議会報告

平成29年第4回定例議会
代表質問 前川たかし 議員
(白石区)

札幌市議会本会議において公明党議員会を代表して前川たかし 議員が代表質問を行いました。

以下、質問とそれに対する答弁の要旨を紹介します。

目 次

1 市長の政治姿勢について
(1) 平成30年度予算編成における視点について
(2) 先端医療分野の産業振興について
(3) 大学と連携した人材育成と地元定着について
(4) 建設業における働き方改革の推進について
(5) フェアトレードの推進について
(6) スポーツの力による子どもの育成について
2 札幌市の地下における魅力アップと安全の取組について
(1) ICTを活用した取組について
(2) 地下鉄の危機管理、災害時の対応について
3 安心安全なまちづくりについて
(1) 防犯力強化について
(2) 空き家対策について
4 女性活躍の推進について
(1) 待機児童の現状認識と今後の対応について
(2) 女性活躍を促進する企業支援について
5 医療・福祉・子ども施策について
(1) 受動喫煙防止対策の推進について
(2) 札幌市ひとり親家庭等自立促進計画策定について
(3) 児童相談体制の強化について
6 多様な教育的ニーズを支える施策について
no1
市長の政治姿勢について
(1)平成30年度予算編成における視点について

平成29年度上期の「札幌市企業経営動向調査」の結果を見ますと、札幌市内の景況感については、平成28年度上期以降、3期連続で上昇しており、また、過去1年間に設備投資を実施した企業の割合は41.2%と前期の39.8%から上昇したところであります。こういった景況感や設備投資の高まりといった流れを持続させ、企業活動をより活発にする施策を打つことは、本市の財政運営にも寄与することと考えます。

しかし、この調査の結果には気になる点も見受けられました。人材確保状況の問いに対して、「確保できていない」旨の回答が過半数を占め、また、企業の経営上の問題点として、「人手不足」が第1位となったことであります。大都市であり、住みたい街としても人気のある札幌市では働き手をまだまだ確保できるのではないかと思うところであります。

また、企業が経営改善を図るための取組の第1位が「新たな製品・商品・サービス等の開発や新しい分野・業態・販路への進出」とのことでありました。これらを合わせ考えますと、札幌の大きさやブランド力を活かし、企業が優秀な人材を確保して新しい分野へ進出していけるように支えることが、札幌の経済さらには札幌市の財政運営に好循環をもたらすことにつながるのではないかと期待しています。

そこで質問ですが、企業の人材確保と新分野への進出に対する支援について、平成30年度予算編成に際し、どのような視点を持って取り組んでいくのか、市長のお考えを伺います。

(2) 先端医療分野の産業振興について

医療に関連する産業は、2030年までに、国内市場が37兆円へと倍増し、雇用も3倍増の223万人、さらに海外市場は日本の国内総生産に匹敵する525兆円になると見込まれています。また、再生医療についても、2012年に1,000億円だった世界市場は、2030年は12兆円になると試算されています。

このように、先端医療分野の産業は大きな成長が期待できる訳ですから、札幌で行われている素晴らしい医療研究を、さらなる産業振興につなげていくべきです。そして、先端医療分野の産業振興を進めるに当たっては、世界を見据えることが重要です。「まずは国内から」という発想ではいけません。最先端の技術は国境を越えます。先ほど引き合いに出した、大きなグローバル市場を狙っていくことが可能ですし、それが当たり前の分野なのです。

そのためには、「鉄鋼の町」を脱却して「医療産業集積都市」へと見事に生まれ変わったピッツバーグなど、海外事例も十分に研究しつつ、札幌の特性に合ったグローバル市場で戦える産業集積の姿を見出していく必要があります。

そこで質問ですが、札幌発の再生医療の実現が目前に迫る中、医療関連産業の広大なグローバル市場を見据えながら、再生医療を始めとする先端医療分野の産業振興に一層積極的に取り組むべきと思いますが、どのようにお考えか伺います。

(3) 大学と連携した人材育成と地元定着について

   札幌市及び周辺自治体には、北海道大学や札幌医科大学、札幌市立大学、小樽商科大学など多様で質の高い大学が集積していることから、それらの大学と連携し、若年層の人材育成と地元定着の取組を進めることが効果的と考えます。

地域に根ざす大学側にしても、地域貢献は積極的に果たしていかなければならない重要な使命であり、本市で活躍し、地域を活性化することの重要性をしっかりと学生に伝え、正しい認識のもと卒業後の進路を決めていただくよう、選択肢を提示する必要があると思います。

