議会報告

令和元年 第2回定例議会
代表質問 福田 浩太郎 議員
(西区)

札幌市議会本会議において公明党議員会を代表して 福田 浩太郎 議員が代表質問を行いました。

以下、質問とそれに対する答弁の要旨を紹介します。

目 次

1 市長の政治姿勢について
(1) 持続可能なまちづくりについて
(2) 行財政改革について
(3) 札幌市産業の成長分野と更なる経済成長に向けた取組について
(4) 都市型スノーリゾートシティとしての在り方について
(5) 雪氷エネルギーの活用について
2 子育て・高齢者施策について
(1) 幼児教育無償化の円滑な実施について
(2) 児童虐待に係る現状認識と体制強化、ネットワークの強化について
(3) 今後の超高齢社会を見据えた地域包括ケア体制の推進について
3 防災・減災・復興施策の充実強化について
(1) 災害に強いまちづくりに向けて
(2) 防災意識社会の構築について
(3) 被災地の復興施策と住まいに係る支援について
4 ICT社会への対応について
(1) 将来を見据えたIT人材の育成について
(2) マイナンバーカードの活用について
5 安全・安心のまちづくりについて
(1) 地域交通ネットワークの充実について
(2) 高齢者の交通事故防止対策について
6 共生社会実現への取組について
(1) オリンピック・パラリンピック招致を契機とした共生社会の実現について
(2) アイヌ施策振興の今後の進め方について
(2) 性的マイノリティの理解促進の取組について
7 SDGsを踏まえた教育の推進について
no1
市長の政治姿勢について
(1)持続可能なまちづくりについて

秋元市長は、今年4月の選挙において、次なる100年へと続く六つの道標(みちしるべ)を公約として掲げ、自らが先頭に立ち、まちづくりを進めていくと訴え、再選を果たされました。

次の100年へとつなげていくためには、今後10年のまちづくりが大変重要であります。10年後の2030年を目指している冬季オリンピック・パラリンピックの招致や北海道新幹線の札幌延伸を、今後もリーダーシップを発揮し、進めてほしいと考えております。

また、先日の施政方針において、中長期のまちづくりを、2030年(令和12年)を目標年次とするSDGsの視点を持ち、取り組んでいくとも述べられておりました。

SDGsは、地球上の誰一人として取り残さないことを目指した、17のゴール、169のターゲットから構成された持続可能な開発目標であり、我が会派では、かねてより市議会の代表質問で、まちづくりにおけるSDGs(エスディジーズ)の視点の重要性を述べ、市に対して取組の推進を促してきたところであります。

特に、フェアトレードは、SDGsの理念と「ありがとう」という感謝の気持ちを届ける「メッセンジャー」とも言われており、市民にとって分かりやすく、かつ身近に取り組めるものであります。

開発途上国の原料や製品を適正な価格で継続的に購入することは、持続可能な消費と生産に寄与するとともに、SDGsに掲げられた貧困、労働、自然環境などの課題解決につながっていくものであります。

また、市民一人ひとりが、消費する食品や製品の背景にある生産に関わる人々や自然環境に配慮し、感謝の気持ちを持つことは、心と心がつながる成熟した社会を作る、大変有意義なことだと考えております。

本市におけるフェアトレードに関する動きについては、市民団体による長年の活動や、市議会による理念支持の決議、市長による支持表明の宣言などが評価され、本年6月1日に、国内の認定機関から5都市目となる「フェアトレードタウン」の認定を受けたところです。

SDGsやフェアトレードは、持続可能なまちづくりと密接に関係するものであり、市のあらゆる部門がこれを意識して取り組むとともに、市民にもこの考えを浸透させていくことが必要であります。

そこで質問でありますが、持続可能な開発目標であるSDGs(エスディジーズ)の視点を、今後のまちづくりにどのように反映させていくのか、特に「フェアトレードタウン」の認定を受け、今後、フェアトレードに関する取組を、どのように推進していくのか伺います。

(2)行財政改革について
  • 仕事の見える化で想定する重要業務

    現在我が国では、少子高齢化や人口減少社会という「国難」が進行中であり、政府においては「まち・ひと・しごと創生法」に基づく、長期ビジョンや総合戦略を定め、「人口減少への歯止めと、東京圏への人口集中を回避する施策」を展開しているところであります。

    本市でも、「さっぽろ未来創生プラン」のほか、まちづくり戦略ビジョンにおけるアクションプランなど、人口減少社会を見据えた様々な施策に取り組んでいることは、承知をしているところですが、こうした計画案を着実に進めていくためには、札幌市役所そのものが存続することが大前提であります。

    現在の札幌市は、道内からの転入による社会増という、いわゆるダム効果によって、いまだ人口の微増が続いておりますが、出生・死亡による自然増減数は、昨年度約6,000人の減少となっています。また、出生率も全国平均の1.43を大きく下回る1.16であります。

    働き手が減り、高齢者が増える。市役所の職員を確保することさえ困難な時代がすぐそこまで来ております。

    内閣府による「自治体戦略2040構想研究会」報告書においても、人口減少社会を見据えた「新しい自治体の在り方」への転換が示唆されており、そこでは「たとえ半分の職員数でも行政サービスを提供できるような姿」への転換が求められています。

    そのためには、従来の行革とは視点を変えた、BPR(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)といった大胆な取組も必要でしょうし、AIやRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)といった行政事務の効率化に向けたICTの活用に関する試行検証をスピーディーに繰り返していくような投資的な施策も、より一層重要性を増していくことが考えられます。

    そうした状況の中、秋元市長は先の選挙において「行政サービスを高度化し不断の改革に挑戦する街」、そして「仕事の見える化による行政改革」を公約に掲げ当選されました。当選直後の5月には、副市長をトップとした行革推進体制を確立し、その後、世界的企業であるコニカミノルタ株式会社との行革に関する連携協定や、行革先進都市である神戸市長と行革に関する覚書を締結など、話題性もあり、実効性も期待できる取組をスピーディーに進めていることは高く評価をしているところですが、幾つか確認をさせていただきたいと思います。

    ここで質問ですが、仕事の見える化について、業務分析を行ってから課題を洗い出し、さらに重要業務に関しては詳細な調査をするとのことですが、ここでいう「重要業務」とは、どのような業務を想定されているかお伺いします。

  • 神戸市との連携の効果

    我が会派ではかねてより、大阪市交通局の民営化に関する効果と、そうした取り組みに至る発想の学びを訴えてまいりましたが、それは単なる民営化という話ではなく、赤字の事業を、民営化によって市民サービスアップと黒字化を実現させた、その都市経営的な発想力・創造力・行動力こそが、今の札幌に欠けている文化であると訴えてきたのであります。

    神戸市役所は「株式会社・神戸市」と呼ばれる先進的な都市経営で知られ、全国の自治体に大きな影響を与えた、行革先進都市と言われています。

    この神戸市との連携によって市長が期待する効果について伺います。

  • 職員の働きがい・働きやすさの創出

    次に、経営的発想で必要不可欠な、職員を資源と考える視点についてお尋ねします。先般も消防局において不祥事がございましたが、多くの職員は公僕としての自覚と責任を持って職務に取り組んでいることは市長もご存知の通りです。

    そしてどのような組織であれ、そこで働く職員が生き生きと働ける組織を作るということが組織運営の根幹にあると考えております。

    人口減少・税収減が見込まれる将来に備え、事業のスクラップ&ビルドや節約・削減に努めることは重要な取組ではありますが、他方では、柔軟な発想でチャレンジや投資を行うことも大切であります。さらには、職員という資産・資源を最大限に生かすという発想も大切にしていただきたいと願っております。

    職員は全ての行政活動の原動力です。機械ではなく生身の人間ですので、道具を変えても、ルールを変えても、一律に大きく生産性が上がることばかりではありません。コスト意識や生産性の追求はもちろん大切ですが、「職員の働きがい・働きやすさの創出」という視点は行革の本質を高め、市民サービスの向上に資する要素でもあると考えますがいかがか伺います。

  • 公共施設マネジメントの取組の推進

    本市は、冬季オリンピックの開催や政令指定都市への移行を契機に、人口の増加や市街地の拡大に合わせ計画的なまちづくりを進め、都市基盤施設の充実や基礎的サービスの向上を図ってきました。

    しかし、今後人口減少が見込まれている中、そういった施設やインフラの更新時期を一斉に迎えようとしており、将来予測される人口に見合ったインフラや公共施設の在り方を構築することが求められております。

    この課題に対処するため、平成29年に「札幌市市有建築物及びインフラ施設等の管理に関する基本的な方針」を策定し、市有建築物とインフラを総合して公共施設マネジメントを推進することとしているところです。

    この方針では、長寿命化の推進によりメンテナンスを行いながら長く大切に使い続けること、保全や改修の時期を調整することで事業の平準化を図り、財政負担が一時期に集中することがないようにすることなどの取組を進めることとしたほか、施設の総量を維持するのではなく、機能を重視することへ発想を転換していくこととしております。

