課題であると認識。

○検討に当たっては、待ち時間の短縮や届出書類の簡素化、関連する手続の一括対応など、市民がその効果を実感できることが大切。

○このような視点にたち、他都市や民間事業者の先進事例を参考にしながら、どのような取組が効果的か、検討を進めてまいりたい。

(2)北海道胆振東部地震から1年の総括と今後の取組について

○1点目の現時点における被災者支援に関する総括と今後の対応について
総括としては、被害にあわれた方の速やかな生活再建を第一に考え、発災後直ちに被災者支援室を立ち上げるとともに、様々な支援制度を準備し、「生活支援ガイド」により広く市民に情報提供したほか、住宅被害の状況に応じた住宅再建支援に取り組んできたところ。

〇これらの取組を進める中で、各支援制度所管部局において、それぞれの被災者に対する支援状況の情報共有が不十分であったことや、支援制度等の周知が必ずしも十分ではなかったことなどの課題が明らかとなった。

〇今後については、被災者支援に関する情報を効率的に共有するための体制や手段などを改善してまいりたい。また、引き続き、一人一人の生活再建の状況などを踏まえながら、被災者に寄り添った丁寧な対応を心掛けてまいりたい。

○2点目の多様な住民の意向を踏まえた復旧工事の進め方について
里塚地区については、コミュニティの確実な再生に向けて、地域の皆様から住宅再建の計画を聞き取りながら工事調整を図っているところであり、引き続き、出来る限りご意向に沿えるよう対応してまいりたい。

〇3点目の被害が見られた大規模な盛土造成地の安全確保に向けた今後の取組について
今年度から、既存の大規模盛土造成地マップの精度をより高めるとともに、国のガイドラインに基づく各種調査や、安全性の確認作業を順次進めているところ。

〇美しが丘などの被害が見られた地区については、他の盛土造成地に先行して再度災害防止に向けた対策の必要性を確認したうえで、道路などの公共施設内における対策について、より詳細に技術的な検討を進めてまいりたい。

(3)地方公会計を踏まえた将来の財政運営について

○今後公共施設の更新需要が本格化する中で、将来の人口規模を見据えながら、中長期的な見通しを立て、公共施設の総量・規模の適正化と最適配置を実現する公共施設マネジメントの取組は、ますます重要となる。

○そこで、市有建築物やインフラのさらなる長寿命化による事業費の平準化、建替に際しての施設の複合化と集約化、人口に見合った施設規模への適正化を計画的に進める。

○また、地方公会計の取組において、施設や事業等の単位でコスト分析を行うセグメント分析の対象を拡大し、他都市や経年で比較するなど財政運営に活用するとともに、市民への情報公開の充実を図ることにより、行政コストの見える化に努める。

(4)SDGsの理念に直結した動物園条例の制定について

〇1点目の環境教育の拠点としての位置づけについて
動物を通じて自然や地球環境を学んでいただくことは動物園の大切な役割であり、「札幌市円山動物園基本方針『ビジョン2050』」においても、環境教育を重点項目のひとつとしている。

○このため、動物園条例においても動物園を環境教育の場として位置付け、これに係る具体的な規定を設ける方向で検討することになると考えている。

〇2点目の条例制定までの検討方法とスケジュールについて
条例の検討に当たっては、市民の皆さんに動物園の役割や存在意義を知っていただき、市民と一緒に作り上げていくことも大切と考えており、シンポジウムや子どもも参加できるワークショップなどを開催し、情報共有や意見交換を行いたいと考えている。

〇また、検討のスケジュールについては、来月末頃から1年間ほどかけて検討部会を開催するとともに、シンポジウムやワークショップ、パブリックコメントなどを実施し、令和3年度の早い時期に、議会に提案することを目指している。

no2
札幌の経済施策の方向性について
(1)もいわ山ロープウェイのゴンドラ鉄塔衝突事故について

今回の事故では、安全装置の故障に見られる定期点検のあり方、運輸局に対する報告の遅れ、安全運行に対する認識の甘さが露呈したところであります。

札幌市は夜景観光コンベンション・ビューローが認定する日本新三大夜景都市のひとつに選ばれ、札幌市の代表的な夜景施設である藻岩山は、市内観光の重要なスポットであるにも関わらず、ロープウェイの停止に関する周知、並びに代替交通が迅速に行われなかったため、夜景観光を楽しみに訪れた市内はもとより国内外からの観光客に多大な迷惑を掛け本市の観光施策に対する不信感を抱かせる結果になってしまいました。

そこで質問でありますが、一連の事故を重く受け止め、改めて観光都市としての信頼回復にしっかりと取り組むべきであると考えるが、いかがか伺います。

(2)これからの観光施策について

本市の人口は平成21年に初めて自然減少に転じており、平成17年から始まっている生産年齢人口の減少と相まって、近い将来、産業や社会保障制度の持続可能性に悪影響を及ぼすことが強く懸念されます。