こうした市の特性や国の動き、大学の役割などを踏まえて、大学と連携して人口減少対策に資する取組を進めることが重要と考えますが、今後、人材育成や地元定着に取り組むうえで、どのように大学との連携を進めていくお考えか伺います。

(4) 建設業における働き方改革の推進について

建設業に携わる労働者は、他の産業と比べて年間の総労働時間が長く、若手を中心に人材が定着しない原因の一つと言われておりますが、将来の担い手の確保に向けて、長時間労働の抑制や休日の確保といった労働環境の改善により、若年層や女性の入職と定着を促進していく必要があります。

今年3月に策定された「働き方改革実行計画」においては、長時間労働の是正を目的に、罰則付き時間外労働の上限規制が導入されることとなりました。

これまで適用除外とされていた建設業についても、一定の猶予期間を置いた上で、上限規制が適用されることとなっており、今後、必要な環境整備を進めるうえで、適正な工期設定や適切な賃金水準の確保、週休2日の推進による休日確保など、発注者の理解と協力が不可欠であるとされております。

そこで質問ですが、建設業における働き方改革の推進について、札幌市としてどのように取り組んでいくお考えか伺います。

(5) フェアトレードの推進について

フェアトレードとは、開発途上国の原料や製品を適正な価格で継続的に購入することにより、立場の弱い開発途上国の生産者や労働者の生活改善と自立を目指す取組であり、具体的には、フェアトレード製品として認証され、認証ラベルがついたチョコレートやコーヒー、バナナやワインなどの製品を積極的に購入しようとする取組であります。

こうしたフェアトレードの取組は、1970年代から国際協力NGOの活動が最初であり、1990年代からは一般企業なども参加した取組へと広がっていきました。また、フェアトレードを普及するための国際的な枠組みとして、「フェアトレードタウン」という自治体を認定する制度があります。札幌市がフェアトレードの取組を積極的に推進し、フェアトレードタウンの認定を受けることは、世界に貢献する都市としてイメージアップや評価につながり、冬季オリンピックの招致を目指す札幌市としても大変意義があると考えます。

そこで質問ですが、フェアトレードタウンの認定を目指して、官民協力のもと官民挙げてフェアトレードの取組を推進していくべきと考えますが、市長のお考えを伺います。

(6) スポーツの力による子どもの育成について

秋元市長は、就任後からスポーツをまちづくりの重要な柱と位置付け、積極的に取り組まれてきておられます。そのため、政令指定都市の中で、唯一、昨年4月に単独局としてスポーツ局を設置され、冬季オリンピック・パラリンピックの招致活動はもとより、冬季アジア札幌大会やIPCノルディックスキーワールドカップなどの国際大会を成功に導いてこられました。

そこで、スポーツの持つ力、スポーツが与えてくれる力というものについて、改めて考えてみますと、「体力の向上・健康増進」はもとより「感動と喜び」「達成感」のほか「地域や仲間の連帯感の醸成」「経済の活性化」「国際平和への寄与」「都市ブランドの向上による交流人口の増加」など様々な効果が考えられます。この中でも、特に私は、スポーツは全ての人に大きな感動とともに、困難に立ち向かう勇気、まさに「生きる力」を与えてくれるものであると考えます。

このスポーツがもたらしてくれる「生きる力」は、次代を担う子どもたちにこそ与えられるべきで、スポーツをまちづくりに活かす取組に併せ、言うならば、スポーツを「人づくり」に活かしていくことが重要ではないかと考えます。

そうした視点で見たとき、市長の公約では「子ども・スポーツ」という分類の中で、子どもたちに対して「オリンピック教育の推進」、「ウインタースポーツの体験機会の拡大」に取り組むとされています。

そこで質問ですが、市長は、オリンピック・パラリンピック教育の意義をどのようにとらえ、どのように推進していかれるのかお聞きします。

併せて、子どもたちのウインタースポーツ振興について、どのように取り組んでいかれるのか、意気込みを含めてお考えを伺います。

(1) 平成30年度予算編成における視点について

○経済活性化については、都市の活力や魅力を生み出すとともに、市民所得の向上や企業業績の拡大などを通じて税源涵養にもつながるものと認識。

○そのため、平成30年度の予算編成に当たっては、経済・雇用を重点分野の一つと位置付け、しっかりと財源を確保し、積極的に配分していく所存。

○このうち、人材については、高齢者や女性の就労促進など、札幌市民を対象とした取組に加え、東京圏からの人材確保といった視点もあわせて取り組んでいきたい。

○また、新分野への進出については、販路拡大や新製品の開発支援による企業の「稼ぐ力」の強化といった視点をもって、任期の締めくくりとなる本格予算を編成してまいりたい。