    わが会派では、このような課題に的確に対処するために、行政も経営感覚を持った持続的な財政運営を進めていくべきとの考え方から、企業会計と同じ会計手法に基づく地方公会計の取組を推進しています。地方公会計の活用によるデータの把握・分析、市民への的確な情報発信、そして、こういった厳しい環境のもとにあっても市民ニーズを汲み取ってサービス向上を念頭に進めていくことが重要と考えております。

    そのような観点から、身近に必要な生活利便機能を小学校などに集約し、施設の多機能化を図りながら、サービス提供を行うことや、その施設を活用して地域の多世代交流を促進していくことで、地域の拠点として機能させていくという取組を丁寧に進めていくことが、施設総量をマネジメントするという観点からも、市民サービス向上の観点からも有用なものと考えているところです。

    しかし、このような先駆的な取組は始まったばかりであり、実際に機能重視の利点を市民に実感されるまでには、多くの実践と工夫が必要なものとも考えます。

    そこで質問でありますが、公共施設マネジメントを進めるため、公共施設の多機能化による地域の新たな拠点づくりをどのように進めるお考えか伺います。

(3)札幌市産業の成長分野と更なる経済成長に向けた取組について

札幌市の産業振興施策としては、札幌市産業振興ビジョンが、2011年、10年間の計画として策定され、2017年、市内企業の人手不足感の高まりなど、社会経済情勢の変化により改定を行ったところです。

この中では、雇用の場の確保・創出とともに企業の売り上げ増加を図り、就業者の収入増加につなげ、それが新たな雇用の場を創出するという好循環を目指し、令和3年において市内従業者数90万人及び市内企業の売上高16兆8,500億円という数値目標を掲げたところであります。

また、ビジョンでは、観光、食、環境(エネルギー)、健康福祉・医療、IT・クリエイティブの5つを重点分野とし、中小・小規模企業への支援、新たな企業の創出、人材への支援の3つを横断的戦略として取組を進めています。

この間、国においては未来投資戦略や統合イノベーション戦略により、Society5.0の実現や健康・医療、バイオ分野における取組の推進等大胆な施策が展開されており、他の政令市においても、国家戦略特区の指定を受け、例えば福岡市ではスタートアップ法人減税等の創業支援、仙台市においても社会起業、女性活躍の推進に取り組んでいる状況であります。

一方、札幌市についてでありますが、これまでの様々な取組の下、例えば平成28年経済センサスにおいて情報通信業の売上高は、政令指定都市中福岡市に次いで第6位でありました。

また、医療の分野では、札幌商工会議所のMeCCS構想に係る産学官医療連携協議会と連携し、医療関連産業集積に向けたフォーラムを開催するなど着実な取組を進めていますが、国の各種戦略による取組状況や他都市の動向も踏まえると、二期目の市政を担う秋元市長に対しては、より大胆で力強い施策展開をこれまで以上に期待しているところです。

そこで質問でありますが、市長は産業の成長分野についてどのように考え、また、今後の札幌市における更なる経済成長に向け、どのように取り組んでいくのか伺います。

(4)都市型スノーリゾートシティとしての在り方について

令和4年に開催される中国・北京冬季五輪を控え、中国ではウィンタースポーツ人口が急増していると聞いています。

また、今年12月には、ヘルシンキ空港(フィンランド)やシドニー空港(オーストラリア)から新千歳空港への直行便が冬期間に就航することとなっていますが、これらの地域はいずれもスキーリゾート地への観光需要が強いという地域特性があり、今後、スキーを楽しむために来札する観光客が更に増加することが予想されるところです。

こうした追い風が吹くなか、札幌市内には5つのスキー場(テイネ、ばんけい、藻岩山、フッズ、国際)がありますが、海外からのスキー客をいかに取り込むことができるかが重要な視点となると考えております。

市内のスキー場は、それぞれ都市型のスキー場としての強みを持っていますが、特にテイネスキー場は、札幌の中心部から車で40分というアクセスの良さに加え、標高は1,000メートルを超え、標高差を生かした多彩なコースを有する本格的なスキー場であり、その有効活用について、私もこれまで様々な場で主張してきたところです。

一方、札幌市内のスキー場は、先ほど申し上げた優位性は有しているものの、観光資源としての世界の認知度は不十分であると感じており、今後、改善していくことにより、まだまだ伸びる可能性があると信じております。

秋元市長の公約においても、「世界を魅了する都市型スノーリゾートシティを目指して」との項目がありますが、私もこの視点は非常に重要であると感じており、今後の取組に非常に関心を持っているところであります。

そこで質問でありますが、公約にも掲げられている都市型スノーリゾートシティに対する市長の考え方と、その実現に向けた方向性について伺います。

(5)雪氷エネルギーの活用について
  • 雪氷エネルギー活用の検討

    本市は世界でも稀な積雪寒冷地にある大都市でありますが、官民連携の除雪体制をつくり、雪まつりなど逞しくまちを作り上げてきました。

    しかしながら、昨今、人件費や燃料費の高騰から除雪費が年々増加し札幌市の一般会計を硬化させるとともに、雪堆積場の郊外化の進行や除雪従事者確保の困難化など持続可能な除雪体制の維持が大きな課題となっているところであります。

    一方、以前から注目されてきたデータセンターについて、石狩市において雪氷エネルギーなど自然エネルギーを活用することにより企業誘致に成功しており、積雪寒冷地の特徴を生かしてエネルギー効率を高めた施設が建設される予定であります。

    データセンターは冷房にかける電気料金が管理費の大半を占め、その削減が施設の成否に大きく関わるところです。データセンターの空調におけるトータルシステムの設置・運用コストは15年で54.8%の削減となることが、ある研究成果で試算されており、これまでお金をかけて処理している雪が雪氷エネルギーという価値の高いものへと生まれ変わります。

    今後、ICTやIoTの利用が拡大し、データセンターの建設需要の増加が予測されていることを踏まえると、本市の特徴である、積雪寒冷地の気候を活かしたデータセンターの誘致を実現すれば、産業の振興にも繋がるのではないかと考えます。

    そこで質問でありますが、費用をかけて処分するだけの雪対策から雪氷エネルギーの活用に向けて、関係部局が連携し検討すべきと考えるがいかがか。

  • 積雪寒冷地の気候を生かしたデータセンター誘致

    また、積雪寒冷地の気候を生かし、データセンターの企業誘致を進めていくべきと思うがいかがか伺います。

(1)持続可能なまちづくりについて

○少子高齢化が進み、人口減少を迎える時代の転換期にあたる今、中長期的な観点のもと、持続可能で多様性のある社会の実現を目指すことが重要と考えており、SDGsの理念とも一致する。

〇このため、次期中期実施計画や各種計画の策定において、経済・社会・環境の課題に一体的に取り組むSDGsの視点で、施策を捉えなおし、持続可能なまちづくりを進めてまいりたい。

〇また、フェアトレードについては、その取組を通じて、広く地球規模の課題や持続可能な社会に対する市民の理解を深めていくことが肝要。

〇フェアトレードタウンの認定を受け、今後ますます関係機関・団体との連携を深め、まちぐるみでその理念の浸透を図っていくとともに、市役所自らもフェアトレード産品を活用するなど、その実践に努めてまいりたい。

(2)行財政改革について

〇1点目の仕事の見える化で想定する重要業務について
 業務の選定にあたっては、「市民サービスの向上」、「職員負担の軽減」、「行政コストの削減」という3つの観点から総合的に判断をしていく。例えば、市民にとって分かりやすい窓口業務を始め、業務量の増加が続いている生活保護や保育士業務などを想定しているところ。

〇2点目の神戸市との連携の効果について
神戸市における総合窓口や行政事務センターなどの先進的な取組を参考としていくほか、互いに共通する業務を比較・突合することで、無駄や工夫を効率よく把握できるものと期待している。

〇3点目の職員の働きがい・働きやすさの創出について
ご指摘のとおり、働きやすい環境のもと、職員がやりがいを持って働くことは、生産性の向上、ひいては市民サービスの向上に資する大切な要素と考えている。

〇今後も、このような視点を踏まえ、積極的に行政改革の取組を進めてまいりたい。

○4点目の公共施設マネジメントの取組の推進について
公共施設の多機能化は、小学校にまちづくりセンターや児童会館を併設し、子どもから若者世代、高齢者までが集う多世代交流を促進する地域の新たな拠点づくりを計画的に進めていこうとするもの。

○この取組を進めるに当たっては、住民の自主的・創造的な活動の場となる地域の拠点づくりを目指し、地域住民と一緒に考えながら進めていく。

(3)札幌市産業の成長分野と更なる経済成長に向けた取組について

○産業振興ビジョンで定めた「観光」「食」「環境(エネルギー)」「健康福祉・医療」「IT・クリエイティブ」の五つの重点分野は、国内外における市場の拡大が見込まれるとともに、企業や技術の集積、自然や歴史といった取り巻く環境から、札幌市が強みを持つ成長分野であると認識。

