議会報告

平成31年 第1回定例議会
代表質問 涌井 国夫 議員
(西区)

札幌市議会本会議において公明党議員会を代表して 涌井 国夫議員が代表質問を行いました。

以下、質問とそれに対する答弁の要旨を紹介します。

目 次

1 市長の政治姿勢について
(1) 「まちづくり戦略ビジョン・アクションプラン2015」の達成状況と評価について
(2) 財政運営の振り返りと課題について
(3) 市制施行100年の認識と次の100年を見据えたまちづくりについて
(4) さっぽろ連携中枢都市圏について
(5) 改正入管法に伴う本市の対応について
(6) 女性活躍の推進について
2 文化芸術の振興について
(1) 文化芸術振興のこれまでの評価について
(2) 社会包摂の観点での今後の文化芸術振興について
3 被災地の復旧復興対策及び今後の災害対策について
(1) 里塚地区における本格復旧工事について
(2) 被災者の生活支援について
(3) スフィア基準を踏まえた避難所のあるべき姿について
4 観光資源としての水族館の活用について
(1) 水族館の役割や機能、在り方について
(2) 水族館の将来的なリニューアルについて
(3) 水族館を拠点とする周遊ルートづくりについて
5 市内展示機能の強化と地場産業の振興について
6 障がい者雇用について
7 公立夜間中学について
no1
市長の政治姿勢について
(1)「まちづくり戦略ビジョン・アクションプラン2015」の達成状況と評価について

秋元市長は、就任時に「誰もが安心して暮らし生涯現役として輝き続ける街」と「世界都市としての魅力と活力を創造し続ける街」という二つの未来の札幌の姿を掲げ、市長公約を実現するための事業や人口減少対策に関する事業を含め、計画期間内に札幌市が実施する全ての政策的事業を「まちづくり戦略ビジョン・アクションプラン2015」に盛り込みました。

中でも、保育・子育て支援センターの全区設置を始め、みなみの杜高等支援学校の新設や昨年10月にオープンした札幌市民交流プラザへの「図書・情報館」の設置など、我が会派が求めてきた施策の多くが実現されました。

一方で、この4年間という短い期間においても、様々な社会経済情勢の変化や新たな市政課題の出現などがあり、加えて、今後、人口減少・超高齢社会という難しい時代に対応したまちづくりを進めていくためには、ここでアクションプランの達成状況を振り返って評価し、次なる施策に活かしていくことが非常に重要と考えます。

そこで質問でありますが、秋元市政を体現した計画であるアクションプラン2015の達成状況と、それを踏まえたご自身の評価について伺います

(2)財政運営の振り返りと課題について

一般会計の新年度予算案の規模は、骨格予算でありながらも1兆193億円で過去最大となりました。この予算案の特色としては、国土強靭化に資する建設費について6年連続で1,000億円以上を確保したこと、子ども関連予算についても市長の任期中に36%増となる1,837億円を計上したことが挙げられます。本年10月に予定されている消費税率引上げに関しても、地域における消費を喚起するためのプレミアム付商品券の発行を予定するとともに、新たに幼児教育・保育の無償化に取り組むこととするなど、適切な対応を図っていると考えるところであります。

確かに、市長就任前の平成27年度予算8,722億円と比べ、一般会計の予算規模は任期4年間で17%の増となったところでありますが、市税収入も2,811億円から3,309億円と18%の増であり、予算規模に見合った伸びを果たしているところです。加えて、臨時財政対策債を除く建設債等の市債残高については、市長就任前の平成26年度末5,970億円に比べて31年度末見込みは6,031億円と微増(1%増)にとどめており、財政需要が高まる中でも健全な財政運営に努めたものと評価しております。

そこで質問でありますが、4年間の財政運営を振り返った評価と、今後の中長期的な財政運営の課題について、市長の認識を伺います

(3)市制施行100年の認識と次の100年を見据えたまちづくりについて

来る2022年は、市制施行から100周年となる記念すべき年であります。

本市の発展の節目としてひときわ大きいのが昭和47年の冬季オリンピック開催であります。当時の札幌は、オリンピックのほかにも、政令指定都市への移行を控え、地下鉄の開通や地下街のオープン、市役所新庁舎の完成などが相次ぎ、今日の札幌の街が形作られた時期でもありました。