(2) 先端医療分野の産業振興について

○札幌では、世界に通用する先端的な医療研究が多く行われるとともに、その事業化を目指すベンチャー企業も活躍していると認識。

○このため、札幌市は、こうした企業の海外展開を支援しているほか、市内の有望な研究を産業集積につなげられるよう、札幌商工会議所と共同で、北海道大学や札幌医科大学と連携したフォーラムを先月初めて開催。

○フォーラムでは、再生医療を始めとする先端医療分野の産業に関して、全国の中でも札幌には大きな可能性があるとの議論が行われ、非常に期待しているところ。

○今後、市内の大学や産業界との連携を一層強固なものとし、内外の関係者の協力も得ながら、地域一丸となって、先端医療分野の産業振興を積極的に進めてまいりたい。

(3) 大学と連携した人材育成と地元定着について

○全国的に人手不足が深刻化する中、大学と連携して地域が必要とする人材の育成と定着を促進することで、若年層の転出超過の抑制を始め、市内企業の競争力向上や札幌市への投資増加、質の高い雇用創出などにつながるものと認識。

○そのため、経済団体や金融機関とともに、大学へ働きかけ、インターンシップなど学生が企業の現場に触れる機会を創出するとともに、複数の大学と地元企業との共同人材育成プログラムの支援に着手したところ。

○今後は、大学間の連携を一層強めるとともに、産業界はもとより、マスコミや北海道などとの支援の輪を広げながら、地域一丸の取組として将来の札幌市のまちづくりを担う人材の育成・定着に向けた取組を拡充してまいりたい。

(4) 建設業における働き方改革の推進について

○建設業はインフラの維持管理や災害対応を担う地域の守り手であり、その持続的な発展のため、企業が働き方改革に取り組めるよう、環境を整えていく必要があると認識。

○これまでも、現場作業が集中しないよう施工時期を平準化した工事発注や、働く人の処遇改善に向けた社会保険等の未加入対策などに取り組んできたところ。

○一方、建設業界においては、施工現場の状況や雇用形態などの理由により十分な休日の確保が進んでいないため、平成30年度に週休2日のモデル工事を実施することで、企業の取組を後押しするとともに、更なる推進方策を検討していく。

○今後も国の動向を注視しながら、建設業界と意見交換を行うなど、官民が一体となって建設業の働き方改革を推進してまいりたい。

(5) フェアトレードの推進について

○フェアトレードの推進は、国際社会の発展と平和に寄与するものであり、自治体においても国際協力の観点から取り組む課題のひとつとして認識。

○国においても、地方創生の実現に資するものとして、持続可能な開発目標(SDGs)の推進を掲げており、その手段のひとつであるフェアトレードについても、普及啓発に向けた取組に着手している。

○こうした国の動きに呼応して、札幌市においてもフェアトレードの取組を推進することは、国際都市としての役割を果たしていくものであると同時に、都市ブランドを形成していく上でも有意義と認識。

○今後、こうしたフェアトレードの活動に取り組む市民や団体と連携しながら、普及啓発などの取組を強化して進めてまいりたい。

(参考)フェアトレードタウンの認定基準
 ① 推進組織の設立と支持層の拡大
 ② 運動の展開と市民の啓発
 ③ 地域社会への浸透
 ④ 地域活性化への貢献
 ⑤ 地域の店によるフェアトレード産品の幅広い提供
 ⑥ 自治体によるフェアトレードの支持と普及
(6) スポーツの力による子どもの育成について

○オリンピック・パラリンピック教育は、文化・国籍・障がいの有無など様々な違いを超え、友情、連帯感、フェアプレーの精神をもって理解し合うことの大切さを学ぶものである。

○とりわけ札幌の子どもたちにとっては、1972年のオリンピックでまちが大きく発展した歴史もあわせて学ぶことで、豊かな国際感覚を養うとともに地元への誇りを持つことができることから、大きな意義があるものと認識。

○そこで現在、こうした特色を盛り込んだ小学生向けの教材を作成しているところであり、本年2月にリニューアルオープンしたオリンピックミュージアムも最大限活用しながら、札幌ならではのオリンピック・パラリンピック教育を推進してまいりたい。

○次に、ウインタースポーツ振興についてであるが、これまで、小中学校のスキー学習に対し、インストラクター派遣や、小学3年生を対象にしたリフト料金の助成を行うなど、子どもたちがウインタースポーツを体験する機会の拡大に努めてきたところ。