人口減少の緩和に向けては、さっぽろ未来創生プランでも基本目標の一つとして掲げているとおり、「安定した雇用を生み出す」ことが必要であります。

観光産業を取り巻く環境の変化として、来年1月から新千歳をはじめ、稚内、釧路、函館、旭川、帯広、女満別といった北海道内7空港についての一括運営委託が始まることがあげられます。一括運営委託となる各地方空港は、例えば、釧路空港であれば、阿寒や知床などのアドベンチャーが豊富にあるといった、それぞれの個性あふれる地域の「ショーケース」としてコンセプト付けされ、施設整備や地域と一体となって観光客の来訪需要の底上げを目指すとされております。これらにより、観光客は、自分の目的に合った道内の各地域に、国内外の空港から直接発着することが増えると予想され、北海道全体として、観光客の流動性が高まり、地域に恩恵がもたらされることになります。

しかし、新千歳空港ではなく他の空港に発着することは、とりわけ札幌を中心とした道央圏を経由しなくても目的地に赴くことができるようになり、結果として、観光客の札幌離れが起こる可能性も、ぬぐい切れないと言えるのではないでしょうか。

道内7空港一括運営委託は、北海道観光や道内周遊策の転換期にもなると想定されます。その中で、札幌市がこれからも北海道観光のけん引役であり続けるため、どのような姿勢でこの動きに対応していくか、改めて考えていくべきではないでしょうか。

そこで質問でありますが、道内7空港一括運営委託による北海道全体の航空ネットワークの充実を受け、札幌の観光施策をどのように展開していくべきなのか伺います。

(3)中小企業の生産性向上に向けた支援について

近年の市内総生産の増加を牽引している産業として、観光客数の増加が著しい観光業が挙げられるところですが、先程述べさせていただいた道内7空港一括運営委託・新千歳への一極集中是正の動きを鑑み、他の産業についても札幌市経済を牽引できるよう支援を行うことが必要であると考えます。

本市の企業の9割以上は中小企業であり、その中でも小規模企業が約8割を占め、札幌経済は中小・小規模企業に支えられています。

札幌市産業振興ビジョンにおいては、横断的戦略の一つとして「札幌経済を支える中小・小規模企業への支援」を定めているところです。

その中の基本施策では「経営相談の充実」や「新製品・サービスや新技術開発の支援」を掲げており、売上高が増加している今、こうした取組により付加価値の向上、つまり生産性の向上を図ることで、企業の利益の増加へとつなげていくことが可能となります。

そこで質問でありますが、札幌市内の中小企業、中でも経済全体への波及効果が高い製造業を営む企業の生産性向上に向けた支援に、どのように取り組んでいくのか伺います。

(1)もいわ山ロープウェイのゴンドラ鉄塔衝突事故について

〇ロープウェイの運行に当たっては、安全性の確保が最優先となるものであり、札幌振興公社には、運行管理体制を強化し、事故の再発防止に万全を期すよう、また、札幌市民や観光客に対してはより一層丁寧な対応を行うよう、指導を徹底してまいりたい。

○藻岩山は札幌を代表する観光スポットとして札幌観光のイメージにも影響を与える施設であることから、札幌市としても、観光客の立場に立った情報提供を行うことはもとより、藻岩山の夜景を含めた夜間観光キャンペーンを10月から順次実施するなど、観光客満足度の向上に積極的に取り組んでまいりたい。

(2)これからの観光施策について

〇道内7空港一括運営委託化による航空ネットワークの充実は、周遊性がより高まることで、北海道全体の観光客増加につながり、札幌への観光客も増やす大きなチャンスであると認識。

〇とりわけ、札幌の空の玄関口である新千歳空港については、優先交渉権者の提案によれば、国際線の拡大による未就航地からの新規航空路線の乗り入れの可能性もあり、更なる観光需要を生み出す役割を担うものと期待している。

〇今後は、札幌の強みを生かしながら、こうした新たな観光需要に的確に対応するとともに、道内6都市からなる道内中核都市観光連携協議会を核にして空港所在地である各地域との連携を一層強化することなどにより、札幌を含めた道内周遊策を促進してまいりたい。

(3)中小企業の生産性向上に向けた支援について

○生産性の向上は、企業にとって利益の増加のみならず、喫緊の課題となっている人手不足の解決策の一つでもあることから、中小企業の成長に向け極めて重要な要素であるものと認識。

○そうしたことから、主に製造業を対象とする新製品・新技術開発への補助の他、税制による支援、専門家による実地での伴走支援、更には、今年度から新たにIoTツールの導入補助を開始するなど、生産性向上に取り組みやすい環境を整備しているところ。

○これらの支援については、国や北海道が運営する各種窓口や、金融機関・税理士などの認定経営革新等支援機関と連携するとともに、さっぽろ産業振興財団に配置しているコーディネーターによる企業訪問などにより、多くの中小企業に広く伝えていくことで、札幌経済を支える中小企業の後押しをしてまいりたい。

no3
冬季オリンピック・パラリンピック招致について
(1)全国レベルの招致機運の醸成について

現在行われている市民対話事業において、冬季オリンピック・パラリンピック開催を契機とし、インバウンドの増加によりまちが活性化することや、まちづくりを進める絶好の機会となることなど、招致の意義について、市長自ら対話に参加し、市民に対して、理解を求めていく姿勢は評価しております。