一方で、次なる100年は、人口減少・超高齢社会に入り、従来どおりの手法や考えのままでは立ち行かない、難しい時代を迎えるものと考えます。

我が会派は、国際社会共通の目標として掲げられた持続可能な開発目標、すなわちSDGsの理念に基づく取組の推進をかねてより訴えてまいりました。

SDGsが掲げる「持続可能な経済成長」や「人間らしい雇用」、「強靭なインフラ構築」といった項目は、まさに今後の札幌市のまちづくりの指針となるものと考えます。

そこで質問でありますが、2期目の市政のかじ取りを担う決意を表明した秋元市長は、札幌のこれまでの100年の歴史をどう認識し、そして、次の100年を見据えたまちづくりについてどのようにお考えか、伺います

(4)さっぽろ連携中枢都市圏について

連携中枢都市圏の形成は、これまで基本的に札幌市民に対する行政サービスについて考えてきた札幌市行政にとっても、そして我々札幌市議会にとっても、一つの転換点に当たり、今後の行政運営を考える際に、新たな視点を持つ必要が生じているのではないかと考えます。

この圏域の強みの一つである観光分野において、それぞれの市町村の持つ、食や豊かな景観といった強みや特徴を生かし、例えば、記念の植樹のように、圏域住民が他のまちに何度も足を運ぶような工夫をすることなどにより、圏域住民、特に札幌市民が圏域内の他の市町村を周遊することも、圏域全体の発展に向けては、欠かせないものであると考えます。

こういった経済や観光分野の取組については、現在公表されている「さっぽろ連携中枢都市圏ビジョン(案)」に盛り込まれており、5年間という期限を定め、様々な連携事業を実施することとされております。今回、連携協約を締結することで、それぞれの市町村とは長期に渡って連携していくことになりますが、まずは、この最初の5年間で、ある一定程度の成果をあげ、連携する市町村や、その住民の皆様に「連携中枢都市圏ができてよかった」と喜んでもらうことが、この取組が成功する大きな鍵となるのではないでしょうか。

そのためには、この5年間での短期的な目標や理想とすべき連携の姿などを持ちながら、取組を進めていくことも重要であると考えます。

そこで質問でありますが、圏域の形成により、どのような視点が求められると考えているのか、また、長期にわたって連携していく中で、今後5年間の取組をどう位置づけるのか、市長の考えを伺います

(5)改正入管法に伴う本市の対応について

「出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律」いわゆる「入管法」が成立し、本年4月1日に施行されます。今回の法改正は、市内企業の労働力不足を解消し、札幌経済の歯車をうまく回す潤滑油となることが想定される一方で、昨年末の国会では法改正に係る様々な問題が議論されていました。

その一つが、生活者としての外国人に対する支援の問題であります。現状では行き届いていない医療・保健・福祉サービスの提供、日本語教育の充実、外国人児童生徒への教育、さらに、行政・生活情報の多言語化、相談体制の整備などが必要となってきます。この点において、国では、情報提供・相談を多言語で行う一元的窓口、仮称「多文化共生総合相談ワンストップセンター」を全国約100か所に作ることを予定しており、政令市である札幌市にも当然設置されることとなります。

これから札幌市の様々な部署で、先程述べた支援などについての準備が行われることとなり、施行までの時間も少なく大変な作業となるであろうと思いますが、とりわけ大切なのは、やはり法改正の発端となった労働力不足への対応であります。労働力不足に対し、これまで札幌市が女性や高齢者の雇用促進を積極的に進めてきたことは評価しますが、今回の法改正に伴って、市内企業による外国人材の雇用についても前向きに考えていく必要があります。

そこで質問ですが、現段階において、市内企業の外国人材に関するニーズや課題認識について、どのようにとらえているのか。また、その課題解決に今後どのように取り組んでいくのか伺います

(6)女性活躍の推進について

結婚や出産の時期に労働力率が一旦低下する、いわゆるM字カーブを解消するためには、子育て中の女性への支援が重要となります。札幌市は政令市の中で、人口に占める女性の割合が最も高い一方で、女性の有業率は低い状況にあります。

こうした課題に対して、我が会派は一貫して速やかな対策を求め、具体的な提案もさせて頂きながら力強く推進してきました。その中で、平成30年10月に、子育て中の女性が希望に合った働き方を見つけるための相談窓口である「ここシェルジュsapporo」を開設したほか、別々の場所で事前登録が必要であった子どもの預かりサービスについて、市内3か所「こそだてインフォメーション」において一元的に手続きができるようにし、利便性を向上させるなどの取組を実施しております。