○これらの取組に加え、新たに、フィギュアスケートやカーリングなど6つのウインタースポーツ競技を総合的に体験できる「さっぽろっ子ウインタースポーツ塾」を来年1月に実施することとしており、現在その準備を鋭意進めているところ。

○このように、オリンピック・パラリンピック教育の充実とともに、ウインタースポーツの体験機会の拡大を図ることで、子どもたちの「生きる力」を大きく伸ばし、世界の舞台で活躍する「さっぽろっ子」の育成に向け、積極的に取組んでまいりたい。

【参考】

○クーベルタンが提唱したオリンピックのあるべき姿(オリンピズム)
「スポーツを通して心身を向上させ、さらには文化・国籍など様々な差異を超え、友情、連帯感、フェアプレーの精神をもって理解し合うことで、平和でよりよい世界の実現に貢献する」こと

○パラリンピックの原点を作ったルードヴィッヒ・グッドマンの言葉
「失ったものを数えるな。残されたものを最大限に生かせ」

○IPC(国際パラリンピック委員会)
「スポーツを通じ、障害のある人にとってよりよい共生社会を実現する」ことを理念として、スポーツを通じて社会の変革を推進し、インクルーシブで多様性のある社会を実現することを目指している。

【さっぽろっ子ウインタースポーツ塾】
開催:平成30年1月16日(火)~18日(木)
定員:小学1~6年生 各学年40名 合計240名
種目:フィギュアスケート・カーリング・リュージュ・スノーボード    クロスカントリースキー・スキージャンプ
申込総数:2580名(抽選倍率10.75倍)

no1
札幌市の地下における魅力アップと安全の取組について
(1)ICTを活用した取組について

この11月1日には、「さつチカ」の名称で、スマートフォン向け情報提供アプリがリリースされました。また、このアプリに今後構築予定のチ・カ・ホの防災情報共有システム機能を追加し、3月上旬に予定している避難訓練の場で実証するなど、地下における安全の取組にも活用するものと聞いております。このように人の目が届きにくい広大な地下空間において、テクノロジーを利用して市民の安全を守ることは、極めて有意義な取組であり、同じようにICTの活用により外国人への目配りも可能になっていくのではないかと考えます。

そこで質問ですが、このような状況を踏まえ、札幌都心の地下におけるICTを活用した取組を、どのように発展させるつもりか、お伺いいたします。

(2) 地下鉄の危機管理、災害時の対応について

本年10月に地下鉄ひばりが丘駅の出・入庫線で実施した「地下鉄車内で火災が発生した場合」を想定した訓練をわが会派の議員も視察させていただきました。この訓練は一般市民が乗客役として参加しており、また、消防や警察も救助班として参加するものであり、本年で4回目の実施ということでありました。

参加された市民の皆さんには、非常時の避難方法を理解してもらうだけではなく、実際に列車からの避難を体験するほか、消火活動や車内に取り残された乗客の救出は、消防や警察も加わり迅速に対応し、歩けない負傷者の搬送に乗客も協力し無事救助、避難を行いました。

実際に災害が発生した場合には、訓練でも取り組んでいるように、消防や警察、交通局の三者連携が重要と認識しておりますが、今回の訓練のように市民が参加し、非常時の基本的な行動を確認することで、地下鉄乗り合わせの際に災害に遭っても、落ち着いた行動につなげられることから、今後も様々な訓練機会を捉えた市民の参加について、大いに期待するところです。

そこで質問ですが、大量輸送を担う地下鉄における今後の訓練の展開と、一般市民との連携について考えを伺います。

(1) ICTを活用した取組について

○地下における利便性を向上し、安全なまち歩きを提供するアプリとして配布した「さつチカ」については、今後も、利用者の意見を反映させ、様々な機能を追加し、有用性を高めることで「成長するアプリ」としていく。

○例えば、地下に居ながらにして、地上の場所が分かる機能や、外国人への対応として、まずは、英語と中国語の機能を追加していく。

○併せて、さらに情報を求める方を大通情報ステーションへと誘導する機能を盛り込むなど、既存施設と連動した、きめ細かな取組としていく所存。

(2) 地下鉄の危機管理、災害時の対応について

○地下鉄で火災や地震などの災害が発生した場合は、安全な避難誘導と早期復旧が重要であり、そのためには定期的な訓練が必要と認識。

〇これまで交通局では、列車火災訓練や駅構内火災訓練のほか、地震等による設備障害に備えた復旧訓練も実施しているが、輸送の安全を確保するため、訓練想定や実施規模など継続的に見直しを図っていく。