○これらの分野においては、その強みを踏まえつつ、これまで、技術開発や販路拡大、資金調達など様々な支援を図り、個別企業の成長を始めとして、大企業の誘致、国内市場におけるブランド化などの成果を挙げてきた。

○今後は、そうしたこれまでの取組を基礎として、観光分野における世界的ブランドの確立や、IT分野、医療分野での先端技術を、一般に応用、普及させることなどにより、幅広い産業において生産性の向上や需要の拡大を図り、札幌市経済の成長につなげてまいりたい。

(4)都市型スノーリゾートシティとしての在り方について

〇札幌は大都市でありながら年間6mもの降雪があり、都心部からのアクセスに優れた五つのスキー場を擁し、気軽に本格的なスキーが楽しめることが札幌の強みであると認識。

○こうした強みをいかして、市内スキー場と都市型観光との融合を図り、更には雪まつりなど冬のイベントと連動するなど、街全体で冬を楽しむことが札幌らしい「都市型スノーリゾートシティ」であると考えているところ。

○今後は、雪をいかした街の魅力向上などについて検討を進め、民間事業者や関係団体とも協議しながら、「スノーリゾートシティ」としてのブランドづくりに取り組み、冬期間のインバウンドの更なる拡大を目指してまいりたい。

(5)雪氷エネルギーの活用について

〇1点目の雪氷エネルギー活用の検討について
雪氷エネルギーの活用は様々な利用事例があり、札幌市においてもモエレ沼公園や円山動物園などで導入しているところ。

〇一方で、施設の整備費や雪の輸送費など、費用対効果の課題もあることから、他都市の取組状況や技術進歩などの動向を踏まえ、関係部局で連携し今後の可能性について研究してまいりたい。

〇2点目の積雪寒冷地の気候を生かしたデータセンター誘致について
データセンターにとって、大量のサーバーを冷却するための電力消費量の抑制が課題の一つであることから、その誘致に当たっては、積雪寒冷地の冷涼な気候は強みになると認識している。

〇これまでも、データセンターについては企業誘致の補助制度の対象としているところであり、今後も、積雪寒冷地における事例などを参考にしながら、さらなる誘致につなげてまいりたい。

■札幌市における雪氷エネルギーの活用事例
施設名 開始年度 貯雪量 貯雪方法
モエレ沼公園
(ガラスのピラミッド)

平成15年度

3,160㎥

貯雪庫を整備し、
敷地内の雪を押し込む

山口斎場

平成19年度

5,000㎥

貯雪庫を整備し、
敷地駐車場の雪を押し込む

円山動物園
(高山館)

平成25年度

750㎥

高山館裏手の雪貯留場に
敷地内の雪を堆積

都心北融雪槽
(冷熱供給)

平成15年度

2,000㎥

最終投雪を活用し、
熱供給事業に利用

no2
子育て・高齢者施策について
(1)幼児教育無償化の円滑な実施について
  • 市民・施設関係者への周知

    幼児教育・保育を無償化するための改正子ども・子育て支援法が、第198回通常国会において可決成立し、3歳から5歳児は保護者の年収を問わず全世帯、0歳から2歳児は住民税非課税世帯を対象に、本年10月1日から認可保育所、幼稚園、認定こども園、地域型保育事業、企業主導型保育の保育料が無償化になるほか、保育の必要性があるなど一定の条件を満たす場合には、認可外保育施設、預かり保育などの利用料も、実質、無償化になります。

    これまで、我が党は、幼児教育・保育の無償化について、平成18年に発表した「少子社会トータルプラン」で方向性を示し、昨年実施した100万人訪問調査運動でも、子育て世代の切実な声を真摯に受け止め、確実な無償化実現に向け、取組を進めて参りました。この無償化は、生涯にわたる人格形成の基礎を培う幼児教育の重要性や少子化対策としての幼児教育の負担軽減の観点から、子育て世帯を応援し、社会保障を全世代型へ抜本的に変えるものとして、重要な意義を有するものであります。

    私は、「子どもの幸せ」や「子育ての安心」が確保される社会こそ、国民全てにやさしい社会であると考えますが、子どもたちに質の高い幼児教育の機会を保障し、子どもを持つことに対し躊躇を生み出す一因となっている子育ての経済的負担を、社会全体で支える施策として、この幼児教育・保育の無償化は大きな意味を持つものであります。

    このように、子ども・子育て支援施策として大きな変革を迎えたことに鑑みると、国や自治体は、制度の内容や手続き等について保護者や施設関係者に遺漏なく適切に周知するよう努めながら、無償化を適確に進めていくことが求められます。

    一方で、この度の無償化では、待機児童問題により、認可保育所に入りたくても入れず、やむを得ず認可外保育施設等を利用せざるを得ない子どもがいることを踏まえ、それらの利用についても無償化の対象になりますが、この場合、保育の必要性を個々に認定する必要があること、無償化の上限額が設定されていること、支給の際は、原則、いったん利用料を支払った後に無 償化分が還付される償還払いとなっていることなどから、その対応についての事務が煩雑化し、業務量が増大することが予見されるため、しっかりとした業務体制を確保する必要があると考えます。

    そこで質問ですが、今後、幼児教育の無償化を始めるにあたり、制度を円滑に実施していくため、市民や施設関係者への周知をどのように図っていくのか伺います。

  • 新たに発生する業務への対応

    また、認可外保育施設の利用者への給付など新たに発生する業務に遅滞なく対応するため、どのように取り組んでいくのか併せて伺います。

(2)児童虐待に係る現状認識と体制強化、ネットワークの強化について
  • 児童虐待の現状に対する認識

    まず、6月5日に、札幌市中央区において虐待の疑いにより2歳の女児が亡くなるという痛ましい事案が発生いたしました。

    慎んでお亡くなりになられた池田詩梨(いけだ・ことり) さんのご冥福を心よりお祈り申し上げます。

    我が会派はこの度の事案を重く受け止め、6月10日に市長に対し緊急要望書を提出させていただきましたが、改めて、今回、児童相談所が果たすべき基本的な責務を果たさなかったことに猛省を促すとともに、その事実を真摯に受け止め、徹底した検証と原因究明に全力を挙げていただくことを求めるものです。

    国が昨年12月に「児童虐待防止対策体制総合強化プラン」いわゆる新プランを示し、子どもの命が失われることのないよう、国・自治体・関係機関が一丸となって対策に取組を進めている中で、札幌市でこのような事案が発生したことは、非常に残念であり、二度とこのような事案が発生しないよう、再発防止に全力を尽くしていく必要があると考えます。

    また、現在、国の新プランを受けた児童福祉法等の改正について、国会で審議がなされておりますが、児童虐待の防止に必要な認識を社会全体で共有し、児童虐待防止対策全般についてさらなる強化を図っていくことが重要と考えます。

    札幌市児童相談所における全相談の対応件数については、5年前の平成26年度と平成30年度速報値を比較すると、26年度の5,814件に対し30年度は速報値で7,477件と、約1.3倍、件数にして1,663件も増加しています。

    また、児童虐待認定件数については、26年度の1,159件に対し30年度は1,885件と約1.6倍も増加しており、その内訳として、身体的虐待が実に約2.4倍の346件、ネグレクトが約1.5倍の518件と、児童の身体に重大な影響を及ぼす虐待の増加が顕著で、重篤な事案も多いのが実態です。
    ついては、増加し続ける虐待への対応に当たる児童相談所の現場は極めて深刻な実態にあり、この現状に対応する体制づくりが急務であると考えます。

    児童虐待は、保護者の心身の状況、経済的要因、育児負担、社会的なつながりなど様々な問題が複雑に作用しあって発生すると考えられ、日々の生活の中で家族と子どもの小さな変化を見逃さないことが大切だと言われています。

    更に、保護者と子どもの関係の変化というものは、予想以上に早く、いつのまにか虐待が深刻化していることも決して珍しいことではないことから、状況変化のリスクがあることを常に留意しなければなりません。

    虐待に早期に気づき、速やかに子どもの安全確保を図るためには、子どもや保護者と関わる機関との連携や協働が重要ですが、仮に虐待に至ってしまったとしても、その後に子どもの安全を図りながら親子を支援していくには、児童相談所、区の家庭児童相談室はもとより、学校、幼稚園、保育所、児童会館や病院など、児童に関わる様々な機関が支援の全体像を共有し、強固にネットワークを構築して、重層的で細やかに対応をしていくことが不可欠であると考えます。

    そこで質問でありますが、各種相談の対応件数は増加の一途をたどり、児童虐待の内容が深刻化している現状を、市長は対応にあたる現場の実態も含めてどのように認識しているのか。