これらの事業を構築するに当たっては、昨年度、女性経営者や、女性の活躍を支える企業あるいは団体などの有識者で構成する「さっぽろ女性応援会議」の設置や、札幌市の女性職員によるプロジェクトチームの立ち上げにより、現場に近い声を反映させながら、スピード感を持って今年度の事業実現につなげたことを評価しているところでありますが、今後は、始まった事業を着実に成果につなげていくことが必要であります。

そこで質問でありますが、女性の活躍を推進する取組について、今後どのように進めていくのか伺います

(1)「まちづくり戦略ビジョン・アクションプラン2015」の達成状況と評価について

○アクションプランに位置付けた取組については、全てに着手するとともに、ほぼ計画通りに推移しており、主要事業の進捗状況を示す活動指標について概ね目標達成する見通しである。

○特に、喫緊の課題である子育て支援に意を用いた結果、保育所の定員数や保育士の就職支援による就職者数などについて、アクションプランの目標値を大幅に上回る見込みである。

○さらに、北海道胆振東部地震からの復旧・復興を始め、性的マイノリティへの支援や、医療的ケアを必要とする児童への支援など、アクションプラン策定時には想定していなかった新たな課題に対しても機動的に対応してきたところ。

○こうしたことから、社会経済情勢の変化に柔軟に対応しながら、アクションプランで目指してきた札幌の未来像の実現に向けた歩みを着実に進めることができたと認識。

(2)財政運営の振り返りと課題について

○この4年間は、都市の魅力や活力の創造には積極的に資源を投入しつつ、財政規律の確保にも意を用い、「バランス」を重視した財政運営を心掛けてきた。

○具体的には、民間の活力を最大限活用しながら、まちのリニューアルを進めるとともに、市政運営上の喫緊の課題、例えば子育て支援や経済活性化は、予算編成の重点分野として機動的に取組を推進。

○一方、アクションプラン期間中の基金の取崩しや市債の残高は、計画策定時の想定を下回る水準にとどめることができ、将来世代に過度な負担を残さない財政運営を行うことができたと認識。

○また、今後の中長期的な財政運営については、札幌市は財政基盤が脆弱で地方交付税への依存度が高いという環境の中で、さらに人口減少局面に伴う税収の減少が予測されるなど、楽観視できない状況。

○そのため、都市再開発や企業誘致などの税源涵養の取組による歳入の確保と、事務事業の不断の見直しによる歳出の削減を、両面から行っていくことが必要。

○さらに、中長期の人口規模や財政見通しを踏まえた公共施設マネジメントの取組により、施設総量の適正化を図りながら、市債残高をコントロールするなど、持続可能な財政運営を行うことが重要。

(3)市制施行100年の認識と次の100年を見据えたまちづくりについて

○1922年の市制施行によって、より多くの市民が選挙に参加し、市会において市に関する事件を広く議決できるようになるなど、札幌市民が自らの手でまちをつくる自治の基礎が形成されたと認識。

○その後、札幌がこれだけの大都市へと発展を遂げたのは、様々な立場の市民によるまちづくりへの参画とともに、議会、行政における多くの先人の並々ならぬ努力と労苦の賜物であると受け止めている。

○一方、市制施行以来100年間は右肩上がりで増加してきた人口も、間もなく減少に転じる見通しであり、まさに札幌にとって時代の転換期を迎えていると考えている。

○次の100年を見据えて、先人から受け継いできた成熟した自治をさらに深化させるとともに、人々を魅了してやまないこの街の魅力を一層磨き上げ、持続可能な形で将来の世代へ引き継いでまいりたい。

(4)さっぽろ連携中枢都市圏について

○連携中枢都市圏の中心都市となる札幌市は、地方交付税などの財源を活用しながら、市域を超えた圏域全体の発展に資する取組を積極的に担うものと認識。

○この場合、連携事業を通じた、連携市町村の魅力・活力の向上が、経済や生活面で密接な関係を有する札幌市にも好影響を及ぼすことを十分に意識しながら、連携市町村と札幌市の発展の調和を図っていくという視点が重要と考えている。

○また、今回のビジョンの計画期間とした5年間は、将来にわたってより密な連携を行うための基礎固めの期間と考えており、まずは経済分野での連携などによる成果の積み重ねや、観光分野などの初年度において検討段階にとどまる事業の具体化を図ることなどを想定。

○このように連携関係を着実に深めながら、さっぽろ連携中枢都市圏ビジョンに掲げる将来像の実現に向け、中心都市としての役割を果たしつつ、圏域一丸となった取組を進めてまいりたい。

