議会報告

平成30年 第3回定例議会
代表質問 竹内 たかよ 議員
(清田区)

札幌市議会本会議において公明党議員会を代表して 竹内 たかよ議員が代表質問を行いました。

以下、質問とそれに対する答弁の要旨を紹介します。

目 次

1 市長の政治姿勢について
(1) 北海道胆振東部地震等を踏まえた対策について
(2) 今後の財政運営の方向性について
(3) フェアトレードタウンの認定について
(4) 都心アクセス道路について
(5) 冬季オリンピック・パラリンピック招致について
(6) ICTを活用した行政手続きのオンライン化について
(7) (仮称)さっぽろ連携中枢都市圏ビジョンについて
2 経済・観光振興施策について
(1) スノーリゾート地域の形成について
(2) 中小企業への支援体制の強化について
3 食品ロス対策について
(1) 事業系食品ロスの削減について
(2) フードバンク活動の推進について
4 健康支援・高齢者福祉施策について
(1) 胃がん対策について
(2) フレイル予防も含めた高齢者の健康支援について
5 札幌市における森林の保全・整備について
6 教育施策について
(1) 北海道胆振東部地震後の子どものケアについて
(2) 新しい学習指導要領を踏まえた取組について
(3) 人権教育の充実について
(4) 公立夜間中学の設置について
no1
市長の政治姿勢について
(1) 北海道胆振東部地震等を踏まえた対策について
  • 震災を受けての市長の考え

    今回の震災では、震源7を記録した厚真町近郊では一瞬にして多くの尊い人命が奪われ、多くの方が避難所生活を余儀なくされております。本市においても1名の方が犠牲になられるとともに、清田区では今なお避難所生活を余儀なくされている方がいらっしゃいます。さらに、市域全体において相当数の建物の倒壊や損壊が確認されており、道路や水道などにも亀裂や陥没、断水等が発生。さらに、北海道全域で停電が発生し、札幌市内においても街全体が一瞬のうちにブラックアウトに陥り、経済活動が完全にマヒしたことで、食料やエネルギーの供給等が途絶え、市民に大きな混乱を与えるとともに、市民お一人お一人の心に言い表せないほどの不安と恐怖心を与えました。

    そこで市長に伺います。市長は今回の震災をどうように受け止められたのか。そして今後いつ発生するか分からない大災害に対して、市長として札幌市民の生命と財産、生活を守るためにどのような決意で市政運営に当たられるのか市長の思いを伺います

  • 災害危機対応力の向上

    このたびの震災の経験も踏まえ、より実態に即した災害対策体制の整備が必要だと痛感しました。札幌市の地域防災計画では、地震や水害などの大規模災害発生時には、自助、共助、公助がそれぞれの立場において役割を担うことになるが、公助として大規模災害時には、市災害対策本部の状況判断や指揮能力などの本部機能が市民の生命、身体及び財産を守ることに直結するものと認識しています。市災害対策本部では、災害情報の収集、避難情報の発令、応急活動、被災者支援や復旧・復興など、市長を始めとする災害対策本部の指揮命令のもと、オール市役所として、また、防災関係機関と連携を図りながら迅速、的確な対応など、高いレベルの本部機能が求められています。このことから、今後より災害危機対応力を高めていくには、他都市で発生した災害事例はもとより、今回の地震についても、しっかりとした検証をし、また、起こり得る災害をリアルに想定しながら、より実践的な訓練を繰り返し実施することが、危機対応力を高めるために必要であると考えます。

    そこで質問ですが、市災害対策本部の運用では、市長の強いリーダーシップのもと、しっかりとした組織体制において、災害の進展経過を見据えた迅速、かつ、的確な判断や、不安を感じている市民に対する呼びかけなどが、災害時の危機対応力の向上に繋がると考えます。このようなことを踏まえ、市災害対策本部訓練の実施に向け取り組むべきと思われますが、いかがか伺います

  • 消防団の地域における役割と今後の取組

    行政機関の公助の必要性と同時に、地域防災力の向上に向けた取組に、一層力を注いでいかなければならないと考えます。地域防災については、自主防災組織が中心となり、企業や団体など、多くの組織が連携協力しながら、それぞれの地域の特色に応じた取組を行っていると認識しています。そうした多くの組織の関わりの中で、地域に根差した公的組織として消防団があります。消防団は地域住民を中心に組織されており、地域実情を熟知していることや住民と顔の見える関係にあることが特徴です。今後は、地域防災の中核として、自助、共助を充実させていく取組にも、消防団が関わりを深めていくことが必要なのではないかと考えているところです。

    そこで質問です。現実に震災に見舞われてしまった札幌市において、地域防災力の向上に向けた消防団の役割をどのように考え、今後はどのようなことに重点を置いて取り組んでいくおつもりか、伺います

  • 丘珠空港の災害対応能力の向上

    今回の地震の影響により、新千歳空港が機能を停止している中、丘珠空港は被災当日、三沢便を除く全ての便が運航しており、翌日には道内路線において臨時便4便を運航させ、道内及び道外との交通を確保しました。また、丘珠空港は自衛隊との共用空港であることから、道内の被災地へ向け、自衛隊が丘珠空港から出動し、災害対応に貢献したとお聞きしました。

    災害時における丘珠空港の有用性が改めて認識されたところであり、丘珠空港は、物資の輸送や患者の搬送等といった面で、災害時に貢献できる重要な空港であると考えております。

    そこで質問ですが、今年度は住民説明会や関係者会議等で様々な意見を聴き、将来の丘珠空港の利活用の在り方について検討していくとの事ですが、今回の地震を受け、災害対応能力の向上について議論を深めていくべきと考えますがいかがかお伺いします