冬季オリンピック・パラリンピック招致実現のためには、市民の招致機運はもちろんのこと、全国レベルの招致機運の醸成を図っていくことも重要であります。東京2020大会招致においても、国、スポーツ界、経済界、都議会等が一致団結して、招致活動を推進した結果、都民・国民の支持の高まりや、全国への招致機運の広がりが結実し、招致実現を成し遂げることができたものであり、札幌の2030年大会招致においても、関係者が一丸となって、立ち向かっていかなければなりません。

さらに、今後の招致プロセスについては、本年6月の国際オリンピック委員会(IOC)総会で、大きな見直しが示されたところであるが、総会後の記者会見において、バッハ会長から「札幌とは今からでも対話を開始することができる。」との発言があり、こうした状況を踏まえ、招致機運の盛り上げも加速させていく必要があると考えます。

そこで質問でありますが、今後、全国レベルの招致機運の醸成をどのように進めようとしているのか伺います。

(2)市民に向けた機運醸成活動について
  • オリンピアン・パラリンピアンと連携した機運醸成活動

    昨年行われた、平昌オリンピック・パラリンピックに出場した北海道内関係選手の活躍を祝う「どさんこ選手をたたえる会」では、雨の中にも関わらず、平昌で活躍した選手たちを見ようと多くの人々が詰めかけ、あらためて人々に勇気と感動を与えるオリンピアン・パラリンピアンの持つ力を再確認したところであります。

    幸い、札幌・北海道には、冬季競技を中心に数多くのアスリートが活動しており、冬季オリンピック・パラリンピック招致においても、オリンピアン・パラリンピアンと連携しながらオリンピック・パラリンピックそのものの魅力を広く市民に伝える取組を行っていくことが重要であると考えます。

    そこで質問でありますが、オリンピアン・パラリンピアンと連携した機運醸成活動をどのように進めていくのか伺います。

  • 冬季の競技大会を活用した機運醸成活動

    ウインタースポーツの拠点都市である札幌市では、様々な大会の開催が予定されており、こうした機会に多くの市民に足を運んでいただき、関心を持っていただくことも重要であると思います。

    中でも、来年2月のスペシャルオリンピックス日本冬季ナショナルゲームでは、観戦することによって知的障がいへの理解が広がり、ひいては選手個々人に共感を寄せることにもつながると期待しているところです。

    また、昨年度のスキージャンプワールドカップでは、北海道コンサドーレ札幌と連携した広報活動や会場演出を行った結果、観戦者が増えており、今後もさらに新たな観戦者を呼び込みたいところであります。

    そこで質問でありますが、この冬に行われる競技大会の機会を活用してどのように機運醸成を進めていくのか伺います。

(1)全国レベルの招致機運の醸成について

〇まずは、一連の市民対話の取組などにより、市民理解を得ながら、関係自治体、経済界、競技団体などと共に地元の機運を高め、大会招致に向けた意志を内外に強く示してまいりたい。

〇また、東京2020大会、2025年大阪・関西万博、そして2026年愛知・名古屋アジア大会に続く国際大規模イベントとして、2030年大会招致を国家プロジェクトと位置付けていただくことを、国に対して、引き続き要望してまいりたい。

〇その上で、東京2020大会の機会に首都圏に多くのスポーツ関係者が訪れることから、日本オリンピック委員会(JOC)と共に、札幌の招致の取組やスノーリゾートとしての街の魅力を発信することで、オールジャパンによる招致につなげてまいりたい。

(2)市民に向けた機運醸成活動について

○オリンピアン・パラリンピアンと連携した機運醸成活動と冬季の競技大会を活用した機運醸成活動について

〇札幌市では、平成29年に、北海道オール・オリンピアンズと連携協定を締結し、オリンピック・パラリンピック教育への講師派遣などの協力をいただいており、強い発信力を持つオリンピアン・パラリンピアンとは今後も積極的に連携すべきものと認識。

○また、スペシャルオリンピックスを始め、今後予定されているジャンプ大会や都心でのクロスカントリースキー大会などを盛り上げ、ウインタースポーツを観る・支える文化の定着につなげることが今後の機運醸成にとって重要と考えているところ。

○そこで、こうした大会において、オリンピアン・パラリンピアンから全面的な協力をいただくことで、多くの方が会場に足を運び、また、子どもたちがウインタースポーツに親しむきっかけを作ることにより、更なる招致機運の醸成に努めてまいりたい。

no4
予防医療と健康寿命延伸について
(1)感染症対策について

公明党は、これまで全国で感染症予防、まん延防止に必要な予防接種の定期化に向けて、国や地方自治体へ積極的に予防医療の重要性について働きかけを行ってきたところです。感染症は、重症化したり合併症を発症することもあり、体力的に弱い子どもや高齢者には特に感染症対策が重要であると考えます。また、個人だけではなく、幼稚園、学校などでの集団生活での感染防止や、災害発生時における避難所生活での集団感染の視点からも、予防接種施策は今後、大変重要な課題と考えます。