(5)改正入管法に伴う本市の対応について

○昨年10月、外国人材の受入れ拡大に向けて、出入国管理及び難民認定法の改正案の骨子が示されたことを受け、札幌市においても市内の経済団体や業界団体、就労支援機関などを対象に、外国人材に係るニーズや課題についてのヒアリング調査を実施。

○ヒアリングの結果として、専門的な技術などを有する高度人材を除いた外国人材については、現時点で雇用までは考えていないという声が大半を占めた一方で、仮に雇用するとすれば、「在留期間の延長」、「外国人と企業のマッチングの場の提供」、「日本語習得や生活面の支援」などを望む声が多いことがわかった。

○今後も労働力不足は深刻化していくと見込まれることから、引き続き、国の動きを注視しながら、外国人材の受入れへの支援について、北海道や関係団体などと連携し、取り組んでまいりたい。

(6)女性活躍の推進について

○「さっぽろ女性応援会議」を始め、様々な機会で出されたご意見を踏まえると、女性の活躍のためには、社会全体として女性を取り巻く環境への理解をさらに深めていくことはもとより、個々人の意識改革を進めることが特に重要であると認識。

○これまで札幌市では、国や道、経済団体等との連携を図りながら、多様な働き方を支援する窓口の開設や、子育て環境の充実、企業の取組を促すための支援など、種々の対策を講じてきたところ。

○今後は、これらの取組について、一層の周知を図るとともに、より実効性を高めるため、利用者などのニーズを的確に把握し、さらに拡大してまいりたい。

no2
文化芸術の振興について
(1)文化芸術振興のこれまでの評価について

私はかねてから、札幌市においては、文化芸術を享受できる環境を作り、文化芸術を地域の産業として育み発信することが、札幌市の魅力を高め、そして、さらなる繁栄につながるものと考えてきたところであります。

そのため、平成19年には、会長を務めてきた文化芸術議員連盟を中心に、会派を超えて、様々な議論や検討を重ね、札幌の文化芸術振興の確たる後ろ盾となるよう、議員提案により「札幌市文化芸術振興条例」を策定しました。

条例の規定に基づき、そしてその趣旨を踏まえて「札幌市文化芸術基本計画」を策定し、計画に基づき札幌市の文化・芸術の振興を進めていただいたところです。例えば、世界三大教育音楽祭の一つと言われるPMFでは、昨年はバーンスタイン生誕100周年記念、今年は開催30回記念を迎えるに至り、市民にとって身近な場所で、世界水準の優れた音楽を気軽に聴くことができる機会が提供され続けております。

また、子どもたちの文化芸術活動については、子どもたちがオーケストラやミュージカルを鑑賞する機会の充実に加え、(平成20年に)芸術の森野外美術館の敷地内にオープンした「佐藤忠良記念子どもアトリエ」などを活用し、子どもたちが楽しみながら美術を体験できる機会も増えるなど、より一層充実されております。

さらに昨年10月には、札幌の多様な文化芸術活動の中心的な拠点となる「札幌市民交流プラザ」もオープンしました。これを機に、札幌の文化芸術と札幌の資源・魅力をさらに連携させ、文化芸術の力を活用してまち全体を活気づけることで、ますますの都市の魅力アップにつなげていけるものだと考えております。

文化芸術基本法に基づいて、国が平成30年3月に策定した「文化芸術推進基本計画」においては、文化芸術の「社会包摂機能」を生かした「心豊かで多様性のある社会」などを今後の目指すべき姿として掲げており、また、平成30年6月には、「障害者による文化芸術活動の推進に関する法律」が施行されたところであります。

まちのいたるところで年齢、障がいの有無、経済的な状況などに関わらず、そして、最近は外国人観光客も増えている状況を鑑みると、国籍にも関わらず、あらゆる人が芸術文化に触れ、参加できる機会をつくることは、多様な価値観を尊重し合うことにつながり、まちのにぎわい創出にもつながるものと考えるところであります。

また、それらの取組は、文化芸術と地域社会、教育、福祉、観光など様々な分野との連携を図ることとなり、条例を制定した際の趣旨の一つでもある、文化芸術を地域の産業として育むことにもつながるものと言えます。

ここで質問でありますが、まず、平成19年に条例が施行され、約12年経過しましたが、札幌市の文化芸術振興のこれまでの評価について伺います

(2)社会包摂の観点での今後の文化芸術振興について

次に、国の計画や新たな法律も踏まえ、障がいの有無や国籍に関わらない、社会包摂という観点から、札幌市の今後の文化芸術振興について、市長の考えをお伺いします

(1)文化芸術振興のこれまでの評価について

○今年度実施した市民意識調査では、文化芸術に関する事業について、「市がよくやっていると思う」と回答した市民の割合は、全22項目中4番目に高くなっており、市民からは一定の評価を得ているものと認識。