  • 大雨に備えた河川の維持管理と情報の周知

    河川を始めとするインフラの多くは、高度経済成長期に集中的に整備され、長年使用されているため安全面や機能面の確保が困難となる事態が懸念されています。また、河川の施設は、流下能力の確保や機能の維持のために、日常的な維持管理が欠かせないものでありますが、その確実な実施によりリスクを未然に防止するとともに、市民の不安を解消するためには財源の確保もこれまで以上に求められると考えます。さらには西日本を襲った災害では、防災無線による避難指示のアナウンスが、雨音で聞こえなかったという声が上がるなど、災害情報の伝達の難しさが浮き彫りになりました。いざという時には市民が適切に判断して避難できるよう、必要な情報をより確実に伝える必要があると考えます。住民の安全と安心を確保し続けるためには、河川施設の補修や草刈・浚渫などの維持管理に加えて、河川情報の周知をどのように進めていくのかが、大きな課題であります。

    そこで質問ですが、昨今頻発する大雨から住民の命や財産を守るため、河川施設の老朽化を踏まえた維持管理や、防災・減災に役立つ河川情報の周知などについて、今後どのように取り組むのか伺います

  • 被災地復興に向けたまちづくり
    • 必要な支援を必要な方に届けるための取組

      9月6日に発生した北海道胆振東部地震により、札幌市内でも局地的に大きな被害に見舞われ、特に甚大な被害に遭った清田区では、地盤沈下により、道路、上下水道などの社会インフラは寸断し、住宅の損壊、断水などの被害により、避難所や親戚知人宅に身を寄せての生活を余儀なくされる住民の方々が数多くいらっしゃいます。

      被災者に寄り添いながら、急ぐべき支援は早急に、そしてしっかりと検証し適切な対応をすべきものを見極めながら、今まで以上に災害に強い札幌のまちづくりのために「創造的な復興」に向けて進むべきと考えます。一方、今週から、り災証明書に基づく臨時総合申請窓口を設置し、生活再建支援金や各種保険料の減免などの申請を受け付けるとのことですが、この申請は、住宅が全壊した約50棟、大規模半壊の約10棟、半壊の約170棟の被災者が対象で、一部損壊の約2,400棟の方々は対象となっておりません。

      そこで、質問ですが、清田区を始めとする市内各地の被災地を健やかに暮らせる安全、安心なまちへと力強く復興させていくためには、被災者の方への十分な支援体制を強化させることが重要であり、日々刻々と動く情報とともに必要な支援を必要な方に届けるため、一部損壊の判定を受けた方々を含め、どのように取り組んでいくつもりかお聞きします

    • 住宅再建への後押し

      また、今般、みなし仮設住宅の制度がスタートしたところですが、住宅再建という点では、いまだ不安を抱えたままの方がおります。こうした 方々に対し、今後、どのような後押しが必要になると考えているかお聞きします

    • 災害に強いインフラ整備を通じたまちづくり

      併せて、住民との相互理解のもと災害に強いインフラ整備を通じたまちづくりが必要であると考えるが、被災地復興に向けたこれからのまちづくりについて、市長の現時点の考えを示していただきたくお聞きします

(2) 今後の財政運営の方向性について

当初予算額9,965億円で始まった平成29年度の一般会計予算は、経済対策等に関連した国の補正予算等の活用や、オリンピック・パラリンピック基金の造成等により、最終的に1兆281億円となりました。これに対して、決算剰余金は72億円となったところですが、これは、市税決算額が2,924億円となり、予算額を42億円上回ったことが最大の要因だと考えております。市税決算額は、前年度、平成28年度と比べても43億円、1.5%の伸びとなっています。

これら市税収入の増については、景気の動向や国の経済政策もさることながら、本市が取り組む各種の施策が貢献しているとも考えられます。観光や産業振興、再開発支援などについて、アクションプランに掲げた事業に取り組んできたほか、平成29年度は、女性の活躍推進など、社会情勢の変化を踏まえた新たな取組を進めました。税収の増には、こういった様々な施策の効果も含まれているものと考えていますが、その中でも、地域経済を下支えする建設事業費について、1,000億円という規模を確保してきたことも寄与しているのではないでしょうか。持続的な財政運営に必要な財政規律を維持しながらも、必要なところには思い切った投資を行うことによって、将来のために税源涵養を進める取組は今後も引き続き必要なことと考えます。

そこで質問ですが、公共投資を始めとした地域経済活性化の取組による税源の涵養など、今後の財政運営の方向性について、市長のお考えを伺います

(3) フェアトレードタウンの認定について

フェアトレードは、情報や技術の面で弱さのある途上国との交易に参加する全ての者が、生産者の生活の安定や持続可能な生産体制の構築、環境破壊の抑止などを考慮して設定した価格で取引を行い、もって、生産国における「貧困の解消」や「持続可能な生産と消費」といった目標につなげていこうという運動であります。こうしたフェアトレードの理念や視点を私たちの生活の中に少しずつでも取り入れていけるよう、広く市民と共有する国際的な仕掛けとして、現在世界32カ国2,000以上のまちが認定を受けているフェアトレードタウンの取組があります。

フェアトレードタウンの認定には6つの認定基準をクリアする必要がありますが、基準1から5までは既に達成済みであり、残るは「自治体によるフェアトレードの支持と普及」のみです。フェアトレードに対する理解と実践をさらに一層広めていくために、今こそ自治体として支持を表明し、フェアトレードタウンの認定につなげていくべきではないかと考えます。認定を受けることで、大型イベントの開催時を始め、まちぐるみでフェアトレード産品を活用することに一層の弾みがつくことも期待できます。

そこで質問ですが、フェアトレードに関する市民の取組が徐々に広がりをみせている中、残る一つの基準である自治体による支持の表明を行い、フェアトレードタウン認定につなげていくべきと考えますが、市長のお考えを伺います

(4)都心アクセス道路について

先日、7月31日に北海道開発局が「創成川通」の計画段階評価に着手し、北海道地方小委員会の第1回目の会議が開催されました。そこでは地域や交通課題等を踏まえたうえで、都心アクセス道路に求められる三つの政策目標を設定し、その達成に向けた対策案が検討されています。