〇このような訓練に市民が参加されることは、非常時の行動や迅速な避難に有効であると考えており、今後は様々な訓練に市民が参加できるよう、積極的に検討してまいりたい。

no1
安心安全なまちづくりについて
(1)防犯力強化について

まず、警察との取組についてでありますが、京都市では、地域との協働の下、市民生活の一層の安心安全の実現と、2020年東京オリンピック・パラリンピック等の開催を見据えた観光旅行者等の安心安全の向上を目指すため、京都府警察と協定を締結し、推進本部を設置して総合的な治安対策を講じております。

札幌市においても2年後に控えているラグビーワールドカップを皮切りに大規模な大会が催される予定となっている他、2026年の冬季オリンピック・パラリンピックの開催候補地への立候補に向けて準備を進めることを踏まえると、治安対策として北海道警察とさらなる連携の強化が必要ではないかと考えます。

次に、地域との取組についてでありますが、自らの街を自らの手で守るという考えのもと、町内会等を始めとした住民によるパトロールや交差点等での見守り活動は、犯罪抑止のためには不可欠なものでありますが、こうした活動は雪の降る冬の期間や、犯罪が起こりやすい深夜にわたって行うことは大変困難でもあります。

このような課題を解決し、絶えず犯罪を抑止する体制を維持するためには街頭などへの防犯カメラの設置が有意義であります。既に札幌市内においては、一部の商店街区域内で防犯カメラが設置されておりますが、事件の早期解決に一定の効果があることは、報道等からも明白であります。町内会等が犯罪抑止活動を無理なく続けられるようにその取組を支援するためには、我が会派が以前から提案している防犯カメラ設置補助制度の創設が必要であります。

そこで質問ですが、札幌の防犯力強化の取組に関し、警察との連携についてどのように考えているのか。また、町内会等による防犯カメラの設置に対する支援制度を一刻も早く導入することが重要と考えますが、このことについての認識を伺います。

(2) 空き家対策について

近年、地域における人口減少や住宅・建築物の老朽化から空き家が増加し、適切な管理が行われていない空き家が地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼしていることが問題となっています。

本市においても同年9月より「札幌市危険空家等除却補助制度」を実施しており、平成28年度からは不動産事業者団体との協定により、本市が空き家所有者と不動産事業者との橋渡しを行うなど、2年間で28棟の補助による解体を含め、115件の危険な空き家の解決に至っていることは評価したいところでありますが、一方で、様々な原因により解決に至っていない危険な空き家もあることと思います。

その一つに所有者が直ちに判明しない、又は判明しても所有者に連絡がつかないことが原因であると取り沙汰されています。

国においても、これらを問題視しており、法務省や国土交通省でもその対策として、登記制度や所有権のあり方が議論されるなど、動きが活発化しており、その課題が全国的なものであることがうかがわれます。

そこで質問ですが、札幌市では危険な空き家の解消について、どのような課題があると認識しているのか伺います。

また、その課題に対して、どのように取り組んでいかれるのか、お伺いいたします。

(1) 防犯力強化について

○1点目の防犯力強化に関する警察との連携について
北海道警察とは、定期的に連絡会議を開いており、防犯上の課題等に関する意見交換を実施しているほか、相互の人事交流を通じて、大規模イベントにおける警備や交通、防犯対策等について適宜協議を行っているところ。

○加えて、今年度は、犯罪のない安全安心なまちづくりを検討する審議会の臨時委員として、専門的な立場からご意見をいただいているところであり、今後とも、双方の連携を密にしながら、防犯の取組を進めてまいりたい。

○2点目の町内会等による防犯カメラの設置に対する支援について
現在、防犯カメラの諸課題について研究を進め、支援の在り方について検討しているところであるが、多くの町内会からご要望をいただいていることから、可能な限り早期に方向性をお示しできるよう、今後も精力的に取り組んでまいりたい。

(2) 空き家対策について

○危険な空き家の解消の課題と、それに対する取組について
危険な空き家(特定空き家)については、特別措置法の施行後2年間で約250件を認定しており、その約半数が解決に至っている。

○解決されない主な要因は、空き家の適切な管理について所有者の理解を得られないことが大半であり、それらに対しては粘り強い指導を行っているところ。

○もう一つ主な要因としては、所有者が死亡し相続関係が複雑であったり、相続人が存在しないといった、相続に起因した問題があり、未解決空き家の3分の1を占めている。

○こうした相続に起因した問題は、時間の経過によりさらに複雑化するなど、大きな課題であると認識。

○その取組として、今年度、相続人が財産放棄した空き家について、相続財産管理人制度に基づき、札幌市が家庭裁判所に相続財産管理人の選任申し立てを行った結果、解体に至った例もあり、さらなる同制度の活用を検討していきたい。