○一方で、札幌の文化芸術の魅力を国内外に発信する取組や、産業・観光等他分野と連携した取組については、まだ十分とは言えない状況と考えている。

○昨年10月には市民交流プラザもオープンし、市民が文化芸術に触れる環境は整ってきており、今後は更に、街全体の活力や魅力を向上させる観点から、文化芸術の振興に取り組んでまいりたい。

(2)社会包摂の観点での今後の文化芸術振興について

○札幌市では、まちづくり戦略ビジョンにも掲げているとおり、互いに手を携え、心豊かにつながる共生のまちの実現を目指しており、文化芸術は、その実現に向けて大きな役割を担うものと認識。

○具体的には、各文化施設における多目的トイレや託児室などの設置はもとより、身体の不自由な方にも楽しんでいただけるジャズイベントや親子で参加できるアート企画、さらには、解説の一部多言語化対応など試行的な取組も実施しているところ。

○今後も、障がいの有無、年齢、国籍などに関わらず、全ての方にとって、文化芸術に触れる機会が、より身近なものとして感じられるよう取組を進めてまいりたい。

no3
被災地の復旧復興対策及び今後の災害対策について
(1)里塚地区における本格復旧工事について

平成30年9月に発生した北海道胆振東部地震による里塚地区の家屋の被害は、全壊家屋が64戸、大規模半壊が34戸、半壊が30戸に至りました。

現在は市街地復旧推進室が中核となって現地に相談窓口を開設し、対策範囲である100世帯余りのうち既に約30世帯から直接相談も受け、窓口対応だけでなく職員が直接被災者宅を訪問して話を伺っているなど、被災者支援への努力がなされていることも承知しております。

しかし、復旧のスケジュールについては、工事の着手が雪解け後の春以降ということで、具体的なスケジュールについては示されず、里塚地区の宅地復旧、住宅再建の時期的な目途がまだ立てられない状況であります。

住民からは、個々の今後の対応を考える上でも、市から工事手順を提示されたほうが、いつまでに自分が判断しなければならないかが明確になることから、大まかでもいいから工事の工程を示して欲しい、との声が我が会派に多く寄せられております。工事手順については、請負業者が立案し、市の担当者と協議して確定されるものであるのは承知しているところでありますので、一日でも早く請負業者を決定していただきたいと思います。

一方、公共事業においては、人出不足や機材需要の高まりから、札幌市が発注する工事での入札参加数が減少傾向であり、入札不調により工事着手が遅れるというリスクがないよう、早い段階で施工業者を確実に確保すべきと考えます。工事を早く発注し、請負業者を確実に確保し、工事手順を早急に住民に示し、工事を一日でも早く完了することが、コミュニティの確実な再生につながるものと確信しています。

そこで質問でありますが、里塚地区の早期の住宅再建とコミュニティの確実な再生に向けた、対策工事の施工業者の確実な確保についてどう考えているのか伺います

(2)被災者の生活支援について

我が会派では、昨年10月16日、札幌市長に対して「平成30年北海道胆振東部地震からの復旧・復興に向けた取り組みの推進を求める要望書」を提出し、一部損壊以上の住宅被害を受けた市民に対し、一刻も早い生活再建に資するよう、応急仮設住宅への入居要件の緩和や義援金の迅速な配分など各種支援策の充実強化のほか、特に被害の大きかった清田区では、道路、住宅及び水道の一体的かつ迅速な復旧を図っていくため、組織横断的に関連業務を一元的に扱い、進行管理する部署を設置することなどを求めてまいりました。
しかしながら、地震発生から5か月が過ぎた今も、数多くの市民が元の日常生活を取り戻せずにおり、今年1月の1か月間を見ただけでも、計304件のり災証明書が発行され、1月末までの累計で5,619件となっております。これは、生活再建に向けた支援が今もなお必要とされていることの証左であると思うわけであります。
そこで質問でありますが、これから生活再建に向けて踏み出そうとする方がいることなども踏まえ、札幌市として、その歩みをしっかりと後押しできるような支援制度の運用が引き続き必要であると考えますが、被災者の生活支援について、今後どのように取り組んでいくおつもりか伺います