地方小委員会では、先の三つの政策目標を達成するため、高架構造や地下構造、交差点改良を組み合わせた四つの構造案が示されており、これに基づき対応方針が決められることと思います。都心アクセス道路が目標としている、北海道新幹線の延伸効果を全道に波及させるためには、2030年度末の札幌開業までに、都心アクセス道路を整備、開通させる必要があり、そのためには、国による計画段階評価の取組を促進させる必要があります。

そこで質問ですが、都心アクセス道路の実現に向けた札幌市の今後の取組内容と、地方小委員会で示された四つの構造案を札幌市はどう捉えているかお伺いします

(5)冬季オリンピック・パラリンピック招致について
  • スポーツ国際戦略を踏まえた国際競技大会の誘致

    スポーツ庁では、「第2期スポーツ基本計画」に掲げられた基本方針の一つである「スポーツで世界とつながる」を実現するものとして、先月、「スポーツ国際戦略」が策定されたところであります。このスポーツ国際戦略では、「国際競技大会の戦略的な招致・開催支援」を基本的な方向性の一つとして打ち出し、スポーツに関する国際会議や大規模な国際競技大会等の招致や開催支援を戦略的に行うとしています。我が国では、今後、ラグビーワールドカップ2019や東京2020オリンピック・パラリンピックなど、多くの国際競技大会を控え、まさにスポーツの力で活力ある社会をつくろうとしているところであり、国、自治体、関係団体等が一丸となって戦略的な活動を進めることが非常に重要と考えます。

    私は、これら国が招致を進めようとする国際競技大会の最高峰がオリンピック・パラリンピックであり、札幌市としても、国としっかり連携して、ポスト2020を見据えた国際戦略の一つに札幌招致をしっかりと位置付け、オールジャパン体制で戦略的に進める必要があるのではないかと考えます。

    そこで質問ですが、このような国の国際戦略を受け、今後、オリパラ招致を目指す札幌市として、国際大会の誘致をどのように進めていこうと考えているのか伺います

  • SDGs等の国全体の課題とオリンピック・パラリンピック招致

    スポーツ国際戦略では、中長期的目標として、スポーツの国際展開を通じてスポーツの多様な価値を向上させ、国連の「持続可能な開発目標」(SDGs)に掲げる社会課題についても、その解決に向けて、最大限の貢献をしていくとされています。SDGsは持続可能で多様性のある社会を目指すものであり、我が党がかねてより申し上げてきたオリンピック・パラリンピック開催による心のバリアフリー化、共生社会の実現にも通ずる取組であります。

    さらに、SDGsはその目標達成年次が2030年とされており、これは札幌市が目指す2030冬季オリンピック・パラリンピックと時を同じくするものであることから、SDGsの目標達成と招致の取組と有機的に関連付けて取り組むことにより、相乗効果があるのではないかと考えます。

    国が推し進めるスポーツを通じたSDGsの貢献を国と連携して進めていくことができれば、オリパラの札幌招致を国家事業として位置付け、オールジャパン体制で進めることができるのではないかと考えています。

    そこで質問ですが、SDGsの達成や共生社会の実現といった国全体の課題解決に向け、オリパラ招致をどのように位置づけ、取組を進めていくつもりか伺います

(6)ICTを活用した行政手続きのオンライン化について

インターネットの目覚ましい進展により、民間サービスにおいては、商品の購入であったり各種申込みであったり、インターネットに接続する環境さえあれば、時間や場所を気にせず済ますことができます。一方、行政手続に関しては、まだまだ役所に出向かなければならないものが大部分と感じています。
もうひとつの背景に、人手不足があります。早い段階から行政手続を効率化し、双方の手間を減らしていくことを積極的に考えなければならないと思います。近年の目覚ましい情報通信技術の進展によって、各々の市民に最適化された行政サービスを提供するための基盤は整いつつあります。

こうした背景を踏まえ、平成28年12月に、官民データ活用推進基本法が制定され、行政手続をオンライン化することが「原則」とされたところです。国では、今年5月に「地方公共団体におけるオンライン利用促進指針」を定め、地方自治体が優先的にオンライン化に取り組むべき34の手続を示すとともに、これら以外の手続についても、地域の実情等に応じ、オンライン利用の促進を図ることとされました。加えて、マイナンバーカードによる公的個人認証を活用することで、オンライン化が可能な手続の幅も広がっていくものと考えます

そこで質問ですが、これらの状況を踏まえ、札幌市ICT活用戦略に掲げる札幌の価値の創造と向上の一環として、行政手続のオンライン化にどのように取り組んでいく考えなのか伺います

(7)(仮称)さっぽろ連携中枢都市圏ビジョンについて

札幌市及び近隣の市町村においては、昨年度より連携中枢都市圏の形成に向けた検討が行われており、現在、「(仮称)さっぽろ連携中枢都市圏ビジョン」の策定に向けた作業が行われていると承知しております。連携中枢都市圏の制度の中では、幅広いご意見を反映させるため、産業、大学・研究機関、金融機関など様々な分野の関係者と協議・懇談する「連携中枢都市圏ビジョン懇談会」が定義されています。札幌市においても、この7月に第1回懇談会が開催されており、議事録を拝見したところ、長期的な目標や圏域のあるべき姿等を市町村間で共有すべきとか、各市町村の特徴や強みを活用する取組が必要などの御意見がありました。参加した方々からの、札幌市にとどまらない、広く圏域全体を見渡したご意見については、それぞれ、なるほどと思わせられるところであり、今後、札幌市が連携事業を考えていくに当たって、重要な示唆になったものと考えます。

そこで質問ですが、ビジョン懇談会で出されたご意見や、このたびの平成30年北海道胆振東部地震などを踏まえ、どのような視点を重視し、連携中枢都市圏ビジョンを作り上げていこうとしているのか、市長の考えを伺います
(1) 北海道胆振東部地震等を踏まえた対策について