○また、所有者は相続に関する十分な知識を持ち合わせていないことが多いため、専門的な知識をもつ司法書士に相談できるよう、司法書士会との連携・協定についても検討中。

no1
女性活躍の推進について
(1)待機児童の現状認識と今後の対応について

札幌市の待機児童の現状は、今年の4月の国定義の待機児童は7人と減ったものの、広義では1,674人と大きく増加しておりました。

先日、10月1日時点での国定義の待機児童数は946人、広義の待機児童数は2,748人と公表されました。これは昨年から比較しても大幅に増加しているとの結果であり、本市の待機児童対策が不十分であると受け止めざるを得ません。

今後、女性活躍の推進が加速され、幼児教育無償化への流れを踏まえると、本市による大胆な対策による一刻も早い受け皿の確保を進めること、さらに現在の多様な保育ニーズに速やかに対応するため、企業主導型保育事業や事業所内保育事業においては、子どもの確保や経営上の課題等により、単独では実施に踏み込めずにいる企業への支援、事務の煩雑さや保育士の確保等に対して懸念を抱える幼稚園に対する認定こども園へのスムーズな移行への支援を行うなど、現実的かつきめ細かな待機児童対策を推進すべきです。

そこでまず質問ですが、札幌市の現在の待機児童の現状についてどのように認識し、今後どのように対応していく考えなのか伺います。

(2) 女性活躍を促進する企業支援について

女性の活躍推進に向けた、具体的な取組の検討として、本年、市長は「さっぽろ女性応援会議」を立ち上げ、市民との意見交換を行うなど、自らが先頭に立って、様々な視点から議論を進め、「女性への支援」「社会への意識改革」に加えて、経営者の意識改革や女性活躍状況の「見える化」といった「企業の環境整備」に取り組むこととしており、我が会派でもその取組内容に注目をしているところです。

私どもも、市内の中小企業の経営者との意見交換の中でも、女性の働く環境を整えることに対して、ハードルを高く感じている声もお聞きしますが、大企業だけではなく、市内の9割を占める中小企業にどのように浸透させていくのかが重要な課題であると考えます。

女性の活躍を進めるうえで、保育サービスの充実など子育て家庭への支援はもちろんですが、企業における働きやすい環境づくりは不可欠であり、より多くの企業が取り組みやすいよう気運を醸成していくための施策を力強く推進すべきであります。

そこで質問ですが、女性の活躍推進を促進する企業を大きく広げていくために、どのような取組や支援を行っていくのか、伺います。

(1)待機児童の現状認識と今後の対応について

○計画を上回るペースで保育ニーズが伸びていることや、人材確保の困難さも増していることに加えて、幼児教育・保育の無償化によるニーズのさらなる増加が見込まれることから、より一層待機児童対策を推進する必要があると認識。

○今後の対応については、将来にわたる人材確保策とともに、事業者の抱える懸念や課題に応じ、より丁寧な情報提供や働きかけによって意欲的な事業者を支援することで、幼稚園の認定こども園への移行を始め、企業主導型保育事業などの多様な保育サービスが着実に拡大するよう、きめ細やかに進めてまいりたい。

(2) 女性活躍を促進する企業支援について

○女性の活躍推進は、企業の担い手確保や生産性向上につながるものの、いまだ取り組んでいない企業が多い実情から、企業における女性が働きやすい環境づくりを、より実践しやすくするとともに、その取組が広く波及していく仕組みが大変重要と認識。

○また、企業の規模や業種によっても、女性活躍に向けた課題は様々であることから、企業の目線に立って、きめ細かく支援していく必要がある。

○そのため、企業が抱える課題に応じた「改善モデル」をつくり、多くの市内企業に広げるほか、職場環境の改善に取り組む企業の支援を充実するとともに、取組状況の「見える化」を図るなど、経済界と密に連携しながら、効果的な取組を検討してまいりたい。

no1
医療・福祉・子ども施策について
(1)受動喫煙防止対策の推進について

札幌市議会では、先の10月31日、本会議において意見書案第5号として「受動喫煙防止対策を進めるために健康増進法の改正を求める意見書」が全会一致で可決され、受動喫煙防止対策の重要性は皆が認識するところであります。

 札幌市の喫煙率は22.6%と全国平均より高く、政令指定都市中ワースト1の状況が続いており、喫煙により罹患リスクが上がるとされる肺がん、胃がん、すい臓がんなどの死亡率も全国と比較して高い状況にあります。