ロタウイルスは、感染力が強く、5歳までにほとんどの乳幼児が感染すると言われています。主な症状は、胃腸炎、それに伴う下痢、嘔吐などです。回復までの期間も約1週間と長引き、乳幼児が保育所等で感染するケースが多いため、乳幼児自身の体の負担に加えて、看護に伴う保護者の負担、また、予防接種は1回1万円以上、総額で約3万円と非常に高額であり、子育て世代にとって身体的かつ経済的負担が大きな問題です。

そこで、質問ですが、ロタウイルスワクチンを含む任意予防接種の費用助成に対する支援を検討すべきと考えるがいかがか伺います。

(2)歯科保健医療の提供体制について
  • 適切な歯科保健医療の提供に対する取組と今後の姿勢

    これまでも我が会派は、高齢者に対する歯科健診の導入や障がい者に対する歯科保健対策の充実を訴えてきたところであります。

    国は、高齢化の進展など歯科保健医療の需要の変化に対応できるよう歯科保健医療体制の構築や歯科医療従事者の目指す姿について、平成29年12月に「歯科医師の資質向上等に関する検討会」の中間報告として「歯科保健医療ビジョン」を示したところであります。

    ビジョンの中では、「地域包括ケアにおける歯科医療機関の役割」、「あるべき歯科医師像とかかりつけ歯科医師の機能・役割」、「具体的な医科歯科連携方策と歯科疾患予防策」の3点が整理されています。

    東北大学大学院歯学研究科で、全国24自治体の要介護認定を受けていない高齢者を追跡しデータを分析したところ、自分の歯が多く保たれている人は歯が0本の人に比べ寿命が長いだけでなく、健康寿命が長く要介護でいる期間が短いことがわかりました。

    歯、口腔の健康は個人の生涯にわたるQOLの保持に欠かすことのできない要素としており、本市においても健康寿命延伸に向け、歯科保健医療分野においてさらなる対策の充実が求められます。私は歯科診療所で31年間働いてきましたが、その経験を踏まえても、土台となる提供体制の整備が重要と考えます。

    そこで質問でありますが、市民へ適切な歯科保健医療を提供するため、急速な高齢化や社会の動きをどのように捉え、どのような取組を行っているのか、また、今後の姿勢についてお伺いします。

  • 歯科医療従事者確保の課題と対応

    適切な歯科保健医療を提供するには、それを支える歯科医療従事者の人材の確保が重要となります。

    歯科衛生士については介護現場や歯科疾患の予防の需要の増加を踏まえた口腔ケア活動を展開しております。

    歯科技工士については歯科技工の質及び量的需要の変化など歯科技工を取り巻く状況の変化に対応した業務の検討が求められているところであります。

    しかしながら、例えば、歯科衛生士については、歯科疾患の予防の需要増加による人材不足、歯科技工士については、長時間労働や技術習得までの期間が長い等の理由により、20代30代の減少が顕著であり、現在、就業している高齢者の退職により歯科技工士全体が大幅に減少します。このように、それぞれの専門職においては就労に関して様々な課題がありますが、市民に適切な歯科保健医療を提供するためにも、専門職の確保は重要な課題であります。

    そこで質問ですが、これらの専門職の課題をどのように捉え、その対応についてどのように考えているのか伺います。

(3)生涯現役社会の実現に向けた取組について

札幌市では高齢化率が27.0%(令和元年7月現在)に増え、それに伴って介護を受ける方が増え、保険給付や介護保険料も伸びていくことが予想されます。

身近な地域において介護予防の活動や気軽に集まれる場を作ることは大変重要と考えており、本市も積極的に推進していくべきと考えます。

本市は、平成30年3月に策定した「高齢者支援計画2018」における「高齢者の社会参加支援に関する基本方針」の中で、意識醸成、機会拡大、環境整備を基本施策の柱として掲げています。

その具体的な施策としては、企業と就業を希望する高齢者のマッチングを図る体験つき仕事説明会である「シニアワーキングさっぽろ」を実施しているほか、ボランティア活動に興味がある方に対しては、介護施設などで行うボランティア活動を支援する「介護サポートポイント事業」などがあり、これらの取組は社会参加に意欲のある高齢者に対して効果的であり、今後も強化していくことが重要と考えています。

このように、働きたい、あるいはボランティアをしたいといった、セカンドライフの過ごし方を明確に描けている方に対しては、様々な施策が札幌市の各部局で展開されているとは思いますが、その一方で、社会参加に関心があるが、どのように活動したらいいか分からない、あるいは、きっかけがないという方が、少なくないと思われます。

情報不足から活躍の場を見つけられずにいる、あるいは不安感から踏み出す勇気が出せずにいる方々に対して、様々な社会参加の方法を一元的にまとめて、分かりやすくお知らせしていくことが、活躍の場を広げる環境づくりとして重要と思われます。