○1点目の震災を受けての市長の考えについて
今回の震災により、自然の脅威や恐ろしさを改めて認識させられたところ。

○被害を最小とするために、日ごろからの備えというものの重要性を再認識し、行政、市民、企業がそれぞれしっかりと災害に備えることの必要性を強く感じたところ。

○一刻も早く被災された地域を復旧し、被災された皆さんが元気を取り戻すことができるよう、全力を挙げて取り組んでまいりたい。

○今回の震災もしっかりと検証しながら、これからも減災・防災に最大限の努力をしてまいりたい。

○2点目の災害危機対応力の向上について
議員ご指摘のとおり、災害対策本部訓練では、本部長をトップとした本部組織が、一体となって迅速かつ的確な判断のもと、臨機応変に対応し、市民に対して的確に災害情報を提供する組織を目指すべきものと認識。

○今回の地震で得た経験や課題もしっかりと検証し、来年以降の本部訓練に反映させてまいりたい。

〇3点目の消防団の地域における役割と今後の取組について
消防団は、災害時の活動はもとより、平常時においても地域での応急手当や防災訓練の指導を行うなど、地域防災において指導的な役割を担っていると認識。

〇今後は、震災で得られた教訓を生かしていけるよう、消防団員個々の防災知識の向上や地域住民に対する指導力の強化を図り、積極的に防災意識の普及啓発に取り組んでまいりたい。

○4点目の丘珠空港の災害対応能力の向上について
昨年度取りまとめた「丘珠空港の利活用に関する検討会議」報告書では、災害時において貢献できる利活用策の案として、臨時医療拠点としての活用を挙げている。

〇また、現在運用しているメディカルウィングの災害時での有効活用の可能性についても言及しているところ。

〇丘珠空港の利活用の議論を進めるに当たっては、災害時における利活用も含め、幅広く検討を行っていく考え。

○5点目の大雨に備えた河川の維持管理と情報の周知について
まず、河川の維持管理については、河川巡視の結果や市民からのご要望も踏まえながら行っているが、施設の老朽化に対応するため、長寿命化の推進などを盛り込んだ中長期的な計画を今年度中に策定し、適切な維持管理にしっかりと取り組んでまいりたい。

○また、河川情報の周知については、大雨時に重要な情報を市民がインターネットで閲覧できるよう、水位計の増設を含めた河川情報システムの再構築の検討を進めており、国や北海道の管理河川の水位データ等も合わせた情報提供に努めてまいりたい。

○6点目の被災地復興に向けたまちづくりについて

〇まず、必要な支援を必要な方に届けるための取組について
被災者の支援に総合的に取り組む組織として「被災者支援室」を設置し、生活支援等の情報を集約し整理した「生活支援ガイド」による情報提供や、総合相談窓口を設けたところ。

〇今後も、被災された方々に必要とされる支援策を検討し、それがしっかりと被災者に届くよう、例えば、り災証明書に基づく臨時総合申請窓口の設置に当たり、ご案内を直接送付するなど、様々な手法により情報を提供していく考え。

〇また、り災証明書で一部損壊の判定を受けた方は、全壊、半壊の被害を受けた方よりも対象者がかなり広範となりますが、今後、札幌市としてどのような対応が可能かについて、他都市の状況等も踏まえ検討を行ってまいりたい。

〇次に、住宅再建への後押しについて
住宅が被災された方に対して、住宅補修資金の貸付制度を用意するとともに、住宅の応急修理の補助や被災者生活再建支援法に基づく支援金の支給など、住宅再建に向けた支援に努める。

○次に、災害に強いインフラ整備を通じたまちづくりについて
このたびの地震による道路や水道等のインフラの被災状況や対応を十分に踏まえ、平成28年1月に策定した札幌市強靭化計画の改定を行っているところ。

〇その中で、今回の経験を通じて改めて認識した課題などを中心に据え、実際に被災された方々の声を反映することにより、これまで以上に災害に強い都市を構築できるよう力を尽くしてまいりたい。

【課題の例】
・ 基幹避難所、医療機関等における予備電源設備の未整備
・ 地下鉄線上の道路の陥没防止
・ 災害時の外国人観光客に対する情報発信や避難所の確保

(2) 今後の財政運営の方向性について

○財政基盤が脆弱な札幌市において、都市基盤の再整備や経済の活性化など、将来の札幌の魅力や活力を生み出す取組には財源を重点配分し、税源涵養を通じた財政基盤の強化が必要と認識。

〇これまで、産業・観光振興や企業誘致、再開発への支援などにより、市民税や固定資産税など市税収入の維持・拡大を図ってきたところ。

○今後は、公共施設の更新需要が本格化するなど、財政需要の増が見込まれることから、民間投資を誘発する取組など、税収増につながる投資を積極的に行っていく。

(3) フェアトレードタウンの認定について

○札幌市では、これまでもフェアトレードタウンさっぽろ戦略会議と連携して、フェアトレードに関するパンフレットを作成し、配布するなど、広く市民の理解を深める取組を進めてきたところ。

○フェアトレードタウンを目指す運動は、市民の中から湧き上がってきたものであり、認定を受けることでフェアトレードに対する関心がより一層地域に根付き、その取組も持続可能なものとなると認識。

○今後は、札幌市としても、フェアトレードタウンの認定を目指し、残る一つの基準である支持の表明に向けて準備を進めてまいりたい。

(参考)フェアトレードタウンの認定基準
 ① 推進組織の設立と支持層の拡大
 ② 運動の展開と市民の啓発
 ③ 地域社会への浸透
 ④ 地域活性化への貢献
 ⑤ 地域の店によるフェアトレード産品の幅広い提供
 ⑥ 自治体によるフェアトレードの支持と普及

(4) 都心アクセス道路について

○国が示す四つの構造案は、それぞれ効果の違いはあるものの、いずれも都心アクセス道路に求める機能が確保された案であると認識。

○今後は、国が、地域住民や道路利用者の声を聞きながら、第三者委員会の意見に基づいて各案の比較・評価を行うこととしている。

○札幌市としては、まずは、現在の検討状況に関する職員常駐型のパネル展を開催し、来場者との直接対話を通じて市民理解を深めるとともに、市民意見の把握に努め、国などの関係機関としっかりと情報共有を図ってまいりたい。