(3)スフィア基準を踏まえた避難所のあるべき姿について

札幌市の避難所は、比較的早期に閉鎖されていますが、長期にわたって避難所を運営した経験を有する自治体も多く、そういった自治体が作成した計画、マニュアルには大変有用なものが見受けられます。

また、避難所における良好な生活環境の確保については、国際的にはスフィア基準が広く知られております。これは、国際赤十字などによって、生命を守るための主要な分野における、最低限満たされるべき基準を定めたものです。

スフィア基準については、内閣府の避難所運営ガイドラインにおいても、「今後の我が国の避難所の質の向上を考えるとき、参考とすべき国際基準である」とされております。

そこで質問ですが、現在、札幌市では避難所の環境改善に向け、避難場所基本計画の見直しを行っておりますが、計画の見直し議論を進める際には、スフィア基準のような国際感覚も十分に考慮した対応が必要と考えます。避難所の質の向上を目指すうえで、避難所のあるべき姿についてどのように考えているのか伺います

(1)里塚地区における本格復旧工事について

○里塚地区の市街地の復旧が一日でも早く進むことが、コミュニティの再生につながるものであり、復旧工事を行う施工業者を確実に確保していく必要があると考えている。

○復旧工事は、家屋直下の地盤改良や道路、下水道などの工事が輻輳するなかで、住民の生活環境を確保するとともに住宅再建のスケジュールとの調整も必要とするなど、高度な技術力と調整力が求められる。

○このため、実績や技術提案を評価する契約方式を導入するとともに、早期発注に加え、早い段階から工事概要や入札条件などの発注情報を広く周知することで多くの入札参加者を募り、確実な発注につなげてまいりたい。

(2)被災者の生活支援について

○北海道胆振東部地震の被災者に対するり災証明書の発行については、現在も続いており、生活支援が引き続き必要であると認識。

〇現在も、り災証明書の発行に合わせて、被災された方に各種支援制度の申請方法等に関する案内を郵送しているほか、生活支援等の情報を集約し整理した「生活支援ガイド」などを随時更新し、区役所やまちづくりセンター等で配布するなど、支援制度の周知を図っているところ。

〇今後も、り災証明書の発行や被災者の生活再建の状況などを踏まえながら、引き続き、被災者支援室を中心に被災者の生活支援にしっかりと取り組んでまいりたい。

(3)スフィア基準を踏まえた避難所のあるべき姿について

〇避難所は、被災された方に対し、良好な居住環境を提供し、食料など生活関連物資の配布を行うことにより、健康的な生活を送っていただくことが求められる施設である。

〇また、やむを得ない理由により車中泊をされている方などに対しても、生活関連物資の配布や必要とされる情報の提供が求められる施設であると考えている。

〇これまでも、継続的に避難所の環境改善に取り組んできたところであり、現在、スフィア基準を始め多くの事例を参考に、妊産婦の方、障がいのある方など、様々な方により配慮できるような避難所を目指し議論を進めている。

スフィア基準

  • 正式名称:「人道憲章と人道対応に関する最低基準」
  •  1998年にNGOや国際赤十字などにより策定され、国際社会における紛争や災害による人道支援の基準として認知されている。
     人道行動のプロセスや生命を守るための主要な分野における最低限満たされるべき基準を定めている。
  • (最低基準)
  • (1) 給水、衛生、衛生促進
    必要な衛生用品(石鹸、トイレ用品)、必要な水の供給量、給水所までの距離(500m以内)、男女別のトイレの必要数(女性は男性の3倍)など
    (2) 食糧の確保と栄養
    食糧の栄養価、食品の安全基準など
    (3) シェルター、居留地、ノン・フードアイテム(非食糧物資)
    覆いのある生活空間の確保、一人当の必要スペース(3.5㎡以上又は健康、プライバシー面への配慮)、寝具、照明、衣料品等の生活用品の提供など
    (4) 保健活動
    感染症対策、新生児対策、メンタルヘルス対策など
no4
観光資源としての水族館の活用について
(1)水族館の役割や機能、在り方について

サンピアザ水族館が立地する新さっぽろ地区は、平成27年に策定された「新さっぽろ駅周辺地区まちづくり計画」に基づき、現在、再開発に向けて具体的な動きが進んでおり、今後、駅周辺の利便性と賑わいはさらに増していくことが予想されています。この機会を捉えて、副都心再開発に対する市民や事業者の関心と期待を集め、事業を加速させ、再開発の効果を高め、副都心の魅力を向上させるためにも、水族館の持つ潜在的なポテンシャルと観光資源としての可能性についても着目すべきと考えます。