そこで質問でありますが、今後、生涯現役社会の実現に向け、札幌市は高齢者の社会参加を具体的にどのように支援していくつもりか伺います。

(1)感染症対策について

○任意接種は、個人の感染予防のため、接種者や保護者の判断で自己負担で接種するもの。

○費用助成の検討に当たっては、国の定期接種化に向けた動向や、感染とその後の合併症を防止するメリット、副反応のリスクなどを考慮する必要がある。

○任意接種であるおたふくかぜワクチンについては、感染を防止し、難聴など重い合併症を防ぐなどのメリットから、本年8月に費用助成を開始したところ。

○ロタウイルスについては、感染力が強く、ワクチンを接種することは感染防止に有用であるため、現在、国においてワクチンの定期接種化が審議されていることから、その動向を注視していきたい。

(2)歯科保健医療の提供体制について

〇1点目の適切な歯科保健医療の提供に対する取組と今後の姿勢について
高齢化の進展に伴い、歯と口腔の健康は今後ますます重要になると認識しており、健康寿命の延伸を図る上でも市民の歯と口腔のケアや定期健診の普及が大変重要と考えている。

〇そのため、「札幌市生涯歯科口腔保健推進計画」において、「かかりつけ歯科医の普及」などを重点施策と位置づけ、今後も生涯にわたる歯科保健対策を一層推進してまいる。

〇2点目の歯科医療従事者確保の課題と対応について
歯科衛生士及び歯科技工士の不足や減少は大きな課題であることから、安定的な人材確保が重要と認識。

○そのため、歯科衛生士については、札幌歯科医師会と連携し、復職を支援するための研修を行っており、継続して実施してまいる。

○また、歯科技工士については、現在、厚生労働省で就業者の高齢化や就業率の低下への対策について議論が進められているところ。

○札幌市としては、国の検討状況を注視しながら、歯科技工士の人材確保の対応について検討してまいる。

(3)生涯現役社会の実現に向けた取組について

○生涯現役社会の実現に向けた高齢者の社会参加については、就労、地域貢献、生きがいづくりといった、一人ひとりの生き方や、意欲、能力に応じた活躍の場を見つけていただくための支援が重要であると認識。

○このため、従来の支援窓口や施設情報に加え、既に活躍されている方の情報などを網羅した冊子を、高齢者が集まるイベントに出向いて周知することなどにより、社会参加のきっかけづくりを後押ししてまいりたい。

no5
住みよいまちづくりについて
(1)ヒグマ出没対応時の地域への情報提供について

本市におけるヒグマ対策については、我が会派の本郷議員が平成10年に初めてこの問題を取り上げて以来、大都市札幌においても市街地にヒグマが出没する可能性があることを指摘するとともに、市民の安全確保と適正な共存という視点から、庁内の連絡管理体制や関係機関との連携強化等について、長年にわたり質問や提言を行ってきたところであります。

そのような中、南区の簾舞・藤野地区において、8月3日以降、繰り返し住宅街に出没し、人や車を避けることなく家庭菜園のトウモロコシやプラムなどを食べ続けるヒグマが現れました。

住民の安全確保を最優先とし、さっぽろヒグマ基本計画に従って、適時適切に対応した結果、人身被害が発生しなかったことは幸いでしたが、一方では、事態の終息までに時間がかかったため、結果として、不安を感じていた市民がいたことも事実であります。

今後に向けて、ヒグマの出没を未然に防ぐための対策が重要なことは言うまでもありませんが、一朝一夕に実現できるものではないため、電気柵などの市街地侵入抑制策が十分に地域へ浸透するまでの間、住民の安全・安心を確保するためには、ひとたび、今回のような事案が生じたときに、より迅速かつ的確に対応できる体制を整えていく努力が必要と考えます。

もう少し早く事態を終息させることはできなかったのか、今回の出没対応状況をしっかりと振り返り、必要があれば「さっぽろヒグマ基本計画」の見直しも含めて、専門家や警察、北海道などの関係機関と協議・検討をするべきだと考えます。

昨年の北海道胆振東部地震の際も、非常時の地域への情報提供のあり方が課題になったと思いますが、ヒグマの出没対応についても同様に、今回のような非常時にあっては、より地域との情報共有を図るようにすることが、少しでも住民の不安を和らげることにつながるのではないかと思います。

今後に向けてぜひ、今回のように問題個体と判断されるヒグマが出没した時の地域への情報提供のあり方を検討してもらいたいと考えます。

そこで質問でありますが、ヒグマ出没対応時の地域への情報提供のあり方について、今回の経験を踏まえて、今後どのように地域との情報共有を図っていく考えか伺います。

(2)市民生活に寄り添った除雪支援について

市民の意識調査で毎年第1位として挙がっている項目は「除雪に関すること」であり、除排雪事業は最も関心が高い事業であります。

生活に密接に関わる除排雪の一つとしてパートナーシップ排雪事業がありますが、ここ数年、地域支払額が急激に上昇を続けていることから、地域支払額の軽減に向けた実証実験が行われております。

市民生活に寄り添った、きめ細かい除排雪という視点から言いますと、市の事業だけでは行き届かない部分があり、これまでの福祉除雪に加え、今後大いに期待されるのが、「除雪ボランティア」と考えます。