  • 第二児童相談所の開設を含めた体制強化への取組

    そしてこの実態を踏まえ、かねてより我が会派が強く設置を求めてきた第二児童相談所の開設を含め、児童相談体制強化に取り組む市長の決意について、改めて伺います。

  • 関係機関の連携によるネットワークの強化

    また、国が示した強化の方向性も踏まえ、児童の安全確保を常に視野に入れながら継続的な親子支援を必要とする家庭に対し、今後どのように関係機関の連携による情報共有、各種支援等のネットワークを強化していくのか伺います。

(3)今後の超高齢社会を見据えた地域包括ケア体制の推進について

市長は、「安心して福祉や介護サービスを受けることができる地域づくりを進める」ことを公約に掲げており、これは超高齢社会の到来を見据えた、高齢者福祉に対する市長の決意の表れであると考えます。

我が会派は、全世代型の社会福祉の実現を目指して、積極的に取り組んでおり、福祉を重視する市長の姿勢については支持するものです。

札幌市においては、団塊の世代がすべて75歳以上となる2025年には、要介護・要支援認定を受ける方は約13万7000人、サービスを利用する方も約9万6000人と大幅に増加すると見込まれています。

ついてはこの2025年を見据えて、高齢者の心身の状態や生活状況と、その必要度に応じた、医療・介護・介護予防・住まい・生活支援が一体的に提供され、高齢者が住み慣れた地域で、可能な限り自立した日常生活を営むことができるよう、地域包括ケア体制の推進が不可欠であります。
こうしたなか本市は平成27年に策定した札幌市高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画、更に昨年策定した札幌市高齢者支援計画2018により、様々な施策が展開され、生活支援コーディネーターの配置や地域包括支援センターの体制強化など、着実に基盤整備が進められておりますが、その一方で様々な課題も出てきているのではないかと考えます。

今期、我が会派の議員となった熊谷議員は長年、理学療法士また介護支援専門員として、医療福祉の現場で従事して来た経験を通し、専門職の観点から今、地域に潜在する介護予防をはじめとした医療・介護・福祉における専門職人材の活用がまだまだ進んでいないという現場の声が高いと申しております。

今後、本市が超高齢社会を迎えるにあたってはより一層、行政、地域、民間などが、一体となって人材の積極的活用を図るとともに、まだまだ活用しきれていない専門職や地域の自主組織などへの支援強化を進め、高齢者やその家族はもちろん、市民が安心して暮らせる、住みよい街づくりを進める事が重要ではないでしょうか。

また、我が党が昨年全国で実施した100万人訪問調査運動では、介護に関する困りごととして、いざという時の相談先を懸念すると回答した方が34.3%いるという結果が出ました。

このような状況で、地域包括ケア体制を推進していくには、行政や高齢者とその家族との関わりを持つ人たちの取組はもとより、今後より一層、専門職の活用やこれまで高齢者との関わりが薄かった民間企業や団体などとも、問題意識の共有をはじめ、各自が持つ知見能力を活かしながら、一丸となった取組を進めて行くことが大切だと考えます。

そこで質問でありますが、超高齢社会を見据えて、札幌市としてどのように地域包括ケア体制を推進していくのか伺います。

(1)幼児教育無償化の円滑な実施について

○1点目の市民や施設関係者への周知について
制度の実施に当たっては、利用者及び施設に対し、無償化の対象や手続きなどについて、十分に周知を図る必要があると認識。

○7月から順次、施設に対する説明の場を設けるとともに、保護者への案内の配布、広報さっぽろやホームページによるお知らせ、コールセンターによる問い合わせ対応を行うなど、様々な方法で周知を図ってまいりたい。

○2点目の新たに発生する業務への対応について
窓口となる区の体制強化に加え、外部委託により事務センターを新設し業務の一部を集約するなど、業務量の増加に確実に対応できるよう体制の整備に取り組んでいるところ。

○今後も、制度の着実な実施に向け、しっかりと準備を進めてまいりたい。

(2)児童虐待に係る現状認識と体制強化、ネットワークの強化について

〇1点目の児童虐待の現状に対する認識について
虐待相談の増加や事例の深刻化には、様々な要因があると考えるが、悩みを抱えた保護者の地域社会からの孤立も大きな要因であると考えられるため、児童相談所も含めた様々な機関が連携し、きめ細やかに支援していくことが重要。

○これまで、児童相談所の体制強化を段階的に進めてきたところであるが、虐待相談はこれを超えるペースで増加しており、更なる体制強化が必要と認識。

○2点目の第二児童相談所の開設を含めた体制強化への取組について
体制強化に当たっては、各世帯への支援をより充実するとともに、関係機関との日常的な連携を密にしていくことが重要。

○そのためには、地域の関係機関や市民がより来所しやすい環境を整備することや、職員の専門性の強化等が必要となるため、第二児童相談所の可能な限り早期の開設を目指すとともに、人材育成を含めた計画的な専門職の確保を進めてまいりたい。

○3点目の関係機関の連携によるネットワークの強化について
親子の支援に当たっては、関係機関の日常的な関わりにおいて把握した情報を集約するとともに、各機関において支援方針と役割分担を共有することが重要。

○そのためには、支援や見守りが必要な家庭を漏れなく把握する手法や、虐待リスクの評価手法も含めて見直しを図る必要があると考えており、支援の網の目からこぼれ落ちることのないよう、ネットワークを強化してまいりたい。

(3)今後の超高齢社会を見据えた地域包括ケア体制の推進について

○札幌市では、いくつになっても住み慣れた地域で安心して暮らし続けることができるまちづくりを基本目標に、サービスの充実や介護予防、医療と介護の連携など、様々な施策に取り組んでいるところ。

○こうした施策を通して、地域包括ケア体制の基盤整備を進めているが、平成29年度に札幌市で実施した調査結果でも、生活や健康福祉に関して相談先がないという高齢者が16.6%おり、支援が十分に行き届かない可能性があると認識。

○このため、行政だけでは把握しきれない住民のニーズを拾い上げ、地域の課題を共有、解決できるよう、行政や市民、民間企業、専門職などが有機的に結びつく仕組みづくりに引き続き取り組むことで、地域包括ケア体制をさらに推進してまいりたい。 

no3
防災・減災・復興施策の充実強化について
(1)災害に強いまちづくりに向けて
  • 札幌市強靭化計画の改定

    国は、昨年相次いだ西日本豪雨や台風被害、北海道胆振東部地震などの自然災害が空港ターミナルの閉鎖やブラックアウトというような重要インフラ機能の喪失につながり、国民の経済や生活に多大な影響を及ぼしたことから、昨年9月から11月にかけて「重要インフラの緊急点検」を実施しました。

    この点検結果を受け、国は、特に緊急な対応が必要と考えられるインフラ等に対し、「防災・減災、国土強靭化のための3か年緊急対策」を実施することを決定しました。

    この3か年緊急対策は、平成30年度から令和2年度までの3年間におおむね7兆円の事業規模で実施するもので、大きく二つの柱で対策を打つものであります。

    一つは、大規模な浸水、土砂災害、地震・津波等による被害の防止・最小化に向けた、下水処理施設の機能確保や砂防堰堤の整備といった「防災のための重要インフラ等の機能維持」であります。

    もう一つは、非常用発電設備の整備や燃料供給所の機能確保などの「国民経済・生活を支える重要インフラ等の機能維持」であります。

    こうした取組は、頻発・激甚化する災害に対し、しっかりと対策を打っていかなければ、大きな損失を生むことに繋がると国が危機感を抱いている表れであります。

    本市は、平成28年1月に策定した札幌市強靭化計画に基づき、防災・減災、迅速な復旧・復興に資する様々な施策を実施しており、年内の改定を予定しています。

    そこで質問でありますが、このたびの計画改定に当たっては、国の視点も踏まえながら、今後、より大きな災害が起きた場合でも、しっかりと市民の生命、財産、社会経済機能を守ることができるような対策を講じる必要があるが、札幌市強靭化計画は、どのような点を重視して改定する考えか伺います。

  • 市民に対する防災意識の向上を目指した「大規模盛土造成地」に対する今後の取組

    先ほど述べた、国の「3か年緊急対策」には、人命を守る避難行動に必要不可欠な情報の収集・提供に向けた対策をすることが記載されており、その具体的な取組として「大規模盛土造成地変動予測調査事業」が掲げられています。

    札幌市においては、平成28年度に「大規模盛土造成地」に関する取組の第一段階として、市内95か所の盛土造成地をマップ化して公表したところです。

    このような、市民自らが自身の生命・財産を守るために必要な情報を行政が作成し、提供することは、市民に対する防災意識の向上に資するものであり、重要なものであると考えます。