(5)冬季オリンピック・パラリンピック招致について

○1点目のスポーツ国際戦略を踏まえた国際競技大会の誘致について
札幌市ではこれまでも、冬季アジア大会や世界女子カーリング選手権大会などの様々なウインタースポーツの国際競技大会を積極的に誘致し、開催実績を積み上げてきたところ。

○今後ともこれらの誘致活動を積極的に進めながら、何よりも冬季オリンピック・パラリンピック招致を成功に導くためには、ヨーロッパ地域において、IOC(国際オリンピック委員会)を始め、様々な国際冬季競技連盟などとの人脈を形成することに加え、緊密な連携体制を構築することが極めて重要であると認識。

〇そこで現在、国において、スポーツ国際戦略に基づく海外誘致拠点の整備に向けた検討が進められていることから、その取組への共同参画も含め、国との連携を図りながら、招致体制の強化に努めることで、我が国におけるスポーツ国際戦略の一翼を担ってまいりたい。

○2点目のSDGs等の国全体の課題とオリンピック・パラリンピック招致について 国連が採択した持続可能な開発目標であるSDGsについては、国際社会における共通の課題であり、これまでIOCと進めてきた対話ステージにおける実務者協議の中でも、持続可能性戦略という大きなテーマの一つとして、様々な協議が行われてきたところ。

○札幌市の開催概要計画では、その基本理念として、人と地球と未来にやさしい持続可能な大会を掲げており、この取組に対し、IOCも高い関心を示しているところ。

○そこで、今後進める開催計画の再構築に当たっては、SDGsや心のバリアフリーを始めとする共生社会の実現に向けた具体的な取組を積極的に盛り込むことで、世界に貢献するオリンピック・パラリンピックモデルを構築してまいりたい。

(6) ICTを活用した行政手続きのオンライン化について

○社会構造の大きな変化や情報通信技術の目覚ましい進展を踏まえ、札幌市の行政手続についても、積極的に情報通信技術を活用していくべきと考えている。

○札幌市では、国の示す34手続のうち25手続を所管しており、図書貸出予約など、申請件数が多く導入効果の高いものを中心に、現在までに18手続のオンライン化を進めてきた。

○今後も、市民や企業の利便性を向上していく視点を持ち、国が示す手続にとどまらず、オンライン化の促進に取り組んでまいりたい。

(7)(仮称)さっぽろ連携中枢都市圏ビジョンについて

○(仮称)さっぽろ連携中枢都市圏ビジョンの策定に当たっては、札幌市の持つ都市機能と、農業や観光、空港・港湾といった市町村の持つ特徴や強みを掛け合わせながら、圏域全体の発展につながる事業を構築し、この圏域が道内経済をけん引していくという視点が重要であると考えている。

○また、災害対策などの住民の生活に密着した取組については、市町村や住民のニーズなどを十分に把握することで、実情に応じたきめ細かな対応ができるよう努めてまいりたい。

○懇談会でいただいた御意見にもあったが、圏域として目指すべき人口規模や経済・社会の姿などをしっかりと描き、その将来像を各市町村と共有しながら、圏域の活性化に大きく寄与する連携中枢都市圏ビジョンを作り上げていきたいと考えている。

no2
経済・観光振興施策について
(1)スノーリゾート地域の形成について

札幌の観光を取り巻く課題としては、繁忙期と閑散期の差が大きいことのほか、「モノ消費」から「コト消費」への対応、滞在日数が伸び悩んでいることなどが挙げられ、このような状況を踏まえると、観光客が減少する冬期の観光振興が重要であると考えます。インバウンドは国内観光客とは異なり、下半期の入込数が多く、東アジア・東南アジアの方々を中心として、スノースポーツや雪遊びなどを求めて札幌に訪れています。また、中国ではスキーヤーが急増していると聞いており、加えて、2018年平昌・2022年北京の冬季オリンピック・パラリンピックの開催を契機とし、アジア諸国のスノースポーツ人口が大幅に増加すると見込まれています。さらに、日本のスキー場はアクセスが良く、雪質が優れていると外国人から評価されており、欧米豪や富裕層はスノーリゾートに関心が高いと言われているところです。

このような中、札幌には5つものスキー場があるほか、スケートやカーリング施設、歩くスキーや雪遊びを行える場所も数多くあります。特に、札幌国際スキー場は、積雪量が豊富で営業期間が11月から5月までと長く、コースのバリエーションも優れており、アフタースキーとして楽しめる定山渓温泉も近くにあります。さらに、キロロスキー場とは隣接しており、連携の可能性を秘めていると考えます。

そこで質問ですが、戦略的な観光振興を推進する方策の1つとして、札幌国際スキー場及び定山渓温泉を核に、冬の滞在型コンテンツを磨き上げることにより、スノーリゾート地域を形成し、世界に発信していくべきと考えるが、どのように認識されているのか伺います

(2)中小企業への支援体制の強化について

札幌市内の企業は、従業員50人以下の企業は全体の96%を占めていることから、札幌経済は中小企業によって支えられているといっても過言ではありません。今回の震災でも災防協に入っている地元の中小建設事業者の方々が昼夜を分かたぬ献身的な災害復旧に当たっている場面を数多く目にしましたし、製造・流通・販売のあらゆる過程で市民の日常生活を取り戻すために経済活動を開始した中小小企業の存在は、本市の宝であり活力の源的存在であると思います。その中小企業は、若者の流失等による労働力不足や高齢化に伴う後継者の不在といった人手不足、事業承継といった課題への対応に、今まさに迫られており、各種支援制度を最大限に利用できるように本市も力を入れて取り組み、この困難な時代を官民連携を強める中で支援し、全力で中小企業を応援していく札幌市の姿勢を示すべきと考えます。

そこで質問ですが、札幌経済を支える中小企業に対し、今後、各種支援制度が十分活用されるために、どのように支援体制を強化していくのか、伺います

(1)スノーリゾート地域の形成について

○札幌は、約200万人の人口を誇る大都市でありながら、年間の降雪量が約6mもあり、スキー場を始めとした冬の体験型観光資源を多く有している世界的にも稀な都市である。