道路に面する間口の雪処理や、福祉除雪の対象とならない敷地内の雪、例えば屋根からの落雪や灯油タンク周りなどの除雪作業は1シーズンに何度か行う必要があり、重労働になると思われます。高齢者宅など、除雪が困難である方にとっては、地域の助け合いなどに頼らざるを得ませんが、昨今の地域コミュニティの希薄化や、進行する高齢化により、そのようなニーズに地域社会が応えられなくなるのではないかと大いに危惧するところです。

今後の高齢化を踏まえ、昨年12月に策定した新たな雪対策の基本計画である、「札幌市冬のみちづくりプラン2018(ニイゼロイチハチ)」では、「市民力の結集」を重点施策として掲げており、様々な支援策を実施するとされております。

企業や学生が「地域に少しでも貢献したい」と、高齢者宅の雪かき等を実施している事例も多く見受けられますように、寒い冬を温かい人の輪でつつみこむ地域貢献やボランティアの意識というものは、雪国らしいまちづくり活動を醸成させていく大切な財産として育むべきものであります。

このような取組が市内のあちこちに広まれば、高齢者のみならず多くの人々にとって、住みやすい街、住みたくなる街になっていくのではないかと考えます。

そこで質問ですが、こうした市民生活に寄り添った除雪ボランティア活動について、より一層推進していくべきだと考えるが、市長はどのように取り組むお考えか伺います。

(3)河川における事前防災の在り方について

近年、台風や梅雨前線の影響による豪雨が頻発しており、今年も7月以降、全国的に河川の氾濫や浸水害が発生しております。九州北部では8月28日に、三重県では9月5日に、停滞する前線の影響による猛烈な雨に伴い、命に関わる非常事態でもある警戒レベル5が発令され、尊い命が失われるなど大きな被害をもたらしました。

北海道にも非常に勢力の強い台風10号が接近し、札幌市でも一  時的に大雨や暴風に見舞われました。8月31日には岩見沢市周辺で、観測史上最大を記録した時間当たり94.5mmの局地的豪雨があり、浸水被害が発生していることから、近隣の札幌市においても、いつ何時豪雨による甚大な被害が起こるか危惧しているところであります。

そこで質問ですが、「住みよいまちづくり」を進めていく上で、近年増えている大雨による水害への備えは札幌市においても大切であると考えますが、河川の維持管理を中心とした事前防災の在り方について伺います。

(4)スマートシティ推進に向けた取組について

近年、AIやビッグデータを活用し、社会の在り方を根本から変えるようなまちづくりの動きが、世界中で加速しております。ICTを活用した先進都市を「スマートシティ」と呼ぶことが国際的に定着しつつあります。我が国でも、国土交通省が「都市の抱える諸課題に対し、ICTなどの新技術を活用しつつ、マネジメントが行われ、全体最適化が図られる持続可能な都市」をスマートシティと定義付けしたところです。

そこで質問でありますが、札幌市においてデータを活用しスマートシティを推進する意義と今後の展望について伺います。

(1)ヒグマ出没対応時の地域への情報提供について

○札幌市では、ヒグマの出没情報が寄せられた際には、学校など地域の関係機関への情報提供とともに、注意喚起看板の設置やホームページによる住民への周知を行っている。

○今回の一連の出没においては、捕獲に関する情報について、適宜プレスリリースも行ったところ。

○住民の不安を和らげ安全を守るためには、出没や対応の状況を知っていただくことが大切であるので、問題個体が出没した場合の情報共有の在り方について、町内会などの意見も伺いながら検討してまいる。

○さらに、ヒグマの出没時にも、落ち着いて行動していただけるよう、平時から、ヒグマの生態や危害を防ぐために気を付ける点などについて、改めて周知を図ってまいる。

(2)市民生活に寄り添った除雪支援について

〇除雪ボランティアについては、これまでも活動団体へ除雪用具や小型除雪機の貸出などの支援を行ってきたが、今後の高齢化の進行を踏まえると、その役割はますます重要になるものと認識。

○近年、社会貢献活動に積極的に取り組む企業も増えてきており、こうした企業や団体と、除雪ボランティアを求める地域をスムーズに結びつけられるような方策についても検討してまいりたい。

(3)河川における事前防災の在り方について

○河川が担う防災機能を十分に発揮させるためには、河道の整備や適切な維持管理を行うことが重要であると認識。

○近年の雨の降り方や施設の老朽化などに鑑み、河川の計画的な維持管理に向けた施策を、強靭化計画やアクションプラン2019に位置付けるとともに、国や道とも連携しながら、しっかり取り組んでまいりたい。

(4)スマートシティ推進に向けた取組について

○今般、採択を受けた事業は、参加者の歩数や移動軌跡などのデータを取得し、「札幌市ICT活用プラットフォーム」を用いて気象データなどと組み合わせて行動を分析するもの。