    そこで質問でありますが、市民に対する防災意識の向上を目指した「大規模盛土造成地」に対する今後の取組について伺います。

(2)防災意識社会の構築について
  • 市民一人ひとりの防災意識の向上に向けた取組

    本市では、北海道胆振東部地震における課題の検証に基づき、様々な取組を行っているところでありますが、特に市民からの要望が高い避難所の環境改善などについては発災から1年を待たずに、迅速な対応が求められておりますので、しっかりと進めていただきたいと思います。

    昨年は、北海道胆振東部地震を始め、大阪府北部地震や西日本豪雨、関西国際空港が高潮による閉鎖で約3,000人が孤立した台風被害など、多くの自然災害が発生しました。

    特に、西日本豪雨では、気象に関する情報や、避難勧告や避難指示などの避難の必要性に関するさまざまな情報が発信されていたにもかかわらず、それらが必ずしも避難行動には結びつかず、自宅にとどまり、命を落とされた方が多数おられました。

    ハザードマップに対する住民の理解が不十分だったことから、災害リスクに対する認識が十分ではなかったのではないかと思います。

    この反省から、気象庁では、今年の5月29日から、大雨・洪水の警戒レベルを5段階で表示する運用を始めています。

    地域の方々が、自分の身の回りに起こる災害のリスクを正しく知り、また行政が発する避難に関する情報を正しく理解し、避難行動につなげていただくためには、町内会、自治会、個人などの地域の方々の防災意識を高めることが重要であると考えます。

    住民一人ひとりが、自分の身近に起こりえる災害のリスクを正しく知り、災害が差し迫ったときに、自らが取るべき行動をあらかじめ想定し、準備しておくという取組が大切ではないかと考えます。

    札幌市が開発した防災アプリ「そなえ」がすでにありますので、こういった手段を有効に活用できるよう周知も必要と考えます。

    また、地域における防災意識の向上には、地域が自主的に取り組みたい目標を設定して、平成29年度から実施している地区防災計画のモデル事業の取組が有効であると考えますが、まだ10地区にとどまっていると聞いています。

    我が党では、災害に対する個々の備えとして、「マイ・タイムライン」という手法で、災害に備えて避難するまでの取組を時系列にまとめておく取組の普及や地域における防災人材の育成を訴えているところであります。

    北海道胆振東部地震から、まもなく1年が経とうとしており、発災時に比べると、そろそろ、防災意識が薄れてきている方々もおられるのではないかと懸念するところです。

    そこで質問でありますが、昨年の北海道胆振東部地震や西日本豪雨などを踏まえると、市民や地域が身近の災害リスクに対し、的確に向き合えるような防災意識の高い社会の構築に、全庁的に取り組む必要があるのではないかと考えますが、札幌市は今後、市民一人ひとりの防災意識の向上に向け、どのような考えで取り組んでいくつもりなのか。

  • 地区防災計画の拡充に向けた取組
  • また、地域の防災力の向上のため、現在モデル事業を実施している地区防災計画の拡充に向け、どう取り組むつもりか伺います。

(3)被災地の復興施策と住まいに係る支援について
  • 被災者に寄り添った復興施策の推進

    我が会派においては、昨年9月6日の北海道胆振東部地震の発生直後から災害本部を立ち上げ、被災地や避難所を回り、情報収集と対応に努めるとともに、10月16日に、秋元市長に対して「北海道胆振東部地震からの復旧・復興に向けた取り組みの推進を求める要望書」を提出したほか、被災地を繰り返し訪れた我が会派に寄せられた様々な相談や声を踏まえて、先月14日には、「具体的な取組の推進と充実強化を求める要望書」を提出するなど、具体的な対応策などを直接、市長に提案してまいりました。

    先の要望書でも指摘しているところですが、震災後に続発した余震や冬季間の厳しい自然環境などが影響し、今年春には、液状化に起因する被害を受けた地域も新たに確認され、物的被害件数は現在では約6,500件に増大する  一方、特に甚大な被害を受けた被災地では、いよいよインフラの本格的な復旧工事や地盤改良工事が始まるなど、現在は、新たな被害の確認と復旧に向けた動きが、混在しながら同時に進んでおり、震災から9か月が経過しても、復旧・復興の歩みはまだまだ道半ばという状況です。

    被災者の中には、地質調査結果を踏まえて、今年夏から秋にかけて市が示す予定となっている今後の対策に合わせる形で、自宅住居の建て替えや修繕など、住宅再建に向けたスタートを切ろうと考えている方々も多数おられ、復旧・復興に向けた機運が高まっている中、先日、札幌市から被災者に向けて、「り災証明書交付申請の受付終了」を始めとしたお知らせが続きました。

    これらの情報は、今後の被災者の生活再建に大きく関わる情報であり、また、支援を必要とする被災者が潜在的に多数存在しているにもかかわらず、その発表の仕方は、それぞれの業務を所管する部局から、それぞれ個別に報道機関へ簡単な書面での通知が個別かつ事務的に行われたものであり、丁寧さに欠け、何よりそこからは、支援を必要とする被災者に、適切な支援と情報を確実に届けようとする姿勢が見受けられないと指摘せざるを得ないところです。

    また、なかには被災者と日頃から接し、被災地の実情を知る議員への情報提供も報道直前に形式的に行われたものもあり、非常に遺憾であると感じております。

    我が会派は、被災者に応対する最前線の現場の職員は、被災者に真摯に向き合い、懸命に日々の仕事に取り組んでいると感じています。しかし、今回のように被災者に対し、縦割りかつ事務的、丁寧さを欠いた情報発信が行われてしまうのは、震災発生から9か月余りが経過する中で、それぞれの部局を束ねる経営層に、被災者の立場に立って考えようとする意識が希薄化していることに一因があるのではないかと考えております。

    こうしたことから、現場の職員と経営層の間での復旧・復興への意識や意気込みに温度差を感じざるを得ず、それがゆえに復旧・復興の先行きに懸念を抱かずにはいられません。

    そこで質問でありますが、札幌市においては、今一度、“人を大事にする”という、秋元市長が市長を志した原点に立ち返り、被災した市民の立場に立って、市民に寄り添う丁寧な対応が必要であると考えますが、市長はどのような姿勢で被災者支援に取り組んでいくつもりか、また、その姿勢をどのように全職員に伝えていくつもりかお伺いします。

  • 市街地復旧推進室の役割と里塚以外の地区における今後の取組

    清田区里塚地区では、昨年9月の北海道胆振東部地震発災後、速やかな復旧に向けた取組を進めてきており、およそ半年余りで工事契約まで至るなど、全国的にも異例とも考えられる早さで、復旧・復興に向けた第一歩を踏み出せたことについて、わが会派としても大変評価をしております。
    一方で、美しが丘、月寒東地区などにおいても、広い範囲で家屋や宅地の被害が確認され、わが会派にも、被災者から相談や市からのさらなる支援を求める声が寄せられております。

    特に、平成15年の十勝沖地震でも被害を受けた美しが丘地区などでは、今後同じ地域に住み続けることに対する不安を感じているという、住民からの声も届いているところです。

    これまでわが会派では、市街地の復旧・復興に向けた取組を、里塚地区のみならず他の地区にも拡充し、里塚地区を主として対応してきた市街地復旧推進室が中心となって、市民に寄り添った復旧・復興の取組を迅速かつ確実に進めるよう求めてきました。

    里塚以外の地区で宅地被害の多い地域などにおいては、既に住民説明会が開催されている中、4月からは市街地復旧推進室を含めて、全庁的に課題の解決に向けた取組を進めているものと聞いています。

    そこで質問でありますが、里塚以外の地区において取組を進めている中で、市街地復旧推進室はどのような役割を担っているのか伺います。併せて、里塚以外の地区における検討状況や今後の見通しについて伺います。

  • 被災者の住まいに係る支援

    昨年9月6日午前3時7分に発生した北海道胆振東部地震では、市内で最大震度6を記録し、清田区里塚地区を始めとして市民の財産である住宅に大きな被害をもたらし、1万人を超える市民が一時避難を余儀なくされたところであります。

    5月末時点で、市営住宅に避難している方々は42世帯、みなし仮設住宅に避難している方々は85世帯ということでありますが、引き続き申し込みをする被災者もいると聞いており、住まいに係る支援の継続は重要と考えているところであります。

    被災者への市営住宅やみなし仮設住宅の提供については、道内の他の被災地が既に受付を終了している中、札幌市では液状化などの被害状況を踏まえ、本年9月30日まで受け付けるということであり、被災者に寄り添って長期間対応していることは、評価をしています。

    また、過日、会派から市営住宅の提供期間の延長について要望をしていたところ、本年9月30日までだった提供期間について、速やかに、来年9月30日まで1年間延長するという対応を取ってもらい、大変感謝をしております。

    現在、特に被害の大きかった清田区里塚地区では、宅地と道路の一体的復旧への工事が開始されたところであるが、工事の完了後に住宅再建を行うとなれば、住民が元の生活を取り戻すためには、まだまだ時間がかかるところです。