○とりわけ、定山渓温泉に近接する札幌国際スキー場は、アクセスや雪質に優れており、また、定山渓温泉は、年間120万人もの宿泊客を受け入れ、様々な体験型の観光資源があることから、観光客の多様なニーズに対応することのできる地域であると認識。

○今後、札幌国際スキー場と定山渓温泉との一体的な魅力づくりを進めることにより、ブランド力を高め、スノーリゾートとしての魅力を訴求できるよう検討してまいりたい。

(2)中小企業への支援体制の強化について

○札幌市では、中小企業の多様なニーズに対応するため、これまでも各種補助制度など、支援策の充実に努めてきた。

○さらに、今年度から経済観光局全体の支援メニューガイドブックを作成し、経済団体や金融機関への説明会に利用するとともに、ホームページに公開し、一定の評価を得たところ。

○中小企業は札幌経済を支える重要な担い手と認識しており、今後も、中小企業の皆様に支援策をご理解いただき、利用する機会を逃すことがないよう、他機関や他団体と連携した支援体制の強化に力を尽くしてまいりたい。

no3
食品ロス対策について
(1)事業系食品ロスの削減について

国においては、本年6月に閣議決定された「第四次循環型社会形成推進基本計画」の中で、「家庭系の食品ロス量は、2030年度までに2000年度比の半減にする」との新たな目標を掲げました。本市においても、ごみ排出量の少なさで「政令市トップ」を目指すとして、食品ロス対策として「家庭における食品ロス削減の促進」と「飲食店等と連携した食品ロス削減の推進」を具体的な施策として掲げ、生ごみの減量を進めるための重要な施策として位置付けていることは承知しております。

しかし、環境省及び農林水産省によると、国内で発生する食品ロスは約646万トンであり、その内訳は家庭からが半分、事業者からが半分であると推計されており、家庭系の食品ロスの削減を順調に減らしてきた本市においては、今後は事業系食品ロスを減らす取組を進めることが急務であると考えます。

そこで質問ですが、家庭系食品ロスの削減が順調に進む本市において、今後は事業系食品ロスの削減の取組に力を入れるべきと考えますが、今後どのように進めていくのか、お伺いします

(2)フードバンク活動の推進について

食品ロスの削減のためには、フードバンクの活用も有効な取組の1つです。フードバンクとは、包装の印字ミスなどの理由から廃棄されてしまう食品や、賞味期限が近い食品を引き取り、福祉施設や生活支援を必要とする方々に無償で提供する活動です。食品ロスを発生させないことが第一ではありますが、それでも発生してしまう未利用食品を活用するフードバンク活動は、食品ロス削減はもとより、福祉的な効果をあげるための施策としても推進すべき活動であると考えています。特に、子どもの安心や、多様な学び・体験の場となり、地域のつながりや見守りの役割も果たす場所として、関心や期待が高まっている「子ども食堂」とフードバンクの連携は、今後大いに期待されるところです。子ども食堂の数も増えてきています。

一方、現在、市内ではいくつかのフードバンク団体が活動していますが、基本的には、企業や市民からの寄付により活動が成り立っています。しかし、フードバンクの関係者からは、活動が十分に認知されていない、あるいは企業とのつながりができないといった理由で、食品の確保に苦労することもあると伺っております。この活動を推進するためには、市民や企業の理解を深めることや、関係する団体などとの関係構築を更に図っていくことが必要だと感じているところです。

そこで、質問ですが、フードバンク活動の推進を図るためには、フードバンク運営団体と、食品を寄付してくれる企業や、食品の提供先となる子ども食堂、施設・団体等との関係を構築し、連携しながら活動できる環境を整えていく必要があると考えますが、札幌市としてどのような支援を行っていくのかお伺いします

(1)事業系食品ロスの削減について

○食品ロスの削減を進めていくためには、事業系食品ロスの削減を進めることも重要であり、そのためには、実際に飲食店等を利用する市民と食品を提供する事業者双方の行動が変わっていくことが大切と認識。

○そのような考えから、これまで、宴会や会食での食べ残しを減らす「2510(ニコッと)スマイル宴(うたげ)」を推奨し、さっぽろオータムフェスト等のイベントや啓発品の配布を通じて、市民や飲食店等の事業者への普及啓発を行ってきているところ。

○また、本年3月に策定した「札幌市一般廃棄物処理基本計画」においても、飲食店等と連携した食品ロス削減に取り組むこととしている。

○今後も、これまで行ってきた食べ残しを減らす取組に加え、賞味期限の近いものから購入する消費行動の推進など、市民への啓発活動を拡大するとともに、事業者への協力を呼びかけていく。

(2)フードバンク活動の推進について

○フードバンク活動は、食品ロスの削減のみならず、社会福祉や地域コミュニティの活性化にも寄与する取組であると認識。

○そこで札幌市では、フードバンク活動が市民や企業の皆さんに理解されて、運営団体が活動しやすくなるよう、この活動を紹介するホームページを開設したところ。

○また、関係部局が連携して、食品関連企業に対し食品の提供について協力を呼びかけたり、フードバンクと、提供を受ける側である福祉関係団体との情報共有の場を設けたりといった取組を行っている。

○札幌市では、今後も、このような取組を通じて、フードバンク活動の社会的理解の拡大や、関係者間の連携構築のための後押しをしていきたい。

no4
健康支援・高齢者福祉施策について
(1)胃がん対策について

胃がんの発生要因は8割がヘリコバクター・ピロリ菌に起因するといわれています。平成28年の統計によると札幌市のがんによる死亡者約6000人のうち、胃がんによる死亡者は約600人(10%)にのぼることから、ピロリ菌除菌を推進することで、胃がんの罹患リスクを減らし、将来的な死亡者の減少につながると考えます。国のがん対策推進基本計画においても、がん予防は重点目標の一つとして掲げられており、がんの一次予防として、胃がんの主な要因とされているピロリ菌検査受診を推奨しているところです。