現状では、サンピアザ水族館は、札幌市が出資する株式会社札幌副都心開発公社が独自に運営しており、札幌市が施設整備や事業展開に直接関与できるものではありませんが、開発公社の筆頭株主として事業内容に積極的に発言できる立場にあることから、今後は、副都心の再開発やまちづくりにおいて、水族館を取り残すことなく、そのリニューアルと観光資源としての活用に向けて議論を開始すべきではないかと考えるところです。

2022年には札幌市政100周年を迎え、水族館のリニューアルを、その節目のシンボルに位置付けていくことにより、水族館への関心も高まり、100周年への機運も高まるといった相乗効果も期待できるところであります。

そこで質問でありますが、札幌市では、水族館の役割や機能、その在り方についてどのような認識を持っているのか

(2)水族館の将来的なリニューアルについて

また、水族館の持つ潜在的なポテンシャルや先進事例を踏まえつつ、観光資源として位置づけ、水族館の将来的なリニューアルを現在進行中の副都心再開発事業と一体的に捉えて検討すべきと考えるがいかがか

(3)水族館を拠点とする周遊ルートづくりについて

そして、インバウンドなども見据えて近隣の他施設と連携し、水族館を拠点とする周遊ルートをつくり、滞在型のモデルプランを観光業界に提案していくべきと考えますがいかがか伺います

(1)水族館の役割や機能、在り方について

○サンピアザ水族館は、科学・社会文化の振興発展に寄与する施設として昭和57年に新さっぽろ地区に設置され、水中生物を身近に感じられる、子どもの教育施設としても市民に親しまれてきていると認識。

(2)水族館の将来的なリニューアルについて

○現在進んでいる副都心再開発事業を見据えて、相乗効果が図られるよう、設備の更新等を含めて、効果的な運用について運営会社と検討してまいりたい。

(3)水族館を拠点とする周遊ルートづくりについて

○来札観光客の滞在日数の長期化に向け、周遊を促進させるためには、郊外型の観光資源を点で捉えるのではなく、エリア単位での視点が重要であると認識。

○新さっぽろ周辺のエリアには、サンピアザ水族館に加え、青少年科学館や北海道博物館、北海道開拓の村といった観光資源が集積しており、教育旅行向けなどの周遊ルートを形成することが可能であると考えているところ。

○今後は、観光客のニーズや当該エリアの現状を分析したうえで、連携中枢都市圏の枠組の活用や観光事業者との連携などを意識しながら検討を進めてまいりたい。

no5
市内展示機能の強化と地場産業の振興について

展示会は、製品・サービスの情報発信や商談を行う場であり、企業や業界団体が主催者となって数多く開催されていますが、出展者や来場者など多様な消費活動を誘発し、地域への経済波及効果も大きいものと考えられています。

本市では昭和59年(1984年)6月、道内最大の本格的な公的展示施設として札幌流通総合会館(アクセスサッポロ)がオープンしました。同館では知名度の高まりとともに催事数が増加し、平成28年度(2016年度)には稼働率8割を超えるなど、数多くの催事で利用され、本市の産業振興に寄与しているところです。

しかしながら、近年、アクセスサッポロの利用者である催事主催者からは、催事の変化に応じて、より広い展示スペースを求める声があるほか、最新の映像・音響設備や、冷房設備、防音対策等の必要性を指摘する声もあるように聞いており、展示施設としての基本的な機能が不十分であることによって、新たな展示会の機会を逃している可能性も懸念されるところです。

展示会は一定期間に関係者が集まるため、商談やマーケティングが効率的に行えるだけでなく、実物を見ることや対面による信頼関係を築くことができるものであり、インターネットが普及した現在においても、その重要性は変わりません。特に多くの費用をかけられない市内中小企業にとっては、営業活動を行いやすい場であり、地域経済活性化の観点からも有効な手段であります。

今後もその機会を安定的に提供し、地場産業の育成を通じて産業振興を図るためには、時代の要請に応え、様々な展示会に対応できるよう、アクセスサッポロを始めとする市内展示機能を強化すべきと考えます。

そこで質問ですが、地場産業の育成や振興の観点から、アクセスサッポロの再整備について、早期に方向性を検討する必要があると考えますが、いかがか伺います

○アクセスサッポロは開館から34年が経過しており、施設の老朽化に加え、議員ご指摘のとおり、設備面において主催者ニーズの変化に対応できていないといったご意見を頂戴しているところ。