    実際、里塚地区の住民の中には、住宅再建を行うにあたり、工事業者を速やかに確保できるかどうか、不安に思っている被災者もおり、実際に業者から見積もりを徴取し、工事着工するまで相当の時間を要する方も多数存在いたします。

    こうした様々な背景により、住宅再建に向けた資金の調達等、個々人の事情によっては、市営住宅やみなし仮設住宅の提供期間のうちに里塚地区に戻ることができない場合も想定されます。

    住み慣れた地域を離れ、市営住宅やみなし仮設住宅での生活を余儀なくされている住民の皆さんが、仮住まいまで失ってしまうような事態はあってはならないことと考えます。

    そこで質問でありますが、住まいに係る支援は復興施策の中でも重要な柱の一つであるところ、住宅再建には一定の時間が必要な中、市営住宅やみなし仮設住宅の提供期間の延長についてどのように考えるのか、伺います。

(1)災害に強いまちづくりについて

〇1点目の札幌市強靭化計画の改定について
今回の改定では、これまで同様、国や北海道の強靭化計画との整合を図るとともに、市の中期実施計画と連動した財源に裏付けられた行動計画とする考え。

〇また、昨年の北海道胆振東部地震で発生した大規模停電や避難場所の運営などで表面化した課題への対策が急務であると認識。

〇改定に当たっては、こうした課題の解決に向け、実際に災害に直面した教訓を生かした具体的な施策を盛り込んでいくことが、最も重要な点であると認識。

〇2点目の市民に対する防災意識の向上を目指した「大規模盛土造成地」に対する今後の取組について
札幌市においては、国の「3か年緊急対策」に基づき、大規模盛土造成地に関する第二段階の調査を事業化するところ。

〇この事業のなかで、盛土厚や造成年代の調査を行い、精度を高めた「大規模盛土造成地マップ」を今年度中に公表することにより、市民の更なる防災意識の向上につなげていきたい。

(2)防災意識社会の構築について

○1点目の市民一人ひとりの防災意識の向上に向けた取組について
市民が平時より、災害リスクを知り、必要な備えや的確な避難行動を準備できることが重要。

○今後は、防災アプリなどを活用するとともに、地域の安全安心に関わる関係各局が連携しながら、「自らの命は自らが守る」という防災意識の向上を図ってまいりたい。

○2点目の地区防災計画の拡充に向けた取組について
地区防災計画は、住民の自助と共助の意識や結びつきを強めることから、今後は、モデル事業の取組を紹介する事例集や活動報告会などを通して制度の理解を広め、区の防災事業と連携して取り組むなどにより、更なる拡充を図ってまいりたい。

(3)被災地の復興施策と住まいに係る支援について

〇1点目の被災者に寄り添った復興施策の推進について
被災者の支援については、全庁一丸となって様々な支援制度の提供や被災者の相談等にあたってきたところ。

〇発災から9か月が経過し、多くの方が支援制度を活用されているものの、発災前の状態に戻るには、まだ時間を要するものと認識。

〇そうした中、支援を必要としている市民をしっかりと支えていく意識を強く持ち、支援制度の情報が行き届くよう、テレビ、ラジオなどの報道媒体や広報さっぽろ、町内会の回覧の活用など、更なる広報に努める考え。

〇同時に、このことをあらゆる機会を通じて職員と共有し、今後も真摯に被災者支援に取り組んでいく考え。

○2点目の市街地復旧推進室の役割と里塚以外の地区における今後の取組について
市街地復旧推進室は復旧全般を統括し、全庁横断的に情報や課題を共有し連携を図っているところであり、技術的検討を担いながら、復旧の舵取り役として、取組を進めているところ。

○里塚以外の地区については、被災メカニズムが一様ではないと考えられるなか、追加調査などを行いながら、より詳細な解析を進めている。

○今後も、地域の皆様の立場に立って、技術的検討を早急に進めるとともに、検討状況について丁寧に情報提供してまいりたい。

〇3点目の被災者の住まいに係る支援について
みなし仮設住宅は、国の制度に基づき、契約の日から2年間入居できることとなっている。

○しかし、市営住宅やみなし仮設住宅の提供期間については、里塚地区の復旧工事や住宅再建の進捗状況を踏まえ、国へ要望するなど、被災者が困らないように対応してまいりたい。

no4
ICT社会への対応について
(1)将来を見据えたIT人材の育成について

本年4月に発表された国の調査 によると、わが国の労働人口及び若年層人口は、全体として減少するものの、IT関連産業の採用拡大などを背景にIT人材の供給数は増加していくと見込んでおりますが、IT人材の需要は供給を上回り、令和12年には、45万人の人材不足が生ずるとの結果が報告されています。

AIやIoTなどの先端技術の実用化により、社会のあらゆる場面でデジタル化が進んでおり、情報技術は、新たなサービスの創出や、様々な社会課題を解決する技術として期待されているところ、IT人材の活躍の場は、様々な分野に広がっていくことが推察できます。

国においては、デジタル化と生産性向上を徹底的に進め、日本ならではの持続可能な経済社会システム、いわゆる「Society5.0」の実現を目指すところ、先端技術や価値創造を行う人材の質と量が我が国の将来を決定づけるとしています。

本市の状況に目を向けますと、情報通信業は、市内売上高4,000億円(平成28年経済センサス活動調査)を超える基幹産業であるところであり、今後も成長が見込まれる産業分野において、札幌の強みを生かす大きな機会が到来しているところですが、既に、企業からは、人材不足が最大の経営課題であるとの声が聞こえています。

また、市内・道内には、情報系に強い大学・専門学校があり、加えて、その学生自身の市内就職志向が高いにも関わらず、理系人材の5割以上が道外に流出しているとの課題も抱えています。
全国的なIT人材の争奪戦が始まっているところであり、これ以上の人材流出や人材不足は、本市経済全体に大きな影響を与えるものと危機感を抱かざるを得ません。

このたび、市長は公約において「産業分野の人材確保・人材育成に取り組み」、さらに、その中でも「ITニーズの拡大を踏まえ、IT人材の確保に向けた取り組みを支援するほか、AIやIoT等の先端な技術を高度に駆使できる人材の育成を図る」と述べられております。

国の学習指導要領においても、令和2年から、小学校でプログラミング教育を必修化とし、若年層からの人材育成を重視し本格化させますが、文部科学省の『小学校プログラミング教育の手引き』(第2版)によると、当然のことではありますが、全ての小学生の情報活用能力を育むことが主眼であり、直接的な職業への結びつきとは距離があるものであります。

したがって、若年層からの人材育成がスタートする潮流に乗って、札幌も基幹産業を支える人材を育成していくために、自治体自らが産業振興からの視点でプラスの工夫をしていくべきではないかと考えます。

IT人材を若年層から育成をしていくことは、これからの100年を見据えたまちづくりのための大切な一歩であり、予算や担当職員など資源をしっかりと投入して進めていただきたい。

そこで質問でありますが、これからの札幌の産業を支える、将来を見据えたIT人材の育成について、市長の考えを伺います。

(2)マイナンバーカードの活用について

マイナンバー制度は、公平・公正な社会の実現、国民の利便性向上、行政の効率化が目的とされており、平成27年度から運用が開始されています。

これに伴い発行が開始されたマイナンバーカードは、ICチップに公的個人認証の電子証明書を搭載可能であり、これを活用するとインターネットなどオンラインで行う手続上で、厳格な本人確認が可能になるため、役所・民間双方において活用されることが期待されているところです。

また、マイナンバーカードの電子証明書を読み取るためにはカードリーダが必要になりますが、これを所有していないケースに対応するため、カードリーダとして代用できるスマートフォンが本年5月現在で65機種販売されていると聞いています。このように、マイナンバーカードを活用するための、環境面での整備も進められているところです。

平成28年第1回定例会において、我が会派から、マイナンバーカードを活用した市民生活や地域経済の向上に資するサービスの提供を積極的に検討すべき旨を質問し、市長からは他都市の事例などを参考にしながら、提供可能なサービスを鋭意検討していく旨答弁されています。

これまでの役所におけるマイナンバーカードの活用事例として、本市ではコンビニエンスストアにおける住民票などの各種証明書の取得が平成28年12月から、子育て関係の手続のインターネット経由の受付が平成30年3月から順次開始されてきており、市民が利便性を享受できる機会が拡大してきているものの、マイナンバーカードの普及率は未だ1割程度にとどまっているところです。

一方で、民間も含めたマイナンバーカードの活用事例として、国において地域経済の好循環拡大などを目的にマイキープラットフォームを構築して、平成29年9月から実証事業を継続しています。

マイキープラットフォームでは、マイナンバーカードを所有している個人にIDを割り当て、各種の会員カードなどをマイナンバーカードに集約する、個人が取得しているクレジットカードのポイントや航空会社のマイルなどを自治体ポイントに変換する、自治体ポイントを地域の商店やオンラインショップなどでの買い物に使うといった機能があります。