平成28年2月に、市町村ががん検診を実施する際の指針として国が示している「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針」が改正され、胃がん検診の胃部エックス線検査に加えて、内視鏡検査が導入されました。併せて、胃がん検診の受診間隔が1年に一回から2年に一回に、対象年齢が40歳以上から50歳以上に変更されました。

そこで質問ですが、胃がんの一次予防には、検診への内視鏡検査導入を含めた、ピロリ菌除菌につながる体制が必要と考えるが、国の指針の改正を受け、札幌市として胃がん対策をどのように進めるのか伺います

(2)フレイル予防も含めた高齢者の健康支援について
  • 高齢者の健康を支える体制

    フレイルとは、日本老年医学会が提唱する「高齢者の身体機能や認知機能が低下して虚弱となった状態」のことで、要介護予備軍として近年注目をされています。フレイルには筋力が衰える「身体的フレイル」、うつや認知機能が低下する「心理的・認知的フレイル」、独居などによる「社会的フレイル」があり、フレイルの予防には「栄養」、「運動」、「社会参加」が重要であると言われています。「栄養」の面では、食事の内容だけでなく、歯と口腔の健康状態を保つこともおいしく食事を食べることにつながると考えます。また、このフレイルは、適切な介入・支援により、生活機能の維持向上が可能な状態像ともされており、早期に発見するために体重減少や握力の低下などのチェック項目もあるとのことです。

    札幌市高齢者支援計画2018では、介護予防・健康づくりの推進として、「身近な地域で心身や生活の状況に合わせた介護予防に取り組むことができるよう、介護予防の普及啓発を進めるとともに、住民主体の介護予防活動を支援する」、「高齢者の健康づくりの取組を支える環境の充実を図る」とされています。

    そこで質問ですが、札幌市では高齢者の健康を支えるために、どのような体制で取り組んでいるのか伺います

  • フレイル予防も含めた支援体制の充実

    フレイル予防の中にも「社会参加」があり、地域とのつながりの中で、高齢者が健康維持に取り組む地域づくりを推進する必要があると考えます。

    これらの取組を推進するためには、フレイル予防も含めた高齢者の健康支援体制を充実していく必要があると考えますが、今後の方向性について伺います

(1)胃がん対策について

〇平成29年3月に策定した札幌市がん対策推進プランにおいて、胃がん予防の取組としてピロリ菌除菌を推進することとしており、がんのリスクを減らす一次予防が胃がん対策を行ううえで非常に重要であると認識。

○国の指針の改正を受け、関係団体と新たな検診体制やがん予防対策の検討を進めてきた。その結果、平成31年1月から、胃がん検診に内視鏡検査を導入するとともに、新たに40歳を対象に胃がんリスク判定としてピロリ菌検査等を実施する予定。

○胃がんの死亡率減少に向けて、医療機関とも連携し、新たな検診体制の周知やピロリ菌除菌の推奨を行うことにより、避けられるがんを防ぎ、更なる胃がん対策の充実を目指していきたい。

(2)フレイル予防も含めた高齢者の健康支援について

○1点目の高齢者の健康を支える体制について
札幌市では、市内53か所の介護予防センターにおいて、各1名の専任職員を配置しており、平成29年度から段階的に各2名体制にしているところ。

○2点目のフレイル予防も含めた支援体制の充実について
高齢者が身近な地域で集い、介護予防活動に参加することにより、心身機能の低下防止や社会参加の促進などフレイル予防につながるものと認識している。

○札幌市としては、介護予防活動の充実のために、運動や口腔ケア及び栄養等の専門職と介護予防センターとが地域で連携して支援できるよう、体制の強化に努めてまいりたい。

no5
市立札幌病院の将来について

市立札幌病院の役割としては、地域医療支援病院として、また、高度急性期病院として地域の医療機関を支えることが挙げられております。その役割の中には、当然、災害拠点病院としての役割も含まれております。9月6日未明の北海道胆振東部地震では、緊急性の高い患者さんの受け入れを優先しつつも、全ての診療科において通常どおり外来診察を実施されました。人工呼吸器や人工透析の患者さんも積極的に受け入れるなど、災害拠点病院として、また地域医療支援病院として一歩も引かない覚悟での対応は、まさに「最後の砦」にふさわしい対応であったと思います。このような底力を持つ市立札幌病院ではありますが、更に発展するためには、現在、専門家検討会で議論されている役割に加え、医療の大きな流れの一つである最先端医療の視点も必要なのではないでしょうか。

超高齢社会が進展し、医療産業構造も大きく変わってきている状況の中、先進的な医療に積極的に取り組むことで、市民サービス、更には職員のモチベーションも向上し、結果として、市民のための時代に対応した明るい未来を描けると思うのです。

そこで質問ですが、将来を見据えて、市立札幌病院が更に発展していくためには、最先端医療に積極的に取り組むべきと考えるがいかがか、伺います

○ 高度急性期の医療を担う市立札幌病院としては、常に先進的な医療を取り入れ、市民の皆様に質の高い医療を提供することが当然の責務であると認識。

○ これまでも、最先端の医療機器については、心血管撮影装置を併設したハイブリッド手術室や手術支援ロボットなどを導入。

○ また、高度な医療技術についても数多く取り組んできており、例えば、腎臓移植については、国内有数の実績となっているところ。

○ 医療技術は日々進歩していることから、今後とも、最先端医療の研究機関との連携を一層密にするとともに、未来の医療を担う人材の育成についても積極的に取り組んでまいりたい。

no6
教育施策について
(1) 北海道胆振東部地震後の子どものケアについて

このたびの北海道胆振東部地震では、札幌市においても市内全域で深夜に体験したことのない揺れに襲われた上、停電が長時間に及ぶなど、多くの子どもたちが不安を抱えながらの生活を余儀なくされました。全市的には、地震の翌週には学校が再開し、給食も提供されるようになったものの、停電により暗闇で過ごしたことやその後の余震などの影響により、未だに多くの子どもが不安やストレスを抱えているのではないかと考えます。