 また、喫煙率から見てみますと約8割は非喫煙者であり、これらの市民の望まない受動喫煙防止対策は、早急に取り組んでいく必要があると考えます。

 国の健康増進法改正については、時期の見通しが立たない状況でありますが、札幌市は、先日、日本オリンピック委員会(JOC)に対し、2026年冬季オリンピック・パラリンピック開催への立候補プロセスに参加する意向を示しました。

そこで質問いたしますが、オリンピック・パラリンピックの開催を目指す都市として、また、外食産業等においても様々な動きが出ている中、受動喫煙防止対策に関して、市長はどのような認識をお持ちで、今後どのような方向で取り組んでいくお考えか伺います。

(2) 札幌市ひとり親家庭等自立促進計画策定について

札幌市では、母子及び父子並びに寡婦福祉法等に基づき、札幌市ひとり親家庭等自立促進計画を策定し、「ひとり親家庭等の生活の安定と子どもの健やかな成長」を基本理念に各施策に取り組んでおりますが、現在の計画は、今年度が最終年度となっていることから、現在、第4次計画となる来年度からの5か年計画の策定が進められております。

次期計画の策定については、先の第3回定例会において、我が会派の好井議員の質問に対し、「アンケート調査の結果を分析し、ひとり親家庭の抱える課題に的確に対応できる総合的な計画を目指したい」との答弁があったところです。

現計画では、成果指標を設定しておりますが、アンケート調査の分析も進み、指標に対する進捗の確認などもされているかと思います。

そこで質問ですが、アンケート調査の分析結果や成果指標から見えた現計画の評価について伺います。

(3) 児童相談体制の強化について

札幌市では、平成30年度の取組として、第二児童相談所の設置に関する検討が予定されていますが、この児童相談所の設置状況を調べて見ますと、都道府県や政令指定都市などの自治体において、1つの児童相談所で約200万人の人口を抱えている自治体は札幌市のみであります。

札幌市では、これまでに児童福祉司の増員などにより体制を拡充してきているとのことでありますが、虐待相談の対応件数はこれを上回るペースで増加し続けており、現場で働く職員の負担は、大変大きいものと日頃から感じております。また、積雪寒冷地という札幌の特性上、これからの季節は市内各地への移動にさらに時間を要することとなり、虐待通告への迅速な対応が一層困難となります。

このような課題を解決するためにも、札幌市の現状について様々な観点から分析を行い、第二児童相談所の設置を含めて、本格的に議論を進めていくことが必要と考えます。一方、近年では虐待相談件数の増加に加え、相談内容の複雑化・多様化が進んできており、行政機関のみでの対応には限界があるのではとも感じております。

このような状況を考慮しますと、子どもの養育に困難を抱えながらも必要な支援を受けられていない世帯など、潜在的に支援を必要としている世帯をどのようにして把握し、支援につないでいくのかを考えていく必要があります。

そのためには、子どもが普段生活している保育所や学校、医療機関などの関係機関との連携や、地域での見守りなどの強化などが欠かせないものと考えます。

そこで質問ですが、第二児童相談所などの組織体制の強化と、関係機関とのより一層の連携強化に向けた取組について、どのように考えているのか、お伺いいたします。

(1)受動喫煙防止対策の推進について

○札幌市は、喫煙率や肺がん死亡率が高く、受動喫煙防止対策は、オリンピック・パラリンピック開催を目指す都市としても、重要な課題と認識。

○外食産業等で禁煙化が進む一方、喫煙を望む顧客を抱える店舗も多いため、まずは、禁煙や分煙、喫煙等の店舗環境を利用者が選択できるような環境づくりに取り組んでまいりたい。

○また、経済団体と協力し、「事業所での受動喫煙防止対策の実施」を要件の一つとした「がん対策認定企業制度」を今年度内に導入し、広く働きかけていく予定。

○このような取り組みを含め、市民や観光客等が望まない受動喫煙にさらされる機会を減らせるよう、より一層対策を進めてまいりたい。

(2) 札幌市ひとり親家庭等自立促進計画策定について

○1点目のアンケート調査の分析結果や成果指標から見えた現計画の評価について
計画全体の成果指標である「今後の生活に不安のある方の割合」や養育費及び面会交流に関する指標については、計画策定時点の数値から改善が図られているものの目標値には届かず、また、支援制度の認知度に関する指標では、多くの制度で、現計画策定時点の数値を下回る結果。

○現計画に基づく相談体制の充実や就労支援などの取組は、不安感の解消等に一定程度の効果を上げていたと考えられるが、制度の周知に関する取組は十分ではなかったと評価をしている。