折しも、今月4日に国のデジタル・ガバメント閣僚会議において、「マイナンバーカードの普及とマイナンバーの利活用の促進に関する方針」が決定され、その中では消費増税に伴う反動減対策での自治体ポイントの活用、健康保険証としての被保険者の資格確認、イベントスタッフの本人確認などが盛り込まれており、さらなる利便性の向上が見込まれるところであります。

そこで質問でありますが、これらの状況を踏まえ、市民が広くメリットを享受できる社会を実現するために、マイナンバーカードの活用にどのように取り組んでいく考えなのか伺います。

(1)将来を見据えたIT人材の育成について

◯先進的技術の実用化が急速に進む中、ITを活用できる人材を育成していくことは、IT産業はもとより、あらゆる産業の持続的な成長にとって重要であるものと認識。

○将来的に札幌で活躍するIT人材を育成するためには、若年期から技術や市内産業に対して、身近に接することが効果的であることから、年代に応じた実践的な技術の習得に加え、市内産業の魅力を伝える場を創出していくことが必要。

○こうしたことから、特に、小・中・高生など高等教育機関に進む前の年代に着目し、課外活動への講師派遣など、関連企業とも連携を図りながら、IT人材の育成、ひいては市内への定着に結び付けてまいりたい。

(2)マイナンバーカードの活用について

○マイナンバーカードのさらなる活用は、市民の利便性向上や地域経済の活性化などに有効なことと認識。

○札幌市では、市内の商業施設において、取得促進キャンペーンを行うなど、マイナンバーカードの普及にも取り組んでいるところ。

○今後とも、国の新たな方針を踏まえ、自治体で構成される協議会に参加して他の自治体と積極的に情報を交換するなどし、マイナンバーカードの活用に取り組んでいく。

【参考】自治体で構成される協議会

  • 名称:マイキープラットフォーム運用協議会
  • 目的:自治体ポイント管理システム等の運用
  • 参加団体数:429団体(参加率約24%・令和元年6月3日現在)
no5
安全・安心のまちづくりについて
(1)地域交通ネットワークの充実について

高齢化の進展や近い将来訪れるであろう人口減少など、社会環境が大きく変化していくなかで、高齢者による交通事故発生件数の増加や、一部地域においては、食料品や日用品を購入できる小売り店舗の撤退により、いわゆる「買い物難民」が発生しているなど、様々な課題が顕在化しています。

高齢者や、自家用車を持たない方など、誰もが地域で安心して生活するためには、通勤、通学、買い物などの移動手段をしっかりと確保することが重要であり、特に、路線バスについては、「市民の足」として、極めて重要な役割を担っていると考えております。

一方で、利用者の大きな増加が見込めず、軽油単価の高止まりが続いているなど、路線バスを取り巻く環境が厳しさを増すなか、一定水準のバスネットワークを維持し続けていることは評価できるものの、残業や部活動などで帰宅時間が遅くなるとバスの便が無い場合があり、また、地域によってはバスの便数が少ないなど利便性に大きな差があります。

このような現状のなか、民間店舗が買い物客等に対する無料送迎バスの運行や、清田区においては、イベントに合わせて、地域において無料送迎バスを運行したなど、企業または各地域において様々な取組が行われているところです。

本市においても、このような企業や地域と連携して、コミュニティバスを導入するなど、これまでにない新たな施策を進めていく時期に来ていると考えます。

そこで質問でありますが、このような時代背景において、今後バスネットワークの確保に向けて積極的に取り組んでいく必要がありますが、どのように考えているのか伺います。

(2)高齢者の交通事故防止対策について
  • 高齢者の事故防止に向けた安全教育

    大津市や東京都豊島区の池袋など、多くの大切な命が失われるいたましい交通事故の発生が相次いで報道されています。

    特に池袋の事故は、詳しい原因は今後明らかにされていくと思いますが、加齢に伴う身体能力などの衰えにより、高齢のドライバーの安全に運転を行う能力が低下していた可能性があります。
    新聞報道によると、平成26年から30年までの5年間に発生した死亡事故のうち、65歳以上の方が第一当事者となった場合の事故原因は、アクセルやハンドルなどの操作ミスが約25%を占めており、これは64歳以下の場合の2倍にのぼるとのことです。

    高齢者は、交通事故の被害者にも、加害者にも容易になり得ます。高齢者を悲惨な事故の加害者にしないためには、本人の自覚が大切なのはもちろんですが、身の回りの家族、ひいては地域全体で、高齢者の交通安全を支えていく必要があります。

    そのためには、何よりも「教育」が大切と考えております。本市が、すでに出前講座や地域での交通安全教室などに地道に取り組んでいることは承知していますが、世間の関心が高いいま、その機を捉え、市民への安全教育を大きく展開すべきであります。

    そこで、質問でありますが、高齢者のみならず、これまで以上に幅広い層に届く安全教育が必要であると考えますが、本市は、高齢者の交通事故防止に向けた安全教育を、今後どのように進めていくのか伺います。

  • 運転免許証の自主返納の促進

    また、事故防止対策に向けては、安全運転の呼びかけだけでなく、運転に不安を感じるようになった高齢のドライバーへの配慮が必要であります。

    運転免許が不要になった方や、運転に不安を感じるようになった高齢者が、自主的に免許証を返納することができる制度があります。政令市では堺市、道内では旭川市や北広島市など、他の自治体には、高齢のドライバーが免許証を返納した際にタクシーチケットなどを交付することで、その後押しをして効果を期待している地域もあります。

    そこで質問でありますが、高齢者の免許証の自主返納を促進するための動機付けとなる施策は、本人や家族にとってのきっかけづくりになるものであり、本市としても何らかの取組を考えるべきであることから、運転免許証の自主返納の促進について、今後どのように取り組むのか伺います。

(1)地域交通ネットワークの充実について

〇路線バスについては、路線廃止等により市民生活に大きな影響が出ることのないよう、赤字路線に対する補助等を実施し、バス路線の維持に最大限努めている。

〇しかし、超高齢社会の到来や郊外部における人口減少など社会環境が大きく変化していくなか、バス事業者においては乗務員不足などの課題が顕在化しているところ。

〇そのため、事前の予約により運行するデマンドバスの導入など新たな取組についても検討していく考えであり、今後もバス事業者と連携を図りながら、市内バスネットワークの維持に努めてまいりたい。

(2)高齢者の交通事故防止対策について

○1点目の高齢者の事故防止に向けた安全教育について
全国で、高齢ドライバーの運転操作ミスによるいたましい交通事故の発生が大きく取り上げられており、こうした事故の防止は喫緊の課題と認識。

○そのためには、高齢者本人のみならず、それを支える家族や地域の方々に向けて、身体機能の衰えなどによるリスクや、運転を続けるべきか適切に判断するための知識、相談窓口などを伝えていくことが重要。

○広報誌やSNS、出前講座などを活用した普及啓発や、地域の関係団体と連携した呼びかけなど、あらゆる機会を捉えて効果的かつ適切な安全教育を実施してまいりたい。

○2点目の運転免許証の自主返納の促進について
他都市では、公共交通の利用に対する支援や、自主返納に関する相談会の開催、臨時の返納窓口設置など、きっかけづくりとなる取組を行っている例もあるところ。
○それらの事例を参考に、また、警察等の関係機関とも協議しながら、本市においてはどのような取組が可能で効果的なのか、早急に検討してまいりたい。

no6
共生社会実現への取組について
(1)オリンピック・パラリンピック招致を契機とした共生社会の実現について
  • 共生社会の実現に向けた取組

    我が国では、今年9月のラグビーワールドカップや来年7月の東京2020オリンピック・パラリンピックなど、多くの国際競技大会の開催を控えており、特に東京2020オリンピックについてはチケットの発売開始と同時に申込みが殺到するなど、国民の期待と注目も日に日に高まっています。

    これらの大会の開催地でもある本市としても、この機運を逃すことなく、様々なスポーツイベントを通じ、スポーツの力で活力ある社会を実現していくべきであると考えます。

    そのような中、本市が招致を目指す冬季オリンピック・パラリンピックについては、招致目標をかねてより我が党が主張していた2030年に変更したことにより、改めて、招致実現に向けて強く歩みを進めていかなければならないと考えているところであります。

    オリンピック・パラリンピックの開催は、施設整備などのハード面のみならず、意識や行動に基づくソフト面でのまちづくりとも連動するものであります。

    政府は、東京オリンピック・パラリンピックの開催を契機として全国におけるバリアフリー化を一層推進していくため、施設や設備などの更なるハード対策に加え、心のバリアフリーとして、高齢者や障がいのある方等への支援といったソフト対策にも取り組んで行くことなどを内容とする改正バリアフリー法を昨年11月から施行しております。