○また、同施設を始め、市内で展示機能を有する施設の稼働率は高く、市内全体の展示機能としては、供給量がやや不足している状況にあるものと認識。

○これらのことから、一部の催事では機会損失が生じているところであり、その対応として、アクセスサッポロ再整備の是非について、検討すべき時期にあると考える。

○今後は、札幌市全体における需要と供給の動向を踏まえながら、市内展示機能の強化について一定の方向性を出し、地場産業の振興に寄与してまいりたい。

no6
障がい者雇用について

札幌市では、平成15年度から障がいのある方の採用選考を開始し、今年度からは、知的障がいのある方及び精神障がいのある方にも、受験対象を拡大したと聞いています。これまで15年以上に渡り障がいのある方を採用してきたこと、また、今年度から受験対象を拡大したことについては一定の評価はできますが、札幌市全体としては、いまだ法定雇用率を満たしていない状況であり、引き続き、積極的に雇用を推進していく必要があります。

社会全体で障がいのある方の雇用をより推進していくためには、行政が率先して取り組んでいくことが重要と考えており、知的障がいや精神障がいのある職員に対して、個々の事情に応じた仕事の補助や相談体制を整えるなど、職場環境の向上につながるような取組の検討は必要であります。

また、単に採用すればよいというわけではなく、採用された後もやりがいを持って長く仕事を続けていけるような支援体制を整えることも極めて重要であります。国では常勤職員としての採用が内定した障がいのある方について、採用後に円滑に業務を開始できるようにするため、本人の希望に応じ、採用前に非常勤職員として勤務できるプレ雇用を行う方針であると聞いております。また、自治体によっては、特別支援学校からの実習やチャレンジ雇用を経た採用という取組の事例もあります。

そこで質問でありますが、今年度の障がいのある方の採用選考の結果と併せて、採用された障がいのある職員のために、どのような配慮を行うことを考えているか伺います

また、知的障がいのある方については、他の障がいのある方と同じ筆記試験を受験しても合格することは困難であると考えられることから、単に障がいの程度を測るような内容ではなく、試験方法についても何らかの配慮が必要ではないかと考えます。

そこで質問でありますが、今後の障がいのある方の採用選考の方法について、どのように考えているのか伺います

○今年度の障がいのある方の採用選考の結果については、7名が最終合格となり、その内、身体障がいのある方が5名、精神障がいのある方が2名となっている。

○障がいのある方に対しては、採用の前後において、きめ細やかな面談を行い、本人が抱える不安や必要な配慮事項などを把握し、職場環境の改善などについてもできる限りの対応を行っているところ。

○今後の採用選考の在り方については、今年度の選考結果を検証のうえ、国や他自治体の取組なども参考にしながら検討してまいりたい。

no6
公立夜間中学について

文部科学省が公表した「平成29年度児童生徒の問題行動・不登校調査」によると、年間30日以上欠席した不登校の子どもは、全国の小中学生合わせて前年度比7.7%増の約14万4,000人に上り、5年連続で増加したとのことであります。

また、先に触れました「入管法」の改定を受け、昨年12月25日「特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する基本方針について」が閣議決定され、外国人材の適正・円滑な受入促進とともに、外国人との共生社会の実現に向けた環境整備を推進することが示されたところであり、我が国の教育を取り巻く状況も、大きな曲がり角に来ていることを改めて感じるところであります。

我が会派では、従前から公立夜間中学の早期設置を求めてきたところでありますが、こうした社会情勢の変化に対応していくためにも、今後より一層のスピード感を持って取り組むべきであると考えます。

そこで質問でありますが、このような状況を受けて、札幌市として、公立夜間中学の設置について、どのように検討を進めていく考えか伺います

○義務教育を修了しないまま学齢期を経過した方や、不登校などの事情から実質的に教育を受けられないまま卒業し、中学校で学び直すことを希望される方、近年増加する日本国籍を有しない方などに、教育を受ける機会を保障することは重要なものと認識。

○また、他都市の公立夜間中学の事例においても、その果たす役割は多様であり、それぞれの地域の実情に応じて、年齢や国籍など、様々な方々の受け入れが行われているところ。

○このため、設置に当たっては、教育ニーズを踏まえた学校づくりが重要であり、基礎的な知識や技能を学ぶことはもとより、不登校のまま卒業された方等への教育機会の確保を含め、札幌市の課題に応じた「学びの場」の提供を目指すべきと考えているところ。

○今後は、こうした課題の把握や整理とともに、教育内容の検討等を行いながら、公立夜間中学の設置について、前向きに検討を進めてまいりたい。