○2点目の次期計画の特徴及び実効性のある取組について
次期計画の特徴としては、支援制度の認知度という課題に的確に対応するため、これまでの基本目標に「利用者目線に立った広報の展開」を加えた5つの目標により、各施策の推進を図ることを検討。

○実効性のある取組としては、新たにひとり親家庭の方を対象としたパンフレットを作成し、離婚届の提出時に配布することや、児童扶養手当の対象世帯に支援制度の案内を一斉送付することなど、必要な情報を確実に伝える取組により、認知度の向上に努める考え。

(3) 児童相談体制の強化について

○第2次札幌市児童相談体制強化プランに基づいて、来年度、第二児童相談所の設置等について必要な検討を行うこととしており、複雑・多様化する児童虐待問題に迅速かつ的確に対応できるよう、取組を進めてまいりたい。

○また、相談支援力の強化として、要支援世帯への評価チェックシート、いわゆるアセスメントツールの開発作業を進めており、この中で、関係機関と連携して世帯を支援するための流れを明確化し共有することで、関係機関との一層の連携強化を図ってまいりたい。

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多様な教育的ニーズを支える施策について

札幌市の現状を見てみますと、高校進学後に不登校や退学へ陥ってしまった方々、あるいは進路が決まらないまま引きこもりの状況になってしまう方々、育った時代・場所・家庭が基礎的な教育を受ける環境になかった方々など、何らかの理由により十分な教育が受けられなかった方々が、一定程度の数で存在することに気付かされます。

こうした現状に陥ってしまった原因は様々であり、そうした原因を多様な教育的ニーズとして捉えつつも、それぞれの原因に応じて個別に取り組んでいかなければならないのはもちろんでありますが、我が会派の後押しもあり、国レベルでの対策が既に動き出しているものがあります。

例えば、発達障がいなどのある児童・生徒が、学習・生活上の困難の改善や克服へ向けて、通常学級に通いながら別室で授業を受ける、いわゆる「通級指導」について、文部科学省は平成30年度から高校の教育課程に加えることとしました。

この高校での「通級指導」の制度化に向けて、公明党文部科学部会が積極的に推進し、平成26年度のモデル事業の実施を経て、平成28年12月の省令改正へと至ったものであります。

義務教育終了後のほぼ全ての子どもが高校へ進学している一方で、支援が必要な子どもは特別支援学校の高等部などに進学しない限りは、その困難の改善・克服に向けたサポートを受けることは大変難しい状況にあります。

小・中学校で通級指導を受けている児童・生徒数は年々増加しており、平成28年度の全国での対象者数は、10年前の約2.4倍に当たる約98,000人に上るとされていますが、この制度化を受け、本市でも、困難を抱える子どもが高校においても継続した支援を受けられるよう、体制を整備すべきと考えます。

また、平成28年12月には、我が党を含めた推進による議員立法で、いわゆる「教育機会確保法」が成立しました。

文部科学省が作成した「手引き」では、夜間中学の潜在的な入学希望者の類型として、義務教育未修了者、入学希望既卒者、外国籍の者などがあるとされています。

義務教育未修了者について言えば、平成22年の国勢調査での「未就学者」の数は、全国で約128,000人、うち札幌市は2,001人となっています。

また、全国の在留外国人数は平成28年6月末現在で約230万人と過去最高となっており、外国人児童生徒数も増加傾向にあります。

夜間中学の入学希望既卒者についての明確な統計はありませんが、例えば、平成27年度における全国の中学校の不登校児童生徒数は約98,000人、率にして中学生の2.8%の割合となっており、夜間中学への潜在的な入学希望者として捉えていく必要があると考えられます。

本格的な少子高齢化・人口減少社会の到来を迎え、社会保障や教育、雇用など現在の社会システムを、誰もが安心できるものへと軌道修正していくことが求められている中で、本市においても、このような多様な教育的ニーズを支え、誰もが安心して教育を受けるための施策について、具体的な検討を始めていくべきものと考えます。

そこで質問ですが、こうした多様な教育的ニーズを支える施策について、国の制度変更などを受けて、札幌市ではどのように取組んでいく考えなのか、お伺いいたします。

○これまで、学びたいという思いを抱きながらも、現行の教育制度ではその機会を十分に得られなかった方に対して、教育の場の充実を図ることは大切であると認識。

○高校における通級指導については、その効果的な運用方法を検討しているところであり、夜間中学については、教育機会確保法に基づく北海道教育委員会主催の協議会において、北海道における望ましい公立夜間中学の在り方についての議論が行われているところ。

○これらの取組を通じ、様々な事情により教育の機会を十分に得られなかった方が、希望に応じて学び続けることができるよう、札幌市としても努めてまいりたい。