そこで質問ですが、今回の胆振東部地震を受け、不安を抱えた子どものケアについてどのように進めてきているか伺います

(2) 新しい学習指導要領を踏まえた取組について

子どもにこれからの時代を生きていくために必要な力を育むことを目指して、学習指導要領が改訂されました。新しい学習指導要領では様々な改善事項があり、学校はそれらに対応していく必要があります。例えば、外国語教育の充実を図ることに伴い、小学校の授業時数が増加することから、各学校で運動会を始めとする学校行事を見直すなどの動きがあると聞いています。また、教科書を使った道徳の授業が始まり、子どもが考え、議論する授業を準備することなど、新しい学習指導要領の趣旨に沿った教育実践が求められているところです。

札幌市においても、学習指導要領の全面実施に向け、子どもにこれからの時代を生きていくために必要な力を育む教育を推進することが重要であり、各学校が円滑に新しい学習指導要領に移行できるようにするための取組が必要です。

そこで質問ですが、新しい学習指導要領の趣旨を踏まえた上で、今後どのようなことに重点を置いて取組を進めていくのか、教育長の見解を伺います

(3) 人権教育の充実について

人権教育の充実を図る上で指針となるのは、地球規模の課題を自分のこととして捉え、身近なところから取り組むことにより、新たな価値観や行動を生み出すなどの「持続可能な開発のための教育(ESD)」の考え方であり、新しい学習指導要領においても、基盤となる理念として組み込まれています。「持続可能な開発のための教育(ESD)」においては、人間の尊重、多様性の尊重などの価値観やコミュニケーション能力などを育むことを目指しており、このことは、将来にわたって持続可能な社会を実現する上で、重要な視点であると考えます。「札幌市子どもの最善の利益を実現するための権利条例」をもつ本市としても、互いの権利を尊重し合う態度や、自ら考え、責任をもって行動できる力などを育むことは重要であります。

社会における人権に関わる問題を解決し、誰もが生きがいと誇りをもって生活していくことができる、平和で豊かな社会を実現するためには、学校における人権教育を推進することが重要であると考えます。

そこで質問ですが、教育長は、人権教育の重要性をどのように捉えているのか、また、今後どのように充実を図っていくのか伺います

(4) 公立夜間中学の設置について

平成28年12月に公布された「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律(いわゆる教育機会確保法)」では、「夜間その他特別な時間において授業を行う学校における就学の機会の提供その他の必要な措置を講ずるものとする。」と規定されたところです。

札幌市の現状は、中学校進学後に不登校になってしまった方々、あるいは進路が決まらないまま引きこもりの状況になってしまう方々、育った時代・場所・家庭が基礎的な教育を受ける環境になかった方々など、様々な事情により十分な教育が受けられなかった方々が、一定程度の数で存在しているところです。

こうしたことを踏まえ、多様な教育的ニーズを支え、誰もが安心して教育を受けるための施策として、公立夜間中学は大変意義深いと考えています。

そこで質問ですが、今後の公立夜間中学の設置について、教育長はどのように認識しているのか伺います

(1) 北海道胆振東部地震後の子どものケアについて

○学校の再開に向けては、災害時の子どもへの配慮事項を全校に周知し、各学校の教職員を中心とした子どもの見守り体制を強化するとともに、必要に応じてスクールカウンセラーを派遣したところ。

○特に被害の大きかった地域の学校については、スクールカウンセラーを緊急派遣し、強いストレスを受けている子どものケアなどについて教職員に助言するなど、早期から対応を進めてきたところ。

○現在も不安が続いている子どもや、時間が経ってから不安を訴える子どももいることから、各学校での継続的な見守りに加え、スクールカウンセラーを更に手厚く配置するなど、子どもが安心して過ごせるよう支援に努めてまいる。

(2) 新しい学習指導要領を踏まえた取組について

○新しい学習指導要領では、将来の変化に対して、子どもが積極的に向き合い、他者と協働して課題を解決するなど、よりよい社会の創り手となるための力を育むことが重視されている。

○そのために、主体的・対話的で深い学びの視点からの授業改善や、社会に開かれた教育課程の実現に向けた学校と家庭・地域との連携・協働などが求められている。

○札幌市においては、これまでも、子どもが自ら疑問や課題をもち、主体的に解決する課題探究的な学習を取り入れた授業を推進しており、これは学習指導要領と方向性を同じくするものであると認識。

○今後も、教育委員会と学校が一体となって、全ての教科等において課題探究的な学習を重点的に進めるとともに、家庭や地域と相互に連携して家庭学習や体験活動の充実を図るなど、子どもの学びを支える取組を着実に推進してまいる。

(3) 人権教育の充実について

○人権教育は、子どもが互いの個性や多様性を認め合い、支え合いながら共によりよく生きようとする態度を育むとともに、自他の生命を尊重する心などの育成を図る上で、極めて重要であると認識。

○教育委員会では、学校教育の重点に人間尊重の教育を位置付け、民族教育や男女平等教育などを通して、あらゆる偏見や差別をなくし、互いの権利を尊重し合う心を育む取組を推進してきたところ。

○今後は、人権を守る意識や正しい知識を身に付け、主体的に行動できるよう、新たに教科となった道徳はもとより、各教科等の学習や学校生活の様々な場面を通してきめ細かに指導していくことで、人権教育の一層の充実を図ってまいる。

(4) 公立夜間中学の設置について

○戦後の混乱等で義務教育を受けることができなかった方のほか、外国籍の方や不登校などで学校に通えなかった方に対し、教育の機会を確保することは重要であると認識。

○昨年11月、北海道において、学識経験者や自主夜間中学の方などから構成される「夜間中学等に関する協議会」が設置され、様々な視点から、通学が想定される方の教育ニーズなどについての議論が行われているところ。

○今後も、公立夜間中学の設置に向け、北海道教育委員会を始め関係機関等とともに、札幌市が果たす役割を含め、議論を深めてまいる。