〇その分析から、外出したくなる、歩きたくなるといった、健康行動を促す施策やサービスを生み出すこととしている。

○このように、札幌市において、客観的なデータを取得・分析することで、行政や民間サービスの効果を飛躍的に高めたり、コストを大幅に抑制したりするなど、社会の最適化を図ることができるものと考えているところ。

○今後も、健康増進や観光振興、都心部のにぎわいづくりなど幅広い課題に対し、データを利活用した施策立案などを推進してまいりたい。

no6
誰もが輝くまちづくりについて
(1)児童虐待対策について

先ごろ公表された全国の児童虐待件数では、昨年度もまた、過去最多を更新するという結果となっており、また、大変残念なことに虐待による死亡事案が他都市でも発生し、社会全体では、児童虐待防止に向けた機運が高まっているとは言っても、子どもの命を守ることができていないという厳しい現実があります。

国においては、児童虐待防止対策の強化を図るため法改正を行ったところであり、児童相談体制の強化が急がれていることは言うまでもありません。

我が会派では、先の第2回定例会の代表質問においても、かねてより設置を求めている第二児童相談所の設置をはじめとした、虐待対応への体制作りが急務であることを指摘してきたところであります。

また6月に2歳女児死亡事案が発生して以来、札幌市としても、緊急的な対策として、乳幼児健診未受診者等の再点検や、48時間ルールの徹底に取り組んでいるとのことですが、これまでも児童虐待防止には取り組んできたことを考えると、すでに現状はこれまでの対策の範疇を超えてしまっており、短期的・緊急的な対策に留まらず、児童虐待の根絶に向け、市のみならず市民を含めてどう取り組むかが問われております。

児童虐待防止に対し、札幌市として、将来に向けたビジョンを示し、人員の配置はもちろん、関係機関との連携やネットワークを強化していくに当たっても、痛ましい事案を繰り返さないという強い覚悟をもって、人材・体制・地域連携等の対策を打ち出していかなければならないと感じています。

そこで質問でありますが、児童虐待防止に向けて、児童相談体制の抜本的な見直しが必要と考えますが、今後、具体的にどのようなことに重点をおいて取り組んでいく考えか伺います。

(2)社会で支え合うひきこもり支援について

高齢の親がひきこもりの無職の子を養わなくてはならない状況の世帯の問題を指す言葉として、近年8050問題が注目され報道機関等でも取り上げられる機会が増えています。

内閣府ではこれまで15歳から39歳までのひきこもりに係る実態調査は行っておりましたが、40歳から64歳を対象とした実態調査は行っておらず、平成30年度に初めて実施しました。

その結果、当該年齢層のひきこもり当事者が推計で61万人いることが示され、ひきこもり支援は若年層だけではなく、中高年層においても必要な社会的課題であることが明らかになりました。

ひきこもりという状態に陥ると、本人はもとより家族もその現状から抜け出そうと悩み苦しむことが多くなります。そして特に親は、自分の育て方が悪かったのかと自責の念にかられたり、子が外に出ないことを恥じ、その存在を知られないように外部から隠そうとする等、後ろ向きな傾向が強くなると言われています。

その結果、高齢になった親に何かがあった時に初めてひきこもりの子の存在が明らかとなり、事態の深刻化を招く要因ともなっております。

国の調査から全国に100万人以上のひきこもり当事者がいるという現実を踏まえると、ひきこもりは決して一部の人間の特異な問題ではなく、誰にでも起こりうることであり、このことは多くの専門家が指摘するところです。

ひきこもりのマイナスイメージをやわらげる取組のひとつとして、神奈川県大和市では本年10月1日からひきこもり支援の窓口の名称を「こもりびと支援窓口」とすると発表しているなど、先進的な事例も出始めており、札幌市としても、支援の更なる拡充と、ひきこもりに対する意識を変える取組などの、社会の中で支え合うひきこもり支援が今後ますます求められます。

そこで質問でありますが、昨年度の調査結果やこれまでの施策を踏まえ、札幌市として今後どのような考えでひきこもりに関する取組を進めていくのか伺います。

(3)公立夜間中学について

公立夜間中学については、平成28年12月に「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律(いわゆる教育機会確保法)」が公布され、全国的に設置に向けた動きが顕著になっているところであります。

先の第2回定例市議会においてようやく夜間中学の設置に向けた調査費が予算化され、多くの方々が札幌市の公立夜間中学の早期開校に期待しているところです。

今後、本市は、こうした幅広いニーズに応えた公立夜間中学の設置に向け、入学を希望される方々が具体的にどのようなことを公立夜間中学に期待しているのかなどについて調査を行うとのことであるが、この調査を行うにあたって、開校時期の目途など、可能な限り公立夜間中学についての具体的な情報をお伝えしたうえで行った方が、より具体的なニーズの把握が可能となるものと考えます。

そこで質問でありますが、札幌市が設置する公立夜間中学はいつ頃の開校を目指しているのか伺います。

(1)児童虐待対策について

○児童相談体制の見直しに当たっては、専門機関である児童相談所の強化を行っていくことはもちろん、虐待の予防や重篤化を防ぐための早期支援の充実という視点が欠かせないものと認識。