    我が会派においても、従前から、パラリンピックの招致を契機に、パラスポーツの振興を通じた障がいのある方への市民理解を深め、心のバリアフリーにしっかりと取り組むべきだということを申し上げてきたところであり、2030年に向けじっくりと取り組んでいく必要があると考えています。

    折りしも本市が招致を目指す2030年という年は、SDGsの目標達成年でもあります。今後、少子高齢化や人口減少、さらにはグローバル化が進行していく中で、障がいの有無だけではなく、年齢、国籍など、様々な違いを越えて、全ての市民が安全に、安心して暮らせるよう、共生社会を実現することが重要であります。

    そこで質問でありますが、オリンピック・パラリンピックの招致を機に、共生社会の実現に向け、どのように取り組んでいくつもりか、伺います。

  • スペシャルオリンピックス日本冬季ナショナルゲーム北海道大会を支援する狙い

    オリンピック・パラリンピックと同じく4年に1度開催されるスペシャルオリンピックス世界大会は、現状、冬季パラリンピックにおいて出場資格を与えられていない知的障がいのある方を対象とした、最大規模の総合的なスポーツ大会で、来る2021年にスウェーデンで開催されます。

    その国内選考会を兼ねた北海道大会は、札幌市において開会式・閉会式のほか、アルペンスキー、スノーボード、ショートトラック、フィギュアスケートの各種目が実施されます。

    4年前に開催された新潟大会では選手610人が参加し、観覧者数が延べ約8,400人にのぼるなど、その人数は回を追うごとに増加しており、今回の大会も大いに注目を集めることが期待されるところです。

    スペシャルオリンピックスでは、大会自体が日ごろのトレーニングの成果を発表する場として位置づけられ、競技後には出場選手全員が表彰台に立ち、誰もが主役として称えられているほか、相互理解を目的として知的障がいの無い方も一緒に参加できる公式種目が設けられるなど、競技性以外の部分に着目した取組が実施されております。

    こうしたパラリンピックなど他の障がい者スポーツ大会に無い取組はまさに札幌市が目指す共生社会の理念に通じるものと理解しており、我が会派としても、札幌市での大会開催を歓迎し成功を願うところであります。

    本定例会に上程されている補正予算案では、大会運営費補助や大会PR等に係る予算が計上されているところであり、札幌市には大会の成功に向けて積極的に支援していただきたいと考えております。

    そこで質問でありますが、こうした取組を通じて、この大会を札幌市が支援する狙いは何か伺います。

(2)アイヌ施策振興の今後の進め方について

本市では、平成22年度にアイヌ民族に関わる施策を総合的に推進する計画として、「札幌市アイヌ施策推進計画」を策定し、「アイヌ民族の誇りが尊重されるまちの実現」を目指し、市民理解の促進、伝統文化の保存・継承・振興、生活関連施策の推進の3つの目標を掲げ、取り組んでいると認識しております。

一方、国においては、5月24日に「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」が施行されました。

この法律では、アイヌ民族を初めて「先住民族」と明記したほか、従来の福祉・文化施策から産業振興等を含む総合施策に向かう転換点となり、アイヌ民族の誇りを尊重することで、多様な価値観のもと、活力ある共生社会を実現することにつながるものと考えております。

また、この法律が施行されたことにより、国とともにアイヌ文化の振興をより一層進めていこうという各市町村の機運が高まっていくものと期待されます。

そこで質問でありますが、本市では、この法律の施行を受け、今後、アイヌ施策の振興をどのように進めていこうと考えているのかお伺いいたします。

(3)性的マイノリティの理解促進の取組について

性的マイノリティに関し、当事者の方々は、様々な場面で差別や偏見によって、生きづらさや困難を抱えていると言われており、その解消に向けて理解を促す取組を行うことは重要であります。

本市においては、性的マイノリティに関する取組として、平成29年6月から政令指定都市としては初めて「パートナーシップ宣誓制度」を実施し、2年が経過しました。

制度開始から69組が宣誓制度を利用しており、性的マイノリティに関する理解が広がり、当事者の困難の解消に向けた取組として一定の評価をしております。

しかしながら、必ずしも差別や偏見がなくなったわけではなく、いまだ苦しんでいる当事者がいるのではないかと思われます。

市民や企業、そして社会全体に性的マイノリティに関する理解を広げていくには、できるだけ多くの人々の目に触れるよう様々な場面で啓発を行っていくことはもちろん、地道ではあるが継続的に理解を促していくよう取り組んでいくことが必要です。

そこで、質問でありますが、性的マイノリティのさらなる理解促進に向けてどのように取り組んでいくのか伺います。

(1)オリンピック・パラリンピック招致を契機とした共生社会の実現について

○1点目の共生社会の実現に向けた取組について
共生社会の実現に向けては、福祉のまちづくりなどに取り組み心のバリアフリーを進めるほか、小中学校等で実施しているオリンピック・パラリンピック教育において多様性を尊重する心を育成するなど、様々な取組を行ってきているところ。

○今後、これらに加え、2030年大会招致を機に、様々なアスリートと市民が交流する機会を一層設けるなどして、障がいの有無や国籍・文化の違いなどを超え、互いに尊重し支え合う共生社会の実現を目指してまいりたい。

○2点目のスペシャルオリンピックス日本冬季ナショナルゲーム北海道大会を支援する狙いについて
札幌市と実行委員会とが連携し、この大会の周知を図り、多くの方々に会場へ足を運んでいただくことで、大会を盛り上げるとともに知的障がいに対する理解を深め、広げていくことを考えている。

○加えて、知的障がいを持つ児童や生徒に対して観戦機会を設けることによって、自らの社会性や自立への意識をかん養することも目指しているところ。

○今後もこうした大会を積み重ねながら、障がい者スポーツの振興に積極的に取り組んでまいりたい。

(2)アイヌ施策振興の今後の進め方について

○札幌市ではこれまで、アイヌ文化を体験してもらう各種プログラムや今年3月供用開始の「アイヌ文化を発信する空間・ミナパ」などを通じ、アイヌ民族の歴史や文化への市民理解を促進。

○今後は、共生社会の実現に向けて、アイヌ民族を始め、様々な人々から御意見をいただきながら、アイヌ文化の市民理解に向けた取組の充実のほか、アイヌ文化と連携した産業・観光振興など、新たな視点を加え、アイヌ施策の推進にしっかりと取り組んでまいりたい。

(3)性的マイノリティの理解促進の取組について

○札幌市では、パートナーシップ宣誓制度を始め、「LGBTフレンドリー指標制度」の実施など、市民や企業への理解促進の取組を行ってきたところ。

○これらの取組によって、性的マイノリティに関する理解は、少しずつ進んできているが、必ずしも広く浸透しているとは言えないと認識。

○今後、性的マイノリティの理解をさらに広げるため、雪まつり会場での掲示や地下鉄車内広告など、様々な媒体を活用し、できるだけ多くの市民の目に触れるよう工夫しながら啓発に努めてまいりたい。

no6
SDGsを踏まえた教育の推進について

現在、我々をとりまく問題は、少子高齢化、貧困格差など、以前にも増して専門的で、複雑化・多様化しております。また、グローバル化の進展にともなって、国境を越えての協力・協調が不可欠となっております。

先に述べましたが、平成27年9月に「国連持続可能なサミット」において、「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択され、「持続可能な開発目標(SDGs)」が定められました。

本市は、世界都市としての魅力と活力を創造し続けることを目指しており、平成30年6月には、SDGsの理念に沿った、持続可能な開発を実現する潜在能力が高い都市・地域として内閣府が選定するSDGs未来都市に選定されております。

また、このたび、「フェアトレード」を推進するフェアトレードタウンに認定されております。フェアトレードは、貧困や飢餓の根絶、環境保全といった地球規模の課題の解決にも寄与する取組であることから、SDGsの一層の推進が期待できます。

SDGsの実現を目指す取組は、市民自身がその重要性を理解し、実践していくことが重要であります。そのためには、未来を担う子どもたちを育む学校において、例えば、国が推進する、持続可能な社会づくりの担い手を育てるための教育「ESD」を活用するなど、SDGsを踏まえた教育を推進する必要があります。

そこで質問でありますが、札幌市として、SDGs(エスディジーズ)を踏まえた教育の重要性についてどのように認識しているか、また、今後どのように推進しようとしているのか伺います。

○SDGsは、豊かで活力ある未来を創ることを目指す国際目標であり、これからの社会を担う子どもたちが、その理念を学ぶことは重要であると認識。

○このため、今年度、改定した札幌市教育振興基本計画において
SDGsの理念を踏まえた施策を推進するとともに、新たに札幌市の学校教育の重点にも位置付け、各学校における取組を進めているところ。

○今後も、SDGsに示されている自然環境や健康と福祉、人権などの課題を、身近な問題との関わりから捉え、主体的に行動を起こそ うとする意欲や態度を一人一人の子どもに育んでまいる。