○このため、児童相談所における児童福祉司等の増員に加え、地域の相談支援拠点である区役所の体制強化が必要と考えており、両組織の連携や役割分担をさらに進め、全庁一丸となって児童虐待防止の取組を進めてまいりたい。

(2)社会で支え合うひきこもり支援について

○ひきこもり支援については、これまで、常設の相談窓口である「ひきこもり地域支援センター」の設置や、当事者や家族同士が交流できる居場所「よりどころ」の開催などの取組を実施してきたところ。

○一方、実態調査などから、声を上げづらい当事者や家族が地域で孤立せず、支援につながる一歩を踏み出しやすい環境を整えることが重要と改めて認識したところ。

○これまでも、市民向けのセミナーや「よりどころ」など様々な事業を通して、ひきこもりに関する理解を深める取組を実施してきたところであるが、今後も当事者や家族が支援を求めやすい社会意識の醸成に取り組んでまいりたい。

(3)公立夜間中学について

○公立夜間中学については、できるだけ早期の開設に向け、学校の目指す姿や開設場所など、様々な課題について検討を進めており、年度内を目途に、入学を希望される方を含め、夜間中学に関心のある方々へのアンケート調査等も実施する考え。

〇来年度中には、こうした検討内容を取りまとめ、開設場所を含めた、公立夜間中学の設置に係る基本計画を策定する予定。

〇この計画に基づき、教育課程の編成や施設の整備、入学を希望される方に対する学校説明会の開催など、開校に向けた具体的な準備を行い、令和4年(2022年)4月の開校を目指してまいる。

no6
配慮が必要な子どもへの支援について
(1)障がいのある子どもへの教育支援について

政府が講ずる障害者政策の最も基本的な計画として位置づけられる第4次障害者基本計画が平成30年3月に閣議決定され、5年間の計画期間における、様々な取組内容が示されました。

この中で、障がいのある子どもへの学習支援については、教育の機会の確保や自立と社会参加の推進に当たっては、コミュニケーションの力が重要となることを鑑み、一人一人のニーズに応じた教材や支援機器などの活用を促進することが示されております。

そこで質問でありますが、この度の国が策定した基本計画などを受けて、障がいのある子どもへの教育支援について、札幌市ではどのように取組んでいく考えなのか、お伺いいたします。

(2)相談支援体制の充実について

現状においては、学習面や健康面の悩みだけではなく、不登校や言葉の問題など、様々な困りや悩みを抱え配慮が必要な子どもたちに対して、各学校においては、より専門的な見地から支援内容等を検討するとともに、全ての教職員が子どもの状況等について情報共有を図ることが大変重要であると考えます。

小学校は令和2年度から、中学校は令和3年度から新学習指導要領が全面実施となりますが、その中に「特別な配慮を必要とする児童生徒への指導」という項目があり、障がいのある子どもや不登校の子ども、日本語の習得に困難のある子どもなど、多様化する子どもの状況に応じた指導・支援の重要性が示されており、国としても配慮が必要な子どもたちへの支援についてしっかり取り組んでいこうという方向を打ち出しているところであります。

各学校においては、在籍する児童生徒一人一人に応じたていねいな相談や支援を行うことはもちろんですが、教育委員会として、専門的に相談を受ける体制を今後さらに充実していくことが必要であると考えます。

そこで質問でありますが、札幌市における、配慮が必要な子どもに対する相談体制の現状と今後の方向性について伺います。

(1) 障がいのある子どもへの教育支援について

○この度の第4次障害者基本計画では、共生社会の実現に向け、障がいのある方が社会のあらゆる活動に参加し、能力を最大限発揮して自己実現できるよう、合理的配慮の一層の提供が求められている。

○これまで、教育委員会としては、合理的配慮についての具体例を収集し、データベース化することや、個別の教育支援計画が、小学校や中学校をはじめ、全ての校種で作成されるよう努めてきたところであり、これらのより一層の活用を図ることが重要であると認識。

○今後は、これまでの取組に加え、個別の教育支援計画の作成と活用の意義についての理解を深めるため、新たに管理職対象の研修を実施するとともに、リーフレットを作成し全校に周知するなどして、全教職員の理解・啓発を図ってまいる。

○併せて、タブレット等のICT機器を活用した効果的な教育活動を推進するなど、どの学校においても障がいのある子どもが必要な支援を受けられるよう、学校体制の充実に努めてまいる。

(2) 相談支援体制の充実について

○教育的な配慮が必要な子どもについての相談が年々増加していることを受け、教育委員会では、教育センター以外にも相談場所を設け、相談員を増員するなど、相談支援体制の充実に努めてきたところ。

○特に最近では、学習や発達に心配のある子どもや不登校、外国人等の日本語習得など、子どもの困りが複雑に絡み合う事例が増えていることから、個々の状況を多面的に捉え、支援する体制が一層必要になっているものと認識。

○今後は、こうした様々な困りを抱える子どもや保護者の思いをより丁寧に受け止め、専門的な観点から、きめ細かに支援することができる総合的な相談窓口の設置を検討してまいる。